十三話 −平等を−
- 23 名前: ◆CftG3KV7X3mq :2010/11/09(火) 01:54:35.90 ID:D0AFGSED0
- 十三話 −平等を−
ξ゚听)ξ「はぁっ……はぁっ……」
_
( ゚∀゚)「大丈夫か?」
ξ゚听)ξ「大丈夫。それよりいるっぽいよ」
_
( ゚∀゚)「そうか。あいつら無事だといいけど」
襲撃を危惧し家へ引き返した二人だが、どうやら正解だったらしい。
誰が向かっているかはわからないが、ドクオもヒートも実践慣れしていないことを考慮すれば、
とにかく急いだほうが懸命であることは間違いなかった。
汗だくになりながら走り続け、ようやくたどり着いた家は、
どうやら外見を保ったままらしかった。
それどころか大きな物音ひとつ無い。
奇妙な違和感にジョルジュが汗をぬぐう。
_
( ゚∀゚)「……ツン。何人だ」
ξ゚听)ξ「三人。三人居る。ドクオとヒートと……ギコかな」
_
( ゚∀゚)「やばいぞ」
ξ゚听)ξ「え?」
あからさまに顔色の悪いジョルジュ。
それに呼応するようにどこからともなくギコが現れた。
- 24 名前: ◆CftG3KV7X3mq :2010/11/09(火) 01:58:48.41 ID:D0AFGSED0
- (,,゚Д゚)「遅かったな」
_
( ゚∀゚)「どこだ」
(,,゚Д゚)「何が?」
_
( ゚∀゚)「本命はどこだ!」
ギコに掴み掛かるジョルジュ。それを黙って見つめるギコと状況を飲み込めないツン。
_
(;゚∀゚)「くそ、ツンもう一度街の中探れ」
ξ゚听)ξ「え、どういうこと」
_
( ゚∀゚)「おびき寄せられたんだ。本命はここじゃない」
ξ゚听)ξ「え……」
ジョルジュの家にばかり気が行っていたツンは、そこに敵が居ることを知った時点で、
それ以上探索するのをやめていた。しかしそれこそがモララーの狙いであった。
ξ;゚听)ξ「……学校? 多分学校にいる」
_
( ゚∀゚)「学校? なんでそんなとこに。とにかく急ぐぞ!」
(,,゚Д゚)「おいおい、俺ほっといちゃっていいの? あいつら二人くらい余裕だけど」
_
( ゚∀゚)「……ツン、ドクオとヒートつれて学校行ってくれ」
ξ゚听)ξ「そんなの無理。とりあえずあいつら呼んでくるからそれまでは生きてなよ、ジョルジュ」
- 25 名前: ◆CftG3KV7X3mq :2010/11/09(火) 02:00:40.86 ID:D0AFGSED0
- _
( ゚∀゚)「そか。それならまあ、とりあえず呼んで来い」
ギコをじっとにらみ付けたままツンはジョルジュの家の中へ入っていった。
それを確認するとジョルジュは深く息を吐いた。
_
( ゚∀゚)「日も高いことだ。場所を変えよう。どこか適当なとこ連れてってくれ」
(,,゚Д゚)「いいぜ」
ショルジュは上半身に来ていたものを脱ぎ捨てると、体を強化した。
肥大化する腕と、上半身を斜めに包む鎧のように硬質な組織。
_
( ゚∀゚)「人が居ないとこな」
(,,゚Д゚)「わかってるっつーの」
ジョルジュがギコの首よりも太いその腕を差し出すと、
ギコはそれを握り、駆け出した。
そしてそれきり、わずかな風だけを残してその場からは二人は姿を消した。
ξ#゚听)ξ「あんのクソヤロー! 勝手にかっこつけやがって!
