03 家庭科室
95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/07(土) 15:18:02.80 ID:4FyVRomF0
03 家庭科室


 階段へ引き返し、これまた電気をつけて僕らは廊下を進んでいた。
 外の景色が見えないおかげで、ここが何階なのかわからない。ただ上へ向かう階段は無かったので、どうやら最上階らしい。
 ドクオはしきりに頭を振り、瞼に焼きついたあの光景を振り払おうとしていた。


('A`)「この鞄さぁ、俺たちの所に二つあったってことは、他のやつらのところにも、二つずつあったのかな」

( ^ω^)「かもしれないお。変な漫画とか入れてないかお?」

('A`)「おう、今日は特に何も変なものは入ってない、はず。食べてない弁当とか、そんなん」

( ^ω^)「入ってるときは入ってるのかお……」


 無理やりにふざけあいながら、真っ暗な教室を覗き込む。
 誰もいない構内は酷く静かで、軽口でも叩いていないとまた叫びだしてしまいそうだった。


('A`)「静かだな」

( ^ω^)「誰もいないおね」


98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/07(土) 15:24:36.99 ID:4FyVRomF0

 この階も上の階と同じ構造をしているらしい。
 今僕たちが使っている階段を挟んで、右手に三つの教室、左手に二つの教室が並んでいる。
 よく見ると教室の前には手洗い場があり、蛇口をひねれば水が出るようだった。

 右手の手洗い場を覗き込むと、水の流れた後が見て取れる。


「……ブーン、ドクオ?」


('A`)( ^ω^)「「!」」


 聞きなれた声。
 ドクオと僕は、我先にとあらそうように後ろを振り返る。
 そこに居たのは、


1 (´・ω・`)
2 ξ゚听)ξ
3 川 ゚ -゚)


106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/07(土) 15:49:44.94 ID:4FyVRomF0

103 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/07(土) 15:39:40.67 ID:jUXxPHdX0
3



( ^ω^)「クー!」

川 ゚ -゚)「ああ、良かった、やっと人に会えたぞ、おい……」


 僕が駆け寄ると、クーは一安心したとでもいうように膝に手を突いた。
 その手は小刻みに震えていて、僕はなんともいたたまれない気持ちになる。


('A`)「大丈夫か?」

川 ゚ -゚)「ああ、平気だ。……元気ではないが。お前ら、上の階にはもう行ったか?」


 青い顔をしたクーが恐る恐るとこちらを伺ってくる。
 答えようか答えまいかと ?僕とドクオは顔を見合わせた。
 その様子で答えを察したのか、クーはゆらゆらと首を振る。


川 ゚ -゚)「不謹慎だけれど、グロ画像とは比べ物にならないもんだな」

('A`)「……おう」


109 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/07(土) 15:54:46.51 ID:4FyVRomF0

川 ゚ -゚)「とにかく、もうこの話は止めにしようか。他の二人は? 会ってないのか?」

( ^ω^)「お、会ってないお。合流したら、早いところ出口を探して、出なきゃなんないお」

川 ゚ -゚)「うん、それなんだけれど、……私は今日携帯忘れたんだが、お前たち、使えないか?」

( ^ω^)「けいた、い」

('A`)「……あああ!! 携帯!」


 完全に忘れていました。本当に有難う御座います文明の利器。
 僕の鞄を探り、携帯電話を取り出してあける。開閉式が小気味のいい音を立てた。


川 ゚ -゚)「まぁ、なんとなく落ちは知れているんだが……」








( ^ω^)「どう見ても圏外です……本当に、本当に有難う御座いました……」


111 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/07(土) 16:01:03.32 ID:BzMIDgu70

川 ゚ -゚)「……まぁ、人が増えたってだけでも十分な収穫だよ、な?」

('A`)「そーだな……」


 意気消沈する気力ももったいないといわんばかりにクーは歩き出す。
 その足取りは迷いが無く、明確な行き先を持っているようだった。
 僕とドクオはそれについていきながら、何処へ行くのかと問いかけた。


