( ^ω^)は望遠鏡で直接太陽を見てしまったようです
1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/30(水) 00:09:21.84 ID:xo8A2tP70
11月上旬:やっべえエスカルゴさんでまとめられてる! すげぇ!

11月中旬:規制かよちくしょう……ゆっくり書き溜めるか

11月下旬:まあちょっとくらいさぼってもいいよね

12月中旬:どうしてこうなった!

今:年内にはどうにか投下しよう!   という流れがありました。すいません。

産業あらすじ
望遠鏡で
太陽を見たら
そこは悪魔の巣窟だった

2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/30(水) 00:10:23.41 ID:EdRaAOR30
>2
ようクソムシ

3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/30(水) 00:10:56.80 ID:xo8A2tP70
(;・∀・)「はぁ、はぁ、はぁ」

(;・∀・)「ッくそ、痛ぇ」

左足を引きずりながら、モララーは廊下を歩いている。
他に逃げ場がなかったとはいえ、小学三年生にとって二階から一階への大ジャンプはかなり辛いものがあった。
しかし、すぐ上に悪魔がいる。その事実が、モララーを突き動かした。

(;・∀・)(でも………)

壁にもたれかかりながら、よろよろと歩くモララー。

(  ∀ )「どこへ逃げれば………いいんだよ………」


行き場のない不安が、言葉となって口から漏れる。
目の前でスプラッタな光景を見せ付けられた幼い精神は、ほとんど限界に来ていた。
モララーは、その場に崩れ落ちるように、座り込んでしまった。

「もら、らー………くん?」


4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/30(水) 00:12:53.17 ID:xo8A2tP70

(;・∀・)そ「!?」

女の声。
それがさっきの悪魔の声と重なって、モララーの全身を駆け巡る。

(;・∀・)「だれだだだれだれだ!?」

猛スピードで後退りしつつ、どうにか立ち上がるモララー。
疲労と緊張で舌はうまく回らず、まともな言葉を発するのに少し時間がかかった。

ξ;凵G)ξ「もららー………くぅん………」

(;・∀・)「ツン………ちゃん、か」

安堵のため息とともに、言葉を発する。
状況が状況だったため、ツンちゃんはブーンと一緒だったんじゃ…………? という疑問にぶち当たるまで、少し時間がかかった。
額の汗をぬぐい、喉の調子を整えて、しゃべる。

( ・∀・)「ブーンは? ドクオも一緒だったはずだけど、2人はどこに?」

5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/30(水) 00:14:32.93 ID:rIFaHmFs0
もうこないとおもってたあああああ!しえん

6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/30(水) 00:14:56.64 ID:xo8A2tP70
クラス1の秀才の名に恥じぬスピードで、モララーは落ち着きを取り戻した。
が、ツンデレのほうはそうもいかなかったようだ。

ξ;凵G)ξ「えぐっ………ブーン、ひっく、ブーンが、ひっく、いないの………」

苦しそうに話すツンデレ。どうやら涙を止めようとしているらしいが、その態度が余計に不安を煽る。
「いない」という一言に一瞬胸を貫かれたモララーだが、秀才は冷静さを崩さない。

( ・∀・)「ブーンが………いない………? いないって? どうして?」

ξ;凵G)ξ「はぁ、はぁ、ひっく、しら、ない。ひっく、私と、ドクオを、連れ、ひっく、て、階段から、ひくっ」

かなり辛そうだ………、とモララーは思う。彼は仕方なく、質問を諦めた。

( ・∀・)「もういい、しゃべらなくていいよ。大丈夫だから。落ち着いて」

ξ;凵G)ξ「うわあああああああああん!」

泣きじゃくるツンデレは、モララーの胸に飛び込んだ。

7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/30(水) 00:15:53.94 ID:JANC2Ip3O
まさかの続きktkr
支援

8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/30(水) 00:17:54.46 ID:Gdm5iWdk0
うおおおお!!まじか!!
支援!!

