九回目
1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 00:07:08.17 ID:a5jkI0HS0
^q^<後半です

前(半)スレ
ttp://mimizun.com/log/2ch/news4vip/1289104100

まとめサイト様
ttp://localboon.web.fc2.com/

いつもの如く、暇だったら見てくださいお!^q^

3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 00:10:04.49 ID:rZr/0X9Y0
イ从゚ -゚ノi、「状況は!?」

ζ( o ζ「・・・」

無言のデレ。忙しく展開される、デレの魔法。
後と右の景色が大きく変わっているが、狸狼娘と狼娘はどうやら無事な様だ。

リi、;゚- ゚イ`!「えっとね・・・略式魔法で"ツクザィン"2発。
       結果は見ての通り・・・今!3発目を撃つよ!」

ζ( o ζ「ツクザィン」

リi、;゚- ゚イ`!「ちぃ!!」

パァァァァァァアアアアア!!

大きな発光と共に、直線状に大地が爆ぜる。

ッシュウウウウウウゥゥゥゥゥゥ・・・

リi、;゚o ゚イ`!三3「ふぅ・・・」

間一髪、ツクザィンを回避する狼娘。
情緒ある森の風景の一部が、青い空へと変わってしまっている。

リi、;゚ー ゚イ`!「ハァ・・・ハァ・・・
       あの"バリア"・・・"アリバエン"より硬くて全然潰せないしぃ・・・
       いやぁー、こりゃまいったね、こりゃ!アハハハハ!!」

4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 00:13:13.33 ID:a5jkI0HS0
从;ー_ー从ト「狐姉ェ・・・どうする?魔法陣を消す?
      早くしないと、この騒ぎで"魔王軍"が来ちゃうよぉ・・・」

イ从゚ ー゚ノi、「・・・よし決めた。こいつをこのまま捕まえよう。
      魔女が作ったといっても、所詮はただの魔法。少し小突けばすぐにボロを出すだろう。
      ただ、お前は危険だから魔法陣は一時中断して、少し離れていてくれ。」

从;´ヮ`从ト「う、うん・・・」

狸娘は言われた通りに魔法陣の描写を一時中断し、狐娘達の後へと退がった。

ζ( o ζ「・・・」

魔法陣の描写が中断された為か。
デレの動きが一旦止まる。

イ从゚ ー゚ノi、「狼よ、いけるか?
      なんなら私にまかせて、休んでいてもいいんだぞ?」

リi、;゚ー ゚イ`!「ふん・・・!全然大丈夫だよ狐姉ェ!
       なんなら、私1人でもいいよ?」

イ从゚ ー゚ノi、「いくぞ、狼・・!」

リi、;゚ー ゚イ`!「うん!」

二人は息を合わせて、一斉にデレへと襲いかかった。

5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 00:15:59.57 ID:a5jkI0HS0
ζ( o ζ「ゲイゲキ」

デレは二人の襲撃には上級衝撃魔法"ツクザィン"で迎撃し、
自身はバリアで身を守った。

ツクザィンは狼娘達には当たらず、
狼娘達はデレを守るバリアを破る事ができない。

戦いは壮絶な消耗戦へと突入した。


・・・かに思われたが、それも長くは続かない。

ζ( o ;ζ「・・・」

額より流れる、汗。
激しさを増す後ろの魔法陣とは対象的な、先程と比べて明らかに衰弱している魔色。
その様子は、まるで今展開しているこの魔法が、既に終焉へと向かっている事を現しているかの様だった。

リi、;゚ー ゚イ`!「あれ?詠唱しなくなったよ?王女の奴・・・
       もしかして・・・もう限界なんじゃない!?
       なんだ、大した事ないじゃん!こりゃ働き損だったかな?」

イ从゚ -゚ノi、「いや、まだだぞ狼よ。恐らくここからが本番だ。
      奴は、過程はどうであれもうそろそろ脱出を試みるはずだ。それを止めねばならん
      狸も魔法陣を一時中断して、その魔法の阻止に当たってくれ。」

リi、;゚ー ゚イ`!「りょうかい!
       最後の一仕事、頑張ろっと!!」

6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 00:19:05.04 ID:a5jkI0HS0
イ从゚ -゚ノi、「狼よ・・・移動魔法、ちゃんと全部覚えているな?」

リi、;゚ー ゚イ`!「うん!魔法の行使・・・見逃さないから安心して!!」

从´ヮ`从ト「我は今より起こる魔の奇跡に異議を申し立てる物也。
       魔よ、我に集う魔気を用いて、我の願う魔の奇跡を打ち消したまえ!!」

シュウウウウウウ!

