(´・ω・`)は狼少年のようです
- 1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/13(金) 23:17:07.11 ID:3c2F703q0
- 第一話
http://www.uploda.org/uporg902257.txt
前スレ
http://wwwww.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1184172674/
第二話投下します。
- 2 名前:1 :2007/07/13(金) 23:18:00.03 ID:3c2F703q0
-
もう、時間がない。
私には、何よりも時間がない。
私はあまりに老いすぎた。
もう一度。
ほんの少しの間でいい。
せめて、もう一度だけ私は――――
「(´・ω・`)は狼少年のようです」
- 3 名前:1 :2007/07/13(金) 23:18:53.53 ID:3c2F703q0
- 第二章『CALLING』
昼下がりの本屋。
本来ある筈のない姿がそこにはあった。
(´・ω・`)「………」
憂鬱そうな表情で本を立ち読みする制服姿のショボンだった。
学校はとっくに始まっており、既に二限目が終わろうかという時間である。
そんな時間に本屋で立ち読みをしている彼は明らかに異端だ。
- 4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/13(金) 23:20:06.69 ID:3c2F703q0
- (´・ω・`)(ハルヒは読み終わったし、次は何を読もうかな……)
うろうろとライトノベルコーナーを彷徨うショボン。
居場所のない学校に行くのは彼にとっては苦痛以外の何物でもない。
かと言って学校をずる休みして家にいても両親にがなりたてられるし、
出かけるふりをしてサボっても学校から家に連絡がいってしまう。
だからせめてこうやって学校に行く前に適当に時間をつぶし、午前中の授業だけでもサボる。
ショボンなりのささやかな反抗だった。
この本屋は彼のお気に入りだ。
ゲームセンターでは店内を徘徊している店員やDQN集団に気を使わなければならない。
映画館は比較的周囲に気を配らなくてすむが、時間を潰すという目的のためだけにはチケット代が高すぎる。
様々な試行錯誤を重ねた結果、本屋での立ち読みが一番であるという結論に辿りついた。
とはいえ、ここにもデメリットが全くない訳ではない。
- 5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/13(金) 23:21:11.50 ID:3c2F703q0
- (ゝ○_○)「ちょっと、君」
(´・ω・`)「!?
え、う、あ……」
唐突にメガネをかけた男に声を掛けられる。ショボンは焦った。
ああ、これはまずい。
彼の経験からすれば、おそらくこれは……
(ゝ○_○)「私は一応警官なのだが。
君は制服から見てVIP高校の生徒のようだが、何故今こんなところにいるんだい?」
私服警官の見回り。
普通の学生ならば学校で授業を受けているであろう今の時間に
本屋で立ち読みをしている制服のショボンが警官の目にどう映ったか、考えるまでもない。
(ゝ○_○)「……サボりは、よくないね」
(´・ω・`)「………」
(ゝ○_○)「さぁ、早く学校に行きなさい」
うなだれ、無言で本屋を出るショボン。
孤独な彼の居場所はここにもなかった。
- 6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/13(金) 23:22:34.03 ID:3c2F703q0
- がらら、と扉を開け、ショボンは教室に入る。
瞬間、静まる教室。遅刻してきたショボンへと集まる奇異の目線。
一瞬の空気の澱みのあと、何事もなかったかのように再び教室は活気の空気に包まれた。
(´・ω・`)(……いつものことだけど、やっぱり気まずいな)
('A`)<ヽ`∀´>( ^ω^)「ヒソヒソ……ヒソヒソ……」
クラスメイトの話し声が嫌でも耳に入ってくる。
ヒソヒソと話す声。わざと遅刻してきた自分を嘲笑うかのような声。
時折チラチラと見られているように見えるのは、自分の気のせいなのだろうか。
自分はクラスメイトの笑い者になっているのか。
( ^ω^)「おっおっお!遅刻常習犯のショボンだお!」
すぐにショボンの下に飛んできてちょっかいを出し始めるブーン。
ショボンがいつものだんまりを決め込んでいると、すぐに仲間の輪に帰っていった。
ブーンの性格からして嫌がらせではなくて、ただからかいに来ただけなのだろうが。
- 7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/13(金) 23:24:25.90 ID:qOsFys/XO
- 支
- 8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/13(金) 23:24:26.71 ID:3c2F703q0
