- 187 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 23:09:02.82 ID:8/GNStZy0
-
第二話「友達の条件」
- 188 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 23:09:40.01 ID:8/GNStZy0
-
次の日。
ブーンとドクオはいつものように駅のホームに降り立つと、
まだ新学期ムードが色濃く残る空気の中、学校へと目指し歩いていた。
(;^ω^)「ドクオ……あれからどうだお?」
('∀`)「ああ、久々に読むハリーポッターはおもしれーな」
(;゚ω゚)「ドクオオオオォォォ!!! お前はまだそんなことを言って!!!」
(((('∀`))))「あばばばばばばばばwwwwwwwwwwwwwwwwww」
ドクオとブーンは相変わらず、昨日のコントの続きをしていた。
(;゚ω゚)「目を覚ますんだお!!! ドクオはまだそっちに行くべきじゃないお!!」
(((('∀`))))「目を覚ます? ちげぇーな。俺はもうとっくに目を覚ましている!
そうだ! 俺は昨日あの娘をこの眼に入れたその瞬間から!!! ようやく目を覚ましたんだ!!!」
- 195 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 23:16:46.04 ID:8/GNStZy0
-
そのとき。
ブーンとドクオの横を、流れるような金髪が、文字通り流れていった。
ξ゚听)ξ「……」
勿論ブーン達のことなど、ツンはガン無視していった。
(#^ω^)「くそ……つくづく腹の立つ奴だお……」
('∀`)「おお……思わず魔法能力に覚醒してしまいそうなほど可愛いぜ……」
(;゚ω゚)「だーかーらあああぁぁぁぁぁぁ!!!!」
(((('∀`))))「あばばばばばばばばwwwwwwwwwwwwwwwwww」
- 196 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 23:17:47.63 ID:8/GNStZy0
-
その日も、昨日と別段変わることなく学校は過ぎていった。
まだクラスも、基本的には昨年同じクラスだった者同士でかたまってはいるが、
徐々に元他クラスのものたちとも会話が出てき始めていた。
( ^ω^)「お、今週のジャンプじゃないかお」
<ヽ`∀´>「うえはははー。駅の売店が最近早売りしているニダ」
元一年B組。
通称”週間少年ジャンプのニダー”だ。
( ^ω^)「見せてくれお」
<ヽ`∀´>「おめーらチョッパリには見せないニダよー」
(;^ω^)「ちょwwwwwwwwwおまwwwwwwww」
- 197 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 23:18:48.45 ID:8/GNStZy0
- _
( ゚∀゚)「おぅ! いいもん持ってんじゃん。俺にみーして☆」
<;ヽ`∀´>「あ、ジョルジュ!!! 勝手にウリのジャンプ取るでないニダ!!」
_
( ゚∀゚)「いいじゃーんwwwwwwww減るもんじゃねーしwwwwwwwwwww」
次の瞬間。
ジョルジュの頭に、分厚い辞典が襲い掛かってきた。
ごきゅりと異音が教室に響く。
(#><)「ジョルジュ!!!!! 人の物を勝手に盗るんじゃないんです!!!!」
<ヽ`∀´>「そうだニダ!!! 早くウリに返すニダ!!!!」
_
(;゚∀゚)「いやさ! まじ今さ!! すごい音なったよ!!1 俺の首がさ!!!!」
- 206 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 23:25:06.77 ID:8/GNStZy0
-
(#><)「問答無用!」
<ヽ`∀´>「謝罪と賠償を請求するニダ!!!」
_
(;゚∀゚)「ぎゃああああああぁぁぁあああぁぁぁああ!!!!!!」
(#><)「デュクシ!!!デュクシデュクシ!!!!」
<ヽ`∀´>「デュクシ!!!デュクシデュクシ!!!!」
_
(;゚∀゚)「助けてくれ!!!! ちんぽっぽ!!!!!!!」
(*‘ω‘ *)「ぽ?」
_
(;゚∀゚)「ぽ? じゃねーよぽじゃ。っていてぇえええぇぇ!!!!マジやめてえええええ!!!!!」
(;^ω^)「はは、早速仲良くやってるお」
- 207 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 23:26:31.75 ID:8/GNStZy0
-
クラス替えをしてみると、なかなか意外な組み合わせが仲良くなるものだ。
おそらくわかんないですとニダーは、これからも仲良くやっていくだろう。
ジョルジュを通じて。
_
(;゚∀゚)「ぎゃあああああぁぁぁぁあああ!!!!」
(#><)「デュクシ!!!デュクシデュクシ!!!!」
<ヽ`∀´>「デュクシ!!!デュクシデュクシ!!!!」
ふとそのとき、ブーンは背後からの視線を感じ、振り返った。
(^ω^;)(お?)
- 208 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 23:27:56.91 ID:8/GNStZy0
-
ξ゚听)ξ「!!」
ξ )ξ彡
なんだかツンがこちらを見ているような気がした。
いや、おそらく確実にこちらを見ていた。
(^ω^;)(やっぱりなんだかんだで、みんなと仲良くやりたいのかお……?)
一人窓辺で佇むツンに、取り巻く者達はいない。
みな一様にツンの”近寄りがたい雰囲気”を察知しているのだ。
ツンは転校早々、早速孤立していた。
(^ω^;)(うーん。じつはけっこう寂しがりやだったりするのかお……?)
まぁ初日からクラスメイトに暴力を振るい、
その上自己紹介もやたらと棘のある内容だった。
この仕打ちはまぁ当然と言えば当然だろう。
- 210 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 23:29:44.87 ID:8/GNStZy0
-
でもなぜだか。ブーンには
(^ω^;)(むかつく奴だけど……でも……)
なんだか……
仲良くしたいような。
そんな気がちょっとだけした。
- 212 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 23:30:40.93 ID:8/GNStZy0
-
そして気がつけば今日は午前の授業も終わり、お昼休みになっていた。
みなおもいおもいのグループに分かれ、弁当の箱を開けたり、
コンビニの袋をがさごそと探り始める。
ブーンはドクオの前の席に移動し、椅子をくるりと回しドクオの方へ向けるとどかりと座った。
既にドクオは弁当箱の蓋を開け、なかのおかずを箸で突っついていた。
ほとんど去年と同じ光景だ。
他のグループもほとんどおなじようだ。
多少の面子の相違はあるものの、基本的には去年の仲良しグループで固まり箸をつっつきあっている。
- 215 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 23:32:11.64 ID:8/GNStZy0
-
( ^ω^)「もふもふもふ……」
('∀`)「でよぉ。俺はどうすれば魔法を使えるようになるか検索したわけだ……」
( ^ω^)「むしゃむしゃむしゃ」
('∀`)「俺は昨日ほどグーグル先生を崇拝した日はねぇな。もう情報の大波が襲い掛かってきやがったぜ」
( ^ω^)「はふはふはふ」
('∀`)「しかし俺とて伊達に日々をネットの海で過ごしているわけじゃねぇ。俺はその大波に果敢に挑んでいったぜ」
( ^ω^)「ぱかぱかぱかぱか」
('∀`)「まさしく昨日の俺は人呼んで波乗りジョニーといったところか……っておい! ブーン!」
(^ω^ )「てぷてぷてぷてぷ」
('∀`)「俺の話し聞いてたかぁ〜? いや聞いてねえよな。明らか流してたよな。ああ、もうモロにそうしてたよな」
- 216 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 23:33:01.83 ID:8/GNStZy0
-
(^ω^ )「かりかりかりかり」
('∀`)「おーいどこ向いてんだよ〜、つか後半あきらか物食ってる音と違くね? お〜い」
(^ω^ )「……」
ブーンの視線の先。
そこにいるのは、かの金髪の少女ツン。
ξ゚听)ξ
ツンは一人黙々とコンビニのパンを咀嚼していた。
やはり彼女に取り巻きの者はいない。
しかしそんなことは一向に気には気にしてなどいない。
ツンからはそんな雰囲気がひしひしと発せられていた。
それにクラスのみんなは気がついている。
- 217 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 23:34:13.55 ID:8/GNStZy0
-
だから誰も声をかけない。
誰も手を差し伸べることはしない。
あの人は一人がいいんだ。
仲間など欲していない。
わざわざ距離を縮めてもしょうがない。
そんな……そんな声がブーンには聞こえたような気がした。
(^ω^ )(あいつは……本当のところみんなをどう思っているのだろうかお……)
('∀`)「おい、ブーン何を見てるんだっ! まぁ聞かなくともわかるががな。あの娘をみてるんだろ!
ははは、さすがにブーン。お前といえど俺は俺の未来を一歩も譲る気はないぜ!
