第6話
- 2 : ◆qvQN8eIyTE :2007/03/03(土) 16:12:58.19 ID:IxOTAe2x0
- 地球は回る。
誰が決めたわけでもなくただ、回る。
そしてその回転は地球に住むもの全てに朝と夜の訪れを届ける。
これは……そんな話。
( ^ω^)「ここは VIPの村ですお」
(;^ω^)(地の文嘘つくなお!そんな良くわからない題材で話なんか進められるわけないお)
うるさい。
(;^ω^)(ちょwwwww)
- 3 : ◆qvQN8eIyTE :2007/03/03(土) 16:14:14.72 ID:IxOTAe2x0
- 昨日バーボンハウスから帰ってきた彼は久しぶりに床についた。
よく考えれば寝るのは2日ぶりだ。
なんせ一昨日は話を聞いているうちに朝が訪れ、休む間もなく業務時間になってしまったのだから。
しかし、彼が熟睡できたかというとそれはNOである。
何故なら昨日帰ってきた時間も既に明け方近くなっていたからだ。
それでも彼はめげずに仕事を続ける。
( ^ω^)「ここは VIPの村ですお」
- 4 : ◆qvQN8eIyTE :2007/03/03(土) 16:14:43.89 ID:IxOTAe2x0
- ( ^ω^)(ドクオに昨日の『機能の設定』について聞かなきゃだお……ん?昨日の機能とかオヤジギャグktkrwwwww)
彼が1人で勝手に騒いでいる間にも、尋ね人は絶えずやってくる。
( ^ω^)「ここは VIPの村ですお」
( ^ω^)(またスルーされたお)
当たり前だ。
なんせ彼は居ても居なくても良いような存在の薄い完璧な脇役なのだから。
(;^ω^)(今日はなんか明らかに扱いがひどいお)
- 5 : ◆qvQN8eIyTE :2007/03/03(土) 16:15:15.74 ID:IxOTAe2x0
- 彼は小さい頃からの友人の元へ行くことを望んでいた。
今は自分の物ではないその足に目的地へ行くよう命令をする。
ドクオの所へ行け。行け。行け。行け。行け!
しかし彼の脳から発せられた電波信号はその足へ届くことはなかった。
設定がその伝達命令を阻んでいるから。
( ^ω^)「ここは VIPの村ですお」
彼に残された道はただ1つ。
業務中に偶然この足が自分の望む場所へと運んでくれて、ドクオの元へと行くことを願うのみだ。
つまり、ただ待つのみ。
- 7 : ◆qvQN8eIyTE :2007/03/03(土) 16:16:02.33 ID:IxOTAe2x0
- ( ^ω^)「ここは VIPの村ですお」
( ^ω^)「ここは VIPの村ですお」
( ^ω^)「ここは VIPの村ですお」
( ^ω^)「ここは VIPの村ですお」
( ^ω^)「ここは VIPの村ですお」
( ^ω^)「ここは VIPの村ですお」
- 8 : ◆qvQN8eIyTE :2007/03/03(土) 16:16:44.40 ID:IxOTAe2x0
- ……来ない。
仕事開始からかなりの時間が経ったが一向に自分の足は望む場所へと運ぼうとしてくれない。
これにはさすがのブーンも苦笑い。
( ^ω^)「ここは VIPの村ですお」
( °ω°)(アババババババwwwwww)
遂に焦りから来る心の不安定な揺れに負けて狂い始めるブーン。
すると、設定も彼の狂気がキモくて見ていられなかったのだろうか。
建物の影からドクオが姿を現せてこっちの方へ向かって歩いてきたのだ。
- 10 : ◆qvQN8eIyTE :2007/03/03(土) 16:18:28.54 ID:IxOTAe2x0
- ブーンの元へとランダムに歩いてきた友達は、彼の狂気が漂わす空気に気付いた。
('A`)「武器や防具は 装備しないと 意味がないよ」
('A`)(よぉブーン。そんな笑い方してどうしたんだ?)