9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/30(水) 00:18:06.57 ID:xo8A2tP70
ξ;凵G)ξ「私の、せいで! ブーンが、ブーンが死んじゃったり、したら………、うわあああああん!」

( ・∀・)「大丈夫、大丈夫だよ。安心して。僕がいるから。僕がブーンのところまで連れて行ってあげるから」

背中を撫でながら、優しく言うモララー。
本当は自分も泣きたいような気分だったが、彼は優しい微笑みを浮かべ続ける。

( ・∀・)(さて、どうすればいいのか………)

あんな悪魔を殺せるとは思えないし、逃げ切れるとも思えない。
あまりにも漠然としていて、それでいてあまりにも鮮明な不安が、モララーの全身を駆け巡る。

( ・∀・)(………………)

胸の中にいる、ツンデレを見る。
無防備に泣きじゃくるツンデレを守るのは、今は自分の役目なのだ。

そうだ。今までも、そうだった。彼は回想する。

10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/30(水) 00:18:38.14 ID:nAQDfUTI0
まさか続きが来るとはなぁ
支援だ

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/30(水) 00:19:32.08 ID:Gdm5iWdk0
しえん

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/30(水) 00:21:09.34 ID:xo8A2tP70
暴走したジョルジュを止めるのは、いつも自分の役目だった。
いじめられたドクオに手を差し伸べるのは、いつも自分の役目だった。
芯の強いはずのブーンが弱気になってしまったあのときも。
彼を救ったのは、自分だった。

( ・∀・)(ブーンを、探そう)

モララーは決意する。
自分は、決して倒れてはならない。
常に先頭に立ち。
こまめに後ろをふり返り。
仲間を守る盾になり。
仲間を救う剣になる。
困難にぶち当たった時、真っ先に切り込んでいくのは、自分でなくてはならない。

棘の藪を進む仲間達の、先頭に立って道を切り開く、その役目を両肩にしっかりと感じたその瞬間から。
彼はもう戻れない。素手で棘を鷲づかみにし、引きちぎりながら進むことになるのである。

13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/30(水) 00:23:48.84 ID:xo8A2tP70





( ^ω^)は望遠鏡で太陽を直接見てしまったようです 第2話







14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/30(水) 00:27:43.50 ID:xo8A2tP70
;^ω^)「あ、あちこち痛いお………ここ、どこだお?」

3年間暮らしてきた学校の中で、ここはどこなのかと口にする。
なんともマヌケなもんだなぁ、とブーンは思う。

( ^ω^)「モララー? ツン? ドクオ? ジョルジュ………っ」

ともに遊んでいた親友達の名前を口にすると同時に、1人はもう名前を呼ぶことができなくなったことを思い出す。

(  ω )「そうだお………ジョルジュは………あの、悪魔に………」

眼を閉じると、さまざまな情景が頭に浮かんできた。
ヘマをしてしまい、自分の頭をポカポカ殴るジョルジュ。
太陽を見て、眼が真っ赤になったジョルジュ。
いじめっ子に殴りかかっていったジョルジュ。
血と肉片の上に立つ、あの悪魔―――――

(  ω )「う"………っ………」


15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/30(水) 00:30:07.41 ID:xo8A2tP70

近くにトイレがあって助かった。と、ブーンは思う。
つい先程まで破壊と殺戮に支配されていた状況で、なんて滑稽なのだろうか。
出すものは全部出したはずなのに、あのときのことが頭をよぎるたびに、猛烈な吐き気に襲われる。

(;-ω^)「トイ、レが………あるってことは…………モララーとは、反対の、方向に。飛ばされたのかお?」

廊下で悪魔に襲われた、あの時。再び吐き気を催すブーン。
行動の早かったモララーは、悪魔に攻撃される前に、飛び降りることが出来た。
ツンデレとドクオを連れていたことも相まって、反応が遅かった自分は、飛び降りようとした瞬間に、爆風に巻き込まれて…………

