以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/05/02(日) 23:54:32.44 ID:gPY8TrJ30<> 本当に遅れすぎました。申し訳ありません。
もう忘れ去られてるのではないかと思いましたが、とにかく完結までは書こうと思います <>( ^ω^)は望遠鏡で直接太陽を見てしまったようです 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/05/02(日) 23:55:13.34 ID:gPY8TrJ30<>
川 ゚ -゚)「うーむ。酷い、以外に言葉が見つからん」

血濡れの床の上に立つ少女。
ぴちゃり、ぴちゃり、と、水音を立てながら歩くその姿は、小学生とは思えないほど大人びた容姿と相まって、不思議な美しさを醸し出している。

川 ゚ -゚)「む、あったな」

探していた物と、少女の冷たい瞳が、1つの線で交わる。
スカートの裾が血で濡れることも厭わず、少女はその場にしゃがみこんだ。

( 、 川

川 ゚ -゚)「……これ、だよな?」
<> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/05/02(日) 23:55:14.24 ID:q7wXUyQ4O<> 書かなくていいよ <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/05/02(日) 23:55:52.63 ID:q7wXUyQ4O<> 誰も読まないよ <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/05/02(日) 23:56:14.57 ID:q7wXUyQ4O<> ブログでやっとけ <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/05/02(日) 23:56:57.50 ID:gPY8TrJ30<>
血の海と同化していたかつての友人を見やり、少女は一瞬自信をなくした。
体のあちこちを無残に破壊されたその姿と、元気の溢れる笑顔で走り回っていたかつての姿が、まるで重ならなかったからだ。

川 ゚ -゚)「まあ、お前だということにしておこう、ペニサス」

独白し、血に浸された黒髪を、そっと撫でる。
艶やかな手触りはまだ失われておらず、その感触は少女の記憶を呼び起こした。



昼休み終了のチャイム、発信源不明の悲鳴、凄まじい爆発音の三重奏が、3年3組の教室に響き渡る。
いくつもの足音がこちらへ向かってくるのを聞きながらも、少女は冷静に次の授業の準備をしていた。

(;・∀ ・)「やばいやばいやばい! なんか変なやつがいる!」

2つ隣のクラスへ遊びに行っていた男子が、額に汗を滲ませながら走りこんできた。
少女は顔を上げて廊下の方を見る。何かが飛んできた、と思ったときには、もう異変は始まっていた。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/05/02(日) 23:58:03.13 ID:q7wXUyQ4O<> 誰も読まないよ
自意識過剰だよ <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/05/02(日) 23:58:58.61 ID:gPY8TrJ30<> 三●   (;・∀ ・)「マジで、やば――――」

冷や汗を垂らしながら、ぜえぜえと苦しそうに息を吐いていた彼の頭は、飛んできた何かによって消し飛ぶ。
一瞬の間をおいて、元々首があった場所から、破裂した水道管のように、血が噴き出した。

今度の悲鳴は、発信源が明確にわかった。

いついかなる時でも冷静さを失わず、無表情を保っている彼女でさえ、一瞬固まってしまったのだから、無理もないだろう。
教室の中は大混乱に陥った。
廊下へ飛び出る野次馬たち。
腰を抜かしてへたり込む者たち。
窓を開けて、逃げ道を確保する者たち。
耳をつんざく悲鳴で我に帰った少女は、自分の机に座ったまま、慌てふためくクラスメイトたちを観察していた。

廊下へ集まる生徒を主に観察していた少女の目に、長い黒髪を振り乱しながら走る、親友の姿が映った。
少女の存在を確認すると、今にも泣き出しそうな表情で、しかし堂々とした足取りで、歩み寄ってきた。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/05/03(月) 00:00:23.09 ID:OfMnio7j0<> ('、`*川「クー! あんた何やってんのよ! 逃げるわよ、隠れるわよ、あああああ早く! 早くしないと!」

少女の胸元を掴んで揺さぶりながら、ペニサスは吠えた。

((川 ゚ -゚)))「逃げろと言われてもな。せめて何が起こっているのか確認してからでも」

('、`*川「それじゃ遅いのよぉぉぉぉ! 早くしないと殺される!」

痺れを切らしたらしいペニサスは、胸元を掴んでいた右手一本で、クーを強引に立ち上がらせる。
この華奢な体のどこにそんな力があるのかとクーが考えている間も、ペニサスは彼女を引きずりながら、ズカズカと早歩きで教室を進む。
ペニサスは教室の後ろで乱暴に止まると、掃除用具を入れる、ロッカーの扉をバカンと開けた。

川 ゚ -゚)「おい、何をするんだ?」

自分を掃除用具入れの中へ強引に押し込もうとするペニサスに、クーは問いかける。

('、`*川「いいからいいから! こういうときに隠れられる場所は教卓かロッカーの中って相場が決まってるのよ!」

川 ゚ -゚)「じゃあ、お前は」

('、`*川「私はいいから! 静かにしとくのよ!」
<> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/05/03(月) 00:02:29.87 ID:2uIE9AhYO<> おかえり支援! <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/05/03(月) 00:02:50.98 ID:OfMnio7j0<>
川 ゚ -゚)(別に、どうでもよかったんだが……)

逃げるつもりも隠れるつもりも全くなかったクーは、モップや箒に囲まれながら考える。
出よう。2秒後に、彼女がそう決断を下した瞬間だった。

「いやあああああ」

扉の向こうから聞こえてきた、恐ろしいほど生々しい悲鳴。
その悲鳴が2秒前に聞いた声と似ていたことと、途中で不自然に途切れたことが、クーの心をかき乱す。
彼女が常に身に着けていた鉄仮面。それが今、初めて崩れ去った。
クーは両腕で、力強く扉を押す。いや、押そうとした。

川;゚ -゚)「ペニサ――」

クーの手が扉に触れる、その一瞬前。凄まじい爆発音が彼女の両耳を急襲した。
至近距離で打ち上げ花火をぶっ放されたような爆音を受け、もう遅いのだが、クーは両手で耳を塞ぐ。
彼女の耳はちゃんと機能しているのかかなり怪しい状況だ。それでも、パラパラと木片が落ちる音を聞き取った。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/05/03(月) 00:03:54.13 ID:8yfr53P50<> 待ってた!!!支援!!! <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/05/03(月) 00:05:03.55 ID:OfMnio7j0<> 川;゚ -゚)(一体何が起こっているんだ!? ペニサスは、ペニサスは無事なんだろうか……?)

