内藤エスカルゴ - 現行作品一覧 - ( ^ω^)は街で狩りをするようです - 第4話「命令違反」

第4話「命令違反」

66 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/02/17(日) 22:23:51.25 ID:MxrdXbq10

第4話「命令違反」


作戦開始、10分前。

第3階層を大きく占める第1司令部に、両チームと議会の実力者が集まっていた。
中央に位置する司令席では、元アメリカ空軍大佐で現セントラル議会長の荒巻・スカルチノフと、
議会長補佐のモララー・スタンレーが鋭い眼差しで巨大モニターを眺めている。

今回の作戦の総指揮を取るのは、元空軍大佐の荒巻・スカルチノフだ。
戦闘指揮など経験が豊富だという事で、議会が推薦したらしい。

('A`)「(うへぇ。いつ見てもおっかねー爺さんだぜ)」

チーム・ディレイクのオペレータの1人を務めるドクオは、自分の左後方に座っている荒巻を見て目を潜めた。
元空軍大佐である荒巻は今年で63になる初老の男であるが、熟年の軍人にしか出せない独特のプレッシャーは、
年を重ねる度により鋭く研ぎ澄まされた物となっているようだ。

顔中に残った大きな傷跡は彼を歴戦の戦士である事を示している。
そして白眉の下に潜むその眼光が、獲物を仕留めようとしている虎を思わせる。

67 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/02/17(日) 22:27:05.12 ID:MxrdXbq10

('A`)「(モララーって奴は、いつ見ても気に喰わない顔してやがるなぁ)」

荒巻から視線を左に移し、議会長補佐であるモララー・スタンレーに目を向けた。
灰色のスーツに身を包んでおり、恐れを知らないような不敵の笑みを浮かべている。

まだ30才と若い実力者である彼の物腰は柔らかく、その顔立ちも女性受けする端整な物だった。
2重の瞼や絹のように艶やかな白髪も、女性を虜にしている原因の一つであろう。

自分とは対照的なイケメンを見て気分を悪くしてしまったドクオは、視線を自分のモニターに戻して集中した。
ドクオの仕事は、武器やバイクに関する情報をブーンや他のメンバーに伝える事だ。

ドクオはパネルを操作してブーンのバイクをドッグに送っていた。

ちなみに、ドッグとはシェルターから外部の森に出る為のエレベータとは異なる、
別の出入り口に通じる戦闘員と兵器の収容箇所だ。
普段は強固な外壁で閉じられているが、ハッチを開けると外の地面が割れ、そこから戦闘員が射出されてゆくのだ。

68 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/02/17(日) 22:31:22.53 ID:MxrdXbq10


ξ゚听)ξ『ブーン、もう一度ミッション内容を確認するわ。
      今回のアンタの役割は、バトルスーツ部隊の護衛よ。
      レーダーやセンサーを駆使してセカンドを索敵して危険を回避しなさい』

( ^ω^)「全然違うお。
      衛星の護衛をしながら、バトルスーツよりセカンドを多くぶっ倒す事だお」

ξ゚听)ξ『…そうだったわね。
      じゃあレーダーが捉えたセカンドは一匹残らず ア ン タ が 倒しなさい』

強い口調でツンが返したが、ツンは少し驚いていた。
ブーンとジョルジュの間でイザコザがあった事をツンは知らないのだが、このように他人に対して
ライバル心を剥き出しにするブーンは珍しかったのだ。

('A`)『その点なら満足できると思うぜ。
    先日、施設の換装作業中にバトルスーツ部隊がセカンドに襲われたらしい。
    今回のような騒がしくて大掛かりなミッションなら、セカンドもエサの匂いを嗅ぎ付けてやって来るだろう』

( ^ω^)「経験上、小さい群れの中心には必ずボスが必ずいるものだお」

('A`)『生物の習性と本能なのかね。
    ま、せいぜいエサにならないように頑張ってくれよ!」

ξ゚听)ξ『作戦開始まで残り300秒を切るわ。準備はいいわね、ブーン?』

70 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/02/17(日) 22:36:28.01 ID:MxrdXbq10

司令席を中心に通路が伸びており、それを境に両チームが区切られている。
右にB00N-D1を支援するチーム・ディレイク、左にバトルスーツ部隊を支援するチーム・アルドリッチだ。
両方で慌しくパネルを叩く音や、リーダーとオペレータの凛とした声が司令部に鳴り響いていた。

左に陣営するチーム・アルドリッチは、リーダーのハインリッヒが声を張って指示を飛ばしていた。


从 ゚∀从「状況、伝えろ!」

「バトルスーツ全機オールグリーン!
 全てのコントロールをパイロットへ譲渡します!」

「ハッチ、間も無くオープンします!
 出撃タイミングをパイロットへ譲渡!」

从 ゚∀从「ジョルジュ! 聞こえるか!?」

( ゚∀゚)『あぁ、通信良好だ。
     機体反応もすこぶる良い』

71 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/02/17(日) 22:40:40.61 ID:MxrdXbq10

