( ^ω^)空中庭園と海底都市のようです
- 1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 22:33:18.73 ID:NdVfLd7z0
- まとめてくださっているサイト様
http://localboon.web.fc2.com/097/top.html
マップみたいなの
http://up3.viploader.net/ippan/src/vlippan125974.gif
ジャックの剣・ジルの剣・リッパー・マーダー
http://viploader.net/ippan/src/vlippan125975.gif
- 2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 22:35:06.57 ID:NdVfLd7z0
- 今更だけど、うpろだ総合専用だということに気がついた
消そうと思ったけどパスが違う、だと?
うわあああああぁあああぁあああああああ!!
空気と言われようが邪魔と言われようが
とりあえず完結させたい
- 3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 22:36:48.11 ID:NdVfLd7z0
- 『四話目 交響曲3』
[1.かこのはなし]
僕の名前はホワイトチャペル。この世界の名前も、ホワイトチャペル。
僕は世界。この世界自身だ。
けれどちゃんと人間だった。ただ、人とは違う不思議な力があっただけ。
だから僕は、この世界の王様だったんだ。
二つの国を統べる、王様。
―それが僕だ。僕は、空の国≠ニ海の国≠統べる王だったんだ。
('A`)「…そんな話、聞いたことないぞ?」
( ^ω^)「僕たちの歴史の記憶が無いのと、関係しているのかお?」
―…まあね。でもまだまだここからだよ。
僕の自己紹介はこれくらいにして、そろそろ過去の話を…
そこで一瞬チャペルが喋るのをやめて、また喋りだした。
- 4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 22:37:50.71 ID:NdVfLd7z0
-
―…と、その前に…僕は決着を付けなくちゃ、いけないみたいだな。
( ^ω^)「?」
―二人とも。ギコを、倒したい?
(;^ω^)「へ?」
(;'A`)「へ?」
チャペルに言われると、不思議な気持ちになる。
宣戦布告してきたギコと戦って勝たなければ、という気持ちはあったけど、
倒したいか、と改めて聞かれるとそれはどうなのだろうか。
それよりも自分達がいない間、自分達の国が闇の国に皆殺しにされていないか
気になって気になって仕方なかった。
―国が気になるのなら、僕にギコを倒すチャンスをくれないかな。
そして僕がギコを倒すまでの、その間に過去を見せるから。
- 5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 22:39:37.98 ID:NdVfLd7z0
-
(;^ω^)「ちょっちょっ、ちょっと待ってくださいお」
(;'A`)「何でチャペルがギコを倒す必要があるんだ?」
―……。それを言われたら、どうか分からないな。
…今は、ね。
昔は二つの国を統べてたことから分かるだろうけど、王だったんだよ。
ちゃんと、人間だったんだ。
何で僕がギコを倒さなきゃいけないかは、過去で分かるから。
まあ今の僕は肉体が無いんだけどね。
(;^ω^)「なら、肉体が無いのにどうやって戦うんだお!?」
―…………。これも、後でちゃんと分かるから。
だから、ギコを倒す間だけ、
―君達の肉体と、君達の剣を、頂戴させてもらうよ。
(;^ω^)「おお!?」
(;'A`)「はいいっ!?」
- 6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 22:41:31.74 ID:NdVfLd7z0
-
―ごめんね。君達には自我があるのに…。
けれど、絶対倒して、ギコとの決着を終わらせてみせる。
秩序が戻れば、より良いのにな…。
―さあ、さあ…。
すると、くるくるくるり。体はぐるぐる回ってく。
体はどんどんねじれていって、すべてが混ざっていく。
真っ白だった世界は、更に真っ白になって、騎士の姿すら見えなくなってしまった。
(;'A`)「え、うわああ、眩し………あ…れ…」
(;^ω^)「ぐ、ぐるぐるまわってるおー…」
―さあ、戻って来い。そして剣も。
いつの間にか白い世界は無くなっていて、
誰もいなくなっていた。
- 7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 22:41:45.35 ID:V53zR2tnO
- きたこれ支援
- 8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 22:41:58.09 ID:V53zR2tnO
- 支援
- 9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 22:42:05.33 ID:V53zR2tnO
- しえ
- 10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 22:43:47.71 ID:NdVfLd7z0
-
[2.すべてのはじまり]
いつだっただろうか。とても昔だった気がする。
僕は、花畑で豪快にすっ転んだしぃを起こして、
泣いている顔を見ながら、慰めていたんだ。
(*;ー;)「うぇええぇええん」
( ゚−゚)「…ホラ、なみだふいて」
(*;ー;)「だって、いたいよう!ちがでてるよう」
けれどしぃは血が怖いらしく、一向に落ち着こうとしない。
それでも僕は慰めようとして、魔法の言葉を唱えてあげた。
よくあるおまじないをしぃにしてあげたんだ。
( ゚−゚)「だいじょうぶだよ。かすりキズだよ。ほら、いたいのいたいのとんでけー」
痛いの痛いの、飛んでいけって。
- 11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 22:44:27.30 ID:NdVfLd7z0
-
(*;ー;)「いたいよう」
それでも泣き止まない。だから僕は、人の体について教えてあげた。
人の体は、そんな小さな傷ではへこたれないんだ。
人の体は凄いんだぞって、教えてあげたんだ。
( ゚−゚)「いいことおしえてあげるね!
