( ^ω^)ブーンは退魔師稼業のようです ―第十四話・吸血鬼の家に遊びに行こう― 〜その7、夜明け〜

219 名前:十四話:2007/11/04(日) 23:05:53.92 ID:o7X2hlSI0
白い焔に照らされ、真昼のように明るかった庭園に再び夜が帰ってくる。
玄関ホールでは、乾き始めた人狼達の血が未だに不快な臭いを放っている。

(´・ω・`)「どうやら事は済んだようだな 」

そこで身動きが取れない弟者に、不意に声が掛けられた。
先程分かれたばかりなのに、もう何日も声を聞いていないかのような錯覚に弟者は陥る。

懐かしい友の顔を見ようと視線を向けたとき、弟者は飛び跳ねるような思いをした。
ショボンにクー。
そして2人に支えられるように立っているのは、黒衣を纏ったダンピール、ノーマン。

(´<_` )「君達……その男は?」

図らずとも警戒心を高める弟者。
その心を解す様に、クーが簡潔に説明する。

川 ゚ -゚)「心配は要らない。この者は私達に従った 」

クーはいつもと変わらず大して表情を動かさない。
しかし、その言葉が信用に足ることだけは弟者に伝わった。


221 名前:十四話:2007/11/04(日) 23:07:27.79 ID:o7X2hlSI0
ノ)) - 从「ショーンと会わせてもらえるか?」

低く小さく、しかしはっきりとした声でノーマンが呟いた。
その穏やかな表情は弟者には意外だった。
ここを下りて行ったときは殺気の化身のような男だったはずだ。

ノーマンの願いに無言で頷くショボン。
2人の間には理解があり、信頼があるように見えた。
軽く礼を言い、出て行くノーマンの背中を見ながらショボンは弟者に言う。

(´・ω・`)「ブーンのヤツ、上手くやってくれたようだな 」

(´<_` )「ドクオ君もだ。それぞれが自分の役割を果たしてこその結果だ 」

(´・ω・`)「多少は教育の成果って物が出始めたかな?」

ノーマンと入れ違いに、ドクオと兄者を両肩に引っ掛けてブーンが現れた。
2人の大荷物を背負い、足元が覚束ないブーンだったが、ショボン達の顔を見るなり表情を輝かせる。

( ^ω^)「ショボン!!無事だったのかお!?」

(´・ω・`)「愚問だな。俺を誰だと思ってる?」


224 名前:十四話:2007/11/04(日) 23:08:31.95 ID:o7X2hlSI0
それはドクオも同様だった。
命を懸けた戦いからの生還。
その喜びを気心の知れた中間と分かち合う事が出来る。

('A`)「ショボン!!」

(´・ω・`)「ドクオ、話は聞いたぞ。よくやった 」

ショボンは目を細めて笑った。
ドクオの成長が何よりも嬉しい。
そして、ドクオ自身もショボンのこの態度が嬉しかった。

('A`)「あぁ、強敵だったぜ……。すまねぇ、ショボン。あんたに貰った刀、折っちまった……」

(´・ω・`)「何だと?」

途端に表情が鋭くなる。
柔らかな空気も一変、辺りには刺す様な冷気が漂い始めた。

(;'A`)「え、何その反応?強敵だったんだよ?仕方ないよね!?ね!?」

(´・ω・`)「その小太刀一本仕入れるのに、オレがいくらつぎ込んだと思ってるんだ?」


227 名前:十四話:2007/11/04(日) 23:10:33.65 ID:o7X2hlSI0
間違いなく自分に身の危険が訪れつつある。
ドクオは気が遠くなりろうな結論に達した。

