- 278 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/16(火) 21:22:35.55 ID:3j+bgeYw0
- 二度目の対立、そして・・
('A`) 「頼む・・これ以上は辞めてくれ。お前がどんどん汚くなっていく姿はもう見たくないんだ・・」
( ^ω^)「お?ブーンの体のどこが汚れてるんだお?」
ドクオはその返答にイラッとした。確かにブーンは昔からどこか抜けた部分があった。
だがこんな場面にもなってそんな話が出てくるとは思わなかった。
(#'A`) 「そんなこといってんじゃねーよ!!お前がこれ以上殺人とかを犯すのは見たくないんだよ!!」
( ^ω^)「おっ?ブーンはそんなことしてないお」
- 279 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/16(火) 21:26:18.42 ID:3j+bgeYw0
- 少しずつ野次馬が集まり始めていた。その言い合いを観戦しようと。
だが二人はそんな奴等お構いなしに話を続ける。
(#'A`) 「わかんねーのか!!お前が色を落とした時に発生した白い粉・・あれは人間だったんだよ!!」
( ^ω^)「お〜やっぱそうだったのかお?だけどあの人達は生きてるお。僕が創り出した白だけの世界で」
・・・こいつは何をいってるんだ。ドクオは不覚にもそう思った。
いつから頭がおかしくなったのか。昨日までのブーンはこんなじゃなかったぞ。とドクオは思った。
(#'A`) 「あのなぁ・・素直に認めな」
ドクオの口調は怒りのものから、小さい子どもをさとすようなしゃべり方に変わった。
さすがのドクオもあきれたのだろうか。
- 281 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/16(火) 21:28:54.99 ID:3j+bgeYw0
- ( ^ω^)「いいや、僕はそんなことは絶対してないお。聞こえるんだお。僕には」
一瞬ブーンの言ってる事がドクオには理解できなかった。だから聞きなおす。
(#'A`) 「お前に何が聞こえるってんだよ!!死者のうめき声か!?あぁ!?」
ドクオの声はまた怒りの混じったものに変わっていた。少しあきれてる面も伺える。
( ^ω^)「彼等の声だお。ブーンさん、僕等をあの世界に連れてってくれてありがとう!!って」
( ^ω^)「僕の作った世界こそ正しいんだお。全てが無の世界。そこには苦しい事なんてなにもないんだお」
- 283 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/16(火) 21:31:43.50 ID:3j+bgeYw0
- 確かに、無の世界には苦しいことなんて何も無い。だが、その世界には楽しいことや喜ぶやプラスの面も無いのだ。
ブーンは気が付いていない。自分の行った事の恐ろしさに。
そして自分がその世界に連れて行かれたときの恐怖を。何も、何も分かってはいないのだ。
(#'A`) 「虚言を言うのもいい加減にしろ!!!!!!!!!!」
ドクオの怒鳴り声が町中に響き渡った。野次馬たちはその声に腰を抜かした。
「この二人、尋常じゃないぜ」
「関わらない方がいいんじゃなーい?」
そう言う若者たちも出てきた。だが何故かそこから立ち去ろうとする人はいなかった。
- 284 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/16(火) 21:34:01.75 ID:3j+bgeYw0
- (#'A`) 「お前がそんなにおかしい人間だったなんて思わなかった!!力を手に入れる前はこんなことなんて考えなかったはずだ!!!!!!」
ドクオはまた怒鳴り声を発してブーンに尋ねる。
本当はブーンに違うと言って欲しかった。一言、
「違う」
といってくれればドクオはそれでよかった。そうすればまだブーンを止める可能性もあると感じたからだ。
( ^ω^)「ドクオ、僕は昔からこう考えてたお」
( ^ω^)「僕に力があれば、世界さえ変えてやる。自分の思った世界に」
- 285 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/16(火) 21:36:36.39 ID:3j+bgeYw0
