第二六話 『 わがままボニーとはっちゃけクライド ── VS. ????@ 』
- 1 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/26(土) 19:32:13 ID:lAL0DAmY0
-
『 はぁっ、はぁ……! 』
輪郭の不明瞭な空間。
薄ぼやけたグレーの階段を、一心不乱に駆け上がってゆく少年の姿があった。
『 つ、着いた…… 』
ようやく上りきると、息つく暇もなく目の前のドアを押し開いた。
そこには、黄色い空のもと、制服姿の少女が背を向けていた。
- 2 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/26(土) 19:33:54 ID:lAL0DAmY0
-
『 あ、あのっ! 』
呼びかけに応じ、チェックのスカートがふわり翻る。
从゚ヮ゚リル 『 お待ちしてましたっ 』
振り返った彼女は、はたして少年の想い人であり。
少女はぴょこんと静止すると、少年の表情を窺うように、その顔を下から覗き込んだ。
驚く彼に、これまでに見せたことのないような、柔和な微笑みで返す。
走ってきた所為とは違う胸の高鳴りを、少年は覚えた。
(,,*゚Д゚) 『 は、話って? 』
動揺を気取られないよう、できるだけ落ち着いて聞いた。
すると少女はもじもじしながら、伏し目がちに呟く。
- 3 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/26(土) 19:36:14 ID:lAL0DAmY0
-
从゚、゚*リル 『 ギコ先輩、その、僕…… 』
(,,;゚Д゚) 『 う、うん 』
从/、/リル 『 先輩の事が…… 』
lli (,,* Д ) l|l 『 !? 』
一瞬溜めたあと、少女は後ろ手に持っていたものを差し出し、言った。
从/O/リル 『 これ、受け取ってください! 』
(((,,* Д ))) (ひょおおおおお────! こ、こ、告白きたぁぁああぁっ)
(,,*゚Д゚)゙ ?
(,,・Д・) 『 何これ? 』
が、しかし。
手渡されたのは、ほかほか湯気をはなつ、漆塗りのおわんがひとつ。
- 4 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/26(土) 19:37:12 ID:lAL0DAmY0
-
从'ヮ`リル 『 えい 』 ポチャ
(,,;゚Д゚) 『 えっ? 』
目を白黒させているうち、そこに麺のようなものが放り込まれる。
(,,;゚Д゚)ゞ 『 あの、これ……? 』
d从^ヮ^リル 『 召し上がれ! 』
(,,゚Д゚) 『 あ、う、うん。 ……いただきます 』
いつの間にか少年の右手には割り箸が握られていた。
疑問の視線を向けるも、期待のまなざしがそれを押し返す。
仕方がないので、言われるがまま、椀の底の蕎麦をずるずるすする。
゙从'、`リル 『 おらっ 』 チャポ
(,,゚Д゚) 『 あっ 』
食べ終わったタイミングを見計らい、すぐさま次の蕎麦が椀に投げ落とされる。
- 5 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/26(土) 19:39:55 ID:lAL0DAmY0
-
(,,゚Д゚) 『 …… 』
(,,;゚Д゚) 『 あのー、これひょっとして…… 』
从^ヮ^リル 『 わんこですよ! ギコせんぱい! 』
(,,;゚Д゚) 『 だ、だよねー。 どうみてもわんこそばだよねー 』
黄土色の屋上に渇いた笑いがこだました。
从゚、゚リル 『 …… 』
少女は、そんな少年を不思議そうな顔で眺めたあと、
彼の手をお椀ごと両手で包み込んだ。
(,,; Д )そ 『 えっ!? ど、ドクミちゃん!? 』
从'、`リル 『 せんぱい……わんこです 』
(,,;゚Д゚) 『 あ、うん。 わんこだね 』