ロッカーの薄い扉の向こうでは、気が狂いそうになるほど、悲鳴が飛び交っている。
そしてその悲鳴のほとんどが、ブツリと途中で途切れるのだ。
再生中の音楽プレーヤーの停止ボタンを突然押したかのように。
人体の停止ボタンが、何者かによって押されている。クーはそう感じた。

川;゚ -゚)「ペニサス!」

自分の身が危険に晒される――クーの頭の中に、そんな考えは塵1つ分もなかった。
彼女は目の前の扉を強く押した。薄暗いロッカーの中に、かすかな光が流れ込んでくる。彼女は足に力を込めた。
間に合わなかった。
何か相当な質量を持つ物体が、クーのいるロッカーの方へ飛んできたからだ。
開きかけていたロッカーの扉に、物体が激突する。バタンと音を立て、扉は再び閉まった。
何かが飛んできたのに気付かなかったクーは、突然閉まったドアに驚いて、ロッカーの中で尻餅を付いてしまった。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/05/03(月) 00:05:57.32 ID:WqVfvYcH0<> まさかの帰還wwww超支援
<> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/05/03(月) 00:06:05.32 ID:8yfr53P50<> ぺニサス・・・支援 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/05/03(月) 00:06:36.06 ID:yN/FBez40<> うおお!本物か!支援! <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/05/03(月) 00:07:04.15 ID:OfMnio7j0<>

ベキッ。


彼女の耳は、さっきの爆音を聞いてから、調子がおかしい。しかし確実に、この音を聞いた。
痛む尻をさすっていた彼女の頭上から、何かが破壊されたことを知らせる、乾いた音が降ってきた。
彼女は慎重に、長い時間をかけて、顔を上に向ける。
オレンジ色の腕――と、思しき物――が、ロッカーの壁から突き出ている。
薄暗くてよく見えなかったが、その先端が血でびっしょりと濡れているのを、クーは確認した。

川;゚ -゚)「…………ッ、…………」

それを度胸と言うべきかどうかはともかくとして。
クーはゴキブリを素手で掴んで投げ捨てることが出来る心臓を持っている。
そんな度胸を持った心臓でさえ、今は激しすぎる自己主張を続けていた。
刺さった腕が引き抜かれるまでの数秒間、クーはへたり込んで、オレンジ色の腕を注視するしかなかった。
<> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/05/03(月) 00:09:13.72 ID:OfMnio7j0<>

辛うじて原形をとどめていた友人の頭を、クーはそっと撫でる。

川 ゚ -゚)「『私はいいから』……って、お前の口癖だったよな」

しばらくの間、友人の暗い目を見つめていたクーは、ゆっくりと立ち上がった。

川 ゚ -゚)「敵討ち――なんて、ガラじゃないが」

クーは友人の亡骸に背を向ける。

川 ゚ -゚)「せめて、何があったのかくらいは……確かめさせてもらうよ」

誰もいない教室に、その言葉だけを残して、彼女は歩き始めた。
彼女はもう振り向かない。
無くしたものは2度と帰ってこない。この事実を、彼女はしっかりと受け止めていた。

川 ゚ -゚)「しかし本当に……余計なことをしてくれた」


<> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/05/03(月) 00:11:12.23 ID:OfMnio7j0<>




川 ゚ -゚)「おかげで、死にそびれてしまったじゃないか」









動脈と垂直に交わっている、いくつもの傷跡は――彼女が味わった絶望が、どれだけ辛いものであったかを表していた。




( ^ω^)は望遠鏡で直接太陽を見てしまったようです 第3話



<> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/05/03(月) 00:13:09.69 ID:OfMnio7j0<>

川 ゚ -゚)(うーむ、何があったんだろうか)

腕を組み、下を見ながら、クーは早足で歩く。

川 ゚ -゚)(不審者の侵入……? たとえ小学生とは言え、人間の腹を素手でぶち抜くなんて、無理だろう)

ロッカーの前に倒れていた、かつてのクラスメイト。顔は破壊されていて、男子だということしかクーにはわからなかった。

川 ゚ -゚)(あの死体は、腹と背中に大きな穴が空いていた。ロッカーの壁をぶち抜いたあの腕にやられたのだろうが……)

ぶつぶつと独り言を呟きながら、顔を床に向けてクーは歩いていく。
彼女は前を見ていなかった。

川;゚ -゚)「地球外生命体……? いやそんな非科学的nぬぉぉっ!?」

何も考えず、彼女が左足を踏み出した場所には、床がなかった。
残された右足による必死のバックジャンプで、どうにか落ちることは免れた。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/05/03(月) 00:15:03.29 ID:OfMnio7j0<>
川;゚ -゚)「そんなバカな、歩いている途中に地面が消失するなんてバカなことがあるわけない」

言ってから、クーは笑いがこみ上げてくるのを感じた。
数分前のことを考えれば、もはや何が起こってもおかしくはないはずだと、自嘲的に笑う。
しかしその笑いは、目の前の光景を見た瞬間消し飛んだ。

川;゚ -゚)「ここ……3-1の教室……だよな?」

クーは後ろを振り返る。3-2の教室も、3-3の教室もある。
目の前を見る。青い空と、白い太陽と、グラウンドが見える。
後ろを見る。3年2組と3年3組の教室が見える。
前を見る。下の方に図工室が見える。

川;゚ -゚)「…………えーと」

3年1組の教室は、なかった。
教室は文字通り消え去っていて、外の様子がはっきりと見える。
さらに廊下の床もきれいさっぱりなくなっていて、3年1組の真下にある、図工室の内部が見えた。

川;゚ -゚)「……………………」

クーはもう立ち尽くすしかなかった。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/05/03(月) 00:15:43.17 ID:WqVfvYcH0<> しえん <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/05/03(月) 00:17:33.40 ID:OfMnio7j0<>
从 ゚∀从「とりあえず……全員無事らしいな」

( ´_ゝ`)「ねぇなんで? なんで俺から露骨に目を逸らすの? 遊んでくれないと坊泣いちゃうぞ?」

(´<_` )「お前が泣いても湯婆はこないよ」

从 ゚∀从「触るなよ弟者」

(´<_` )「イエスマム」

( ´_ゝ`)「いじめかっこわるい」

从'ー'从「この畑、土がやわらかくて助かったね」

ところ変わって、この4人が今いる場所、それは――畑。
彼らの1学年上、4年生がいろいろな野菜を栽培している畑だ。
この畑は、2階にある3年1組教室の、すぐ下にある。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/05/03(月) 00:19:07.59 ID:OfMnio7j0<>
(´<_` )「やれやれ……まさかハインのあんな話が役に立つ日が来るなんて……」

長ズボンの土を払い落としながら、弟者がため息と共に呟いた。

从 ゚∀从「俺を誰だと思ってんだ? 天才ハイン様だぜ?」

得意げに胸を突き出し、右手の親指で自分の顎を差すハイン。
口からナスを吐き出した兄者は、ハインと渡辺をそれぞれ交互に見た。主に胸を。

( ´_ゝ`)「お前ってやっぱり胸ないよな。そうやって突き出してるとよくわかる」

ハインの正拳突きは兄者の鼻をピンポイントでぶち抜いた。

从 ゚∀从「小3が小3にそんなこと言ってるんじゃねぇよバカ。俺はこれからだこれから」

兄者のセクハラ発言に、ハインは胸を抱え込むようにして、1歩身を引いた。
抱え込むほど大きくないだろ……と言いかけた兄者を、鬼のソバットが襲う。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/05/03(月) 00:21:20.93 ID:OfMnio7j0<> ( ´_*`)「まぁ……しかし……だ」

