- 182 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/15(月) 19:53:40.95 ID:A3Q6JkSD0
- 恐ろしい能力
(;^ω^)「な・・ドクオ?」
ブーンは目の前の光景に唖然としてしまう。自分がダメージすら与えられなかったのに何故かドクオは右腕を押さえて絶叫しているのだ。
あまりにも理解できない状況にブーンはただ何も言わずに見つめる事しか出来なかった。
(;'A`) 「うあっ!うあああああ、ああああああああァァァァァ!!!」
ドクオのこんな声を今までに聞いたことが無かったブーン。思わず壁に追い詰められた状態だったのにも関わらず後ろに行こうと足を動かしてしまう。
その原因があるはずの右腕を見ようとしてもガッチリと左手でホールドしていて全く見せようとはしてくれなかった。
- 183 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/15(月) 19:54:38.39 ID:A3Q6JkSD0
- (;^ω^)「一体何が・・?」
例えここにいるのがブーンじゃなくても今の状況はとても理解できるものではなかった。
だが何故ドクオが絶叫しながら苦しんでいたのかはその後すぐに分かったのだ。
(;^ω^)「!!!!!!!!!!!!!!!」
て、手が・・!!手が・・!!」
ブーンが驚くのも無理はなかった。なぜならドクオの右手の半分の色が丸ごと落ちていたのだから。
- 184 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/15(月) 19:55:35.77 ID:A3Q6JkSD0
- (;'A`) 「はぁ、はぁ、はぁ・・」
この状況はあきらかにブーンにとってはチャンスに変わりなかったものの、まさか人間の色まで物同様に落とせるとは思っていなかったブーン。
それに、さっきのパンチはあたりもしなかったのに、何故手の色が落ちてしまっていたのか。
(;'A`) 「うぅ・・さっきの攻撃は少し腕にかすっただけだってのに・・なんて威力なんだ」
(;'A`) 「わずかなブーンの力が残っただけでここまでになるのか・・!!」
ドクオはブーンの力を正直見くびっていた。所詮ブーンに与えられた力なんて俺の足元にも及ばない。
昔からいつもブーンには有利な立場に立ってきたしな。
今頃その立場が逆転する事は絶対にない。と思っていた。
- 186 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/15(月) 19:56:41.84 ID:A3Q6JkSD0
- 自分には全く抜かりがないと思っていたドクオにも、わずかな油断が潜んでいたのだ。
そのせいでブーンの攻撃を完全にかわしきることは出来なかった。
(;'A`) 「くそぉ・・ブーンの野郎」
(;^ω^)「・・・・・・」
とうの本人は自分の行った事がいまだに信じられず、唖然としていた。
今までいくつもの色を抜いてきたというのに、その対象が人間になるとここまで変わるものか。
いや、相手がドクオだったからというのもあるだろう。
- 187 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/15(月) 19:58:41.20 ID:A3Q6JkSD0
- ;'A`) 「仕方ねぇ、オラッ!!」
(;^ω^)「な、何してるんだお!!」
ドクオはいきなり腕に力を込めたかと思うと、自分の右腕を殴りつけた。
(;'A`) 「ぐうう!!」
ドクオの右腕は再び激痛に襲われた。だが次の瞬間、
(;^ω^)「い、色が!!」
その手から落ちてしまった色があっという間に元に戻る。
一度見たはずの光景だというのに思わずブーンはビックリしてしまった。
- 188 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/15(月) 20:00:44.65 ID:A3Q6JkSD0
- (;'A`) 「もう・・忘れたのか?俺の能力はお前と正反対。色を与える、戻す能力だってな・・」
さすがにダメージは大きかったようで、ドクオの言葉から覇気は感じられなかった。
ブーンは自分の計画のことなんて忘れて必死にドクオに話し掛けた。
(;^ω^)「大丈夫なのかお!?ドクオ!!ごめんだお!!」
(#'A`) 「近寄るな!お前は俺に攻撃を仕掛けた時点でもう敵なんだ。忘れんじゃねーぞ!!」
ドクオはいきなりブーンの隙を突き、渾身の右ストレートをブーンにぶつけようとした。
だが、さっきのような力は何故か入ってはいなかった。
- 189 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/15(月) 20:03:39.05 ID:A3Q6JkSD0
- (;^ω^)「うわっ!!」
ブーンはその攻撃を慌てながらだが、いとも簡単にかわして見せた。
(;^ω^)(・・?さっきよりもかなり力が落ちてるように見えたお。気のせいかお?)
ドクオが放ったそのストレートはとてもじゃないが、あのビルの色を一瞬で元に戻すほどの力は感じられない。
(;'A`) (な、何故だ。俺の力が弱まってる?しかもブーンの動きが速くなっているようにも見えた。幻覚・・なのか?)