はぁぁぁぁぁぁ!? マジ死ねよ!」
(;'A`)「……」
ノハ;゚听)「……」
その数秒後、顔を真っ赤にして起こるツンと、
それに怯える二人がそこには居た。
- 26 名前: ◆CftG3KV7X3mq :2010/11/09(火) 02:04:56.62 ID:D0AFGSED0
-
※
一方で実際に怒られた人物が一人。
(´・ω・`)「……はぁ」
内藤が助けた少年、ショボンは職員室に自ら赴き遅刻の報告をしていた。
彼は普段はおとなしく、たいした問題もない生徒なのですぐに開放されはしたが、
一日の最初から憂鬱な気分になってしまったのは間違いない。
(´・ω・`)「車にひかれたって言った方がよかったかなあ」
多分信じてくれないだろうと思いそれは黙っていた。
彼自身車にひかれて今ピンピンしているのがよくわからないのだ。
もしかしたら後々いきなり倒れたりするのかもしれないが、
ショボンは周りを騒がせたくなかったので、できるだけ黙っておくことにした。
( ・3・)「おはよー」
(´・ω・`)「おはよう。怒られてきた」
( ・3・)「ドンマイ。ほら、ジャンプ買ってきたから読んでいいよ」
(´・ω・`)「あ、あれどうなったの? ごめん、やっぱ待って。自分で読む」
- 27 名前: ◆CftG3KV7X3mq :2010/11/09(火) 02:08:51.82 ID:D0AFGSED0
- 一時間目が終わった休み時間。
みながわずかな休み時間を惜しむように話をしたり、漫画を読んだりして過ごしている。
彼らは高校二年生ということもあり、受験はまだそれほど意識せず、
また二年目の慣れというものから、それなりにラフな生活を送っている。
わずかな休み時間はすぐに終わり、鐘の音が辺りに響き渡る
しかしながら、教師がくるまで、とギリギリまでみなが休み時間を引きずっていた。
(´・ω・`)「これ、ヤバいね」
読み終わったショボンが興奮した様子で顔を上げた。
( ・3・)「ヤバいよな! もう駄目だって思った瞬間主人公の剣がシャキーンってな!」
(´・ω・`)「もう絶対勝ったでしょこれ。オーラが違うもん」
( ・3・)「いやー、早く来週にならねえかな。
つか俺もあんな剣もって世の中救ったりとかしてみてえなあ。
そしたらすっげえわくわくする人生なのに。つまんねえなあ」
(´・ω・`)「ちょっと思うよね。……ところで先生遅くない?」
( ・3・)「たしかに」
気づけば休み時間が終わってから十五分。
いつもならとっくに始まっていてもおかしくない時間だが、
そういう日もあるだろうと気にせず話に戻った。
それが三十分、一時間と経ってもまるで来る気配が無い。
- 29 名前: ◆CftG3KV7X3mq :2010/11/09(火) 02:13:56.06 ID:D0AFGSED0
- ( ・3・)「ラッキーだな。先生絶対忘れてるよこれ」
(´・ω・`)「年一くらいはあるよね。誰も呼びに行かないってのがまた」
( ・3・)「まあたまにゃ先生にも休みは必要だろ」
(´・ω・`)「そうそう」
そうして笑っていると、ショボンは隣の席の男に肩をつつかれ、顔を向けた。
その男が指差した先には携帯の画面。
どうやらワンセグを見ていたらしかった。
( ・3・)「あれ、これうちのガッコじゃね?」
(´・ω・`)「え、うそ」
「そうそう」と自慢げに見せるそいつの声を聞きながら画面をじっくり見ると、
確かにそこにはショボンの通っている高校の放送室が映っているようだった。
部屋は無人で、穴の開いた黄土色の壁だけがずっと映されている。
( ・3・)「なんだこれ、本当にテレビ?」
(´・ω・`)「これ今行ったらカメラあるってこと?」
( ・3・)「行く?」
(´・ω・`)「でも先生に見つかったらマズいよね」
( ・3・)「つーか、外に中継車とかあるんじゃね?」
- 32 名前: ◆CftG3KV7X3mq :2010/11/09(火) 02:17:14.75 ID:D0AFGSED0
- そう言って窓まで行って外を見た瞬間、彼らは意外な光景を見た。
校舎の外にいつもは居ないはずの人間が見張りのようにあちこちに立っているのだ。
まるで陣形を組んでいるかのようなそいつらは、どうやらこの学校の生徒のようだった。
何か授業の一環だろうか。
首を傾げるショボンの後ろで声が上がった。
「誰か出てきた」
「誰だこいつ」
「行ってみようぜ」
教室中を交差する声を聞きながら、