鼻血をハンカチで拭きながら立ち上がると、兄者は昔母親に言われたことを思い出し、腕を組んで下を向く。

( ´_ゝ`)「頭が良くても、どこかネジが外れたようなやつがいたら、そいつは間違いなく天才だ……」

兄者は顔を上げ、ハインの顔をまじまじと見る。そして、どこか納得したような口調で言った。

( ´_ゝ`)「やっぱり、お前って天才だよなー」


<兄者の回想>


( ´_ゝ`)「あのさーハイン」

从 ゚∀从「なんだ? 恋愛相談なら笑いながら聞いてやれるぞ」

( ´_ゝ`)「もし学校に爆弾が仕掛けられたりしたらどうすればいいの?」

从 ゚∀从「スルーしやがった。滅んでしまえ」

( ´_ゝ`)「俺の話は大抵スルーするのに……とにかく、学校の屋上とかに爆弾仕掛けられたらどうすりゃいいの?」

从 ゚∀从「いや、屋上に爆弾設置とかアホの極みじゃん」 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/05/03(月) 00:21:43.65 ID:xmDkKjhV0<> ( ´_ゝ`)兄者ってこれじゃね?
勘違いだったらスマン
支援 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/05/03(月) 00:23:05.28 ID:8yfr53P50<> しえんん!
<> >>26<><>2010/05/03(月) 00:24:46.45 ID:OfMnio7j0<>
( ´_ゝ`)「なんで?」

从 ゚∀从「爆風ってのはな、普通上と横に広がるもんなんだ」

(´<_` )「そうなのか」

从 ゚∀从「だから屋上なんかに設置されてもほとんど被害は出ない。屋根が壊れる程度だな」

(´<_` )「銃声や爆発が起きた時、ドラマとかでよく『伏せろ!』って言ってるのも、そういう理由?」

从 ゚∀从「間違っちゃいない。手榴弾が投げ込まれた時も、ある程度距離をとって伏せていれば、被害はかなり抑えられる」

从 ゚∀从「銃声がした時なんかは、的にならないようにするためってのもあるな」

从 ゚∀从「ただ突っ立ってるだけの奴と、地面に伏せて体を低くしてる奴……どっちが狙われやすいか、わかるだろ?」

( ´_ゝ`)「へー……じゃーもし教室に爆弾を仕掛けられたりしたら、1階へ逃げればいいのか」

从 ゚∀从「まぁ、素人が下手に解体しようとするよりは、マシな対策だろ。逃げる時間があるとは思えねえけど」
<> >>26とりあえず、今回はこのまま通させてください<><>2010/05/03(月) 00:25:42.09 ID:OfMnio7j0<>
(´<_` )「ふーん……ハインって賢いんだな」

从*゚∀从「う、うるさい。誉めたってなにも出さないよ?」

( ´_ゝ`)「マジで天才かもしれねーな、お前」

从 ゚∀从「……るせーやい。あとはまぁ、3文字だからとっさに叫びやすいってこともある」

(´<_` )「なんでも知ってるな、ほんと」

从*゚∀从「い、いや、そんな」

( ´_ゝ`)「………………」


</兄者の回想>


脳内にいたハインから、現実世界のハインに、兄者は視線を戻す。
自分の言ったことを肯定するように、彼は何度もうなずいた。
<> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/05/03(月) 00:27:01.10 ID:OfMnio7j0<>
从 ゚∀从「うるせー! わかりきったこといちいち言ってんじゃねー!」

鋭いハイキックが空気を切り裂き、兄者の顔面を直撃した。横で見ていた渡辺と弟者が、うわぁと顔を歪める。
畑の柔らかい土の上へ倒れこむ兄者の、ちょうどその後頭部あたりに、複数のミニトマトが落ちていた。

(#´_*")「おかしい……俺今なんかまずいこと言った……?」

鼻からは大量の血を流し、後頭部ではよく熟したミニトマトが潰れている。
とても悲惨な状況だなと苦笑しながら、弟者は兄者を見た。

(´<_` )「…………。大変だな、兄者も」

少し見ただけでは、寝ているのではないかと疑われるような、細い目。
その目の中にあったのは、散々痛い目にあった兄への、哀れみ。

( ´_ゝ`)「そう思うなら変わってくれ。このままだと俺の寿命がハインでマッハ」

(´<_` )「ははは。痛い目はごめんだね」 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/05/03(月) 00:29:11.29 ID:OfMnio7j0<>
その他にもう1つ。弟の黒目の中に沈んでいた感情を。
真っ赤になったハンカチで後頭部を拭く兄は、読み取ることができなかった。


从'ー'从「これからどうするの〜? 逃げちゃう?」

3人のやりとりを微笑みながら見ていた渡辺が、口を開く。
禍々しい力が、弱き者を蹂躙する、虐殺の現場に立ち会っていながらも。
その口調はいつも通り穏やかで、焦りなど微塵も感じられなかった。

从 ゚∀从「逃げてもなぁー……。なんだよあいつ。映画の撮影かなんか?」

( ´_ゝ`)「あんなコスチューム、今時B級ホラー映画でも使われないと思うぞ」

悪魔のオレンジ色の腕に、心臓を貫かれるクラスメイトを、彼らは見ていた。
アニメやゲームの世界にしかなかったはずの魔法を、いとも簡単に使う悪魔を、彼らは見ていた。
小さな火の玉が、親しかった友達の上半身を消し飛ばすのを、彼らは見ていた。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/05/03(月) 00:29:14.95 ID:8yfr53P50<> しえん <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/05/03(月) 00:31:01.61 ID:OfMnio7j0<>
それなのに。


(´<_` )「なんか自衛隊でも勝てる気がしない」

从 ゚∀从「だよなぁ。モップ溶けてたしな」

从'ー'从「飛び道具も着弾した瞬間溶かしちゃうんじゃない?」

( ´_ゝ`)「すげーチート性能」

彼らは、本当に落ち着いている。
命の危機が目の前に迫っているのに、発する言葉はほどよい冷たさを含んでいた。
このような状況でも、冷静さを失っていない。教師ですら卒倒するようなこの状況で、だ。
彼らは、本当に落ち着いていた。そう見えた。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<>sage<>2010/05/03(月) 00:31:32.45 ID:pLJNuSf40<> 支援 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/05/03(月) 00:32:24.55 ID:WqVfvYcH0<> SHI☆E☆NN <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/05/03(月) 00:33:26.90 ID:8yfr53P50<> しえん <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/05/03(月) 00:33:40.98 ID:OfMnio7j0<>





( ´_ゝ`)「じゃあ、戦おうぜ!」









――本当は、壊れていただけなのかもしれない。

<> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/05/03(月) 00:35:23.10 ID:OfMnio7j0<>

ξ )ξ

( -∀-)「生きてる……よな、俺ら」

( -ω-)「うん……生きてるお……」

青いタイルが床を覆う、かぐわしい香りのする2階男子トイレ。
爆発でしばらく意識を飛ばしていた彼らは、現実世界に戻ってくると、深呼吸をした。トイレで。

( ;・∀・)=3「――ぶっはぁ!」 

( ;^ω^)=3「僕らはまだ生きてるお!」

縦に。横に。斜めに。3年1組の教室に張り巡らされた、緊張の糸。
いつもの平穏な学校生活とは違う。一瞬でも気を抜けば、天国行きの船が動く。
そんな状況に必死で抗っていた小学3年生たちは、今始めて一息ついた。トイレで。
<> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/05/03(月) 00:36:04.28 ID:pLJNuSf40<> 支援 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/05/03(月) 00:37:14.77 ID:OfMnio7j0<>
( ・∀・)「ツンちゃん……生きてるよな、それ?」

ブーンの腕の中でぐったりしているツンデレを見て、一瞬不安になったモララー。
その細い手首を、ブーンの大きな手が包む。確かな鼓動を感じて、彼は力強く頷いた。

( ^ω^)「たぶん気絶してるだけだと思う、生きてるお」

( ・∀・)「そうか。良かった」

小さな胸がゆっくりと上下しているのを見て、モララーも口元を綻ばせる。
だがその直後彼は、裁縫の途中に針で指を突いた時のような、なんともいえない表情を浮かべた。
大きくはない傷口。大事にこそ至らないが、確かな痛みを訴える。

( ・∀・)「後は、ドクオだけか……」

体の力を抜いていても、モララーは常に、頭の片隅で計算を続けている。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/05/03(月) 00:37:16.43 ID:8yfr53P50<> しえん <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/05/03(月) 00:39:37.14 ID:OfMnio7j0<>
( ;・∀・)(成績も身体能力も中の下、秀でた特技もなし)

回転の速い頭脳が、かえってモララーを苦しめる。
普通の人間なら思いつかないようなことまで、ありとあらゆる可能性をシミュレートしているのだ。
当然、彼の脳裏に浮かぶ『最悪の状況』は、一般人よりもはるかに多くなる。

( ;・∀・)(生きててくれよ……!)

