77 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/14(日) 22:06:52.93 ID:TvE3a1Nm0
親友との対峙

( ^ω^)「そういえば今日バイトだお。でもこの能力があるとバイトの商品とかも色消しちゃいそうだから今日は休むお」

ブーンは店長に電話して休む事を伝える。これかたブーンは世界ごとかえるというのに、律儀なものだ。

でもどこへ行く事もちゃんと決めていなかったブーン。ここら辺の性格は力を手に入れても何も変わってはいなかった。

( ^ω^)「・・そういえば、前からそこへいくたんびに目がチカチカする通りがあったお。そこにいってみるかお」

ブーンが言ってるところは、この町で一番大きな商店街「ラウンジ街」

ここのデザインを作ったのは、いまや有名な荒巻スカルチノフ氏。


78 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/14(日) 22:10:06.84 ID:TvE3a1Nm0
 / ,' 3

こんな顔をしている。どこかボーッしてる印象を漂わせるのだが、建築のデザインに関しては一流で、毎年依頼が凄まじいらしい。

 / ,' 3「芸術は爆発だ!!」

これが彼のキメ台詞になっていた。

ブーンは前から荒巻氏が嫌いだった。このデザインはどうしてもブーンには合わなかったらしい。

だからこの能力を手にした瞬間から、あそこへ行こうと決めていたらしい。

79 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/14(日) 22:11:33.45 ID:TvE3a1Nm0
( ^ω^)「あそこの色を全部抜き取ってやるお・・」

この言葉からブーンは前からどれだけあのデザインが嫌いだったのか受け止められる。言葉に憎悪が混じっていた。

( ^ω^)「さあ、早くいくお・・」

ブーンは足を急がせた。今日はどれだけ自分の気に食わない色を抜けるか分からない。

よく考えた末に、絶対一日では全ての色を抜くのは無理だから、まずは自分の気に食わないものから消していく事にしたらしい。

自分の愛車、デラベッピンwww一号(原付)に乗り、ラウンジ街へと向かうブーン。

その後ろ姿を謎の男が見ていたことに気がつかずに。

???「ブーンも俺と似たような能力を手に入れたのか。何となく雰囲気で分かった。あいつを止めなくちゃな」


80 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/14(日) 22:17:05.26 ID:TvE3a1Nm0
その声はとても渋い、いい声だった。その男はブーンに分からないように、ゆっくりとその姿を尾行していった。

十分後、無事に到着したブーン。周りを見渡すと、まためまいがした。これが初めてではない。

小さな頃に一度来て以来、毎回毎回この景色を見るとめまいがするようになってしまった。

( ^ω^)「ったく・・相変わらずチカチカしてるお。でもそれも今日で終わりだお」

入り口にあった、黄色の門にゆっくりと向かう。その門はこれから何が起こるかなんて分かりもしないだろう。

そして周りの人間にも。

( ^ω^)「それじゃ、やってみるかお。まだ力の加減はよく分からないけれど・・」

まだ少しためらいがあるのか、なかなか柱に触れないブーン。

そこへさっきの男も到着した。その男はまるで映画に出てきそうなスーツを着て、偵察を行っている。

83 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/14(日) 22:23:27.90 ID:TvE3a1Nm0
???「ブーンが色を消してその場を去ったら・・すぐに行動を始めないと間に合わなくなる」

静かにそう呟く。俺と似た能力。とさっき発言しているのならば、きっとこの男にも同じような能力があることは間違いないだろう。

と、ついにブーンが動き出した。

( ^ω^)「・・・・・・・・」

無言でゆっくり、ゆっくりと自分の指をその柱に付けていく。まだ色は消えてはいない。

( ^ω^)「このくらいじゃ色は落ちないみたいだお」

もう少し腕に力を込めてみるブーン。だが色はまだ落ちない。

( ^ω^)「・・・?なんで消えないのかお?キーボードを叩いたときはこのくらいの力で消えたのに・・」


84 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/14(日) 22:27:50.78 ID:TvE3a1Nm0
ものの大きさが違うからなのか?ブーンはそう思ってもっと力を込めてみた。手の平ごと柱に当てて、押すような感じに。

(#^ω^)「なんでだお!!これだけ力込めてもなんで消えないんだお!!」

それでも色は落ちない。ブーンが朝見たものは幻だったのろうか。

少し時間が立っても色が落ちてくれない柱についにイライラしだし、思い切り柱をぶん殴るブーン。

(#^ω^)「おりゃ!!」

ビキッ!!!その柱に亀裂が走った。

次の瞬間・・

85 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/14(日) 22:31:08.50 ID:TvE3a1Nm0
(;^ω^)「・・・・・・・」