ヒトのからだのなかには血小板っていうものがあって、
それがキズをちゃんとふさいでくれて、なおしてくれるんだよ。
だから、まってて。なおるのをまっていて。
まってればかならずいたいのもとんでって、しかもちゃんとなおるんだ!」
(*;ー;)「ぐすっ…。なんでもしってるんだね」
( ゚−゚)「ぼくはものしりだからね」
僕としぃはとても仲良しだった。
それはもう、とても、とても。小さい頃から、とても仲良しだった。
(*;ー;)
(*-ー-)
- 12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 22:45:14.35 ID:NdVfLd7z0
-
(*゚ー゚)「なんだかげんきがでてきたみたい。ありがとう!」
( ゚−゚)「げんきでてきた?それはよかった!」
(*^ー^)「えへへ…」
しぃは涙を拭いて、僕に笑ってみせた。
( ゚−゚)「おおきくなったら、ぼくがまもってあげるから」
(*゚ー゚)「…うん」
( ゚−゚)「だから、もうないちゃだめだよ」
(*゚ー゚)「うん」
( ゚−゚)「わらってるほうが、ぜったいかわいいから」
(*゚ー゚)「…うん!」
―ピッ―
- 13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 22:46:36.19 ID:NdVfLd7z0
-
( ゚−゚)「おとなになったら、ぼくたちけっこんしようね」
僕たちは仲良しを超えて、恋人のような関係になっていた。
とても仲良しで、そして恋人。
僕たちは、将来を誓い合ったほどの仲だった。
(*゚ー゚)「もちろん!ぜったい、ぜったいやくそくだよ!」
( ゚−゚)「わかった。やくそくな!」
そしてしぃは小指を差し出して、僕も小指を差し出した。
その小指と小指でしっかりつかむ。
(*゚ー゚)「ゆーびきーりげーんまーん」
( ゚−゚)「うーそつーいたーらはーりせーんぼーん」
(*゚ー゚)「のーます」
( ゚−゚)「ゆーびきった!」
指切りの小指が、離れた。
- 14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 22:47:48.35 ID:NdVfLd7z0
-
(*゚ー゚)「やくそく、だよ」
約束したんだ。将来を誓って。そして結婚すると。
約束したんだ。
―ピッ―
ギコが初めてしぃに出会ったのは、あの約束をしたすぐ後だった。
花畑で出会ったらしい。
(,,゚Д゚)「…あっ」
(*゚ー゚)「あっ」
しぃは、花を摘んで帰るところだった。
広い花畑に、少年少女が二人。
- 15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 22:47:58.53 ID:/mvBPhz7O
- なにこれなにこれ
- 16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 22:48:40.99 ID:NdVfLd7z0
-
(,,゚Д゚)「あの…」
(*゚ー゚)「なぁに?」
(,,゚Д゚)「えと、あの…その」
(*゚ー゚)「?」
しぃは可愛い。だからこそ、口が上手く動かなくなってしまう。
(*゚ー゚)「どうしたの?」
可愛い少女は、ギコの顔を覗き込んだ。
(,*゚Д゚)「あ…」
(,* Д )「あ…の……」
(,* Д )「ええと…えっと…えっと」
こんなにも近距離に女の子の顔があると、流石に顔が赤くなってしまう。
- 17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 22:49:36.68 ID:NdVfLd7z0
-
(,*゚Д゚)「あああ…やっぱり…」
(,* Д )「やっぱり、なんでもない…」
何を言おうとしたのかも忘れてしまった。
(*゚ー゚)「…?」
(*^ー^)「ふふっ、へんなの」
笑う少女は、より可愛かった。
「しぃー」
そのとき、誰かがこちらへ走ってきた。
(*゚ー゚)「あ」
( ゚−゚)「虹色の花、見つかった?」
(*゚ー゚)「うん、ホラ!」
( ゚−゚)「何かを守っているような花弁。やっぱり綺麗だな」
- 18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 22:50:37.82 ID:NdVfLd7z0
-
ギコは気を落とした。しぃには仲のいい男がいたんだ。
仲良さそうに会話する二人を見て、少し嫉妬している自分がいた。
(,,゚Д゚)「……」
(,, Д )「………」
この気持ちは何なのだろうか。
今初めて出会ったばかりの少女に、恋をしたとでも言うのだろうか。
(,, Д )「…そりゃそうだよな」
ただ仲の良い二人を見つめていた。
