- 1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/08(水) 01:26:04.75 ID:npCgQp+oO
- 短編です。
- 2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/08(水) 01:26:17.15 ID:A8QZU7tQ0
- なちゅるる
- 3 名前:砂くじら ◆Pc6999900s :2007/08/08(水) 01:26:17.11 ID:7PjcIrOw0 ?PLT(15000)
- いいえ、長編です
- 4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/08(水) 01:26:49.56 ID:npCgQp+oO
-
鬱蒼と茂る山道を歩いていた。
日は緩やかに地平線へと沈み、空は赤色に染まり始めている。
('A`)「これは野宿になるな……」
額の汗を拭き、ため息を憂鬱そうに吐いてからドクオは呟いた。
('A`)(川でもありゃ、言うこたぁねぇんだが……)
皮の水筒から水を飲み、しばし耳を澄ませてみるが、
風が揺らす葉の音と虫の鳴き声しか聞こえなかった。
('A`)(しかたないか……)
あまり暗くなると身動きが取れなくなってしまう。
なので、ドクオは野営の準備をするために、薪を探すことにした。
- 5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/08(水) 01:28:40.56 ID:npCgQp+oO
-
('A`)(メシは……まだ干し肉があったはずだな。それを食っちまおう)
一本、二本と木の枝を拾い集めながら進むドクオ。
森が作る影は色の濃さを増し、夜の訪れが近いことを示唆していた。
('A`)(あっ……クソッ!しまったな……オカズがねぇじゃねぇか……)
薮をかき分けて進み続けるうちに、
たき火をしても周りに燃え移らない程度の広さがある空間に出た。
('A`)(まあいい……俺には妄想がある。
今夜は貴族令嬢の性奴隷っつー設定で一発抜こう……)
枝を積み重ね、火をつけるためにマッチを取り出す。
- 6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/08(水) 01:30:34.42 ID:npCgQp+oO
-
辺りには夜の帳がゆっくりと下りてきている。
(;'A`)(……まだ夕方だってのに、なかなか怖ぇじゃねぇか……)
暗くなる周囲に脅えるドクオ。
彼は少し、臆病なのだ。
('A`;)(これだから野宿は嫌なんだ……)
('A`)(そうだっ!)
自分の思い付きに、トンッと手を叩く。
('A`)(陽気なあえぎ声で場を明るくすればいいんだ!
……そうと決まりゃ――)
('A`)「あんwwwあぁんwwwいやんwwwwwwばかぁんwwwwww」
薄暗くなった山々にドクオの声が響いた。
- 7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/08(水) 01:32:52.22 ID:npCgQp+oO
-
('A`)「あはんwwwwひぃwwwwwひぐっwwwwwひぎぃwwww」
声を出すうちに段々と高揚してきた彼は、
木の幹に自分の尻を擦り出した。
('A`)「おぉwwwおんwwwwイグーwwwwイッちゃうーwwwwww」
「どこに行くのかね?」
(;'A`)「っ!?」
突如響いた誰かの声にドクオはさっと顔色を変えて警戒した。
薮の向こうから、がさりがさりと音がする。
(;'A`)(………)
やがてそこからぬっと現れたのは、見知らぬ老人だった。
- 8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/08(水) 01:35:02.46 ID:npCgQp+oO
-
/ ,' 3「そんな大きな独り言を吐かしおって……どこに行く気なんじゃね?」
(//A/)(き……聞かれた!!)
思わず赤面するドクオ。
だがかぶりを振って思い直す。
(#'A`)(………盗み聞きなんかしやがって……なんてふてぇ野郎だ!)
激昂したドクオは、老人を睨みつける。
(#'A`)「俺がどこかへ行くんじゃねぇ……」
(#'A`)「あんたが今から天国に行くんだよ!!」
そう怒鳴ったドクオは、勢いよく老人に襲いかかった。
――――――――――
(###)A(###)(なんて強ぇジジイなんだ……)
- 9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/08(水) 01:38:12.19 ID:npCgQp+oO
-
腫れあがった顔をさすりながら、ドクオは老人に事情を説明していた。
/ ,' 3「ふむ……山を越えようと思ったら、日が暮れて野宿を、とな……」
(###)A(###)「そうっす」
/ ,' 3「出来れば夜を明けさしてやりたいがのぅ……
まだまだ時間には遠いから無理じゃな……」
(###)A(###)(……明けさす?)
