七回目
- 1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/19(日) 20:44:56.79 ID:egPZhUBc0
- まとめサイト様(内藤エスカルゴさん)
ttp://localboon.web.fc2.com/092/top.html
暇だったら見てくださいお!^q^
- 2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/19(日) 20:47:57.96 ID:egPZhUBc0
- ・・・夜が明けた、次の日。
ブーン達の旅は再開された。
今はトーシャワ・レイも無事抜けて、この先にあるダームンブルグ山岳地の山々を越えて
ブクガン地方の端"セウショツ・ロサン"へ向かおうという算段だ。
('A`)「スイマセン チョット イイデスカ」
ζ(゚ー゚*ζ「そう!いけてます!意味通じますよ、ドクオさん!」
| l| ゚ー゚ノl「私にも解かったのです!」
・・・ドクオの修行も並行して続行中な為、移動速度は遅めである。
敵に見つからない事を第一とし、戦力の充実を図る為なのだが、それでもまだ少し遅めといった所か。
| l| ゚ー゚ノl
速度が遅い主な原因はばつを考慮している為である。
だが、ブーン達はさほど気にしていなかった。
魔王城までは、この先ブクガン地方と"アン・アリラ"集合街を抜ければ直ぐだからだ。
人間界寄りに聳え立つその城まで、現在の速度でおおよそ二週間、といった所か。
( ^ω^)(相手の反応から見ても、そこまで急いでいる様子は無いお。
魔王城に着くまで、何もなければいいけど・・・)
- 3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/19(日) 20:50:58.20 ID:egPZhUBc0
- ('A`)「モシカシタラ カタコトナラ モウヒトリデ ハナセルカモ?」
| l| ゚ー゚ノl「おお!凄いです!いけてますいけてます!」
('A`)「ケド、アンマリ リュウチョウニハ ハナセナイナァ・・・」
はぁ・・・
とドクオはため息をついているものの、既に自分で言葉を選んで発する事ができるレベルまで魔族語を習得しているのだ。
ジョルの家に居る時から勉強を初めて、まだ約10日程しか経っていないのに、である。
まさに恐るべき習得速度だ。
('A`)("あの日"を思い返すと、不思議とスラスラ頭に入るんだよなァ・・
今思い返せば、雑魚扱いされてたよな・・・ジョルに。)
(#'∀`)(次会ったらボッコボコにしてやるぜ・・・
なぁジョル?ククククククク・・・)
・・・だが、その成長の原動力が邪な物である事は、多分誰も知る事は無いだろう。
ζ(゚−゚*ζ「?
どうしたんですか?ドクオさん」
('∀`)「い、いや!なんでもないよデレちゃん
ハハハハハハ!」」
ζ(゚ー゚*ζ「?
・・・変なドクオさん」
- 5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/19(日) 20:54:07.97 ID:egPZhUBc0
- ・・・そのまま順当に先へ進んでいき、ブーン達は森林地帯へと差し掛かった。
ダームンブルグ山岳地帯の、ふもとの部分だ。
(-A-)「・・・・・・」
ドクオは歩きながら、眼を閉じて何かに集中している。
・・・どうやら修練中の様だ。
( ^ω^)「お、魔力の練習かお。どっくん。
殊勝な事だお。」
('A`)「はぁ・・・ッ!」
と、ドクオは声を発し気合を入れながら手を前に差し伸べた。
ボウ・・
ドクオの手から、少しだけ魔力が溢れ出てくる。
その魔力はしばらくその場に停滞すると、何事も無かったかのように消え去った。
('A`)「・・うーん。
もっと勢いよく出てくるはずだったんだけどなぁ・・・」
ポリポリ、と。ドクオが残念そうに頭を掻いた。
( ゚ω゚)「・・・・・・」
その様子を、ブーンがめずらしく眼をひん剥いて見つめている。
('A`)「・・どうした?ブーン」
- 6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/19(日) 20:56:58.00 ID:egPZhUBc0
- (;^ω^)「ど、どっくん・・・
いつから魔力を体外へ出せるようになったんだお?」
('A`)「おう。丁度昨日だな。
お前が寝てる間に、できるようになった」
(;^ω^)(誰にも教わる事無く、"簡易魔法"の基礎―"クェリ"を使える様になるなんて・・・
どっくん、天才かお・・・?)
('A`)「いやぁ、みるみる新しい事が出来るようになるからな。
やっぱり鍛錬は楽しいよな!」
アハハハハ!