- 19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 22:50:57.29 ID:JZDhGyxq0
- さるくらいそーな勢いだな
支援
- 20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 22:51:40.05 ID:NdVfLd7z0
-
[3.むかしのはなし]
あれから何年も経った今現在。
チャペルは、この世界を治める立派な王となっていた。
まだ闇の国が無かった時のおはなし。
この世界に国は二つだけで、争いなんてものは無かった。
この世界を治める王は、《マーダー》という大きな剣を持っていた。
その剣は、しぃの歌に反応して、黄色く光る。そして強くなる。
そして何より、ホワイトチャペルという人物には、不思議な力≠ェあった。
年に一度だけ、過去へ戻る≠アとができるというものだった。
現在から、一年前≠ノ、戻ることができるのだ。
過去へ戻ったチャペルによって、世界の秩序が保たれいた為、
争いなんてものは無かった。
元々この世界の人々は、争いなんて好まない優しい人たちだったから、
というのもあるが、一番はチャペルの力が大きかった。
- 21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 22:53:23.26 ID:NdVfLd7z0
-
二つの国は一人の人物が治めていたため、
国の戦士達は皆、国々に分かれることなく存在していた。
沢山の戦士達と共に、女神と、騎士。
その人々が、世界を治める王を支えていた。
空の国には空王がいて、海の国には老いぼれた海王がひっそりといた。
空の住人も、海の住人も、皆いた。
大きく違うのは、今この世界にはブーンも、ドクオも、ツンも、クーもいない。
ジャックの剣も、ジルの剣も、アコーディオンも、ヴァイオリンも。
そこには、いなかった。
そして王は今、空の国にいた。
- 22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 22:55:07.31 ID:NdVfLd7z0
-
( ゚−゚)「お腹空いた」
ワイワイと賑わう青空市場に、王はいた。
(*゚ー゚)「美味しそうな果物が沢山あるね」
王は、一人の女神と二人の騎士を連れて、街中を歩いて回った。
( ´_ゝ`)「キウイフルーツに」
(´<_` )「パイナップル」
空にも海があるかのような、真っ青な空の下。
艶やかな野菜や果物が沢山売られている。
( ゚−゚)「僕は果物が大好きだよ。街の果物は絶品だ」
- 23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 22:56:08.79 ID:NdVfLd7z0
-
すると、果物を出している店の男が、王に話しかけてきた。
#「王様、王様、そんならこのドリアンはいかが?」
男は、大きなイガイガのついた甘ったるい異臭を放つ何かを、王に差し出した。
( ゚−゚)「これは何だい?」
#「これはドリアンというものです。果物の王と呼ばれているんですよ。
王様の果実、とも言うそうです」
騎士の兄者と弟者は、その差し出された果物に顔を近づけ、
甘ったるい匂いを嗅いでみた。
(;´_ゝ`)「うわっ…近距離だとかなり臭いですね」
その匂いの強烈さに、思わず鼻をつまんだ。
- 24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 22:57:23.74 ID:NdVfLd7z0
-
(´<_` )「果物の王、か。王様にピッタリじゃないですか」
( ゚−゚)「王と呼ばれるくらいなんだから、とても美味しいのかな」
#「ええ、そりゃあもう絶品ですよ!」
けど男は、一つの注意を王に促した。
#「先ほど匂いを嗅いでもらったことから分かるでしょうが、
吐いてしまう人もいるくらいに匂いが強烈ですので、
そこは気をつけてください」
( ゚−゚)「ふむー。でも味は良いんだよね?じゃあ一つ買おうかな」
#「ありがとうございます」
しぃがお金を男に渡し、男はドリアンを大きな包丁で真っ二つにして、
真っ二つになったドリアンを王に手渡した。
( ゚−゚)「言われたとおり匂いはとても強烈だね。
とても良い匂いだとは言えないなぁ」
クリーム状の果実を、スプーンですくって口に運んだ。
- 25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 22:58:32.35 ID:NdVfLd7z0
-
(*゚−゚)「…甘い」
一口入れると、口の中で何とも言えない甘味が広がった。
#「ええ、とても甘くて、美味しいでしょう?