- ドクオは落胆した。そしてブーンの考えてる事を見極められなかった自分の力を悔やんだ。
そしてブーンはこの意味のない行動を続けるつもりだとドクオは把握した。
(#'A`) 「・・・ならまたお前を止めなくちゃいけない。俺はこの世界が真っ白になるのはごめんだね」
(#'A`) 「やるならお前のお絵かきだけにしときな」
ブーンはその言葉にカチンと来た。自分が望む世界をドクオは拒むのか。
( ^ω^)「ドクオ、君もその世界に行けばその素晴らしさが理解できるはずだお」
(#'A`) 「出来るわけねぇな!色の無い世界の何が楽しい!?何も考えず、ただボーッとしてるだけの何が楽しいんだ!!」
- 288 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/16(火) 21:38:55.87 ID:3j+bgeYw0
- 野次馬たちはいつの間にか黙っていた。そして何故か震えだす者が現れだした。
「あいつらの言ってることが本当なら・・俺らもその無の世界に飛ばされるのか?」
「いや、正確に言うなら死ぬんだろ?まさか!そんなはずないって!!」
二人の友人が自分達の思ったことを思い思いに話す。そこへ一人の女が割って入った。
- 289 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/16(火) 21:40:40.25 ID:3j+bgeYw0
- ζ(゚ー゚*ζ「多分、死にはしないんじゃないかな?魂だけつれていかれるよ。あの太っている彼の体の中に」
その女性はブーンが高校生の時、告白した女性に似ていた。だが決定的に雰囲気が違う。優しそうな雰囲気が漂っていた。
そこにもう一人の女性が割って入った。
川 ゚ -゚)「そしておそらく、彼の持ってる能力によって、真っ白な世界を漂い続けるだろう。終わりは無い。永遠に」
この女性は一人目とは対照的にクールで知的な雰囲気を漂わせる。
「おいっ!それってどういう・・」
その男がそのことを聞こうとする前に、二人は消えていた。
- 290 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/16(火) 21:44:08.61 ID:3j+bgeYw0
- その男がそのことを聞こうとする前に、二人は消えていた。
「あ・・あれ?」
男は自分の見たものを疑う事しか出来なかった。真っ白な世界を漂うだけの毎日。それがどれだけ退屈な物かはわからないが、
とにかく行きたくは無い世界だという事は誰が聞いても分かった。
「でも奴等が言ってる事は本当だとは思えない!大丈夫だよ!」
「そ・・そうだよな」
から元気でその男を励ました友人。だがその友人の心の中も不安でいっぱいだった。
- 291 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/16(火) 21:46:41.18 ID:3j+bgeYw0
- (#'A`) 「だからよせって!!ここにはそんな世界、誰も望む者はいないんだ!!!!」
( ^ω^)「そんなことないお」
(#'A`) 「お前のほかに誰がその世界を望むってんだ!言ってみろ!!!!!!!!」
ブーンは押し黙ってしまった。なかなかドクオの質問に回答できないでいる。
(#'A`) 「ほら、いないんだろ?それでもお前がその世界を望むというならそれはお前の自分勝手なんだよ!まだ分からないのか!!!!」
( ^ω^)「確かに・・僕しかその世界を望んでないかもしれないお。でもそれで充分だお。自分勝手で構わないお」
- 292 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/16(火) 21:49:26.48 ID:3j+bgeYw0
- ドクオの堪忍袋の緒はもう完全に切れそうだった。それをギリギリのところで押さえている。
色の無い世界・・そんなものを望む者はブーンしかいない。だから食い止めねばならない。
それはもはや自分やブーンのためだけではない。さっきから凄まじい光景を間の当たりにしてきたドクオにとって、
ブーンの手によって、これ以上他の人達の命が消える事はどうしても防ぎたかった。
(#'A`) (お前の手によって命を失った者が大勢いるんだ。だから・・!!)
