以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/09/12(日) 20:52:54.41 ID:Fp9c0Xs90<> だいり <>( ^ω^)死人のようです ◆CftG3KV7X3mq <><>2010/09/12(日) 20:57:02.39 ID:TzBnG8IpP<> 代理ありがとうございました。


まとめ 内藤エスカルゴ様
http://localboon.web.fc2.com/099/top.html
いつもありがとうございます


−前回のあらすじ−
黄泉がえりの噂
ノパ听)がうろうろ
从 ゚∀从が( ・∀・)にぶすり

けっこうのんびり投下します。
そして話の展開もスローなので今日も二話投下。 <>
◆CftG3KV7X3mq <><>2010/09/12(日) 21:01:02.89 ID:TzBnG8IpP<> 九話


  _
( ゚∀゚)「と、いうわけで会議を始めまーす。パフパフ」

(;^ω^)「……」

ξ--)ξ「……」

ノハ;゚听)「……」

 ヒートの居候騒動から二日。
目まぐるしく変化した状況の把握と、
これからの事を相談するべく四人は集まった。

 最初にこの提案をしたのはツンだったが、
みな思いは同じだったようで、今こうして会が開かれている。
が、それとはまた別な問題が、
少なくとも二人の心を重くしているようであった。 <>
◆CftG3KV7X3mq <><>2010/09/12(日) 21:03:03.12 ID:TzBnG8IpP<> サブタイミス。訂正

九話 −毒−


  _
( ゚∀゚)「と、いうわけで会議を始めまーす。パフパフ」

(;^ω^)「……」

ξ--)ξ「……」

ノハ;゚听)「……」

 ヒートの居候騒動から二日。
目まぐるしく変化した状況の把握と、
これからの事を相談するべく四人は集まった。

 最初にこの提案をしたのはツンだったが、
みな思いは同じだったようで、今こうして会が開かれている。
が、それとはまた別な問題が、
少なくとも二人の心を重くしているようであった。
<>
◆CftG3KV7X3mq <><>2010/09/12(日) 21:06:38.69 ID:TzBnG8IpP<> ノハ;゚听)「そ、そうだ! お、俺、とっても大事な用事が出来たんだった?」
  _
( ゚∀゚)「俺に訊くな」

 一番落ち着いていないのはヒートであった。
今まで敵同士であったことや、この前の一件など、
どうにもツンを意識せざるを得ない様子であった。

ノハ;゚听)「いや、ホント! マジ! マジのマジ! ガチ!
     今日ハインのとこ行かなきゃ。あれから行ってないし。
     それに俺仲間じゃないし、聞いたらまずいし! よくないし!」
  _
( ゚∀゚)「いやあ、でもこれから話し合いがさ」

ξ゚听)ξ「行ってきたら?」

ノハ;゚听)「え?」

ξ゚听)ξ「別に止めない……て言うか、私は止めれないよね」

ノハ;゚听)「う、あ?」

 困ったようにチラチラとジョルジュの顔を見るヒート。
それを見たジョルジュは眉をひそめて唸ると、ため息をついた。 <>
◆CftG3KV7X3mq <><>2010/09/12(日) 21:10:03.23 ID:TzBnG8IpP<>   _
( ゚∀゚)「ま、ハインも何かと心細いかもな。
     行っとけ行っとけ。夕方までには帰って来いよ」

ノハ;゚听)「え、あ、うん」

 そんな遣り取りを聴きながら、

(;^ω^)(逃げられたぁぁぁ!)

内藤は苦しみを分かち合う存在の逃亡に愕然としていた。

ノパ听)「えーと、じゃあ、いってきます」
  _
( ゚∀゚)「いってら」

バタン、と玄関の扉の閉まる音がして、
部屋は再び静かになった。

ξ゚听)ξ「……」

(;^ω^)「……」
  _
( ゚∀゚)「じゃ、再開ということで」

 一人内藤だけが苦悶の表情を浮かべながら会議が始まった。 <>
◆CftG3KV7X3mq <><>2010/09/12(日) 21:14:04.88 ID:TzBnG8IpP<>  まずは現状の把握。
内藤が加わるまではといえば、ツンとジョルジュの二人が、
ペニサス率いる三人組に襲撃を受ける日々がただ続いていただけだった。
防戦一方の日々で、攻めに転じようと思うことも少なくは無かったが、
策も無ければ力も無かった。
加えて、死人の出現ペースが速まり、
かつそれらほとんどをモララー側に取り込まれているという最悪の事態だった。

( ^ω^)「死人って定期的に現れるものなのかお?」
  _
( ゚∀゚)「昔はどっちかってーと、偶然現れるってイメージだったんだけど、
     最近は頻度が高くなってるんだ。丁度ツンが死人になったあたりから、
     月一、今だと月二か三くらいかな」

ξ゚听)ξ「そうね。今月はまだ内藤クンだけだけど、
      そろそろ次の死人が出てきてもおかしくないかも」

( ^ω^)「はあ……そうなのかお」

 ジョルジュが抜けた後、内藤が現れるまでにモララー側に付いた人数は恐らく五人。
その内ペニサス、ハイン、ヒートの三人は先の件にてほぼ無力化したと言ってもいい。
結果として今現在、モララー側には四人いることになる。
モララー、ギコ、そして不明な二人。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/09/12(日) 21:17:33.94 ID:ZKLSQgMLO<> よっしゃーktkr!!
しえーん! <>
◆CftG3KV7X3mq <><>2010/09/12(日) 21:18:58.36 ID:TzBnG8IpP<>   _
( ゚∀゚)「ただ、もしかしたらもっと居るかもしれない」

