345 :1 ◆fMqrvr1rTs :2007/02/17(土) 00:03:19.97 ID:ZITH+U/a0
五話 夢

目が覚めた。
でも意識はもうろうとしてて視点がしっかり定まらない。
視界が揺らいでて綺麗に景色が見えない。

川 ゚ ー゚)「ドクオ!ケーキを焼いたんだ!」

( '∀`)「mjd?」

川 ///)「初めてだから・・・その・・・美味いかどうかはわからないけど・・・」

( '∀`)「そんなもん関係ないさ」

クーとやりとりしている俺がいる。
・・・あれ?俺はここにいるのに・・・
どうして俺が?
・・・?

川 ///)「食べてみてくれ・・・」

( '∀`)「喜んで頂きます」

346 :1 ◆fMqrvr1rTs :2007/02/17(土) 00:03:49.69 ID:ZITH+U/a0
俺の見えている俺はクーの焼いたケーキが目の前に置かれていていつの間にか用意されていたフォークで食べようとしている。
お世辞にも綺麗とは呼べないつくりだ。
生クリームが少し溶けていて丸いホール型のケーキらしき形のものはあるが形が崩れて丸というよりかは四角といった感じ。
そのケーキはいつの間にか八等分に切られていてその一等分を皿に乗せられている。

机に乗っている皿だけどその机は見覚えない。
円形のテーブルでまだ買って間もない感じで傷が見れない。

( '∀`)「・・・美味いよw」

川 ゚ -゚)「ほ、本当か?」

( '∀`)「ああ、かなり美味い」

川 ゚ ー゚)「良かった・・・口に合うかどうか心配だったんだ」

・・・嘘だ。
食べていなくとも分かる。
あれは恐らく美味いものじゃない。でも味とかそんなんじゃないのかもしれないな。

もしかして・・・これは・・・夢?


347 :1 ◆fMqrvr1rTs :2007/02/17(土) 00:04:25.01 ID:ZITH+U/a0
( '∀`)「全部食べていいか?」

川 ゚ ー゚)「あ、ああ!食べてくれ」

俺は八等分に切られたケーキをどんどんたいらげていく。
食べることに夢中で何も聞こえていない感じだ。

しばらくするとケーキはなくなっていた。

( '∀`)「美味かったよ」

川 ゚ ー゚)「・・・ありがとう」

( '∀`)「何言ってんだw逆だろう?ありがとうw」

川 ゚ ー゚)「・・・ありがとう」

誰が見ても幸せそうな光景。
・・・?あれ・・・クーの顔がかすんで・・・俺もかすんで・・・



351 :1 ◆fMqrvr1rTs :2007/02/17(土) 00:18:19.87 ID:ZITH+U/a0
―――――――――――――――

・・・ここは?
・・・さっきと同じ光景・・・?
いや、ちょっと違うな・・・さっきまで綺麗だった机がちょっと年季が入って傷ついてる。

一体これは何だ・・・?

( 'A`)「・・・ただいま」

俺だ。
・・・顔がいつも以上に暗い?
何かあったのか?

川 ゚ -゚)「おかえり・・・」

( 'A`)「・・・仕事に失敗した・・・!」

川 ゚ -゚)「・・・」

( 'A`)「・・・すまない」



352 :1 ◆fMqrvr1rTs :2007/02/17(土) 00:18:39.23 ID:ZITH+U/a0
( 'A`)「・・・ごめん今日はもう寝るわ」

川 ゚ -゚)「・・・そう」

( 'A`)「・・・ごめんな」

川 ゚ -゚)「・・・いいの。御疲れ様」

( 'A`)「・・・」

無言のまま俺はクーから背を向けてリビングから右隣の部屋のドアを開ける。

どこか切なそうな表情のクー。
鬱々としている俺。
クーはリビングの右隣にある部屋に入る俺の背中をずっと見ていて・・・
俺の背中はどこか重たそうだった。

川 -)「・・・なんて声をかけたらいいか・・・誰か・・・」

それだけいうとクーは玄関からすぐ隣の部屋に姿を消した。

・・・なんなんだ?これは一体・・・
あれ・・・また意識が・・・



354 :1 ◆fMqrvr1rTs :2007/02/17(土) 00:21:04.40 ID:ZITH+U/a0
――――――――――――――

( 'A`)「・・・あれ・・・戻ってる」

さっきまで見てた円形のテーブルなどなく、薄布団一枚かけて眠っているクーだけが隣にいた。

( 'A`)「・・・夢、か」

さっきまで見てたあれは・・・
あれ?あまり覚えてない・・・
なんだったけか?まあいいか。

( 'A`)「今日はとりあえず家具やら日用必需品でも買わなくちゃな」

横で眠っているクーをただただ眺めつづけていた。

356 :1 ◆fMqrvr1rTs :2007/02/17(土) 00:22:10.76 ID:ZITH+U/a0
――――――――――――――――

・・・?ここは・・・?
目前に広がるものは特に何も無くあるとすれば揺らいでいるだけの視界にうつる円形の机のみ。
円形の机は見た感じではまだ新しいもので傷は見当たらない。
購入した覚えなどないのだが・・・?