ショボンは自分の携帯にもワンセグ機能がついていることを思い出し、携帯を開いた。
( ・∀・)『皆さん、生きているのは楽しいですか』
スーツを着た男が、スタンドマイクの前でそう言葉を発した。
( ・∀・)『突然失礼。私はモララーと申します。死人を代表するものです』
年は二十代、もしくは三十代前半とも思われるその風貌。
若々しくありながらも、落ち着いた雰囲気があり、みな息を潜めて画面を見ていた。
( ・∀・)『生きているということは本当に素晴らしいことです。
掛け替えの無い命だ。皆さん助け合って生きていきましょう。
医者も警察も政治家も、すなわち国はあなたの生命を保障します』
( ・∀・)『さて、だ。それじゃあ死んだ人はどうだろう』
- 34 名前: ◆CftG3KV7X3mq :2010/11/09(火) 02:22:35.49 ID:D0AFGSED0
-
( ・∀・)『いや、厳密には生きていた人だ。生きていた人と今生きている人。
前者が善人で後者が悪人だとして、守られるのはどちらだろう。
今日も明日もめまぐるしく変わる毎日を享受できるのはどちらだろう』
( ・∀・)『答えは言うまでもない。今生きている人だ。
生きているものと死んでいるものが平等に扱われるわけはないんです。
何故なら、この世を支配しているのが生きているもの達だからです。
そう、だから私は死人の立場から自治を行い、その権利を主張したいと思っています』
男が画面の外に視線をやると、
そこから包帯で両目をぐるぐる巻きにした少女と、
至って普通のTシャツ、ジーンズ姿の少女が手を繋いでやってきた。
背丈も同じくらいの二人だったが、包帯の少女は格好からして奇抜だった。
トップスは、あたかも通り魔に体中を切りつけられた後、
その裂け目全てにぞんざいにボタンだけを付けてよしとしたようなものであったし、
かと思えばボトムスには、
生地を埋め尽くさんばかりの鈍色の大きなジッパーがいくつもランダムに走っていた。
両目を塞がれているのに、みなの心配は普通の少女へと向けられた。
何せ少女は普通なのだから。
そして大方の不安は的中することとなる。
包帯の少女はどこからか肉切り包丁を取り出すと、
先ほどまで手を繋いでいた少女をざっくりと切りつけた。
( ・∀・)『これはCGなどではない。今私の目の前で起こっていることだ』
- 35 名前: ◆CftG3KV7X3mq :2010/11/09(火) 02:26:43.20 ID:D0AFGSED0
- 左半身に血飛沫を浴びた男が、表情も視線も全く変えずにそう言った。
そして突然の甲高いノイズ。
マイクのハウリングとも思えたそれは、少女の悲鳴だった。
だが気にする風もなく、包帯の少女は何度も刃で彼女を切る。
その行為に躊躇は一切感じられない。
梱包材のエアキャップを潰すように、
ただただ、切れていないところを選び、肉を切り裂く。
それは無感情にも見えたが、一方で夢中になっている風にも見えた。
( ・∀・)『嘘だと思われるのも心外だ。彼女は後で指定した場所に送っておこう』
いつのまにか少女は倒れていたが、なおも画面の枠の下の見えない場所で、
包帯の少女は馬乗りになって少女を切りつけ続けていた。
画面に映るのは僅かに上下する包帯の少女の後頭部と、度々往復する包丁、
そして包丁を引き上げた時に慣性力で壁に跳ねる血だけだった。
( ・∀・)『彼女は罪人だった。死人にひどい仕打ちをした、ね。
このように、私達はこれから罪人を裁いていこうと思う。
そう、生きているものを贔屓する国とは正反対の国、
死人の国ができたことを皆さんにお伝えしておきたいと思い、
こうして放送をするにいたりました』
未だ少女の暴行は止まず、聞こえてくる音は、
いつしか布地を裂く音から、粘度の高い液体に何度も棒を出し入れしているような、
ぬちゃぬちゃとした水っぽいものになっていた。
- 36 名前: ◆CftG3KV7X3mq :2010/11/09(火) 02:30:41.90 ID:D0AFGSED0
-
( ・∀・)『さて、最後になりますが、もちろん私達はむやみやたらに善人を傷つけたりはしない。
生きているものを憎んでいるのではなく、罪を犯したものを憎んでいるのです。
ですから、今まさに横暴な罪人によって苦しめられている人、安心してください。
私達が全力でお守りします。
そして自分に罪があると心当たりのある方、どうか覚悟してください』