从 ゚∀从「よぉー―――しっ!! 存分に暴れて来い!!」

( ゚∀゚)『期待しながらモニターを眺めていろよ、ハイン!
     バトルスーツ隊ッ! 出るぞッ!!』

ジョルジュは両手で握った左右のレバーを前に一気に押し出し、機体を走らせる。
森林が生い茂る大地が音を立てながら割れ、そこから8機の巨大な人型兵器が弾丸のように飛び出ていった。

小型衛星は、バトルスーツ隊の内の1機が背負っているコンテナ内に収容されている。
コンテナはバトルスーツの背中を覆うくらいの大きさである。
小型衛星と言っても全長5メートル程の大きさはあるので、これを運べるのは巨体で馬力のあるバトルスーツが的確であった。

バトルスーツは1機を覗いて全てが黒色を基準に塗装されている。
黒塗りのボディに白や赤などのプレートが入り混じっており、中々洗練された色合いで美しい外見を持っている。
鋭利な形状をした頭部の影の中で、人間の口にあたる部分が黄色く輝いている様は、
これからの戦闘を待ち望んでいるかのように歯を輝かせて笑っているようである。

73 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/02/17(日) 22:44:57.58 ID:MxrdXbq10

黒い機体の中で一機だけ燃えるように赤い派手な機体がある。
ジョルジュが操縦する隊長機だ。
赤のボディを基調に黒や金色のパーツを随所に散りばめてある装飾が、隊長機らしい雰囲気を醸し出している。

各バトルスーツの脚部は、その巨体を動かす為に太く作られている。
足の裏や横、それから腰にはそれぞれ巨大なブースターが着いており、これを使う事で空を飛んだり素早い動きが可能となる。
そういったギミック以外に、多くの兵器を搭載して隠しているのだ。

腕部も脚部同様に太く、兵器を収容する為に太く作られている。
装甲が動いて腕の中から様々な兵器を出す事ができ、人間で言う手首から肘にかけた部分が兵器に変換される。
つまり兵器は腕に着いており、バトルスーツそのものがトリガーを引いたりする事は無い。

しかし今回は装備が異なっており、右腕の指先から肩の外側にかけて大型のバズーカのような物が装着されている。
ガッシリとした銃身で、動力部は肩に合わせて丸みを帯びた形状だ。
銃口は機体の拳よりも大きく、ここからエネルギーが広範囲に渡って放出される事が分かる。

ちなみに名は、結局ジョルジュが命名した「アルドリッチ砲」に落ち着いたそうだ。

75 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/02/17(日) 22:48:53.32 ID:MxrdXbq10



チーム・アルドリッチの発進が終わると、時間通りにチーム・ディレイクの発進時刻となった。
オペレータが次々に声を発してツンに状況を知らせる。

全モニターに映るのは、巨大な黒いバイクに跨る強化人間、B00N-D1だ。
バイクと同色の黒いヘルメットとスーツに身を包み、「まだか、まだか」と言わんばかりにバイクのエンジン音を何度も吹かした。

「バトルスーツ全機出撃しました!」

('A`)「とっくに準備完了だ! いつでも行けるぜ!!」

ξ゚听)ξ『ちょうど時間だわ。
      ブーン、ミッション開始よ!』

( ^ω^)「了解だお!」

チーム・ディレイク側のモニターでは、射出口に向かってハッチの壁をバイクで走り抜ける映像が映し出されている。
ブーンの左目からリアルタイムで送られてくる映像は、スピード感抜群のスリリングなアクション映画のようだ。
長い射出口を走り抜けると、太陽光が照らす眩い外の世界へと飛び出した

76 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/02/17(日) 22:53:00.47 ID:MxrdXbq10
最初の合流地点は「セントラル」からほんの少し離れた都市の中だ。
合流地点に到着すると、先に発進していた8機のバトルスーツ部隊がブーンを待っていた。
ブーンの右耳に通信が入り、同時に左目が宙に映し出したモニターにはジョルジュ・ジグラードの顔が映っていた。
ブーンが出て来た事に気づき、ジョルジュが通信回線を開いたのだ。

( ゚∀゚)『待っててやるのはここで終わりだ、B00N-D1。
     協同任務だが我々は好きに行動させてもらう事にする。
     バイクなんかじゃバトルスーツには着いて来れないだろうからな』