俺とあの子との幸せな未来をなっ!」
(^ω^ )(なんていうか……仲良くする気まったく無しだったような気がしていたけど、
なんだか違うような気がしてきたお……)
('∀`)「お〜い、ブーン! 無視か! 無視なのか! おい!」
- 220 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 23:35:21.75 ID:8/GNStZy0
-
(^ω^ )(すごく気丈に振舞っている気がするけど……なんだか作り物みたいだお)
('∀`)「……」
(^ω^ )(本当は……)
ξ゚听)ξ
(^ω^ )(みんなと仲良くしたいと思ってるんじゃないかお……)
('A`)「ウボァー」
(;^ω^)「きゅ、急に奇声を出してどうしたお! ドクオ!」
('A`)「いいんだよ……俺なんてどうせ……いちいち反応する価値もねぇ消しカス君だぜ……」
- 223 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 23:36:16.17 ID:8/GNStZy0
-
(;^ω^)「いいい、一体急にどうしたんだお? ドクオ!?」
('A`)「どうしたかだって? 知りたいんだったら黙って自分の胸に手を当ててみろよ」
(;^ω^)ポン「……こうかお?」
('A`)「じゃあ聞こえただろ? 俺の悲しみの声が……」
(;^ω^)「……」
(;^ω^)(いや全然……)
- 227 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 23:41:29.30 ID:8/GNStZy0
-
そしてなんだかんだで新学期二日目もあっという間に過ぎていった。
気がつけば帰りのホームルームも終わり、部活のあるものは活動場所へ向かい、
何もないものは鞄を手に、帰路へ着こうとし始めていた。
(,,゚Д゚)「しぃわりい! 俺今日部活顔出していくわ」
(*゚ー゚)「うん。わかった。あたしはちんぽっぽちゃん達と帰るから大丈夫よ」
(*‘ω‘ *)「ちんぽっぽ!」
( ><)「今日はしぃちゃんも一緒なんです!」
(,,゚Д゚)「しぃを頼んだぜ! わかんないです! ちんぽっぽ!」
_
( ゚∀゚)「おう! 俺がしぃの面倒はしっかりと見てやるぜ!!!」
- 229 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 23:42:40.38 ID:8/GNStZy0
-
(,,゚Д゚)「ほう……そうかそうか。頼んだぞジョルジュ」
_
(;゚∀゚)「あれれー? ギコぉ。なんか俺の肩掴む力妙に強くね?」
(,,゚Д゚)「ん? そうか?」
_
(;゚∀゚)「いやぁだってさぁ。ほら。かなりキテるよ。これ」
そんなやり取りを繰り広げる仲間達にひとつ視線を送り、
ブーンはドクオに声をかけようとする。
( ^ω^)「さぁーて。ドクオ。帰ろうお」
( ´_ゝ`)「ブーン殿ブーン殿」
(;^ω^)「うぉ! びっくりしたお。なんだお兄者」
- 232 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 23:44:04.91 ID:8/GNStZy0
-
( ´_ゝ`)「いやはや、実はニコ動で落とした動画をmp4とやらに変換しようとしたのだが、
どうにもうまくソフトが動かないのだよ。ソフトか? ソフトの問題なのか?
フリーソフトだからか? フリーのカメラメンだから駄目なのか?」
(;^ω^)「いやぁ、そりゃだってニコ動の動画は保護されてるから……そもそも……」
( ´_ゝ`)「それならば! そこをなんとかして! 御教授お願いしますブーン殿!!!」
(;^ω^)「いや、そんなこと急に聞かれても……自分でググれお」
(´<_`;)「ほら兄者。ブーン困ってるじゃないか。やめろ」
( ´_ゝ`)「だってだってー。だってさ! 弟者だって家の外でニコニコの神動画見たいだろ!」
(´<_`;)「いや、俺はべつに家で見れればそれでいいし……」
( ´_ゝ`)「……」
(;^ω^)「じゃ僕はこれで……」
- 234 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 23:45:15.53 ID:8/GNStZy0
-
ブーンは兄者達から離れようとしたが、
そのブーンの手を、兄者は驚くべきスピードで掴み、
全身をつかって絡みついてきた。
(;^ω^)「うぉ!」
( ´_ゝ`)つ日「離しませぬぞ!! そこの教室のパソコンをつかってこのipodに動画入れてくれるまで!
俺はこの手を離しませぬぞ!!!」
(;^ω^)「無茶言うなお! そもそもituneも入ってないパソコンでどうしろと」
( ´_ゝ`)つ日「これからインスコすればいいじゃないかあああああぁぁぁ!!」
(;^ω^)「ライブラリは! ライブラリが無かったらそのipodの中の曲全部消えるお!」
( ´_ゝ`)つ日「そんな細かいことは気にするな!! 俺はこのipodの中の曲達の屍を越えて行く!!!!」
(;^ω^)「無茶苦茶だお!!!!!!!」
- 236 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 23:47:05.17 ID:8/GNStZy0
-
(´<_`;)「やめてくれ兄者! みっともないぞ!!!」
(#´_ゝ`)つ日「うおぉぉっぉぉお!!! ニコニコ動画ばんざーーーーーーい!!!!!」
ブーンが兄者から開放されるまで、
ちょっとどころでは無い程の時間を要した。
そして兄者に保護ファイル云々の話をあらかた説明し終えたときには、既にドクオの姿は無かった。
(;^ω^)「先に帰っちゃったかお……」
- 238 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 23:48:10.46 ID:8/GNStZy0
-
時はブーンが兄者に絡まれる寸前まで遡る。
ドクオはいつものように帰り支度をすませると、ブーンの帰り支度が終わるのを待っていた。
('A`)(ああ、早く帰ろうぜブーン)
しかし当のブーンは、
兄者達となにやら話しこんでしまい、なかなかに盛り上がっているようだった。
しばらく終わりそうにないな。
そうドクオは判断し、ブーンに目で先に帰る旨の合図を送った。
ブーンは兄者に右手を絡みつかれ、振りほどくのに必死ので、
ドクオの合図にはまったく気がついていない様子だった。
まぁそれもよくあることなので、ドクオはそれで満足し教室を後にした。
- 240 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 23:49:42.71 ID:8/GNStZy0
-
別にドクオは弟者とも兄者とも特に確執があるわけではない。
むしろあの二人は結構ドクオに対して良くしてくれるほうだ。
でも、それでもあの会話の中に割り込んでいくことがドクオには出来なかった。
そういう行為がひどく図々しいように思え、変に気後れしてしまうのだ。
('A`)(こういうのがよくない。そんなこと俺だってわかってるさ……でもよぉ)
ドクオはどうしても周囲の人間に一歩距離を置いてしまう。
そして今の自分が仲良くなれるのは、一歩身を引いた自分に対して、一歩余分に身を乗り出してくれる人物。
そう。つまりはブーンのような人物だ。
('A`)(みんながブーンみたいなやつだったらなぁ……)
ブーンは誰とでも仲良くやっていける。
それは普段のブーンの姿を見れば明らかだ。
- 242 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 23:50:57.04 ID:8/GNStZy0
-
去年もブーンは、クラスのみんなからブーンブーンと慕われていたし、
今年も既に、元他クラスの連中から慕われ始めている。
('A`)(俺もブーンみたいになりたいぜ……)
たまにドクオは考える。
自分とブーンの違いはなんなのだろう。
ブーンもまたドクオと同じように、周囲から比較的身を引いた付き合いをする性質だ。
しかし周囲の反応は、ブーンとドクオでは大分違うように思える。
実際そんなことはないはずだ。
自分で言うのもなんだが、ドクオは別に周りから嫌われているわけではない。
ただ、なぜかわからないが。
似たものであるはずのブーンに人が集まり、似たものであるはずの自分には人があまり寄らない。
('A`)(カリスマ性っていうのかな……こーゆーの)
- 244 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 23:51:55.36 ID:8/GNStZy0
- そんな物思いにふけっているうちに、いつのまにやらドクオは、
学校の敷地から外に出て、駅へと黙々と歩いていた。
(*゚ー゚)「あははーwww」
(*‘ω‘ *)「ちんぽっぽ!」
(#><)「このやろー!」
<ヽ`∀´>「ファッビョーン!!」
_
(;゚∀゚)「モルスァwwwwwwwwwww」
('A`)(あいつら楽しそうだなあ……)
はるか前方で楽しそうに騒ぎながら帰るクラスメイト達を見ると、
なんだか自分のみじめさがより一層際立つような気がした。
('A`)(ニダーって……去年は違うクラスだったよな……
まだ二日目だってーのになんであんなに打ち解けてんだろ……)
- 247 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 23:52:58.59 ID:8/GNStZy0
-
そしてドクオは視線をはるか前方から、
もう少し自分に近い方へと移した。
そこにはあのふわふわとした、ツインテールの金髪が目に入った。
ξ゚听)ξ「……」
ツン。
彼女もまた、同じように独り駅へと向かっていた。
('A`)(あぁ畜生……まじ可愛すぐるぜこんなろー。
どうやったら仲良くなれるだろうなぁ……)
そのとき、ドクオの鍛え抜かれた妄想力が爆発した。
- 250 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 23:54:07.56 ID:8/GNStZy0
-
「ほら、実は俺。風の使い手なんだぜ」
そう言ってドクオはツンに、
自らの風魔法”精霊の子守唄”を発動させてみせるのだ。
するとツンは、少し照れくさそうにしながらもこう言うのだ。
「はっ、まさかあんた……本当に使い手とはね。正直驚いたわ」
- 252 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 23:55:06.62 ID:8/GNStZy0
-
('A`)(そしてその後、襲い掛かる刺客達を協力して次々と倒していき、
最後に最大の敵を倒した後、めでたくゴールイン……)
('∀`)(流石に自分でもこの妄想はねーわwwwwwwwwww)
ふとドクオは我にかえり、視線を前方のツンに戻した。
するとどうだ。
何者かがツンに話しかけているではないか。
そしてドクオは、ツンに話しかけている男の制服をみたとき、
頬に冷たい汗が一筋流れるのを感じた。
('A`)(おいおい。ありゃウラニチャ高校の野郎じゃねーか)
ウラニチャ高校。
この辺一帯。いや、全国からといっても差し支えないほどに
札付きの悪達が集う、誰もが恐れる不良高校。
その生徒が、ツンに話しかけているのだ。
- 255 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 23:56:12.74 ID:8/GNStZy0
-
('A`)(いったいどういうことだ……)
しばらくドクオはその二人を観察し続けた。
二人は暫くの間、一言二言会話を交わしたようだが、やがて連れ立って人気の無い路地へと入って行ってしまった。
('A`)(気になる……)
もしもツンがあれこれ難癖をつけられて絡まれていたのだととしたら大変だ。
そう思い、ドクオは後を付けることにした。
('A`)(一体どこへ向かってるんだろな)
後をつけながら、二人の様子を観察する。
しばらく尾行を続けたところで、ふとドクオはあることに気がついた。
('A`)(俺の今の行動って……見ようによってはストーカーだよな。
いや見方云々関係無しに、気になる異性の後付けてる時点で軽く変態だよな……)
- 257 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 23:57:14.14 ID:8/GNStZy0
-
そして、ふと。もしかしてあの二人はただ単に恋人で、これから逢引でもしようとしているだけなのでは?