(#'A`) 「・・警察に自首しろ。罪を償え。それが俺の願いだ」
( ^ω^)「・・・・・・・」
- 293 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/16(火) 21:52:49.19 ID:3j+bgeYw0
- これがドクオの、ブーンの親友としての最後の願いだった。
自分の力ではもうどうしようも出来ないと気が付いていたドクオにとって、その言葉でブーンが変わってくれることを願うしかなかったのだ。
(#'A`) 「・・・・・・・・・・・」
( ^ω^)「・・・・・・・・・・・・・」
ドクオが自分の願いを言ってから、かれこれもう数分がたった。
その間二人は真正面に対峙し、ドクオはブーンのことを憎しみを込めて睨んでいた。
これが昨日までの親友たちの姿なのだろうか。どれだけ、ブーンが変わってしまったのかが分かる光景だ。
待ちくたびれたようにドクオが言う。
- 295 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/16(火) 22:01:41.03 ID:3j+bgeYw0
- (#'A`) 「おい、どーなんだ。辞めてくれんのかよ?」
( ^ω^)「・・・・・・・・」
それでも答えようとしないブーン。ドクオはさっきの怒りもあって更にイライラした。
(#'A`) 「ハッキリしろっ!!!」
その言葉を聞いたブーンはボソボソとだがようやく答えを出した。
( ^ω^)「・・・・無理だお」
ドクオはその言葉を聞いて本当に呆れた。何故自分の望む世界が危険だとこいつはわからないのだろうか。
- 296 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/16(火) 22:02:12.61 ID:3j+bgeYw0
- (#'A`) 「はー、そうか。お前は沢山の人の命よりも自分の望む世界の方が大切なんだな?」
(#゚ω゚) 「そうだお!!それの何がいけないんだお!!!!」
ついにブーンが切れた。今までブーンが切れたことを見たことが無かったドクオは少し驚くものの引き下がろうとはしない。
(#'A`) 「見損なった!!お前がそんな風に考えてたなんて!!」
(#゚ω゚) 「何がいけないんだお?この世界には偽善者があふれてるお」
- 297 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/16(火) 22:03:17.23 ID:3j+bgeYw0
- ブーンはまた昔のことを思い出す。自分がいじめられていた時のことを。
いじめられてるのに助けようともしない。
そして一通り、いじめられた後に話し掛けてくる奴等。
「大丈夫?」
そんな言葉なんていらない。何故助けてくれないのか?それはそいつらが結局自分の身しか大事にしない奴等だから。
- 298 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/16(火) 22:04:44.39 ID:3j+bgeYw0
- (#゚ω゚) 「なんでそんな奴等がのうのうとしてられるんだお?だから僕は復讐するお。この社会に」
(#'A`) 「ただそんなことをする為に関係ない人まで巻き込んでいいと思ってんのかよ?」
(#゚ω゚)「確かに真っ白い世界も見てみたかった・・これは本当だお。でももう一つは言うと反対されるから黙ってたんだお」
もう二人の話はかみ合っていなかった。ブーンは完全に暴走していた。
(#'A`) 「俺の質問に答えろぉっ!!!!」
(#゚ω゚)「でももう遅いお。もう僕はこの町一体を白く出来るほどの能力はあるんだお」
- 300 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/16(火) 22:08:10.77 ID:3j+bgeYw0
- (#'A`) 「・・・・・・・・」
(#゚ω゚)「ドクオ、君と話すのはもうあきたお。一緒に消えてくれお」
ついにブーンは腕に力を込め始めた。この町一体、いや、周りごと全て白くしてしまうようだ。
もうブーンに理性は残っていない。その手にこもる力はもう一般人の目にも見える程強力なものになっていた。
あきらかに異変に気が付いた一般人たちは慌てふためきはじめた。
「お、おい、俺ら、早く逃げないとやばいんじゃないかな・・?」
「そうだな。走ろう!!」
野次馬たちは早く町から脱出しようと、自分の限界で走り始めた。
- 301 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/16(火) 22:10:58.84 ID:3j+bgeYw0
- (#゚ω゚)「おっおっおっ。もう逃げても無駄だお。君たちも僕の作り上げる世界に入るんだお」
地響きがしだした。ブーンの能力がいかに強力になったのかがよく分かる。
ドクオはさすがにヤバイと感じ、最後の説得に出る。
(;'A`) 「や、辞めろぉ!!自分の大切な物を丸ごと失う事になるぞ!!!」
だがブーンはその言葉にも全く反応を示さない。
ガガガガガガガッ!!パリーン!!!