狸娘の周りに、大きな魔法陣が展開される。

狐娘はそれを確認すると、強めに魔色を発しはじめた。

イ从゚ ー゚ノi、(さぁ・・・近づく限界に、さらに強みを増す害意
      魔女よ・・・この状況、どう判断する!?)

ζ( o ;ζ「・・・テキヲ タオセナイト ハンダンシマシタ 
       テッタイ シマス」

デレが人工的な口調でそうポツンと呟くと。
後の魔法陣は、さらに激しさを増して回転しはじめた。

イ从゚ヮ゚ノi、「アハハハハハ!!やはり、単純な命令しかできなかった様だな!
      近づく敵は排除!倒せない敵が現れた場合は撤退!!
      蓋を開けてみれば!実にあっけない魔法だったな魔女よ!!」

8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 00:22:15.71 ID:a5jkI0HS0
リi、;゚д゚イ`!「これは・・・?この詠唱!攻撃魔法と補助魔法・・・2つ同時に出す気だよ!!
       ・・"ディザィン"と"ケブエイション"!!!」

イ从;゚ -゚ノi、「!!
       チィイ!衝撃魔法付きか!!
       魔よ!我らに襲い掛かる災難から救う為に、我らを覆い保護りたまえ!!"アリバエン"!!」

ヒュウウウ!
狸娘を囲う様に、小さな透明色の膜が展開される。

イ从;゚д゚ノi、「狸!!ケブエイションの方だぞ!!」

从;´ヮ`从ト「わかってる!!
       今!その魔によって、奇跡ケブエイションを打ち消したまえ!!"ターカランスバウン"!!!」

ζ( o ;ζ「ディザィン!」

狸娘に被せるように、デレはディザィンを放った。

9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 00:24:01.60 ID:a5jkI0HS0
狸娘に被せるように、デレはディザィンを放った。
・・・しかし

イ从;゚ -゚ノi、「・・?衝撃が出ない?」

リi、;゚д゚イ`!「違うよ狐姉ェ!下ァ!!」

ゴゴゴ・・・
轟音と共に、凄まじい速度で地面が盛り上がっていく。

イ从;゚д゚ノi、「こいつ!ここいら一体丸ごと潰す気だ!!
       離れろ狼ィ!!」

リi、;゚д゚イ`!「わかってる!!」

二人とも、一目散にその場から撤退する。

・・・この衝撃魔法は敵の抹殺を目的としていない。
デレの狙い。それは移動魔法を安全に発動する空間を作る事―つまり、"人払い"!!

ッチシャアアアアアアアアア!!!!

砂が弾け飛ぶ散乱音と共に。そこら一体の地面が大きく上に爆ぜ飛んだ。

从;>д<从ト「キャアアアアアア!?」

周りを囲う球体上の膜ごと、その爆発に巻き込まれる狸娘。
周りの地面と共に空へと舞い上がる狸娘。土と爆発音で、周りで何が起こってるか確認できなくなる。
が、この衝撃では、どうやら狸娘を覆う膜を破る事はできない様だ。

10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 00:27:00.48 ID:a5jkI0HS0
ζ( o ;ζ「・・・ケブエイション。」

そんな事などつゆ知らず。
デレの魔法陣は、隠れる様に小さく魔法を発動した。

シュン・・・

ζ( − ;ζ「!?」

しかし、魔法は発動しない。
狸娘が発動した上級相殺魔法「ターカランスバウン」によって、魔法の発動を消滅させたからだ。

ζ( 、 ;ζ「・・!」

再度魔法を発動させようと、略式詠唱を再開する魔法陣。
だが、既に限界が来ていた魔法陣は、魔力をケブエイションに振り分ける事ができない。
その衝撃から、デレを守るために使う"バリア"の行使で精一杯なのだ。目くらましの為のディザィンが、魔法陣に仇を為して襲ってくる。

ζ( − ;ζ「・・!」

魔法陣は必死にデレを守ろうとするが、この魔法も上級衝撃魔法"デイザィン"。
度重なる狼達の襲撃を守ってきたこのバリアも、この疲労状態の上にこうも完璧に魔法に直撃しては、
守りきる事はできないのだ。

パリーン!!