/ ,' 3「まあ、ちょうど退屈していたしのぅ……
若いの、ちょっとついて来なされ」
(###)A(###)「はあ?」
/ ,' 3「いいから、いいから」
手招きしながら森の奥へと歩み出す老人。
- 10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/08(水) 01:46:07.90 ID:pW353der0
- 吹いたww
- 11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/08(水) 01:50:37.26 ID:npCgQp+oO
-
ドクオは少しだけ迷ってから、荷物を背負って後に続いた。
――――――――――
辿り着いた場所は洞窟だった。
今はたき火をしながら地面に座り、
老人からもてなされた酒に舌づつみをうっている。
(*'A`)「ぷはっ……こりゃいい酒だな、爺さん」
/ ,' 3「ふぉっふぉっふぉっ……気に入ってもらえて嬉しいのぅ」
赤みを差したドクオの顔は、炎に照らされたせいだけではなく、
心地良い酔いのせいでもあった。
/ ,' 3「これは麓の村の特産物なんじゃ。
ここには有り余る程あるから、ゆるりと楽しむがええ」
- 12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/08(水) 01:51:59.50 ID:npCgQp+oO
-
(*'A`)「ぶっ飛ばされた時は鬼かと思ったが、
随分と豪気な爺さんじゃねぇか……」
/ ,' 3「ふぉっふぉっふぉっ」
陶器で出来たコップを傾け、ごくりと一口飲んでみる。
琥珀色のその酒は緩やかに喉を滑り、ほんのりと胃を暖めた。
そうやってめいていと味を楽しんでいると、心なしか口淋しくなってくる。
ドクオは背嚢から干し肉を取り出すと、噛み千切って咀嚼した。
(*'A`)「あんたも食うかい?」
木の枝でたき火をいじる老人に問掛ける。
/ ,' 3「いらんよ。気遣いは有難いがな」
(*'A`)「歯が悪いのか?」
- 13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/08(水) 01:53:23.64 ID:npCgQp+oO
-
/ ,' 3「いんや。わしは飯を食わんのじゃ。
人間が食うような物には縁が無いからのぅ」
(*'A`)「なにを馬鹿なことをwwwww
東洋の『仙人』みてぇに霧や霞でも食うってかwwwwww」
/ ,' 3「ふぉっふぉっふぉっ……近い近い、良い勘じゃ」
('A`)「え……?」
/ ,' 3「わしの腹を満たすのはのぅ……」
老人は細い腕を空へと向け、指を一本伸ばす。
/ ,' 3「この、『夜』じゃ」
―――――――――
突拍子もない老人の言葉に、
冗談はよしてくれと笑いながら酒を飲んでいたドクオは、
いつの間にか眠りに落ちていた。
- 14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/08(水) 01:54:36.55 ID:npCgQp+oO
-
(-A-)「………」
('A`)「はっ!」
突然起き上がり、辺りをきょろきょろと見渡すドクオ。
(;'A`)「夢……か」
('A`)「そうだよな……逆レイプなんて夢だよな……」
夢の内容と現実の有り様に落胆し、深く息を吐く。
森は暗闇に包まれていた。
どこまでも深い闇と耳が痛くなるほどの静寂さがそこにはあった。
('A`)「あら……?爺さんはどこ行ったんだ」
ふと気が付いた。
ここにいるのは自分一人じゃないかと。
('A`)「糞でもしに行ったのかな……?」
のそのそと立ち上がり、背筋を伸ばす。
- 15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/08(水) 01:56:17.82 ID:5+smi3kF0
- wktk
- 16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/08(水) 01:56:52.83 ID:npCgQp+oO
-
('A`)(『夜』を食うなんてボケたこと言ってたからな、
途中で漏らしてるかもしれん……様子でも見に行ってやるか)
たき火の残り火を使い、ランプに明かりをつけるドクオ。
彼はそれを手に持ち、歩き出した。
('A`)(夜の森超コエーwwwwwwこれは死ねるwwwwww)
涙を浮かべて全身を震えさせながら木々の間を進む。
空からは丸い月が光を放っていたが、
森が作る葉の屋根のせいで暗闇が居座っていた。
辺りにはドクオが土を踏む音と時折吹く風が葉を揺らす音しか聞こえない。
本当に、不気味なほどの静寂。
- 17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/08(水) 01:57:50.88 ID:yzMnTrXUO
- 期待
- 18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/08(水) 01:58:32.03 ID:npCgQp+oO
-
そこにふと、違和感が生まれた。
('A`)(静かすぎないか?)