- 6 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/26(土) 19:41:14 ID:lAL0DAmY0
-
从 。*リル 『 僕ね、大食いの人が大好きなの 』
(,,;゚Д゚)゙ 『 えっ。 あ、そうなんだ? 』
从'ヮ`リル 『 だからたくさん食べてください! だってほら! わんこだもん! 』
(,,;^Д^)ゞ 『 そっかー! わんこならしょうがないかー! 』
『 いただきまーす 』 の掛け声とともに、少年は椀の中の蕎麦をすすった。
食べ終わるとすぐに次の蕎麦が放り込まれる。
(,,;゚Д゚) そ 『 ぬわっ!? 』
゙从^ヮ^リル 『 あははははは☆ ほれ!! 』 チャポン
完食すると、また次の蕎麦。
口に入れると同時にまたまた次の蕎麦。
(,,;゚〜゚) そ 『 もご、まだ食って……! 』
从'ヮ`リル 『 めしあがれ! 』 ポチャ
- 7 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/26(土) 19:44:16 ID:lAL0DAmY0
-
咀嚼してると次の蕎麦。
箸をつけた途端に蕎麦。
驚いて見上げると蕎麦。
喉を塞ぐ蕎麦。
振り返れば蕎麦。
めくるめく蕎麦。
蕎麦。蕎麦。蕎麦。 そばそばそばそばそば……。
(,, ; ゚ Д ゚ ) = 3 『 む、むり、もーむり 』
从^ヮ^リル 『 まだまだありますよ! どんどん食べてくださーい! 』
代えの蕎麦を両手に抱え、少女はなおもぐいぐいと迫ってくる。
蕎麦の投入を阻止するべく、少年は自分の椀を守るように抱え込んだ。
(,, ; ゚ Д ゚ ) ノシ 『 いやダメ! も、もう流石にこれ以上は…… 』
从 。 リル 『 ……あん? 』
そうしているうち、少女の声色が変わった。
- 8 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/26(土) 19:45:42 ID:lAL0DAmY0
-
从'д`リル 『 先輩……あんた食べ物を粗末にするつもりっスか? 』
(,, ; ゚ Д ゚ ) 『 違うって! もう限界なの! 入らないんだ……! 』
言い終わらないうちに、少年の椀から勢いよく、蕎麦の柱が吹き上がった。
Σ(,,ili ; ◎Д◎ ) 『 のわっ!? な、なんだぁあぁっ!? 』
昇り龍のように椀から伸びた蕎麦は、
上空で渦を巻き、うねる濁流となって彼のほうへ降り注ぐ。
(゚ Д ゚ ; ,,) 彡 『 ちょ、なんだこれっ!? 』
从'。`リル 『 わんこ食え〜〜〜 』
Σ(゚ Д ゚ ; ,,) 『 あ、あれぇっ!? 』
逃げようと踵を返すも、後方は断崖絶壁になっていた。
- 9 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/26(土) 19:46:23 ID:lAL0DAmY0
-
从'皿`リル 『 わんこ〜〜〜 』
:::(,,l|i ; Д )ノシシ::: 『 うっ、うわっ、ちょっ 』
从'ロ`リル 『 わ〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん〜〜〜〜〜〜こ〜〜 』
頭、肩、胸、両腕……。
体中に蕎麦入りの椀を乗せた少女が、すぐ目の前に迫っていた。
从゚皿゚リル 『 ぅぉわ〜〜〜〜〜ん〜〜〜〜〜〜くぉ〜〜〜〜〜っっ! 』
そして上空からは、蕎麦のドラゴンが大口を開けて襲い掛かる。
(((,,l|i ; Д ))) そ 『 わっ!? 』
『 うわああああああああああ───っ! 』
とうとう少年は足を踏み外し、崖下へ真っ逆さまに───。
- 10 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/26(土) 19:47:53 ID:lAL0DAmY0
-
〜 〜 〜
どん が
がた っ ん!
