370 :1 ◆fMqrvr1rTs :2007/02/17(土) 02:01:34.33 ID:ZITH+U/a0
六話 マンション


( 'A`)「・・・なんという目覚めこれは間違いなく早起き」

何か訳がわからないまま目が覚めた。
なんというかいきなりパッと目が覚める時ってたまにあると思うんだ。今まさにその状態。

しかし良く眠った気がする。
とはいってもクーもまだ起きていないし・・・早起きは三文の得っていうし今日は何かいいことあるかもしらんね。

( 'A`)「さーてと・・・何時かな」

携帯を開け時間を確認する。

( 'A`)「・・・あれ夢か?」

もう一度確認する。

( 'A`)「・・・午後の12時っすか」

全く早起きじゃねぇ・・・


371 :1 ◆fMqrvr1rTs :2007/02/17(土) 02:02:42.28 ID:ZITH+U/a0
川 -)「・・・ん・・・」

( 'A`)「お、お目覚めか」

川つ -゚)「・・・正直まだ眠い」

起きたもののまだ眠そうに目をこすっている。
とりあえずクーさん今の時間を見てくださいよ。俺ら寝すぎちゃいましたよ。

( 'A`)「クーどうやら俺らは眠りまくっていたようだ」

川つ -゚)「ん・・・?」

クーも携帯を取って時間を確認する。

川 ゚ -゚)「・・・」

もう一度確認する。

川 ゚ -゚)「・・・じーざす」

( 'A`)「あんびりーばぼーだろ?」

川 ゚ -゚)「すごく・・・信じられないです・・・」


372 :1 ◆fMqrvr1rTs :2007/02/17(土) 02:03:11.94 ID:ZITH+U/a0
( 'A`)「まあアホはこのへんにして、今日は買出しにでも行こうか」

川 ゚ -゚)「そうだな・・・ついでに東京観光とでも行こうか」

( 'A`)「あまり買いすぎないように気をつけないとな」

川 ゚ -゚)「ついでにスリにも気をつけなくてはな。」

( 'A`)「お金どれくらい持っていこうか?」

川 ゚ -゚)「1、2万くらいで充分じゃないか?」

( 'A`)「そんなもんか?」

川 ゚ -゚)「そんなもんだろう。ベッドとかそんな大層なものを買うわけでもないだろう?」

( 'A`)「あーそうだな。基本的には食材とかだな」

川 ゚ -゚)「冷蔵庫がないんだがどうする」

( 'A`)「・・・どうしようか」


どうしようかと少し悩んでいるとインターホンの馴染みの音が鳴る。


373 :1 ◆fMqrvr1rTs :2007/02/17(土) 02:03:58.96 ID:ZITH+U/a0
从 ゚∀从「もしもしー」

( 'A`)「あ、はーい」

この声は高岡さんか。どうしたんだろう。

从 ゚∀从「配達業者の方が来ていますけど」

( 'A`)「あ、通してもらえますか?」

从 ゚∀从「はい分かりましたー」

( 'A`)「お願いします」

从 ゚∀从「あ、そうでした」

( 'A`)「?」

从 ゚∀从「昨晩夢など見ましたか?」

( 'A`)「え?」


374 :1 ◆fMqrvr1rTs :2007/02/17(土) 02:04:31.40 ID:ZITH+U/a0
从 ゚∀从「いえ、この部屋に止まった人は大体空想の夢が広がってしまうそうなのです。」

(;'A`)「・・・そうなんすか」

从 ゚∀从「えぇ、それも天と地くらい差がある夢を二つ見るそうです」

(;'A`)「なんかそんなん見たような気がする・・・」

从 ゚∀从「まあ、全部空想らしいから気にしない方がいいらしいですけどね。それでは配達業者の方を呼んできます」

( 'A`)「どもっす」

それだけ言うと高岡さんが去ったのか足音が遠のいていった。
業者さんを呼びにいったのだろう。

川 ゚ -゚)「とりあえず荷物を整理してから買出しに行こうか」

( 'A`)「だな」

しばらく待っていると業者の人がやってきて荷物をどんどんリビングへと運んでいった。
いざその量を見てみるとさほど多くは無かった。もう少し持ってきても良かったかもな・・・


376 :1 ◆fMqrvr1rTs :2007/02/17(土) 02:05:17.74 ID:ZITH+U/a0
配達員「これで終わりですー」

( 'A`)「ご苦労様です。飲み物とかあればよかったんですが・・・」

配達員「いえいえwそれで・・・代金9500円ですね」

( 'A`)「あ、はい・・・おつりありますか?」

配達員「はい」

( 'A`)「それじゃこれで」

配達員「一万円で・・・はい500円のお釣りです。ありがとうございましたー」

( 'A`)「どうもー」

川 ゚ -゚)「ありがとうございましたー」

配達員の人が一礼して、部屋を出て行った。
さてと・・・

( 'A`)「それじゃ荷物の整理と行こうか」

川 ゚ -゚)「了解」

ダンボールにつめた荷物を片っ端から開けて取り出す。

377 :1 ◆fMqrvr1rTs :2007/02/17(土) 02:06:11.49 ID:ZITH+U/a0
川 ゚ -゚)「まあ、過ぎたことは仕方ない。とりあえず荷物の整理もタンスとか何もないから無理だからな。買出しにでも行こうか」