モララーは勢いよく立ち上がった。ブーンもそれに続く。

( ^ω^)「行くの、かお?」

ツンデレを抱きかかえたまま、ブーンはモララーに問う。

( ・∀・)(そうだ……俺はリーダーだ、リーダーなんだ。背中を見せなきゃ、ダメなんだ)

自分にそう言い聞かせながら、モララーは答えた。

( ・∀・)「あぁ」

それだけ言って、モララーはトイレを出た。ブーンもそれに続いてトイレを出た。
2人の足取りには、かすかな重さが感じられる。
精神的にも、体力的にも、彼らは疲労を蓄積していた。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<>sage<>2010/05/03(月) 00:39:50.59 ID:pLJNuSf40<> 支援 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/05/03(月) 00:39:54.35 ID:8yfr53P50<> しえん <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/05/03(月) 00:41:06.15 ID:OfMnio7j0<> ( ^ω^)(……………………)

だが、前にモララーがいるかぎり、ブーンは絶対に止まれない。いや、止まってはいけなかった。
彼が目的を持って歩き続けているのだ。自分が止まって、彼を煩わせるわけにはいかない。

(――いいわけねえだろうが! バカなこと言ってるんじゃねえ!)

(――誰も、……誰も気にしない!? ふざけんなよ! ちゃんと前見てしゃべれ!)

(――お前本気でそう思ってんのか!)

『恩』はわずかな重みとなって、ブーンの足にまとわりつく。


( ・∀・)(止まるな、止まるな、俺は背中を見せ続けなきゃならないんだ)

モララー本人も、それをわかっているせいで。迷うことが許されなかった。
<> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/05/03(月) 00:43:33.29 ID:OfMnio7j0<> そもそもドクオを探してなんになるんだ?
あの悪魔に、VIP小学校の生徒は皆殺しにされてしまうのではないか?
ならば今すぐ逃げるべきではないのか? 自分の行動に意味はあるのか?

秀才モララーといえど、まだ子供なのだ。こんな異常な状況に置かれて、迷い悩まない方がおかしい。
『責任』は軽いのに硬い鎖になって、モララーの足に絡みつく。歩くたび、『責任』という鎖は音を立てた。

俺についてくる人がいるんだ、1秒でも迷うわけにはいかない。
でも俺の考えが間違っていれば、皆は俺のミスに巻き込まれて死ぬ。
決して表情には出さないが、モララーの思考は泥沼へ沈んでいく――

( ;^ω^)「モララー! そっち危な」

( ;・∀・)「おぅわぁっ!」

さっき悪魔が引き起こした爆発によって、2階の廊下は崩れかけている場所がいくつもあった。
考え事をしていたせいだろう。モララーが右足を置いた瞬間、崩落寸前だった床は彼の体重によって崩れた。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/05/03(月) 00:44:20.52 ID:pLJNuSf40<> 支援 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/05/03(月) 00:45:17.65 ID:OfMnio7j0<>
ドスン!

( ;^ω^)「モララー! 大丈夫かアッー!」

派手な音をたてて落下したモララーを心配して、ブーンはモララーが落ちた穴へ駆け寄った。
小学3年生の平均値を軽く上回る体重を持っていたブーンのせいで、わずかに残っていた部分さえも崩れた。

ドバターン!

( ;・∀・)「おーいて……大丈夫か?」

床で打った腰をさすりながら、モララーは悶絶しているブーンに聞く。

(  ω )「………………なんとか」

高めの運動神経を持つブーンは、落下の瞬間、とっさにツンデレを庇った。
しかしそのせいで、彼は尻をしたたか打つことになってしまった。
<> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/05/03(月) 00:47:08.28 ID:OfMnio7j0<> ( ;・∀・)「えーっと、ここは……図工室の外か?」

あたりを見回すモララー。ブーンも尻を撫でながら立ち上がろうとする。

( ;^ω^)「落ちた場所を考えると、そうじゃないk」

ブーンの言葉は途中で途切れた。

( ・∀・)「? どうしt」

振り返ったモララーの言葉も途中で途切れた。


( ;^ω^)( ;・∀・)


ブーンは中腰のまま止まっていて、モララーも振り返ろうとした動作の半分くらいで止まっている。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/05/03(月) 00:49:06.57 ID:OfMnio7j0<>




(´・ω・`)





垂れ下がった眉と、恐ろしく機嫌の悪そうな顔が印象的な男子――ショボンが、そこに立っていた。
……鈍く光る、見るからに切れ味MAXな日本刀を、中段に構えて。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/05/03(月) 00:51:06.35 ID:OfMnio7j0<>
剣の道に精通していない小学3年生のブーンでも、わかった。

( ゚ω゚)(アレ絶対マジもんだお! ヤバイお! 今すぐ切り捨て御免とか言いそうだお!)

( ;・∀・)(テンパるなブーン! 何かないか何か!? 日本刀を防げそうな物……あるわけねぇぇぇぇ)

内心ではもの凄く焦りつつも、動いたら斬られると思った2人は、中途半端な体勢のまま1mmも動かずに静止している。

(´・ω・`)「違う……みたいだね」

( ゚ω゚)

( ;・∀・)「……はい?」

固まっているブーンを見ながら、モララーはどうにか声を絞り出した。

モララーやブーンと比べると、少し低い声。
身長はそう高くない……はずなのだが、自分より大きく見える。モララーはそう感じた。
その理由は、背筋を真っ直ぐ伸ばしているからだろう。姿勢が良いのだ。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/05/03(月) 00:53:04.13 ID:OfMnio7j0<>
( ゚ω゚)(普通に見ると優等生っぽいお……でもなんでそんな人がポン刀片手に学校を徘徊してるんだお!?)

( ;・∀・)(いやまぁ、いやまぁあんな悪魔が出てきた時点で常識なんて崩壊してるけどさ!)