(  ω )「う"っ…………おお"ぇ"ぇぇ」

幼い精神に、深く、深く、刻まれた、精神的外傷。
血で床が真っ赤に染まり、骨の付いた肉がバラバラと転がるあの光景を。
ひと時でも忘れられる日は、一生来ない。ブーンはそう思った。

16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/30(水) 00:33:14.79 ID:xo8A2tP70
(;^ω-)「はぁ、はぁ、はぁ、ツン………と、ドクオ、は…………? ど、こに?」

誰もいない、1階の男子トイレ。
誰も答えてくれるはずがないのに、ブーンは問いかける。

(;-ω-)「爆風で、ふきとば、された………? でも、近くには…………うっ…………ぷ」

もうひとつのトラウマが、ブーンに襲い掛かる。

( ^ω^)(僕は…………誰に質問してるんだお?)

誰も答えてくれるはずがないのに。

( ^ω^)(なんで…………こんなことを言ってるんだお)

誰も答えてくれないのに。

17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/30(水) 00:36:03.07 ID:xo8A2tP70
誰も答えてくれないのに。

( ^ω^)(昔もそうだったお…………)


答えてくれる人なんて、誰もいないのに。


叫ぶことなどしなかったし、涙を流すこともなかった。
ブーンはただ、その場に倒れこんで、気を失っただけだった。



( -ω-)(今度こそ………誰も、助けてくれない………もう、嫌だお)


18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/30(水) 00:37:06.69 ID:EMxkqG600
望遠鏡で太陽見ると夜中に襲ってくるんだろ?

19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/30(水) 00:39:15.27 ID:xo8A2tP70


「きゃあああああああああああ!」




( ;ω-)そ「!?」

トイレの床に転がっていたブーンは、叫び声で我に返る。

「うわあああああああああああああああ!」
「た、助けてェぇぇっぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」

(;-ω^)「ま………まさか! あの、悪魔が………うえっ、ぷ」

声がするのは、天井の上から。2階だ

20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/30(水) 00:42:05.05 ID:xo8A2tP70
( -ω-)「そうだお………、忘れてたお」

(お前が守ってやらなきゃダメなんだぞ!)

( -ω-)「僕は…………」

(まーまー、別に礼はいいから。今度は、お前が誰かを助ける番だ)

( ^ω^)「僕は…………!」

(俺も協力する。だからお前も、手伝ってくれよ)

( ^ω^)「あの、悪魔から…………おぇえっ」

喉元までやってきた、苦く、酸っぱいものを。
上を向いて一息に飲み下す。

( `ω´)「みんなを、守るお!」

21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/30(水) 00:45:00.85 ID:xo8A2tP70

洋式トイレに手を突っ込んで、その水で顔を洗い、うがいをする。
自分がしなくてはならないことを、まっすぐに見据えたブーンは、走り出す。
ツンデレも、ドクオも、きっと生きている。生きているならば、自分が守る。
モララーは、心配する必要はないはず。あの強いモララーなら。ブーンは思う。
静かな決意を胸に、ブーンは2階へと向かった。







(;・∀・)(どーしたもんかね、この状況………)

ξ゚听)ξ「早く、早くブーンを探しに行きましょう!」

モララーたちは、二階へ続く階段の前で立ち往生していた。
お互いの主張がすれ違っているからである。

22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/30(水) 00:47:05.31 ID:xo8A2tP70
モララーの主張は、叫び声の聞こえた2階で、悪魔を探すというもの。その過程でブーンも見つかるだろうと彼は言う。
ツンデレの主張は、今すぐブーン(と、ドクオ)を探して合流しようというもの。ブーンの名前『だけ』を連呼する彼女を、ドクオが見たらなんと言うだろうか。

(;・∀・)(別にそこまですれ違ってないような気がするんだが………)