ドクオは自分の目を疑った。いきなり人の力が強くなるなんて事はあるはずがない。
だが、ブーンの能力はまだまだ未知な部分が多い。何が起こっても不思議ではない状態に変わりはなかった。
- 190 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/15(月) 20:04:29.59 ID:A3Q6JkSD0
- (;^ω^)「くそっ、今度はこっちからいくお!!」
ブーンがドクオの懐へ飛び込もうとしていた。その攻撃を何とか避けるドクオ。
(;'A`) (やっぱり幻覚じゃない!明らかにブーンのスピードは上がってる!!何故だ!何故この短期間に・・!?)
さすがに頭の中が混乱してきたドクオ。だがその時、逆の発想を思いついた。
(;'A`) (確かにブーンの動きは速くなったのかもしれない。だが逆に考えれば俺が遅くなっただけなのかしれない)
(;'A`) (それにあの白いオーラが残ってる間はずっと、自分の力が吸い取られているような感覚に襲われた。
(;'A`) (・・・まさか!!!)
- 191 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/15(月) 20:05:12.23 ID:A3Q6JkSD0
- ドクオはいきなりブーンとは逆方向に走り出す。急いで白い物を見つけるために。
(;^ω^)「?????」
一方のブーンはドクオの突拍子な行動を理解できずに、ボーっと突っ立っているだけだった。
ドクオはひたすら走る。白い物を見つけるために。
(;'A`)「あっ、あった!!」
白いコンテナを見つけたドクオ。見つけると同時に自分の拳に思い切り力を込め、そのコンテナを殴り飛ばす。
(;'A`)「色は・・薄い色ならなんでもいい!!」
確かにそのコンテナは白から水色に色が変化した。だがあきらかに色がついていくペースはさっきより遅かった。
さっき商店街に現れた時のブーンの力までとは言わないが、確実に能力が低下していることに気が付いた。
- 199 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/15(月) 23:05:22.94 ID:A3Q6JkSD0
- (;'A`) 「やっぱりおかしい!こんな少しの期間でこんなに弱体化することなんてありえないのに!!」
ドクオは思わず地面を叩きつける。その地面は色々な色に変化し続けた。
(;'A`) 「このままじゃ・・はっ!」
嫌な思いに襲われた。
(;'A`) (俺の能力はまさか・・ブーンの能力によって吸い取られてしまったのか?)
ドクオがそう思ったと同時に、もの凄い振動が後ろから伝わってきた。
その衝撃に気が付き、ドクオは後ろを向いた。そこに残されていたのは、色が抜け、味気なくなってしまったビルだけだった。
- 201 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/15(月) 23:07:48.30 ID:A3Q6JkSD0
- (;'A`) 「やっぱりそうか。ブーンの能力は人や物の色を奪うだけじゃない。その物が持っていた力を吸収する・・」
( ^ω^)「そうだったのかお。僕は馬鹿だからわかんなかったお」
いつのまにかブーンが自分の後ろにいた。気が付きもしなかった。
(;'A`) 「ブーン・・お前いつからそこにいたんだよ?」
( ^ω^)「ドクオがコンテナに色をつけたときからずっとだお」
それなら何故ドクオは気が付かなかったのか。それはブーンが完全に自分の気配を消す術を覚えていたからだ。
ドクオはさっきのブーンと今のブーンの気の違いにすぐ気がついた。
- 202 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/15(月) 23:21:14.09 ID:A3Q6JkSD0
- (;'A`) (ブーンの雰囲気・・今のこいつなら人なんて簡単に殺しそうな感じがする)
(;'A`) (だけど・・ビビってる暇は
ドクオの思考はそこで途切れた。背中に激痛が走った。ドクオが見たのは自分が壁に向かって吹っ飛んでいる姿だった。
ガッシャーン!!!!!!
