( ^ω^)カウボーイなようです
- 4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/15(土) 00:46:01.50 ID:xtXjNcq8O
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保安官支所で手配書の手続きは済ませた。
その数日後、ザザから南へと延びる鉄道の線路沿いに馬を走らせる。
( ^ω^)「お?」
微かな振動が地面から伝わってくるのを感じ取った。
馬の手綱を軽く引き、線路から少し離れさせる。
( ^ω^)「来た」
程なくして、後方から黒い大きな物が近づいて来た。
馬より早く荒野を駆け、馬車より沢山の人や物を運ぶ巨大な機械。
煙を上げながら走るそれは列車という。
どんどん近付いて来て横に並んだ。
- 5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/15(土) 00:47:09.29 ID:xtXjNcq8O
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( ^ω^)「はっ!!」
同時に馬を一気に加速させる。
列車の小窓から数人の乗客がこちらに手を振っている。
指笛なんかも聞こえてきた。
が、あっと言う間に列車はブーンを抜き去って行った。
ブーンは手綱を引き、徐々に馬の速度を落としていく。
(;^ω^)「やっぱ勝てないお……」
当然だと言わんばかりに馬は鼻息を荒げてブルブルと頭を数回振る。
それを見てブーンは馬の首を軽く撫でてやった。
( ^ω^)「今度はノンビリ行くかお」
今度はカポカポと蹄を鳴らしながらゆっくりと進む。
- 6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/15(土) 00:49:42.83 ID:xtXjNcq8O
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目的地まではまだかなり離れている。
( ^ω^)「少し日差しが強いから、少し陽が傾いたら一気に行くかお」
馬もそれに答えるように鳴いて見せた。
―――
- 10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/15(土) 00:52:11.64 ID:xtXjNcq8O
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同日、ザザのとある銃工房にて。
('A`)「まだ出来ないの? もう相方は先に行っちゃったんだけど……」
川 ゚ -゚)「黙って待て、直ぐに仕上げ終わる」
そう言いながら淡々と作業を続けるこの無愛想な女性の名はクー。
ザザで小さな銃工房を一人で切り盛りしている。
腕は確かなのだが、幾つか問題がある。
('A`)「一週間前からその台詞聞いてるよ……」
川 ゚ -゚)「案ずることはない。最高の物を提供してやる」
('A`)「ライフルのメンテナンスしか頼んでないんだけど……」
- 14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/15(土) 00:56:30.09 ID:xtXjNcq8O
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川 ゚ -゚)「ん? カスタマイズじゃなかったか……?
いや、君はカスタマイズを依頼したに違いないぞ!
きっとそうだ! そうに違いない!」
(;'A`)「んな横暴な……」
仕事は他の銃工房に比べれば遥かにレベルが高いのだが余計な所までいじりだす。
そのせいか客は少なく、週に二人居れば多い方というレベルだ。
川 ゚ -゚)「よし、終わった」
('A`)「お、出来た?」
川 ゚ -゚)「あぁ、最高だぞ……」
('A`)「じゃあ、早速」
完成したライフルを受け取ろうとドクオは手を出す。
- 15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/15(土) 01:00:56.75 ID:xtXjNcq8O
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(;'A`)「……ッ!?」
川 ゚ -゚)「……」
が、クーはライフルを渡そうとせずにドクオの手を払いのけた。
(;'A`)「な、何……?」
- 18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/15(土) 01:03:41.64 ID:xtXjNcq8O
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川 ゚ -゚)「金が先だ」
('A`)「代金はライフル預ける時に払ったろ?」
川 ゚ -゚)「改造費はまだだ」
(;'A`)「それは、そっちが勝手に……」
川 ゚ -゚)「払え」
(;'A`)「……」
そして、ドクオが当初の数倍の額を絞り出される事になったのは言うまでもない。
('A`)「畜生……、パスタが遠のいた」
―――
- 20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/15(土) 01:06:13.20 ID:xtXjNcq8O