ξ;゚听)ξ「ブーン、ブーンにもし何かあったら! 早くブーンを………」

彼女はもう泣いてはいない。そのせいなのかどうなのか、今の彼女は相当取り乱している。
女性に強いイケメンモララーも、ヒステリーを起こした女性への対処法はまだ知らない。

(;・∀・)「えーっと、だから、どこにいるのかはわからないけど、あの叫び声は聞こえただろうから」

ξ;゚听)ξ「そんなことはなんだっていいのよ! ブーン、ブーンが………」

モララーの論理的主張が、パニック状態に陥ったツンデレの非論理的主張に勝つことなどできるわけもなく。
一刻も早く悪魔を探したいと思いながらも、モララーは階段の近くでウロウロしていた。

(;・∀・)(どーしよ………置いてくわけにもいかないし)


23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/30(水) 00:48:47.80 ID:xo8A2tP70
モララーの脳内に、渦巻く『もどかしさ』。
そんなもやもやを吹き飛ばすかのように、ツンデレが叫んだ。

ξ゚听)ξ「大体なんであんたは、あんなやつを探そうとするのよ!」

( ・∀・)「………えっ?」

しばらくわめき続けていたツンデレの、初めてとも言えるまともな意見。
モララーは一瞬答えに詰まる。

( ・∀・)(そうだよな………見つけたところで、どうしようもないし)

下手をすれば死ぬことになる。脳裏をよぎる恐ろしい考えを、モララーは必死で振り払う。
『死ね』や『殺す』などの言葉自体は、今まで何度も使ってきた。
だが、これらの言葉が、ここまでのリアリティを伴ってやってきたのは、初めてだった。
しばらく考え込むモララー。

( ・∀・)(でも…………そうしないと、前に進めない気がするんだ)

なぜそう思ったのか、と聞かれれば、『なんとなく』と答えるしかない。そうとしか答えられない。モララーは自分でそう思う。
別に『勘が鋭い』なんて言われたことはない。自分のこの予感が当たっているのかもわからない。
こんな曖昧なことを言えば、すぐに怒涛の反論が押し寄せてくるだろう。
リーダーとして、自分はしっかりした意見を持っていなくては。

24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/30(水) 00:50:01.73 ID:xo8A2tP70

( ・∀・)「ブーンと、会うためだよ。ブーンの性格なら、叫び声を聞いた瞬間、2階へすぐ駆けつけるとおも」

ξ゚听)ξ「なんなの!? 早く言いなさいよ、そういうことは! 行くわよ!」

モララーの腕を鷲づかみにすると、そのまま全力で走り出すツンデレ。
もうどうにでもなれ、と、モララーは半分ヤケクソな気分で走り出した。

さっき飛び降りたばかりの階段を駆け上がり、踊り場に身を投げる。
2人はそのままほとんど垂直に曲がり、2階まで一気に駆け抜ける。

ξ゚听)ξ「悲鳴の方向は………あっちね!」

左右を見渡したあと、速攻で左へ曲がるツンデレ。
後ろで息切れしているモララーなど気にも留めずに、全力で走り出す。
ツンデレに引きずられながら、モララーはちらりと後ろを見た。
先程、悪魔が投げた火球によって、廊下は真っ黒になっている。
焦げた………という表現が正しいのだろうが、あまりに異質な光景に、モララーは身震いする。
だからといって立ち止まるわけにもいかず、モララーは走り出す。


25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/30(水) 00:53:00.71 ID:xo8A2tP70
ξ;゚听)ξ「3年教室が見えてきたわ………―――――――っ!」

( ・∀・)「どうしたの、ツンちゃ………なっ」

ツンデレが突然立ち止まったせいで、モララーは前方へ投げ飛ばされそうになる。
どうにか踏みとどまったモララーは、頭を上げた瞬間、異変に気付いた。
そこにあったはずの窓と壁は、きれいに溶かされていて、血で真っ赤に染まった机と床が、はっきりと見て取れた。
そして、血だまりの上に立っている、あのオレンジ色の肌。



悪魔が、そこにいた。


(*゚∀゚)




