四話目 交響曲1
3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/15(木) 17:36:36.63 ID:wfA5nCPU0
『四話目 交響曲1』



[#.?]



―――――ピッ―――――


(,,゚Д゚)「………」

(,,-Д-)


―――ザー…ザザッ―――


(,,-Д-)

(,,-Д-)「誰も…いない」


(,,゚Д゚)「誰もいない」



4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/15(木) 17:37:30.23 ID:wfA5nCPU0


―――ザー…ザー…―――



(,,゚Д゚)「だ……れだ………誰だ」



―――ガッ…ザァー―――







(,,゚Д゚)「落としたのは、誰なんだ」








―――――プツン―――――



5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/15(木) 17:38:20.51 ID:wfA5nCPU0



[1.帰国]



大海原の、深い海。そこに沢山の人魚が泳いでいた。
その人魚達は水面に顔を出し、空の騎士を見つめてる。

空の騎士は、水面から空に向かって飛び出した。
小さな羽は、何故か大きな翼に変わっていて、
飛んでもあまり疲れないようになっていた。

海の国にお世話になった空の騎士。その空の騎士は別れを告げる。


( ^ω^)「お世話様でした」

('A`)「こちらこそ」

川 ゚ -゚)「空の女神にも、よろしく伝えておいてくれ」


海の戦士達も、空の騎士に別れを告げる。



6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/15(木) 17:39:05.97 ID:wfA5nCPU0


( ^ω^)「絶対やられちゃだめだお」

('A`)「何言ってんだ。俺もお前も、伝説≠フ騎士だろ?」

( ^ω^)「そうだおね」


大きな翼を羽ばたかせ、ひゅるり、ひゅるりと飛んでった。

自分の国へと、飛んでった。




('A`)「こんな戦い、意味なんてないのに」

川 ゚ -゚)「どうして戦わなければならないんだ」


守るために戦って、奪うために戦って。
人間がこの世にいる限り、必ず争いは起こる。
小さな争いでも、必ず起こる。



7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/15(木) 17:39:49.29 ID:wfA5nCPU0


('A`)「あれ?」


海の騎士は、考える。


川 ゚ -゚)「どうした?」


海の女神は、聞く。



('A`)「そう言えば俺、いつから伝説≠ニ呼ばれるようになったんだ?」


川 ゚ -゚)「そう言えば」




川 ゚ -゚)「何で、伝説になったんだっけ?」




('A`)「……いや」


8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/15(木) 17:40:26.24 ID:wfA5nCPU0










('A`)「……覚えて……い、ない…」




















9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/15(木) 17:41:56.82 ID:wfA5nCPU0

空の騎士は、国へと帰る。迷惑をかけてしまったと、
翼による体力消耗のことも忘れて、飛んで帰る。


( ^ω^)「早く帰って、皆に「ごめんね」を言うお!」


風が通る。
風の中を通る。
風が流れていく。
風は突き抜ける。
風は体に触れていく。

いつもの風。いつもの通り道。
けれど、どこからか違う風が、吹いてきた。


( ^ω^)「お?」


ひゅるるるり。ひゅるひゅるり。ひゅるるるり。
その風は、どこかへ通り過ぎていった。


( ^ω^)「気のせいかお」


まっすぐ国へと帰ってく。大きな翼を羽ばたかせ、愛しの国へと帰ってく。


10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/15(木) 17:43:40.42 ID:wfA5nCPU0




( ^ω^)「よっと」


やっと国へと戻ってきた。自分の愛した国へと。
大きな大樹が根付く国、空の国へと戻ってきた。


( ^ω^)「お!」


街角を見れば、あの花が咲いていた。
あの時、あの場所で植えた、あの花が。

(*゚ー゚)「だから騎士様、どうかこの花をあなたの国で育ててほしいのです。
    いつかきっと、綺麗に咲いてくれますから…」

凛と、綺麗で美しく、虹色の花は咲いていた。
まるで何かを包んでいるかのようなその花弁は、
一体何を守っているのだろうか。


( ^ω^)「さあ城へ戻るお」


凛と、花は風に揺られた。


11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/15(木) 17:44:27.09 ID:wfA5nCPU0




皆をビックリさせようと、こっそり城の窓から入り込む。
その窓に続くは、騎士の間だった。

そこには、空の女神がそわそわしながら立っていた。


( ^ω^)「ツン」


騎士のその言葉に、女神はビクリと体を震わせ、騎士を見た。


ξ゚听)ξ「ブーン…さま?」


次第に目には涙が浮かんで、女神はとうとう泣き出した。


ξ;凵G)ξ「…ブーン様?…ブーン様!ブーン様ぁ!!」


騎士は大きな翼をしまい、騎士の間へと降り立った。
すると女神は騎士の方へ走ってきて、騎士にしっかり抱きついた。



12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/15(木) 17:45:09.97 ID:wfA5nCPU0