しゃ
階下まで届くほどの振動と、衝撃が彼を襲った。
『 ───!? 』
ぼやけた視界の中で、少しづつ、逆さの家具の輪郭が形作られてゆく。
そのうちぱたぱたと、スリッパの足音が近づいてきた。
ドアの前で止まったかと思えば、続けて激しいノックの音。
- 12 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/26(土) 19:50:58 ID:lAL0DAmY0
-
「ちょっと、いったい何があったの!?」
ベッドに腰を預け、上体だけずり落ちた姿勢のまま、
(,,ill≡Д≡) 「……夢か」
ギコはぼそりと呟いたのだった。
- 13 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/26(土) 19:51:36 ID:lAL0DAmY0
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http://boonsoldier.web.fc2.com/channel.htm
http://localboon.web.fc2.com/100/top.html
纏
http://kurukurucool.blog85.fc2.com/blog-entry-497.html
http://boonfestival.web.fc2.com/channelers/list.html
- 14 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/26(土) 19:53:49 ID:lAL0DAmY0
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〜 〜 〜
背の低いビルが立ち並ぶ、朝の路上にて。
(,,´Д`) 「はっふぅ〜〜〜〜〜……」
ペダルを漕ぐ足をゆるめ、大きく溜め息をつく。
黄色い声で談笑しながら、女生徒ふたりが彼の横を追い抜いていった。
商店街の入口看板を横目に、のんびりと坂を下る。
からりとした冬空に、雀のさえずりが心地よい。
どこにでもある登校風景。
日差しは柔らかで暖かい。
今日も過ごしやすい一日になりそうだ。
ギコは大あくびとともに、今朝方の夢を思い返していた。
- 15 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/26(土) 19:55:51 ID:lAL0DAmY0
-
(,,´Д`) 「ろおひてふぁんな……あっ」
(,,;゚Д゚) 「そっか、昨晩……」
なんとなく胸騒ぎがして眠れなくて。
小腹も空いてたから、しょうがなく、インスタントのカップ蕎麦を食べたんだった。
変な夢見ちゃったのはそのせいか、と、ギコは自分を納得させる。
(,,*-Д-) (……でも、ちょっとだけ、いい夢だったな)
ギコは自転車から降りると、ハンドルを押し押し歩く。
そうして、夢の少女へ思いを馳せた。
何度も述べるが、ドクミはAAは少々アレでも、いちおう美少女という設定である。
从 。 リル
外ハネの髪の毛、薄い桃色の唇。
一見眠そうにも映るが、黒目がちでぱっちりとした大きな瞳。
そして……。
- 16 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/26(土) 19:57:24 ID:lAL0DAmY0
-
(,,*´Д`) ~゚ (あー、学校のどっかで会えねーかなあ〜〜〜?)
ブラウスを押し上げて存在を主張する、ふくよかな両の胸。
うっかりすると手を伸ばしてしまいそうな、引力に満ちた、魔性の膨らみだ。
印象的な各パーツは、夢の中でも忠実に再現されていた。
しばしその余韻に浸りつつ、交差点で歩を止める。
『 あのー、すみません 』
(,,*´Д`)σ゙ 「んー?」 カチカチカチカチ
緩みきった顔で信号が変わるのを待っていたギコだったが、
横の押しボタンを連打しているうち、後ろから声をかけられた。
ノリ, ^ー^)li 「 外藤ギコ、くん。 ですよね? 」
(,,゚Д゚)σ 「!」
振り向くと、見慣れない女がそこにいた。
- 17 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/26(土) 19:59:40 ID:lAL0DAmY0
-
十代後半、または二十代そこそこといったところだろうか。
中肉中背、カジュアルな格好で、茶味がかったストレートヘアー。
化粧は薄く、一見して年齢が察しづらい。
訝しむギコへ、ただにこにこと、張り付いたような笑顔を向けている。
(,,゚Д゚) 「……何スか?」
ノリ, ^ー^)li 「ご両親の件で、ちょっと……」
_,
(,,゚Д゚) (!?)
緊張が走った。
ギコは一歩距離を取り、女をキッと睨めつける。
_,
(,,゚Д゚) 「……どういう事だ」
ノリ, ^ー^)li 「突然ごめんなさい。 あ、私は島野ジャンヌといいます。
あなたと話したいって人がいるの。
良かったら、ちょっとそこまで来て欲しいのだけど」
_,
(,,゚Д゚) 「用件ならここでも大丈夫だろ。
てか何者だ? 何故オレの名前を知ってる?」
- 18 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/26(土) 20:01:12 ID:lAL0DAmY0
-
女は、軽く首を傾けると、自らの後方に指を向けて言った。
ノリ, ^ー^)li 「怪しい者ではない……といっても、信じてはもらえないかしら?