そんな考えが頭をよぎった。
('A`)(もしそうだとしたら……俺は変態ということで確定!?
いやそんな馬鹿な。たしかに俺はバーチャルでは嫁の数が二桁を超えそうな勢いだがそれはあくまでバーチャルな話しで
俺としてはリアルと混同するきなど毛頭零。いやそんなこと今は関係ないか。そうだそうだ。そんなの関係ねぇんだ。
関係ねぇ。か。ちょっと嫌なこと思い出しちまったな。いやまて俺。そろそろ自分だけの思考とはいえ脱線はそろそろ止め
ようじゃねぇか。今は俺が変態か否か。だ。俺は変態じゃない。たしかに変態ではないことを証明するのは難しい。しかし逆に
考えれば俺を変態であると証明することも出来ない。つまり現時点では俺を変態だと断定することは不可能。勿論変態では無いと
断定することもできねぇけどな。つまりはこの件は保留っつーこった。そうさ。俺の思考から始まったこの問題を終わらせること
が出来るのは他でもねぇ俺自身。のみ。だ。うは、俺いまちょっとかっこよかったんじゃね? あれ?)
前方の二人は、関係者以外立ち入り禁止と書かれた黄色いテープを潜り抜け、
ある工場跡地へと入っていった。
('A`)(どうするか……廃工場での密会か……もし二人が恋人だとしたら……おそらく濡れ場真っ最中に俺参上!ってなるな……
えぇい! もう細かいことは気にするな俺! 気になるものは最後までとことん観察!
そうやって人類は進歩してきたんだよっ!!!)
- 258 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 23:58:04.72 ID:8/GNStZy0
-
ドクオも腹を決め、黄色いテープをくぐりぬけ、
二人の後へと続いていった。
('A`)(さてと……二人はどこへ……あ!)
工場のとてつもなく大きな入り口からちょこっと顔を出し、中の様子を探ると、
案の定そこにはツンとあの男が、向かい合って立っていた。
( ^Д^)「 」
ξ゚听)ξ「 」
('A`)(くそ、ここからじゃ遠くて会話の内容がさっぱりピーマンだ)
そこでドクオは物陰から物陰へと伝い歩き、
二人との距離を一気に詰めた。
するとどうだ。
さきほどまではまったく聞こえなかった会話内容が、手に取るようにわかった。
- 261 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 23:59:55.62 ID:8/GNStZy0
-
( ^Д^)「……つまりはおまえは俺に従う気はこれっぽっちもねぇーってわけか」
ξ゚听)ξ「えぇ、だぁれが! あんたみたいな雑魚にしたがうのよ」
( ^Д^)「雑魚……だと?」
男の眉間がピクリと動いた。
口調がすこし荒くもなっている。
ξ゚听)ξ「ええ、だって今時縄張りなんか気にして馬鹿みたいに粋がってるうすのろが強いわけないじゃない」
( ^Д^)「へぇ……おれとやろうってのか?」
ξ゚听)ξ「ふん。そりゃこっちの台詞」
(#^Д^)「いい度胸じゃねーかよぉ!!!! ああん?」
- 266 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/21(木) 00:01:10.97 ID:vKY6OyTR0
-
そのとき。
ドクオは直感的に悟った。
('A`)(こいつぁなんと殺伐としてるじゃねぇか!!! 今にも互いに剣を抜かんばかりの剣幕じゃねーか!!!
乙女のピィッーンチだろっ!!!!! どう考えてもよ!!!!)
そして二人の間に割って入ろうとしたのは、理性ではなく本能だった。
いや、その正確にいうならば”その場の雰囲気に流された”というやつだろう。
そしてあえてくだけて表現するならば、”ノリ”だ。
ドクオは一気に二人の間に躍り出た。
(;'A`)「ホアタッーーーーーー!! 俺参上!!!」
突然舞い込んできた闖入者に、男とツンはしばし呆然と立ち尽くす。
(;^Д^)「は?」
ξ゚听)ξ「ひ?」
- 267 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/21(木) 00:01:53.36 ID:vKY6OyTR0
-
(;'A`)「ふへほおぉぉぉぉおぉぉ!!!! ホアチャー!!!!!」
ドクオは昔見たアクションスターをイメージし、
適当にジャブにキックを空に繰り出した。
その光景を見て、ようやく二人は我に返ったようだ。
( ^Д^)「は? なにおめぇー?」
ξ゚听)ξ「あ、おっぱっぴーじゃないの」
ドクオは、二人の視線が体に突き刺さるのを感じた。
(;'A`)(やべ……ぶっちゃけノリでやっちまった感じだぜ……このやろー)
( ^Д^)「なにお前? やんのかこら?」
(;'A`)(くそっ、こうなったらやるしかねぇ!!!)
- 268 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/21(木) 00:02:43.07 ID:vKY6OyTR0
-
完全に油断している男に対し、
ドクオは拳を振り上げ、
(;'A`)つ「俺がガンダムだーーーー!!!!!!!」
(;'A`)つ#)^Д^)「ヒブルァ!!!」
殴った。
しかし相手の体格はドクオよりも優れているうえに、
流石ウラニチャ高校の生徒を名乗るだけあって、殴り合いには慣れたものらしい。
一瞬だけのけぞるが、すぐに体制を直し、
猛獣のような眼でもって、ドクオを睨みつけた。
(#^Д^)「てんめぇ……やんのかこらぁあああぁ!!!! ぶっころしてやるぁーーーーーー!!!!!!!」
- 271 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/21(木) 00:03:35.97 ID:vKY6OyTR0
-
男のあまりの迫力に、ドクオは全身が萎縮した。
(;'A`)(あわわわわ……まてよ。俺。
逃げちゃ駄目だ逃げちゃ駄目だ逃げちゃ駄目だ逃げちゃ駄目だ逃げちゃ駄目だ逃げちゃ駄目だ)
(#^Д^)「おるぁああああああああ!!!!」
(;'A`)「ソイヤハアァァァアアアァァァァ!!!!!!」
二人の雄叫びが廃工場内に、響き渡った。
そして
- 273 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/21(木) 00:04:33.07 ID:vKY6OyTR0
-
( ^ω^)「ちぇ、ドクオ。ゲーセンにいないお」
駅前のゲームセンターから出るなり、ブーンは誰に聞かせるわけでもなくそう呟いた。
先程までゲームセンター特有の喧騒の中にいたせいか、
外も外で電車や行き交う人々の声で五月蝿いのだが、それも今は妙に静かに感じる。
( ^ω^)(あー。やっぱり家かな。もう)
ブーンにはよくわからないが、ドクオ曰く今日はゲーセンのあるアーケードゲームが、
新しいバージョンにグレードアップするらしく、朝から今日は絶対にゲーセンに行こうと騒いでいた。
ブーンとしてもそのゲームはなかなかに面白かったような覚えがるので、
出来るならば早く遊んでみたい。
しかし、一人でそのゲームで遊ぼうという気はあまりなかった。
- 278 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/21(木) 00:05:47.49 ID:vKY6OyTR0
-
( ^ω^)(メールは……ドクオは返信がわりと遅いほうだお。電話してみるお)
ブーンは携帯を取り出し、電話帳からドクオの番号を呼び出した。
しばらくの断続的な電子音の後、呼び出し音が耳にはいってきた。
そして二・三回鳴った後に、女性の声が受話器越しに聞こえてきた。
「はい。もしもし」
(;^ω^)(え? 女? 彼女?)