騎士は大きな翼をしまい、騎士の間へと降り立った。
すると女神は騎士の方へ走ってきて、騎士にしっかり抱きついた。


ξ;凵G)ξ「どうしちゃったんですか大きな翼なんて生やして!
      もしかして本当に死んじゃったんですか!?」

(;^ω^)「そんなわけないお。よく見るお」

ξ;凵G)ξ「…ほんとだ、生きてる…生きてる、生きてる…!」


抱きついたまま、心臓の音を聞く。しっかりと騎士の心臓の音が聞こえる。


ξ;凵G)ξ「ちゃんと動いてます」

( ^ω^)「そりゃそうだお!ちゃんと生きてるから安心するお」


女神は涙をぐしぐしと拭いて、騎士から離れて、ちゃんと騎士の目を見た。


ξ゚听)ξ「騎士様、お帰りなさい!」





13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/15(木) 17:45:45.09 ID:wfA5nCPU0

[#.?]



川 ゚ -゚)「どくおー、おとなになったらけっこんしよう」

('A`)「…くー、それおとこのひとがいうセリフだよ」

川 ゚ -゚)「そうなのか?」

('A`)「そうだよー」

川 ゚ -゚)「そうなのかー」

('A`)「じゃあ、おれがいうね」


('A`)「くー、おとなになったら、おれとけっこんしてください」


川 ゚ -゚)


川*゚ -゚)「もちろんだ」


(*'A`)「……えへへ。きれいなはなだね」

川*゚ -゚)「…うん」

14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/15(木) 17:46:40.91 ID:wfA5nCPU0



―ピッ―



ξ;凵G)ξ「うぇぇぇえええぇぇえぇん」

(;^ω^)「ツンちゃん、ツンちゃん、泣いちゃだめだおー」

ξ;凵G)ξ「だぅ…だっ…だってぇ」

( ^ω^)「おおきくなったらまもるから、ぼくがまもってあげるから」

ξ;凵G)ξ「…ホント?」

( ^ω^)「ホントだお。けがはすぐなおるお。だからわらってお!」

ξ;凵G)ξ「ぐすっ…」


ξ--)ξ


ξ゚听)ξ「わかった。ブーンくんがまもってくれるなら、なかない」

( ^ω^)「わらってるツンちゃんがだいすきだお」


15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/15(木) 17:47:19.57 ID:wfA5nCPU0


ξ*゚听)ξ

ξ* )ξ


( ^ω^)「どしたの?」

ξ* )ξ「…なんでも、ない。なんでもないよ」

( ^ω^)「そうかお」

ξ* )ξ「……あたしも」

( ^ω^)「?」


ξ* )ξ「あたしも、ブーンくんがだいすき」


( *^ω^)「……おっ…」




16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/15(木) 17:47:53.28 ID:wfA5nCPU0




―ピッ―




(,,゚Д゚)「……」

(,,-Д-)

(,,-Д-)「………さびしくなんか、ない」


(,,-Д-)「……さびしくなんか、ない…ぞ………」





―ガシャン―








17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/15(木) 17:51:00.56 ID:wfA5nCPU0


[2.奇襲]



いつになく慌しい海の国。
闇の国が、奇襲をしかけてきたのだ。
あれだけ宣戦布告しておいた闇の国が、
あれだけ協力するなと言っていた闇の国が。


(;'A`)「くそっ…こんなときに攻めてきやがったのか!!」

川;゚ -゚)「ドクオ、あいつら絶対に知恵≠潰そうとしている」

(;'A`)「だろうな…。おい皆!急いで戦の準備をしろ!!」


空の騎士が国へと帰っていった後、闇の国が海の国に攻め入ってきていた。
海の国は慌しくなる。


川;゚ -゚)「騎士よりも国よりも知恵≠潰しにかかってくるとは…。くそ!」

(;'A`)「戦士達!!海王様の洞窟へ急げ!!急ぐんだ!!」


こんなに早く攻めてくるとは思わなかった。
空の国と戦っていたばかりのはずなのに、もう立て直したのだろうか。

18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/15(木) 17:51:34.99 ID:wfA5nCPU0

あいつらは、知恵≠ニ力≠欲しがっているものかと思っていた。
そうでなければ、この二つの国と争う理由が無くなってしまう。
その欲に駆られ、海と空の国を独裁しようとしているのかと思っていた。
けれど、その考えは間違っていたのか。