ζ(    ζ

デレを守るその最後の防波堤もついに突破され。
デレは無防備なまま、その衝撃に呑み込まれていった。

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 00:30:01.04 ID:a5jkI0HS0
ゴゴゴゴゴ・・・

土埃はまるで霧の様にあたり一面を覆い隠し、全てを曝け出す事を拒否している。
木も土も、粉々。まるでそこいら一帯をまるごとミキサーにでも掛けたかの様に、全てが無理矢理混ざり合っている。
だが、当然くっつく事はない。ただ全てを粉々に砕いただけである。

从´ヮ`从ト「ふぅ・・・あぶなかった〜」

その中で、唯一といっていい程に綺麗に原型を保っているのは狸娘だ。
狐娘は自身を守ったその膜の外に出て、現状を確認しはじめた。

从´ヮ`从ト「手ごたえはあったけど・・・上手い事、阻止できたかなぁ・・・
       王女・・・」

が、土埃に加えてミキサー状態に散乱する木や岩の跡。
魔素も魔色も散乱しているこの状態の中で、デレを探すのは容易ではないだろう。

从;´ヮ`从ト「ぐちゃぐちゃすぎて、よくわかんないや・・・」

腕を組み、困った様子の狸娘の元に。

リi、゚ー ゚イ`!「うひゃぁー
       無茶苦茶するなぁ・・・王女。」

イ从゚ ー゚ノi、「大丈夫か?狸よ。」

狐娘と狼娘が帰ってきた。

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 00:33:11.16 ID:rZr/0X9Y0
从´ヮ`从ト「あ!狐姉ェ達も無事だったのかぁ!良かった」

リi、゚ー ゚イ`!「当然だよ狸姉ェ!アタシ達を誰だと思ってるのさ!!
       あの衝撃の中に居たって、余裕で生き残れるもんねー!」

イ从゚ ー゚ノi、「ま、そんなリスクが高くて、面倒な事はしないがな」

从´ヮ`从ト「狐姉ェ・・・王女の事、どうだった?
       とりあえず今、偵察隊の準備中だけど・・・」

イ从゚ ー゚ノi、「大丈夫だ。移動魔法の"流星"は見えていなかったからな。
      あの状況で魔法陣を書けたら話は別だが・・・まぁ、ここにいるだろうな。
      とりあえず、"残り香"を追おう。狼、いけるか?」

リi、゚ー ゚イ`!「まっかせといて!!」

13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 00:36:04.94 ID:a5jkI0HS0
リi、゚ー ゚イ`!「んー 流石にここまで荒れると、探すのは難しいなぁ・・・」

ポリポリと頭を掻きながら嘆く狼娘。
だが、言葉とは裏腹に行く先はあらかた定まっている様で、
一定の方向へ向かって進み続けている。

从´ヮ`从ト「これは・・・」

狼娘達の先にあった"モノ"。
それは

リi、゚ー ゚イ`!「血の跡・・・」

それは赤色の、それも人間の血の水溜りだった。
その先にはさらに、ポタポタと血が垂れ落ちた跡が、道しるべの如く続いている。

リi、*゚ー ゚イ`!「ふふーん」

イ从゚ ー゚ノi、「ククク・・・近いな。
      いくぞ二人とも!」

从´ヮ`从ト「うん!」

14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 00:39:01.08 ID:a5jkI0HS0
はぁ・・・ はぁ・・・
   はぁ・・・   はぁ・・・

それはズタボロで、いつ消え果てもおかしく無い命。
ズルズルと足を這いずりながら、それでも必死に生きる命。

本人も悟っているだろう。もう持たない命だろうと。
幾ばくか経てば、尽き果てる命なのだろうと。

だが、それでも。
這いずる音は止まない。

背後から、死神が近づく気配がする。
最早まともな五感など存在しないはずなのに、それだけははっきりと理解できた。

逃げなければ。
自らの為でなく、目的の為に逃げなければ。

少しでも、少しでも目的を遂げる可能性があるのなら。
逃げなければならない。命、尽きようとも・・・

16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 00:42:08.89 ID:a5jkI0HS0
イ从;゚o゚ノi、「こ、こいつは・・・!」