( 'A`)「拒否権は一切ない」

川 ゚ -゚)「その前にだ」

( 'A`)「ん?」

川 ゚ -゚)「鍵とか貰ったか?」

( 'A`)「・・・ノー」

川 ゚ -゚)「貰いに行くか」

( 'A`)「いや、電話して届けてもらおう」

川 ゚ -゚)「分かった」

携帯を取り出し発信履歴から高岡さんに電話をかける。

378 :1 ◆fMqrvr1rTs :2007/02/17(土) 02:06:39.90 ID:ZITH+U/a0
从 ゚∀从『はいこちら高岡マンション』

( 'A`)『あ、もしもし。ドクオですけど』

从 ゚∀从『あ、はい。どうしました?』

( 'A`)『鍵とかもらえますか?』

从;゚∀从『渡すの忘れてました?』

( 'A`)『はい』

从;゚∀从『直ちにもってあがりますから待ってて下さい!』

( 'A`)『あ、どうもありがとうございます』

数分と経たずに高岡さんは鍵を届けに来てくれた。
なんとも仕事熱心な人だな。と実感した。

それから東京のことをまだあまり知らないから少し話を聞こうと思ってまだ何もない家にあがってもらうことにした。

379 :1 ◆fMqrvr1rTs :2007/02/17(土) 02:07:08.21 ID:ZITH+U/a0
川 ゚ -゚)「お茶も出せませんが、どうぞ」

从 ゚∀从「あ、いえいえお構いなく」

( 'A`)「東京のことがあまりわからないので少し聞いてもいいですか?」

从 ゚∀从「いいですよ。あ、その前に私からも質問いいですか?」

( 'A`)「?はい、どうぞ」

从 ゚∀从「先程夢を見るという話をしましたが覚えていますか?」

( 'A`)「えぇ、はい。覚えてます」

从 ゚∀从「あの夢は確かに予知夢などとは違うらしいのですが少し似たことが起こるらしいです。これは以前に専門の御払い師の方に頼んでお払いをしてもらったのですが未だに夢など色々とした摩訶不思議なことが起こるみたいで・・・」

( 'A`)「・・・kwskお願いします」

从 ゚∀从「以前、この部屋で夫婦が自殺をしました。このことはお話しましたか?」

( 'A`)「・・・いえ」

・・・聞いてはならないことを聞いている気がする。
でも、聞いていないと。これからクーと一緒に住むのだから・・・


380 :1 ◆fMqrvr1rTs :2007/02/17(土) 02:09:17.83 ID:ZITH+U/a0
从 ゚∀从「夫婦はとても仲が良かったです。越してきた時も二人の世界のようなものも作っているほどに・・・
     それまで順調に仕事をこなし、家庭は平和でした。
     ・・・しかし、夫の方がある日仕事で大きなミスをしてしまったらしく会社をクビになりました。勿論それだけでは自殺まで結びつくほどではありません。
     ある日友達から電話がかかってきたそうです。
     『助けてくれ!もう駄目なんだ・・・!』と。
     勿論夫の方は親身にその話を聞きました。なんでも多額の借金を抱えてしまったらしく保証人になって欲しい。とのことだったそうです。
     夫の方はその友人を見捨てることなど出来ず保証人になったそうです。それからしばらくしてその友人の方との連絡が途絶えました。
     そして借金が全て夫婦に降りかかり、毎日借金取りからお金を貪られていく毎日を過ごしていたそうです。最初の方はまだ必死に仕事をして借金を返していました。
     しかし額が額だったそうです。次第に夫婦から笑顔が消え、夫の方が段々と鬱病と化していっていたそうです。その時二人は笑顔で「まだ逝くべきじゃないかもしれないけど・・・未練は残したら駄目だと思うんだ」と言ってたらしいです。
     あくまで霊媒師の方に聞いた話なので信憑性はあまりないものかとは思いますが。そして二人はそれからしばらくしてこの部屋で心中した。という話です」

( 'A`)「・・・」

初めて聞いた。
怪談話とかそんなんじゃない。
事実、現実でこの部屋で起きていたことだ。


390 :長いバーボン失礼しました・・ ◆fMqrvr1rTs :2007/02/17(土) 03:02:00.87 ID:ZITH+U/a0
川 ゚ -゚)「・・・それから何年経ったのですか?」

从 ゚∀从「おおよそ20年といったところでしょうか」

川 ゚ -゚)「・・・お払いをしてもらったのは?」

从 ゚∀从「事件が発生して1ヶ月以内に一度してもらったのと、5年後と10年後と今年に入って一度ですね。あ、それとあまり関係はないのですが線香花火とかを事件前にしていたそうです」