ブーンは一瞬そんなことを考えたが、こう言ってはなんだがドクオに限ってそれはあり得ない。
それにこの声は、年配の女性の声だ。
(;^ω^)「あ、もしかしてドクオのお母さんですかお?」
「あぁはい。そうですが……ああ! もしかしてブーンちゃんかい?」
(;^ω^)「そうですお」
- 281 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/21(木) 00:07:00.52 ID:vKY6OyTR0
-
(;^ω^)(というかなんで?)
ブーンは携帯を一瞬口元から離し、画面を見た。
案の定そこにはドクオの自宅の番号が表示されていた。
どうもドクオの名前で、二つ。つまりは携帯と家伝の二つを登録してしまっていたらしい。
(;^ω^)(そういえばいつもメールだったからなぁ……まずったお)
「でぇ、なんのようだい? ドクオなら今家にはいないけど」
(;^ω^)「ああ、そのぅ……そうなんですかお。じゃぁ失礼しますお」
「あぁはいはい。それじゃあね。ブーンちゃん。
ドクオをこれからもよろしくね」
そして電話は切れた。
(;^ω^)(うぅん……つか家には帰ってないのかお……)
- 285 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/21(木) 00:07:57.43 ID:vKY6OyTR0
-
ブーンは再度ドクオの番号を呼び出し、
今度は携帯の番号であることを確認してからコールをしようとした。
しかしボタンを押す直前。
画面に赤枠に囲まれた一つのメッセージが表示された。
(;^ω^)(充電してください……かお……)
そういえば昨日充電することを忘れてしまい、
朝から電池残量が三段階表示で、残り一になっていたことをブーンは今更ながら思い出した。
そのときブーンは、ゲームセンターの入り口にたむろする、
みるからにガラの悪い連中の会話の一端が耳に飛び込んできた。
「なぁ。今日プギャーのやついねぇーけどどうしたあいつ?」
「あ? プギャー? なんかちっと挨拶するやつがいるとかいってもうどっかいっちまったぜ」
- 286 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/21(木) 00:08:46.62 ID:vKY6OyTR0
-
「なんだよー今日折角あいつんちで久々に麻雀やりたかったのによぉ。なんだ? 女か?」
「さぁしらね。でも女なのはまちがいないっぽいぜ。なんか金髪でツインテのVIP高のやつだってよ」
視界の隅で捕らえた画像を見る限り、間違いなくウラニチャ高校の連中だ。
目が合うとろくなことがないので、ブーンはできる限り視界に入れないように、連中を観察した。
(;^ω^)(金髪でツインテでうちの高校……)
ξ゚听)ξ
(;^ω^)(まちがいなくあいつのことだお)
どうにも嫌な予感がブーンの胸をよぎった。
うまくは言えないが、なにかやばいことになっていそうだと。
- 287 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/21(木) 00:09:50.62 ID:vKY6OyTR0
-
( ^ω^)「なんだか嫌な予感めいたものがするお……」
このへんで、人気が無くある程度のスペースの確保できる場所をブーンは考えた。
あそこしかない。
( ^ω^)(取り越し苦労ならそれでいいお。帰るのが数十分だけ遅くなるだけだお)
ブーンは、昼下がりの街へと駆け出した。
- 290 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/21(木) 00:10:58.77 ID:vKY6OyTR0
-
(#^Д^)「おらぁ!! あんまし人のこと舐めてっからこうなんだよ!! ああ!!」
(;゚A゚)「ぐぼふぁ……」
男の右手による正拳がドクオの鳩尾を正確に抉る。
ドクオはたまらずその場に倒れこもうとするが、
襟首を男の左手によって掴まれており、それを許されない。
続いて男の膝蹴りがドクオの腹に叩き込まれる。
その衝撃に、胃の内容物がせりあがってくる気配を感じた。
吐かれることを予期したのか、男はそのまま左手をドクオの襟首から離し、放った。
どさりと地面に落とされ、ようやくドクオは何にも阻害されることのない呼吸を許された。
- 292 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/21(木) 00:12:51.31 ID:vKY6OyTR0
-
(;'A`)「げほぉ、げほげほ……」
ドクオは男に立ち向かおうと、膝立ちの体制になる。
しかしなかなか腰があがらない。
肉体の限界だった。
痛みで全身がばらばらになりそうだった。
ξ;゚听)ξ「あんたもう逃げなさいよ」
そんなツンの声を、ドクオは一蹴する。
(;'A`)「はは、逃げられっかよ……ここで逃げたらツンちゃんはどうなんだよ……」
ξ;゚听)ξ「あたしのことは大丈夫よ……
というかあんたはなんでそんなあたしなんかのためにそんな頑張るのよ」
(;'A`)「き、決まってるじゃねーか」
- 296 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/21(木) 00:13:59.13 ID:vKY6OyTR0
-
ドクオは痛みで意識すら朦朧とする中、
いや、そんな状態だったからこそ。
普段ならば絶対に口には出来ないような言葉がするすると腹から出てきた。
(;'A`)「友達だからじゃねーか……」
ξ;゚听)ξ「はぁ? あんた馬鹿?」
(;'A`)「なんとでも言えばいいじゃねーか……だけどよ! 俺は闘うぜ! お前のために! 俺は闘うzぇ」
最後まで言い終わらないうちに、
膝立ちの状態のドクオに、男のつま先蹴りが決まった。
(;゚A゚)「ぁぐ……」
(#^Д^)「ずいぶんとかっけー台詞吐けるほど余裕あんじゃねーかこら!」
- 299 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/21(木) 00:15:08.76 ID:vKY6OyTR0
-
男はもはや抵抗すらできないドクオを、げしげしと足蹴にする。
(#^Д^)「適当にいたぶって帰してやろうかと思ってたけどよぉ……
こうなりゃまじで病院の天井拝ませてやらぁあああああああああ!!!!!!!!」
(;゚A゚)「ぐぇぁ……」
何度も何度も男の蹴りが、ドクオの体に食い込んだ。
そのたびに鈍痛が走り、肺から空気が押し出され呼吸が苦しくなる。
何度も何度も。
(#^Д^)「おるぁっ!!!おるぁっ!!!おるぁっ!!!」
(;゚A゚)「……」
もはや呻き声も出せない。
- 303 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/21(木) 00:16:36.72 ID:vKY6OyTR0
-
それほどまでにドクオの体は痛めつけられた。
そしていよいよ意識すら失いそうになってきたそのとき。
――オオォォォオォォォォォ――
どこからともなく、何者かの叫びが辺りに響き始めた。
(#^Д^)「あ? なんだこの声は」
男は足を止めた。
ドクオは男の蹴りから開放されたことに気がつくと、うぅと一つ唸った。
その間にも、叫び声は響き続ける。
ξ;゚听)ξ「な、なんかこの声。近づいてきてるわね」
(#^Д^)「なんだそりゃ」
(;'A`)(こ、この声は……間違いない! この声は……)
- 305 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/21(木) 00:17:47.78 ID:vKY6OyTR0
-
(#^Д^)「まぁいい、今はこの糞生意気な餓鬼ぼこるのが先だっ!!!」
男は足を振りかぶり、再度ドクオに蹴りを叩きこもうとした。
そのとき。
今度は声だけでなく足音までもが響き始め、
流石に男はドクオから視線を逸らし、音のする方向へと顔を向け……
(#^Д^)「ったく!!! なんだっつーの……って!!! うわっ!! なんだおmぇ」
⊂二二二(#^ω^)二⊃「ドクオオオオォォォォォォ!!!!!!!」
突如として、両手を羽のように広げ、ブーンが男に体当たりをかました。
(#^Д^)「ゴブヒャァァアア!!!!」
その勢いで、男はそのまま数歩後ろにあった廃材に頭から突っ込んだ。
- 308 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/21(木) 00:18:39.80 ID:vKY6OyTR0
- (;'A`)「ブ、ブーン……」
( ^ω^)「もしウラニチャのやつとなにかトラブルになっているのだとしたら、
この辺じゃここ以外には無いと思って飛んできたお!!!」
(;'A`)「あ、ありがとう……ブーン」
もっとも今は悠長にドクオと話している余裕はない。
( ^ω^)「ツン!! あんたがウラニチャの野郎に絡まれたのかお!!!」
ξ;゚听)ξ「え? あたし?
まぁたしかにあたしはそこのウラニチャの野郎に不当な難癖つけられたのは事実だけど……でも!」
(#^ω^)「ツン!! あんたに過失は無いのはわかったお!!
だったらあんたはそこらへん隠れるなり逃げるなりしててくれお!!」
そしてブーンは、
怒りに身を震わせながらゆっくりと立ち上がる男に向き直った。
(#^ω^)「こいつは僕がなんとかするお!!!!」
- 311 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/21(木) 00:19:43.57 ID:vKY6OyTR0
-
ξ#゚听)ξ「だーかーらあああ!!!! たしかにあたしはそいつに絡まれたわよ!!
悪いのはそいつよ!!! でもさ、あたしの話しくらいもうちょい聞きなさいよもう!!!