いくら夜だといっても、
虫の鳴き声や夜行性の動物の出す物音があってもおかしくない。
いや、そうでなければ変だ。
('A`)(……!)
歩くドクオの視界が広がった。
どうやら森を抜けたようだった。
そこには崖の先で空を仰ぐように立つ、老人の姿があった。
(;'A`)(が、崖の上から小便するつもりか……?)
('A`)(なんてスケールのデカイ立ちションなんだ!!
是非、俺も混ぜてくれ!!)
ドクオは老人の隣に立つと、放尿を始めた。
- 19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/08(水) 02:00:22.65 ID:fm0CsXGjO
- 支援
- 20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/08(水) 02:00:58.20 ID:npCgQp+oO
-
('A`)「うはwwww気分サイコーwwwwww」
/ ,' 3「…………」
('A`)「見ろwwwww小便が滝のようだwwwwww」
/ ,' 3「…………」
('A`)「我はwwww立ちション界の王だwwww頭を垂れろwwwww」
/ ,' 3「……フゥゥゥー……」
('A`)「……あ?どうしたよ、爺さん?」
老人は、息を吐いていた。
絞り出すように。
('A`)「……おしっこ漏らしちゃったか?安心しろ、誰にも言わねーからよ」
/ ,' 3「………」
息を吐き出し切ると、顔を上空に向け、大きく両手を広げた。
そして目を見開き、吸い出した。
夜を。
('A`)「っ!!?」
- 21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/08(水) 02:03:02.03 ID:npCgQp+oO
-
暗闇が老人の口へと吸いこまれていく。
まるで煙を吸い込むみたいにだ。
辺りの闇は徐々に色合いを薄くさせ、老人の口へと吸飲されていった。
星が彼の元へと引き動かされ、月も移動しているように見えた。
(;'A`)「なんだ……こりゃ……」
ドクオは驚愕し、自分の目を疑っていたが、
これは紛れもない事実だった。
/ ,' 3「………」
やがて空に浮かんでいたはずの星々は、
彼の喉の奥へと沈んでいく。
すると間を合わせたかのように、
地平の先から太陽が顔を出してきた。
(;'A`)「………」
- 22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/08(水) 02:04:45.60 ID:npCgQp+oO
-
最後に残った闇の残り糟を吸い終ると、
老人は満足そうにげっぷした。
/ ,' 3「ふぉっふぉっふぉっ……堪能したのぉ……」
(;'A`)「い、今までよ……」
/ ,' 3「ん?」
(;'A`)「夜ってやつは、太陽が照らすから消えるもんだと思っていたが……
まさかあんたが食っちまってたとはな……」
/ ,' 3「実はの、太陽という奴は、暗闇が苦手なんじゃ」
/ ,' 3「お日様、なんて呼ばれることもあるんじゃがな、
あやつはああ見えて気が弱いんじゃよ」
/ ,' 3「だからわしが『夜』を飲まんと顔を出さんのじゃ」
- 23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/08(水) 02:06:17.71 ID:npCgQp+oO
-
(;'A`)「……世界は広いっつーか、俺もまだまだ知らんことが多いもんだな」
/ ,' 3「当然じゃろう。若僧が何を抜かすか」
さて、と一言呟いてから、老人はドクオに言った。
/ ,' 3「夜も明けたからの、山を降りるといい。
ここから東の方へ行けば麓の村へ出れる」
('A`)「……そうだな、行くとすよ。色々とありがとな、爺さん。
おかげで良いものが見れたしよ」
/ ,' 3「ふぉっふぉっふぉっ……達者でな、若いの」
('A`)「ああ、爺さんもな。それじゃーな」
背を向けてドクオは歩き出した。
- 24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/08(水) 02:08:13.55 ID:npCgQp+oO
-
日が登り出し、道を照らしてくれているので、
昨夜と比べては段違いに歩きやすい。
('A`)(……『夜』なんてスゲーもん吸えるんだから、
俺の『童貞』も吸ってくれって言えば良かったかな?)