そこで待ってる “ 彼 ” の話を聞けば、だいたい理解してもらえると思うわ。
ね、すぐそこ。 角の向こうにいるから」
(,,゚Д゚) 「……」
信号が変わり、周りの歩行者が横断歩道へ足を踏み出した。
ギコと女だけがそこを動けずにいた。
女──ジャンヌが指している場所は、交差点から一つ先の曲がり角である。
夢のせいでバタついた時間を差し引いても、始業には悠々間に合う。
何よりこれは、彼にとって願ってもない機会だった。
両親の死について、何か情報が掴めるかもしれない。
内心ではついて行くことを即決したギコだが、一つ懸念すべき点があった。
が、問いただそうとした矢先に、相手のほうからそれが語られる。
ノリ, ^ー^)li 「気づいてると思うけど、私もあなたと同じ、チャネラー。
これから会う彼も同じよ。
でも安心してね。 私たちはあなたの味方!」
- 19 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/26(土) 20:04:54 ID:lAL0DAmY0
- _,
(,,゚Д゚) 「……はあ? 何故オレの “ のーりょく ” を?」
ノリ, ^ー^)li 「あなた以前、ネットの掲示板を通じて、
色んな “ チャネラー ” と会っていたわよね?」
Σ(,,゚Д゚) 「ああ……!」
それはドクオ達と出会う以前のこと。
世間で、都市伝説的に “ 超能力 ” の存在が囁かれ始めた頃だ。
ギコとしぃは、両親の死に関する手がかりを得るため、
掲示板など、幾つかのウェブサイトを通じて、
チャネラー達とオフで会う段取りをつけていた。
両親を殺害した人物は、彼らの持つ “ 箱 ” を狙っていたのではないか。
そしてその相手は超能力者ではないのか──。
全ては憶測に過ぎないが、捜査を早々に打ち切った警察への不信もあり、
彼は妹とともに、自ら犯人を追う決意を固めたのだ。
- 20 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/26(土) 20:06:14 ID:lAL0DAmY0
-
──だが当然ながら、その行動が即座に実を結ぶことはなかった。
会えた相手は、チャネラーを自称するただのオカルト好きであったり、
出会い系の延長気分、興味本位の一般人が大半を占めていた。
いちおう本物のチャネラーにも会えはしたものの、望む情報は得られず仕舞い。
逆に危険に遭遇することさえあった。
一介の少年少女に、警察のそれを超える捜査活動など、土台無理な話だったのだ。
それでも彼らは、藁にもすがる思いでチャネラーとの接触を繰り返してきた。
それが、年端もいかぬふたりの兄妹に出来る、精一杯のあがきだった。
ノリ, ^ー^)li 「あなたの行動は無駄ではなかったってことね。
情報と呼べるものかはわからないけど、伝えられることがあるの」
ようやく進展があったのは、インターネットでの募集とは無関係──。
同じ学校で同学年の生徒、内藤ホライゾンとの遭遇がきっかけだった。
似たような “ 箱 ” を持つ、ホライゾンの兄 ・ ドクオ。
さらに、その “ 箱” を狙って現れた、エージェント ・ クー……。
- 21 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/26(土) 20:08:02 ID:lAL0DAmY0
-
未だ直接的な手がかりが得られたわけではない。
けれども、彼らとの出会いを通じ、ギコは確信めいたものを感じていた。
“ 箱 ” のルーツを追ってゆけば、必ずや、仇のもとへたどり着けると。
(,,゚Д゚) 「行く!」
そんな彼に、相手の申し出を断る理由はなかった。
二つ返事で了承したところ、ジャンヌはギコの先に立って歩き出した。
ノリ, ^ー^)li 「こっちよ。 着いて来て」
彼女に続いて角を曲がる。
すると歩道の脇で、フルスモークのスポーツセダンがハザードを点滅させていた。
ノリ, ^ー^)li 「連れてきたわよ」
ジャンヌはわき目も振らず車に近づくと、コンコンと後部座席の窓を叩いた。
- 22 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/26(土) 20:09:12 ID:lAL0DAmY0
-
(,,゚Д゚) (……後ろ? んーなお偉いさんなのか?)
ギコは目を凝らしたものの、運転席には人の乗っている様子がない。
不審に感じていると、おもむろに後部のドアが開き、
そこから長髪の男が顔を出した。
爪 ゚〜゚) 「おおっ、君がギコ君かー、はじめまして!」
(,,゚Д゚) 「……あの、誰っスか?」
爪 ゚〜゚)゙ 「ああ、僕は……」
モード系スーツにノーネクタイ、
いかにもホスト風といったいでたちの男は、鈴木タムラと名乗った。
タムラは車を出ることなく、座席から身を乗り出すようにして、一枚の写真を差し出した。
爪 ゚〜゚)つ◇ 「早速だけど、この人物に見覚えはないかい?」
(( (,,;゚Д゚) 「写真? ちょ、ちょっと見せてくれ」
もぎ取るようにしてそれを貰い受ける。
ギコは唾を飲み、写真を注視した。
- 23 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/26(土) 20:10:40 ID:lAL0DAmY0
-
(,,゚Д゚) 「あれっ? こいつ、どこかで……」
Σ(,, Д ) 「───!?」
が。
言い終わらないうちに、激しいショックがギコの全身を襲った。
(,,i|i Д ) (な、何が───!?)