( ^ω^)「えっと、まだどっちにも付いていない人のことかお?」
  _
( ゚∀゚)「いや、そもそもツンが今の力で死人を探知し始めてからの情報しかないんだ。
     つまり、俺が抜けてからそれまでの情報は無いし、
     ツンも全部を把握出来ているかは分からない」

ξ゚听)ξ「一応気を付けてはいるんだけど、それにしたって地球全部を把握は出来ないし。
      この街と付近一帯は何かあればすぐに分かるはず」

( ^ω^)「へえー、結構すごいお。
      ちなみに今どっちにも付いていない人はどれだけ居そうなんだお?」

ξ゚听)ξ「多分、二人。自信無かったんだけど、
      内藤クンの話からして多分あってる」

( ^ω^)「もっと居る可能性も?」

ξ゚听)ξ「ある。けど、今は気にしなくていいってとこ」

 そして話題はそのどちらにも付いていない二人へと移った。
一人は中立を守るクーという女。
もう一人は内藤を急に襲ってきた小柄な男。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<>sage<>2010/09/12(日) 21:22:08.27 ID:WXed3Whe0<> 支援 <>
◆CftG3KV7X3mq <><>2010/09/12(日) 21:22:24.43 ID:TzBnG8IpP<>   _
( ゚∀゚)「その男の方はモララー側かとも考えたんだが、
     どうもしっくり来ないんだよなー」

( ^ω^)「どうして? 僕を襲ってきたのに」
  _
( ゚∀゚)「ひとつは、お前はモララーと一回会ってるけど、何もされていないこと。
     もうひとつは、その男が敵じゃなかったのかって言ったこと」

( ^ω^)「あー……なるほど。じゃあなんで僕を襲ってきたんだお?」
  _
( ゚∀゚)「さあなあ……。そればっかりはわからん」

 話の流れが一旦止まり、沈黙が訪れた。
それを機にツンは立ち上がりキッチンへと向かい、
ジョルジュはトイレに立った。

ξ゚听)ξ「あれー、ジョルジュ飲み物はー?」

( ^ω^)「今トイレ行ってるお。てか勝手に漁ってるのかお」

 キッチンから聞こえて来た声に、内藤が返事をした。

ξ゚听)ξ「いいのいいの。私も置いてったりしてるから。
      ちょっとコンビニ行って来るけど、何かいる?」

 内藤が首を横に振ると、ツンは「あ、そ」と短く言って、
そのまま靴を履いて外へ行ってしまった。
それと入れ違いにジョルジュが戻ってくると、
内藤はツンが出かけた旨を彼に伝えた。 <>
◆CftG3KV7X3mq <><>2010/09/12(日) 21:25:50.05 ID:TzBnG8IpP<>   _
( ゚∀゚)「そか。じゃあ男だけになったところだし、猥談でもするか、猥談」

( ^ω^)「なんでだお……それに猥談って言ったって何も無いお」
  _
( ゚∀゚)「おいおい、お前その歳でもう枯れちゃってるわけ?
     寂しい男だなー」

( ^ω^)「ジョルジュみたいに見境無く小さな子を家に泊めたりしないお」
  _
( ゚∀゚)「お、言うねえ言うねえ。俺をそんなにロリコンキャラにしたいのかお前は。
     ははあ、さては仲間が欲しいんだな? 妙に反応すると思ったら、お前そうだったのか」

(;^ω^)「ち、ちが! 僕は正常だお」
  _
( ゚∀゚)「焦るな焦るな。俺は理解のある男だから大丈夫だ」

( ^ω^)「でもツンは理解の無い女のようで」
  _
( ゚∀゚)「あ! お前俺のSOSコールシカトしただろ!」

( ^ω^)「いや、二人を邪魔しちゃいけないかなと」
  _
(;゚∀゚)「お前、マジでやばかったんだからな……。
     この部屋がちょっとした戦場だったぞ、マジで」

( ^ω^)「おっおっお。で、本命はどっち何だお?」
  _
(;゚∀゚)「おいおい、なんだよそのクラスの女子風な質問。お前そう言うの好きなのか?」 <>
◆CftG3KV7X3mq <><>2010/09/12(日) 21:29:22.71 ID:TzBnG8IpP<> ( ^ω^)「いや、これから共に戦う仲間として、
      気を使うべきかどうかの見極めが必要な場面も多々あると考えて……」
  _
( ゚∀゚)「ありません」

( ^ω^)「ないですか」
  _
( ゚∀゚)「恋愛なんてご無沙汰だな。枯れてたのは俺だったか。
     死人になる前は……あ、いやなってから……って話題ずれてね?」

( ^ω^)「いえ、続きをどうぞ」
  _
( ゚∀゚)「また今度な。今度酒でも飲みに行った時にさ」

 今度と言わず今、と追い込みを掛けようとしたところ、
玄関のドアが閉まる音がして、内藤は言葉を飲み込んだ。
ところが玄関から中々ツンが来ない。
しかし耳をそばだててみれば、確かにツンの声はする。

( ^ω^)「誰か他にいるのかお?」
  _
( ゚∀゚)「っぽいな」

 どうやらその声は独り言の類ではなく、傍にいる誰かに向けているものらしい。
意識してみると確かに男の低い声が聞こえるような気もする。
 そして程なくして開かれたドアの向こうから現れた人物に、内藤は目を見開き驚いた。
<>
◆CftG3KV7X3mq <><>2010/09/12(日) 21:32:34.03 ID:TzBnG8IpP<> ξ゚听)ξ「死人とっ捕まえてきた」