ぶらぶらと進みながらそんなことを思ったが、
自分の隠部を口に含む老人を想像してしまい、ドクオはその場で嘔吐した。
――――――――――
(´・ω・`)「――凄いね、あんた。『夜飲み翁』に会えたんだ……」
('A`)「なんだよその夜飲みってのは?」
(´・ω・`)「字の通りだよ。あの爺様は夜を飲むんだ。
あんたもそれは見たんだろ?」
- 25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/08(水) 02:09:38.30 ID:npCgQp+oO
-
('A`)「ほー……あの爺さんにそんな大仰な通り名があるとはねぇ」
村に辿り着いたドクオはさっそく食堂へと足を運び、
食事をしながら店主とあの老人についての世間話をしていた。
(´・ω・`)「それにしても運が良い。滅多に会えるもんじゃないからね。
俺だって子供の頃に会ったっきりだよ」
('A`)「……会いたきゃ会いに行けばいいじゃんか。
あんな山奥じゃ退屈だろうし、喜ぶんじゃねーか?」
(´・ω・`)「そりゃ無理だ。あの爺様とは子供しか会えないんだよ。
何故かは知らないけどね」
- 26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/08(水) 02:10:06.97 ID:d1Z+pg7g0
- 支援
- 27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/08(水) 02:10:32.26 ID:d1Z+pg7g0
- ドクオ子供なのか
- 28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/08(水) 02:10:49.28 ID:d1Z+pg7g0
- 子供なのに酒飲んだのか
- 29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/08(水) 02:11:05.02 ID:npCgQp+oO
-
('A`)「あのジジイwwwwロリコンだったのかwwwwwwww」
(´・ω・`)「……あんたな、冗談でも口が過ぎるよ?
この村じゃ爺様を奉ってんだから」
(;'A`)「怒んなって……ジョークじゃんジョーク」
('A`)「って、待てよ。ガキしか会えないのに、なんで俺が会えたんだ?」
(´・ω・`)「うーん……多分だけど、そろそろ死ぬだろうから、
力が弱まってるんじゃないのかな?」
('A`)「死ぬっ!?」
(´・ω・`)「うん、そういう時期だしね。
死んだら祭りが始まるから、時間があるなら観ていくと良いよ」
- 30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/08(水) 02:12:32.04 ID:npCgQp+oO
-
(;'A`)「おいおい!何言ってんだよ!
それはただ事じゃねぇーんじゃないかっ!?」
(´・ω・`)「……どういうことだい?」
(;'A`)「つまりよ、爺さんがくだばっちまったら……夜はどうなんだ?
ずっと太陽は登らなくなっちまうんじゃねぇのか?」
店主は焦るドクオを見て、いたずらっぽく笑った。
(´・ω・`)「……確かめたかったら祭りを観る。
それが最善の解決策ってとこかな」
――――――――――
ドクオは汗をかきながら、来た道を戻っていた。
(;'A`)(まったく……せっかく下山したっつーのによ……)
- 31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/08(水) 02:13:51.28 ID:d1Z+pg7g0
- 支援
- 32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/08(水) 02:14:01.28 ID:npCgQp+oO
-
あれから店主に何度も、教えてくれと懇願したが、
ただ笑うだけで相手にしてもらえなかった。
なのでドクオは事の真相を知るために、
あの老人に会いに行くことにしたのだ。
('A`)(しかし、爺さんがくたばったらお祭りだとは……
薄情というか何というか……)
何度か木陰で涼を取りながら進むうちに、
ドクオは昨夜の崖に辿り着いた。
('A`)(……たしか、この先だったな)
森の中に踏み入り、草木をかき分け先に行く。
そしてその先にあるのは、夜を過ごした洞窟前。
着いたのだ、目的地に。
- 33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/08(水) 02:15:19.68 ID:npCgQp+oO
-
('A`)「おーい!爺さーん!どこいんだー?」
声を出しながら辺りを見渡すドクオ。
だが、昨夜の老人の姿はどこにもなかった。
('A`)「お爺ちゃぁぁぁぁぁぁんっ!!」
('A`)「どこに居るのぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!?