川 ゚ -゚)「家庭科室だよ」

( ^ω^)「家庭科室?」

川 ゚ -゚)「本当は恐ろしいからこんなことは考えたくないんだがね、……自衛の手段は、必要だろ?」

( ^ω^)「自衛…・・・」

川 ゚ -゚)「『あれ』、…?|『あのこ』はどう見ても他人に殺、……危害を加えられていた」

('A`)「その犯人に襲われるかもしれない、から?」

川 ゚ -゚)「……うん」


112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/07(土) 16:07:44.07 ID:BzMIDgu70

 見れば、クーは制服ではなく、ツンの名前が刺繍されたジャージを羽織っていた。
「汚れてしまったから借りたんだ。取り乱してね」とクーは軽くジャージの袖を引っ張る。
 さっきからクーが持っているぬいぐるみのキーホルダーがついた鞄は、ツンのものらしい。


川 ゚ -゚)「その辺のほうきなんかじゃどうにも不安だからね」

(;'A`)「だからってなんで家庭k、……包丁か……!」

川 ゚ -゚)「万能包丁は色んな意味で万能だぜ」

(; ^ω^)「怖っ! 発想怖っ!」


 家庭科室は一階にあるのか、階段を下りていく。
 既に電気はついていた。


川 ゚ -゚)「んーっと、ここだな」

('A`)「小学校にも家庭科室ってあんだな」

川 ゚ -゚)「調理実習とか、やっただろ。やんなかったのか?」


115 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/07(土) 16:14:26.65 ID:BzMIDgu70

 家庭科室の扉を開く。ここは流石に明かりはついていなくて、ずんずんと入っていったクーが手探りでスイッチを探し当てた。
 ぱちん、と切り替わる音。
 何度か光がまたたいて、電気がついた。

 箱のような机と、一つ一つに設置されたコンロと流し。
 教卓も同じようなつくりになっている。


( ^ω^)「あ、この棚包丁って書いてあるお。これ」

川 ゚ -゚)「あ、じゃあそこだな。開けてくれ」

( ^ω^)「おっお」


 すぐ近くにあった小さな戸棚を開き、「包丁」と書かれた引き出しをひく。
 むわり、と生臭い香り ??した。
 ん? と眉を寄せるのも一瞬。


(; ^ω^)「おっ、お?!」


117 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/07(土) 16:19:07.64 ID:BzMIDgu70

 ばっ、と手を離して、後ろへ下がる。
 背中に衝撃と、ドクオの濁った悲鳴。どうやらぶつかってしまったらしいが、そんなことにはかまってられない。
 あわてて手を確認した。

 正常な肌色。


川;゚ -゚)「ぶ、ブーン? どうした?」

(; ^ω^)「っち、血、血が、……っ」

川;゚ -゚)「血?」


 血相を変えたクーが戸棚を覗き込み、顔をしかめる。
 僕の目がおかしくなったのでなければ、クーも確かに同じものをみたはずだ。
 べっとりと血で濡れ、てらてらと光を反射する何本かの包丁を。


119 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/07(土) 16:22:35.05 ID:BzMIDgu70

(;'A`)「うお、なんだよ、これ……」

川;゚ -゚)「いや……わからない」

('A`)「全部汚れてるんじゃねぇか? うわぁ……」

川;゚ -゚)「これじゃあ、だめだな。包丁は使えない」

('A`)「ん、……」

(; ^ω^)″


 さっきの血のせいで、あの真っ赤な風景が蘇る。
 僕の手は小刻みに震えていた。
 それを見て、ドクオが少しだけ目を細める。


('A`)「いや、血くらいなら、洗えば使えるだろ」

川;゚ -゚)「……お前、そんな思い切り良かったか?」

('A`)「俺はピンチになればやれる子なんだよ」


121 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/07(土) 16:31:06.67 ID:BzMIDgu70