しかもドリアンは栄養豊富なんですよ」
( ゚−゚)「そうなの?いやそれにしても美味しいね」
王は暫くドリアンを食べていたが、自分ばかり食べては勿体無いと、
女神に、騎士に、男に、周りにいた人々に、ドリアンを分けて与えた。
(*゚ー゚)「そんな、これはチャペル君のだよ。悪いよ」
( ゚−゚)「いいんだ。美味しいものは皆で食べるともっと美味しいよ!」
#「ああ、ああ…王様、ありがとうございます」
皆で一緒にドリアンを食べた。
とてもとても美味しかった。
- 26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 23:00:21.77 ID:NdVfLd7z0
-
ドリアンを皆で食べて、海の国へと行く道中。
海の上に浮かぶ陸で、ばったりギコと会った。
(,,゚Д゚)「…久しぶりだな」
( ゚−゚)「暫く、だね」
しぃとギコが初めて出会った時に、同時にギコとチャペルは知り合った。
その後、友達≠ニ呼べるほどの仲になっていていたが、
ここ暫くの間、全然顔を見ていなかった。
(,,゚Д゚)「……すまない、少ししぃと話をさせてくれないか?」
(*゚ー゚)「私と?」
( ゚−゚)「分かった。じゃあしぃ、僕らは先に海に行くから」
(*゚ー゚)「うん」
王と騎士は海の方へと、
そしてギコとしぃは、あの花畑へと向かった。
- 27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 23:01:28.08 ID:NdVfLd7z0
-
(,,゚Д゚)「ここ、覚えてるか?」
(*゚ー゚)「覚えてるよ」
一面綺麗な花、花、花。色とりどりの花たちが、風にゆられて踊ってる。
赤い花、青い花、黄色い花、紫の花。
沢山の花たちは凛と、この地に咲いていた。
(,,゚Д゚)「あの、さ」
(*゚ー゚)「なあに?」
(,* Д )「しぃは…俺のこと、好きか?」
(*゚ー゚)「もちろん!」
(,*゚Д゚)「えっ!?」
(*゚ー゚)「チャペル君のお友達だもん。それに、私の友達でしょ?
もちろんギコ君のこと大好きだよ!」
- 28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 23:02:44.61 ID:NdVfLd7z0
-
(,,゚Д゚)「あ…」
(,, Д )「……うん」
しぃとチャペルは、恋仲だとは知っていた。
それでもギコはしぃの事が好きだったんだ。
だけど、少しの希望は、すぐに砕け散った。
(,,゚Д゚)「しぃは、チャペルと結婚するの?」
(*゚ー゚)「そうだよ。昔ね、約束したの。この場所で約束したの」
(,,゚Д゚)「…この花畑で?」
(*゚ー゚)「うん」
(,,゚Д゚)「……そっか」
(,, Д )「…そうだったんだ…」
- 29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 23:05:16.96 ID:NdVfLd7z0
-
しぃとチャペルはこの場所で、結婚の誓いと約束をした。
皮肉なことにその場所で、ギコとしぃは出会ったのだ。
しかも、ギコはしぃに恋をした。
(,, Д )「話はこれだけ…だよ」
(*゚ー゚)「そっか。じゃあ私はチャペル君の所へ行くね」
(,, Д )「…ああ」
可憐な少女は、ギコに無邪気に手を振って、海の方へと走っていった。
(,, Д )「……なんで、こんな思いをしなくちゃいけないんだ」
王でも、騎士でも、戦士でも、兵士ですらない、ただの人間のこの自分が。
どうして女神になんて恋をしてしまったんだろう。
あの無邪気な笑顔が、頭から離れることは無かった。
分かっているからこそ、辛く、苦しかった。
- 30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 23:06:39.70 ID:NdVfLd7z0
-
広い広い、そして青い海。
そこでは人間は人魚≠ニなり、海を優雅に泳いでいく。
キラキラと輝く鱗は、海に深く潜るにつれて輝きを失っていった。
( ゚−゚)「暗い」
(´<_` )「灯り」
( ´_ゝ`)「ほいさ」
灯りが点され、少し周りが明るくなる。
( ゚−゚)「そうだ」
(´<_` )「?」
( ゚−゚)「しぃが来るまで暇だから、海中鬼ごっこしよう」
王様が「鬼ごっこをしよう」と言い出した。
それほど暇なのか。
- 31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 23:08:38.38 ID:NdVfLd7z0
-
(´<_` )「なに」
( ´_ゝ`)「それ」
( ゚−゚)「…海中鬼ごっこ」
( ´_ゝ`)「うん…」
(´<_` )「…で?」
( ゚−゚)「さーいしょーはグー!」
(´<_`;)「やるのか」
三人は手を出して、ジャンケンをした。
兄者はチョキ、弟者もチョキだったが、
チャペルはパーを出してしまった。
( ゚−゚)「…言いだしっぺって大体は鬼になるよね」
