112 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/14(日) 23:45:54.14 ID:TvE3a1Nm0
直接対決

( ^ω^)「ドクオ・・何故君が僕の能力と逆の能力をもっているんだお?」

最初にそこが気になったブーン。こんな現象なんて、自分以外には絶対に起こらないと思っていたからだ。

('A`) 「大体お前と同じだろうと思うけど、話してやるよ」

それは昨日の夜、起こったことだった。そこはブーンと変わらない。
ドクオもまたお気に入りのサイト「にちゃんねる」のニュー速VIPを覗いていた。

('A`) 「全くよぉ・・クソスレしかねーじゃんか」

思ってる事は大体ブーンと同じみたいだ。

113 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/14(日) 23:47:55.66 ID:TvE3a1Nm0
('A`) 「ん?なんだこのスレ。ブーンが立てたのか?」

そう、このスレは「世界中の色を消してみたいと思わないか?」だ。
ドクオはブーンが言った事が何故か頭から離れずにいたみたいで、つい気になって開いてみた。

内容はやはり訳のわからないレスばかり。その時、ブーンが書き込んだレスを見たのだ。
「僕は本当に色を消せる人間だお」

('A`) 「これ、ブーンが書き込んだのかもな」

ドクオは勘がかなり鋭い。この勘も見事にあたっていた。


114 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/14(日) 23:54:08.07 ID:TvE3a1Nm0
('A`) 「まぁいい。俺は少しロムってるかな」

ずっとドクオはロムっていた。ブーンが気にした例の女の書き込みも対して気にもせずに。

('A`) 「すげー言われ様だな・・ブーンかも知れない奴。俺は色がある世界の方が好きだけどな」

('A`) 「まあ、俺もなんか書き込んどいてやるかなw」

カタカタカタ・・

「まあ、もしお前がホントに色を消す能力を持ってるなら俺は色を元に戻す能力が欲しいけどなw」

それだけ書き込んでドクオはPCをシャットダウンして、すぐに眠りについた。
そしてドクオもまたおかしな夢を見ることになる。

116 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/15(月) 00:00:44.16 ID:A3Q6JkSD0
('A`) 「ここは・・」

ドクオの目の前に広がったのは真っ白な世界だった。まだ誰も手を加えていない綺麗な白・・思わず自分で色を入れたくなるくらい・・

('A`) 「まあそんなことはどうでもいいや。早くこの夢から抜け出す方法を探すとしようか」

ブーンと違う、真っ白な世界に飛ばされたからなのかドクオはいたって冷静だった。
しばらくのんびり歩き続ける。だがブーンと同じように出口はなかなか見つかる事がない。

('A`) 「ふぅ、ちょっと疲れたな。休憩でもしようかな」

ドクオはその自分の足が地にさえついていないような気もするその世界で腰をおろす事にした。
何故ドクオはここまで落ち着いていられるのか。彼はブーンと正反対の性格をしている。
常に冷静沈着で、あまり慌てることが無い。
その性格は昔から変わらなかった。部活や勉強でも普通の人なら絶対に気が付かない事に簡単に気がついたり、
どんなにピンチでも常に姿勢を崩さなかった。このときもそうだ。どちらの夢に飛ばされてたとしても慌てていたブーンとは違った。

('A`) 「・・あれ?もしかして俺、落ちてるのかな?」

なんだが座りだしてから、自分の景色がドンドン下に向かっているような気がしてならないようだ。

117 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/15(月) 00:07:00.78 ID:A3Q6JkSD0
('A`) 「・・あれ?もしかして俺、落ちてるのかな?」

なんだが座りだしてから、自分の景色がドンドン下に向かっているような気がしてならないようだ。

('A`) 「マズイな・・上がり直さないと、下に見えるわずかな暗闇に引き込まれるような気がする」

この暗闇の中にはブーンがいたかもしれない。なぜならこの二人の夢はリンクしていたからだ。
ブーンはドクオが見た、その暗闇を最後の最後で真っ白な空間に変えて見せたのだ。

('A`) 「よっと・・」

ドクオはとりあえず立ってみることにした。だが落ちるスピードはさっきと全く変わらない。

(;'A`) 「あ・・あれ?」

さすがのドクオも少し焦り始めた。なぜならあの暗闇に吸い込まれたら死ぬと思うくらい恐ろしい空間に見えたからだ。


118 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/15(月) 00:15:03.41 ID:A3Q6JkSD0
(;'A`) 「くそぉ・・あそこには落ちたくない」

ドクオも必死になってきた。なんとかしようととりあえず動いてはみるものの、落ちるスピードはなんらかわりを見せない。

(;'A`) 「なんとかしないとな・・」

そう思うと同時にドクオの頭の中にはブーンの声の主とは違う女の声がした。

「この状況を打破する能力が欲しいか・・?」

その女の声は知的な女性をイメージさせるような落ち着いた声だ。


119 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/15(月) 00:19:48.23 ID:A3Q6JkSD0
(;'A`) 「あ、ああ!!もちろん!!」

