第一話「手紙」

1 : 不動産鑑定士(神奈川県):2007/03/19(月) 17:17:54.25 ID:u+QqTs4N0
第一話「手紙」


――全ては一通の手紙から始まった――


1915年、9月10日。ニューヨーク州ニューヨーク。
ガス灯から電灯へと変わりつつ、家庭にも電気が普及し始めた頃。
男はリビングで新聞を読んでいた。

???「ふぅ、休日の朝はゆっくりと新聞を読む、これが一番の贅沢だお」

男の名はブーン・ホライゾン。

???「……郵便です」

小さな声と扉を叩く音が部屋に響いた。
ブーンは新聞をテーブルに置くと、嫌そうな顔をして扉の前へと歩み寄った。


2 : 不動産鑑定士(神奈川県):2007/03/19(月) 17:18:42.29 ID:u+QqTs4N0
(#^ω^)「まったく、時間を考えてほしいお」

扉を開けると郵便配達の男が立っていた。
走り回っているのが目に分かるように顔を汗がつたっている。

(#^ω^)「ドクオ、配達ご苦労様だお。
       早く郵便物を渡して帰ってくれお」

男の名はドクオ・ポーツマン、ポストマン(郵便配達)をしていてブーンとは幼少の頃からの仲だ。

('A`) 「ごめん……ブーン。郵便です」

ブーンはドクオから郵便物を受け取ると勢いよく扉を閉めた。
ブーンはこの時間の来訪者を何より嫌う。例えそれが友人であっても。
彼にとってはこの時間が一時の幸せなのだろう。

( ^ω^)「ん? この手紙はモナーからだ……懐かしいお」


3 : 不動産鑑定士(神奈川県):2007/03/19(月) 17:19:43.38 ID:u+QqTs4N0
手紙の送り主はモナー、幼少の頃から仲が良かったのだが父親の仕事のため引っ越しをした。
引っ越し後は住所を聞かなかったのもあり手紙を送ることも出来ず、どうしているのかは分からなかった。
思わぬ友人の手紙にさきほどまでのイライラは嘘のように吹き飛んでいた。
手紙の内容は「ブーン、久しぶりだモナ。引っ越ししてから手紙の一つも送れなくてごめんモナ。
色々あったんだモナ。ふと、君の事が頭に浮かんで突然この手紙を書いたモナよ。
ブーンは学校楽しんでるかモナ? モナは楽しんでるモナ。
機会があったらに遊びに来てモナ。それじゃバイバイモナ」と現在の近況を書いた手紙のようだ。

(;^ω^)「うん? もう学校なんて年齢じゃないが、モナーは学者かお?」

手紙を見つめていると突如、眠気が襲ってきて眠ってしまった。


5 : 不動産鑑定士(神奈川県):2007/03/19(月) 17:22:03.17 ID:u+QqTs4N0
(?^ω^)「ここはどこだお?」

どこかの地下道だろうか、薄暗くロウソクのわずかな灯りが通路を照らしている。
壁には爪でひっかいたような跡が何重にもあり、床には大量の血痕がある。
ブーンは上から見下すように見ていて、体は硬直したように動かない。