('A`)「あ、あの野郎……俺のバイクを馬鹿にしやがって!」

意地の悪い顔が映っている。
その顔は両陣営のモニターにも当然映し出されており、左右で非難と感嘆の別々の声が漏れている。

ドクオは横に座っているツンに目をやると、彼女が怒りの形相でモニターのジョルジュを睨んでいた。
ハインリッヒにとっては非常に愉快な事だったようで、声を高らかに下品に笑っていた。
そして、ドクオも自身が開発したバイク「BLACK DOG」を馬鹿にされて腹を立てていた。

( ^ω^)「そちらこそ置いて行かれないように頑張って頂きたいですお。
       そんなピザ機体じゃ動きが鈍いでしょうからwwwwww」

全くもって痛快な切り返しだった。
ツンは先ほどのハインリッヒの挑発的な笑い声に負けじと、下品で不敵な笑い声を上げて反撃している。
ドクオも思わずニヤリと口の端を釣り上げてしまった。

86 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/02/17(日) 23:17:06.03 ID:MxrdXbq10
『両チームとも控えよ』

緊張感とは違う雰囲気に場が包まれようとしてきた時、背筋が凍り着くような冷やかな声がアナウンスされた。
議会長の荒巻スカルチノフだ。

ツンの下品な笑い声とハインリッヒの罵声がピタリと止まった。
両者とも一応恥じらいがあるらしく、頬を赤く染めて下を俯いている。

/ ,' 3『これより総指揮は私が取る。
    両部隊は予定通りクイーンズ区まで速やかに移動を開始せよ』

( ゚∀゚)「チッ……だが、思う存分にやらせてもらうぜ!」

( ^ω^)「BLACK DOG! 行くお!」

赤と黒の巨大兵器がマンハッタンを駆ける。
先頭を走るのはジョルジュの深紅に染まったバトルスーツだが、それに並んで黒いバイクが地面を走っている。
そのまま並走して目的地のマンハッタン島クイーンズ区へと向かっていった。

( ・∀・)「(ライバルチーム同士による協同作戦……。
       同じ科学者として実に興味深い………)」

90 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/02/17(日) 23:22:07.81 ID:MxrdXbq10
大した時間も掛からずにクイーンズ区の街並みがボンヤリと見えてきた。
ブーンの左目に周囲の状況に関するデータがリークされ、
複雑な演算式などを表示した小さなモニターが目の前に展開する。

( ^ω^)「(近くにセカンドはいないみたいだお)」

クイーンズ区は完全に調査が終わっていない地区だ。
セカンドの破壊行動により、最西端にあるロング・アイランド・シティという沿岸地区が切り離されて浮き島となった所がある。
本島であるマンハッタン島と繋がる橋なども無く、完全に孤立した島となっているのだ。

浮き島の調査は全く行っていないのだ。
衛星施設は浮き島とは離れた地区に存在しているが、浮き島からセカンドが襲ってくる可能性も十分にある。
今回の作戦の唯一の不安要素であろうと、ブーンは作戦前から考えていた。

( ^ω^)「(この先はだいぶ道路が酷くなってるお)」

遠くに見える道路は砕け散って大きく隆起している。
とてもバイクでは走行する事は出来ないが、ブーンには何ら問題無かった。

92 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/02/17(日) 23:24:49.04 ID:MxrdXbq10
バイクのハンドル部分の中央に小さなパネルがあり、ブーンはそのまま走行しながらパネルを操作する。
その一瞬の操作を終えると、バイクの前後のタイヤが横に回転しながらボディの下に剥き出しのまま収納された。
地面に対して平行方向になったタイヤが更に変形し、ブースターのような物になる。

車体下のブースターが噴射し、空中走行が可能なバイクへとなったのだ。
地面との摩擦抵抗を失ったバイクは更にスピードを上げ、
それまで並走していた隊列を崩してクイーンズ区へ向っていった。

( ゚∀゚)「(流石はディレイクの技術力だ。そう馬鹿には出来んようだ。だが………ッ!)」

( ゚∀゚)「奴を追い抜くぞ!」

ジョルジュ率いるバトルスーツ部隊も出力を上げて空を飛行し、ブーンのバイクに追いつく。
高出力で噴射されたブースターはまるで吹き荒れる強風のようで、建物の残骸を綺麗に吹き飛ばしたのだ。

( ^ω^)「(まだまだ実力を隠していそうだお)」

後ろをチラリと振り返ってライバル達の様子を見た。
自分同様にまだ内に秘めている力が多々あるとブーンは判断した。
バトルスーツに関する予備知識は持っているが、その性能を実際に目の当たりにした事が無いブーンにとっては未知の兵器である。


96 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/02/17(日) 23:30:35.15 ID:MxrdXbq10
ものの数分でクイーンズ区に着いた。
ブーンは空中でバイクを元の形に戻し、そのまま地面に着地した。
着地地点で一度ジョルジュ達と合流し、司令部へクイーンズ区に到着した事を通信した。