狐娘は驚きを隠せなかった。
ポタポタと落ちていた、その血跡の張本人は。

ζ(   ζ(#ノA )

・・・ドクオ。
あの衝撃の中で誰よりも早くデレを見つけ、
誰よりも早くデレを助け、誰よりも早く脱出を開始していたのだ。

残る魔力を全て両足のトポーサにつぎ込んで、それでもなお、歩くのがやっとという現状で。
何より優先したのが、デレの逃亡。まさにそれは、執念と言う他無いだろう。

リi、゚- ゚イ`!「・・・あれ?こいつ斃したんじゃ・・・
       ・・・狐姉ェ?」

イ从;゚ -゚ノi、「・・・・・・・・・・・」

もうとっくに追いつかれてるのに、ドクオは気付かない。

ζ(   ζ(#ノA )「・・・例えもう・・・闘えないとしても・・・
         デレちゃんは・・・デレちゃんだけは・・・」

その覚悟だけ、口から漏れ出し続けている。

リi、゚- ゚イ`!「・・・これは・・・狐姉ェ・・・
       ・・・。」

17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 00:45:27.17 ID:a5jkI0HS0
そんな様子のドクオを、三人は何もせず、ただ見つめ続けていた。
それはとても歪な後景だ。狸娘はもとより、好戦的なあの狼娘でさえ、判断を狐娘に委ねているのだ。

イ从;゚ -゚ノi、「・・・」

三人は何を思ったのだろうか。
ドクオのその姿に恐怖したのか、またはその執念に畏怖したのか。

イ从; - ノi、

狐娘がやった事は。

ポン・・・

(#ノA )ノノ ミ ζ(   ζ

・・・ドサッ

ただ、ドクオを押し倒す事だけだった。

(#ノA )「糞・・・体が思う様に・・・うごかねぇ・・・」

ドクオは背中を押された事さえ気付かない。
ズルズルと、這いずりながらデレの所へ向かっている。

19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 00:49:01.92 ID:a5jkI0HS0
リi、゚- ゚イ`!「・・・」

从´−`从ト「・・・」

もはやドクオに余力など残っていない事は、誰の目から見ても明らかである。
だが、それでもなお。誰も敵であるドクオを殺そうとはしない。
ただ、三人共に何かを思い出した様で、その表情は暗かった。

イ从 - ノi、「・・・こいつが王女に触れていたという事は、もう魔法は掛かっていないんだろう。
      連れて行くぞ・・・狸は、あの魔法陣を完成させてくれ・・・」

狐娘は、まるでドクオから目を背けるように。王女だけ見て呟いた。
狸娘達も、無言でそれに従い、淡々と行動を開始する。

20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 00:50:59.09 ID:a5jkI0HS0
(#ノA )「・・・!」

この現状を。
ドクオの目には。デレが死神に攫われているように写った。
二人の死神がデレの両手をがっちりと押さえ、残りの1人がその釜でデレの首を狩ろうとしている様に。

(#ノA )(・・・)

助けなきゃいけねぇ。動けないのなら、デレちゃんを起こして逃げてもらわなきゃいけねぇ。
起こさなきゃ。起こさなきゃ。

起こさなきゃ・・・
起・・・

(#ノA )

・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・

21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 00:54:06.10 ID:a5jkI0HS0
【|゚ノ ^∀^)「もうっ!さっさと起きなさいよ、ドクオ!!
        アナタ本当にそれで冒険者なの?」】

('A`)・・・?