勝手に現れた、あのファンタジーの世界にいるような悪魔とは違う、あんな非常識な事態とは違う。
「刃物を持ったサイコ野郎」という、非常識といえばそうだが、あの悪魔に比べればまだ可能性としてはありえる状況に、2人は身震いした。

(´・ω・`)「いい眼をしてるね」

それだけ言って、ショボンは刀の切っ先を床へ向けた。
そのままモララーたちに踵を返し、歩き始める。

( ゚ω゚)「………………」

ショボンは廊下の角を曲がった。もう姿は見えない。

( ;・∀・)「……なんだったんだ?」

ぶはぁ、と息を吐く音が2つ。

( ;^ω^)「なんかもうツッコミ所が多すぎてわけわからんかったお。銃刀法仕事してくださいお」 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/05/03(月) 00:53:17.91 ID:WqVfvYcH0<> しえんぬ <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/05/03(月) 00:55:28.16 ID:OfMnio7j0<>
とりあえず、命の危機が去ったことを、2人は全力で喜んだ。
――命の危機が去ったと言っても、一時的なものに過ぎないのだが。

( ^ω^)「なんなんだお? 本当に。悪魔の他にも、あんな人がいるなんて」

そう、本来の問題はまだ何1つ解決していない。モララーは苦々しげに頭を振った。
こうしている間にも、親しい友人が危機に晒されているかもしれないのだ。

( ・∀・)「ドクオを探さないと。どこにいるんだ……?」

( ^ω^)「うーん……理科室を出てしばらくの間は、僕がツンと一緒に抱きかかえてたんだおね」

情報を整理し始めるブーンの言葉を聞きながら、モララーは図工室へ入った。
木材と絵の具の匂いに囲まれながら、チラリと時計を見る。

( ・∀・)「……まだ30分も立ってないんだよな」
<> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/05/03(月) 00:57:12.75 ID:OfMnio7j0<>
( ^ω^)「ずいぶん前のことみたいに感じるお……」

いつもと変わらない、平和な昼休み。
皆で理科室へ行こうと考えて、ジョルジュが度胸試しと言い、望遠鏡で太陽を覗いて。

( ・∀・)「あの、悪魔が現れてから、まだ30分」

ブーンは目を閉じた。思い出しているのだろう。
ジョルジュの体を破って現れた悪魔。机を破壊し、ドアを破壊し。
必死で理科室の外へ出て、それから――

( ^ω^)「確か、2階から飛び降りたんだおね。1階まで」

モララーが階段を乗り越えて飛んだのを見て、自分も飛んだのだ。
だが、人を2人抱えていたせいか、少し遅れて……結果、ほとんど吹き飛ばされる形で、1階へ落ちたのだ。

( ^ω^)(気がついたとき、僕は1人だった……ってことは……?)

腕の中のツンデレを見ながら、ブーンは考えた。

( ^ω^)「僕と、ツンと、ドクオは、それぞれ別々に吹き飛ばされたんだと思うお」

( ^ω^)「たぶん、爆発の衝撃で、手を離しちゃったんだお……」

( ・∀・)「ふむ……」 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<>sage<>2010/05/03(月) 00:58:20.65 ID:Nm1xJaK80<> おかえり!
支援 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/05/03(月) 00:59:53.85 ID:OfMnio7j0<>
モララーは2階から飛び降りた後のことを思い出す。あの後、悪魔が2階にいた生徒を襲い始めたのだ。
それを聞いた自分とブーン、そしてツンデレは、2階へと駆けつけた。ドクオなら、どうだろう? 
モララーは腕を組んだ。場所が場所なので少し汚れている床を見ながら、考えを巡らせる。

( ・∀・)(『ブーンなら、悲鳴が聞こえた2階へ向かうはずだ』)

( ・∀・)(あの時俺はそう考えた。だがドクオは、この思考へ行き着くことはできたのだろうか?)

( ・∀・)(あいつはかなり混乱していたから……いや待て、これは関係ないな)

フルスピードで回転を始めたモララーの脳は、望む望まざるにかかわらず、求める答えをはじき出す。

( ・∀・)(あの時ドクオは、1人だけ怖がって泣いていた)

( ・∀・)(そんな中、気付いたらブーンも俺もツンちゃんもいなくて、1人になっていた)

目の前でジョルジュが死ぬのを、ドクオは見た。『死』に、恐怖を持っていただろう。
おそらくドクオなら――自分たちとは違い、2階へ来ることはしなかったはずだ。
2階に悪魔がいると知れば、きっと逃げようとする。隠れようとする。

ほんの数秒。その僅かな時間の間に、ここまで思考を巡らせ、結論を導き出したモララー。
彼の推測は、確たる証拠がない今、どこまで行ってもただの推測でしかない。
<> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/05/03(月) 01:01:23.71 ID:OfMnio7j0<> ( ・∀・)「間違いなく、1階にいると見ていいな」

それでも、ここまで言い切ることができるのは、彼が自分を過大評価も過小評価もしていないからだ。
『お前って頭いいよな』『天才じゃね?』クラスメイト達は、口を揃えてそう言う。
彼はその言葉をきっちりと受け止めていた。

自分の高い実力を理解しているから、謙遜という名の逃げに走ることはない。
深い、深いその実力の、底を見ることができているから、思い上がって愚かな道を進むこともない。

だが――そんな彼にも、今、わからないことが1つあった。

2階から聞こえた悲鳴を聞いて、自分とブーンは階段を駆け上がった。
対してドクオは、その悲鳴を聞いて、必死で1階を駆けずり回った。

その行為をどう評価していいのか、モララーにはわからなかった。
『臆病者』『意気地無し』のレッテルを貼って、罵ってやればいいのか。
『無理もない』『賢明な行動だ』と、誉めはせずとも、責めないでやればいいのか。
<> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/05/03(月) 01:02:29.93 ID:4SoC/w5t0<> やっべ、話しの流れ全然覚えてねーや <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/05/03(月) 01:03:13.50 ID:OfMnio7j0<>

( ^ω^)「今、物音がしたお」

考え事をしているモララーから離れすぎないように、しかし歩き回って周囲を警戒していたブーンが、突如低い声を出した。
その一言で、モララーは全ての思考を一旦捨て、息を止める。ブーンは抱いていたツンデレを、ゆっくりと床へ置いた。

( ^ω^)「こっち……家庭科室のあたりからだお」

余計なものは押し殺した、事実だけを伝える声。低く小さく、それでいて聞き取りやすい。
2人は腰を低くして、家庭科室へ近づいていく。いざと言うときのため、2人とも、足に力を込めている。
半開きのドアの横に陣取った2人は、小声で言葉を交わす。

( ^ω^)(なんだと思うお? まさか、あの悪魔だったりとか……)

( ・∀・)(いや、違うと思う。あの悪魔なら、物音を隠そうとするはずがないし。もっと派手な爆発音とかが聞こえるはずだ)

( ^ω^)(じゃあ、隠れてる生徒とか、かお?)

( ・∀・)(その可能性が高そうだ……家庭科室なら、武器は腐るほどあるし、最悪の場合でもどうにかなるかな)

( ;^ω^)(ちょ、武器ってそんな。生徒なら大丈夫じゃないのかお?)