と、嬉しそうにドクオは笑った。
( ^ω^)「・・・もうそこまで魔力を操れるのなら・・・
低級魔法の1つくらい、覚えた方が鍛錬も早いおね。」
('A`)「お!やっと魔法の習得に入れるのか?」
ドクオの顔がぱぁ・・と明るくなる。
( ^ω^)「お。
一つ位、もうそろそろ覚えておくべきだお」
- 7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/19(日) 21:00:07.48 ID:Bz+xUUzl0
- ('∀`)「おぉ!やっとこの時が来たか!!」
ドクオは歓喜の声を上げた。
当然だろう。今まで苦労して修行してきた本題が、やっと習得できるのだ。
('∀`)「で、俺にどんな魔法を教えてくれるんだ?ブーン先生。
俺もあの、魔よりなんたら〜 みたいなのを覚えたらいいのか?」
が、ドクオのこの質問に、ブーンは少し苦い顔をする。
(;^ω^)「んっん〜・・そうだおね・・・
どっくんは、詠唱とはよくわからないおね?」
('A`)「おう。
あれは魔法使いが格好つける為にしてるんじゃないのか?」
ζ(゚ー゚;ζ「そ、そんな邪な理由じゃ・・・」
その横暴なドクオの思い込みに、デレが思わず突っ込みに入る。
・・・どうやらドクオには、魔法の基礎から教える必要がある様だ。
( ^ω^)「・・・よし!どっくんには、とりあえず魔法とは何かという所から説明するお!」
('∀`)「よしきた!」
- 8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/19(日) 21:02:58.28 ID:Bz+xUUzl0
- "魔法"。
それは、大気中に存在する魔素を体内に取り込んで魔力へと変換し、その魔力を用いて通常じゃ起こりえない状態を起こらせる事を指す。
魔法の原動力である「魔力」は術者の体内で作られるのだが、人間と魔族で魔力の作り方に根本的な違いがある。
人間の魔力は、純粋に魔法のみにしか使われないので魔素の"外枠"のみを外して魔力とする。
対して、魔族は魔法以外でも魔力を使用する為、取り込んだ魔素を必要な要素を含んだ魔力へと「加工」させるのだ。
故に、魔色で感じる"差"も、この魔力の作られ方の差に拠る物である。
魔力はそのままの状態で体外へと放出しても、暫く経って消えるだけなのだが・・・
"詠唱"によって魔力の動かし方―「法式」を決める事によって初めて効力を発揮する。
魔法名は、発動の条件。
名を発する事によって、詠唱した法式で魔法が行使(実行)されるという段取りだ。
故に、詠唱してから魔法名を発する"詠唱魔法"という法式は、魔法を行使していく上でこの上ない基礎だろう。
それに対して、イメージによって無理矢理法式を作り、名や法式を詠唱せず魔法を行使する"簡易魔法"や、
体内に法式を組み込んで、魔法名を発するだけで魔法が行使できる"略式魔法"という方法がある。
- 9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/19(日) 21:05:58.76 ID:Bz+xUUzl0
- ( ^ω^)「という訳だお」
('A`)「へー なるほどなぁ・・・
にしても、お前って凄い魔法に詳しいな」
( ^ω^)「・・・まぁ、ね。
けど、僕の知識は全部師匠の受け売りだお」
('A`)「ふーん?・・ま、いいや。
で、俺にどんな魔法を教えてくれるんだ?」
( ^ω^)「どっくんには・・・
"トポーサ"を覚えてもらうお!」
('A`)「"トポーサ"?」
( ^ω^)「お。
一体、どんな魔法かと言うと・・・」
ブーンは、ドクオにトポーサについて説明した。
- 10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/19(日) 21:08:59.11 ID:Bz+xUUzl0
- ('A`)「おお!俺にぴったりそうなの来たな!」
ζ(゚ー゚*ζ「ドクオさんって、筋肉質ですもんね!そういうタイプの魔法の方がピッタリですよ!
・・・ドクオさんが回復魔法とかって、あんまりイメージ沸かないですし」
( ^ω^)「・・・陰険なイメージがあるおね」
(;'A`)「言わないでくれ・・・結構気にしてるんだよ」
( ;^ω^)「・・す、すまんお・・・」
('∀`)「・・ま、いいや!
魔法を行使する戦士・・・"害魔戦士"だったっけか?