 じゃあじゃあ、と流しに水が流れる音がする。
 ドクオが包丁を洗っているのだった。
「私も手伝おうか」とクーが問うたが、ドクオは「いや、いいよ。俺がやるって」と押し切った。

 僕は、情けなけれども手伝おうかとは言い出せなかった。
 血が恐ろしくてたまらない。触れたくも無い。見たくも無い。
 あんなものを見てしまったら、しょうがない、とクーは震える僕の肩を軽く叩いた。


川 ゚ -゚)「私だってまだ頭から離れない。……離れないよ」

(; ^ω^)「あ、……ごめんお」

川 ゚ -゚)「うん、大丈夫だ」


 ドクオは僕らに背中を向けているので、その表情は見えない。
 けれどその手つきは酷く淡々としていて、なんだか無機質に感じられた。
 流水に何度も包丁を入れては、泡立てたスポンジで擦る。神経質にさえ感じられるほど丹念な手つきだった。
 


123 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/07(土) 16:34:24.44 ID:BzMIDgu70

(; ^ω^)「……」


 頭を振って渦巻きを作る思考を振り払う。
 ドクオはさっきからずっと一緒に居た。
 だからそれはありえない。ありえない、はずだ。


('A`)「こんなもんで、いいかな」


 きゅ、と蛇口が捻られた。
 ドクオは手から雫を落としながら、包丁を軽く上げて、すぐに眉を寄せてから下ろした。
 ぽたん、ぽたんと刃の先から水が滴る。


川 ゚ -゚)「ああ、いいんじゃないか?」

('A`)「布巾布巾」


126 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/07(土) 16:44:07.38 ID:BzMIDgu70

 そのあたりにかかっていた布巾の埃を払い、また丁寧に水をふき取る。
 そしてそれを、すこしだけ迷ってからそのまま布巾に包み、「ショボンごめん」と謝りながら鞄のポケットへと入れた。


川 ゚ -゚)「それじゃあ、行こうか」

('A`)「……何処へよ」

川 ゚ -゚)「皆を探しに、だよ」

( ^ω^)「……おっお」


 クーが立ち上がり、スカートを払う。
 まだ震える手で制服を握りながら、僕はどうしてこんなことになっているんだろう、とぼんやり思った。
 この期に及んでも、危機感は、まだなかった。






03 家庭科室



128 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/07(土) 16:45:49.46 ID:BzMIDgu70
これまた一旦終了
ちょっとコープスパーティのプレイ動画を見ながら質問があったら答えていくような


130 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/07(土) 16:57:42.60 ID:BzMIDgu70
おk
無いようなので寝ます

154 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/07(土) 21:42:33.74 ID:Z7wNtsdk0
なぜだかIDが安定しない!
まぁいいや、>>1です

まだ残ってるみたいだからハイパーステータスタイム
今から書きます

156 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/07(土) 21:45:13.45 ID:Z7wNtsdk0
ブーン

本編主人公。語り部
【おくびょう】【けつえききょうふ】
★★☆☆☆
持ち物・自分の鞄

158 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/07(土) 21:47:40.71 ID:Z7wNtsdk0
ドクオ


【おくびょう】【    】
★☆☆☆☆☆
持ち物・ショボンの鞄
    万能包丁

発狂条件
【不明】

159 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/07(土) 21:49:23.28 ID:Z7wNtsdk0
クー


【れいせい】【    】
■■□□□□
持ち物・ツンの鞄

160 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/07(土) 21:52:57.57 ID:Z7wNtsdk0
犠牲者リスト

【ひとりめ】
鋭利な刃物で滅多刺し
失血死
加害者は不明

162 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/07(土) 21:54:31.29 ID:Z7wNtsdk0
ただ今のルートはドクオ寄りのクールート
それじゃあこれで投下は終わり
おやすみなさい

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