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陽が傾き、赤い夕陽が荒野を照らしている。
( ^ω^)「今日中にはザザを出て、何とか明日には追いつくってドクオは言ってたけど……」
ブーンは岩陰で野宿をする準備を整え、焚き火に当たりながら呟く。
( ^ω^)「……夕食にするかお」
鞄を漁り、中から干し肉とチーズ取り出した。
チーズをナイフで適当な大きさに切り分けて干し肉の上に乗せる。
そして軽く焚き火で炙ると良い匂いがしてきた。
それを口に運ぶ。
( ^ω^)「ムグムグ」
ウマい。
- 22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/15(土) 01:10:09.05 ID:xtXjNcq8O
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シンプルだが保存が効く。
材料も干し肉、胡椒にチーズと少ない。
それに味が濃い為、少量でも満腹感が得られる。
コレと水だけで4日はいける。
( ^ω^)「ごちそうさまでしたお」
ふと、馬の方へ視線を向けた。
どうやら寝ているようだ。
( ^ω^)「僕も少し寝るかお」
帽子をグイッと目深に被り、そのまま夜を過ごした。
―――
- 23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/15(土) 01:13:13.84 ID:xtXjNcq8O
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翌日早朝、ドクオはブーンを追って線路沿いに馬を走らせる。
朝陽がドクオと馬を照らす。
('A`)「半日遅れになっちまったなぁ」
陽が昇る前にザザを発ち、もう五時間は走り詰めだ。
('A`)「休まなきゃキツいか……」
馬にも疲労が見られる。
ドクオは朝食も兼ねて少し休む事にした。
鞄から水の入った皮袋と、パンを一つ取り出す。
パンを口にくわえる。皮袋の口の栓を外し、馬の口に突っ込んだ。
('A`)「ほれ飲め」
水がもの凄い勢いで吸われていく。
- 25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/15(土) 01:14:06.22 ID:xtXjNcq8O
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('A`)「はい終わり」
ドクオは馬の鼻の穴に指を突っ込み口を無理やり開けさせて皮袋の口を引き抜いた。
まだ足りないと言わんばかりに詰め寄る馬の頭を撫でて宥める。
線路の方を見ると列車が煙を上げながら通り過ぎて行く。
それを見送り、軽く背伸びをした。
('A`)「さて……、行くかな」
馬の鞍を整えて跨った。
手綱を引き、足で馬の脇を締めて走らせる。
馬の疲労も軽くなったのか走りも軽快だ。
このまま行けば明日の昼にはギリギリ追いつけそうだ。
―――
- 28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/15(土) 01:18:40.98 ID:xtXjNcq8O
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ハインとロイが列車に揺られながら資料の束に目を通している。
从 ゚∀从「ふむ……」
( ゚Å゚)「荒野の狼の資料ですか?」
从 ゚∀从「本来此奴等はバラバラに行動しながらザザの開拓の邪魔をしてた。
地方の保安官を潰し回ってみたり、行商人のキャラバンを潰したりな……」
( ゚Å゚)「悪党の組織としてはドライ・ジンの次くらい、ですかね?」
从 ゚∀从「いや、もっと小さいぜ。
だが、こいつらが一同に介する事は滅多にねぇからな。
何か……、何かあるぞ」
- 30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/15(土) 01:20:03.24 ID:xtXjNcq8O
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( ゚Å゚)「何か……、とは?」
从 ゚∀从「わかってりゃ苦労しねぇさ」
ハインは眉間に人差し指を当てながら窓の外に視線を向け、景色を見た。
( ゚Å゚)「何か見えますか?」
ロイは資料の束を整理しながらハインに問いかける。
从 ゚∀从「枯れた大地しか見えねぇよ……」
窓の外にはどこまでも続くようにさえ思えてくる荒野だけが広がっていた。
- 32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/15(土) 01:22:52.14 ID:xtXjNcq8O
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从 ゚∀从「ワッフル村……、荒野の狼……、ザザ……」
( ゚Å゚)「……」
从 ゚∀从「ところで、この資料は何処で手に入れたんだ?」
思い出したようにハインはロイに問いかけた。
( ゚Å゚)「魔法の小箱にチチンプイです」
从 ゚∀从「くだらねぇ……」
列車は荒野を南へと走っていく。
―――