こんな俺が、ついにそんな上級職に成れるんだな・・・!」
( ^ω^)(害魔戦士は、実害魔法(攻撃魔法の事)をある程度使えなきゃいけないんだけど・・・
ま、いっか。そんな細かい事言っても意味ないし)
「そうだお!いざ張り切って、魔法習得だお!!」
('∀`)「おー!」
- 12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/19(日) 21:12:03.76 ID:egPZhUBc0
- ・・・こうして、ドクオの魔法習得の訓練が始まった。
( ^ω^)「いいかお?まず、使用する魔力を手に集めるお。
そして・・・」
ドクオはメキメキと、今まで隠れていた才能をいかんなく発揮する。
ζ(゚ー゚*ζ「おお!いい感じです!それ!!」
驚くほど短期間で法式を組み立てていき―
ズシャアアア!!!
目標としていた大樹が、粉々に吹き飛んでいる。
| l| ゚ー゚ノl「凄い・・・」
(゚A`)「できた・・・のか・・・
これを俺が・・?」
( ^ω^)「い、いけてるお・・・!
完璧だお!どっくん!!」
"それ"は完成した。
- 13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/19(日) 21:15:02.70 ID:egPZhUBc0
- (;゚A`)「で、出来たはいいが・・・
この威力は・・・」
元々は軽く振るだけで10mを越そうかという程の太さの樹を真っ二つにしてみよう、と言うのが目的だったのだが・・。
結果はまっぷたつどころか、ドクオの攻撃地点付近は粉々に砕け、それより上は、くるくると回転しながら、遥か彼方へ吹き飛んでいったのである。
想像を遥かに超える結果に、ドクオは内心恐怖した。
(;^ω^)(どっくん・・・こういうタイプが得意だろうなとは思ってたけど、まさかここまでとは・・・
低級魔法でこれじゃ、上級魔法だったら・・・)
ζ(゚ヮ゚*ζ「凄い・・!
凄いですよドクオさん!!
これなら、もう道中の敵なんて全然関係ないですね!ドクオさん!!」
(;'∀`)「お、おう!
全て俺にまかせとけ!!」
ハ、ハ、ハ、ハ、ハ!
と、ぎこちなく笑うドクオ
(;'∀`)(まだ全然使いこなせてないから凄い不安だ・・・
が、まぁブーンいるし大丈夫でしょ!ハハハ・・・)
- 14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/19(日) 21:18:01.37 ID:Bz+xUUzl0
- ブーン達は、今、ダームンブルグ山岳地帯にいる。
そこは木々がおいおいと生い茂る、樹海のある山々だ。
低級魔族から中級魔族までの、比較的一般的な魔族が多く潜んでいる。
少し周りを見ればそこら中に魔物がいるが、ブーン達に襲い掛かって来る物は少ない。
( ^ω^)
ブーンが発するその殺気に、怖気づかない魔物なんてそうそういない為だ。
グルルルルル・・・
ズルズルと後退しながらも、継続して威嚇する魔物達。
('A`)「・・・」
ドクオは、そんな魔物をキョロキョロと見まわしていた。
('A`)「・・・そういえば、さ。」
( ^ω^)「?どうしたお?どっくん」
('A`)「どうして魔族達は、同じ魔族を襲うんだ?
まぁ、戦争なんてしてる俺ら人間が言えた事じゃねーけど。
こっちは日常的に襲いあってるんだろ?」
ζ(゚ー゚*ζ「・・・そういえば、そうですね。
どうしてなんでしょう?」
- 15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/19(日) 21:21:57.78 ID:Bz+xUUzl0
- ( ^ω^)「単純だお。魔力が欲しいからだお。
人間と違って、栄養では無く魔力で生命を維持する魔族には、人間でいう食事と同じ位に魔力が必要不可欠なんだお。
他人を襲ってまで、魔力を手に入れたいんだお。強くもなって、格が上がるしね。」
ζ(゚ー゚*ζ「はぁ・・なるほど。」
('A`)「そういう事だったのか」
( ^ω^)(そう、だから魔貴族等の、上位の魔族は基本的に狩りをしない・・・
何故なら"必要ないから"。デレちゃんとかがそうだお。だけど・・・)
| l| ゚ー゚ノl
( ^ω^)(・・・何故ばつちゃんは、魔族を襲おうとしないんだろう?