その視線の先にあるのは―――

26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/30(水) 00:56:38.38 ID:xo8A2tP70
(((;゚д゚ )))「逃げなさい! 早く!」

(;^Д^)「にににげっ逃げろったって」

ミ;゚Д゚彡「ど、どうやっ、どうやって逃げれば」

モップを手に持った3年生担任の教師ミルナが、子供達をかばうようにして立っていた。
モップを握る手は情けないほど震えていたが、それでも生徒を守ろうとしている。


ξ;゚听)ξ「あ………うっ」

意味のわからない奇声を上げながら、その場にへたり込んでしまう、ツンデレ。

(;・∀・)「な………なっ」

モララーでさえも、その場で立ち尽くしてしまったのだから、無理もないだろう。

27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/30(水) 00:59:35.07 ID:xo8A2tP70
(;・∀・)(うちは田舎の小学校だけど………それでも、1クラス30人くらいはいる)

いるはずなのに。モララーは心の中で低く呻いた。
今ミルナの後ろで震えている生徒は、その半分もいない。
何があったのか、その答えは。

(  ∀ )(いくつか転がってる、生首が………答えなんだろうな)

おびただしい量の血に覆われた床。
その床の上に、見知った顔がいくつも転がっていた。顔だけが。
立ち尽くすモララーの耳に、妙に美しい、高いソプラノの声が入ってくる。

(*゚∀゚)「この星の生物って、他の星のやつらと比べて、ずいぶん知能が低いらしいね」

どう見ても侮辱してます、本当にありがとうございました。な状況だが、スケールがあまりに大きいせいか、答えたのは1人だけだった。
それも、声ではなく、行動で。

(♯゚д゚)「でやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/30(水) 01:02:13.72 ID:xo8A2tP70


構えたモップを大きく振りかぶり、雄叫びとともに全力で振り下ろすミルナ。

( ゚д゚ )「今のうちに! 早く逃げなさい!」

モップの先が悪魔の右肩を殴りつけるのとほぼ同時に、ミルナは叫んだ。
後ろですすり泣いていた生徒達は、蜘蛛の子を散らすように、一斉に逃げだ―――さ、なかった。

(*゚∀゚)「どの辺がバカなのかって言うとー、」

悪魔がまったく怯んでいなかったからだ。
成人男性が渾身の力を込めて、そこそこ重いモップを叩きつけたというのに、悪魔は微動だにしない。




29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/30(水) 01:05:05.52 ID:xo8A2tP70





(*゚∀゚)「相手の力量も読めずに、突っ込んでくるところだね」






(;゚д゚)そ「!?」


30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/30(水) 01:06:25.03 ID:nAQDfUTI0
支援

31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/30(水) 01:08:10.71 ID:xo8A2tP70
ミルナはモップを振り上げて、第二撃を繰り出そうとしたが、何もかもが遅すぎた。
悪魔の右肩に触れていたモップの先が、ドロドロと溶け始めたからだ。

(;゚д゚)「うわああああああああああ!」

叫び声を上げながら、ミルナはモップを手放そうとする。
しかしモップの溶解スピードは、ミルナの反応速度を遥かに上回っていた。
先端が溶け始めてから2秒も経たない間に、モップは端から端まですべて溶けてしまい―――
そのままの勢いで、ミルナの手首に向かってきた。

( ゚д。 )「あああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

右手首がなくなった、いや溶けたのだと本人が認識した瞬間。
ミルナの右半身はドロドロと崩れ落ち、続いて左半身も溶けてなくなった。



32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/30(水) 01:10:59.98 ID:xo8A2tP70

