220 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/16(火) 00:46:34.43 ID:3j+bgeYw0
破滅への道

( ^ω^)「とりあえず力は強化されたお。おそらく簡単に色消しできると思うお」

ドクオとの戦いでドクオの能力を吸い取り、かなり力は上がった。それにドクオのおかげで、自分の能力の特質に気がついた。

( ^ω^)「しっかし、自分で考えてみても末恐ろしい能力だお。色を抜いた物からパワーまで吸い取るなんて・・」

無機物のものなら色を奪うだけだが、人間や植物など、生体エネルギーをもつものから色を奪えばドンドン能力は強化されていく。
やはりこの力を持つ事は間違いだったのかもしれない。それと同時に、これだけ強い力を持っているなら色々な使い道があるとも思ったらしい。

( ^ω^)「・・あくまで僕が見たいのは全てが白い世界だけだお。世界までとは言わないお。せめてこの町だけでも白くしてみたいんだお」


221 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/16(火) 00:50:17.59 ID:3j+bgeYw0
それを願うのもなんだかおかしな話だ。ブーンの願望は充分狂っているといえた。
ブーンには隠された破滅願望があるのかもしれない。普通の人なら、

「色の無い世界」

がどんなものかは何となくイメージがつくだろう。ブーンの能力は全てを白くしてしまう能力。
簡単に言わせて貰えば、まっさらな白しかない世界なのだ。
そんな世界を見たいとは普通は思わない。だがブーンは違った。何故真っ白な世界に興味を持ったのだろうか。
何故親友のドクオを倒してまで真っ白な世界を見てみたいと思ったのか。


222 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/16(火) 00:54:00.18 ID:3j+bgeYw0
( ^ω^)「・・僕は白が好きなんだお。どんな色を塗ってもその色になるから」

ふと呟くブーン。

( ^ω^)「今まで上手くいったことなんて一つもなかったお」

この発言がブーンが何故真っ白な世界に興味を持ったかが分かる発言だ。
始めの方で話したようにブーンは昔いじめられっこだった。小さな頃から何一つ自分が思ったように言った事も無かった。
小さな頃はお絵かきが大好きだったブーン。その理由は、

「なんでも好きな色にぬれるからだおー!!」

だった。これは考えて見れば、

「自分の好き勝手に出来るから」

と考えられる。多分今回の動機もそれらが関係してきているんじゃないかと思われる。

223 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/16(火) 01:00:15.58 ID:3j+bgeYw0
( ^ω^)「・・つい昔のこと思い出しちゃったお」

( ^ω^)「昔はお絵かきだったのにいまやこの能力を手に入れたから自分の周りまで好きな白に変えられる・・こんな楽しい世界はないんだお」

それはまさにブーンだけが望む世界。

エデン

とでもいうべきなのか。だが、ブーンがこれから作りあげる世界の恐ろしさを分かってはいない。
ブーンが考えていたことはさながら子どもが考える憧れのようなものに近かった。


224 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/16(火) 01:04:06.45 ID:3j+bgeYw0
だがブーンが今から行おうとしている事は憧れうんぬんかんぬんで済まされるような事ではないのだ。
イマイチそこらへんをブーンは勘違いしているように見えた。もしブーンが世界を真っ白にしてしまった場合、唯一その状況を打破する事の出来るドクオも気絶してしまっている。

( ^ω^)「んまぁ、とりあえず次は町の栄えている方にでもいってみるかお」

ブーンは自分の足をゆっくりと、しかし確実にそちらの町の方へ向けていった。そして歩いてる時にふと気が付いた。

( ^ω^)「もしかして・・さっきドクオの能力を吸い取ったから、色をつけることもできるってことかお?」

ようやく肝心な所に気が付いたブーン。ドクオの能力も併用して使えれば、お絵かきのように、全体を真っ白にした後に、その能力を使って自分の好きな色にそこをぬれるからだ。

( ^ω^)「・・・でも出し方がわからないお。まぁ後ででもいいお」

225 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/16(火) 01:04:31.17 ID:3j+bgeYw0
そう言って、また足並みを町の方へ向けた。その頃・・