 そう言ってツンが、服の上腕の辺りを引っ張って連れてきた男の顔が、
ついこの前見た顔だったからだ。

('A`)「……」

ξ゚听)ξ「いやー、さっきそこでばったり出会ってさー。
      実は高校の頃クラス同じだったんだけど、
      雰囲気変だなーと思って調べたら死人でさ。
      もうビックリして連れて来ちゃった」

(;^ω^)「……」

 興奮した様子のツンとは対極的に、内藤は深い海の底に沈められたような気持ちだった。
こうも幾度と無く対面させられると何か運命めいたものさえも感じる。
勿論それは色恋の類ではなく、死神の握る綱に絡め取られたようなものだ。
  _
(;゚∀゚)「連れて来ちゃったって……すげえ承諾を得られてない感じが……」

ξ゚听)ξ「だってモララーに捕まったら厄介じゃん。
      どうもまだ捕まってないみたいだし、今は数が大事なの」

(;^ω^)「あの」

 内藤が恐る恐る声を上げると、
男の方も内藤の顔に何か思うところがあったようで眉間にシワを寄せたが、
それを言葉に表すことは無かった。
そうして途切れた会話を引き戻すために、内藤は改めて男に向けて口を開いた。 <>
◆CftG3KV7X3mq <><>2010/09/12(日) 21:36:04.66 ID:TzBnG8IpP<> ( ^ω^)「あの時の人……ですよね?」

('A`)「ああ」

ξ゚听)ξ「え、なに、知り合い?」

( ^ω^)「えーと、この間襲われたって言ってたあれだお」

ξ;゚听)ξ「はい? え、襲ったの?」

('A`)「ああ」

ξ゚听)ξ「ま、なんか誤解解けたんでしょ? 問題ないない」

(;^ω^)「いや、そんな」
  _
( ゚∀゚)「はぁー。なんつーか世の中狭いなー。
    ついさっきまで話してた奴が目の前に出てきて、おまけにツンの知り合いってか」

ξ゚听)ξ「うーん、知り合いって言うほどでもないかな。
      名前は覚えてるってくらい。あんまり話したこと無かったよね」

('A`)「まあ……」 <>
◆CftG3KV7X3mq <><>2010/09/12(日) 21:40:05.03 ID:TzBnG8IpP<> ξ゚听)ξ「ま、これから仲良くなっていけば良いよね。よろしく」
  _
( ゚∀゚)「オッスよろしく」

('A`)「はい?」

 事態が飲み込めないのか、差し出されるジョルジュの手を茫然と見つめる男。

('A`)「いや、よろしくって、え、どうして?」
  _
( ゚∀゚)「ん? 一人より沢山がいいだろ?」

('A`)「え、いや何が……」

ξ゚听)ξ「いいじゃん。どうせ戦うなら仲間いた方が心強くない?」

('A`)「だから、仲間とかどうとか、そういうのよくわかんないんだけど」
  _
( ゚∀゚)「……ん? もしやツン、状況説明とかまったくしてない?」

ξ゚听)ξ「あ、してない。ま、なんとなく感じ取ってくれてるでしょ?」

そう男に問いかけたツンだったが、男の表情は固い。
  _
( ゚∀゚)「そりゃ滅茶苦茶だろ。
    よし、とりあえず俺たちが何者なのか。その説明だけでも聞いてくれ」

 そう言うとジョルジュは男の返事は待たずに、これまでの経緯を簡単に話した。
男がモララーの仲間であるという可能性が捨て切れていない以上、
あくまでも話せる範囲のことのみではあったが、それでも男は静かに耳を傾けてくれた。 <>
◆CftG3KV7X3mq <><>2010/09/12(日) 21:44:55.50 ID:TzBnG8IpP<> ('A`)「結構居たんだ」
  _
( ゚∀゚)「ああ、ここに居るみんなが同じ境遇だ。
     余程考え方が合わないなら別として、グループに属しておくのは悪くないと思う
     特に逸脱してしまった俺たちだからこそ、困ることは沢山あるはずだ」

('A`)「一緒に戦う気がなくても?」
  _
( ゚∀゚)「勿論」

ジョルジュは深く頷き、男の顔をじっと見た。
一方の男は目を伏せ、なにやら思案に暮れているようであった。
すぐに答えは出ないだろう。そう考えたジョルジュは、
  _
( ゚∀゚)「じゃあ、明日返事聞かせてくれ。
     申し訳ないけど俺ちょっと用事あるから、夕方ここを訪ねてくれ。
     勿論その気がないなら来なくてもいい」

そう言ってその場を締めくくった。

 男がジョルジュの家を後にした後、
話の筋は変わることなく男についてツンが話す時間が続いた。
高校時代の印象や、その後の進路など、
時折それぞれが自分の思い出を挟み、場はそれなりに盛り上がった。 <>
◆CftG3KV7X3mq <><>2010/09/12(日) 21:49:33.27 ID:TzBnG8IpP<> ξ゚听)ξ「――まあそんな感じで、正直よく分かんないんだよね。
      目立たないって言うか、特別話すようなことも無いって感じ」
  _
( ゚∀゚)「ふーん、それでよく会った時にすぐ分かったな」

ξ゚听)ξ「顔自体は大体憶えてるでしょ。
      あ、そうだパソコンが得意だったかもしれない。よくそんな話をしてた気がする」
  _
( ゚∀゚)「おー、現代っ子」

( ^ω^)「あ、そうだお。ツン、音楽をよく聴いてたイメージは無いかお?」

 初めて対峙した時の事を思い出し、内藤はそんなことを訊いてみた。

ξ゚听)ξ「音楽? うーん……別に。
       あんまり歌手の話とかもしてなかったと思うけど」

 しかしどうやら当てが外れたようだった。
そうなると戦うときにまで音楽を聴いていたあれは何だったのか、
内藤の中で消化不良の謎が残ってしまった。 <>
◆CftG3KV7X3mq <><>2010/09/12(日) 21:54:09.17 ID:TzBnG8IpP<>