- ξ゚听)ξ「……」
ふと、ある女子と目が合う。
(´・ω・`)(……あ、ツン)
彼女はツンデレ。学校内ではツンという愛称で通っている、金髪ロールの美少女だ。
校内人気女子ランキングにて圧倒的大差で一位に選出されるほどの容姿を持っていたが、
それとは反対に性格には少々難があった。
多くの男子からの猛烈なアタックにも関わらず、その悉くを一度もまともに取り合わずに
完全撃墜してきたという噂の非常に気難しい性格の持ち主なのだ。
彼女にフられた者の中には、ショックでその翌日に学校を辞めてしまった者もいるほどだ。
だがその攻略難易度の高さにも関わらず、未だに彼女へと想いを焦がす男子は多い。
無理だと分かっているからこそ逆にどうしてもそれが欲しくなるという、人間の性だろうか。
いずれにしろ、彼女に想いを寄せるものはみな等しく無謀な挑戦者なのである。
- 9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/13(金) 23:26:18.55 ID:3c2F703q0
- そしてショボンもその挑戦者のうちの一人であった。
普通の男子生徒でさえ軽くあしらわれると言うのに、
惨めで孤独な落伍者である自分と学園のヒロインである彼女が吊り合う筈がない。
分かっている、それは十分に分かっている。
それを理解していても、恋心は残酷にも彼を追い立て続けるのであった。
ξ゚听)ξ「……」
(;´・ω・`)「……」
偶然とはいえ、目が合ってしまった。
気まずい。
沈黙が重い。
たった一瞬の出来事の筈が、永遠のように感じられる。
頭を逆さまにして、ありとあらゆる話の糸口になりそうな思考を放り出す。
何か、何か。
何か、話さねば。
- 10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/13(金) 23:27:54.00 ID:3c2F703q0
- (;;´・ω・`)「えっと、あの……」
ξ--)ξ「……ふん」
つい、と強引に目をそらされる。
終わった。
また、自分は何も話せなかった。
10秒にも満たないほんの些細な関わりだったが、
根本からネガティヴなショボンを打ちのめすには十分過ぎる出来事だった。
マイナスの思考に拍車がかかり、暗澹たる気分でよろよろと席に着く。
今のもクラスの奴らは見ていたのだろうか。
全くもって素晴らしい。もしこの場に銃があったら即座に自分の頭を撃ち抜きたい気分だ。
(´-ω-`)(まぁ、もうどうでもいいや……)
周囲の喧騒から逃げるように、ショボンは@-PODのイヤホンを耳に押し込んで机に突っ伏した。
- 11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/13(金) 23:29:19.73 ID:3c2F703q0
- その日の深夜、再び彼は例の廃ビルの屋上に来ていた。
ショボンはこのところ毎日のようにこの秘密の場所を訪れている。
それだけ変わり映えのない憂鬱な毎日にうんざりしているのだ。
特に、今日の昼のツンとのやり取りは堪えた。
今更という感じだが、こんな根暗な自分は間違いなく彼女には嫌われているだろう。
自分は嫌われている。
恋心を抱く相手にも、クラスメイトにも、この社会にも。
いや、ひょっとしたら神様にも嫌われているのかもしれない。
そうでなくてはこんなに惨めな人生を送っていないだろう。
友人もなく、ましてや恋人なぞいる筈もなく、全てに嫌われ続けるだけの何もない人生。
- 12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/13(金) 23:30:33.54 ID:3c2F703q0
- それならそれでいい。
この場所だけは自分を嫌わないでいてくれる。
寂れた無機質な屋上と、夜空に輝く月と極上の星空だけは自分を受け入れてくれる。
まさにここは彼の聖地だった。
この場所だけが彼を受け入れ、彼に心の底からの安心と安らぎを与えてくれた。
いつものように寝転び、大きく伸びして夜空を見上げる。今夜は満月だった。
(´・ω・`)(綺麗だな……)
煌々とその身を輝かせる満月は、いつも以上に怪しく、神秘的な美しさを纏っている。
昔から満月が人を狂わせるという話はよく聞くが、
今夜の満月を眺めているとそんな与太話も本当のように思えてくる。
- 13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/13(金) 23:32:12.46 ID:3c2F703q0
- (´・ω・`)「やあ、今晩は。……すごく、綺麗だね」
思わず、挨拶と褒め言葉を口にしてしまう。
そういえば、今日まともにしゃべったのはこれが初めてだった気がする。
思わずショボンは苦笑を漏らした。
今日唯一話した言葉が満月相手だけだなんて、なんとも滑稽ではないか。
そう、相手は夜空の満月。しゃべるどころか、声さえ届くはずのない相手。
