第11話【村人編】
- 87 : 代走(東京都):2007/03/17(土) 23:50:19.15 ID:FFf/sKpt0
- 行きは魔物に悪戦苦闘しながらも来た道程だった。
しかし帰りは力強い味方がいたからか、魔物はそれほどの障害にはならなかった。
魔物に襲われる。
村人は数子で、魔王は何やら良くわからないが凄い動きを見せて返り討ちにする。
しばらく歩く。
魔物に襲われる。
この流れの繰り返しであったが、それといった外傷もなく2人は無事にVIP村へ辿り着いたのであった。
- 88 : 代走(東京都):2007/03/17(土) 23:50:42.12 ID:FFf/sKpt0
- 【村人編】
生まれ故郷へ辿り着いたのと仕事が始まるのはほぼ同時であった。
( ^ω^)「ここは VIPの村ですお」
村に入るなりいきなり自由を失ってしまったブーン。
そんな彼に対して魔王は
(,,゚Д゚)「じゃあな。仕事が終わったらバーボンハウスへ来いよ」
と、捨て台詞を残して何処かへと消えてしまった。
たぶん言葉で推測するにバーボンハウスへと真っ直ぐ向かったのであろう。
( ^ω^)「ここは VIPの村ですお」
(;^ω^)(いきなり仕事とかハードスケジュールにも程があるお……)
- 90 : 代走(東京都):2007/03/17(土) 23:51:11.22 ID:FFf/sKpt0
- ( ^ω^)「ここは VIPの村ですお」
( ´ω`)(……それにしても眠いお)
ここのところまともな睡眠を取らずに行動を起こしていた。
そのツケとして業務中に睡魔が襲ってきたのは当然のことであった。
しかし、仕事中の彼の身体は彼の物ではないのだ。
身体を休める自由など村人には無い。
( ^ω^)「ここは VIPの村ですお」
(;^ω^)(地味に村人Aって激務なんだお)
自分の仕事に対して些か不満を持ったブーン。
すると、彼の心の何処か深くに泣き声のような音が入り込んできた。
( )(ウウッ……)
- 91 : 代走(東京都):2007/03/17(土) 23:51:44.19 ID:FFf/sKpt0
- ふと耳に入ってきた、いや、心で聞き取った声の元へ視界を移すブーン。
その視界の先には
('A`)「武器や防具は 装備しないと 意味がないよ」
(;A;)(ウグッ……ヒック……)
顔を涙でグシャグシャにした(と言っても表面上は何ら変わらない)友人の姿があった。
( ^ω^)「ここは VIPの村ですお」
(;^ω^)(ドクオ!? 一体どうしたんだお?)
うまい具合に足が友人の近くまで彼を運んでくれた時、声を掛けてみた。
端から見たら普通の顔をした村人Bだが、幼い頃から一緒に行動を共にしていたブーンには心の中の表情が見えているのだ。
( ^ω^)「ここは VIPの村ですお」
(;^ω^)(どうして泣いて…… 間近から見たらこいつの泣き顔キメェwwwww)
- 93 : 代走(東京都):2007/03/17(土) 23:52:44.60 ID:FFf/sKpt0
- ('A`)「武器や防具は 装備しないと 意味がないよ」
(;A;)(俺の家が……財産が……ふええぇぇぇぇん……)
( ^ω^)「ここは VIPの村ですお」
(;^ω^)(それだけじゃよくわからないんだお。それに泣き顔キメェwwwww)
目の前でただ泣いている友人を見て状況把握が難しいと判断したブーン。
どうしようか悩んでいた瞬間、自分の全てが塗り替えられるような何とも言えない感覚が彼を包み込んだ。
( ^ω^)「ここは VIPの村ですお」
( ゚ω゚)(ふおぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおお!!!)
('A`)「武器や防具は 装備しないと 意味がないよ」
(;A;)(ヒック…ヒック……)
- 94 : 代走(東京都):2007/03/17(土) 23:53:10.49 ID:FFf/sKpt0
- 何やらよくわからない感覚にブーンがエクスタシーを感じた後、再び彼はどうするか悩んでいた。
( ^ω^)「ここは VIPの村ですお」
(;^ω^)(ハァ…ハァ… 今のは何なんだお? それよりもドクオもどうにかしないと……)
その刹那、閃く名案。
|
\ __ /
_ (m) _
|ミ|
/ `´ \
(^ω^) <そういえば『ロード』があったんだお!
ノヽノヽ
くく
- 95 : 代走(東京都):2007/03/17(土) 23:53:48.17 ID:FFf/sKpt0
- 浮かび上がった名案を提示すべく意気揚々とブーンは友人に向かい語りかけた。
( ^ω^)「ここは VIPの村ですお」
( ^ω^)(ドクオ! ロードしてやるから目を瞑れお)
('A`)「武器や防具は 装備しないと 意味がないよ」
(;A;)(ウウッ…ロード…村人…無理……ヒック…)
|
\ __ /
_ (m) _
|ミ|
/ `´ \
(^ω^;) <すっかり忘れてたお!