ノパ听)「あれ? なんかある」

 一方、ハインの病室へと辿り着いたヒートの目の前に、
先日来た時には無かったはずの赤字で書かれたプレートがぶら下がっていた。

ノパ听)「めん……かい……面会……し……えーと、なんだっけこの漢字」

「お見舞いですか?」

ノパ听)「あ、えーと、はい」

「ごめんなさいね、ちょっと今ハインちゃん疲れちゃってて、会わせられないの」

ノパ听)「え、そうなんですか。疲れて?」

「そう。ごめんなさい」

ノパ听)「えと、どうしよう。明日は、会えますか?」

「ごめんなさい、それもわからないの。ところで、あなたハインちゃんの妹さん?」

ノパ听)「……いや」

「そう。ご家族の方に連絡がつかないのよ。幾ら電話しても留守で」 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/09/12(日) 21:56:00.21 ID:fCldqRZv0<> 支援オブアンチクライスト <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/09/12(日) 21:56:49.94 ID:fCldqRZv0<> 支援 フロム アンチクライスト <>
◆CftG3KV7X3mq <><>2010/09/12(日) 21:58:01.03 ID:TzBnG8IpP<> 『そりゃそうだ』という言葉と同時にヒートの心に怒りがこみ上げてきた。
偽物の保険証を掴まされている目の前の看護師に非は無いが、
それでも腹は立つのだから仕方ない。

ノパ听)「帰ります」

 看護師の言葉に耳をくれず、ヒートは踵を返した。
悪態の一つでも吐いてやりたかった。

『気付いたハナから居なかったんだ。連絡がつくわけがない』と。

 そして申し訳無さそうにする看護師の様子の一つでも見たかった。
だがそれは間違っている。
看護師は別に無神経だったわけじゃない。
偽物の保険証に記載された架空の両親の話をしているのだ。
彼女らを捨てた両親の話をしているわけではない。
勝手に盛り上がって勝手に怒っているだけなのだ。

 ペニサスに何度も言われたことだった。
憎むべき相手を間違えるなと。
悪意を小出しに撒き散らしたところで自らの品位が落ちるだけだと。
いつしか憎しみは孔だらけになり、腐り、癒着し、方向を失ってしまう。

 憎む対象は一つ。
鋭く、力強く、それだけを見つめていなければならない。
だからこその点。
そのために与えられたこの力。
唯一点を以って仇を為す。

その教えを鎖に、ヒートの肉体はこの世界に繋がれていた。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/09/12(日) 21:58:05.70 ID:wXFpLRCT0<> 支援 プレゼンテッド バイ アンチクライスト <>
◆CftG3KV7X3mq <><>2010/09/12(日) 21:59:44.07 ID:TzBnG8IpP<> ノパ听)「大丈夫。まだキレない。まだ我慢できる。俺たちの苦しみはこんなもんじゃなかった。
     あの火に焼かれるのに比べれば、涼しいくらいだ」

 脳裏に焼きついた赤く焼ける視界。
思い出すたびに喉を焼く熱風と鼻腔を突く焦げ臭さが蘇る。
そして一連のフラッシュバックの締めくくりには、
いつもトライバルタトゥーをいれたそいつが居た。

 仇はそいつに間違いないのだ。
あの時焼かれた以上の熱さで仇を焼き殺す。
それだけをただヒートは考えていた。



続 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/09/12(日) 21:59:49.45 ID:wXFpLRCT0<> アンチクライスト ウィズ 支援 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/09/12(日) 22:01:26.60 ID:wXFpLRCT0<> 乙 メイド イン アンチクライスト <>
◆CftG3KV7X3mq <><>2010/09/12(日) 22:02:25.49 ID:TzBnG8IpP<> 十話 −夜−


 時は遡ること一九九九年。
ノストラダムスによれば、
この年、空から恐怖の大王が降りてきて人類が死滅する予定だったらしい。
生憎そんなものは降りてきはしなかったのだが、
こと二人の少女(そこにめぐり合わせた幼い子どもたちも同様ではあるが)、
にとっては確かに死滅に等しい事象が引き起こされたのだ。

 この節の主人公は二人の少女。
その名をハイン、ヒートと言う。
当時、二人は児童養護施設に預けられていた。

 ハインは両親からの虐待、ヒートは育児放棄と、過酷な生い立ちではあったが、
不幸中の幸いは二人に重篤な障碍がない点である。
そんな二人は年こそ三つ違えど特に仲が良く、
ヒートはハインの事を姉のように慕っていた。
ハインもまた自らの願望を投影するようにヒートを可愛がっていた。
<>
◆CftG3KV7X3mq <><>2010/09/12(日) 22:05:38.34 ID:TzBnG8IpP<>  重ねて幸いなことに施設内での暴行等はなく、良い環境の中で二人は成長することが出来た。
しかしそれでも彼女らの中に大きな傷が一つあることには変わりなく、
ハインはしばしば情緒不安定に陥る事も少なくなかった。

 ヒートはといえば、自らが両親に棄てられたことはぼんやりと自覚していたが、
目の前でハインの苦しがる様を見ては、
日頃受けている世話の分、逆に自分がしっかりしなければと思うほどだった。
前後不覚に陥ったハインに何度か手を上げられたこともあったが、
ヒートは幼いながら、大人も目を見張るほどの寛容さでハインをなだめた。