( ´_ゝ`)「わーい」
(´<_` )「にげろー」
- 32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 23:09:50.46 ID:NdVfLd7z0
-
チャペルは数を数え始める。
( ゚−゚)「いーち、にーい、さーん……」
数を数えている間に、兄者と弟者は急いで逃げていった。
二人は泳ぐのは得意な方だから、この海の中を逃げ切る自信はあった。
だが、
( ゚−゚)「………しーごーろくひちはちくうじゅ、ひゃく!」
数える早さは、あまりにも早すぎた。
(;´_ゝ`)「えちょおま」
(´<_`;)「数えるの早いよ早すぎるよ」
( ゚ー゚)「さあ行くぞーどんどん行くぞーかまわず行くぞー」
- 33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 23:10:55.18 ID:NdVfLd7z0
-
向かってきたのは、凄い険相の、チャペルと思わしき人物。
もの凄い勢いで泳いでくる。まさに鬼だ。
というよりも、潜水艦から放たれた魚雷≠フようなものだろうか。
凄まじい水の音が遠くからでも聞こるくらいに、
それはもう、恐ろしいくらいに速く泳いでいた。
( ゚ー゚)「アハハ八八ノヽノヽノヽノ \/ \/ \」
不気味な笑い声と共に、魚雷≠ェこちらへ向かってくる。
- 34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 23:11:44.08 ID:NdVfLd7z0
-
(;´_ゝ`)「速ッ!泳ぐの速ッ!怖ッ!!」
(´<_`;)「ねえこれ面白いですか!?面白いですか!!??」
( ゚ー゚)「ネッ?迫力のある鬼ごっこでしょ?」
(´<_`;)「ネッ?じゃねええええええええええ」
(;´_ゝ`)「何この恐怖感!何この恐怖感!!」
( ゚ー゚)「うーみーはー広いーなー大きーいーなー」
(;´_ゝ`)(´<_`;)「もう嫌ああぁぁあああぁああああ!!」
迫り来る魚雷≠ゥら、兄者と弟者は必死に逃げた。
それはもう、これ以上無いかというくらいに必死に逃げた。
- 35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 23:13:36.22 ID:NdVfLd7z0
-
暫く魚雷≠ニ迫力のある鬼ごっこを続けていたが、
ついに捕まってしまった。しかも二人同時に。
( ゚−゚)「捕まえたー!」
(;゚_ゝ゚)「ハァー、ハァー、ハァー、ヒュー、ハァー」
(゚<_゚;)「ゼーハー、ハァハァ、ヒュー、ハァー…オエッ…ハー」
行き絶え絶えの二人をタッチして、チャペルは鬼ごっこ終わらせた。
( ゚−゚)「この分だと二人とも、鬼になるのは無理そうだね」
(゚<_゚;)「ハァー、ハァー、そりゃ、ハー、あんた…ヒュー」
(;゚_ゝ゚)「水ん中で…ハァー、これ、ゲホッ、地獄だろ、ヒュー、ハァー」
二度と海中鬼ごっこはやりたくないと思う兄者と弟者だった。
だって鬼ごっこなのに鬼ではなく、恐ろしい険相をした魚雷が追ってくるのだから。
- 36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 23:15:51.97 ID:NdVfLd7z0
-
( ゚−゚)「鬼ごっこ終わっちゃったし、早くしぃが来ないかな」
平気な顔をしているチャペルを他所に、兄者と弟者は必死に息を整えていた。
暫くすると、上の方から誰かが泳いでくる音がした。
( ゚−゚)「…あっ」
人魚の姿で泳いできたのは、しぃだった。
スイスイとこちらへ向かってくる。
(*゚ー゚)「ごめんね、遅くなっちゃった」
(;´_ゝ`)「遅い!!」
兄者が一喝入れる。
- 37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 23:16:31.98 ID:JZDhGyxq0
- 支援
- 38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 23:17:23.04 ID:NdVfLd7z0
-
(;*゚ー゚)「…どうしたの?」
(´<_`;)「あなたを待っている間に地獄を見た」
(;´_ゝ`)「死ぬかと思った」
(;*゚ー゚)「……なんだかよく分からないけど、ごめんね」
しぃが来たところで、早速海の国へ向かおうとした。
( ゚−゚)「じゃあ早速海へ………」
(;゚−゚)「アレッ」
泳ごうとしたチャペルは、異変に気付く。
(*゚ー゚)「どうしたの?」
(;゚−゚)「…さっきので足が…攣っちゃったみたい」
- 39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 23:18:59.59 ID:NdVfLd7z0
-
( ´_ゝ`)「あんたばかぁ?」
(´<_` )「ばかだ」
足、尾を動かすと、痛みが走った。
あれだけ泳いだのだから当然だろう。
(*゚ー゚)「さっきのって何かしら?