/ ,' 3『時刻は予定通りだ。
    装備と編成を整えた後、ただちにB00N-D1は周辺をサーチし、そのデータを転送せよ。
    そのデータを元に指示を出す。それまで両チームとも待機だ』

( ^ω^)「了解ですお」 ( ゚∀゚)「了解」

ブーンはパネルを操作し、バイクのハンドル中央部分を変形させた。
割れたボディの中から現れたのは、何本もの銃と砲、剣の柄だ。

その内の何本かを選んで両足のホルダーにそれぞれ装着させ、小型のサブマシンガンを一つ左手に持った。
小型といっても5.7mmの光弾が広範囲に連続射出されるので殺傷力はそれなりに高い。
しかし、大型セカンドを倒すのは難しい銃だ。
大きい火力は45cmBlueBulletGunで補い、またBlueBlazeBladeを2本ずつホルダーに装着しておいた。

98 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/02/17(日) 23:33:28.64 ID:MxrdXbq10
最後にブーンはバイクの武器庫から最大火力の“BlueLazerCannon”を取り出し、それを背負って装備した。
長さが約120p程ある最も大きい「砲」で、斜に背負わなければ携帯できない代物である。

( ゚∀゚)『何だそりゃ? 秘密兵器か?』

( ^ω^)「まぁそんなところですお」

発射口は小さいが、細長く大仰な外見が強力な兵器であるとバトルスーツ部隊に思わせた。
ブーンはあまりこの兵器を選ぶ事は無いのだが、この任務では必要な気がすると思いシミュレーションも数回こなしておいたのだ。

('A`)『やっぱそれ持って行くのか?』

兵器担当のドクオからの通信だ。
右耳に入ってきた声には困惑の色が少し入り混じっている。

( ^ω^)「遠距離と近距離、両方で戦うにはこの装備がベストだお、多分。
       シミュレーションでも良い結果出してるから使ってみるお」

('A`)『しかしブーン、一発でも撃てばお前の体に大きな負担がかかっちまう武器だ。
    作った本人が言うのもナンだが、あまり使わないで欲しい』

( ^ω^)「負担が大きい事は分かってるお。あくまで切り札だお、ドクオ。
       そっちのモニターでも確認してると思うけど、左目が多くのセカンド反応を捉えているんだお。
       ロング・アイランド・シティ地区の何処かに大型セカンドが隠れているはずだお」

102 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/02/17(日) 23:36:07.73 ID:MxrdXbq10
ドクオが沈黙した。
現場にいるブーン達以外に、多くの生命や熱源の反応が次々に現れている事をドクオも確認したからだろう。
左目がサーチ出来るセカンドは、建物や水の中などに遮断されていない屋外に限定されてしまうのだが、
それでも北西方向でかなりの数のセカンドが索敵されたのだ。

束の間の沈黙が終わり、いつもの彼らしいぶっきら棒な口調で返信が届く。

('A`)『わぁーったよ! そんな物使わないで任務成功させろよ!』

( ^ω^)「まぁ任せとけお」

間髪いれずにツンが通信を入れる。

ξ゚听)ξ『話はまとまったわね? ブーン、アンタが送ってくれたセカンドの分布情報を元に進行ルートを決めたわ。
       アンタは北西の海岸を迂回してセカンドを駆逐しながら目的地を目指して頂戴!
       バトルスーツ隊は最も安全且つ最短のルートで施設まで移動するわ』

目的地までバトルスーツ部隊とは別行動になった。
ツンからの指示だったが、合理的で論理的なこの指示は総司令官の荒巻・スカルチノフの判断による物だろう。

北西から迂回する自分に対し、バトルスーツ部隊は東方向のルートで衛星を目指す事になった。
機動力と優れたレーダーを持つ自分が前線でセカンドを引き付け、その隙にバトルスーツ部隊が衛星を打ち上げる。
ツンがプログラムしたシミュレーションと全く同じの流れになった事は、ブーンとしては願っても無い展開だった。

105 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/02/17(日) 23:40:41.53 ID:MxrdXbq10
ジョルジュにも同様の命令が通信されただろうが、深紅のバトルスーツは微動だにしないで静かだった。
その静かな巨体の内で、あのプライドの高いジョルジュが何を考えているのかブーンには想像が出来なかった。
挑戦的でプライドが高い彼が、このような命令を素直に守るとは思えない。

不意に、左目が高エネルギー反応を確認して捉えた。
ジョルジュ機が高速移動する為に出力を昇させ、そしてブースターを点火させたのだ。

(;^ω^)「ジョルジュ隊長!? 馬鹿な真似はやm」

(;^ω^)「………通信回線切ってるお………」

赤いジョルジュ機が向かう先は、ブーンが通る予定のセカンド密集地帯の方向であった。
彼を呼び止める外部音声が他の隊員のバトルスーツから発せられたが、ジョルジュはそれを無視して進んで行ってしまった。