ご飯の時間よぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!?」
('A`)「………」
('A`)「もう死んじゃったのかな?」
ちらりと日を見るドクオ。
太陽は真上にあり、地表を照らし続けていた。
('A`)(……しっかし、爺さんがくたばっちまったら、
一体どうなっちまうんだろう……?)
- 34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/08(水) 02:16:37.82 ID:npCgQp+oO
-
(;'A`)(もう太陽は、空へと昇らなくなっちまう。
なんてことになったら偉いことになるぞ……)
('A`)「はっ!そうだ!!」
(;'A`)「お、俺がもし、この地球のピンチを救えば……
ヒーローになれるんじゃねーか!?」
('A`)「そうなりゃ世界中のギャルが
俺の股間の争奪戦をやるに違いねぇぇぇ!!」
('A`)「よっしゃ!そうと決まれば、
まずは軽く一発抜いてリフレッシュしてから――」
『やかましい……のぅ……』
ドクオの言葉を遮るかのように、声が響いた。
重くて深い、声色だった。
- 35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/08(水) 02:17:07.78 ID:hBi1h8Ke0
- 女神降臨中!!
リクにこたえます
http://school7.2ch.net/test/read.cgi/jsaloon/1186419014/
- 36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/08(水) 02:17:49.09 ID:npCgQp+oO
-
(;'A`)「っ!?」
『何をそんなに……騒いでおるのじゃ……』
(#'A`)「誰だ!?俺のスーパードリームプランに水を差すやつは!?
隠れてねぇで出て来やがれ!!」
『……なんじゃ……昨日の若者か……忘れ物でもしたのかのぅ……?』
内容と聞き覚えのある声に、ドクオはその主に察しがついた。
('A`)「爺さん、か?」
『ふぉっふぉっ……ふぉっ……そうじゃ……そうじゃ……』
('A`)「……麓の村の奴がよ、
あんたが死んじまうなんて縁起でもねーこと言うから、
ツラを拝みに来たんだよ」
- 37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/08(水) 02:19:09.28 ID:npCgQp+oO
-
『……そいつは……ありがたい……のぅ……』
('A`)「よう、せっかく来たんだから、茶の一つでも出してくれよ。
つーか、姿ぐらい見せろ」
『してやりたい……のは……やまやまじゃが……』
『もうからだが……うごかん……のじゃ……』
(;'A`)「……爺さん?」
『ふぉっ……ふぉっ……こっちじゃ……こっちに……こい……』
('A`)「鬼さーんこちら!手の鳴る方へ!ってか」
老人の呼ぶ声に誘われて、足を動かすドクオ。
その方向は、洞窟内部だった。
- 38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/08(水) 02:20:14.66 ID:npCgQp+oO
-
('A`)(穴蔵にお呼ばれね。
同じ穴なら女のもんに誘われてぇもんだかな)
('A`)「ほれ爺さん、プリティドックンの参上だぜ?