そしてモララーは、付け加えるようにして最後にこう言った。
( ・∀・)『もちろん、私たちを倒すなんて言う気概のある者が居てもいいとは思うが』
この発言と同時にテレビ画面は砂嵐になり、放送は終わった。
教室は一度しんと静まり返ると、その後再び皆が騒ぎ始めた。
(;・3・)「これ、ヤバくない? 警察呼ぶ? ていうか先生達何してんだろ」
(;´・ω・`)「わかんない……」
(;・3・)「え、帰る? 早く帰ったほうがよくね?」
(;´・ω・`)「うん、かもね。」
不安に駆られショボンが荷物をまとめ始めた頃、
既に同様のことを考えていた生徒が教室のドアを開けて出て行った。
その一人を皮切りに、次々と教室を出るものが続出し、
ショボンが荷物をまとめ終わった頃には残っている生徒は半分程度になっていた。
- 38 名前: ◆CftG3KV7X3mq :2010/11/09(火) 02:35:44.97 ID:D0AFGSED0
- (;・3・)「準備できた? 行くぞ」
(;´・ω・`)「うん」
立ち上がり一歩、踏み出そうとした瞬間前方のドアからごろんと、
誰かの体が転がり入ってきた。
本能なのか、何故か見ただけで異様なのがわかる。
力の抜け切ったその体は、恐らく死体なんだろうと予感できるのだ。
「待ってよ待ってよ。大丈夫だって。すぐに生き返るから」
奥の方からゆっくりと、死体を踏みながら少女が現れた。
それは両目を包帯でぐるぐる巻きにしたあの少女だった。
手には肉切り包丁。
赤やら黄土色やら、よくわからない湿ったものが沢山まとわりついていた。
( )「うわぁ、いっぱいいる。みんなオレを待ってたんだろ。アヒャ」
ずいぶんと興奮した様子の少女は、肉切り包丁を振り上げると、
勢いよくそれを自分の顔面に振り下ろした。
刃は顔の肉ごと包帯を切り裂き、眉間から鼻の横を通り一本の傷がぱっくりと開いた。
その傷口はじんわりと赤い液体が染み出していたが、人間のそれとは比較にならないほど少なく、
また、傷口の奥からは機械のような金属部品が覗いて見えた。
(*゚∀゚)「アヒャヒャ。とりあえずお前」
少女の近くに居た生徒の首に包丁の刃が突き刺さった。
本人は刎ね飛ばす気だったようだが、骨がかんでしまい途中で止まってしまった。
その隙間から空気の漏れる音が聞こえる。
- 40 名前: ◆CftG3KV7X3mq :2010/11/09(火) 02:40:12.14 ID:D0AFGSED0
- (*゚∀゚)「なんだっけ。忘れた。アヒャ、いい色」
少女は包丁を抜くと傷口に手を差し込み、その中をまさぐり始めた。
あまりの光景に、ショボンは目をそらし口に手を当てた。
(*゚∀゚)「アヒャヒャ、やばい気持ちいい。
暖かいし、ぬるぬるしてるし、やばい、オレ興奮してきた」
手を引き抜くとそこに両手をかけ、少女は首を引き千切った。
頭部は音を立てて地面を転がり、教室の外へ転がっていった。
しかし少女は頭部には目もくれず、首の中をじっと覗き込んだ後、
そこに腕を突き入れ、恍惚とした表情を浮かべていた。
(*゚∀゚)「ん、ヤバい、イキそう……」
教室全体が絶望に満ち、誰一人として声を上げるものは居なかった。
ただ死を待つように少女の行為を見るばかりであった。
(*゚∀゚)「ん、んん……あれ、潰れちゃった。もう少しだったのに」
中から臓物を引き出すと、少女はため息をついた。
そしてそれに一度頬ずりをすると、突如一息に跳躍し、
ショボンの目の前に居た男の手を握った。
(;・3・)「あ、うあ……」
(*゚∀゚)「アヒャ、こんにちは。はじめまして」
- 42 名前: ◆CftG3KV7X3mq :2010/11/09(火) 02:44:44.60 ID:D0AFGSED0
- すぐ目の前にひどい臭いを上げる体液にまみれた少女と自らの友人が居るという、
現実として認識しがたい光景にショボンは呼吸困難に陥りそうになる。
手のひらを胸に当て心臓の鼓動を落ち着けようとするが鼓動は止まらない。
ひどいストレスから視界がわずかに揺らいだその瞬間、
友人は突然火花を散らして痙攣し始めた。
それはわずかな時間だった。少女が笑顔のまま手を離し、
そのまま床に倒れる友人を呆然と眺めると同時に、ショボンは鼻先に肉の焦げる臭いを感じた。
(*゚∀゚)「なんだろうなー。やっぱり電気使えるようになるのかな。
ねえ、どう思う?」
少女がショボンの目を見て問いかけてきた。
(;´・ω・`)「え、あの……」
ショボンが言いよどむと銃声がした。