・・・おぉぅ、レモナか。
そういえば・・・もう、何年会ってなかったっけぇ

【|゚ノ ^∀^)「また寝ぼけちゃって!私が怪物だったら、死んでるかも知れないわよ?
        早く起きなさいよ!もう・・・」】

・・・あぁ、今起きるよレモナ・・・
あれ?俺何か、忘れ物をしているような・・・

【|゚ノ ^∀^)「もう、またそんな事言って・・・いつまでそうしているつもり?
        せっかく楽しみにしてた遊園地の日なのに・・・どうでもいいっていうの?」】

・・・そんな事ないよ・・・
今・・・起きるからさ・・・

【|゚ノ ^∀^)「・・・さ、早く起きて、私と一緒に行こう?・・・」】

・・・あぁ・・・そうだな。
何故だか知らないが、とても疲れたよ、俺は・・・

23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 00:57:10.47 ID:a5jkI0HS0
【|゚ノ ^∀^)「・・・なーんてのは、後でいくらでもできるけどねぇ・・・
        もう限界なんて・・フフ。ちょっと早いわね、ドクオ。」】

・・・?
どういう意味だ?

【|゚ノ ^∀^)「・・・ホラ、覚えてる?昔アナタに教えた、寝ぼすけさんによく効く魔法。
        私が何か一つでも魔法が使えたほうが良いって、無理矢理教えたあの魔法よ。
        アナタ、魔法は使えないとか言って、ろくに会得しようとしなかったけど。」】

・・・あぁ、あの眠気覚ましの魔法の奴か
それが・・・?

【|゚ノ ^∀^)「試してみようよ、ドクオ。今ならきっと出来るわよ?
        ・・・・ありがとうね、ドクオ。あんな最後だったけど、とても幸せだったわよ?私。
        今度は後悔しないようにね。・・・それじゃ、頑張ってね。」】

・・・おい?レモナ?
・・・・・・言いたい事言って、消えていって・・・何が言いたかったんだ?あいつ・・・
眠気覚ましの魔法か・・・懐かしいな・・・たしか・・・

(#ノA )「魔よ・・・体に眠りしその意識を、今ここに目覚めさせよ・・・"ロクック"・・!」

24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 01:00:20.09 ID:rZr/0X9Y0
スゥゥウウウ・・・

ドクオから絞り出た、魔力かどうかさえ怪しい程、小さな小さな魔力の塊は。
静かに、それでも確かにデレに直撃した。

ζ("、" ζ「ん・・・んん・・・」

(#ノ∀ )「へへ・・・起きてくれたか・・・」

糞・・・もうスッカラカンだ・・・
無事に・・・生き延びてくれよ・・・

(#ノ∀ )

リi、゚- ゚イ`!「狐姉ェ・・!こいつ起きるよ!?」

イ从゚ -゚ノi、「チッ・・・面倒だが問題はない。
      今の王女なら、多少暴れた所でどうせ私達には敵わないんだ。
      放っておけ。」

リi、゚ー ゚イ`!「それじゃ、もし暴れたら遊んでいい?」

イ从゚ ー゚ノi、「好きにしろ」

ζ("、" ζ「あれ・・・?そういえばなんで・・・?」

25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 01:03:03.12 ID:a5jkI0HS0
【ζ( −゚ ζ「あ・・・ぁ・・・・・・・・・」

イ从゚ ー゚ノi、 从´ヮ`从ト リi、#゚- ゚イ`!

ドクオ――さ――
――ブー―――――ん――――
――――た―――――――――――――たす―――――――――――――――――――――――】


ζ(゚A゚;ζミガバッ!「そうだ私!?」

ここは・・・森の中!?
皆はどうなったの!?ドクオさんは!?ブーンさんは!?ばつちゃんは!?

イ从゚ ー゚ノi、「お目覚めかな?王女さん?」

敵!?

ζ(゚д゚;ζ「・・!」

そんな・・・まさか!
じゃあ周りの皆は!?

26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 01:06:01.55 ID:a5jkI0HS0
デレは急いで周りを確認し始めた。

(#ノ∀ )

ζ(゚ ゚ ζ「」

いや、正確にはすぐ傍にある、ドクオの姿を確認した。
最も、それがドクオだと理解するまでしばらくの時間を有したが・・・

ζ(゚д゚;ζ「そ・・・そんな・・・
      う・・・嘘でしょ?・・・ドクオ・・・さん?」

(#ノ∀ )