…まあいいや、とりあえず引っ張っていってあげる」
しぃと兄者と弟者に引っ張られ、チャペルは海の国へと向かった。
(´<_` )「いざ、我が出身国へ!」
( ´_ゝ`)「そうか、そういえば弟者は海の国の出身だったな」
- 40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 23:19:54.73 ID:NdVfLd7z0
-
(*゚ー゚)「あれ?それじゃあ兄者さんも海の出身?」
( ´_ゝ`)「いや、俺は空だ」
(*゚ー゚)「えっ?二人は双子なんだよね?」
(´<_` )「実は双子じゃなくて、普通の兄弟なんだ」
( ´_ゝ`)「よく双子と間違えられるけどね」
(;*゚ー゚)「えええっ!?双子じゃなかったの…?」
思わず、チャペルを引っ張る手の力が強くなってしまった。
( ゚−゚)「痛い痛い」
(;*゚ー゚)「あ、ごめん」
改めて、海の国へと向かった。
- 41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 23:20:43.84 ID:V53zR2tnO
- しえしえ
- 42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 23:20:53.51 ID:V53zR2tnO
- おしえん
- 43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 23:21:05.42 ID:V53zR2tnO
- しえーん
- 44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 23:22:13.32 ID:NdVfLd7z0
-
[4.秩序]
空の国でとある事件が起きた。
二人の男が、残虐な殺人事件を起こしたのだ。
傍にいた女は、それを手助けしたらしい。
被害者は10名以上。
その男女を成敗すれば事は収まるだろう。
けれどその殺された沢山の人々は、もう戻っては来ないんだ。
だからこそ、ホワイトチャペルの力が必要とされた。
年に一度、その年が終わってしまう日に、一年前に戻る≠フだ。
年に一度しか使えないからこそ、何かが起これば一年分を遡って、
そこから一年分の悪い出来事を正していく。
- 45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 23:22:43.56 ID:NdVfLd7z0
- ミス 二人の男→一人の男
- 46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 23:23:41.87 ID:NdVfLd7z0
-
(*゚ー゚)「チャペル君の力のことは、皆が知っていからこそ
今まであまり悪いことは起こらなかったのに」
( ゚−゚)「僕の力を知っているのか、それとも知らなかったのか、
…僕が正すことを前提に行ったことなのか」
(*゚ー゚)「何にしろ、放ってはおけないね」
( ゚−゚)「…そうだね。明日は丁度、年の終わる日だ。明日行くよ」
(*゚ー゚)「分かった」
年の終わる日は、一番忙しくなる。
チャペルは明日、過去に戻る。
- 47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 23:25:15.77 ID:NdVfLd7z0
-
次の日。
チャペルは早速、力を使った。
( ゚−゚)「…じゃあ、行ってくるから」
(*゚ー゚)「うん」
だんだんチャペルの姿は薄くなっていって、背景が透けて見えるほど薄くなって。
まるで蝋燭の火が消えるみたいに、薄く、薄く。
そして、消えた。
チャペルは、沢山の数字が羅列してある空間に飛ばされた。
まるでカレンダーのように並んだな、沢山の数字。
そこで、チャペルは364≠フ数字を見つけた。
( ゚−゚)「この日、だよな。大きな出来事があった日は」
- 48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 23:26:07.79 ID:NdVfLd7z0
-
その数字に近づいて、触れる。
瞬間、空間がぐにゃりと歪む。
数字の空間は歪んで、歪んで、そして元の世界になった。
ホワイトチャペルの世界に戻っていった。
一年前≠ノ戻ってきて、そこからまた始まった。
チャペルは一年を遡って、遡って、遡って。
やっと、364日に辿り着いた。
- 49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 23:27:56.68 ID:NdVfLd7z0
-
空の国、街角の小さな小さな家。
その小さなおんぼろの家には、とある夫婦が住んでいた。
夫婦にはお金が無かった。だから、穴の開いた屋根を直すことができずにいた。
家の至るところに隙間がある。
##「あなた。私達はどうしてこんなに貧乏なのかしら」
#「…全て国が悪いんだ。俺達は十分がんばっている」
##「……そうね。これだけ頑張っても報われないなんて」
周りの家は比較的綺麗なのに、この夫婦の家だけが目立っていた。
#「チッ、お国の王は世界をまとめるのに精一杯ですってか。
貧乏人に金をくれたっていいだろクソ」
男は舌打ちをした。
#「…そうだ」
- 50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 23:28:39.40 ID:V53zR2tnO
- 支援
- 51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 23:29:06.45 ID:NdVfLd7z0
-
暴言を吐いている男が、何かを思いついたように女を見る。
##「何?」
#「国に、俺達の存在を教えてやるんだ」