そこのおっぱっぴーも全然あたしの話しなんか聞きやしないんだから!!!!」
(#^ω^)「ドクオ!! 疲れているところ悪いけどツンをちょっと抑えててくれお!!!」
(;'A`)「ああ、わかった。あ、いててててて……」
ξ#゚听)ξ「ああもう!!! じゃあ勝手にしなさいよもう!!! しらないわよmぅ」
ブーンはツンの言葉を最後まで聞き終えることは出来なかった。
男の拳が眼前までせまり、それに意識を集中するはめとなった。
(#^Д^)「あぁうぜー!!! なんなんだよおめぇ!!!! ボッコボッコにしてやんよぉ!!!!!」
そして男はそのままブーンの胸倉を掴み、倒れ掛かろうとする。
負けじとブーンも相手の胸倉を掴み、互いに互いを押し倒そうと暴れまわる。
- 313 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/21(木) 00:20:36.70 ID:vKY6OyTR0
-
しばらくの揉みあいの後に、倒されたのはブーンだった。
結局体格差によって、強引に押し切られてしまったのだ。
(;゚ω゚)「げほぉぉ!!!」
背中をモロに地面に叩きつけられ、男の体重も相まって呼吸が一瞬完全に停止する。
肺の空気が押しつぶされて、口から出て行く。
そしてそのせいで完全に、男を馬乗りにされることを許してしまった。
(#^Д^)「おらあああぁぁあああ!!!! 頬骨砕けろやこるぁあああああぁぁ!!!!」
(;゚ω゚)「ッッッッ!!!」
最早悲鳴すらあげる余裕さへ与えられないほどに、
何度も何度も頭を強く殴られる。
このままではまずい。
- 316 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/21(木) 00:21:33.94 ID:vKY6OyTR0
-
ブーンは必死にある程度自由になる右手を動かした。
そして右手からあるひんやりとした、棒状の物の感覚が伝わってきた。
これだ。
ブーンは痛みを堪え、それをしっかりと掴むと、
馬乗りになっている男に強く振るった。
(#^Д゚)「うぎゃっ!!!!!」
男がひるんだ。
その隙にブーンはするりと男の下から抜け出した。
そして右手に握られているものを見る。
やはり。それは鉄パイプだった。
少々錆付いてはいるが、刃物等ではないので何の問題も無い。
ブーンは力任せに再度鉄パイプを振るった。
- 317 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/21(木) 00:22:22.26 ID:vKY6OyTR0
-
(#^Д゚)「ぐぁばっ!!!!」
鉄パイプは再び男の頭部を捕らえた。
あともう一度。
あと一回で確実に相手は気絶する。
本能的な直感によりそれを察知し、
ブーンは確実にそれを成し遂げるために、さっきよりも余計に鉄パイプを振りかぶり、
思い切り振るった。
そして鉄パイプはたしかに男の頭部へと三度吸い込まれていった。
しかしその直前。
まだ鉄パイプは男の頭部を捕らえていないというのに、ブーンの手に何かにぶつかった衝撃が走り、
弾き返された。
(;゚ω゚)「……え?」
- 320 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/21(木) 00:23:23.08 ID:vKY6OyTR0
-
そんなはずはない。
ブーンは自分の目を疑った。
しかしそれは紛れも無い事実。
そう。
確かに鉄パイプは”何もない空間で目に見えない何か”にぶつかったのだ。
(#^Д^)「たしかにおれは悪だがよぉ……良識ってもんはある。
学校の授業はなるべくさぼらねーし、マックに行けば、ちゃんと飲み残しのソフトドリンクは、
指定の専用のゴミ箱に捨てるぜ……だがよぉ……」
(#^Д^)「そいつぁ良識の通じる相手だけにすることだ!!!!
学校のせんこうも、マックの店員さんもどんなに気に入らなくても一応の良識があるからよぉ!!!!」
(;゚ω゚)「……」
(#^Д^)「だけどてめぇーはちげぇ!!! 拳と拳の喧嘩にあろうことか凶器を使いやがった!!!!
先にいっとくけどわりいのはお前だぜ!!!! お前がさきに卑怯な真似したんだからよぉおおおお!!!!!!」
- 324 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/21(木) 00:25:22.16 ID:vKY6OyTR0
- そして次の瞬間。
男が手を前に突き出したと思ったら、ブーンはすさまじい風によって吹き飛ばされていた。
(;゚ω゚)「っっ!!!!」
そして思い切り廃材の山に頭から突っ込まされた。
廃材がクッションがわりになったものの、その衝撃によってブーンはしばらく起き上がれない。
朦朧とする意識の中、ブーンはあることだけを考えていた。
”いまのかぜは……なんだ?”
そして意識が完全に回復するまえに、無理矢理体を男に起こされる。
(#^Д^)「いまので終わりだと思うなよ。あ?」
男は右手一本ブーンの襟首を掴み、ブーンを体ごと数センチ持ち上げていた。
そして左手でブーンの顔面を鷲掴みにし、
(#^Д^)「たっぷりと味わいやがれ……」
- 327 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/21(木) 00:26:36.35 ID:vKY6OyTR0
-
(;゚ω゚)「うぎゃああああぁぁあっぁあぁぁあ!!!!!」
全身をいまだかつて体験したことのない痺れが駆け巡る。
昔ライターの電気ショックの部分を取り出して、それを友達に使い合ったことがあるが、
あのときの感覚。
あのときの痛みの数倍の大きさの感覚が、全身を襲うのだ。
(;゚ω゚)「く……くぉ……」
それでもブーンは僅かな力を振り絞り、落とさずにしっかりと離さなかった鉄パイプを、
男のわき腹にふるった。
しかし。
(;゚ω゚)「な! なんでだお!!!!」
またも鉄パイプは男にぶち当たる瞬間に、何もない空間に弾き返された。
(#^Д^)「きかねーよ!!! そんなごみなんぞ俺にはきかねぇーんだよぉ!!!」
- 329 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/21(木) 00:27:40.75 ID:vKY6OyTR0
-
男はブーンを両手で掴み、上に放った。
数十センチしかあがらなかったが、それでもブーンが地面に受け止められるまえに、
またも右手を突き出した。
そう突き出しただけだ。
ブーンの体に触れてなどいない。
しかしブーンの体は、本当に見えない力で突き飛ばされたように吹き飛んだ。
そして今度はなんのクッションもない壁に思い切り叩きつけられた。
(;゚ω゚)「っぁぁ……」
流石のブーンも、これには参った。
そのまま地面に倒れこんだ。
(#^Д^)「ふん……」
男はブーンにゆっくりと歩み寄る。
その背中にツンが静かに声をかける。
- 332 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/21(木) 00:28:51.95 ID:vKY6OyTR0
-
ξ゚听)ξ「あんた……恥ずかしくないわけ?」
(#^Д^)「なにをだよ?」
ξ゚听)ξ「一般人相手にそんなに惜しげもなく”魔法”を披露してボッコボコにして……恥ずかしくないわけ?」
(;'A`)(ま、魔法!?)
ツンの言葉に男は強く反応し、視線をしばしブーンからツンへと向けた。
どうやらこの男。
プライドがかなり高いらしい。
(#^Д^)「恥ずかしくないだと? 待てよ、先に卑怯な真似しやがったのはあいtっ」
男は途中で言葉を切った。
視線をぐるりとブーンに戻すと、すぐさま右手で顔面を防いだ。
ばちりと音を立てて、何かが男の右手によって弾かれた。
(#^Д^)「いって……今のは威力こそ弱ぇーが……”魔法弾”じゃねーかよ……まさか!?」
- 334 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/21(木) 00:29:52.49 ID:vKY6OyTR0
-
男はついさっき吹き飛ばしたブーンへと視線を向けた。
そこには今にも倒れそうにふらふらとしているが、しっかりと自らの足で立ち上るブーンの姿があった。
( ゚ω゚)「はぁ…はぁ…」
そして男の目にはしっかりと、その身から沸き立つ魔力のオーラを映し出している。
( ゚ω゚)「まだだお……まだ! 僕は諦めないお……」
(#^Д^)(こ、こいつ。さっきまでは少しも魔力なんてもってなかったじゃねーかよ……
たしかにただの人間だった……なのになんで……意味わかんねーよ)
ξ;゚听)ξ「まさか……魔力の干渉を受けて覚醒した……!?」
(#^Д^)「は!? なんだよそれ!?」
ξ;゚听)ξ「あたしだって聞いただけの話で、実際にみるのは初めてよ。
ただこれは絶対にそうよ! これ以外考えられない!
こいつあんたの魔力をモロに受けたせいで目覚めちゃったのよ!!!」
- 336 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/21(木) 00:30:49.62 ID:vKY6OyTR0
- (#^Д^)「はぁ!? なんだよそりゃ!?」
(;'A`)(は? 魔法? 覚醒? 干渉? なんの話しかさっぱりわかんねーよ)
どうやらこの状況をしっかりと把握しているのはツンだけらしい。
男はまだ何が起こったのか完全には理解していないようだし、
ドクオとブーンにいたってはなにがなんだかさっぱりわからない。
しかしブーンには、これだけはわかっていた。
( ゚ω゚)(体中が痛い……今にもぶっ倒れそうだお……
でも! それでも力が沸いて来るのがわかるお! この力さえあれば!!!)