 お互いが妹であり、そして姉のような相補的関係を維持していた。
二人が出会えたこと、それ自体は幸運であったが、
彼女らを取り巻く環境は再度不幸を呼び寄せてしまう。
<>
◆CftG3KV7X3mq <><>2010/09/12(日) 22:08:48.96 ID:TzBnG8IpP<>
 養護施設爆発事件。
一九九九年八月、ハイン十五歳、ヒート十二歳の夏の夜にそれは起こった。
ガス管の老朽化が原因とされているこの事件であるが、その真相を知る者はいない。

 この夜、最初に目が覚めたのはヒートだった。
異常な暑さに加え、粘膜を刺激する臭いに不快感を覚え始めた頃
彼女はようやく目を覚ました。
昼の明るさとは違う光に照らされたいつもの部屋。
同室の者たちは未だ目を覚ましていないようだった。

 数秒間状況が飲み込めなかったヒートであったが、
火事であることに気がつき、すぐさま他の者たちを起こしにかかった。
一歩二歩進んで近くに寝ていた物の肩に手をかけた瞬間、
世界がホワイトアウトした。

 何が起こったのかと思った瞬間、続けざまに顔面および全身に凄まじい風圧の熱風、
そして打ち上げ花火のような、あるいはライオンの咆哮のような、凄まじい轟音が襲い掛かった。
鼻腔を焼かれ、瞼を焼かれ、全身が耐えられない熱さにさらされ続ける。
逃げることのできない痛みが全身を襲い、ヒートは床に蹲った。
反射的にくしゃみやせきが出そうになるが、
その反動でさらに痛みが増し、声にならないうめき声が出る。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/09/12(日) 22:09:20.71 ID:BSNRvKWD0<> サプライズド アンチクライスト <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/09/12(日) 22:10:35.80 ID:2K9vDN2U0<> ニワメガ アッタ オブ アンチクライスト <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/09/12(日) 22:11:42.54 ID:2K9vDN2U0<> 作者は支援をもらってスムーズに投下ができる
アンチクライストはアンチクライストで宣伝ができる

win-winってやつだな <>
◆CftG3KV7X3mq <><>2010/09/12(日) 22:13:02.01 ID:TzBnG8IpP<>  一回、二回と呼吸をしようと試みて、
三回目の呼吸に失敗したときヒートの意識は混濁し始め思考がままならなくなってきた。
暑さから逃げたい。
その一心で手を伸ばす。
床に手を付け、体をずりずりと引きずる。
一刻も早く逃げだしたい。助かりたい。
痙攣する瞼をなんとか開けようとする。

 とにかく視界を確保しなくてはとこじ開けた目は、
薄ぼんやりと何かの物体があるのを見つけた。
おぼつかない焦点を気合で合わせると、それが手のひらであることがわかった。
まるで何かを差し出すように開かれていた手のひらには黒いタトゥーが入っていた。

 はっきりとした輪郭の、炎を模したトライバルタトゥー。
こんな手のひらは知らない。
そう思い顔を上げたヒートの眼前にいた人物はどうやら成人の男のようだった。
助けに来てくれたのだろうか。
そう思いもう一度視線を手のひらに落とした。



そこでプッツリと生前のヒートの記憶は無くなっている。
死後の記憶はハインの背中に負ぶさっているところから始まるが、それはまた別の話である。 <>
◆CftG3KV7X3mq <><>2010/09/12(日) 22:17:10.17 ID:TzBnG8IpP<>
 場面は再び現代へと戻る。
例の男との約束の日、ジョルジュの家にはいつもどおりの三人がいた。

ξ゚听)ξ「ねえ、来るかなあ?」
  _
( ゚∀゚)「どうだろうな。あんまり興味は無いって感じもしたけど」

( ^ω^)「でも、モララーの側に付くっていう感じもしなかったお」
  _
( ゚∀゚)「中立かあ。参ったなあ。もうウチお手上げだよ。降参する?」

ξ゚听)ξ「いまさら何言ってんの。て言うか最近弱気だよね。
      最初はあんなに熱かったのに」
  _
( ゚∀゚)「なんかさ。な? 内藤」

( ^ω^)「僕に振られてもわからないお」

 内藤が首を横に振ったその時、呼び鈴の音が三人の耳に飛び込んできた。
思わず立ち上がったのは部屋の主であるジョルジュだった <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/09/12(日) 22:17:21.16 ID:DmgQoBfS0<> 支援 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/09/12(日) 22:18:41.62 ID:DmgQoBfS0<> 支援? <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/09/12(日) 22:19:14.14 ID:DmgQoBfS0<> アンチクライスト <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/09/12(日) 22:19:51.88 ID:DmgQoBfS0<> 支援 <>
◆CftG3KV7X3mq <><>2010/09/12(日) 22:21:34.63 ID:TzBnG8IpP<>   _
( ゚∀゚)「あいつかな?」

ξ゚听)ξ「早く行きなさいよ」

 ツンに急かされ、ジョルジュはそのまま玄関へと向かった。
その様子を見ながら、内藤はもしあの男だったらなんと声をかけようかとそんなことを考えていた。

 そうして程なく玄関から戻ってきたのは、
  _
( ゚∀゚)「えーと、アピールタイムです」

('A`)「いや、アピールじゃない」

あの男だった。
しかし、ジョルジュはきわめて微妙な表情をしていた。

ξ゚听)ξ「入る気で来たって感じではなさそうね」

('A`)「断りに来た。礼儀だと思ったから」

( ^ω^)「どうしても、嫌だったのかお」

 どちらかというと加入に乗り気ではない内藤ではあったが、
それでもこの男にとっては加入することがプラスになるだろうと考えていた。
だからとりあえずその理由から聞いてみようと、問いを投げかけた。 <>
◆CftG3KV7X3mq <><>2010/09/12(日) 22:26:14.29 ID:TzBnG8IpP<> ('A`)「いや、別に嫌じゃない。ただ、入ろうと思う理由も無い」