その柱は一秒もしないうちに、真っ白になっていた。まさにあっという間だった。

( ^ω^)「力を入れすぎたのかお・・次からは力の加減に気をつけるお」

色を消せたのはいいが、門にヒビを入れてしまったことに関しては深く反省するブーン。

( ^ω^)「さあ、次のところに行くお」

通行人は唖然としていた。何故かあの印象的なあの黄色の門の色がいきなり抜けて白くなったのだから。


86 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/14(日) 22:31:45.46 ID:TvE3a1Nm0
???「ブーン!やってくれたな・・すぐに色を戻さないと」

スーツの男がその柱へ向かっていき、すぐに殴る。

ビキビキッ!!!ますますヒビが入ってしまった門。だが次の瞬間、一瞬で色が元に戻っていた。

通行人「・・・・・・」

思わず言葉を失ってしまった。通行人達。目の前で起こっていることが現実なのかどうか目をこすっていた。


87 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/14(日) 22:36:07.47 ID:TvE3a1Nm0
その間にもブーンはドンドン商店街の中へ向かい、気に入らない色は全て抜いていった。

( ^ω^)「こんなセンスの悪い色いらないお」

( ^ω^)「派手すぎなんだお」

どうやらブーンはこれで力加減を覚えたみたいで、大きい物や小さい物の色を瞬時に抜いていった。

いつも思い切りやればすぐに色が消えるという訳ではなく、サイズにあった力加減が重要なようだ。

だが、ブーンが色を抜いていくそのたびに、謎の男が現れ、その色を元に戻していく。

???「ったく・・久しぶりに見たと思ったらこれだもんな。ブーン、世界の色ごと奪おうとでもしてるのか?」


88 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/14(日) 22:38:31.40 ID:TvE3a1Nm0
内藤のことをブーンと呼ぶこの男。

そもそもブーンというあだ名は小学生の頃からずっといわれ続けている謎のあだ名である。

どうついたのか由来が分からないが、このあだ名を知っているという人物だという事は、ある程度ブーンのことを知っている人物である事は間違いない。

そしてその口から悪口が聞かれない所から、ある程度仲の良い人間と考えていい。

???「まあいい。それを阻止するのは俺の役目だからな。ブーン、そう簡単にお前の思い通りにはさせない。色の無い世界は味気ないんでね」

それだけ言い残して、またブーンの後を追跡する謎の男。

そもそも何故こんな現象が二人に、しかも同じ日に起こったのだろうか。それも謎に包まれたままだ。


90 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/14(日) 22:44:35.50 ID:TvE3a1Nm0
( ^ω^)「ふーっ、だいぶこの商店街の気に食わない色を消したお」

ブーンは色を消すのに夢中で、後ろなんて全く振り向いてはいなかった。消したはずの色が戻っている事なんて気がつかずに。

少し休憩をはさみ、またブーンは商店街の色を奪っていく。あんなに華やかな商店街があっという間に白くなっていく。

だがそれも少しだけで、ドンドン色は戻っていく。あの謎の男の仕業で。

ブーンは未だ、それには気がつかない。謎の男はブーンの能力に気が付いたというのに、何故ブーンはその男に気が付かないのか。

それは天性の生まれもった性格に原因があった。

ブーンは昔から注意力散漫で、一人でいる時はよっぽどの事を感じなければ気が付く事も無い。

それが災いして、その男の存在にも気が付かないのだ。

91 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/14(日) 22:45:15.43 ID:TvE3a1Nm0
ようやく商店街を抜けたブーン。自分の気に食わない色は全て消したと思い込んでいる。

( ^ω^)「ちょっと疲れたお。この能力を発動するたんびに少しずつ疲れてる気がするお」

ブーンは自分の体力を計算に入れていなかった。当然能力を発動させるたびに体力は奪われる。

朝、自分の力を確認した時は、凄まじい力があったということだけに目を奪われ、自分の体力までには気がいかなかった。

確かに力が上がったことによって、体力は上がっていた。だが、この能力を発動させるには結構な体力を要する。

おそらく今日、ブーンが色を抜ける建物は、商店街三つ分くらいだろう。ブーンにはまだそれだけの体力しかない。

充分といえば充分なのだが、世界中の色を奪おうとしているブーンにとっては、足りない。足り無すぎる。


92 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/14(日) 22:49:48.95 ID:TvE3a1Nm0
( ^ω^)「ふぅ、まあいいお。時間が限られてるお。次はあの派手なビルが沢山あるとこにでも向かうかお。