(#^Д^)
⊂二二二( ゚ω゚)二⊃「お前を倒せるおおおぉぉぉっぉぉおおお!!!!!」
ブーンは自分の存在全てをかけるような声で男に突貫した。
その右手には、たった今沸き始めたばかりの、自分でもよくわからない力を一杯に篭めて。
(#^Д^)「舐めんじゃねーよ糞がぁあああああぁ!!!!」
- 338 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/21(木) 00:31:36.12 ID:vKY6OyTR0
-
( ゚ω゚)「!!!!」
ブーンの渾身の一撃はあっさりと、またも見えない何かに遮られた。
そしてものすごい突風が吹き荒れ、ブーンは吹き飛ばされる。
(#^Д^)「俺は”乙種認定”受けてんだよ!!!!
てめぇーみてぇなたった今覚醒したばかりの、”丙種認定”も貰えなさそーな雑魚に遅れはとらねーよ!!!」
(;゚ω゚)「ぐ……くそ……」
(#^Д^)「まじ頭きた。もう病院送りなんてあまっちょろいこたぁ言わねぇ。
冗談抜きでぶっ殺してやんよ!!!! 今更謝ってもおせーんだよ!!!!」
男が手近にあったドラム缶を思い切り蹴飛ばし、そう宣言すると、
肩を怒らせながらゆっくりとブーンへ近寄っていく。
ξ;゚听)ξ「もういいわよ!!!! そいつは本気であんたを殺しにかかるわよ!
もういいから! あとは私に任せて逃げなさいよ!!!」
(;゚ω゚)「嫌だお!!!」
- 342 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/21(木) 00:32:30.41 ID:vKY6OyTR0
- ξ;゚听)ξ「な……なんでよ……馬鹿じゃないのあんたら!?
なんでそんなに、こんなあたしのために……」
(;゚ω゚)「それは……僕とあんたは……友達だからだお」
ξ;゚听)ξ「へ……?」
(;゚ω゚)「ドクオとあんたは友達だお。そして友達の友達は友達。
つまりドクオと友達のあんたは僕の友達だお……だから助ける!!」
ツンはふとドクオの言葉を思い出した。
「友達だからじゃねーか……」
ξ;゚听)ξ「あ、あたしは! あたしはドクオを拒絶したわよ!!
ドクオが友達になってって言ったとき! あたしは嫌だと言った……
なのに……なのになんで!!」
(;゚ω゚)「あんたは……”友達の条件”についてどう思うお?」
ξ;゚听)ξ「友達の……条件?」
- 344 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/21(木) 00:33:28.33 ID:vKY6OyTR0
-
(;゚ω゚)「そうだお……」
そうしている間にも、男はどんどんブーンに歩み寄っていく。
ξ;゚听)ξ「お互いがお互いを友達と認めたとき?」
(;゚ω゚)「違うお。すくなくとも僕はそうは思わないお」
ξ;゚听)ξ「……」
(;゚ω゚)「友情ってのは……というよりも人の想いって奴はみんな最初は一方通行だお
お互いがお互いを同時に同じように想うなんてありえないお」
(;゚ω゚)「だから僕は想うんだお。この人とは友達だと。
たとえ相手がそう思っていなくても、やがて僕の想いは相手に届き、伝わるお
だから僕はいつもみんなの友達になろうって想うお」
(;゚ω゚)「想ったその瞬間から友達ってのは成り立っているお。
お互いの感情なんて関係ないお。押し付けがましい? そんなの関係ないお」
- 345 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/21(木) 00:34:16.09 ID:vKY6OyTR0
-
( ゚ω゚)「ドクオがあんたを想った瞬間からあんたはドクオの友達であり……
僕の友達だお!!!! 僕の大切な友達だお!!!!!
あんたがどう想おうと関係ない!!! あんたは僕の友達だお!!!!!!!」
そのときドクオはふと悟った。
自分とブーンの決定的な違いに。
(;'A`)(そうか……わかったよ……俺とブーンの”違い”ってやつが。
接し方とかそんなのは根本的な問題じゃねえ。一番重要だったのは想いだったんだ)
(;'A`)(俺は実際、周りの人間をこれっぽっちも友達だと思っちゃいなかったんだ。
だから相手も俺を友達だと思わなかった。あたりまえのはなしじゃねーかよ)
(;'A`)(でもブーンは違う。ブーンは常に周りみんなを友達だと想った。
だからそれがみんなに伝わったんだな……)
- 346 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/21(木) 00:35:06.97 ID:vKY6OyTR0
-
(;'A`)(なんてことはない。友達が出来ないのを、俺は勝手に周りが悪いって決め付けていたんだ。
だから自然と誰も寄って来なかった。なんてことは無い。
俺が変にひねくれていた。ただそんだけの話しだったんだ……)
( ゚ω゚)
('A`)(やっぱブーン。お前すげーよ。流石”俺のダチ”だよ……)
(;゚ω゚)「くそっ!!!! だから僕は、僕は負けない!!!! 負けないおぉぉぉおおおぉぉぉ!!!!!」
ブーンは痛みで満足に動かすことすら難しい右手を必死に持ち上げ、
筋肉を使った力の集中ではなく、全身を駆け巡る異様な力。”魔力”を篭める。
そしてどんどんその距離を縮める男に向けて撃ち出す。
(#^Д^)「ああうぜぇえ!!!! ほんとうぜえよおまえ!!!!!
こんな出来損ないの”魔法弾”で俺が倒せるとか思ってんのかよぉ!!!!!!」
ブーンの撃ち出す”魔法弾”は、全て男の体にぶち当たる前に弾け飛んだ。
- 349 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/21(木) 00:35:50.98 ID:vKY6OyTR0
-
しかしその理由も今のブーンにはわかった。
先程まで視認することのできなかった物が、今は見える。
そう。
男の体の回りには、半透明の膜のようなものが構築されていた。
それがブーンの攻撃を、すべて弾いてしまっているのだ。
ξ;゚听)ξ「やめなさいよ!!!!! あたしは大丈夫よ!! 本当に大丈夫!!!
だからあんた達は早く逃げなさいよ! あんたらが敵う相手じゃないのよ!!」
(;゚ω゚)「僕は友達を見捨てないお!!!」
ξ;゚听)ξ「まだそんなこと言ってるの!? あたしはあんたらを拒絶したわ!
そしてブーン。あんたもあたしを嫌った。そうでしょ!?」
(;゚ω゚)「たしかに……僕は一時はあんたを嫌ったお。
ドクオの気持ちを蔑ろにするあんなDQN女、死ねばいいのにと思ったお」
ξ;゚听)ξ「……」
- 351 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/21(木) 00:36:51.12 ID:vKY6OyTR0
-
(;゚ω゚)「でもその考えもすぐに揺らいだお。
覚えているかお? 今日の休み時間の話しだお」
ξ;゚听)ξ「……休み時間は何個もあったわよ。今日のいつの休み時間よ?」
(;゚ω゚)「僕がニダー達と騒いでいたときだお。
あのときあんたはたしかに僕らのことを見ていた。とても羨ましそうな目で!」
ξ;゚听)ξ「あ、あれは……そのぅ……たしかに羨ましかったけど……
あたしが羨ましかったのは……なんていうか……そういうあれじゃなくて……」
(;゚ω゚)「だから僕はそんとき思ったお。
もしかしたらあんたはとても意地っ張りで、なかなか素直になれなくて!!
純粋な目で友達になってくれと頼むドクオを、つい断ってしまっただけで!!!!
本当はみんなと仲良くやりたいんじゃないかと思ったんだお!!!!」
ξ;゚听)ξ「いや……だからそうじゃなくて……いやでもやっぱ変な意地張ってたのはあるとは思うけど……
そうじゃなくてあたしが羨ましかったのはそうじゃなktぇ」
- 353 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/21(木) 00:38:04.20 ID:vKY6OyTR0
-
(;゚ω゚)「素直になれお!!!!! 僕らはきみを受け入れるお!!!!!
だからきみのも素直になってほしい!!! それだけなんだお!!!!!!!」
ξ#゚听)ξ「だからあんたらはホントにもぅあたしの話しを最後まで聞きなさいよおおおぉぉぉぉおおお!!!!!」
(#^Д゚)「あああぁぁぁああああぁぁぁぁっぁぁあぁぁあああ!!!!!!!!!
ごちゃごちゃうるせええぇぇぇぇええぇぇえ!!!!!!!死ね!!!マジ死ねよ!!!!!
てめぇるぁあああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!」
男はブーンの目の前まで近づき、
ものすごい大音声で叫ぶと、大きく右腕を振り上げた。
そしてその拳に一気に男の魔力が集中する。
ばちばちと稲妻のようなものが拳から発生し、青白く輝く。
(#^Д゚)「これで内臓まで黒焦げになっちまえよぉぉぉおおおおおおおお!!!!!!!!」
そして拳が無慈悲にも。
ブーンに振り下ろされ。
- 356 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/21(木) 00:38:40.21 ID:vKY6OyTR0
-
そしてブーンは……
- 359 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/21(木) 00:39:38.97 ID:vKY6OyTR0
-
(;^ω^)「え?」
あり得ない光景が広がっていた。
ブーンの前にはツンが立ち塞がり、男の魔力の篭められた右拳を軽々と掴み、攻撃を防いでいた。
(;^Д^)「なっ!!!! て、ってめぇ! 一体何をしやがった!