さっき自分がいたビルに叩きつけられた。その衝撃のおかげでビルのガラスも吹っ飛んでしまっている。
割れたガラスの山の近くにドクオが倒れていた。
(;'A`) 「う・・うぅ・・」
- 203 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/15(月) 23:25:38.93 ID:A3Q6JkSD0
- なんとか声を振り絞ろうとしたが、うめき声にしか変わらなかった。
( ^ω^)「ふーん、随分パワーアップしたお。僕も」
ブーンはもうそこにいた。ドクオが吹っ飛んでからわずか数秒でこっちに移動してきていた。
( ^ω^)「でも、まだ実力はドクオと同じくらいなんだお。ようやく互角・・」
あれだけ能力を吸い取ったというのにまだ互角。始めのドクオの強さは相当なものだったと推測される。
(;'A`) 「かはっ、はぁ、はぁ、はぁ」
ようやくちゃんと呼吸出来るようになったドクオ。ブーンがどれだけの力でドクオを吹っ飛ばしたのかがよくわかる。
- 204 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/15(月) 23:31:00.79 ID:A3Q6JkSD0
- ( ^ω^)「もう力は自分が思ったように操れるお。出す時に拳を握る強さとかはもう関係ないお」
( ^ω^)「でもドクオ。僕は今の状態で動けないドクオを倒すほど卑怯な男じゃないお。回復するまで待つお。今のドクオならすぐに回復できるお」
(;'A`) 「な、何をいうんだ・・」
( ^ω^)「僕にはわかるお。僕に能力が二つ現れたようにドクオにも、もう一つ不思議な現象が現れるはずだお」
何を言っているのかドクオは最初理解できなかった。
( ^ω^)「その現象を発動するには相当のピンチが訪れなければならない。まさに今だお」
(;'A`) 「・・・・・」
自分にまだそんな能力が隠されているのだろうか?ドクオは思わず疑問に思ってしまう。
だが今の状況を打開するにはその能力を発動させる他に方法はないのだ。
- 206 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/15(月) 23:37:20.80 ID:A3Q6JkSD0
- (;'A`) 「体力の回復・・」
ドクオはようやく自分が危うい状況にあるのを認識し、それだけに意識を飛ばした。
すると自分の体がドンドン動くようになっていくのが分かった。
( ^ω^)「多分それは能力じゃないお。ドクオは確かにクールだけど、ド変態だったおね?多分、力が強くなった時、オナヌーしてからの回復力が体の回復力の強化に繋がったんだお
さすがにこんな事言われても理解は出来ない。簡単に言えば、オナヌーのおかげでその回復力が養われたわけだ。
( ^ω^)「これで本当の意味で互角になったお。さて・・勝負をつけるかお」
('A`) 「そうだな・・どちらの望みが強いかで勝敗が決まる」
二人が距離を取った。勝負は完全に能力を使わない殴り合いで決めるようだ。昨日親友だった二人が今日は本気で戦う・・日常生活では本当にありえないことだった。
いや、すでにこの世界がありえない世界と化してるのかもしれない。
- 207 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/15(月) 23:43:49.87 ID:A3Q6JkSD0
- 二人は気が付いていなかった。遠くからその様子を見ていた一人の女に。
髪はカールが印象的で、おてんば娘を連想させる。
??「こんなことの為にこの力を引き出してあげたんじゃないんだけどな・・」
それだけ呟いて、どこかへ行ってしまう。結局最後まで気が付く事はなかったようだ。
まだ二人は殴り合ってはいない。お互いの行動を予測しあうような形になっている。
どちらが先に動くのか・・正直、二人の能力から言えば、先にクリーンヒットさせた方の勝ちだと思える。
- 208 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/15(月) 23:44:23.62 ID:A3Q6JkSD0
-
( ^ω^)「・・・・・・・・・」
('A`) 「・・・・・・・・・」
まだ、まだ動かない。この静寂がずっと続くのかと思われるくらい、その場は静かだった。さっき響き渡っていた物音が嘘のようだった。
それから何分立ったのだろうか。未だ二人は動いていなかった。
隙が出ない。それはもう二人は互角の能力なのだから、そう簡単に隙を見つけられるほど甘くはない。
( ^ω^)「・・・・・ッ!!!」
ついにブーンが動いた。ドクオの目線から素早く消える。だがドクオもただやられる為に立ってるわけではない。
('A`) 「甘いんだよ!」
ブーンの攻撃を軽く受け流して見せた。その流れは実に綺麗な動きだった。
- 209 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/15(月) 23:44:52.82 ID:A3Q6JkSD0
- ('A`) 「今度はこっちから!!」
ドクオの素早い回し蹴りがブーンの頭にヒットしそうになる。この回し蹴りを食らえばブーンであろうともひとたまりもないだろう。
( ^ω^)「・・・!!」
ブーンはその蹴りを自分の腕で受け止めた。激痛が走る。だがそれに耐えて、ドクオの足をしっかりと掴んだ。
(;'A`) 「 ッ!マズイ!!」
いくらドクオといえど足を取られてしまっては反撃のしようがない。そこへ・・
( ^ω^)「おおっ!!」
- 210 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/15(月) 23:45:14.68 ID:A3Q6JkSD0
- ブーンの体重が全て乗った右ストレートがドクオの顔面に飛んできた。さすがにこの状態では避けきることは出来なかった。
(;'A`) 「・・・・・・・」
ドクオはその右ストレートをモロにくらい、ゆっくりと崩れ落ちていった。
( ^ω^)「ごめんお・・ドクオ。僕は全てが真っ白な世界を見てみたいんだお。多分すぐにドクオの嫌いな世界になると思うけど許してお」
それだけ言い残して、ブーンは次の標的を探しにどこかへ行ってしまった。
('A`) 「そ、その行動がどれだ・・け危険な・・・」
全てを言い切る前に、ドクオは気絶してしまった。
そのビル街には色の落ちてしまったビルと、ドクオしか残されていなかった。ブーンは次にどこをターゲットにしたのだろうか。
そして、ブーンが起こそうとしている行動の「危険」とは一体どういうものなのだろうか
恐ろしい能力 完
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