##「どうやって?」
#「…この国は殺人なんてもの、滅多にあるもんじゃない」
##「………。ちょっと、それまさか…」
#「ああ、そのまさかだ」
##「やめてよ、息子がいるんだから。そんなことしたら…」
#「俺は大真面目に言っているぞ」
- 52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 23:29:51.54 ID:NdVfLd7z0
-
チャペルは、聞いていた。ずっとその話を聞いていた。
家の外でそれを聞いていたチャペルは、玄関のドアを開けて、
ついに夫婦に話しかけた。
ギギギ、と、ドアの開く音がする。
( ゚−゚)「こんにちは」
#「誰だッ!?」
男はとても驚いた様子で、玄関の方を振り向いた。
( ゚−゚)「僕はホワイトチャペル」
#「ホワイトチャペルゥ?」
聞いたことのある名前だが、なかなか思い出せない。
##「…あなた、待って。ホワイトチャペルってもしかして」
- 53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 23:30:38.38 ID:NdVfLd7z0
-
##「王様、じゃないかしら」
#「……あ」
#「ああぁあああぁああああッ!思い出した!!」
( ゚−゚)「どうも」
特に動じる様子も無く、チャペルはずいずいと家の中に入っていった。
( ゚−゚)「ダメだよ。殺人は、ダメ」
#「……聞いてやがったのか」
##「というよりも、何で王様がこんなところに…?」
( ゚−゚)「君たちは、後で10人以上の人を殺してしまう。
だから僕は、それを止めに来た。君たちと話し合いたい」
- 54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 23:31:32.81 ID:NdVfLd7z0
-
チャペルは夫婦に近づいて、男と女の目をしっかりと見た。
( ゚−゚)「お願いだから、殺さないでください」
そして、深々と土下座≠した。
##「えっ…ええっ!?ちょ、ちょっと、顔を上げてください!」
女はそう言ったが、男はふてぶてしい顔をしていた。
#「…残念だが、そのお願いは聞き入れられない」
( ゚−゚)「どうして?」
#「俺は国を恨んでいる。大量に税金を奪っていきがって、
自分達は贅沢な暮らしをしているんだろう?」
( ゚−゚)「それは違います」
#「どこが違うんだよ!俺達の金も奪っていきやがって、
俺達は金が無くてこの通りだ!!全部お前のせいだろう!?」
##「ちょっと、落ち着いてよ…」
- 55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 23:32:17.60 ID:NdVfLd7z0
-
女は、男を落ち着かせようとしたが、男は興奮するばかり。
#「息子だっているのに!!俺達にどうやって生活しろって言うんだよ!!
贅沢暮らししやがって、このクソが!!クソがあぁああ!!」
(;゚−゚)「違う。お金はちゃんと国のために使っています。
僕たちは、それに沿った生活をちゃんとしています」
#「うるせぇ!ならお金を返せ!金を出せ!!」
男は、台所にある包丁を持ってきて、チャペルに突き出した。
#「殺す、殺してやる、殺す!!」
##「ちょっと、興奮しすぎよ!いくらなんでも王様殺しちゃだめでしょう!!」
(;゚−゚)「待って、話を聞いて。殺しを思いとどめてください。
話を聞いてください。お願いします」
土下座していたチャペルは立ち上がって、男をなだめようとする。
だが、男の包丁を持つ手は、震えていた。
- 56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 23:33:41.95 ID:NdVfLd7z0
-
#「他にもっと良い人材がいるはずだ!!そいつらを王様にすればいい!!
こいつはもうダメだ、殺さないと!!」
男の言っていることは、殆ど妄想だ。
興奮しすぎて現実が見えなくなってしまったのだろうか。
と、男の包丁を持つ手が、
チャペルに振り下ろされた。
(;゚−゚)「!!」
けれど、チャペルはとっさに男の振りかざした包丁をかわした。
#「うわあぁああぁああああぁああああ」
男は、精神状態が元々良くなかったのか、
理性を失っていた。
あのとき殺人を起こしたときも、こんな状態だったのだろうか。
- 57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 23:34:44.29 ID:V53zR2tnO
- しえ
- 58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 23:34:53.60 ID:NdVfLd7z0
-
けどそのとき おんぼろだった家の柱は
傷みが限界に達していて
男があまりにも暴れていたため その限界は 限界を超えた
そして大きく軋む音が響いたかと思うと
天井が 落ちてきた
- 59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 23:35:38.62 ID:NdVfLd7z0
-
瞬間 その場の時間が止まった気がした
- 60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 23:37:01.26 ID:NdVfLd7z0
-
( − )「……ただいま」
チャペルは、元の世界に帰ってきた。
過去から現在に戻るため、時間はほんの少ししか経っていない。
だがチャペルは、確実に一年分の時間を体感していた。
それはとても気が遠くなるような話。
少し埃まみれだったが、しぃはチャペルの帰りを心から喜んだ。
(*゚ー゚)「おかえりなさい。チャペル君、上手くやったのね!