”壁”も張らずによぉ!!!」
その問いに、ツンはいたって静かな口調で答えた。
ξ )ξ「なにをしたかって? ありのままに答えるならば……そうね
まずあたしの右手を魔力でコーティングして、とりあえずあんたの魔法を無力化した状態で掴んだわ。
そして”身体強化魔法”であんたの腕力をあたしの強化された腕力で押さえ込んだってところね」
(;^Д^)「コーティングに……身体強化魔法だって……?」
- 361 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/21(木) 00:40:50.43 ID:vKY6OyTR0
-
男の顔に、明らかに動揺の色が浮かんだ。
男はツンの手を振りほどこうともがくが、圧倒的な強化されたツンの魔力の前に、
文字どおり、指一本動かせない。
ξ )ξ「ふん、あんたみたいなぼんくらにも、この技のすごさくらい伝わったようね……」
そしてツンは、自ら男の手をほどいた。
男は自由になったものの、すぐさま数歩後ろに下がり、距離をとった。
ξ )ξ「ブーン……ドクオ……
私が間違っていたわ。たしかに私は素直じゃなかった。つい変な意地張って心にも無いことをしたわ。
そしてあんたらがあたしの代わりに闘ってくれていたときも、”余計なことをして”って思ってたわ。
だってさ、あたしはこんな男の喧嘩買うつもりなんてさらさらなかったし、適当にあしらって、
適当に帰るつもりだった。だからあんたらの助けは心底邪魔だと思ってた……」
- 366 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/21(木) 00:44:19.45 ID:vKY6OyTR0
-
ξ )ξ「あんたらが傷つき、倒れたときもあたしは指一本手を貸さなかった。
あんたらが勝手にやったことなんだから勝手に傷ついて、勝手に帰ればいいと思ってた」
ξ )ξ「でもあんたらは逃げなかった。あたしのために。
こんなにもボロボロになってもあんたら逃げなかったわ。勇敢に敵に立ち向かっていったわ。
だから…だから……」
(;^ω^)「あーごめんお。なんか何が言いたいのかよくわからんお」
ξ////)ξ「あーもう!!! 理解力の弱い奴ねぇ!!!!
つまりは”ごめんそしてありがとう”って言ってるのよ!!!」
(;^ω^)「そ、そうなのかお」
ξ////)ξ「わかりなさいよ!! こんくらい!!!!」
そしてツンは、キッと表情を引き締めると、
視線をまだ驚きの覚めない男に向け直した。
- 367 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/21(木) 00:44:53.80 ID:vKY6OyTR0
-
(;^Д^)「あ、あんだよ……」
ξ )ξ「あんた……たしかプギャーとか言ってたわよね。闘う前にひとつ言っておくわ……」
ツンは、その右腕をゆっくりと持ち上げ、
ξ )ξつ
人差し指を高らかにプギャーに突きつける。
そして
ξ#゚听)ξつ「あたしを怒らせたこと……後悔させてあげるわよぉ!!!!!!」
(#^Д^)「へ……言ってくれるじゃねぇかよぉ!!!!!」
- 368 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/21(木) 00:45:57.11 ID:vKY6OyTR0
-
ξ#゚听)ξ「あたしはあんたを許さないわよ!!!!」
(#^Д^)「俺こそ、おめぇら全員許す気なんてねぇんだよ!!!!!」
ξ#゚听)ξ
「ボッコボッコにしてやんよぉ!!!!!!」
(#^Д^)
- 371 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/21(木) 00:47:05.67 ID:vKY6OyTR0
-
そして男は再度拳を振り上げ、
先程と同じように魔力を集中させ、青光りする稲妻を纏った拳をつくりあげた。
(#^Д^)「たしかにてめぇは魔法を使うのが上手いらしぃなぁ!!!
でもよ!!! 見た限り俺の方が魔力の絶対量はあきらかに上!
これだけでもう勝負は目に見えてるようなもんじゃねーか!」
(;^ω^)(た、たしかに!)
ブーンの目にもその差は見えていた。
覚醒した目に映し出される、魔法使いが纏う魔力のオーラ。
その大きさは、ツンのそれよりもプギャーの方が一回りも大きい。
大きさが魔力の量を象徴しているのならば、ツンの劣勢は火をみるよりも明らか。
ξ#゚听)ξ「ふんっ、いるのよねぇたまに。
あんたみたいな無知でどうしようもないほどの単細胞馬鹿が」
- 373 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/21(木) 00:47:56.65 ID:vKY6OyTR0
-
(#^Д^)「あん?」
ξ#゚听)ξ「魔力の多いほうが強い。そんな単純な話しじゃないでしょ普通に考えて。
あんたそれでも本当に”乙種認定”受けてんの? あ、もしかして滑り込み?」
(#^Д^)「なんだって?」
ξ#゚听)ξ「あんたはしらないのかもしんないけどさ、”乙種認定”の判定基準でものすごく幅が広いのよ。
この国の魔法使いの七割近くが”乙種認定”の判定基準内なのよ」
(#^Д^)「ぁんだよ!!! 偉そうに能書き垂れやがって!!!
そういうおめぇこそどうせ乙種認定者だろぅがよ!! いや丙種か!? その魔力の量じゃ」
ξ#゚听)ξ「生憎あたしも乙種認定者よ。
だけどね。あんたは二つ勘違いしてる。一つは勝敗の決め手は魔力の量では無いこと。
そしてもう一つ。あたしは本来の魔力を”隠蔽”していることよ」
(#^Д^)「隠蔽だと? なんじゃそりゃ? はったりはよせや!! これでもくらいやがれよぉ!!!」
- 374 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/21(木) 00:48:55.63 ID:vKY6OyTR0
-
プギャーが右腕をツンの方へ突き出した。
瞬時に魔力が拳に集まり、魔力の弾丸となって、ツンへと猛スピードで迫る。
しかし
ξ#゚听)ξ「呆れた。”魔力隠蔽”も知らないとはね」
ツンはなんのモーションもとらずに、ただ自然体で立っていた。
しかしそれでも、プギャーの放った魔法弾を、壁を展開し造作も無く弾いた。
(;^Д^)「なっ、俺の魔法弾を軽々といなしやがって……」
ξ#゚听)ξ「ふん、あんたの豆鉄砲みたいな魔法弾なんて、あたしにゃ軽々と防げんのよっ!」
そしてツンは一歩、プギャーに対し歩み寄った。
プギャーが一歩、後ずさりをした。
- 376 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/21(木) 00:49:43.29 ID:vKY6OyTR0
-
ξ#゚听)ξ「生憎あんたと遊んであげるほど今のあたしの機嫌はよくないのよ!!!
たっぷりと見せてあげようじゃないの!!!あたしの本来の魔力をねぇええぇ!!!!!!!!!」
(;^Д^)「ほ、本来!?だって……?」
空気が変わった。
時が止まったような感覚。
周囲の物音が一瞬にして消え去る。
ツンが一声叫んだ瞬間から、まるで別世界に飛ばされたような感覚をブーンは味わった。
そしてツンから。
膨大な量の魔力のオーラが放出される。
(;^Д^)「な、なんだ……よ……これ……」
プギャーはその量に、思わず腰を抜かしてその場に座りこんでしまった。
(;゚ω゚)「いや……つか…これは……」
- 378 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/21(木) 00:50:24.41 ID:vKY6OyTR0
- その魔力のオーラはもはや大小の問題では無かった。
爆発するかのように広がる魔力のオーラは、周囲を埋め尽くし、
ブーンはその魔力のせいで、皮膚がぴりぴりと痺れるのを感じた。
見えるという話ではない。
もはや身をもってして感じてしまう規模の魔力なのだ。
(;'A`)(よ……よくわからんが俺でも感じるぜ……この異様な空気。
この皮膚を刺激する異様な感覚をよぉ……)
あまりにも圧倒的な量の魔力量。
それに男は、完全に怖気づいた。
冷や汗をだらだろ流し、顔を真っ青にし、震える唇を必死に抑えながら喋る。
(;^Д^)「は……? き、きいてねぇーよ……なんなんだよ、この魔力量。
俺はこんな化け物に喧嘩ふっかけたのかよ……」
ξ# )ξ「さてと、プギャー。あんた、覚悟は出来てるわよね?」
ツンがゆっくりと右手を天に振りかざした。
- 380 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/21(木) 00:51:23.82 ID:vKY6OyTR0
-
(;^Д^)「じょ、冗談じゃねぇ!!!!! 逃げるにきまってんだろぉがよぉ!!!」
ツンが魔法が繰り出す前に、
プギャーはここから逃げ出そうと一目散に、巨大な工場の出口へと走った。
しかし
ξ# )ξ「逃がすわけないでしょぉが……」
突如として極寒の冷気とともに、巨大な氷柱が地面から生え、
数秒とかからないうちに、工場の出口を覆いつくしてしまった。
(;^Д^)「は? は? い、いい、い、いや。な、なんだよこれ。
ほんの数秒で、これだけのものを構築。まじねぇーよ。
ねぇよ。ありえねぇーよぉ!!!!!」
逃げ道を塞がれ、慌てふためくプギャー。
- 382 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/21(木) 00:52:03.40 ID:vKY6OyTR0
-
そしてツンは再度右手を天に振りかざし。
今度は運動会用の大玉ほどの、稲妻の走る光の玉をつくりあげた。
ばちばちと耳を劈く音を鳴らし、そのあまりの光の強さはツンの輪郭をぼやけさせる。
(;^Д^)「ひっ、ひぃいいい!!!