少女の背後で女生徒が一人倒れた。
少女はぶるりと震えると、甘い吐息を吐き出して自分の指をなめた。
(*゚∀゚)「人間好き?」
(´;ω;`)「えと、その……」
ショボンは恐怖のあまり泣き始めていた。
もう何がどうなってもいいから助けてほしい。
そんなことばかりを考えていた。
(´;ω;`)「たすけて……たすけて……」
- 43 名前: ◆CftG3KV7X3mq :2010/11/09(火) 02:49:52.55 ID:D0AFGSED0
- か細い声で助けを請うショボン。
視界が涙で歪み、鼻水で呼吸がままならない。
(*゚∀゚)「だから、すぐに生き返るから大丈夫だって。
ちょっとオレの遊びに付き合うだけだから」
少女は包丁を捨てどこからかスプーンを取り出すと、もう片方の手をショボンの頬に沿えた。
粘り気のある液体がショボンの頬にまとわりつく。
(*゚∀゚)「オレも昔やったことがあるんだ。アヒャ、懐かしいなあ。
目玉くり貫きたいって思ったこと無い? どうなるんだろうって」
銀色のスプーンが徐々にショボンの眼球に近づいていく。
(´;ω;`)「ひっ、やめ……」
(*゚∀゚)「すぐ殺してやるから大丈夫、大丈夫」
ショボンがぎゅっとまぶたを閉じるも、それさえも楽しむように少女は、
スプーンの先をぐりぐりと隙間にねじ込む。
ショボンは頭がスパークしそうになるほど助けを求めた。
誰でもいい、何でもいい。
でもヒーローが助けに来ても目を守るには間に合わない。
駄目なんだ。隕石でも落ちてこなきゃ。
せめてこの少女を跳ね除けるくらいのものが飛んでこないと。
(´;ω;`)「あああああ!」
(*゚∀゚)「おじゃましまぁす。アヒャ」
- 44 名前: ◆CftG3KV7X3mq :2010/11/09(火) 02:55:11.84 ID:D0AFGSED0
- 眼球に何かが触れた感触にショボンは叫んだ。
そして、窓から隕石が降ってくるなんていう馬鹿馬鹿しい希望を、強く想像した。
(*゚∀゚)「!」
その瞬間、まぎれもない隕石が少女の頭の上に突如現れた。
降ってきたのではなく、突然そこに現れたのだ。
重力に引かれ落ちる隕石を少女はかわし、ショボンと間を取った。
そのまま自由落下で地面に落ちた隕石は、
大きな音をあげてぶつかった途端消え失せた。
(*゚∀゚)「……お前、死人か」
(´;ω;`)「……?」
少女は離れたが依然危機は去ってない。
しかしショボンは距離が離れたことで先ほどより強気になれていた。
先手を打てばどうにかできるかもしれないが、
さっきの包丁までは少し距離があった。
いや、そんなものはいらない。手元に何かあればいいのだ。
包丁なんて捻り潰してしまうようなものがあれば。
ショボンはそこで少し前の記憶を思い出す。
そして記憶の中のものを、いとも簡単にその手に作り出した。
- 45 名前: ◆CftG3KV7X3mq :2010/11/09(火) 02:58:16.24 ID:D0AFGSED0
- (*゚∀゚)「すげえじゃん。マンガみてーな剣。
アヒャ、オレと戦う気? やるじゃん」
ショボンの手には自身の身長と同じくらいの両刃の剣が握られていた。
刃も分厚く重厚な作りになっており、本来ならかなりの重さがあるはずだが、
ショボンの重心はブレない。
何故ならそれは創造物であり、現実のそれよりもはるかに軽いからである。
(´;ω;`)「なんでこんな剣が……」
うろたえながらも、ショボンは両手でしっかりとその柄を握った。
とにかくやらなければ死ぬのだ。
涙を拭い、しっかりと少女を見据えた。
(*゚∀゚)「お前名前は?」
(´・ω・`)「ショボン」
(*゚∀゚)「そ。オレはつー。お前の体に興味出てきたよ。アヒャ」
痛いほど激しく鳴る心臓の鼓動を必死に抑えながら、
ショボンはつーを見据えた。
漫画みたいな剣を持っても気分は漫画のようにはならなかった。
とにかく早く目の前の脅威を取り去りたい。早く終われ。
その思いに駆られるままに、ショボンは大剣を振り上げ、つーに飛び掛った。
続
- 46 名前: ◆CftG3KV7X3mq :2010/11/09(火) 03:03:49.67 ID:D0AFGSED0
- 眠いからおしまい。
こんな深夜に支援ありがとうございました。
おかげで快適に投下できました。
前回分まとめていただいた内藤エスカルゴさんありがとうございました。
この場を借りて御礼申し上げます。
では。