事件が無かったことになってるよ!皆生きてる!!」
けれど、チャペルは浮かない顔をしていた。
( − )「…しぃ」
(*゚ー゚)「なぁに?」
- 61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 23:37:54.10 ID:NdVfLd7z0
-
( − )「僕が…
( − )「本当に、僕が王様でいいんだろうか?」
(*゚ー゚)「えっ…」
- 62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 23:39:21.89 ID:NdVfLd7z0
-
チャペルは、しぃに先ほどの出来事を話し始めた。
話をつけてこようとしたが、包丁を振り下ろされたこと。
けれどその後すぐ、おんぼろ家の天井が落ちてきたこと。
チャペルは何とか逃げれたが、男女は家の屋根に下敷きになってしまったこと。
助けることすら、できなかったこと。
( − )「僕は…僕はただ…殺人をやめてほしくて…。
でも二人とも死んじゃって、僕には何もできなくて…」
(*゚ー゚)「………」
( − )「僕は貧乏な人々のために、何もすることができなかったんだ。
しかも殺人を止めるどころか、見殺しにしてしまった」
(*゚ー゚)「………」
( − )「僕はどうしたいい?僕は本当に王様なのかな?」
涙声のチャペルに、しぃはこう言った。
- 63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 23:39:56.29 ID:7/0jNWml0
- 支援
- 64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 23:40:28.39 ID:NdVfLd7z0
-
(*゚ー゚)「…二人の命を失ってしまったけど、罪の無い10人以上の人々を救った」
(*゚ー゚)「あなたは皆の王様なの」
(*゚ー゚)「私の、一番好きな人だから」
(*゚ー゚)「人が死ぬのはとても辛いことだよね。でも、くよくよしていられないよ」
(*゚ー゚)「だから、元気を出して」
しぃは、チャペルの手を握った。
とても暖かく、小さい手。
( − )
( ゚−゚)「……いつもしぃを慰める側なのに、今回は慰められちゃったな」
(*゚ー゚)「ふふっ…チャペル君はチャペル君だよ」
王という責任を逃れるわけにはいかない。
僕は王様なんだ。この世界の、王。
後ろを振り向けるのは、年に一度だけ。
今は、前を向くしかない。
- 65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 23:41:16.25 ID:NdVfLd7z0
-
( ゚−゚)「僕、二人の家に行って、花束を添えてくる。
しぃも一緒に来てくれるかな」
(*゚ー゚)「ええ、もちろん。行きましょ!」
チャペルは、庭に植えてあった虹色の花を数本摘んで、
それから他にも沢山花を摘んで、
ラッピングして、一つの大きな花束に仕上げた。
そして、小さな小さなおんぼろの家があった場所へと、
花束を添えに向かった。
- 66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 23:42:12.04 ID:NdVfLd7z0
-
[5.家]
364日の、あの日。二人の男女の命が消えた、あの日。
(,,゚Д゚)「…父、さん?母さん?」
ギコは、自分の家≠ノ帰ってきたはずだった。
はず、だったのに。
ここは自分の家のはずだ。それとも間違えたのだろうか。
なのにどうして、自分の家の屋根が、家を潰しているのだろうか。
どうして、そこから男女と思わしき手が見えるのだろうか。
どうして、沢山の人だかりが出来ているのだろうか。
まさか、まさか、まさか。
父親と母親は、どこだ。どこにいる。
(,;゚Д゚)「…え……」
- 67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 23:42:47.65 ID:NdVfLd7z0
-
(,;゚Д゚)「確か、父さんと母さんは、家の中に…」
(,;゚Д゚)「えっ…」
(,;゚Д゚)「…………嘘、だ…」
(,; Д )「…嘘だよ…」
(,; Д )「…嘘……だ」
- 68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 23:44:01.34 ID:NdVfLd7z0
-
(,,;Д;)「嘘だああぁああぁあああぁぁぁぁあああああああああ
ああああああああああああああああああああああああ
ああああああああああああああああああああああああ
ああああああああああああああああああ!!!!」
- 69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 23:44:14.91 ID:DR40hEeJ0
- しえ
- 70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 23:44:49.94 ID:NdVfLd7z0
-
女の手が、ころんと転がった。
『四話目 交響曲3』end
- 71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 23:46:20.54 ID:V53zR2tnO
- おつかな
- 72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 23:46:21.08 ID:NdVfLd7z0
- 交響曲3終わりました。どんどん暴いてきますよ。
支援本当に感謝です。
- 73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 23:46:36.87 ID:JZDhGyxq0
- 1乙