( ・∀・)(わかんないか? ――さっきから、血の匂いがする) <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/05/03(月) 01:05:05.91 ID:OfMnio7j0<>
散々死体と遭遇してきたせいか、モララーは血の匂いを敏感に感じ取っていた。
それが今役に立とうとしているとは皮肉だな、と、モララーは少し笑う。

( ;^ω^)(お!? じゃ、悪魔が中にいるかもしれないってことじゃ)

( ・∀・)(だーかーらー、違うって言っとろーが)

握りこぶしで、ブーンの頭をポコンと小突くモララー。
「いたっ」と声を出しかけて、ブーンは慌てて口を塞いだ。いや、口にビンタをかました……といった方が、近い。

( ・∀・)(この異常事態だ。パニックで狂った生徒や教師も、何人かいると思う)

( ^ω^)(なんか、ゲームみたいだけど……今は、リアルで、怖い話だおね)

悲しげな表情を浮かべたブーンを見て、モララーも目を閉じた。
額にしわを寄せ、心の中で呟いた。

( -∀-)(そうだ……人ってのは脆いんだ。その可能性は高い)

( ・∀・)(ドクオが……そんな脆弱な馬鹿野郎に、もし巻き込まれてたら……)
<> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/05/03(月) 01:07:27.80 ID:OfMnio7j0<>
壊れた人間と言うのは、本当に恐ろしい。
もし大人である教師が狂ってしまったのなら、ただの小学生はなすすべもなく、殺されるだろう。
たとえそれが同年代の生徒だったとしても、かろうじて冷静でいるだけの、ただの小学生は……なすすべもなく、殺されるだろう。

モララー、そしてブーンも、"ただの小学生"とは言えない。それだけの力、または過去を持っている。
だがドクオには、"どこにでもいる、ただの小学生"という言葉が、この上なくしっくり来るのだ。

( ・∀・)「行くぞ、ブーン!」

力強く、ドアを開けたモララーを見て、ブーンも全身に力を込めた。

( ^ω^)「僕が先に行くお!」

3歩の助走をつけて――ブーンは、全開になったドアから家庭科室へ飛び込んだ。
1秒遅れて、モララーも家庭科室の中へ転がりこんだ。

びちゃり。

( )「ひぃぃわぁっ!」

2人の登場に、教室の隅で、奇声を上げて崩れ落ちた人間がいた。
ブーンは即時に机へ飛び乗って、その正体が何者かを確かめる。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/05/03(月) 01:09:29.44 ID:OfMnio7j0<>
( ^ω^)「……あ! ドクオ!」

調理実習の時に使う道具や食器を並べている棚。その棚にもたれかかって、へたり込んでいる人物――。
ドクオの姿を目にすると、ブーンは渾身の笑顔で、机から飛び降りた。

びちゃり。

('A`)「ぶ、ブーン……モララー……」

いざというときのために体勢を低くしていたモララーも、埃を払いながら立ち上がり、ドクオの姿を確認した。

( ・∀・)「ドクオ……! ぐうっ」

そしてその直後、自分が着ている服の、肩のあたりを見て、声を上げた。
額にしわを寄せ、鼻を覆う。目をそむけることだけは、しなかったが。

( ;^ω^)「……何が、あったんだお?」

ブーンは右足を上げて、上靴の裏を見た。ぽたりと液体がこぼれ落ちる。
<> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/05/03(月) 01:11:33.52 ID:OfMnio7j0<>

モララーの服の、肩の部分には、真っ赤な血が染み込んでいて。
本来は白いはずの、ブーンの上靴の裏は、血で真紅に染まっていた。

そして、床には――

おびだたしい量の血だまりが、いくつも出来ていて。
男、女、学年、全てがバラバラな死体が、いくつか転がっていた。

( ・∀・)(どの死体も、顔がめちゃくちゃだ……誰のだかまったくわかんねーぞ)

どの死体も、顔を執拗に切り裂かれたようで、誰の顔だか全くわからないという点が、共通している。
だが、ある死体は首を刺されていたり、またある死体は目をえぐられていたりと、微妙な差があった。

(;A;)「あ……うぁあ……」

涙と鼻水と血で顔をぐちゃぐちゃにしながら、ドクオはふらふらと歩きはじめた。
死体の1つにつまずいて転びそうになったところを、ブーンが受け止めた。

(;A;)「あいつが……あいつがぁ……」 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/05/03(月) 01:13:28.68 ID:OfMnio7j0<>
とても苦しそうに喋るドクオ。突然ブーンから離れたかと思うと、その場に崩れ落ちて、床に吐いた。

( ・∀・)(量が少ない……ってか、ほとんど液体だけ。昼に食ったものは混ざっていない)

しゃっくりまで始めてしまい、とても苦しそうなドクオと、その背中を優しくさするブーン。
2人を見ながら、モララーは考える。

( ・∀・)(俺達がここへ来るまで、何度も吐いたってことか……)

モララーは、他人の吐瀉物を嫌悪するそぶりすら見せずに、冷静に観察している。

( ^ω^)「大丈夫だお、深呼吸するお……何があったのか、落ち着いてからでいいから、教えてくれお」

ブーンは、自分の服が汚物で汚れることも厭わずに、ドクオに優しく接している。

(;A;)「はー、はー、はー……」

その懸命な姿勢が効いたのか、ドクオもかなり落ち着いたらしい。ゆっくりと、話し始めた。

(;A;)「俺が……俺の他にも、いろんな奴がいたけど……とにかく、何人かここへきて、隠れたんだ」

(;A;)「そっ、そしたら、あの先生が……入ってきて、包丁、振り回して」
<> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/05/03(月) 01:15:59.24 ID:OfMnio7j0<>
( ^ω^)「大丈夫、無理して話さなくていいお」

(;A;)「同じクラスの、ニダーも、首、刺されて、殺されて……」

(;A;)「それから、ギコ、あと……セントジョーンズが、目、潰されて、うっ」

うっ、と、下を向いて口を押さえたドクオの背中を、ブーンが優しく撫でる。
今度は吐かずに済んだようで、また顔を上げて、話を続ける。

('A;)「はー、俺は、ずっと……掃除用具、入れる、ロッカーの中にいたんだ」

('A;)「先生は、どっか行って……俺は、助かったけど。俺は、皆を、見捨て」

( ^ω^)「……自分を、責めることはないお。ドクオ」

ドクオの肩に優しく手を置いて、諭すようにブーンは言った。
モララーは顎に手を当てて、考え始める。

( ・∀・)「その先生、誰だったかわからないか? 声とか聞かなかった?」

悪魔に加えて、壊れた人間までもが現れた。非常に危険な状況だ。
だからせめて、どの教師なのかを、モララーは知ろうとした。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/05/03(月) 01:16:28.47 ID:1InpXVc2O<> 久しぶりだなおい <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/05/03(月) 01:17:33.53 ID:OfMnio7j0<>
('A`)「わかんねえ……よく、覚えてないんだ」

ドクオはだいぶ冷静さを取り戻したようだが、発言はだいぶ曖昧なものだった。

( ・∀・)(見知った教師による大量虐殺。ショックで、一部の記憶が飛んでいても、おかしくはないが……)

すっぱりと結論を出すことは、出来なかった。
どうにも違和感を拭えないモララーは、しきりに首を傾げている。

( ^ω^)「モララー、色々聞くのは後にしないかお? とりあえず、今はここから出ようお」

あたりに転がっている死体と、血と汚物にまみれたドクオを交互に見て、ブーンは盛大に顔をしかめた。
血に汚れた服のすそで鼻水を拭うその姿はとても痛々しく、モララーに同情の念を抱かせた。