(;'A`)「え?でもホラ……。お前今や大富豪じゃない?」

(´・ω・`)「ゴメンナサイは?」

(;'A`)「ゴ、ゴメンナサイ……許してくれるかな?かな?」

この質問に意味が無い事はドクオ自身が1番分かっている。
ショボンは既に判決を出している。

(´・ω・`)「許すか、許さねえか、お前の経験から判断すりゃあ良いじゃあねーか 」

(;'A`)「NO! NO! NO! NO! NO!」

(;^ω^)「このパターンはまさか久々の……」

(;'A`)「もしかして『アレ』ですかーッ!?」

川 ゚ -゚)「 YES! YES! YES!  ”OH MY GOD”」


230 名前:十四話:2007/11/04(日) 23:11:07.51 ID:o7X2hlSI0
(#´・ω・)「アレアレアレアレアレアレッ!!
        アレアレアレアレアレアレアレアレッ!!
        アレアレアレアレアレアレアレアレアレアレッ!!
        アレ高かったんだからねっ!!(ツンデレ的な意味で!!)」



      ( ^ω^)ブーンは退魔師稼業のようです

     ―――第十四話・吸血鬼の家に遊びに行こう―――


            〜その7、夜明け〜


234 名前:十四話:2007/11/04(日) 23:12:30.45 ID:o7X2hlSI0
白み始めた空の下に広がる庭園。
美しい姿を存分に示していた庭園は、それは遥か昔の事であるかのように静寂の中、傷を癒しているようにも見える。
そこには白と黒、2人の男が向き合っていた。

ノ)) - 从「負けたのか?」

ノ||-∀-||「ハッ!!あんたもだろ?」

ノ)) - 从「そうだ 」

ボソリ呟く黒。
強気で返事をする白。
白のクルースニク、ショーンは黒のダンピール、ノーマンをからかうように言った。

ノ||-∀-||「想像が付かねぇなww。相手はとんでもねぇ化け物か?」

ノ)) - 从「人間だ 」

ノ||-∀-||「人間……か……」

ショーンは『人間』という言葉に何かの反応を示す。
あのニヤケ顔、本気で怒ってたな……

237 名前:十四話:2007/11/04(日) 23:15:21.31 ID:o7X2hlSI0
ノ)) - 从「ショーン。オレはパンゲアには戻らない 」

不思議とそれを聞いてもショーンは驚かなかった。
まるでノーマンがそうする事が当然であるかのように、すんなりと受け入れられた。
ショーンは悪態をつきそれを誤魔化そうとする。

ノ||-∀-||「おいおいww。『ギョロ目野郎』が黙ってねぇだろうぜww。
      『あのおっさん』も怒ったら怖そうだぜぇww 」

ノ)) - 从「承知の上だ 」

ノ||-∀-||「どこに行くんだよ?」

ノ)) - 从「デビルサマナーの傘下に降る 」

ノ||-∀-||「福利厚生は良さそうだなww」

ノーマンの言葉には、その決心の固さからか厳格な雰囲気が感じられた。
クックと笑いながらショーンはノーマンに答えた。


239 名前:十四話:2007/11/04(日) 23:16:20.69 ID:o7X2hlSI0
ノ)) - 从「ショーン 」

ノ||-∀-||「オレは行かねぇ 」

即答した。
ノーマンの意図は分かっている。
しかしノーマンと同じように、自分にも決めている事があった。

ノ)) - 从「そうか 」

ノーマンもそれ以上は言わない。
全てを聞かずとも言いたい事は分かる。

ノ||-∀-||「だがパンゲアにも戻らねぇ 」

ノ)) - 从「パンゲアはオレよりもお前を執拗に追うだろう。クルースニクを失いたくは無いだろうからな 」

クルースニクは大幹部、ワカッテマスが長年欲しがっていた駒だ。
パンゲアにおいて、半魔の自分とは重要度が大きく異なる。
ノーマンはそれを憂えたが、ショーンは悪戯っぽく笑って返した。

ノ||-∀-||「承知の上さ。あんた今日はやけに喋るなww」

ノ)) - 从「あぁ 」

242 名前:十四話:2007/11/04(日) 23:17:38.70 ID:o7X2hlSI0
太陽が頭を見せ始めている。
濃紺から橙に変わり始める空を見てショーンは噛み締めるように言った。