ノヽノヽ
くく
- 96 : 代走(東京都):2007/03/17(土) 23:54:48.42 ID:FFf/sKpt0
- 三○ (^ω^ )お?
三○ (^ω^ )おぉ〜
三○)゚ω゚)うべしっ!!
村人が心の中で叫んだ瞬間、不意にいきなり飛んできた謎の魔法が顔面に的中した。
その魔法は村人に対する攻撃という役目を終えた後、跡形もなく消えていった。
(#)^ω^)「ここは VIPの村ですお」
(#);^ω^)(うぇっ!? 今の唐突な攻撃は何なんだお!? ……とりあえずもう忘れないようにセーブしておくかお)
そして彼は目を瞑ってコマンドを出し、カーソルを動かす。
セーブの場所までカーソルを動かした時に彼は気付いた。
コマンド内に確かな違和感があったのだ。
( -ω-)「ここは VIPの村ですお」
(;-ω-)(お? これって……もしかして……)
セーブを終えて元の世界に戻った彼はもう一度友人に提案してみる。
( ^ω^)「ここは VIPの村ですお」
( ^ω^)(ドクオ! やっぱりロードするから目を瞑れお)
- 97 : 代走(東京都):2007/03/17(土) 23:55:35.70 ID:FFf/sKpt0
- ('A`)「武器や防具は 装備しないと 意味がないよ」
(;A;)(だから…ロード……ヒック…無理……)
即座に却下する友人。
それでもブーンは引き下がることをしなかった。
( ^ω^)「ここは VIPの村ですお」
( ^ω^)(僕には見えたんだお! コマンドの中に『ロード』の文字があったのが! だから目を瞑ってくれお)
('A`)「武器や防具は 装備しないと 意味がないよ」
(;A;)(え……?)
確かに彼は言った。『ロード』が見えたと。
悪ふざけも多く嘘も少なくないブーンではあったが、その瞳は嘘をついているような目ではなかった。
なので、とりあえずドクオは言われた通りにしてみることにした。
- 98 : 代走(東京都):2007/03/17(土) 23:57:17.65 ID:FFf/sKpt0
- (-A-)「武器や防具は 装備しないと 意味がないよ」
(-A-)(……)
無言で目を瞑った友人を見てブーンもまた目を瞑った。
そして迷うことなくカーソルを『ロード』まで動かす。
【NOW LOADING】
耳の奥から微かに機械音が聞こえたかと思うと、昨日見たばかりの異国語が浮かんできた。
ロードすることに成功したのだ。
- 99 : 代走(東京都):2007/03/17(土) 23:58:27.96 ID:FFf/sKpt0
- ( -ω-)「ここは VIPの村ですお」
( -ω-)(やっぱりできたお。でも何で……?)
疑問に心を奪われている間にも彼の頭にはドクオの経験が頭に流れ込んでくる。
ドクオの性格は几帳面なのか、しっかりと彼が泣いている要因もセーブされていた。
業務終了時間が来ても自由が戻らなかったこと。
ブーンの家を荒らした勇者がまた来たこと。
今度はドクオの家が被害にあったこと。
ポール、トム、吉田もブーンの友人のように破壊されたこと。
ブーン用に購入したが結局自分の物になり、いつか使おうとしていたオナホまで奪われていったこと。
前回と同じく置き手紙が置いてあったこと。
- 100 : 代走(東京都):2007/03/17(土) 23:59:09.82 ID:FFf/sKpt0
- しばらくして止め処なく流れ込んできた情報が遂に途切れた。
全ての情報をロードしたのだ。
そして彼の中には無法者の勇者モララーに対する怒りが溢れかえっていた。
( ^ω^)「ここは VIPの村ですお」
(#^ω^)(またあいつかお! ドクオ、仇は取ってやるお。僕には頼もしい仲間もいるから待っていてくれお)
そう友人に言うと、タイミングを計ったかのように彼の足は何処かへと持ち主のブーンを運んでいってしまった。
不本意ながらも設定に逆らえるわけではないので、勝手に動く足にその身を任す。
すると後ろから微かな声が心に響いてきた。
('A`)「武器や防具は 装備しないと 意味がないよ」
(;A;)(あり…がとう……ヒック…)
- 101 : 代走(東京都):2007/03/17(土) 23:59:45.72 ID:FFf/sKpt0
- 友人の想いを受け、勇者への復讐心を更に再確認したブーン。
しかし彼の今やるべき事は業務をこなしつつ夜を待つことのみである。
( ^ω^)「ここは VIPの村ですお」
( ^ω^)「ここは VIPの村ですお」
( ^ω^)「ここは VIPの村ですお」
( ^ω^)「ここは VIPの村ですお」
(;^ω^)(この夜を待つシーンはどう頑張ってもワンパターンになるからいつも困るお)
心の声は時の流れを変えることはない。
どう足掻いても彼は待つことしかできないのであった。
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