(;'A`) 「ん、んん・・」

ドクオが目を覚ました。あれだけ凄まじいストレートを食らっても、こんなに早く起きれるのはやはり、回復力の強化がされたからだろう。

(;'A`) 「ブーンは・・もういったのか。まずいな・・」

回りを見ましてもブーンがいなかった事からもう次の目的地へ行ってしまったということを確認したドクオ。

(;'A`) 「なんで俺がブーンの跡をつけてたのか・・そこからわからなかったのか?」

そう、ドクオがブーンを偵察していたのもそれなりに訳があった。ドクオにしか分からなくて、ブーンには分からない。
ブーン自身の能力の特質を。

226 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/16(火) 01:06:25.38 ID:3j+bgeYw0
(;'A`) 「仕方ない・・力ずくで止めるのは無理だ。とりあえず説得しないと。その間にも早く色を入れ直さないと・・手遅れになる」

ドクオはなんとか傷ついた体を起こして、ブーンの後を追うような形で、進んでいった。

(;'A`) 「最初はここのビルだ。くそっ、能力が半減したから少し時間がかかる・・でも全てが真っ白な世界なんて嫌だからな」

今自分が持てる力を出し、思い切りビルを叩く。

(;'A`) 「まずい・・な」

そのビルはいくらドクオが叩いてももう色が戻る事は無かった。

(;'A`) 「これじゃあもう俺の能力じゃどうにもならないな。一体俺はどの位気絶していたんだ」

とりあえず何とか生きている腕時計で時間を確認してみた。

(;'A`) 「やっぱりな。気絶してからもう一時間が過ぎてる・・」

261 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/16(火) 19:47:35.12 ID:3j+bgeYw0
何故ビルの色が戻らなくなったのだろうか。これがブーンの能力に関係していることだけは間違いなかった。

('A`) 「まだ・・このくらいなら手遅れとはいえない。急いであいつを探しながら色を戻していかないと」

ドクオが言った事から推測できる事はどうやらブーンが色を消してから一時間ほど立っても失われた色が注入されないとその物の色は完全に失われてしまう事。
だからドクオがもたもたしていると本当にこの町は色を全て奪われてしまい、真っ白になってしまう。
しかし、ドクオはさっきブーンに力を奪われてしまった為に復興作業のスピードはさっきよりも随分落ちてしまっている。
逆にブーンの力は強くなった。だからこそもう終わりには近くなっているのかもしれない。

('A`) 「あいつがこれ以上、生物の色を取り除く事をしないのを願うだけ・・本当に神頼みだなこりゃ」


262 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/16(火) 19:49:27.62 ID:3j+bgeYw0
例えこれ以上ブーンの力が強くならなくても、ドクオがその現場を発見できない事にはどうしようもない。
だがドクオには色が消えた場所が何となくだが勘でわかるみたいだ。だから、この世界を救える可能性が0とはまだいえない。

('A`) 「真っ白な世界なんて・・冗談じゃねーぞ!ブーン!!」

ドクオはついに走り出した。ブーンの暴走を止める為に。今あいつを止められるのは自分しかいないという責任感がそうしているのかもしれない。
勘は使うまでも無かった。
力が強くなったブーンは道行くもの全ての色を奪っていた。
ブーンの力はドンドン強まっている。


263 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/16(火) 19:57:50.44 ID:3j+bgeYw0
'A`) 「やっぱり、もたもたしてる暇はないな・・」

ドクオは目に入れたくなくても入ってきた白い景色を振り払うかのように走り出した。ひたすら走った。
少し走ったところに白い灰のようなものを見つけるドクオ。

('A`) 「ん・・?この灰は一体?」

手触りは骨を砕いたような粉・・それに近かった。

('A`) 「はは・・まさかな。俺の思ってる事とは一致しないよな」

だが不安はぬぐえなかった。ドクオは自分の能力を使い、その物体に色を入れてみる。ドクオの色を入れる能力はその物の修復も可能にする。
その粉が物体になった瞬間、思い切り手を引いた。

264 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/16(火) 20:00:42.01 ID:3j+bgeYw0
(;'A`) 「うわあああああっ!!!!!」

その物体は人の腕そのものだった。

(;'A`) 「ああああ・・ああ」

ドクオは少し正気を取り戻すのに時間がかかってしまった。なんせ人の死体の一部を見ることなんて初めてなのだから。

(;'A`) 「・・・でもなんで人がこんな無残な形で」

少し考えて、そしてひらめいた。

(;'A`) 「まさか・・」

恐ろしい考えが頭に浮かんだ。これもブーンの仕業なのか。

266 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/16(火) 20:04:08.18 ID:3j+bgeYw0
(;'A`) 「確か・・俺はブーンの能力を食らった時少しだったのに腕が真っ白になった。耐性のある俺がだ」