ノ||-∀-||「見ろよ、ノーマン。空があんなに遠い。散々飛び回ったが、今初めて気付いたよ 」

ノ)) - 从「そうだな 」

感慨深げに夜明けを見る。
ノーマンは言われて数百年ぶりに空の高さを思い出した。
パンゲアに入って以来、何かを思いながら空を見る事など無かった。

ノ||-∀-||「ノーマン 」

ノ)) - 从「なんだ?」

次第に明るむ空から視線を外さない、ノーマンの背中にショーンの声が届く。

ノ||-∀-||「じゃぁな 」

ノ)) - 从「あぁ……」

背中に遠のいていく気配を感じる。
誇りを取り戻したクルースニクは、初めて自分の人生を歩み始めた。

     ・     ・     ・     ・     ・

245 名前:十四話:2007/11/04(日) 23:18:14.94 ID:o7X2hlSI0
     ・     ・     ・     ・     ・

川 ゚ -゚)「ダンピール、ゲットだぜ!!」

封魔管にノーマンを封じ、クーは息を吐いた。
ショーンとの別れを済ませたノーマンは、その足でクーの元に帰り、封魔を希望した。

この瞬間、ブーン達の夜が明けた。
全ての敵を蹴散らし、勝利し、そして心服させた。
全員が等しく朝を迎えることが出来た。

完全勝利と言って差し支えなかった。

その喜びを改めて噛み締めよう。
そう思ったとき、どこか寂しそうな声が聞こえた。

( ´_ゝ`)「じゃ、オレらもそろそろかな 」

(´<_` )「そうだな。行こう、兄者 」

247 名前:十四話:2007/11/04(日) 23:19:19.40 ID:o7X2hlSI0
吸血鬼兄弟の言葉に一抹の不安を抱く。

―――喜ばしいはずなのに、どうしてそんな声を出す?