いったいどこに居るんだよ?」
『ここじゃ……ここじゃ……めのまえじゃ……』
(;'A`)「っ!?爺さん……?」
暗い洞窟内部。
その闇より遥かに暗くて丸い物体が声を出していた。
(;'A`)「これが……爺さん……か?」
『そうじゃ……そうじゃ……』
大きさは両手に抱えられるぐらい。
ぶよぶよとしてそうな見た目に、所々星の様な光がぽつぽつとあった。
その物体から、老人の声がしていた。
- 39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/08(水) 02:21:26.56 ID:npCgQp+oO
-
『夜を……すいすぎると……こうなる……これはしかたのない……ことじゃ』
(;'A`)「……ガチで死ぬのか?あんたは死んじまうのか?」
『……そう……じゃ』
(;'A`)「あんたが死ぬと、夜と太陽はどーなるんだよ?」
『…………』
(;'A`)「……爺さん?」
『…………』
('A`)「死んだ、のか?」
恐る恐る何度か叩てみる。
だが何も反応は無い。
その球体は、沈黙を保っていた。
('A`)「……やれやれ」
溜め息をついて腰を下ろすドクオ。
('A`)(なにがなんだか分からねぇが……成り行きを見守るしかないよな)
- 40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/08(水) 02:22:51.19 ID:npCgQp+oO
-
そう思いながら彼は、待つことにした。
老人の死が起因するであろう、何らかの事態が起こるのを。
――――――――――
ドクオはぼんやりと老人であった物体を見つめながら、
脳内で性交を想像し続けていた。
そしてその回数が63回目に達した時、呟いた。
('A`)「何も起きやしねーなぁ……」
時間を知るために、外にある太陽を見た。
その位置から、もうすぐ夕方か、と彼は思った。
('A`)「……果たして、夜明けはやってくるのかねぇ……」
- 41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/08(水) 02:23:54.80 ID:npCgQp+oO
-
ドクオは憂鬱そうに言うと、
ごろりと横になって、夜の帳が下りるのを待ち続けることにした。
――――――――――
あれから更に長い時が流れ、
やがてドクオはあることに気付いて半狂乱になった。
(;'A`)「はあぁぁぁぁっ!?」
その原因は、夜が来なかったせいだ。
どれ程待とうと、日は沈まなかったのだ。
(;'A`)「ホワイ、ホワーイ!なぜなぜどーして!?」
頼りないとはいえ、体内時計ではとっくに夜でもおかしくないはずだった。
でも日の光は変わらずにあった。
(;'A`)「コエェェェェッ!超コエェェェェッ!!」
- 42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/08(水) 02:25:22.68 ID:npCgQp+oO
-
困惑し、混乱したドクオは、辺りをぐるぐると走って周り出した。
やがて諦めたように両手を上げて立ち止まる。
\('A`)/「人類オワタ」
立ち尽くすドクオ。
彼の顔はなぜか達観していたかのように穏やかだった。
だがその表情はすぐにそれは崩された。
(;'A`)「ちょっと待ったぁぁぁぁぁぁぁ!!」
('A`)「このまま、地球が滅亡しちまったら……」
(;'A`)「俺wwww童貞のままwwwww人生終了wwwwwwwww」
('A`)「うぇwwwwwwうぇwwww余は魔法使いであるぞよwwwww」
- 43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/08(水) 02:26:56.10 ID:npCgQp+oO
-
(#'A`)「って!このまま死ねるかぁぁぁぁぁぁっ!!」
ドクオは怒鳴りながら地駄団を踏む。
そして声を荒げながら、続けて言った。
(#'A`)「土下座で懇願!!現金で交渉!!」
(#'A`)「……他に方法が思いつかねぇが、
なんとしてでも脱☆童貞を成し遂げてやる!!」
全速で駆けるために、柔軟体操を始める。
('A`)(やるぞ……やってやる!!俺はセックスマシーンだ!!)
いざ走ろう、と思って構えたその時、
どこからか音がした。
('A`)「……?」
それは深く響いて柔い、どくんどくん、といったものだ。
- 44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/08(水) 02:28:05.20 ID:npCgQp+oO
-
('A`)「こいつから……か?」
老人だった黒い物体。
そこから発せられているようだった。
('A`)「………」
手を伸ばし、触れてみる。
それには暖かい温もりと、鼓動があった。
('A`)「まさか……胎動ってやつか?」
呟いた言葉と共に、さきほどの店主の言動を思い出す。
('A`)(そーいや、やけに落ち着いてたよな……
それにあっさり『死ぬ』だなんて……)
('A`)(待てよ……『時期』に『奉る』……そんで『祭り』……)
('A`)「っ!!」
ああ、そういうことか、とドクオは納得した。
- 45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/08(水) 02:28:41.06 ID:npCgQp+oO
-
('A`)「爺さん……あんたは、『生まれ変わる』んだな」
ぼりぼりと頭を掻いて、座り直すドクオ。
そして黒色の物体を眺めながら言った。
('A`)「いっぺん死んで、また産まれるんだ。なあ、そうだろう?」
('A`)「そんで、そのことをあの村の連中は知ってたんだ。
なんせ、あんたを崇めてるぐらいだしよ」
('A`)「つまり祭りっつーのは、生誕祭……いや、『復活祭』ってとこかな?」
腕を組み、うなずきながら喋り続けるドクオ。
('A`)「残った疑問はいっこだけ。この昼間みてぇな夜だ」
- 46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/08(水) 02:28:44.68 ID:d1Z+pg7g0
- 支援
- 47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/08(水) 02:31:29.52 ID:npCgQp+oO