予想していなかった事態となってしまい、司令部も慌しくなっている。
アルドリッチ・チームのスタッフがジョルジュに通信を試みているが、全ての通信回線を切られてしまったらしい。

/ ,' 3『……オペレーション内容を変更する。
    残りのバトルスーツ及びB00N-D1は北東のルートへ向かって先行部隊と合流しろ。
    今はジョルジュ機を追うな、衛星の打ち上げに専念せよ』

総司令官の荒巻・スカルチノフが両チームの陣営に指示を出す。
本来ブーンがセカンドを引き付ける作戦だったが、ジョルジュにそれが務まるのかどうかで作戦の成否が決まるだろう。

106 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/02/17(日) 23:43:52.37 ID:MxrdXbq10
(
 ・∀・)「まさかジョルジュ隊長が命令に背くとは」

/ ,' 3「あのクソガキは陸軍じゃ命知らずで有名な軍人であった。
    奴の気持ちは分からんでもないが、よりよって元空軍大佐の命令を無視するとは……クソガキめ…」

自分達の役割を取られてしまったツン陣営は皆悔しがっていた。
異常事態の発生にアルドリッチ・チームのスタッフは焦っていたが、リーダーのハインリッヒだけは不敵な笑みを静かに浮かべていた。
まさに「してやったり」という表情だ。

しかし、ハインリッヒとジョルジュは特別に通信のやり取りはしておらず、命令違反は意図的な物でないようだ。
ハインリッヒにとってジョルジュの行動は、まさに僥倖なのであった。

(#'A`)「アホのチームのアホ隊長がやってくれたぜ! クソ!!」

ξ#゚听)ξ『仕方ないわ……ブーン、皆、納得できないだろうけど我慢して頂戴。
       変更されたオペレーション通りに今は動いて!』

( ^ω^)「了解だお。任務を遂行するお」

通信のツンの声の調子は落ち着いていたが、逆に怒りが伴っているように聞こえた。
歯を食いしばって感情を抑えるツンの姿が頭に思い浮かぶ。

113 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/02/17(日) 23:57:08.73 ID:MxrdXbq10
隊長機を失ったバトルスーツ部隊とブーンが東へ進行した。
まずは先日から先行している施設護衛隊との合流だ。

( ^ω^)「(恐らく、合流後に僕は西に行く事になるお」

先行部隊と合流すれば戦力が増すので、ジョルジュ機のいる方へ戦力を割く事も出来る。
恐らくだが、荒巻・スカルチノフはそのように指示を出すはずだ。

バトルスーツ隊はビルの瓦礫の間を一列になって低空飛行していく。
衛星コンテナを積んだ機体を中央に、先頭をブーンが務める陣形を取った。
ジョルジュ以外のパイロットは話の分かる協力的な人間ばかりで、
一番セカンドとの戦闘経験を積んでいるブーンに前線指示を出す事に快諾したのだ。

それを提案したのもバトルスーツ隊で、特に副隊長はジョルジュと相反したような人間である事に、ブーンは驚いた。
空軍出のガイルという男で、髪型は変だが気立ての良い中年のパイロットだ。

( ^ω^)『ガイルさん、ジョルジュ隊長は一人で大丈夫ですかお?』

ガイル『分からないな…しかし、死のうと分かっていても絶対に逃げない人だ。
     手強い大型種が来ない限りは大丈夫だと思うがな』

118 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/02/18(月) 00:01:29.58 ID:xFf61tkk0
――それに、我々には強力な新兵器もあるので。
自身ありげに力強い口調でそう言い、ガイルが機体の右腕を動かしてブーンに見せたのは巨大なレーザー砲であった。

( ^ω^)「そういえば、そのデカい大砲みたいのは一体何なのですかお?」

ガイル『アルドリッチ砲という対大型セカンド用の超広範囲レーザー兵器だ。
     撃てるのは一発限り。まさに切り札ってとこだな!』

機械仕掛けの左目でその砲をトレースし、瞬時にドクオに転送する。
一応、今回は私情もあって彼等は「敵」と見なす事も出来るので、敵情視察という事で兵器の解析をドクオに頼んだのだ。
すぐにドクオから通信が返ってきた。

('A`)『やっこさん、とんでもねえモン持って来やがった』

( ^ω^)『やっこさんwwwねーよwwwwww』

('A`)『やっこさん! とんでもねーモンを持って来やがった!』

( ^ω^)『おまwwwwwww』

('A`)『で、あの兵器なんだが』

( ^ω^)「流石ドクオ、唐突な会話の展開だお!」

124 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/02/18(月) 00:09:34.60 ID:xFf61tkk0