あの暗闇に入らないようにするにはそう言うしかない。そう感じてドクオは言う。そしてその女は答える。

「もう君の体の中にその能力は備わっている。真っ白な色を自分の変えたい色にするんだ」

そう女が言ってる間にも落下スピードはドンドン速さを増してきていた。

(;'A`) 「俺の変えたい色に・・?えーと、俺が好きな色は・・青だ」

そう言って真っ白な空間へ手を伸ばす。するとその空間は鮮やかな青へと姿を変えていった。

「これが君の能力だ。生かすも殺すも自分次第・・気をつけるんだな」

「ああ、それと君の親友がこれと逆の能力を持っている。多分彼はその力を間違った方向へと使うはず。
彼を止めるんだ。私はその為に君には強い能力、そして君自身の潜在能力を引き出しておいた。
頼んだぞ・・」

120 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/15(月) 00:27:57.99 ID:A3Q6JkSD0
そう女は言うと、それ以降その声が聞こえなくなる。
それと同時に、ドクオもその恐ろしい夢から目を覚ます。目を覚ます直前にあの暗闇が白く変わっていたような気がした。
それがブーンのおこなったこと。すなわち色を抜く能力だったわけだ。

('A`) 「それからは自分の力を確かめ、ブーンを偵察していた・・そんなところさ」

ドクオにも同じ現象が起きていたことに驚愕したブーン。だが逆に何故か安心感もあった。
親友が自分と同じような能力を持っていたことから来る物だろう。
だがそれは親友との戦いも意味している。ブーンはまだその意味に気が付かない。

('A`) 「ブーン、お前がこの能力を使ってしたいと思っていたことはなんだ?」

( ^ω^)「世界中の色を抜く事だお。色の無い世界も楽しいかもしれないお」

('A`) 「俺はその逆だ。この言葉が意味する理由がわかるか?」

( ^ω^)「・・・・?」

('A`) 「俺はお前を力ずくでも止めないといけないってことだよ」

147 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/15(月) 13:01:20.98 ID:XVONooIoO
ドクオとは親友だ。絶対に拳を交えたくはない。

(;^ω^)「いくら正反対の能力を持ったとしてもドクオとは戦いたくないお」
ブーンは感じていた。ドクオが自分よりも強大な能力を持っていることに。
どうやら潜在能力と強大な力を貰ったことは嘘ではないらしい。
確かに親友と戦う事はできないという気持ちはあった。

同時に考えたのは今の自分では勝つ事は難しいとも感じた事からこの言葉が口からでてきたのだ。

148 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/15(月) 13:18:41.97 ID:XVONooIoO
だが、ブーンがそういったところでドクオは全く動く様子がない。
( ^ω^)「どうしたら見逃してくれるかお・・?」

そうブーンが聞くとドクオはまるで「そんなこと分かるだろ」というような表情でブーンを見つめる。
そして静かに口を開いた。

('Α`)「わかるだろ?お前が今してることを辞めてくれればそれでいいんだよ」

(;^ω^)「お・・」

すぐには返答ができなかった。
何故なら、先ほど自分が起こした行動によって自分が考えた事が本当に出来ると思ったからだ。
折角この力をてにいれた訳なのだから、簡単に諦めるわけにはいかない。

('Α`)「・・その沈黙は無理だってことでいいのか?」

162 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/15(月) 17:51:51.39 ID:A3Q6JkSD0
(;^ω^)「ちょ、ちょっと待ってくれお。考えさせてくれお」

('A`) 「仕方ねーな。お前は考えると長いから五分だけな」

ドクオはブーンには自分に向かってきたとしてもまだ勝てるほどの能力を持っていないことはわかりきっていた。
だからあえてブーンに時間を与えたのだ。これが彼の有する余裕なのか。
ブーンは与えられた時間をつかい、精一杯考えた。

(;^ω^)(ここで計画を破棄するわけにはいかないお・・)

ブーンは昔から頭のよい方ではなかったので、なかなか機転を利かす事が出来ない人間だった。
困った時はいつもドクオが助けてくれていた。
だがブーンにも普通の人が思いつくようなことをふと感じる。

163 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/15(月) 17:58:32.90 ID:A3Q6JkSD0
( ^ω^)(僕のこの能力・・人に使ったらどうなるのかお?物のように真っ白になるだけなのかお?)

この疑問は遅かれ早かれ絶対に思いつくことだった。
今まではこの能力を物にしか使っていなかった。
物の場合は、ただ色が落ちるだけで、他には何も起こらなかった。

だが、人にこの能力をつかったらどうなるのか?