(*゚∀゚)「成体がいなくなっちゃったね。さて、どうする?」


悪魔の言葉を聞いていたのか、いなかったのかはともかくとして。
生徒達は今度こそ、雲の子を散らすように逃げ回り始めた。

(;・∀・)「〜〜〜! ヤバイ!」

大人がいなくなってしまい、教室の中は大混乱に陥っている。
止めなくては、と、モララーは教室へ向かって全力で走り出す。

(*゚∀゚)「どこの星でも、幼生は扇動しやすいよね」

出口(といっても、もうドアはないのだが)へ走り出す子供を一瞥した後、悪魔は目を閉じる。
目を見開いて軽く右手を振ると、悪魔のその手から火の玉が出現した。
最初はテニスボールくらいの大きさだったのが、どんどん巨大化していく。モララーは舌を打った。
ダメだ、遠い。間に合わない! モララーの脳裏に、最悪の事態がよぎった瞬間―――
突然、廊下から誰かが飛び出てきた。

33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/30(水) 01:13:55.15 ID:xo8A2tP70
( ^ω^)「そんなことはさせないおおおおおっ!」

( ・∀・)「ブーン!」

ξ゚听)ξ「ブ、ブーン! ブーンなのね!」

モララーとツンデレの2人は、喜びを含んだ声音で、ブーンの名を呼ぶ。
しかしブーンは振り返らず、教室へ飛び込んだ。
靴が、ズボンが、血で汚れることもいとわず。
転がっている生首を、出来るかぎりかわしながら、走っていく。

( ^ω^)「おおおおおおおおおっ!」

少々太り気味だがしっかりと筋肉が付いているその体は、小学3年生にしてはかなりの巨体だ。
そんな巨体が突っ込んできたおかげで、外へ外へと殺到していた生徒達の群れは、何人か吹っ飛ばされてしまう。
無論、普段のブーンを知らない悪魔は止まってくれない。
今にも火の玉を投げつけようとしている悪魔を見て、ブーンは右足に力を込める。

34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/30(水) 01:17:13.47 ID:xo8A2tP70
(♯^ω^)「はいやぁぁぁぁぁぁぁっ!」

ブーンが全力で机を蹴り飛ばすと、机はまるで冗談のように宙を舞う。
あり得ない光景に、再びクラスメイト達の時間が止まった。

(*゚∀゚)「おわぉう!?」

突然降ってきた机に驚いて、火の玉は悪魔の手をすっぽ抜けていった。
サッカーボールほどの大きさの火の玉は、黒板の方へ飛んでいく。

ズドォォォォォォォン!

普通の人生を送っていれば、まず聞くことのないであろう音が、その場にいた全員の耳を貫いた。

(*゚∀゚)「おーぅ、さっきのやつじゃん。ビックリしたなーもう」

35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/30(水) 01:19:01.24 ID:xo8A2tP70



三(*゚∀゚)「ビックリしたから、死んで」



(;^ω^)そ(速ッ!?)

あれほどの轟音の後でも、ブーンの耳は、ヒュンッというかすかな音を聞き取った。
聞き取った次の瞬間、悪魔が目の前にいた。
こいつ爪長いな、と思った直後、ブーンには悪魔の左腕が光ったように見えた。

(;^ω^)(やばいお! 殺られ――――)


36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/30(水) 01:21:25.62 ID:xo8A2tP70
(♯・∀・)「せいやぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

((((*゚∀゚))「んなっ!?」

ブーンが死を覚悟した瞬間、廊下から走ってきたモララーの飛び蹴りによって、悪魔は思い切り吹っ飛んだ。
ブーンは冷や汗を流しながら後ろへ跳び、距離をとる。教室の中央付近へ躍りこんだモララーも、死ぬ思いで距離をとる。
改めてじっくり見てみると、体格は人間の小学生と似たようなものだ。

( ・∀・)(得体の知れない力を持っているとはいえ、体は人間と同じようなもんだ! 物理的攻撃はそこそこ有効………)

(;^ω^)(物理的に殺されるような気がしたお………魔法みたいな技じゃなくて、肉弾戦で)

それぞれが思考を巡らせつつも、周囲への警戒は怠らない。
目の前に瞬間移動してきたのを見ているブーンは、もう何があってもおかしくはないと半分ヤケクソな気持ちでファイティングポーズを取っていた。
不意に、悪魔の体が動き始めた。笑いながら立ち上がる悪魔。