 伏し目がちにボソボソと男は呟いた。
悪意は無いようだった。
どちらかといえば無関心。
興味が無いし、困っていないから別にいいという印象を内藤は受けた。
そしてこういった輩をその気にさせるのは非常に難しいことを内藤は知っていた。

( ^ω^)「そう、かお」

だから潔く引いて彼を見送ることにした。

ξ゚听)ξ「じゃあ入ればいいじゃん」

だが、ツンは引かなかった。
  _
( ゚∀゚)「あれ、話聞いてた?」

ξ゚听)ξ「聞いてたけど? 嫌じゃないんでしょ? 入りなよ!」

('A`)「いやいや……」

諦めムードの男性陣と、まるで引かないツン。 <>
◆CftG3KV7X3mq <><>2010/09/12(日) 22:28:19.65 ID:TzBnG8IpP<> ξ゚听)ξ「これからさ、どうするの?」

('A`)「別に。どうもしない。今までどおりの生活を続ける」

ξ゚听)ξ「今までどおり? 誰かを襲い続けるの?」

('A`)「そんなことはしない」

ξ゚听)ξ「内藤クン襲ったじゃん」

('A`)「あれは別」

ξ゚听)ξ「何が」

 二人の会話がだんだんと熱を帯び始め、残る二人はそれを静観していた。
そこへ不意に玄関の扉の閉まる音が聞こえた。
ここへ来る可能性があるのは、後はヒートくらいなものだ。
依然会話を続ける二人を横目に、内藤はそう思い玄関の方へと視線をやった。
予想は外れることなく、顔を見せたのはヒートだった。
ところが次の瞬間のリアクションまったくもって内藤の予想外だった。

ノハ;゚听)「えええええええええええええええ!」

突然の絶叫。
その視線は男を凝視しており、口がぽかんと開いたままになっている。
白熱していた二人も会話をやめヒートの方を向いた。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/09/12(日) 22:28:38.72 ID:zdBGaQku0<> ドクオさん <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/09/12(日) 22:29:10.16 ID:zdBGaQku0<> ツン強引だ <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/09/12(日) 22:30:03.47 ID:zdBGaQku0<> 支援 <>
◆CftG3KV7X3mq <><>2010/09/12(日) 22:31:50.62 ID:TzBnG8IpP<> ('A`)「……何?」

ノハ*゚听)「……かっこいい」

電光石火、衝撃の告白だった。

('A`)「……は?」

ノハ*゚听)「な、名前は?」

('A`)「ドクオ」

ノハ*゚听)「……かっこいい」

('A`)「なんでもいいのかよ」

誰がどう見ても一瞬で一目惚れをしてしまったヒートを前に、
ツンは一瞬で笑顔を作り、ヒートに声をかけた。

ξ゚听)ξ「今ね、仲間にならないって誘ってたところなの。だからヒートからもお願いして」

ノハ*゚听)「え!? 仲間になるの? ホント!? やったー!」

('A`)「え、いやいや、ならないから」

ノパ听)「え……」

紅潮していたヒートの顔の色が一瞬にして失せた。 <>
◆CftG3KV7X3mq <><>2010/09/12(日) 22:35:08.94 ID:TzBnG8IpP<> ノパ听)「だって今、仲間になるって……」

('A`)「いや、それは……」

次第にヒートの目は潤み、発する声がわずかにうわずりはじめた。
ついには二の句が継げぬようになり、下唇をぎゅっとかみ締めた。

ξ゚听)ξ「はい、もう一回。それは?」

そしてツンが男に再度尋ねた。
悪魔の交渉のようだが、ツンは内心これでヒートと貸し借り無しになったとも思っていた。

(;'A`)「あー、わかった。別にいいよ。なんだこれ。
   けどこんなんで仲間になったやつ信用できんのか? ほら、泣くな泣くな」

ノハ;へ;)「うー……」

ξ゚听)ξ「情に厚くて女の子にやさしい。とびきり信用できるじゃない」

('A`)「よく言うよ」

ヒートの頭をなでるドクオと、ドクオの服の裾を掴んで泣くヒート。
そんな二人を見ながら溜息を吐くジョルジュ。
  _
(;゚∀゚)「ところでヒート。お前、うちには入らないんじゃなかったのか」

ノパ听)「ドクオと一緒」
  _
( ゚∀゚)「そーかい。まあよかったよ。
     よろしくな、ドクオ。よし、細かい自己紹介がてら飯でも行くか。おごるぞ」 <>
◆CftG3KV7X3mq <><>2010/09/12(日) 22:38:34.99 ID:TzBnG8IpP<> ( ^ω^)「焼肉!」

ξ゚听)ξ「寿司!」

ノパ听)「ラーメン!」
  _
( ゚∀゚)「ドクオは何がいい?」

('A`)「いや、別になんでも……」

ノパ听)「ドクオ! ラーメン!」

('A`)「あー……じゃあ、ラーメン」
  _
( ゚∀゚)「ラーメン二票入ったのでラーメンになります」

( ^ω^)「じゃあこてこてのラーメンで」

ξ゚听)ξ「ふん、ロリコンどもが相手じゃ分が悪いわ」
  _
( ゚∀゚)「なに、いまロリコン流行ってんの?」

 かくしてメンバーにドクオとヒートを加え、
一行はジョルジュ行きつけのラーメン屋へ向かうため部屋を出た。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/09/12(日) 22:39:28.87 ID:bwbT9ETP0<> このロリコンどもが <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<>sage<>2010/09/12(日) 22:40:50.91 ID:WXed3Whe0<> ヒート眼科行けww <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/09/12(日) 22:40:53.67 ID:d/buy2ds0<> このロリコンどもめ <>
◆CftG3KV7X3mq <><>2010/09/12(日) 22:41:48.00 ID:TzBnG8IpP<>  既に辺りは暗く、空には真円に近い月が昇っていた。
風景のところどころが街灯の明かりを浴びて白く浮き出されている。
  _
( ゚∀゚)「だいぶ暗いなー。ラーメン屋開いてっかな」