('A`)「行くってどこに?」

不安を振り払う為にドクオは兄弟の顔を確認した。
そして不安を振り払う事は出来ない事を知る。

( ´_ゝ`)「オレ達には休息が必要だ 」

(´<_` )「傷を負いすぎた。しばらく眠らなければならない 」

(;'A`)「眠る!?そんな!!ショボン、何とか言ってくれよ!!」

(´・ω・`)「・・・・・・」

( ^ω^)「ドクオ……」

どうしようもない事はドクオ自身も分かっていた。
しかし言わずにはいられない。

250 名前:十四話:2007/11/04(日) 23:20:24.70 ID:o7X2hlSI0
(;'A`)「黙ってちゃ分かんねぇよ!!」

川 ゚ -゚)「ドクオ。2人は眠って傷を癒さなければ死ぬ 」

取り乱すドクオを宥める様にクーが言った。
これが今生の別れになるのか……
ドクオは今更ながら、この2人ともっと話をしておくべきだったと思う。

(;'A`)「ちくしょう……どうにかならねぇのかよ?」

( ´_ゝ`)「スマンなDOC。朝飯は一緒に食えそうに無い 」

(´<_` )「ショボン君、ブーン君、ドクオ君、葛葉嬢。おかげで助かったよ。ありがとう 」

兄者は申し訳なさそうに、弟者は心底感謝しているという様子で言う。
ドクオは言わずにはいられない。
例えそれが叶わなくとも。

(;'A`)「また……、会えるんだよな!?」

兄弟は普段と変わらない、人を惹き付けて止まない笑顔でただ一言、こう答えた。

( ´_ゝ`)(´<_` )「「会えるさ!!」」


     ・     ・     ・     ・     ・


252 名前:十四話:2007/11/04(日) 23:21:55.79 ID:o7X2hlSI0
     ・     ・     ・     ・     ・


( ´_ゝ`)「いつまで寝てるつもりだ?昼飯だぞ 」

(#'A`)「テメェ……」

太陽が真上を過ぎる頃、ドクオは昼食だと言われながら兄者に叩き起こされた。

(´<_` )「私の薔薇が台無しだったよ。残念ながら始めからスタートだな 」

(#'A`)「テメェら……」

青筋を浮かべながら向かった食堂では、一仕事終えた弟者がウンザリした顔でショボンと談笑していた。

( ´_ゝ`)「どうした、DOC?顔にシャープが付いてるぞ?」

(#'A`)「吸血鬼が深刻な顔して眠りに付くとか言ったら、普通何十年もかかるだろ?」

(´・ω・`)「そんなに眠り続ける生物がこの世に存在するとでも思うのか?」

('A`)「何だこれ?つい最近同じ事で馬鹿にされた気がする 」


255 名前:十四話:2007/11/04(日) 23:22:33.88 ID:o7X2hlSI0
わなわなと怒りに震えるドクオを他所に、その場の面々はランチに興じていた。
今回はブーンでさえも動じることなくその輪の中に入っている。

前回の教訓。
吸血鬼は思ったよりはまともな生き物である。
ブーンはそれに学んだようだ。

しかしドクオはこれを訂正する。
一晩寝ただけで致命傷が癒える者がまともなはずが無い。
吸血鬼はやはり伝説に語られる生き物だ。

ドクオは腹を立てるのも馬鹿らしくなり、テーブルに着いてパンを1つ口に放り込んだ。

(´<_` )「君達 」

ドクオが席に着いた事を確認し、姿勢を正した弟者が全員を見ながら言う。
その言葉には注意を惹きつけるに十分な真剣さが込められていた。

258 名前:十四話:2007/11/04(日) 23:24:06.44 ID:o7X2hlSI0
(´<_` )「本当にありがとう。私達だけならパンゲアから赤石を守る事は出来なかった 」

( ´_ゝ`)「借りができたな。途方も無く大きな借りだ。
       もしこの先、お前らにピンチが訪れたら必ず助けてやる 」

数百年を生きた吸血鬼兄弟は、僅か20数年しか生きていない4人の人間に頭を下げる。
尊敬できる友に対しての礼儀だと言わんばかりに。

(´・ω・`)「赤石はオレに任せてくれ。心辺りに預ければ確実だ 」

ショボンは謹んでそれを受ける。
4人にとってもまた、兄者と弟者は尊敬すべき友だった。
その友が狙われた原因を、責任を持って保管する事を約束する。

( ^ω^)「バーボンハウスに帰るかお 」

川 ゚ -゚)「私も1度本家に戻らなければな 」

M王町での仕事はこれで終わり。
後は家に帰るだけだ。


260 名前:十四話:2007/11/04(日) 23:24:51.79 ID:o7X2hlSI0
('A`)「楽しかったぜ、兄者、弟者 」

命を失う危険すらあったが、楽しかったと胸を張って言える。
気の良い2人の吸血鬼との出会いは、他のどのような困難をも帳消しにした。

(´<_` )「私達もだよ。人間の友人は久しぶりだ 」

( ´_ゝ`)「いつでも来い。しみったれたクソガキ共めww」

人間には慕われてはいる。
しかし2人と人間の間には、どうしても領主と領民という関係が根強い。
気を許しあえる友人は、望んでも中々出来るものではなかった。


―――たまにこういう出会いがあるから長い生も飽きない。


4人を見送った2人の吸血鬼は、心からそう思った。


     ・     ・     ・     ・     ・


262 名前:十四話:2007/11/04(日) 23:25:22.79 ID:o7X2hlSI0
     ・     ・     ・     ・     ・

M王町、M王駅。
乗るはずの電車をホームで待ちながら、ショボンは今更ながらに溜息をついた。

(´・ω・`)「M王町か。良い町だった。早速中島さんに電話して、別荘を1軒手配してもらおう 」

携帯電話を取り出し、掛けた相手は中島バルケン。
ショボンが後を継いだモナー財団の経営を、面倒だからと丸投げにされた被害者だった。

('A`)「いやいやww。流石にそんなジュース買うみたいにはいかない……」

(´・ω・`)「あぁ……。うん、いい物件があった?そこキャッシュ1括払いで。は〜い、よろしく、は〜い。
        ん?どうした、ドクオ?」

('A`)「ファック、貧富の差 」

観光都市M王町の駅は人で賑わう。
今日も様々な場所から沢山の人が訪れるのだろう。
ブーンは数日前の自分達の姿を重ね合わせ、思わずニヤケそうになる。


264 名前:十四話:2007/11/04(日) 23:26:09.96 ID:o7X2hlSI0
( ^ω^)「M王駅は相変わらず人が多いお。お、あの電車だお 」