37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/30(水) 01:23:46.69 ID:xo8A2tP70

(*゚∀゚)「アッヒャッヒャ………つーちゃんそろそろブチ切れちゃうよ」

(*゚∀゚)「たっぷり楽しもうと思ったのに………もう遊ぶのやめ。お前らムカツク」

さっきまでとは明らかに違う悪魔の口調に、教室の空気が張り詰める。

(*゚∀゚)「ふ………ふふ………本気出せばお前ら皆殺しくらいできるのに………バカなやつら」

(;・∀・)「……………………」

(;^ω^)「………目が、ヤバイお」

モララーとブーンは目を見開いて、悪魔を見据える。なにかあればすぐ飛びかかれるように、2人は足に力を込めた。

(*゚∀゚)「アッヒャヒャヒャ! アッヒャヒャヒャ!」

明らかに異常な笑い声を上げながら、左手を真上へ突き上げる悪魔。
するとその手の平から、バスケットボール大の火球が飛び出し、天井を破壊した。


38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/30(水) 01:25:27.95 ID:xo8A2tP70
( ^ω^)「なっ………何をする気お!? 逃げるつもりかお!」

( ・∀・)「逃げてくれたら、ありがたいけどな………」

パラパラと木片が落ちてくる中、ブーンは鋭く叫ぶ。
モララーは唇を噛みしめながら、天井を見上げた。
飛び出したのはバスケットボールくらいの火球だったのに、家庭用ビニールプール程度の穴が、天井に空いている。
丸く切り取られた雲ひとつない青空をにらみつけ、モララーは悪魔へと向き直る。

(*゚∀゚)「アッヒャ……………アヒャ……アヒャヒャ…………」

うつろな目で、何事かをブツブツとつぶやきながら、悪魔は両手を振り上げた。バンザイをするように、両手を青空にかざす。
悪魔はその状態で静止し、わけのわからないことをつぶやき始めた。

一瞬だった。

(;・∀・)「つっ! あれはっ!?」

天井に開いた巨大な穴を睨んでいたモララーが、突然叫び声を上げた。
普段落ち着き払っている彼からは考えられないほど、切迫した思いが込められていた。

39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/30(水) 01:27:59.05 ID:xo8A2tP70
歯ぎしりしているモララーにならい、ブーンも上を見る。そして、すぐに目をそらした。

(;^ω^)「あ、のー………あれって………」

悪魔の手のちょうど真上あたりに、真っ白な球体が出現していた。
先程までのように、火の玉だ、という印象は受けなかった。その明るさは、太陽が2つになったと錯覚するほどだ。
大きさは、天井の穴より一回り小さいくらいだが、よく見ると時間とともに大きくなっていく。

(;^ω^)「ま、マズイ………お、ね?」

球体は少しずつだが、確実に、巨大化している。

( ・∀・)「――――逃げるッ! 逃げるぞブーン!」

叫ぶと同時に踵を返すと、ブーンの首を引っ掴んで、モララーは走り出した。
さっき走った廊下を引き返す。それがモララーの決断だった。

40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/30(水) 01:30:26.01 ID:UYsW0121O
支援

41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/30(水) 01:30:38.74 ID:xo8A2tP70

( ・∀・)(俺達が逃げればあいつはすぐに撃ってくるはず! 巨大化しすぎて学校が消えたら終わりだ!)