???「う、うわぁぁ。た、助けてくれ!」

若い男の声が通路に響き渡る。

???「……全ては、この町のためだ……」

中年の男がゆっくりと足取りで若い男に近づいていく。
手には宝飾が施されたナイフが握られている。

???「あ、あんたはどうしちまったんだ!? 何があったんだ!?」


6 : 不動産鑑定士(神奈川県):2007/03/19(月) 17:22:48.07 ID:u+QqTs4N0
???「……」

若い男は中年の男から逃げるが、ついに壁に追い詰められてしまう。

???「お、お願いだ。助けてくれ。何でもするから」

若い男は必死で中年の男を説得しようとする。
だが、中年の男は聞く耳を持たず、ナイフで若い男を突き刺した。

???「ぐ……がぁ……」

若い男は地面に倒れ込むと二度と動くことは無かった。

???「……これで、私の……」

ナイフの宝飾部分は、血のように赤く光を放っていた。
その瞬間、ブーンの視界は黒く染まり何も見えなくなった。


7 : 不動産鑑定士(神奈川県):2007/03/19(月) 17:24:11.01 ID:u+QqTs4N0
気が付くとブーンは部屋にいた。

( Vω⊂)「ふわぁ? 電話だ……」

ブーンは眼を手でこすりながら、電話の受話器を手に取った。

('A`) 「ブーン、こんばんは。今から家に行ってもいいか? 仕事終わったからさ」

( ⊃ω^)「おぉ、ドクオ。こんばんはって、もうこんばんはかお? 」

('A`) 「何言ってんだ? もう夕方だ」

(;^ω^)「そうか、それはすまない。おk、待ってるお」

('A`) 「うん、じゃあな」

( ^ω^)「それじゃ切るお」


8 : 不動産鑑定士(神奈川県):2007/03/19(月) 17:25:35.47 ID:u+QqTs4N0
受話器を置くとブーンは時計の方へと目を向けた。
時計の針は午後6時を示していた。

( ^ω^)「結構長い時間眠っちゃってたお。疲れてもいないのに不思議だお」

電話からしばらくすると、扉を叩く音が部屋に響いた。

( ^ω^)「ドクオ、ちょっと待っててくれお」

ブーンは扉を開けるとドクオを中へと入れた。

('A`) 「お邪魔するぞ。あいかわらず綺麗な部屋だな。あんまり物がないだけだけどな」

(#^ω^)「ビキビキ、ド、ク、オ? 」

(;'A`) 「じょ、冗談だ、ブーン。ほら、ブルマンブレッド買って来たから食べよう」


9 : 不動産鑑定士(神奈川県):2007/03/19(月) 17:26:57.30 ID:u+QqTs4N0
(=Oω^)「それは僕の好きなパンじゃないかお。ありがとだお、ドクオ」

ブーンはドクオからパンを受け取ると満面の笑みを浮かべる。

('A`) 「では、いただきます」

(=Oω^)「いただくお」

二人はパンを幸せそうに頬張った。

('A`) 「おいしいな、このパンは」

(=Oω^)「うむ、おいしいお。
       しかし、ドクオは家に遊びに来る時と外とでは全然性格が違う気がするお」

('A`) 「仕方がない、人と接するのが苦手だ。外だと大声出せないし」


10 : 不動産鑑定士(神奈川県):2007/03/19(月) 17:28:40.65 ID:u+QqTs4N0
(=Oω^)「そんなんでよく郵便配達なんてやれるお。すごいお」

(*'A`) 「す、すごくなんてない」

(=Oω^)「ふぅ、ごちそうさまだお。そういえば今日、モナーから手紙が来たお」

('A`) 「モナー!? そうなんだ、なんて手紙には書いてあったんだ?」

( ^ω^)「それが、笑っちゃう内容なんだお。モナーは未だに学生生活を送ってるらしいお。
       ほら、読んでみるといいお」

ブーンはドクオに手紙を手渡した。

($'A`) 「……本当だな。それに一言も俺について書かれていないな。鬱だ(ry」

(;^ω^)「ちょ、強く生きるんだお。
       それで、一週間の休暇をもらってたからモナーの住む街に行ってみようと思ってるんだお」


11 : 不動産鑑定士(神奈川県):2007/03/19(月) 17:30:01.12 ID:u+QqTs4N0
('A`) 「そうか、一週間の休みなんて羨ましいな。図書館の職員は暇なんだな、ブーン。
    良いんじゃないのか、俺は仕事があるから行けない。何かお土産買ってきてくれ」

(#^ω^)「図書館の職員だって大変だお。失礼しちゃうお。
       おk、今日はパンありがとだお」

('A`) 「おっと、もうこんな時間か。それじゃぁ、帰るよ」

( ^ω^)「うん、気を付けて帰るんだお」

ドクオが帰ると、ブーンは明日に備えてベッドに横になると眠るのだった。

※ブルマンブレッドとは四角い食パンの事です。四角い食パンはアメリカ生まれ。
 山型食パンはイギリス生まれ。ブルマン社が考案したパンでブルマンブレッドと名付けられたそうです。



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