川 ゚ -゚)「今回の仕事は元々は私の仕事だった。お前達に手を貸してもらって感謝している 」

葛葉本家に帰るクーとはここで別れる。
いよいよ別れが近くなってきた所で、クーは感慨深げに礼を述べた。

( ^ω^)「そんな、気にする事なんて無いですお 」

('A`)「ウチのボスの嫁さんの頼みは断れねぇよww」

川 ゚ -゚)「うむ。やはり夫婦は助け合わなければな 」

(#´・ω・)「まだ言ってるのか、このアマ!?それにウチのボスはブーンだろ、ドクオ!!」

元々ズレていたのはクーだけだったはずなのに、ブーンとドクオもどこかおかしい。
ショボンはこの現状に今まで以上に眉尻を下げる。
一刻も早く誤解を解かなければならない。

これ以上面倒な事になる前に。

266 名前:十四話:2007/11/04(日) 23:27:27.55 ID:o7X2hlSI0
その為の作戦をあれやこれやと頭の中で練っていると、クーが何かを言い出した。
それを聴いた瞬間、ショボンの脳髄に電撃が走った。
同時に『しまった!!』と激しい後悔の念に襲われる。

川 ゚ -゚)「(´・ω・`)『オレの妻になるんだろう?少しはオレを信頼しろ 』」

('A`)「プロポーズだな 」

( ^ω^)「プロポーズだお 」

川 ゚ -゚)「十一話のコピペだ 」

(;´・ω・)「クッ……!!お前ら……」

間違いなく自分の発言だ。
さらっと流すように言っただけだったのに、既成事実として大々的に取り上げられている。

(;´・ω・)。o ○(何か手があるはずだ!!この危機を乗り越える神の一手が!!)

電車がホームに到着し、観光客の群れがどっと這い出してくる。
出口の目の前で起死回生の一手に思いを巡らせていたショボンは、乗客とぶつかる。
 _、_
( ,_ノ` )「おっと、すまない。余所見をしていたもので 」


269 名前:十四話:2007/11/04(日) 23:27:54.79 ID:o7X2hlSI0
観光客にしては荷物の少ない、長身の中年の男だった。
ショボンと同じようにスーツを着こなし、ムスクの香りを漂わせる。
その男は人懐こく目を細めていの一番に謝罪した。

(´・ω・`)「いや、こちらも不注意だった。観光か?」

ショボンは自分の非礼も詫び、何の気無しに聞いた。
単なる世間話。
ブーンとドクオの目にはそう映った。
 _、_
( ,_ノ` )「あぁ。M王は良い町だ 」

(´・ω・`)「全くだ。楽しんでくれ 」
 _、_
( ,_ノ` )「ありがとう 」

(´・ω・`)「・・・・・・」

('A`)「おい、電車出ちまうぞ 」

ドクオは先に乗り込んだ車内から、顔だけを出してショボンを呼ぶ。
同じく先に電車に乗り込んだブーンはクーに別れの挨拶をする。


271 名前:十四話:2007/11/04(日) 23:28:39.83 ID:o7X2hlSI0
( ^ω^)「それじゃだお、クーさん。バーボンハウスにも遊びに来てくださいお 」

川 ゚ -゚)「近いうちに行く事になるだろう。結婚式の段取りを決めねばならんからな 」

(´・ω・`)「・・・・・・」

ショボンは何か重大な事を考えているかのように、無言で電車に乗った。
その様子を見て、ブーンとドクオは喜んで茶々を入れる。

('A`)「あれあれあれ?いつも過剰に拒否反応示すのにコレはどうした事だ?」

( ^ω^)「いよいよ本当に結婚という事かお 」

ドアが閉まり電車が動き出す。
ブーンとドクオは、肩から先が捥げるのではないかという程にクーに手を振った。
クーもそれに答えホームでずっと手を振り続けていた。

ただ1人、ショボンだけは心に刺さる棘のようなものを拭うことが出来ずにいた。

(´・ω・`)。o ○(あの男……。考えすぎか?)