まだ試しちゃいない。いや、試せない。自分の能力の全貌がはっきりしていないというのに、迂闊に使う事なんてできなかった。

( ^ω^)(でも事態が事態だお。ドクオは僕よりずっと強大な力をもってるお。だから多分、この能力を有効に使わないと勝てないと思うお)

珍しくブーンはしっかりと考えていた。なおかつ、冷静だ。これも能力が手に入って、自信がついたからなのか。

( ^ω^)(今、ドクオの隙をつくにはあの手しかないお・・ごめんお、ドクオ)

165 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/15(月) 18:16:30.12 ID:A3Q6JkSD0
('A`) 「おい、そろそろいいか?もう五分過ぎてるぞ」

( ^ω^)「・・・・・・・・」

あくまで自分の気を悟られないように、黙っているブーン。
見切られたら全てが終わる・・その恐怖に正直怯えてる部分が大きかった。

('A`) 「結局どうするんだよ?俺の言う事に従ってくれるのか?」

そう聞かれたが、一度間を置くブーン。ドクオもブーンが迷っていることが分かったのか、あえて言葉は出さなかった。

( ^ω^)「・・僕が考えてたことが馬鹿げてたお。ドクオ、帰ろうお」

ブーンは案外土壇場で力を発揮するタイプなのかもしれない。まさに本心のようにその行動を演じてみせた。
だがドクオもすぐには言葉を発しない。一度ブーンの目を見て、何か考えるようなそぶりを見せて、ブーンをじらす。

166 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/15(月) 18:23:19.81 ID:A3Q6JkSD0
数分間見つめあっている。やがてドクオは納得したような様子で目を逸らした。

('A`) 「どうやら本心みたいだな。ブーンなら分かってくれると思ったよ。さあ帰ろう」

ドクオが後ろを向いて歩き始めた。ゆっくりとブーンもドクオの方へ向かっていく。

( ^ω^)(やるなら今しかない・・殺しはしないお、ドクオ)

右腕に思い切り力を込める。自分の能力が今にも発生しそうだ。
さっきよりも力は強まっている気がする。だがブーンは何とかコントロールしてドクオに悟られないようにした。
そして右腕を無言でドクオの方へ振り落とす。

('A`) 「バーカ、お前の三文芝居が通用すると思ったのかよ?」


167 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/15(月) 18:28:47.05 ID:A3Q6JkSD0
ドクオはブーンの渾身の攻撃をいとも簡単にかわして見せる。まるで悟っていたかのように。

( ^ω^)「何故・・わかったお」

('A`) 「途中まではお前の演技は完璧だったよ。でもな?俺が気を許した瞬間、お前は安心しただろ?まるで何かを悟られなかった後みたいにさ」

(;^ω^)「・・・・・・・・・!!!!」

確かにそうだ。ブーンは一瞬、ドクオが自分に気を許した瞬間に少しだけ安堵してしまった。

「よかった。悟られないですんだ」

という考えが頭に浮かんでしまった。その隙を見事にドクオに見破られていたのだ。

(;^ω^)「くっ・・・・・!!」

('A`) 「その選択は賢かったと思うぜ?俺には勝てないって踏んで、奇襲策を練ったのはな」

('A`) 「でもブーン、お前は昔からそうだよな?詰めが甘いのさ」

168 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/15(月) 18:38:43.37 ID:A3Q6JkSD0
(;^ω^)「うう・・」

ブーンは思わず後ずさりしてしまう。正面からタイマンの勝負では明らかにブーンに勝ち目は無かった。

('A`) 「さて・・俺はお前を止める義務があるんだ。殺しはしないから安心しろよ」

(;^ω^)(もう終わりかお・・僕の夢物語は。こんなとこで・・情けないお)

ブーンは自分の未熟さを嘆いた。だが嘆いたところでなにも変わりはしない。
ゆっくりとブーンへ向かってくるドクオ。じりじり後ずさるブーン。
だが追い詰められるのはあまりにも早かった。まだ色を抜いていないビルの壁にまで追い詰められてしまった。

(;^ω^)「ち、ちくしょう・・」

('A`) 「さて、終わりにしようぜ?こんな下らない能力なんてすぐに捨ててさ」

ブーンはゆっくりと目を閉じた。きっとドクオなら一発で気絶させてくれる。そう思ったのだろう。

('A`) 「覚悟は決まったみたいだな。ブーン。それじゃあまた後で会おうな」

本当に終わった。ブーンはそう思った。あぁ、これでまたつまらない人生に逆戻りするという感情に襲われた。
せめてヤンキーでもボッコボコにしとけばよかった。とブーンはこの状況でも下らないことを思っていた。



169 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/15(月) 18:44:02.24 ID:A3Q6JkSD0
( ^ω^)(さあ・・早くしてくれお。ドクオ・・)

だがいつまでたってもその痛みは襲ってこなかった。

( ^ω^)(何を躊躇してるんだお。ドクオ。お前なら僕を気絶させる事くらいは簡単なはずだお)

そう思っても痛みが襲ってこない。代わりに、

(;'A`) 「うあああああああ・・・・!!」

聞こえてきたのがドクオのうめき声だった。ブーンは不思議に思って目を開いた。

(;^ω^)「!!!!!」

見えたのは右腕を押さえながら悶絶しているドクオだったのだ。

直接対決 完


前へ 次へ  目次 inserted by FC2 system