ξ゚听)ξ「寿司にして差し上げてもよくてよ」
  _
( ゚∀゚)「どんだけ食いたいんだよ」

ノパ听)「そういえばよ、ジョルジュ」

 ドクオの横に付いて歩くヒートが突然口を開いた。

ノパ听)「ハインに会いに行ったんだけどよ、会えなかったわ」
  _
( ゚∀゚)「ん? どうして。消灯時間には早かっただろ?」

ノパ听)「なんか札が掛かってて、会ったら駄目だって。
     あの……面会……なんとか」

( ^ω^)「面会謝絶?」

ノパ听)「あ、それっぽい。どういう意味?」
  _
( ゚∀゚)「会うなって意味だ。……けど変だな。そんな急に面会謝絶ってどういうことだ?」 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/09/12(日) 22:42:22.64 ID:B2cHt6Uk0<> >>49
たで食う虫もなんちゃらだろう <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/09/12(日) 22:43:57.41 ID:mo3H/hWL0<> そんなに寿司がいいのかこの貧乳は <>
◆CftG3KV7X3mq <><>2010/09/12(日) 22:45:37.62 ID:TzBnG8IpP<> ξ;゚听)ξ「わ、私足しか攻撃してないわよ?」
  _
( ゚∀゚)「熱が出たとか? うーん……まあ重症っちゃあ重症だからなあ」

ノパ听)「そうか。早く元気になんねーかな」
  _
( ゚∀゚)「心配か?」

ノパ听)「そりゃ心配だよ」
  _
( ゚∀゚)「ん、そうか」

 また反発してくると予想していたジョルジュだったが、
素直に心配だと口に出すヒートを見て、ばつが悪そうに頬をかいた。
そうしてそのまま遠くを見て何事か難しいことを考えているような表情をしていたが、
不意にその目を見開き「えっ」と声を漏らした。

ξ゚听)ξ「どうしたの」
  _
( ゚∀゚)「ギコだ……」

ξ゚听)ξ「え、ギコって……あの?」
  _
( ゚∀゚)「ああ。……ごめん。俺、ちょっと行くわ。ツン、あと任せた」

ξ;゚听)ξ「ちょ、ちょっと! 行くって何言ってんの馬鹿!
       内藤君、ごめんあいつ追っかける!」

( ;^ω^)「え? え!? な、なんだかわからないけど、わかったお!」 <>
◆CftG3KV7X3mq <><>2010/09/12(日) 22:47:35.52 ID:TzBnG8IpP<>  全速力で走り出すジョルジュと、それを追うツン。
二人は瞬く間に走り去り、内藤、ドクオ、ヒートの三人が取り残された。

( ^ω^)「えーと……僕そのラーメン屋知らないんだけどどうしよう」

('A`)「いや、そもそもラーメン食うって雰囲気でもないだろ」

ノパ听)「言えてる。俺たちも追ったほうがいいんじゃないか? ギコは強いぞ」

( ^ω^)「うーん、確かに。あの二人といえど放っておくのは……お?」

 ふと、内藤は視界の隅に見慣れぬ人影を見つけた。
いや、そんなものあって当然なのだが、何故だか内藤は瞬間的に目を奪われた。

( ∵)「……」

 背丈はかなり小さい。一四〇センチあるかないかといったところだ。
辺りが暗く詳細はあまりわからないが、ぼーっと立っているその姿にまるで生気が感じられない。
ふわふわと漂うようにゆっくりと移動している。

('A`)「ん? 何か居たか?」

( ^ω^)「あれ、おかしくないかお?」

奇妙な人影を指差すブーン。 <>
◆CftG3KV7X3mq <><>2010/09/12(日) 22:51:26.70 ID:TzBnG8IpP<> ('A`)「あれ? あれってどれ? 何も居ないぞ」

( ^ω^)「よく見るお。あそこに小さい人が」

ノパ听)「いないぞ」

('A`)「居ないな」

(;^ω^)「え、いや、ほらあそこだお!」

 いくら暗闇といえど、他に目立つものが無いのだからわからないはずがない。
人影は相変わらずゆらゆらと漂い、ゆっくりと曲がり角の向こうへと消えていく。

(;^ω^)「待つお!」

('A`)「おい!」

 逃がしてはいけない気になって、内藤はその人影を追った。
何故そんなことをしなければいけないのか内藤自身も理解ができない。
それでも肌を包む違和感と、胸の奥から湧き上がる僅かな衝動が確かにあった。

 そうして内藤が曲がり角を曲がった先、
そいつはまるで来ることをわかっていたかのように、じっと内藤の方を見て佇んでいた。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/09/12(日) 22:53:08.56 ID:8CvKN9n00<> 死亡フラグか <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/09/12(日) 22:54:06.52 ID:opZhk1q50<> 死にはしないだろ
多分 <>
◆CftG3KV7X3mq <><>2010/09/12(日) 22:54:44.24 ID:TzBnG8IpP<> (;^ω^)「はあ、はあ……死人かお?」