魔力の枯欠等による、魔力の補充・収集の欲求・・・"魔欲"は魔族の本能だお。故に低級であればある程、魔力を求めて魔族や人を襲いやすいはず。
・・そういえば今一度考えてみると、この子は雑級魔族以上に魔色を感じないお・・・けど人間でも無い。魔族も襲わない。一体、この子は・・?)
| l|*゚ー゚ノl「!ブーンさん、ブーンさん!」
( ^ω^)「なんだお?ばつちゃん。」
| l|*゚ヮ゚ノl「あそこ!あそこの樹に"ダームン茸"が生えてるのです!」
( ^ω^)「ダームン茸?」
ブーンは、ばつが指を指す方向を見つめた。・・・その大きな樹の上の方に、確かに茸が生えている。
テッテッテ・・・
わぁ!と、歓喜の声を上げながらばつは無邪気にダームン茸が生えている樹へと駆けていった。
- 16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/19(日) 21:28:04.83 ID:Bz+xUUzl0
- ダームン茸。ダームンブルグ山岳地にのみ生える茸だ。
基本的に一部の樹の高い位置にしか生えない茸で、高い位置にある茸程、美味とされている。
魔界では比較的有名な茸で、愛好者も多い。
( ^ω^)「へぇ・・そんな茸があるのかお。
美味しいのかお?」
ζ(゚ー゚*ζ「んー・・とにかく味が独特なんで、好みが分かれる味だと思います。
私はそこまで好きじゃないですけど・・・お父さんが凄い大好きでしたよ。」
( ^ω^)「そうなのかお・・・。」
| l| ゚−゚ノl「ん・・・んーッ!
・・・駄目です。全然届かないのです・・・
・・そうだ!棒、棒を・・・」
( ^ω^)「・・・」
ばつが無邪気にあたふたしている様子が可笑しくて、ブーンはフッと小さく笑った。
ブーンはてくてくと、ダームン茸の生える樹の元へ歩いていった。
- 18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/19(日) 21:31:57.47 ID:Bz+xUUzl0
- | l| ゚−゚ノl「ブーンさん?」
ブーンは、樹に手をやると・・・
( -ω-)「ふぅー・・」
( ゚ω゚)「・・波ッ!」
ズシィィィィィィン・・・ボトボトボトボト・・・
・・・ダームン茸を一網打尽にした。
| l|*^ヮ^ノl「おぉ・・・!
凄い!凄いのですブーンさん!
茸が!こんなにたくさん!!」
ばつは、キャッキャと大はしゃぎでダームン茸を集め始めた。その姿はとても手際よく、テキパキと動いている。
・・・まるで、かつてこんな作業を仕事にしていたかの様に。
( ^ω^)「・・・ばつちゃんは、茸の業者さん?だったかも知れないかもね」
| l| ゚ー゚ノl「んー・・・どうでしょうか?
ダームン茸、そこまで好きでもないですけど・・・
・・・これを渡すと、ご主人様が凄い喜んでくれた様な気がするのです。」
( ^ω^)「!」
Σ| l| ゚o゚ノl「・・あ!」
ご主人様・・・
ばつは自身が言ったその台詞を、神妙な様子で再度小さく呟いた。
- 19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/19(日) 21:33:59.23 ID:Bz+xUUzl0
- ( ^ω^)「ご主人様が喜ぶ・・か。召使いさんだったのか、誰かのお手伝い使いだったのか・・・」
どうやら、誰かに仕えていた事は確かな様だ。
ζ(゚ー゚*ζ「ダームン茸好きの有力者・・・
有名なのは、サス貴魔族の時期頭領"サス・ガ・アニジャ"、上流貴族筆頭の"タカラ"、
魔法学研究で有名な"わたなべ"とかですね。
特にサス・ガ・アニジャとわたなべの方は、ダームン茸求めてよくここへ狩りに来たのだとか。
そしてわたなべがいた場所は、ばつちゃんの故郷と同じミス・リーテ・・・」
( ^ω^)「おぉ・・!一致するお!
じゃあばつちゃんは、わたなべっていう魔族の召使いを?」
ζ(゚ー゚*ζ「んー・・といっても、ミス・リーテは魔法学研究で知られる街ですからね・・
大抵の学者は助手を取っていますし、ダームン茸も結構有名な茸ですし、一概にそうだとは・・・」
( ^ω^)「・・ふむ。
安直な考えかお。」
ζ(゚ー゚*ζ「まぁ、わからないですけどね。」
- 20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/19(日) 21:35:59.68 ID:Bz+xUUzl0
- | l| ゚ー゚ノl「・・あんまり気にしないのです。
ミス・リーテに帰ったら・・・多分、判るはずなのです。」
( ^ω^)「・・・そうだおね。
いけば、全てがわかるお!」
| l| ^ー^ノl「はい!」
ζ(゚−゚ ζ(いけば、判るか・・・
・・・どうしよう、ブーンさんだけにでも、話しておくべきかな・・?