川 ゚ -゚)「(線香花火・・・あまり関係はないっぽいな)それでも未だに夢を見る人はいると?」

从 ゚∀从「はい。それもほとんどの皆さんが同じ夢だそうです」

川 ゚ -゚)「・・・kwsk」

从 ゚∀从「夫婦が過ごしてた日が飛び飛びに出てくるそうです。例えば幸せな日常だったり、例えば切羽詰まった日だったり・・・」

( 'A`)「・・・!」

思い出した。
夢の内容を。
・・・間違いない

391 :1 ◆fMqrvr1rTs :2007/02/17(土) 03:02:58.47 ID:ZITH+U/a0
从 ゚∀从「?ドクオさんどうかしましたか?顔色が少しよくないですよ?」

( 'A`)「・・・夢の内容を思い出しました」

从 ゚∀从「・・・話してもらえますか?」

( 'A`)「・・・はい」

俺は夢に出てきた話を思い出した分全てを話した。
幸せそうにケーキを食べていたときの夢
表情が冴えずに二人の仲がよくない状態の夢
出来る限り鮮明に、事細かに話した。

从 ゚∀从「・・・同じですね」

( 'A`)「・・・?」

从 ゚∀从「以前に出て行った方と同じ夢を見ています」

( 'A`)「え・・・?」

从 ゚∀从「幸せそうにケーキを食べていて、そこから夢がいきなり途絶えて次に見たのが夫婦仲が悪化している状態。以前に出て行った方も同じようなことを言っていました。」

( 'A`)「・・・」

392 :1 ◆fMqrvr1rTs :2007/02/17(土) 03:03:49.81 ID:ZITH+U/a0
从 ゚∀从「そう不安そうな顔はなさらないで下さい。大丈夫です。20年経った今でも事件は一切起こっていませんから」

川 ゚ -゚)「少し聞いてもよろしいでしょうか?」

从 ゚∀从「?えぇ」

川 ゚ -゚)「言えない事情があるのでしたらいいのですが、どうして越していったりしたのですか?」

从 ゚∀从「あぁ・・・不気味になり出て行った方もいますし、お金が貯まったので新しいとこに越していった方がいたりしたので」

川 ゚ -゚)「なるほど」

从 ゚∀从「・・・少し空気が冷めてしまいましたね。申し訳ありません」

( 'A`)「いえ、自分達がこれから住むのですからいいんです。お気になさらず」

从 ゚∀从「ありがとうございます。・・・それでは東京のことでもお話しましょうか」

(*'A`)「えぇお願いしますw」

薄気味悪い話でもあったが、それはもう気にしないことにした。
確かにここでは自殺という事件があった。
でも、それはもう20年も前のこと。
気にする必要もないだろうしな。

それからしばらく東京のことを聞いた。
観光に行くならあそこが良いやら食品を買うならあのスーパーがいいだの。
何より耳よりな情報だったのはデパ地下とやらにいけば無料で色々なものが食べられるということだった。


393 :1 ◆fMqrvr1rTs :2007/02/17(土) 03:04:20.09 ID:ZITH+U/a0
( 'A`)「色々とありがとうございました」

从 ゚∀从「いえいえ、自分も久しぶりに人と話が出来たので楽しかったところもありましたから」

川 ゚ -゚)「今度はお茶でも出しますよ」

从 ゚∀从「それはそれはwああ、そうでした。事務所に連絡するより携帯に電話をかけてもらったほうが都合が良いのでまた連絡する際はこちらにお願いします」

そういうと高岡さんはズボンのポケットからメモ用紙を取り出し早々と電話番号を書いて俺に渡した。

( 'A`)「あ、どうもありがとうございます」

从 ゚∀从「いえいえ、それでは私は失礼します」

川 ゚ -゚)「またいつでもお越しください」

从 ^∀从「えぇ、どうもありがとうございます」

最後に笑顔を見せて高岡さんは部屋を出て行った。
高岡さんが帰ってから俺は残りの貯金のことや、これから必ず就く仕事についていろいろと考えていた。

川 ゚ -゚)「ドクオ」

( 'A`)「・・・え?あ、何?」

川 ゚ -゚)「・・・まさかあんな話があるとはな」

この部屋での事件ことか・・・

395 :1 ◆fMqrvr1rTs :2007/02/17(土) 03:05:26.73 ID:ZITH+U/a0
( 'A`)「びっくりした。そうとしか言い様が無い」

川 ゚ -゚)「3万円は確かに安いと思ったけどまさかこんなことになっているとはな」

( 'A`)「流石兄弟もちやほやそんなこと言ってしな。しかしまさかだった」

川 ゚ -゚)「まあでも20年も経って、定期的にお払いもしているようだし大丈夫だよね?」

( 'A`)「そのへんは大丈夫だろ。高岡さんも何も起こってないって言ってたしな」

川 ゚ -゚)「そうだなw」

( 'A`)「さて、と・・・それじゃ買出しにでも行くか!良い店とか教えてもらったしな!」

川 ゚ -゚)「うむw」

不安要素もかなり多いけど俺らの東京での生活が始まった。


六話 おわり


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