(;^Д^)「お、おい………ヤバイらしいぞ!」

ミ;゚Д゚彡「お、俺達も逃げないと!」

ハイスピードな展開についていけず、硬直していた3年生たちも、事態の深刻さを知る。
今まで張り詰めていた緊張の糸が切れ、10人以上の人の群れが、わあわあと喚き散らしながら走っていく。
恐怖のあまりか足がもつれ転倒し、転倒した人間に足を掴まれてまた別の人間も転倒し、立ち上がろうとするも興奮しすぎてうまく立ち上がれず。
先頭を走るモララーとブーンの後ろの群れは、大混乱に陥っていた。

そんな中、混乱する人の群れと、まるで反対の方向へ走っていく人間がいた。
クラスでも変人と名高い、4人組だった。

42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/30(水) 01:32:47.55 ID:xo8A2tP70
从 ゚∀从「急げ! 窓開けてる暇はないぞ!」

(´<_` )「ラジャァァァァァァいってええええええ!」

小学生にしては背の高いものの、筋肉はあまり付いていない弟者。
ヒョロヒョロとした体を勢いに乗せて、そのまま窓へと突進した。
漫画やアニメのようにガラスが割れることはなかったが、バキンという音とともに、窓は外れてベランダに落ちた。
弟者はそのままの勢いで外へと転がり落ち、ハインは机を踏み台にして、軽やかに跳び、そのまま窓から出た。

从'ー'从「兄者君早く! ってふぇぇ〜」

( ´_ゝ`)「押さないで押さないでお願いお願い! 俺あんなの無理! 無理無理ぶべっ」

弟者と同じ、ヒョロヒョロとした体つきの兄者。
こちらは自分から積極的に走ろうとはせず、後ろにいる渡辺さんに押されて動いているようなものである。
そんな中後ろを歩いていた渡辺さんがイスに引っかかってずっこけたため、前にいた兄者は思い切り突き飛ばされ、窓でしこたま顔面を打った。
その勢いで窓が外れるくらいの勢いだったため、かなり痛かったのは間違いない。
そのまま崩れ落ちた兄者を踏み台に渡辺さんは外へ飛び、続いて兄者もどうにか窓を乗り越えた。

43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/30(水) 01:36:39.21 ID:xo8A2tP70


真っ白な球体は天井の穴より若干小さい程度の大きさで膨張を止めた。


(*゚∀゚)「あっはっは………逃がさないよ」



全力で廊下を駆け抜ける、モララーとブーン。

(;・∀・)(トイレは………5メートル先! 4メートル、3メートル………間に合え!」


モララーとブーンが、廊下の右側にあるトイレへ入るため、ほとんど直角に曲がったのと。
3年教室が、轟音とともに、真っ白な光に包まれたのは。


ほとんど、同時だった。

44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/30(水) 01:38:03.61 ID:JANC2Ip3O
支援支援!

45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/30(水) 01:38:08.88 ID:xo8A2tP70
焼け焦げた匂いのする廊下に、ショボンは1人立っていた。
辛うじて人の形を留めている、灰を見下ろしながら。


(´・ω・`)「爺様…………」


木刀を腰に引っさげたショボンは、真っ黒になった床に膝をつく。
そのまま目を閉じて、1分間の黙祷を捧げた。


(´・ω・`)「爺様…………」


ショボンは立ち上がる。
そして、腰に下げてある木刀を抜いた。


(´・ω・`)「敵は………必ず」


木刀を左右に引っ張ると、その中から鈍い光を放つ刀が現れた。

46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/30(水) 01:38:51.70 ID:xo8A2tP70
( ^ω^)は望遠鏡で直接太陽を見てしまったようです 第2話 終わり

47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/30(水) 01:39:33.17 ID:xo8A2tP70
50レスいかないレベルの量で投下ってどうかなと思ったけど年末だし時間も時間だし投下しました。
そして今気付いた。タイトルおかしい

48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/30(水) 01:43:52.20 ID:UYsW0121O
乙!
また投下に遭遇できたらいいな

49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/30(水) 01:47:55.80 ID:JANC2Ip3O
>>1
次回はいつ頃になりそう?

50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/30(水) 01:49:52.90 ID:nAQDfUTI0

次回も頑張ってくれ

51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/30(水) 01:56:02.63 ID:xo8A2tP70
>>49
1月中にはどうにかしたい

inserted by FC2 system