ドクオは何も、動かない。
細く開いているその目も、そのにやけた口元も。

イ从゚ ー゚ノi、「可哀想に・・・
      無駄な足掻き"だった"よ・・・あの人間」

その言葉を聞いて、ドクオの現状を、デレはほぼ正確に把握した。

ζ(゚∀゚ ζ「・・・・・・あ・・・あはは・・・
      アハハハハ!」

ζ(   ζ「―――


――――――――――コワレチャエ、コンナセカイ。

27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 01:09:02.75 ID:a5jkI0HS0
カチリ。
デレの中で、何かが切り替わる音がした。

イ从゚ ー゚ノi、「クックック・・・絶望したか・・・
      これは好都合・・・」

イ从゚ -゚ノi、「だ・・・」

その言葉と反比例するかのように、狐娘の口数が目に見えて少なくなっていく。

イ从;゚ -゚ノi、「ば、馬鹿な・・・これほどまでとは聞いてないぞ!?」

リi、;゚- ゚イ`!「・・・シャレになんない・・・」

それの危険性を察したのか。
二人とも、急いで臨戦態勢を取り、デレから離れた。

ζ(゚ー゚"ζ「・・・・・・クックックックック・・・」

どこか違う雰囲気。デレから漂う"練りに練られた魔色"。
デレ・・・いや、デレだった何かと言った方がいいだろうか。

その雰囲気は。その魔色は。漂ってくる明確な死の香りは。
全てが今までのデレとは明らかに違う。むしろ普段のデレとは正反対な位、危険な香りを醸し出していた。

28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 01:12:00.14 ID:a5jkI0HS0
ミ ζ"゚ー゚)ζ ス・・・

イ从;゚Д゚ノi、「狼ィ!!」

リi、;゚д゚イ`!「解かってる!」

まるで恐ろしい攻撃魔法が飛んできたかの様に。
二人はデレの挙動を察した瞬間、大急ぎでさらに距離を取った。

ζ(゚ー゚"ζ「・・・」

だが、デレは気にしない。
目の前の二人が、まるで眼中に無いかの様だ。
デレは、ゆっくりと。ゆっくりと。

(#ノ∀ )

ドクオへと近づいた。

ζ(゚ー゚"ζ「おい・・・"そこのお前"・・・
      一時とはいえ、"この吾を目覚めさせた事"、褒めてやる。」

デレはそう言いながら、ドクオの体に触れた。

ポウ・・・
淡く光るデレの手は、ドクオのデコボコのその体を、見る見る内に元に戻していく。

(#ノA )「グ・・グフゥ!?」

意識を失いながら、ドクオはドス黒い血を吐いた。

30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 01:16:39.25 ID:a5jkI0HS0
ζ(゚ー゚"ζ「その痛みを乗り越えた後に、生が蘇る。
      吾を起こした褒美じゃ。数時ぶりの苦痛、感謝しながら味わっておくがよい。」

リi、;゚A゚イ`!「き・・・狐姉ェ・・・
       ・・・こ、こいつ全然油断しないよぉ・・・」

イ从;゚д゚ノi、「解かってる・・・!い、一瞬の隙を逃すなよ狼・・・!
       じゃないと私達・・・こいつに・・!!」

ζ(゚ー゚"ζ「おい・・・そこの二人。」

リi、;゚- ゚イ`!「!!」

イ从;゚ -゚ノi、「・・!」

ζ(゚ー゚"ζ「いつまで突っ立っておる。
      この吾の前で無礼ではないか。
      平伏さぬか、ほれ。」

デレは、そう言って手のひらを上から下へちょいを下げると。

ダァン!!

 ミ リi、;゚д゚イ`! 「うわぁ!?」

イ从;>Д<ノi、「うわぁあ!?」

狐娘が地面に叩きつけられた。
狼娘は間一髪でその衝撃の回避に成功したが、狐娘は回避できずにもろに衝撃を受けてしまう。
連続的に続くその衝撃の圧力は、狐娘を地面へと拘束する。

31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 01:18:55.36 ID:a5jkI0HS0
イ从;>д゚ノi、「クッ・・・な、なんだ!?これは・・・!
       ・・・魔法、なのか・・・ッ!?」

ζ(゚−゚"ζ「ほう・・・吾の命に逆らうとは・・・
      余程の命知らずと見えるな。大人しくしておけば、苦しまずに死ねるぞ?」

リi、;゚ー ゚イ`!「・・へへーん ヤラれなければ、死なずにすむじゃん?」

ζ(^ー^"ζ「クックック・・・威勢が良いな・・お前!
      いいだろう。もがき苦しむ権利を与える。
      その言葉・・・通用するかやってみせよ!!」

そういうとデレは、何かを投げ飛ばす仕草をした。

―――――!