ミス・リーテの事・・・)
('A`)「・・・?
どうしたんだデレちゃん?皆もう先に行ってるぞ?」
ζ(゚ー゚;ζ「あぁすいません!
すぐに行きます!!」
- 21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/19(日) 21:39:58.43 ID:Bz+xUUzl0
- なんだかんだで、ブーン達は順調にダームンブルグ山岳地を突破していた。
慎重に。かつ楽しげに。トラブルも何一つ無く、とても順調な旅"だった"。
・・・ダームンブルグ山岳も半分を超えた所。
とある魔物が、地面にペタリと座りこんでいた。魔物は静かに遠くを見つめている。その視線の先には―
( ^ω^)
そう、ブーン達がいる。
ピタッ・・・ ピタッ・・・
口元から。手から。身体中から。その魔物の身体には、あらゆる色の血がべったりと付き、垂れ落ちている。
ふとその魔物の周りを見回してみれば、それは見るも無残な光景で。かなりの数の魔物が、一匹残らず皆殺しにされていた。
「ふぅん。たしかに"アイツ"の言った通りじゃねーか」
死体の山の真ん中で。
魔物は小さく呟きながら、ニヤリと笑った。
「アイツの言う通りってのは癪に障るが・・・まぁ、いい。俺は楽しめりゃそれでいいからな・・・
アイツを"壊す"のも、まぁ今回は勘弁しといてやるか・・・ククク・・・」
魔物は、ムクリと立ち上がる。
立ち上がるとすぐに、パキパキと音を鳴らしながら身体を伸ばし―――
「さぁて、お手並み拝見といこうか・・・
ククク・・・」
――魔色を発し始めた。
- 22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/19(日) 21:42:59.87 ID:Bz+xUUzl0
- ・・・その魔色は、露骨に漂ってきた。
(;゚ω゚)「・・!?」
('A`)「?
どうしたブーン?」
熟練者のみ解かる様に。かつ、絶望感を植えつけるように。
ささやかに。さり気無く、強烈に。
殺意を込めてその魔色を漂わせれば、気付くのはブーンだけだろう。
(; ω )「どっくん・・・
今すぐ、デレちゃん達を連れて向こうへ逃げるお・・・」
ブーンの判断は迅速だった。
('A`)「・・え?」
(#゚ω゚)「いいから早く!!」
(;'A`)「お、おう!わかった!」
- 25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/19(日) 21:45:57.98 ID:Bz+xUUzl0
- ドクオは、ブーンのその突然の勧告に動揺したが、そのブーンの態度から瞬時に全てを汲み取った。
| l| ゚ー゚ノl「え?」
ζ(゚−゚;ζ「ブ、ブーンさん・・・?」
(゚A゚)「デレちゃん。ばつちゃん。行こう!
さぁ早く!」
ドクオは同じく動揺しているデレ達を連れて、急いでブーンの背後へ回る。
( ゚)「・・・どっくん。
デレちゃんとばつちゃんを頼むお・・・」
その刹那。
垣間見たブーンのその後姿は――――
(゚A゚)「・・・まかせろ。ブーン」
ドクオに硬い決意を植えつけた。
- 26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/19(日) 21:48:58.42 ID:Bz+xUUzl0
- ζ(゚−゚;ζ「ブーンさん・・・」
(゚A゚)「デレちゃん。急いでこっから逃げる。
ばつちゃんをおんぶするから、ばつちゃんにそう伝えてくれ。」
ζ(゚−゚;ζ「・・ばつちゃん!ドクオさんに乗っかって!!」
| l|;゚−゚ノl「はっ、はいなのです!」
ミ| l|;゚−゚ノl(゚A゚)
ζ(゚−゚;ζ「・・・ブーンさん。
どうかご無事で・・・!」
ドクオはばつを背負い込んで、デレはブーンに伝えたい事を伝えると。
シュッ――
瞬く間にその場から消えていった。
- 27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/19(日) 21:51:56.61 ID:Bz+xUUzl0
- ( ゚ω゚)「ご無事で、か・・・」
無事で、済めば良いけどね・・・
ブーンは一瞬だけフッと笑うと、即座に硬い表情に戻り、覚悟を決めた。
( ゚ω゚)「・・・何時まで隠れてるつもりだお。
とっとと出てくるお。」
ブーンは低いトーンでそう呟くと、
ククク・・・ギコハハハハハ!