-
('A`)「でもそれについては、あんたヒントをくれたよな?」
/ ,' 3『お日様、なんて呼ばれることもあるんじゃがな、
あやつはああ見えて気が弱いんじゃよ』
/ ,' 3『だからわしが夜を飲まんと顔を出さんのじゃ』
('A`)「つまり……夜にビビって沈まねぇんだ、あの太陽様はよ。
とんだ腰抜な甘ちゃんボーイだぜ」
('A`)「……どうだい?当たりだろ?」
微笑んで、老人だった物を撫でるドクオ。
黒いそれは、ぶるりと震えた。
- 48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/08(水) 02:32:48.33 ID:npCgQp+oO
-
('A`)「……正解だって誉めてくれてんのか?」
('A`)「もしそうなら、ご褒美をもらわなくちゃな」
ドクオは立ち上がって洞窟の奥へと進んだ。
そしてその先にある酒棚から一本拝借し、座っていた場所に戻った。
('A`)「こいつを呑ませてもらいながら、
あんたが目を覚ますのを待たせてもらうよ」
('A`)「そしたらまた『夜』を飲むとこを見せてくれ。
ありゃ、絶景だった。もっぺん見たいんだよ」
蓋を取り、酒を飲んだ。
相変わらず、美味かった。
手で口許を拭って外に目を向けると、
一向に沈む気配の無い太陽がある。
ドクオはそちらを見ながら乾杯、と小さく呟く。
- 49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/08(水) 02:33:29.83 ID:npCgQp+oO
-
老人が起きたらどんな言葉で挨拶しようかと考えながら、
光続ける夜を見つめ続けていた。
やがて、山並みに産声が上がる。
それは新しい夜を知らせる声だった。
了
- 50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/08(水) 02:34:47.75 ID:npCgQp+oO
- 以上でおしまい。
支援くれた人や読んでくれた人、ありがとさんでした。
- 51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/08(水) 02:36:06.40 ID:ccOpz8JW0
- 乙!面白かった
- 52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/08(水) 02:37:21.64 ID:YgNN9ljn0
- おつかれさん
- 53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/08(水) 02:37:33.10 ID:orEJd2LTO
- 乙!なかなか面白い。
なんだか古典の物語みたいだ。
- 54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/08(水) 02:37:57.69 ID:lHGpNN3DO
- 乙
- 55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/08(水) 02:42:29.04 ID:iRiOZJczO
- 今からよむ保守
- 56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/08(水) 02:44:18.48 ID:FDlNn8mO0
- 良かったよ
- 57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/08(水) 02:45:05.34 ID:uL4oH/4CO
- >>1乙
面白かったし楽しめたよ
- 58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/08(水) 02:46:30.86 ID:d1Z+pg7g0
- 乙です
これって元ネタのある話なんですかね
- 59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/08(水) 02:50:40.82 ID:iRiOZJczO
- 乙!面白かった
- 60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/08(水) 02:55:35.12 ID:npCgQp+oO
- 我慢してたトイレから戻ってみれば、
なんという乙の突風。
間違えなく涙腺決壊。
>>58
ありません。
現行書いてた時に、ふと「夜を飲む」っていう言葉を思い付いたから、
ちょっと気分転換にこれで一本書いてみよーかなー、と。
- 61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/08(水) 03:09:06.45 ID:FSemO6fW0
- 乙!
明日になりますがまとめてもよろしいですか?
- 62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/08(水) 03:13:46.02 ID:DXjESKh5O
- 乙
思い付きで書いたのか・・職業そっち系?
- 63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/08(水) 03:14:48.65 ID:d1Z+pg7g0
- 咀嚼とか普段使わない言葉ですよね
本あまり読んでない自分は読み方がわからなくてぐぐってしまった
- 64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/08(水) 03:18:09.31 ID:orEJd2LTO
- >>63
しかしブーン系ではよく使われる。
昔はそうでもなかったんだけどね。
多分、何かの作者の影響だろうなぁ。
- 65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/08(水) 03:19:38.71 ID:d1Z+pg7g0
- >>64
そうなんですか
もっと精進します
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