( 'A`)「クー味噌汁出来たぞー」

川 ゚ -゚)「お、それじゃ朝飯としようか」

( 'A`)「結局俺は味噌汁係なのなw」

川 ゚ -゚)「それが君の役割だ」

( 'A`)「役割・・・?」

川 ゚ -゚)「そうだ。それが君の任務だ」

( 'A`)「はいはい大佐大佐wwそれじゃ飯にしようかw」

川 ゚ -゚)「うんw」

目の前には美味しそうに湯気をたたせている味噌汁に炊きたてなのか綺麗なご飯が円形の机に並べられていた。

357 :1 ◆fMqrvr1rTs :2007/02/17(土) 00:22:47.79 ID:ZITH+U/a0
しかしこの二人は・・・?
私は私でここにいる。
ドクオはともかく、だ。
何故私が・・・?

( 'A`)「仕事が早く終わったらどこかで飲むか?w」

川 ゚ ー゚)「久しぶりにいいかもな」

( '∀`)「この前仕事の帰りに良い店を見つけたんだ。すぐ近くにあるから今晩行こうぜw」

川 ゚ ー゚)「のんびりと家で待つとするw」

( '∀`)「ちゃちゃっと終わらせてくるw」

良く見ればドクオは私服などではなく学校とは別の黒いサラリーマン風の制服を着ている。
・・・?本当にこれは一体なんなんだ?

川 ゚ ー゚)「それじゃ行ってらっしゃい」

( '∀`)「行ってきますw」

そういうとドクオは玄関に歩いていき靴を履くと外に出て行った。
この流れからすると恐らく仕事にいったんだろう。
・・・?私の知らないことばかり・・・これは・・・まさか・・・夢か?
いやしかし・・・夢は夢と実感できないもののはず・・・

?あれ・・・視界が・・・

358 :1 ◆fMqrvr1rTs :2007/02/17(土) 00:23:57.00 ID:ZITH+U/a0
―――――――――――――

・・・?一体ここは・・・
そうだ。ここは私とドクオの借りたマンションの部屋だ。
・・・?先程見ていた机が随分と汚れて傷が入っている気がする。
いや、これは確実に入っている。

川 ゚ -゚)「・・・ドクオ」

いつの間にかいる私がどこか虚ろで寂しげな目をしている。

川 ゚ -゚)「・・・」

何も言わない。
当然といえば当然なんだろうけども。
誰もいない部屋で独り言を喋るというのは少し可笑しな話だしな。

しかし、何故こうも虚ろな表情をしているんだ?

川 ゚ -゚)「・・・まだかな」

喋った。
・・・しかしおかしい。
何故私がここにいるのに目の前に私がいて喋っているんだ?
やはり夢なのか?


359 :1 ◆fMqrvr1rTs :2007/02/17(土) 00:24:45.72 ID:ZITH+U/a0
ギィと錆びた鉄の軋む音が響く。
と、しばらくしてまたギィと軋んだ音が響いて何かが閉まる。
重い足音と一緒に誰かが現れた。

( 'A`)「・・・ただいま」

ドクオだ。
・・・何故ドクオも顔が暗いんだ?

川 ゚ -゚)「おかえりなさい・・・ご飯は?」

( 'A`)「・・・ごめん。今は食欲が湧かなくて・・・」

川 ゚ -゚)「・・・そう・・・一応ここに置いておくからお腹がすいたら食べてくれ・・」

( 'A`)「・・・ありがとう・・・ごめん・・・」

少しの会話を交わした後、ドクオはリビングに入って右隣の部屋に入っていった。
背中は重々しく、とても苦しそうで表情は鬱々としていた。
・・・何があったんだ?

川 -)「・・・」

一方の私の表情も鬱々としており、ドクオが部屋に入っていくのを見届けると静かにリビングを立ち去り玄関横の部屋に姿を消していった。

何があったんだ・・・?

・・・あれ?また・・・意識が・・・
視界が・・・かすんで・・・


364 :1 ◆fMqrvr1rTs :2007/02/17(土) 01:02:29.44 ID:ZITH+U/a0
―――――――――――――――――

川 ゚ -゚)「・・・?」

手がある。足がある。体がある。
さっきまで見ていた世界とは全く違い、意識もはっきりとしている。

川 ゚ -゚)「・・・夢、か」

どうやら夢をみていたらしい。
内容があまりわからないが随分うなされていたんだな。結構汗をかいてる。

何か怖いものでも見たのだろうか。
一方で、隣で寝ているドクオも少しつらそうな顔をしている。
何か怖いものでも見ているのだろうか?

川 ゚ -゚)「まあ・・・」

とりあえずまだ時間はありそうだし・・・
もう一度眠ることにした。

五話 おわり。


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