( ∵)「……」

 一歩、また一歩とそいつに近づいていく。
内藤の息が上がっていく。
それほど全力疾走しただろうか。
それほどの距離を走っただろうか。

(;^ω^)「はあ、はあ、はっ……ぁ……はぁ……」

 内藤の呼吸はどんどんと乱れていく。
一歩、二歩、三歩。
そいつに近づくにつれて内藤の視界は狭まっていく。

( ∵)「……」

(;^ω^)「はぁ、はぁっ! ……はぁ、はぁ」

 内藤は最早なぜここにいるかをも忘れて食い入るようにそいつだけを見ていた。
そして内藤の口からこぼれたのは、一滴の唾液だった。
ぽたり、ぽたりと半開きの口の端から唾液がこぼれる。

 内藤はそれを啜ろうともしないし、拭おうともしない。
至極当然な反射なのだ。
そして目の前のそいつは相変わらずぼーっと突っ立ったまま、
内藤の顔をじっと見つめているのだ。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/09/12(日) 22:54:47.62 ID:opZhk1q50<> 支援 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/09/12(日) 22:55:46.43 ID:yGeSF+0M0<> 最近では一番好き、これ
支援 <>
◆CftG3KV7X3mq <><>2010/09/12(日) 22:57:07.41 ID:TzBnG8IpP<>  だから、内藤は当たり前にそいつを「啜った」。
そう、当たり前なのだ。
少なくとも今の内藤には疑いようが無い。

べちゃ、べちゃ。
ず、ずずず、ずずず。
ぎぎ、ぎ、ぞぞぞ。

ただ、なにせ初めてなのだ。
少しばかりは乱暴になってしまったかもしれない。
最早原型が無いのだ。
ただ、それは内藤のせいなのだろうか?

( ^ω^)「お、お゛……ごぼっ……げぇっ! ……はあぁぁぁ……」

 一度咳き込み、啜れないモノを吐き出した。
そして天を仰ぎ恍惚と息を漏らす。

ぶるり。

一度大きく震えると内藤は声を上げて笑い出した。 <>
◆CftG3KV7X3mq <><>2010/09/12(日) 22:59:46.03 ID:TzBnG8IpP<> ( ^ω^)「あはっ、あはははははははは!」

 内藤をいま圧倒的な多幸感が包んでいた。
そしてこの夜の街すべてが自身の部屋になるような感覚。

( ・∀・)

 脳裏をかすめるモララーの顔。
そして流れ込んでくる意識。

( ^ω^)「どこかに、シタイは、ないかなァ? くひっ」

 心の奥から言葉が漏れた。
イメージがあふれてくる。

( ^ω^)「シタイ。死体を前に、して、僕は――」

('A`)「悪いな」

 その言葉とともに内藤は意識を失った。
そして倒れる内藤の背後でふぅーっと息を吐きながらイヤホンを外すドクオ。 <>
◆CftG3KV7X3mq <><>2010/09/12(日) 23:01:47.79 ID:TzBnG8IpP<> ('A`)「全然話が通じねえから思いっきり殴っちまったけど……死んだりはしねえよな」

ノパ听)「あんないつ発狂して暴れるかわからない状態なら殺してもオッケーだろ」

 ドクオはがっくりと肩を落として地面に寝る内藤を抱き上げた。
半ば自棄になってヒートに尋ねる。

('A`)「はあ……俺新人なんですけど。ヒート先輩、どうしたらいいですか?」

ノパ听)「えーと、俺と結婚しよう?」

('A`)「……まともな奴が居ねえ」

 ドクオはこれ以上無いくらいに眉間にしわを寄せ、
夜闇に向かって短く「あ゛あ」と吼えた。



続 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/09/12(日) 23:01:54.21 ID:LGvUJyMZO<> し <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/09/12(日) 23:05:22.85 ID:LGvUJyMZO<> 面白い <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/09/12(日) 23:08:18.93 ID:J8qxZOmq0<> >ノパ听)「えーと、俺と結婚しよう?」
>('A`)「……まともな奴が居ねえ」

こういうちょこちょこ入る笑いが好きだwwww
設定も話もかなり引きこまれるしな

乙でした! <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/09/12(日) 23:09:12.91 ID:TzBnG8IpP<> 今日はこれで終了です。
しばらく家を空けるので、次回は月をまたぐかもしれません。
間は開きますが、絶対に完結させます。
少なくとも年内には終わらせるつもりです。

それでは、読んでくださった方、支援してくださった方、
まとめのエスカルゴさん、ありがとうございました。
他スレの方、迷惑がかかっているようでごめんなさい。
ではまた。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/09/12(日) 23:20:28.91 ID:Fp7HupFd0<> よし待ってるぜ乙! <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/09/12(日) 23:21:17.53 ID:380sVSA70<> >>68
乙です
絶対に完結させます、と聞くと逆に不安になるのは俺だけ? <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/09/12(日) 23:38:30.87 ID:sI/RGdUG0<> 来てたか、乙

よむほ <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/09/13(月) 00:11:21.69 ID:K5D2qb0QO<> 乙! <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/09/13(月) 00:26:13.46 ID:zqSxjD1x0<> 乙

ブーンは突然どうしてしまったのかな <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/09/13(月) 01:31:28.74 ID:Xvn1ilLl0<> 乙です

でもなんで荒らしはこのスレだけを褒めるんだ? <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<>sage<>2010/09/13(月) 02:04:24.43 ID:seywy1ib0<> >>74
交換殺人と死人をチームなんとかに勝手に認定して仲間意識を持ってるからかと <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/09/13(月) 02:54:34.73 ID:qF3RUW9T0<> エスカルゴ先生になんか恨みでもあるのか <>