274 名前:十四話:2007/11/04(日) 23:29:54.90 ID:o7X2hlSI0
     ・     ・     ・     ・     ・

川 ゚ -゚)「さて、私も行くか 」

3人を乗せた電車が見えなくなった後、クーも1人岐路に着く。
本家に帰ったら、まずはオルトロスの治療を行わなければならない。
その後はダンピールの自慢でもしよう。

そのようなことを企みながら、去って行くクーの背中をじっと見送る視線があった。

スーツを着こなす、長身の中年の男。
男はムスクの香りを……

今その双眸は、人懐こいとは対極にある鋭さと危険な光を湛えている。
男は携帯電話を取り出すと、ゾッとするほど冷たい声で相手に伝えた。
 _、_
( ,_ノ` )「渋沢だ。ワカッテマスに報告しろ。
      エイジャの赤石の入手は失敗。人狼部隊は全滅。クルースニクとダンピールは行方不明。
  尚、赤石は吸血鬼の手元を離れた。今後は危険を冒してまでヤツ等に接触する意味はない 」

そして最後に、糸屑ほども表情を崩すことなく言った。

276 名前:十四話:2007/11/04(日) 23:30:26.87 ID:o7X2hlSI0
 _、_
( ,_ノ` )「もう1つ。内藤ホライゾンという退魔師について調べろ 」




      ( ^ω^)ブーンは退魔師稼業のようです

 ―――第十四話・( ´_ゝ`)(´<_` )吸血鬼の家に遊びに行こう―――


              〜その7、夜明け〜終


278 名前:十四話:2007/11/04(日) 23:31:39.68 ID:o7X2hlSI0
元ネタ解説
アニジャ・アラーキー・バレンタインのミドルネーム:
オトジャ・ヒロヒコ・バレンタインのミドルネーム:
ある日ウィキペディアの荒木飛呂彦のページを見て、当たり前のように吸血鬼であると書かれていた事に端を発する。
今では修正されている。
土方歳三の写真に幕末期の荒木だと説明をつけたヤツは天才だと思った。

ショーンとノーマン:
映画『処刑人』の主人公の兄弟、マーフィー・マクマナスとコナー・マクマナスを演じた俳優
ノーマン・リーダスとショーン・パトリック・フラナリーから。
最初はマーフィーとコナーにしようと思ったが、マーフィーだとロボコップっぽいので止めた。



280 名前:十四話:2007/11/04(日) 23:32:43.64 ID:o7X2hlSI0
次回予告

∧_∧
(*゚;;-゚)「暇すぎる!!ショボン共め、一体いつになったら帰ってくるつもりじゃ!?」
∧_∧
(*゚;;-゚)「そうじゃ!!ツンの所に遊びに行くとしよう 」
∧_∧
(*゚;;-゚)「ツンの母親はアホなのか!?何で猫のワシに忘れた弁当を届けさせようと思うんじゃ!?」
∧_∧
(*゚;;-゚)「ほぅ、これが『じょしこう』というヤツか。性根の腐った女の臭いがプンプンしよるわ 」
∧_∧
(*゚;;-゚)「くんかくんか。ハッ!?まさかコレはマタタビの木!?しかも200年物の古木か!?」

ξ゚听)ξ「でぃさん……。そこで何やってんの?」
∧_∧
(*゚;;-゚)「ツ、ツン!?ワシは弁当を届けに来ただけにゃ!!断じてマタタビに酔ってなどおらんにゃ!!」

ξ゚听)ξ「『にゃ』が出てるわよ、『にゃ』が 」



        ( ^ω^)ブーンは退魔師稼業のようです

     ―――第十五話・火の玉女子高生ツン・初めての退魔録―――

 
              〜その1、異界転落〜


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