('A`)『エネルギーの許容量から見て、すげー破壊力を持ってる事が分かる。
    5発も撃ち込めばクイーンズ区の地区1つを消し飛ばせるスペックだな』

(;^ω^)『BlueLazerCannonの全エネルギーを打ち切っても、それは無理だお』

ξ゚听)ξ『あのチームは全部がデカすぎるのよ。
      デカけりゃ良いってモンじゃないわ! 全くもって下品よ! 下品!」

勝ち気でプライドの高いツンが口を出した。
兵器開発部で2大のトップ争いを繰り広げるツンにとって、ライバルであるハインリッヒに関する話題は何であろうと気に入らず、
このような会話をしている時は決まって暴言を吐くのだ。
   
('A`)『ツン、お前の言い分は凄く分かるぞ。
    その通りだ。デカけりゃ良いってもんじゃないさ。
    むしろ俺はな、お前のちょっと貧乳な所がとってもGOODだとおm」

会話が途切れ、代わりにツンの狂気に満ちた叫喚と、ドクオの痛みを訴える叫び声が右耳に入ってきた。
恐らくドクオとしては褒めていたつもりだったのだが、どう言い回そうが「貧乳」という言葉はツンにとっては禁句だったようだ。

126 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/02/18(月) 00:14:10.59 ID:xFf61tkk0


北東方向に外回りに迂回するルートは非常に安全であった。
道中、セカンドが何体か襲ってくる事もあったが、どれもブーンにとって相手にはならず、
何事も無く目的地に到着する事ができた。

目的地であるクイーンズ区東に位置する衛星施設は、ブーンの想像するよりも小さな「物」だった。
施設と聞いていたのだが、目に入るのは発射台であった。

ガイル『チッ、隊長の奴、まだ通信切ってやがる』

( ^ω^)『ここからじゃ完全にレーダーの範囲外だから、状況がサッパリ分からないお』

『久々に隊長に会えると思ったんだがなぁ……残念だ』

先行部隊の隊員達も落胆の声を漏らしている。
ブーンはジョルジュが身勝手だと思っていたが、意外にも親しまれているらしい。

ガイル『まぁ、とにかく打ち上げの準備を進めてしまおう。
    打ち上げちまえば俺達もセカンドと戦える…隊長が全部ぶっ殺しちまう前に終わらせるぞ!』

全員がコクリ、と力強く頷く。
本来、ここにいる全員の存在理由は「セカンドを狩る」事だ。
ガイルは戦闘が本分である事を全員に確認すると、言葉を続けた。

127 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/02/18(月) 00:18:12.11 ID:xFf61tkk0
ガイル「セカンドが襲ってくるとは思わないが一応周囲に護衛を配置しよう。
    B00N-D1と3番機から5番機は周囲を見張っていt………通信だ』

その場にいる全員に通信が入った。
通信元は本部からで、声の主は総司令官の荒巻・スカルチノフだった。
ブーンは東へ向かってジョルジュのサポート、それ以外は衛星の打ち上げ、という短い通信だった。
先ほどブーンが予想下通りの指示だ。

ガイル『チッ、羨ましい限りだぜチクショウ。
    ここは俺達に任せて行って来てくれ。隊長を頼むぞ!』

( ^ω^)「すみませんお、ガイルさん。
       では行ってきまs―――

突如、南東方向の海から巨大な津波が立ち上った。
それは肉眼でも凄まじい速度で迫ってきている事が分かる。

津波を確認すると同時に、ブーンの左目には巨大なエネルギー反応が検出された――発生源は津波が起こった辺りだ。
生体が発する熱量反応のようで、非常に巨大な量が検知された。

129 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/02/18(月) 00:21:53.60 ID:xFf61tkk0
(;^ω^)「南東の海から津波と共に巨大なエネルギー反応が検知されたお!
      恐らくセカンドだお!」

ガイル『あ、あの津波はセカンドが起こしているってのか!?』

从;゚∀从『あんな津波が起こる事なんて想定してねぇぞ!!』

ξ゚听)ξ『ブーン、津波の進行速度から施設までの到達時刻を計算して。
      任務続行か否か判断する指標が欲しいわ!』

正体不明のセカンドはこちらへ接近しながら海面へ出ようと上昇してきているようだ。
恐らく津波は、巨大なセカンドの移動や海面上昇などで引き起こされた物である。

(;^ω^)「残り5分20秒でここに津波が通るお!
      同時に南東の海岸にセカンドが現れるはずだお!」

/ ,' 3『このまま続行できるか!?』

ガイル『5分ありゃ十分だ! 衛星を打ち上げるぞ!』

バトルスーツ部隊が迅速に行動に移る。
まず衛星が積まれたコンテナを下ろしてハッチを開け、部隊の一人が中から衛星を取り出した。
バトルスーツの上体程の大きさはある衛星は重量もかなりありそうだが、バトルスーツはそれを軽々と持っている。