( ・∀・)「確かにな……とりあえず、武器をいくつか持って出ようぜ」

( ^ω^)「武器? 何があるんだお?」

( ・∀・)「包丁だよ。何本か持ってないと、あの悪魔には太刀打ちできないだろ?」

さらりと言って棚をあさり始めるモララーを見て、ブーンはポンと手を打った。
そして自分も、他に使えるものはないかと、棚の引き出しを片っ端から開け始めた。
<> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/05/03(月) 01:19:37.08 ID:OfMnio7j0<>
( ・∀・)「包丁、これだけしかないのか? もうちょっとあったようなき気がするけど……」

('A`)「お、おい。ちょっと待てよ。太刀打ちって何のことだ?」

ドクオは、そんな2人を信じられないといった目で見つめた。

('A`)「逃げるんだろ? あの悪魔から。あんなとんでもない奴がいるこんな場所にいたら、死んじまうよ」

身振り手振りを交えながら、さも当然のことを語るかのように振舞うドクオ。
それを聞いて、ブーンとモララーは顔を見合わせた。

( ^ω^)「そーなんだおね、今考えると。でも……」

ブーンが言いかけた言葉を、モララーが紡ぐ。

( ・∀・)「逃げたところで、どうにかなるとも思えないんだよな」

('A`)「な……そんなの、わからないだろ! やってみないと!」

ドクオには、目の前の人間が何を言ってるのかわからないらしい。秀才モララーに、必死で反論する。
そんなドクオに、ブーンは少し目を伏せて、言った。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/05/03(月) 01:21:45.33 ID:OfMnio7j0<>


(  ω )「あんなのが、出てきたのは……僕たちのせいだお。僕たちが、軽はずみな行動を取ったから」

('A`)「なっ…………」

そこにあったのは、いつもの明るい笑顔ではなく……『責任』という鎖に囚われた、罪人の顔だった。
『責任』を感じていたのは、リーダーであるモララーだけではなかった。

(  ω )(僕が、止めてれば……ジョルジュは、死なずに済んだ。僕は……守れなかったんだお。約束したのに)

そんな真剣な顔を見せられては、ドクオももう反論することは出来なかった」

('A`)「……………………」

無言で、包丁を1本、手に取った。


<> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/05/03(月) 01:24:02.71 ID:OfMnio7j0<>
ξ゚听)ξ「ブーン!」

( ^ω^)「げぼふっ」

家庭科室を出たブーンを、目覚めたツンデレのタックルが襲った。

( ・∀・)「目、覚めたの? よかったね」

ブーンを抱きしめて離さないツンデレに、どこか呆れたような言葉を送るモララー。

ξ゚听)ξ「あら、ドクオじゃない。あんたも無事だったのね」

ブーンに抱きついたまま顔だけ後ろを向いて言うツンデレ。

('A`)「…………あぁ」

いつものような皮肉や、自虐的な言葉は一切ない。気のない返事だ。
だがツンデレはそんなこと気にも留めず、ブーンにじゃれついている。まるで猫のようだ。

( ^ω^)「……ツン。手を離してくれお」

ξ゚听)ξ「いいじゃない、別に。起きたら1人で、私怖かったんだから」

ツンデレとブーンの会話を、モララーは軽く呆れながら見ている。
ドクオは、一切表情を変えず、2人の会話を見ていた。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/05/03(月) 01:25:13.60 ID:1InpXVc2O<> 腹が減ってきた <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/05/03(月) 01:25:53.21 ID:OfMnio7j0<>
( ・∀・)「埒が明かないから、ブーンとツンちゃんは真ん中にしよう」

どうやらスルーしようと決めたらしいモララーは、勝手に話を進め始める。

( ・∀・)「俺とドクオ、どっちが先頭でどっちが後ろか決めないと」

狂った人間・人外の悪魔・正常だが刀を持った人間が、この学校をうろついているのだ。
いつ襲われるかわからない以上、隊列も考えて組まねばならない。

('A`)「俺が後ろへ行く」

( ・∀・)「む、珍しく積極的だな」

いつもと違うドクオに少し違和感を覚えたものの、モララーは特に気にせず通した。


<> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/05/03(月) 01:27:29.30 ID:OfMnio7j0<>
前から順に、モララー・ブーン&ツンデレ・ドクオ、と並び、4人は廊下を歩いていく。

( ・∀・)「……また、死体」

幸か不幸か、もう慣れてしまったようだ。一行は、死体を見た程度では驚かなくなった。
おかげで、細かく観察する余裕も、出てきたらしい。

( ^ω^)「今までのどの死体よりも、酷いお……」

顔は、相変わらず切り刻まれていて、わからない。
そして今回は、喉から目から、その上、太腿や手首の血管まで、めった刺しにされている。
ありとあらゆるところから血が滲んでいて、何色の服を着ているのかすら、わからない。

ブーンとモララーは、悪い意味で死体を見入っていた。
ツンデレは、ブーンに抱きついてなにやら喋っている。ドクオは、相変わらず無表情だ。

( ・∀・)(なんだよこの空気……)

モララーは肩をすくめて、ブーンの方を見た。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/05/03(月) 01:28:31.55 ID:WmACMWb5O<> しえん <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/05/03(月) 01:29:44.48 ID:OfMnio7j0<>
( -ω-)

( ・∀・)「……なんで目つぶってるんだ?」

目を閉じて、さらに鼻を指でつまんでいるブーンを見て、首を傾げるモララー。
モララーの問いに、ブーンは答えない。空いている方の手で、モララーに『静かにしてくれ』というジェスチャーをするだけ。

突然、ブーンがカッと目を見開いた。


( ^ω^)「やっぱり――足音がするお!」

( ・∀・)「!」

モララーはすぐに包丁を構える。
反応速度はかなり速かった――なのに。



(´・ω・`)「これは、生徒じゃあないね」



気付けば、すぐ近くにいた。
世界に誇れる日本の武器、KATANAの鞘を、腰につけた彼が。
抜き身の日本刀を中段に構えた、とても不機嫌そうな顔の、彼が。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/05/03(月) 01:31:56.60 ID:OfMnio7j0<>
( ゚ω゚)「あばばばばばばばばばば」

( ;・∀・)「お、おいブーン! テンパるな! 落ち着け!」

( ゚ω゚)(ヤバイヤバイ斬られ――)



(´・ω・`)


('A`)「…………………」


( ;・∀・)(……あれ?)

おかしい。モララーはそう思った。
日本刀云々を抜きにしてみれば、さっきのショボンは自分たちと、そこそこフレンドリーに接していた。
それが今は、とても厳しい目で、ドクオを見据えている。

( ゚ω゚)(すご、い、迫力だお……あんな目で見られたら、僕だったら、ちびるお……)

( ;・∀・)(日本刀持ってる時点で、一般人じゃないってのはわかってたけど……なんだ、この殺気)

ショボンからにじみ出る殺気と迫力に、誰も動くことを許されない。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/05/03(月) 01:34:12.73 ID:OfMnio7j0<>


――この状況を、打ち破ったのは……恐ろしいほどの、爆音だった。






突然、凄まじい破壊音が発生した。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/05/03(月) 01:36:58.12 ID:OfMnio7j0<>
( ×∀×)「〜〜〜〜〜〜〜〜〜!」

例えようのない、鼓膜が破れそうな爆音に、2人はとっさに耳を塞いだ。
その時――何か、暖かい液体が、ブーンの頭に降り注いだ。

( #×ω^)「なんなんだお!」

轟音のせいで耳が麻痺しているブーンは、必要以上に声を張り上げる。
そんな中でも、少し離れた所に立っているショボンの声は、はっきりと通った。

(´・ω・`)「やれやれ。本当にやっちゃうとはね」

何かを知っているような……いや、何かを見たような口ぶりを、モララーは聞き逃さなかった。

( ・∀・)「どういう意味ですか!?」

距離が離れている上、モララーも耳が麻痺しているので、ブーンと同じく声を張り上げた。
モララーが想像していたような答えを、ショボンは返してはくれない。

(´・ω・`)「来てるよ」

何が来ているんですか? と、モララーが聞く時間はなかった。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/05/03(月) 01:38:20.30 ID:OfMnio7j0<>


( ;-∀・)「――――痛っ!」



右の太腿に突然走った燃えるような痛み。
本当に突然すぎる痛みに、モララーはその場へ倒れこんでしまう。

( ;-∀・)(何が何だかわからん! 襲撃されてるのか!?)