(;'A`)「あいつらは知恵≠ェ欲しかったんじゃないのか!?」

川;゚ -゚)「その知恵≠潰しに来てるんだ、一体どうなっている!?」


戦士達は一斉に洞窟へと向かっていく。
騎士と女神も、人魚に変わって、海王の洞窟へと向かっていった。


泳ぐ、泳ぐ、必死に泳ぐ。今までに無い速さで、泳いでく。

ただただ無我夢中で泳いでいく。

泳いで、泳いで、泳いで、泳いで、泳いで。




やっと、洞窟に辿り着いたとき。





19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/15(木) 17:52:05.21 ID:wfA5nCPU0









―…騎士よ、来て…くれたのだな…。







大きな大きな洞窟の、ずっとずっと奥深く。





そこには傷だらけの、巨大な龍が沈んでいた。







20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/15(木) 17:52:37.70 ID:wfA5nCPU0






―すまないな…老いぼれには、なにもできなかった…。
 すまない、本当に、すまない…。



('A`)「海……王…様………?」




血が、海に交じり合う。

真っ赤な血が、海王の周りに漂っている。

海の青と、血の赤が混ざり合って、濁っていく。


血が漂っているその周りには、幾つもの魚の死体が浮いていた。

その中に傷だらけの鯨と鮫の死体があった。

きっと海王を守りにきて、やられてしまったのだろう。



21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/15(木) 17:53:20.86 ID:wfA5nCPU0



('A`)「…これは、戦争、なんだよな?兵と兵とを戦わせる…戦なんだよな?」

川 ゚ -゚)「それなのに…これは、一体何なんだ、何なんだよ」



濁った海。血の海。

戦士達は唖然としたままで。

騎士と女神は怒りに震えた。



そこに、闇の騎士と闇の女神がいた。



(,,゚Д゚)「ハロー」



言葉は、あまりにも素っ気無かった。





22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/15(木) 17:54:14.66 ID:wfA5nCPU0


[3.壊れてく]



何なんだ 何なんだ 今までのあの出来事は 何だったんだ
これが夢なのか 昔が夢なのか 全て現実なのか

(,,゚Д゚)「じっくり国と戦っていこうと思ったが」

誰だこれは 騎士は誰だ 女神は誰だ

(,,゚Д゚)「あいつが言ったんだ。そんなことする必要はない≠ニ」

戦争はどこだ 犠牲はどこだ
誰がどうなって どれが誰なんだ

(,,゚Д゚)「あいつが言ったから俺は従う。あいつが言えば俺が従う」

あいつって誰だ 何者だ

あまりにも突然すぎて



わけがわからない




23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/15(木) 17:54:54.80 ID:wfA5nCPU0

(,,゚Д゚)「あいつが言ったから、俺は戦いを挑むと決めたんだ。
    だけどあいつ、必要ない≠ニ言った。だから戦はもうやめだ」


だれだ



(,,゚Д゚)「ごっこ遊び、だったってことか?」



だれだ



なんだ これは なんなんだ いったい




あいつって

だれだよ






24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/15(木) 17:55:27.56 ID:wfA5nCPU0





二つの国がありました 空の国と海の国がありました

空の国は 空中庭園と呼ぶに相応しい国でした

海の国は 海底都市と呼ぶに相応しい国でした



―あるとき不思議な二つの剣 二つの国に落っこちて

―二つの剣が認めし二人 国を治める騎士となる


―あるとき不思議な二つの楽器 二つの国に落っこちて

―二つの楽器が認めし二人 騎士を支える女神となる





25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/15(木) 17:56:01.33 ID:wfA5nCPU0



けれどもあるとき 二つの剣と二つの楽器ではない

もう一つの剣と もう一つの楽器が現れた

それを手に取った二人の男女 二つの国と争った

二つの国のその間には もう一つの国ができてしまった





空に浮かぶ国 海の底の国 どちらでもない国

どこかの国の どこかに伝わる 誰かのおはなし







それは、どこに伝わる、誰のおはなし、なんだ?





26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/15(木) 17:56:45.22 ID:wfA5nCPU0


[#.?]




―――――ピッ―――――



(,,゚Д゚)「もう待ちくたびれた。早く終わらせないと」


(,,゚Д゚)「けどどうやって?」


(,,゚Д゚)「分からない」



(,,゚Д゚)「……帰ってママに甘えて、準備してりゃいいんだ≠ゥ…」






27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/15(木) 17:57:23.79 ID:wfA5nCPU0










一輪の花は……ら、ら、ら。







―――――プツン―――――










『四話目 交響曲1』

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