131 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/02/18(月) 00:24:35.65 ID:xFf61tkk0
衛星は球体であり、左右に電波を傍受送信する為のアンテナが羽のように伸びていて、
中央には巨大なレンズのような物が埋め込まれてある。

衛星の発射台には、球体型の衛星がすっぽりと収まる円形の輪があり、その輪には4つの足のような物が付いている。
足は衛星を宇宙まで持っていく為の小型ロケットになっており、発射台がそのまま宇宙へ飛び立つという仕組みになっているのだ。

バトルスーツが衛星を発射台の輪にはめ込むように収め、その場を離れた。
それと同時に何名かの部隊員がバトルスーツから降り、小さな建物の内部へと入っていった。
そこから遠隔操作する事で衛星を打ち上げるらしい。

(;^ω^)『あと2分だお!』

ガイル『問題無い!』

隊員A『セカンド観測用小型衛星“アルドボール”設置確認、エネルギー送電開始。
     打ち上げ60秒前、カウントダウンを開始せよ』

施設から部隊員が出てきて再びバトルスーツへ乗り込んだ。
後は自動で衛星が発射されるらしい。
カウントダウンは本部のアルドリッチ・チームが行っているようで、
ブーンの右耳には0に向かってゆっくりとカウントダウンする声が通信されている。

133 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/02/18(月) 00:28:03.01 ID:xFf61tkk0
ガイル『クソ! 間に合うか!?』

他のバトルスーツ部隊にもカウントダウンは通信されている。
目前に迫る巨大な津波のスピードとカウントダウンのそれとを比べれば、もどかしい気分にもなるだろう。
既に津波はクイーンズ区の海岸にその手をかけており、南東の街を飲み込み始めているのだ。

( ^ω^)『大丈夫ですお! 1分13秒の差で打ち上げは成功ですお!』

ブーンの言葉が冷静さを欠いた周囲の落ち着きを取り戻した。
現在の津波の進行速度と残りカウントを合わせ、津波がここに到達するまでの時間差を計算をしたのだ。

ガイル『ヘッ! 便利な機能を持ってやがるな!
     ひとまず総員上空へ飛んで津波を回避するぞ!
     上空からセカンドを狙い撃ちする! 衛星の発射軌道上にいるんじゃねえぞ!』

ξ#゚听)ξ『ブーン! アンタも早くそこから移動しなさい!』

カウントダウンや津波の音を掻き消すツンの怒号が右耳に入り、ブーンは飛び上がるようにハッとした。

(;゚ω゚)『アーッ! そうだったお! 僕は飛べないんだったお!』

135 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/02/18(月) 00:31:17.66 ID:xFf61tkk0

(;'A`)『バイクは遠隔操作でそっちに送ってるけど間に合わねえ!』

ガイル『だったらしっかり掴まってな!』

ブーンは巨大な機械の手で持ち上げられ、ガイル機の肩の辺りに乗せられた。
そしてガイルの飛行を皮切りに、一斉に部隊が上空へ飛んだ。

『5、4、3、2、1…発射!』

衛星が発射された。
衛星はロケットが噴射する轟音を伴ってブーン達の近くを通り過ぎ、大気圏を突破していった。
見えなくなるまで見ていたかったがそんな余裕は今は無く、すぐに目の前の津波とセカンドに注目を移した。

膨大な量の海水が網目状の街を隅々に通り、まだ原型のある建物を更に崩していった。
やがてブーン達の眼下に走り抜けるように水が通り、多くの瓦礫を何処かへ連れ去ってしまった。

137 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/02/18(月) 00:37:33.21 ID:xFf61tkk0
一方、本部では戦闘員のサポートに並行して、小型衛星“アルドボール”のテストに取り掛かっていた。

大型種ではないにしろセカンドは出現すると踏んでいた荒巻は、
衛星のテストとセカンド殲滅を同時に行う事を想定していたのだ。

「アルドボール、無事に軌道に乗りました!
 試行も兼ねて正体不明の映像をメインモニターに出します!」

/ ,' 3「こ、このセカンドは………」

从;゚∀从「衛星がちゃんと動くのは嬉しいけどよ…」

ξ;゚听)ξ「で、デカ過ぎよ……何なの、コイツ」

(;・∀・)「まさか、近郊の海にこのような化け物が潜んでいたとは……」

('A`)「うわー!」

衛星が映し出した映像に、その場の全員が恐怖に凍りついた。

衛星が捉えた海中の生物の正体は、これまで見た事が無い巨大なセカンドであった。
全体的に外形を見ればファンタジーに出てくる人魚に最も似ている。
下半身が鯨で上半身が人間という、半人半魚のセカンドだ。