次にブーンが行こうとしようとしているところ。そこは「ニー速市」

ニー速市はここ最近発達しだし、企業が沢山そこに拠点を作り始めた。

沢山のビルが立ち並ぶ。ただビルが建っているだけならば、何も問題はないのだが、

何故かあそこのビルは派手な物が多い。赤、青、緑・・学校の運動会の色に出てきそうなものばかりだ。

そんなに派手なビルが沢山あるのはなんでなのか?どうやらそこの社長達は派手者好きばかりでそれぞれがビルのデザインで競っていたからだとか。

一度ブーンはドクオと一緒にそこまで出かけた事があった。


93 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/14(日) 22:51:51.86 ID:TvE3a1Nm0
(;^ω^)「うおっまぶし、なんだおこのビル達は」

('A`) 「なんか最近たったらしーぜ。派手なビルだよな」

(;^ω^)「・・・・・・・」

('A`) 「どーした?」

(;^ω^)「い、いや・・なんでもないお」

(;^ω^)(明らかに不快感を覚えたお。こんなもの建ててる暇あるんなら他のことに金かけろお)

思わずブーンはその言葉が口に出てしまいそうになった。だが隣にはドクオがいる。

ドクオを不快にさせてはいけないと思い、愚痴は心の中にしまったおいたみたいだ。

94 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/14(日) 22:57:46.07 ID:TvE3a1Nm0
よく考えてみるとブーンが色を消す能力を欲していたというのはあながち冗談では無かったのかもしれない。

自分でも知らず知らずの内に目障りな色が増えたせいで、そういう力が欲しいと無意識に思っていたのかもしれない。

その願いが強くなり、昨日の夢に出てきた女。

ブーンは能力を与えられたという形になってはいるものの、本当は自分の潜在能力を引き出しただけとも考えられるかもしれない。

なんにせよ、いきなりこの力を手に入れた原因はまだ何も分かっていない。

( ^ω^)「さあ、力が残っている内にさっさと消すかお」

だいぶ手馴れてきたようだ。だが、ビルほどの大きさの物をどうやって消すのだろうか?

96 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/14(日) 23:02:17.20 ID:TvE3a1Nm0
( ^ω^)「ふおおおおお・・」

どうやら力を溜めてるようだ。さすがにさっきの門みたいに一発殴れば消えるような建物ではない。

だがどうするつもりなのか。いくら力を溜めただけでも、殴るだけではせいぜい色は抜けても半分ほどだろう。

ブーンにはブーンなりの考えがあるのだろうが、これでは無謀すぎるだろう。

と、ブーンが動きだした。ゆっくりとビルに向かう。

( ^ω^)「うおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!」

そこら中一体に響き渡るその声。そしてビルを思い切りたたき出した。叩いた場所にはドンドンダメージを受けていく。

97 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/14(日) 23:02:37.31 ID:TvE3a1Nm0
少しずつ白に変わっていくビル。ブーンはその勢いを保ったままずっと殴り続けた。

数分後、そこには真っ白になったビルが目の前にあった。

(;^ω^)「はぁ・・はぁ・・はぁ・・ビルの色を抜くのはしんどいんだお」

まだまだブーンの体力ではビルの色を抜くには時間がかかった。

だがこれでも凄まじいほどの進化を遂げているのだ。

今日起きた時の能力の威力はまだビルの色を消せるほどは備わっていなかった。

それがただ商店街の色を抜いただけで、ビルの色を抜けるようになるほど成長したのだ。

しかもある程度疲れている状態なのにも関わらずだ。この男、実は凄まじい成長能力を持っているのかもしれない。

あまりにも疲れたブーンは一度休憩する事にした。ビルに背中をつけて、ノンビリと座っていた。


98 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/14(日) 23:02:58.64 ID:TvE3a1Nm0
ドンッ!!!!凄まじい衝撃が自分の反対側から襲ってきた。

(;^ω^)「うおっ!!」

思わずその衝撃で前へこけてしまった。もう一度ビルを見てみると・・

(;^ω^)「なっ・・・」

一度色を抜いたはずのビルは元通りにの色を取り戻していた。

???「そんなにノンビリしているからだぜ?ブーン」

後ろから聞き覚えのある声がした。思わず後ろを振り返った。

(;^ω^)「ど・・ドクオ!?」

スーツに身を包んだ男。それはドクオだった。

('A`) 「あんまりぶっ飛んだことしちゃダメだぜ?ブーン」

今、正反対の能力を持った者。親友同士が対峙する。

親友との対峙 完


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