- 34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/15(土) 01:27:16.28 ID:xtXjNcq8O
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( ΦωΦ)「思っていたより早く戻れたのである」
ロマネスクは土産を手に、レッドが待っているであろうホテルの扉を開く。
( ΦωΦ)「帰ったぞ」
返ってくる筈のレッドの声は無い。
部屋の中をぐるりと見渡す。
( ΦωΦ)「ふむ……」
レッドの銃、帽子とコートが見当たらない。
床の埃の残り方から見て、そう時間は経っていないようだ。
( ΦωΦ)「む?」
部屋の隅、小さめの机の上に書き置きがあった。
ロマネスクは、それを手に取り目を通した。
- 35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/15(土) 01:30:15.85 ID:xtXjNcq8O
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( ΦωΦ)「なるほど……」
書き置きをそっと閉じ、眼を瞑って暫く無言になる。
そして、眼をゆっくりと開く。
( ΦωΦ)「相手が何なのかわかっていないようだな……」
ロマネスクは急ぎ自分の部屋に戻る。
ベッドに敷かれたマットを退かし、木箱を取り出した。
それを脇に抱えて部屋を出ると、下の階へと駆け降りる。
「おや、また出るのかい?」
( ΦωΦ)「ああ、数日は部屋を空けるやもしれんな」
短い挨拶を済ませて、ロマネスクはホテルを出た。
―――
- 36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/15(土) 01:33:45.79 ID:xtXjNcq8O
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酒場で三人の男達が小さめのテーブルを囲んで何かを話している。
?「サスガ兄弟が潰されたのは本当だったのだな」
?「ミルナ、気にする事は無いニダよ。
所詮あいつ等は捨て駒ニダ。ウリ達の計画に支障はないニダ」
エラの角張った男が嘲笑しながら言った。
( ゚д゚)「小石でも水面に落ちたら波紋を作り出し全体を揺るがす事になる。
チャップを忘れたとは言わせんぞニダー?」
ミルナは両目を見開いてエラの角張った男、ニダーを睨みつけた。
<ヽ `∀´>「そんなの気にしてたらザザは潰せないと言ってるのがわからんニカ?」
( ゚д゚)「駒が無ければチェスは成り立たんのだ。
それすら理解できんのかアホめ」
- 37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/15(土) 01:35:52.36 ID:xtXjNcq8O
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<ヽ `д´> 「アホ……? 今、そう聞こえた気がしたニダ……」
( ゚д゚)「聞き取れなかったか? ならばもう一度言ってやる。
この能無しのアホめ」
<ヽ `∀´>「額で酒飲ませてやるニダ……」
ニダーが腰に下げた拳銃に手を掛ける。
?「まぁ、落ち着けよ」
残りの一人が口を開く。
ミルナとニダーの視線がそちらに移る。
?「次の手は考えてあるからよ」
- 39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/15(土) 01:38:38.16 ID:xtXjNcq8O
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( ゚д゚)「ほぅ、静観しているだけだと思ったが違うようだな」
<ヽ `∀´>「良い策ニカ?」
?「どうだか」
<ヽ `∀´>「期待はしないニダ」
ニダーはそう言うとウィスキーの瓶を掴んで一気に飲み干した。
?「そうしてくれると助かる」
( ゚д゚)「なるほど」
?「何がなるほどなんだミルナ?」
( ゚д゚)「……さあな。マスター邪魔したな」
ミルナは代金をテーブルに置いて酒場を出て行った。
- 40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/15(土) 01:41:09.32 ID:xtXjNcq8O
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残った酒瓶を空にしてニダーも一息吐いた。
<ヽ `∀´>「さて……、ウリもそろそろ行くニダよ」
?「もう行くのか? もっと飲んでいくのかと思ったがな」
<ヽ `∀´>「買い込んで行くニダ。マスター、酒寄越すニダ!」
ニダーは片手に酒瓶を三本ずつ持って酒場を出て行った。
?「問題は山積み。どう崩すかだな……」
一人酒場に残った男はグラスを傾けて残ったウィスキーを飲み干し、溜息を吐いた。
- 42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/15(土) 01:42:47.15 ID:xtXjNcq8O
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【7th:南へ】 fin