143 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/02/18(月) 00:50:15.69 ID:xFf61tkk0
人間の形を成している上半身も半人半魚のグロテスクな形を成していた。

全身の皮膚は下半身の鯨の部分と同じで青々とした皮膚で覆われている。
その皮膚の下には、はちきれんばかりの筋肉が詰まっている。
両手には水掻きが付いており、それを使って海中を猛スピードで移動している。
人間の腕以外にも、肩甲骨の辺りから蟹類のような巨大で鋭いハサミが4本生えていた。

首の上にある頭は、長く白い髪の毛を除いて人間らしさが無い。
左右に大きく離れた眼は魚介類のそれそのものであるし、本来耳がある所にはエラがある。
顔面はサメと同じく尖った形をしていて、その大部分が口になっている。

あまりにも巨大な異形に対する恐怖で静まり返った場に、ドクオが周囲に呼びかけるように声を漏らした。
彼の言葉の続きに、その場の全員が耳を欹てた。

('A`)「よく考えたらさ、足無いからコイツ陸に上がれなくね?
    上から滅多撃ちすりゃ余裕で勝てるじゃん」

/ ,' 3( ・∀・)「「鬼才現る!!」」从゚∀从ξ゚听)ξ

彼の閃きに嬉々としてモニターを見ていると、突然セカンドの下半身が真っ二つに裂けたのだった。
流れ出た夥しい血で姿がよく見えなくなり、衛星も観察の対象を見失ってしまったようだ。

/;,' 3「何処へ行った!?」

『目標捕捉しました! 映像出します!』

146 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/02/18(月) 00:55:23.15 ID:xFf61tkk0

(;'A`)「あ、足が生えてる………」

ドクオ達の予想を裏切り、セカンドは地上へ上がっていた。
裂けた下半身から現れていたのは「足」だった。
左右に分かれた鯨の肉は、足を守る甲冑のようになっている。

クジラやイルカはかつて陸上に住んでいた生物の進化した姿と判明しているが、その姿が「これ」という訳ではない。
セカンドに感染した鯨が人間や他の魚類を喰らい、そして進化したのがこの姿だ。

上半身と同様に、青い皮膚で隆起した筋肉が覆われた太い足は、体液を纏ってヌメリとしている。
その足をゆっくりと運び、空に浮かんでいるブーン達に近づいていった。

ガイル『な、ななな何だこの化け物は!?』

回線が開きっぱなしである事を忘れているのか、なりふり構わずといった調子でガイルが怯えた声を出した。
他の隊員も震え上がった声を出して恐怖していた。
大型種と何度も対峙し、勝利してきたブーンも、このあまりにも巨大なセカンドの放つ威圧感に圧倒されてしまっている。

151 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/02/18(月) 01:02:13.41 ID:xFf61tkk0
セカンドの頭部と顔面の随所に、小さな亀裂が皺のように幾つも走る。
亀裂から滝の如く多量の血が流れ出た後、その亀裂がゆっくりと開いた。
現れたのは人間の目で、顔面を目が覆い尽くしたのだ。

変形を終えた異形の巨人は、上空に向って咆哮した。
巨体が放つ叫び声は大気ごとブーン達を大きく震わし、まだ地上に立っていたビルをも崩した。

(;^ω^)『こんなデカイのは見た事が無いお!』

ガイル『わ、我々はコイツに勝てるのか!? B00N-D1!!』

(;^ω^)『戦ってみないと分からないお……』

まだセカンドがコチラに襲ってくる気配は無い。
ブーンは先手を取るべきだと考え、ホルダーからBlueBulletGunを取り出す。
そしてガイル機から飛び降り、ちょうどガイル機の真下で空中待機していた「BLACK DOG」に跨った。
エンジンを吹かし、攻撃をするのに的確な位置に走った。

153 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/02/18(月) 01:07:02.64 ID:xFf61tkk0
敵の背後に回り込もうとした時、レーダーにブーンの後方からエネルギー反応が検知された。
高速で放たれた弾幕がブーンの頭上を過ぎ、セカンドの方向に飛んでいった。

ブーンは弾幕が放たれた方向に振り向いた。
その方角の遠くの空には、命令違反をしてセカンドを狩に行った深紅のバトルスーツの姿があった。
日の光を浴びて燃え上がるように輝く赤の機体が、猛然とこちらに向っている。

(;^ω^)『ジョルジュ隊長!?』

ガイル&部隊『隊長ッ!!」


( ゚∀゚)『全機、目標を取り囲みながらレーザー砲を用意しろ!
     アイツは“俺達が”やるぞ!』

                                      第4話「命令違反」終

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