モララーのズボンの下から溢れ出る血を見て、ブーンも何かが起こったと気付いた。

( #^ω^)「モララー! 大丈夫かお!」

怒声を上げながら、モララーに駆け寄っていくブーン。
モララーの近くに跪いて、出血している太腿に触れた。

( ^ω^)「足を怪我したのか―――っ!」

視界の端に映った影を、ブーンは見逃さない。
低い体勢から渾身の力で後ろへ飛び退いて、謎の襲撃者から距離を取る。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/05/03(月) 01:40:54.15 ID:OfMnio7j0<> ( ^ω^)(こっちも武器を出さないと!)

持ってきた包丁を構えようとして――敵の包丁が、風を切って飛んでくるのに、気付いた。

( ^ω^)(―――――! 投げたのかおっ)

包丁は驚くほど真っ直ぐ飛んできている。

( ^ω^)(当たれば大怪我、ガードはできない、白羽取り、いや! かわさないと――ダメだお、間に合わない!)

多少のことでは打ち負けない、その体格が、ブーンの武器だった。そのせいで、ブーンはとっさに『受け止める』ことを考えてしまった。
猛スピードで飛ぶ包丁、一瞬の判断ミスが、そのまま大怪我に繋がる。

( ^ω^)(くっ……そぉぉぉぉぉぉ!)

避けるのは諦めた。ブーンは胸の前で腕をクロスし、来るべき痛みに備える――



バカン!



( ;^ω^)「…………あれ?」
<> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/05/03(月) 01:43:45.09 ID:WmACMWb5O<> 投下完了まであと時間どんくらい? <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/05/03(月) 01:45:05.58 ID:WqVfvYcH0<> しえんですわ <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/05/03(月) 01:49:05.46 ID:4SoC/w5t0<> まだやってんのか <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/05/03(月) 02:00:06.54 ID:OfMnio7j0<>
(´・ω・`)「やれやれ……なんかやらかしそうな奴だと思った直後に、これだよ」

飛んできた包丁は、ショボンが、左手に持った鞘で叩き落していた。

(´・ω・`)「……大丈夫かい? 頭から血が出てるよ?」

ブーンの頭からだらだらと流れる血を見た、ショボンの一言。
しかしブーンは身に覚えなしといった反応だ。首を傾げながら、短い髪をかき上げる。

( ;^ω^)「いや、別に僕は怪我してませんけど……え!? 何だおこの血!?」


<> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/05/03(月) 02:01:21.78 ID:OfMnio7j0<>


( ;・∀・)「そういうことだったわけか……なんで気付かなかったのやら」

モララーは立ち上がろうとしたものの、太腿の傷は予想以上に深いようで、転んでしまった。

( ;・∀-)「家庭科室の死体は全部、顔がズタズタになってた。パッと見ただけじゃ、誰の死体かなんてわからなかったってのに」

痛みをこらえながら、もう1度、立ち上がろうとする。

( #・∀-)「『ずっとロッカーの中にいて』『先生の声すら覚えてない』奴が」

近くの壁に寄りかかりながら、どうにか体を起こした。

( #・∀・)「なーんで、『ニダーは首を刺された』『ギコとセントジョーンズは目を潰された』って、言えるんだよ……!」


<> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/05/03(月) 02:02:08.02 ID:OfMnio7j0<>
(´・ω-`)「ふぅー……。2人とも、いい目をしてるのに。なんで、こんな腐りきった目をした奴がいるんだ?」

ショボンは鞘を無造作に放り投げ、両手で刀を持った。

その美しい切っ先を、ドクオの胸に、真っ直ぐ突きつける。


('A`)「はぁー……ホントに、お前らバカだろ。死ねばいいのに」

ドクオは大きなため息をついた。その手に握られている包丁は、血がべっとりとついている。
そして、その足元に、いるのは――――

ξ。凵B)ξ

( ^ω^)「ツ……ッ!? いつ!? 一体、いつの間に!」

首から、大量の血が吹き出ている、ツンデレだった。
さっきまで、ブーンに抱きついていたはずの、ツンデレだった。

( #^ω^)「まさか……僕の、頭の、この血は――」

怒りに震えるブーンは、拳を強く握り締める。
手のひらに爪が食い込んで、血が滴っていた。

( #・∀・)「後ろへ行くって言ったのは……俺達の背後を取るためだったってわけか」

冷静でいながらも、怒気を含んだ言葉を発する、モララー。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/05/03(月) 02:03:57.62 ID:OfMnio7j0<>

('A`)「俺はなぁ、イケメンと偽善者とDQNが大嫌いなんだよ」

ツンデレの胸に包丁を深々と突き刺し、ドクオは吐き捨てるように言った。




( ^ω^)は望遠鏡で直接太陽を見てしまったようです 第3話 終わり <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/05/03(月) 02:05:13.68 ID:OfMnio7j0<> 以上で3話終わりです

最後の数レスでさるさん喰らって焦りましたがすぐ解除されて良かったです
もし質問とかがあれば聞いてください <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/05/03(月) 02:06:21.69 ID:WmACMWb5O<> どっかにまとめあんの? <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/05/03(月) 02:14:47.53 ID:OfMnio7j0<> >>90
内藤エスカルゴさんに1話・2話が、
http://localboon.web.fc2.com/083/top.html
(,,゚д゚)ブーン系まとめブログを目指すようですさんにも2話が
http://8215205.blog12.fc2.com/blog-date-200912-3.html

それぞれまとめてくださってます <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/05/03(月) 02:25:53.66 ID:WqVfvYcH0<> ツーン。・゚・(ノД`)・゚・。おつ! <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/05/03(月) 03:40:36.30 ID:4SoC/w5t0<> いつか読むよ <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/05/03(月) 03:45:25.83 ID:frpZQyCc0<> 乙
続きも楽しみにしてる <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/05/03(月) 07:40:23.90 ID:Xth4LX360<> wkwk <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/05/03(月) 09:47:44.99 ID:1InpXVc2O<> 実はアルファベットと同じくらい期待してる <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/05/03(月) 10:01:42.46 ID:q2pUGRxO0<> まとめ読んだんだが……
小学3年生……?
こいつら小学生じゃないだろ! <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/05/03(月) 10:27:31.98 ID:1InpXVc2O<> たけしとかボンチューだと思えば… <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2010/05/03(月) 11:17:51.11 ID:OwiHpgIU0<> >>97
なのはさんを見てみろ
そういう事だ <>