( ^ω^)「ここは VIPの村ですお」
( ^ω^)(フヒヒッwww……ってドクオ!聞きたいことがあったんだお)
唐突に村人Aから発せられた言葉は村人Bに届く。
脳がいきなりの質問にすぐ対応できなかったのか、彼はワンテンポ遅れて返事をした。
('A`)「武器や防具は 装備しないと 意味がないよ」
('A`)(えっ?あぁ、聞きたい事ってなんだよ?)
- 11 : ◆qvQN8eIyTE :2007/03/03(土) 16:19:24.11 ID:IxOTAe2x0
- ( ^ω^)「ここは VIPの村ですお」
( ^ω^)(『機能の設定』について教えてくれお。
昨日ショボンさんに聞いたんだけど、『ドクオの方が良い』って最後まで教えてくれなかったんだお)
前振りもなく質問をしてきた村人Aにも疑問を持ったが、その質問内容もまた彼に疑問を与えた。
('A`)「武器や防具は 装備しないと 意味がないよ」
('A`)(なんでまた急に『機能の設定』?……まぁ良いや。教えてやるよ)
しかし彼の適当な性格で考えた結果、その疑問は流されることに決まった。
( ^ω^)「ここは VIPの村ですお」
( ^ω^)(きゃーどっくんかっこいー)
('A`)「武器や防具は 装備しないと 意味がないよ」
(;'A`)(超棒読み……絶対本心じゃないな)
- 12 : ◆qvQN8eIyTE :2007/03/03(土) 16:20:25.60 ID:IxOTAe2x0
- ('A`)「武器や防具は 装備しないと 意味がないよ」
('A`)(で、昨日はどこまで教えてもらったんだ?)
( ^ω^)「ここは VIPの村ですお」
( ^ω^)(『機能の設定』の姿の見方を教わっただけだお)
('A`)「武器や防具は 装備しないと 意味がないよ」
('A`)(見られるようになってるのか。じゃあ話は早い。今ちょっと見てみろよ)
( ^ω^)「ここは VIPの村ですお」
( ^ω^)(今仕事中wwwでも把握したお)
- 13 : ◆qvQN8eIyTE :2007/03/03(土) 16:21:02.63 ID:IxOTAe2x0
- 彼は瞼を下ろして目を瞑った。
最初はただの真っ暗な闇。
しかし、しばらく待つと昨日と同じように長方形がうっすらと浮かんできた。
最初はその形も書かれているであろう文字もぼやけていて、よく見えない。
だけれども時間が経てば経つほどにハッキリとした輪郭を保つようになってくる。
- 14 : ◆qvQN8eIyTE :2007/03/03(土) 16:21:34.81 ID:IxOTAe2x0
- ( −ω−)「ここは VIPの村ですお」
( −ω−)(四角いのが見えてきたお)
('A`)「武器や防具は 装備しないと 意味がないよ」
('A`)(昨日見方を教わったって言うんなら当然カーソルの動かし方はわかってるよな)
( −ω−)「ここは VIPの村ですお」
( −ω−)(当然だおバーローwwww)
('A`)「武器や防具は 装備しないと 意味がないよ」
('A`)(ぶち殺すぞ)
( −ω−)「ここは VIPの村ですお」
(;−ω−)(サーセンwwwwwww)
- 15 : ◆qvQN8eIyTE :2007/03/03(土) 16:23:16.74 ID:IxOTAe2x0
- 半ばこの作品ではマンネリ化した流れを一通りやった後に村人Bによって本題に戻ることになる。
('A`)「武器や防具は 装備しないと 意味がないよ」
('A`)(じゃあまずはカーソルを『セーブ』って書いてある所へ持って行ってくれ)
( −ω−)「ここは VIPの村ですお」
( −ω−)(把握したお)
昨日と同じように念じる。
下がれ。『セーブ』の所まで下りるんだ。
右向きに傾いている三角形は彼の念通りに動く。
そして『セーブ』の所まで下りた時、その三角は文字の羅列の中を下るのを止めた。
- 16 : ◆qvQN8eIyTE :2007/03/03(土) 16:23:50.62 ID:IxOTAe2x0
- ピピッ
また昨日と同じような電子音が彼の耳の奥に響いた。
その音に反応するように、長方形の表面に新しい文字が浮かび上がってくる。
【このデータは既に存在しています。上書きしますか?】
( −ω−)「ここは VIPの村ですお」
( −ω−)(上書き?何のことだお?)