と、ブーンが鋭く睨むその先から、陽気な笑い声が聞こえた。
ミ,,^Д^彡「いやぁ、流石だよ。お前。
あの距離からじゃ、まだ気付かねぇかと思ってたが、まさかそこまでの反応するとはなぁ・・・
久々の上物でワクワクするぜ!なぁ?ククク・・・ギコハハハハハハ!!」
現れたのは。3メートルは超えようかという程の巨体を誇る、濃い藍色の毛並みをした魔獣だった。
( ゚ω゚)「・・・そうかお。」
- 28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/19(日) 21:54:57.55 ID:Bz+xUUzl0
- ハァ・・・ハァ・・・
ドクオ達は、全力で山岳を駆け抜ける。
ブーンが足止めしてるであろう、その強敵から難を逃れる為に。
木々の隙間を縫う様に。獣道だろうが道が無かろうがお構いなしに。全速力でそこから脱出していた。
ζ(゚−゚;ζ「ちょ・・ちょっと!ドクオさん!?
早すぎです!少し急ぎすぎじゃないですか!?」
('A`)「駄目だデレちゃん!全速力で逃げるんだ!
一瞬でも手を抜いたら、追いつかれると思ってくれ!!」
ζ(゚−゚;ζ(・・・ドクオさん・・・まさか・!?)
| l| ゚−゚ノl「デレさん!ドクオさんは、ブーンさんの事をなんて言ってるのですか!?
このままじゃ・・ブーンさんが追いつけないのでは!!??」
ばつはドクオにしがみ付きながら、心配そうにデレに尋ねる。
ζ(゚−゚;ζ「大丈夫よばつちゃん!
ブーンさんなら!・・きっと追いつくから!!」
デレはそう言い切ったが、自身の言葉を信じる事はできなかった。
| l|;゚−゚ノl「・・そうですか・・・
けど・・・ばつは不安なのです・・・!」
ブーンさんと、離れ離れになりそうで・・!!
ζ(゚−゚;ζ(ブーンさん・・・帰ってきますよね・・・?)
- 29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/19(日) 21:57:57.77 ID:Bz+xUUzl0
- ・・ブーンとドクオ達が別れてから、既に1分が経過した。
ドクオ達は、ブーンと離れた地点から20kmは離れており、最速でその場から脱出していた。
ダームンブルグ山岳を抜ける・・・一歩手前。
"それ"は突然やってきた。
ズギャアアアアア!!
前触れもなく突如襲ってきたその衝撃波は。
('A゚)「うおぉおおおお!?」
| l| >д<ノl「キャアアア!!??」
ドクオとばつを彼方へと吹き飛ばした。
ζ(゚−゚;ζ「ドクオさん!?ばつちゃん!?」
突然の状況に驚き、戸惑うデレ。
ドッ!!
Σζ(゚-゚ ζ「ゔッ!?」
その直後、デレの後頭部に強い衝撃が走った。
ζ(゚- ζ「あ・・・ぁ・・・」
デレの視界が急激に黒に染まっていく。
- 31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/19(日) 22:00:00.25 ID:Bz+xUUzl0
- 視界が黒に染まりきる、まさに一歩手前。
デレは確かに見た。
イ从゚ ー゚ノi、 从´ヮ`从ト リi、#゚- ゚イ`!
強烈な魔色を放つ、その三人の魔物を。
ドクオ――さ――
――ブー―――――ん――――
――――た―――――――――――――たす―――――――――――――――――――――――
ドサッ・・・
ζ( − ζ
イ从゚ ー゚ノi、「クックック・・・
よし、連れて行くぞ。」
意識の無いデレに近づいていく狐娘達。
・・・その様子を。
( )「・・もの凄い場面に遭遇してしまった。
さて、どうするべきか・・・」
1人、遠くで眺めてる者がいた―――――――――――――――――――
- 33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/19(日) 22:02:02.53 ID:Bz+xUUzl0
- ―――――――――――――――手記は、ここで途切れている
ってね^q^
書きだめ無くなったので消えます
読んでくれた人、どうもありがとうございました!^q^