リi、;゚- ゚イ`!「・・・!?」

・・・何もないけど、何かヤバイのが来る・・・!!

狼娘は、そのせまりくる"何か"を、危険信号という本能で察した。
間一髪、その何かを回避する。

その何かは、そのまま狼娘の後にあったモノ全てを、無音で消し去っていった。

32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 01:21:26.12 ID:a5jkI0HS0
リi、;゚A゚イ`!「・・・・・・・何・・・・・・これ・・・?」

ζ(^ー^"ζ「面白いだろう?吾も昔、感覚を研ぎ澄ます為によくこれで遊んだものよ。
      姿形は元より、魔力すら感じない本当に"透明"なこの魔弾。お前はいくつまで避ける事が出来る?」

ζ(^∀^"ζ「ククク・・・アーッハッハッハッハッハ!」

笑いながら、デレは何度も繰り返しモノを投げる動作をした。
"見えない何か"が、幾重にも重なりながら狼娘に襲いかかる。

リi、;゚д゚イ`!「くっ・・・!」

右に避けろ!体を左に捻って避けろ!しゃがんで避けろ!後ろへ避けろ!後に行き過ぎるな!避けろ!
避けろ!避けろ!避けろ避けろ避けろ避けろ避けろ避けろ避けろ避けろ!!

ひたすら近づくその見えない何かを。感じる事ができない何かを。
狼娘は本能で察し続けた。次々と矢の様に飛んでくる危険信号に忠実に従い続け、なんとかそれを回避し続けている。

ζ(゚ー゚"ζ「ほれっ。ほれほれほれほれほれ。」

デレはまるで遊ぶかの如く、何度も何度も見えない何かを発し続ける。

リi、;゚- ゚イ`!「くっ・・・!くぅっ・・!!」

その速度も尋常では無く、狼娘程の魔族が回避に徹さねばいけない程だ。
最早大きく距離を取る余裕すら無く。デレの攻撃に為す術も無く受け続けるしか無かった。

33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 01:23:58.81 ID:a5jkI0HS0
ζ(゚∀゚"ζ「アッハッハッハッハッハッハ!
      どうしたどうしたぁ!先程はあれだけ威勢が良かったのに、
      今は吾が許しを出すのを、請うような顔になっておるぞ!
      ククク・・・アーッハッハッハッハッハッハ!」

デレが言う様に、狼娘はどんどんと余裕が無くなっていった。
チリチリと、髪が少しづつ魔弾に削り取られていく。

リi、;゚д゚イ`!「狐姉ェ!!」

狼娘はたまらず、狐娘に助けを求めた。

イ从;> -<ノi、「い、今抜け出る!!」

狐娘は、そう言うと必死の形相で地面を這いずり、
ようやくデレの呪縛から開放された。

ζ( ゚ー゚"ζ「ほう・・・お前も吾と遊ぶ気か?
       別に1人だろうが2人だろうが一向に構わんぞ?
       ククク・・・」

イ从;゚ -゚ノi、(糞・・・冗談じゃない!私達は上級上流魔族だぞ!?
       この私達を相手にして、この一方的な展開・・・!)

奴の実力は間違いなく、あの"破壊王"とほぼ互角かそれ以上・・・!!

36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 01:27:31.38 ID:a5jkI0HS0
イ从#゚皿゚ノi、「畜生めぇ!ここまで来たのに!!王女を捕獲する実力が足りないとは!!
       狼!!"アレ"をやるぞ!!!」

リi、;>д<イ`!「わかってる!は、早くしてー!!」

イ从 ゚ -゚ノi、
イ从リ゚ w゚リi、

狐娘の姿が、突如変化しだした。
狐娘の尻部から、九本の尻尾が生えだす。

イ从リ゚ w゚リi、「"九尾"・・・"参ノ尾"」

グラァ・・・
狐娘が発した何かは、景色を大きく歪ましながらデレに襲いかかった。

ζ(゚−゚"ζ「・・!」

それは慢心か。デレはなんの抵抗も無く、その何かを喰らう。

ζ( д "#ζ「・・ぐぅ!?これは・・・視界が!?
      貴様!!わらわに一体何をしたッ!!」

その何かは、どうやらデレの視界を奪う事に成功した様だ。
デレはそう叫び散らすと、自らを囲う透明の膜を形成した。

37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 01:30:08.24 ID:rZr/0X9Y0
イ从リ゚ w゚リi、「チャンス・・!」