('A`)「武器や防具は 装備しないと 意味がないよ」
('A`)(見えたか。それじゃ『はい』を選らんどいてくれ)
( −ω−)「ここは VIPの村ですお」
( −ω−)(こういうのは大体『いいえ』の所にデフォでカーソルが置いてあるから面倒くさいお)
('A`)「武器や防具は 装備しないと 意味がないよ」
('A`)(あるあるwwww)
- 18 : ◆qvQN8eIyTE :2007/03/03(土) 16:24:28.13 ID:IxOTAe2x0
- などとどうでも良い雑談を交わしながらもカーソルを『はい』に合わす。
そして操作が完了したことを知らす機械音が耳の奥で響いた。
( −ω−)「ここは VIPの村ですお」
( −ω−)(一体これは何だったんだお?)
('A`)「武器や防具は 装備しないと 意味がないよ」
('A`)(今のは一種の記録装置みたいなもんかな。
こいつが勝手にデータを記録しておいてくれるから、セーブ前に教えてもらったことを忘れるなんてことはなくなるんだ)
( −ω−)「ここは VIPの村ですお」
( −ω−)(そいつは記憶力凄いってレベルじゃねーお)
('A`)「武器や防…… 装……ないと 意味がな……」
('A`)(他に…色々あ……だぞww…w)
- 19 : ◆qvQN8eIyTE :2007/03/03(土) 16:24:55.75 ID:IxOTAe2x0
- 村人Bの声がだんだんと遠くなっていくのが目を瞑っている村人Aにもわかった。
やはり彼の足も今は彼の物ではない。
ドクオの意志を無視して今彼はランダムに動いているんだろう。
('A`)「武………具は …備し……と 意味………よ」
('A`)(まだ話………はあ……んだ…ど、そ…じゃ……なw)
そして彼の声が完全に途切れてしまった。
( −ω−)「ここは VIPの村ですお」
(;−ω−)(最後の方あんまり聞き取れなかったお……とりあえず『キャンセル』しておくかお)
- 20 : ◆qvQN8eIyTE :2007/03/03(土) 16:25:43.33 ID:IxOTAe2x0
- カーソルの操作法の要領を昨日とさっきの『セーブ』で完全に得た彼は、すぐに『キャンセル』を選ぶことが出来た。
ピピッ
( ^ω^)「ここは VIPの村ですお」
( ^ω^)(やっぱりドクオはいなくなっちゃったお)
ふとここで彼の心に小さな思いが芽生えた。
(;^ω^)(『セーブ』だけならショボンさんも昨日教えてくれれば良かったのに……)
やはりショボンも人間である。
脳があるかどうかも怪しいものに物事を教えるのは相当面倒くさかったんだろう。
(;^ω^)(……)
- 21 : ◆qvQN8eIyTE :2007/03/03(土) 16:26:35.70 ID:IxOTAe2x0
- 兎にも角にも仕事が終わらないと何も出来ない。
夜の間だけの仮初めの自由だとしても、今のブーンにはそれが必要だった。
( ^ω^)「ここは VIPの村ですお」
( ^ω^)(夜はやっぱり凶暴な魔物が増えるかもだお。やっぱり『あれ』を持って行った方が良いお)
既に思考回路は仕事後のことだ。
しかし今現在は同じセリフしか喋れない村人A。
時間は思い通りに動いてくれる物ではなかった。
( ^ω^)「ここは VIPの村ですお」
( ^ω^)「ここは VIPの村ですお」
( ^ω^)「ここは VIPの村ですお」
夜は、遠い。
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