ブーンの力によって近くのビルのガラスが割れる。中にいた人達の被害はひどいだろう。
だがブーンは力を弱めようとはしない。自分の限界まで力を蓄えるつもりだ。
- 302 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/16(火) 22:12:53.29 ID:3j+bgeYw0
- (#'A`) 「やめろっ!!!やめろっていってんだよ!!!!俺の言う事が聞けないのかよ!!」
ドクオの叫び声はもう怒鳴りではなく悲鳴にも聞こえるような気がした。ブーンが力を溜めてる時間が永遠にも感じられる。
(#゚ω゚)「悪いがもうそんなことは聞けないお。もう力は充分にたまったお」
ドクオの体に悪寒が走った。その力の凄さを理解してしまった。知らない方が幸せ。とよく言うがまさにこのときの為に用意された言葉なのかもしれない。
(;'A`) 「ブー
ドクオがそういいかけたときに意識が飛んだ。ついにブーンは発動させてしまった。限界の力を。
- 303 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/16(火) 22:14:50.10 ID:3j+bgeYw0
- そのもの凄い力によって回りの建物という建物が真っ白になる。
人間達はドンドン白い粉となって、姿を消していった。同時に音も消えていく。それを奏でる物がなくなってしまったから。
物も真っ白になってしまうと形は保つ事はできてももう使い物にはならなかった。
ζ(゚ー゚*ζ「やっぱり・・私の選択は間違ってたんだね」
川 ゚ -゚)「そうみたいだな。だが、ドクオは良くやってくれた。彼の能力が強くなりすぎた・・」
真っ白になっていくその世界を見つめながら、さっき消えたはずの二人は話していた。
何故か彼女たちはブーンの能力を食らっても自分の色を保ったままだった。
- 304 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/16(火) 22:16:19.92 ID:3j+bgeYw0
- ζ(゚ー゚*ζ「あの二人なら・・きっとこの能力を良い方向に導いてくれると思ったんだ。だからお姉ちゃんに無理をいって・・」
川 ゚ -゚)「お前はこの機会で、いい経験になっただろう。所詮人間は自分の欲に溺れる生き物だってな」
ζ(゚ー゚*ζ「うん・・ごめんね。お姉ちゃん」
川 ゚ -゚)「ドクオに両方の能力を渡す事が出来ればこんなことにはならなかったかもしれないな。残念な人材を逃した」
そういうこの女性の瞳は何故か潤んでいた。
ζ(゚ー゚*ζ「・・・・?」
もう一人はそれを理解できずにいた。やがてこの二人は何も無かったように消えていった。
- 305 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/16(火) 22:16:59.20 ID:3j+bgeYw0
- (;^ω^)「はぁ・・はぁ・・はぁ・・・」
凄まじい能力を使ってしまった為しばらく顔さえ上げることの出来ないブーン。その足元には白い景色がある。
ようやく体力が回復し、顔を上げるブーン。
(;^ω^)「・・・これが僕の望んだ世界?」
自分の目の前に広がる光景を見て、唖然とするブーン。
周りは全て白い。上を見上げてみても、いつもあるはずの空の景色はなかった。
ただ、白いだけの景色。
(;^ω^)「・・・・・・」
言葉を発することの出来ないブーン。
もう全てのものが真っ白になってしまった。その為、そこに何があるかどうかすら確認しにくい状態になっていた。
- 306 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/16(火) 22:18:01.00 ID:3j+bgeYw0
- (;^ω^)「!!!!!!」
ブーンはすぐ近くにまだ粉にはなってはいないが、体の色はすっかり落ちてしまったドクオを見つけた。
ドクオは能力を持っていたので多少の攻撃になら耐えられた。だが、これだけの攻撃を受けてしまってはもうどうしようもなかった。
(;^ω^)「ドクオ!!ドクオ!!」
必死に呼びかけた。
(;'A`) 「・・・・・・ん」
まだかろうじて生きている。だがもう手遅れだ。ブーンは話し掛ける。
(;^ω^)「ごめんお!ごめんお!!」
その言葉しか話すことが出来なかった。今頃になってブーンは自分がしでかしたことの大きさに気が付いたようだ。
(;'A`) 「な・・んで・・わか・・って・・くれ・・・」
最後まで言葉を言い切れずに事切れたドクオ。そしてすぐに粉へと変わってしまった。
(;^ω^)「ドクオ・・」
( ;ω;)「ドクオーッ!!!!!!!!!!!!」
自分の行動によって本当に大切な物をすべて失ってしまったブーン。
その泣き声を聞くものさえ、もうこの世界には誰もいない・・・
( ^ω^)ブーンが世界から色を奪うようです 完
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