『ふふ、そうともそうとも。わっちは美しいじゃろ』
だから返事が返ってくるなんて、まさか夢にも思っていなかった。
- 14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/13(金) 23:33:09.36 ID:mkqiXxmS0
- ktkr支援
- 15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/13(金) 23:34:00.51 ID:3c2F703q0
- がば、と反射的に立ち上がり。
(´゚ω゚`)「……」
見上げて。
( ω )「……」
見下ろす。
確かに声が聞こえた。
今のは空耳だろうか。……いや、そうでなければなんだというのだろう。
ここには自分以外には誰もいない。
まさか月がしゃべるはずがない。自分の寂しさのあまり聞こえてきた幻聴なのだろう。
そうに違いない。ショボンはそう決め付けた。
「どうしたのじゃ?」
そして、その考えはすぐに否定された。
背後から聞こえた、先ほどと同じ声。
有り得ない。こんな真夜中に、こんな寂れた場所に入ってくる人が自分以外にいるものか。
だが、声が聞こえたということは、そこに誰かがいるということも認めざるを得ない事実。
その正体を確かめるべく、ショボンはゆっくりと振り返る。
- 16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/13(金) 23:35:12.56 ID:3c2F703q0
-
川 ゚ -゚)「……」
果たして、そこには女性が立っていた。
腰まで届きそうな美しい長髪を持ち、まるで満月のようなミステリアスな雰囲気を帯びた女性。
街中ですれ違えば十中八九の男が振り返るであろう美人。
だが、その美貌にはごく一般に美人と呼ばれる女性たちとは一線を画す何かがあった。
ただの美しさだけではなく、どこか………何かしら、人間離れした美しさが。
- 17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/13(金) 23:35:35.43 ID:mkqiXxmS0
- wktk
- 18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/13(金) 23:36:17.02 ID:3c2F703q0
- 驚きも手伝い、しばし我を忘れて彼女に見惚れるショボン。
(´・ω・`)「……」
川 ゚ -゚)「……」
見つめ合うこと、時間に直して数十秒。
その後。
思い出したようにショボンは当然の疑問を投げかける。
- 19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/13(金) 23:37:29.52 ID:3c2F703q0
-
(´・ω・`)「……えっと」
川 ゚ -゚)「?」
(´・ω・`)「……誰?」
満月の下、突如現れた謎の女性。
かくしてショボンの数奇な運命の歯車は回り始めた。
第二話『CALLING』fin...
- 20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/13(金) 23:41:34.98 ID:3c2F703q0
- 第二話キーワード
「謎の声、高嶺の花、クーとの出会い」
読んでくださった方、支援してくださった方、ありがとうございました。
次回は第三話『RUN』です。
もし見かけたら立ち寄ってもらえると幸いです。
そういえば次回投下予定は書かない方がいいのかな?
前回それしたら叩かれたので。
- 21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/13(金) 23:43:20.86 ID:hagSqQQt0
- 乙
予定を書いてくれるとうれしいんだけど。
- 22 名前:サザソのトリヴィア :2007/07/13(金) 23:43:48.51 ID:HyhzApwp0
- サザンのトリビリア
- 23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/13(金) 23:45:32.87 ID:3c2F703q0
- >>21
次回は日曜に投下予定です。
- 24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/13(金) 23:47:31.87 ID:mkqiXxmS0
- 乙
まとめ依頼してもいい?
- 25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/13(金) 23:49:11.80 ID:hagSqQQt0
- >>23
ありがとう。期待してるよ。
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