なんだよそりゃ!? 大きさ的にありえねぇーだろ!!!!」
ξ# )ξ「さてと、あんたに十秒の時間をあげるわ」
(;^Д^)「ひぇ?」
ξ# )ξ「あたしが十秒の時間を数える間に、あんたの精一杯の”壁”を張りなさい。
でないとあんた……間違いなく”即死”するから」
(;^Д^)「いぃ、いやいやいや! ちょちょちょちょっと待てよ!!!!!」
ξ# )ξ「だから十秒待つって言ってんでしょ。ちなみに言うけど、
鉄パイプ防いだとき程度の”壁”じゃあ全然足りないから。普通に死ぬから」
- 390 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/21(木) 00:55:44.62 ID:vKY6OyTR0
-
(;^Д^)「まままままま待てよ!!! ええぇ? なんだよそりゃ!? ねぇって! ありえねえって!!!」
ξ# )ξ「あと七秒」
(;^Д゚)「そそそそそっそそおぉい!! あわぁわわわわw……」
プギャーは顔面蒼白になりながらも、必死に”壁”とやらを展開しようとする。
しかし焦りからか、まったく魔力は膜の形を取らない。
ぶちぶちと切れ、つくるそばから消滅していく。
その間にも、ツンは死のカウントダウンを止めない。
その上光の玉は更に大きさを増していくのだ。
(;^Д゚)「こここここ、殺すなんて嘘だよな、冗談だよな。なぁ!!!
なぁそそそそ、そうだろ。そうなんだろ!!! そうなんだろ!!!!!!」
ξ# )ξ「あと二秒」
(; Д )「くぁwせdrftgyふじこlp;@:「」
- 391 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/21(木) 00:56:27.25 ID:vKY6OyTR0
- 焦れば焦るほど集中力は弱まり、魔力を練ることができなくなる。
結局プギャーは、満足に”壁”をはることは出来なかった。
そしてツンは慈愛の意をみせることなく、残酷にも死のカウントダウンを終えた。
ξ# )ξ「0と……よし決定。死ね」
ツンは無造作に光の玉を、プギャーに放った。
そして光の玉は無防備な状態のプギャーを直撃した。
(;^Д゚)「ぐあああぁぁあああぁぁああああぁぁぁああああぁぁぁぁああああぁぁぁああああx!!!!!
(;^Д゚ああああああああああああああああああぁぁぁぁああぁぁぁぁあああああぁああああxあぁぁぁああ
(;^Дあああああああああああああぁぁぁっぁぁぁあああああああぁぁぁああぁぁあっぁああああああぁああ
(;^ああがあぐあhじぬふjljsdしふいhくhdくほいさdじおyydさsssじyy67yhkふ7j
(;hンsdjkhfぢfづふぃhdjfdksjふぉ;いそうgふfhfdhじfdこgfづgyhvgびじふgyf
(hsdfhsづふぃhdjふぃdjfのも振る会うし塗り編む軸ゲロ身にひじmっこjほじっぽーーーーいいぃ
ものすごきまでの絶叫。
まさしく断末魔と呼ぶに相応しい悲鳴。
そして爆発のようにひろがる光。
- 393 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/21(木) 00:57:05.40 ID:vKY6OyTR0
-
それらがすべて去ったあとには、白目を剥いて倒れるプギャーの姿が残った。
プギャーはピクリとも動かない。
ツンはそんな姿のプギャーを確認すると、一回大きくため息をついた。
そしてその後、口汚くプギャーを罵り始めた。
ξ#゚听)ξ「ああぁもう! ほんとマジうざい男だったわね!
いきなり『お前魔法使いだろ? 俺はこの辺じゃはばきかせてる魔法使いでよぉ。ちょっと面かせや』とか!
なに今時何縄張りみたいな糞下らないこと気にしてんのかしら!? それになにが『このへんじゃはばきかせてる』よ!
糞弱いじゃないの!!! このへんってこのへんはどれぐらいの範囲でこのへんなのよ!!
まさか周囲二、三メートルって意味!? ああもうほんとうざったいわよ!!!!!!!」
(;^ω^)「ああ、怒ってるところ悪いんだけど……」
ξ;゚听)ξ「な、なによ」
(;^ω^)「ほんとに殺したお? あの人」
ブーンは痛む腕をさすりながらも、地面に倒れぴくりとも動かないプギャーを指差した。
- 396 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/21(木) 00:58:18.32 ID:vKY6OyTR0
-
ξ゚听)ξ「ああ、別に殺してないわよ」
以外にもツンは、殺していないと言った。
ブーンはてっきり本当に殺したのかと思っていた。
実際あの魔法は、それだけの迫力があった。
ξ゚听)ξ「あれは見た目こそ派手だけど、実はただの”気絶魔法”よ
それなのにこいつは完璧ビビッちゃってさぁ。ほんと情けない奴」
そう言ってツンは、げしげしとプギャーの体を蹴り飛ばす。
プギャーはなんの反応も示さない。
完璧に意識が飛んでしまっている様子だ。
ξ゚听)ξ「ああ、せいせいした……」
( ^ω^)「うんそうだお」
('A`)「だな」
- 399 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/21(木) 00:59:08.01 ID:vKY6OyTR0
- ξ゚听)ξ「……」
( ^ω^)「……」
('A`)「……」
いろいろとあったがとても綺麗な形で一件落着となった。
そのせいで妙に落ち着いてしまい、会話が途切れた。
ξ;゚听)ξ「そ、そいじゃあたしは帰るわよ。もう」
ツンはこの空気がいたたまれないらしく、早々と帰ろうとし、
ブーン達に背中を向け、てぷてぷと工場から出て行こうとする。
ブーンはその背中に声をかける。
( ^ω^)「ちょっとまってお!」
ξ;゚听)ξ「な、なによ!」
怒っているような焦っているような。
そんな複雑な様子でツンはブーン達へと振り返った。
- 401 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/21(木) 00:59:46.84 ID:vKY6OyTR0
-
ブーンには、ツンに聞きたいことは山ほどあった。
”魔法”だとか”乙種”がどうだとか、ツン自身についてだとか、
たったさっき自分の身に起こった出来事の詳細だとか。
しかしそれらのことは、今口に出すべきじゃない。
今最も言うべきこと。
それは
( ^ω^)「ツン」
ξ;゚听)ξ「だ、だからなによ!」
( ^ω^)「これからも……」
( ^ω^)つ「よろしくだお」
そう言ってブーンは、右手をゆっくりとツンに差し出した。
- 403 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/21(木) 01:01:03.20 ID:vKY6OyTR0
-
ξ;゚听)ξ「ななな、なによその手は!」
( ^ω^)つ「握手だお。僕達の友情の握手だお」
ξ;゚听)ξ「な、なによそれ!? 金八先生の見過ぎじゃないの!?」
( ^ω^)つ「嫌かお? 握手」
ξ////)ξ「べべべべ、別にっ! 嫌なわけじゃ……」
( ^ω^)つ「じゃぁするお! さぁそんな端っこにいないでドクオもするお!」
('A`)「え、俺もいいのか?」
( ^ω^)つ「勿論だお! ね、ツン」
ξ////)ξつ「か、勝手にすれば!!」
('∀`)つ「ああ!」
- 405 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/21(木) 01:01:50.03 ID:vKY6OyTR0
-
差し出された三つの手。
それらはすっかり工場の入り口から差し込む、夕暮れた日の光を受け、
金色に煌いた。
( ^ω^)つ
ξ////)ξつ
('∀`)つ
そしてその中で三人は互いの友情を確かめ合ったのだった。
- 407 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/21(木) 01:03:02.91 ID:vKY6OyTR0
-
ξ////)ξ「い、言っとくけど別にこれはあくまで……」
( ^ω^)「あくまで?」
ξ////)ξ「あ、あんたらが魔法使いだったからよ! 他になんの他意も無いんだからね!
言ったでしょあたし。あんたらが”魔法”でも使えんのなら友達になるかどうか考えるわよって!」
( ^ω^)「ああ、そういやそんなことを……」
ブーンはそのことについて特に言及しなかった。
折角こんなにも必死に照れを隠しているのだ。
それなのにその行為を無駄にしてやったり、からかったりするのもよくない。
だからブーンは”素直”にこう言った。
( ^ω^)「まぁ今日のところはそれでいいお!」
ξ////)ξ「今日だけじゃなくて……これからもよ!!!」
- 409 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/21(木) 01:04:04.41 ID:vKY6OyTR0
- と、そこまで言ったところで二人は、あることに気がついた。
('∀`)「あれ? それだと俺条件満たして無くね?」
( ^ω^)「あ」
ξ;゚听)ξ「あ」
('A`)
ξ゚听)ξ「……」
( ^ω^)「……」
第二話「友達の条件」 終わり