狐娘はデレの攻撃が止んだ事を確認するや、
急いで狼娘の所へ飛び込み、狼娘を抱えこんだ。

リi、゚ー ゚イ`!「狐姉ェ!」

イ从リ゚ w゚リi、「狸の魔法陣へ逃げるぞ!」

リi、゚ー ゚イ`!「うん!」

2人は、一瞬でその場から姿を消した。

ζ( д "#ζ「何をしたかと聞いておるのだ!!」
ζ(゚д゚"#ζ「答えよ!!」

デレが叫ぶと同時に透明の膜から閃光が走る。
その閃光は、目の前の景色を一瞬の内に砂塵へと変えた。

そしてデレの視界が戻る。
しかし、デレの周りには気を失ったドクオしかいない。

遠くの方で、大きな何かが発光しながら彼方へ飛んでいくのが見えた。

38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 01:33:10.77 ID:a5jkI0HS0
ζ(゚ー゚"#ζ「・・・ククク・・・せっかくの"餌"に逃げられるとは・・・
       不甲斐無い・・吾も衰えたものじゃ・・・」

ζ(゚ー゚"ζ「はぁ・・・まったく。
      どれもこれも、この小娘が怠けていたのが原因じゃな
      昔の方が、まだ自由に動き廻れたわ・・・」

ζ(゚ー "ζ「魔色も・・・埃が溜まった隙間に、魔力を流し込んで・・・
      綺麗にする事ぐらいしか・・・できなんだ・・・
      しかもそれで・・・限界が来るとは・・・」

ζ( д "ζ「説教せねばならぬな・・・わらわを囲う・・・者共に・・・」

ドサッ

ζ(   ζ

(    )「・・・やっとおさまったか・・・
       まったく・・・」

デレが意識を失った事を確認するや、その者は警戒しながらデレの前に現れた。
同時に、沢山の魔物がそこら中を走りまわる。その魔物達は、どうやら何かを探しているようだ。

40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 01:37:05.09 ID:a5jkI0HS0
(    )「下っ端共に"絶対に喰うな"と伝えろ。
       いいか、徹底させろよ!足の指一本喰うんじゃないぞ!!」

(   )「へ、へぇ!!
      でも旦那!」

(    )「・・・なんだ?」

(   )「い、いえ・・・」

・・・暫く経つと、
その魔物の群れは一斉に主であろう者の元へ帰ってきた。

(   )「だんなぁ!見つかりやしたぜ!もうひとりの雌ぅ!!」

(    )「・・・よし。向こうの"アホ共"の戦いが激しさを増してる。
       さっさと準備を整えろ。連れて帰るぞ。」

その魔物達はデレとドクオとばつを抱えて、主のすぐ近くまで駆け寄った。
次の瞬間、主であろう者が手を上に掲げると。
大きな魔法陣が展開し、その集団は瞬く間にその場から消え去っていった。

41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 01:39:04.73 ID:a5jkI0HS0
"魔王の家族を救う"―ブーン達の旅は、実に順調に進んでいたのだ。
ダームンブルグ山岳地に入る、その一歩手前までは。

ミ,,゚Д゚彡

しかし、山岳も半分を超えた辺りで出会ったその魔物とブーンが闘っている内に。

イ从゚ ー゚ノi、 从´ヮ`从ト  リi、゚ー ゚イ`!

狐娘達に襲われて。
ドクオは死に掛け、デレは気を失い・・・

(    )

そして最後は、何者かにドクオ達は連れて行かれ。

今、ブーン達の旅は終わりを告げた――・・・

42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 01:40:46.95 ID:a5jkI0HS0
                                    糸冬
                                ---------------
                                制作・著作 ^q^

ってね^q^
以上で第一部?が無事終了しました。
見てくれた皆さん、本当にありがとうございました!

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