視界に迸る閃光が消えると、ふらりと脱力し、タムラのほうへもたれかかる。
後ろに立つ女──ジャンヌが、ギコの首筋に押し当てていた手を返し、
満面の笑みで声をあげた。
エ レ キ ネ シ ス ト
ノリ, ^ー^)li 「ジャジャーン! 電撃系念動力者お手製 【 スタンピース 】 !
お味はどうだったかしら〜〜〜?」
爪;゚〜゚) 「わかった、わかったから早く乗れ!」
ノリ, ^ー^)li 「あーいさ〜〜〜!」
倒れ込んだギコの尻を、ジャンヌが乱暴に座席へ押し込める。
ギコを引っ張り込んだタムラは、すぐさま逆のドアから運転席へ回った。
続けてジャンヌが後部座席に飛び込み、前後のドアが同時に閉められた。
- 24 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/26(土) 20:13:03 ID:lAL0DAmY0
-
爪 ゚〜゚) 「ほい、“ ロッカー ” 」
ノリ, ^ー^)li 「おっけー、まかせといて〜〜!」
ぐったりしたギコを、ジャンヌは手際よく縄で拘束してゆく。
最後の締めとばかりに、ギコの手首へ、銀色のリストバンドのようなものを嵌める。
留め金がかちりと音を立てたところで、タムラは大きく息を吐いた。
爪 ゚〜゚) 「いやー、ちょろいちょろーい。 本当にあっさりだったなー」
ノリ, ^ー^)li 「お楽しみのはじまりねっ!」
爪 ゚〜゚)σ 「持ってきて良かったな、それ」
タムラが指差す先。
ジャンヌは、今しがたギコを気絶させるのに使った、小さなそれ──。
使いきりの “ 武器だったもの ” を指先で摘み上げると、しげしげと眺める。
ノリ, ^ー^)li 「最初は半信半疑だったケド、こ〜んなに便利だなんてね〜〜☆」
爪 ゚〜゚) 「フツーのスタンガンより遥かに小さくて、目立たない、ときた」
- 25 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/26(土) 20:14:17 ID:lAL0DAmY0
-
ノリ, ^ー^)li 「面白い “ 能力 ” よね、カレ!
ん〜〜♪ 文字通り……シビれちゃうカモ☆」
爪;゚〜゚) 「おいおいハニー! もしかして惚れちゃった? アイツに?」
ノリ, ^ー^)li 「やーだ、何言ってんの〜〜〜っ!
私のダーリンはっ、未来永劫、あ ・ な ・ た ・ だ ・ け☆」
芝居がかった口調でそう言うと、二人は座席ごしに熱いキスを交わす。
唇が離れるや、タムラは前方へ向き直り、サイドブレーキへ手をかけた。
後部座席から身を乗り出し、ジャンヌが指でGOサインを出す。
ノリ, ^ー^)li 「ジャジャーン! いきましょ私のクライド!」
爪 ゚〜゚) 「ここまでやった以上、途中下車は厳禁だぜ、ボニー?」
ノリ, ^ー^)li 「キャハッ!
するわけないでしょ、そんなコト!」
- 27 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/26(土) 20:15:25 ID:lAL0DAmY0
-
車外では、箒を持った主婦が、怪訝な表情でそちらへ視線を送っていた。
が、唯一の目撃者も、ほんの数十秒前に学生が拉致された事実までは知ることなく。
『 キャーハッハッハッハ! わったし達にッ! 』
『 昨日なんてなーいからな────ッ! 』
朝陽こぼれる平和な朝の通学路を、派手なマフラー音が駆け抜けてゆく。
主婦が去り、ふたたび人気の無くなった歩道の上。
一台の自転車だけが、横倒しのまま、その場に残され。
車輪をからから鳴らしていた。
- 28 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/26(土) 20:16:27 ID:lAL0DAmY0
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●第二六話
『 わがままボニーとはっちゃけクライド 』
── VS. ????@
(続く)