一般人がそれを食らったら、一瞬で消え去って、この粉になってしまうのではないか。
その仮説が本当ならば、ブーンは既に殺人を犯した事になってしまう。

(;'A`) 「こいつは・・本当にヤバイな。あいつはもう殺人者になってしまってる。しかも自分が気が付かない間に」

心が痛かった。わずかな間で親友が殺人者になってしまっていることで。
ドクオはその粉を人間に戻そうと、色を入れてみたが既に遅かった。ドクオは一つの異変に気が付く。

(;'A`) 「この粉・・まだおそらく変わってから三十分ほどしか立ってない・・」


267 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/16(火) 20:08:22.88 ID:3j+bgeYw0
前は一時間弱までに色を入れれば完全に復元できたのに、三十分まで減少しているのだ。
ドクオの能力を奪っただけはさすがにここまで力は強くはならないはず。

(;'A`) 「やっぱ俺の仮説は正しかったのか。ブーンが色を奪った物は力まで全て奪われていく」

(;'A`) 「だが・・何故そんな凄い能力になってしまったんだ。俺と同じなら、あいつの能力は色を奪う能力だけのはず・・」

何故そんな能力がブーンに備わってしまったのか。だがドクオが考えた所で答えは見つからなかった。

???「あの子が色を奪う能力を手に入れたことで、他の能力まで手にしてしまうなんて・・予想外ね」

???「だから言っただろう。人間にそんな能力を与えた所でいい事なんてないと」

謎の人物が話をしている。この二人がブーン、そしてドクオに能力を与えた張本人なのかもしれない。

268 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/16(火) 20:08:52.53 ID:3j+bgeYw0
???「この世界が終わるかもしれないわね・・私のせいで」

???「その時は仕方ないだろう。ここは見捨てるしかない」

二人はなおも話し続けた。そしてブーンとドクオを追う様子で進んでいった。一体この二人は何を考えて能力などを与えたのか。
その理由はわからないが、ただ一ついえることは人間に力を与えてしまえば、必ずしも良い方向に使うとは限らないのだと。
ブーンもそのよい一例だ。

(;'A`) 「はぁ・・はぁ・・はぁ・・」

ドクオは走り続け、ブーンを探した。これ以上、罪を犯させないようにと必死だ。
進めど進めど、ブーンが真っ白く変えてしまった建物や、粉になってしまった生物しか見当たらなかった。ドクオの願いは届かなかった。

269 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/16(火) 20:09:20.06 ID:3j+bgeYw0
何故ビルの色が戻らなくなったのだろうか。これがブーンの能力に関係していることだけは間違いなかった。

('A`) 「一体何人をあやめちまったんだ、ブーン」

('A`) 「俺は・・お前が簡単に人殺しや世界を悪い方へ変えようとするような人間だとは思っていなかった」

ただドクオは悲しかった。昔から気が小さくて、小さな生き物も大事にしていたブーンが、
「力」というたった一つのものを手に入れてしまっただけで、こんなに変わってしまったことを。

('A`) 「なぁ・・ブーン」

何も無い空間にそこにブーンがいるかのように呼びかけた。いつもなら隣にブーンがいて、その言葉に答え、
下らない話で盛り上がっていた。でも今は違う。たった一日。一日だけで。

270 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/16(火) 20:09:49.73 ID:3j+bgeYw0
('A`) 「これ以上は・・やらせない」

ドクオの目には親友の為なら死んでも構わないくらいの決意が見えた。そしてドクオはまた走り始めた。親友を止めるために。

その頃ブーンは、目標の町にたどり着き、まさに今行動を起こそうとしていた。

( ^ω^)「ようやく町についたお。さて・・始めるかお」

ブーンは大きく腕を開く。通行人はこれから何が起こるかも知らずに、変人を見るような目でブーンを見ている。

( ^ω^)(ふん、もうお前等は消える運命だお。悪いけど、我慢してくれお)

自分の指先に力を集中させる。いろいろな生物の力を吸い取ってきたブーンにとって、町一つの色を抜く事なんてもうたやすかった。

271 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/16(火) 20:10:17.82 ID:3j+bgeYw0
( ^ω^)「それじゃあ・・この町も真っ白な世界にしてやるかお」

その指先は地面に突き刺そうとしたその瞬間・・

('A`) 「よせっ!もうこれ以上罪を重ねるな!!」

ギリギリでドクオが到着した。後一歩遅ければ、この町はすでに真っ白な世界に変わっていただろう。

( ^ω^)「・・・・・」

一度手を引いて、ドクオを見つめるブーン。
その間、二人は無言で全く動こうとはしなかった。ドクオはブーンを止める事ができるのか。

破滅への道 完


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