233 :1 ◆fMqrvr1rTs :2007/02/16(金) 00:00:43.69 ID:IH8e6PPK0
三話 東京へ

指定した時間通りに携帯のアラーム音が鳴り響く。
時刻は5時30分。
朝日が徐々に昇ってくるか来ないかくらいの時間。


( A)「・・・寒」

寒い・・・外に出たくない・・・
ああ、そういえば高校卒業したし今日は休みか・・・なら・・・あ

( 'A`)「今日東京出発だろうが!俺はバカか!」

そうだよ、今日クーと一緒に東京に行くんだろうが!夢を忘れるな俺。
ってそうだクーと行くんだよ

まだ5時半を回ったくらいか、充分間に合うよな・・・
というか忘れるとか有り得ないだろ・・・常識的に考えて・・・

( 'A`)「朝飯?ノーセンキュー!」

第一調理器具も大体もう業者に渡したから作れないしな。
というか考えたら俺この私服2日くらい使いっぱなしじゃねぇか。東京行ったらとりあえず風呂入って着替えよう。話はそれからだ。

( 'A`)「よし、待ってろクー!」

玄関に走り、使い古した靴を履いて家を出てクーの家へと走った。
ああ、鍵閉めなきゃ。危ない危ない。

234 :1 ◆fMqrvr1rTs :2007/02/16(金) 00:01:22.23 ID:IH8e6PPK0
――――――――――――――

川 -)「Zzz・・・」

その頃クーは何事もないかのように安らかに眠っていた。


('、`*川「・・・今日でクーちゃんは旅立つわ」

ペニサスが誰もいないところで一人喋っていた。

('、`*川「もう18になるのね。早いものよ・・・彼氏なんて作っちゃって東京に行くとか言い出すんだから」

視点は1つの遺影に向けてのものだった。
遺影には眉毛がつり上がり、どことなく頑固なイメージのあるものだった。

('、`*川「もう一人で歩けるようになったし、自分の意志ってものをしっかり持ってるわ。本当に成長したわ・・・」

遺影は勿論喋らないが、どこか笑っているようにも見えた。
勿論、笑うなど有り得ない話だが。

('、`*川「元気にやってくわよね・・・貴方も天国から見守ってて頂戴・・・」

静かに呟くとペニサスは視線を何もない天井へと向けた。

235 :1 ◆fMqrvr1rTs :2007/02/16(金) 00:01:49.02 ID:IH8e6PPK0
( 'A`)「6時前!よし!普通にせふせふ」

見慣れたインターホンを軽く押す。
ピンポーンという馴染みの音が家の中に響く。

・・・流石に誰もおきてないか?

('、`*川「はーい」

お、起きてた。・・・ってお母さんですか。

( 'A`)「クーさんを起こしに来ました。」

('、`*川「あの子はなかなか起きないわよー?w」

( 'A`)「昨日約束しましたからw」

('、`*川「そうwそれじゃあがって頂戴。多少手荒に起こさないと起きないから頑張ってね!w」

( 'A`)「うっすw」

クーのお母さんに案内されてクーの部屋へと入る。
・・・気持ちよさそうに寝てるよこの子。

236 :1 ◆fMqrvr1rTs :2007/02/16(金) 00:02:31.93 ID:IH8e6PPK0
川 -)「Zzz・・・」

( 'A`)「朝だおー」

ブーンの真似をしてみたが起きる気配はなし。というかこれ結構恥ずかしいな・・・

( 'A`)「・・・第一警告発令 起きなければ脇腹をくすぐります」

川 -)「Zzz・・・」

( 'A`)「警告を無視。覚悟」

クーの布団を両手で掴み一気に引き抜く
すると布団を無くして「うーん・・・」と少し寝苦しそうに呟く。
おk今だ。

やることは昨日と同じ

脇腹を、揉む。

237 :1 ◆fMqrvr1rTs :2007/02/16(金) 00:03:07.87 ID:IH8e6PPK0
川 -)「・・・うひゃっ!」

( 'A`)「朝だお」

川 ゚ -゚)「・・・ドク、オ?」

( 'A`)「そうだお ドクオだお」

川 ゚ -゚)「ぐっもーにん」

( 'A`)「おーぐっもーにん」

川 ゚ -゚)「ちゃんと起こしにきてくれたんだな」

( 'A`)「朝飯も全て無視してやってきたぜ」

川 ゚ -゚)「それはすまない」

( 'A`)「それで・・・化粧やらなんやらしなくちゃならないんだろ?」

川 ゚ -゚)「うん。それじゃちょっと外出ててくれる?」

( 'A`)「どうしてだいカムパネルラ」

川 ゚ -゚)「決まってるじゃないかジョバンニ 着替えだよ」

( 'A`)「失敬」

俺は静かに部屋を出た。
部屋を出るとお母さんがジョジョ立ちしていた。

238 :1 ◆fMqrvr1rTs :2007/02/16(金) 00:03:47.86 ID:IH8e6PPK0
('、`*川「あらあら・・・脇腹を揉むと弱いのねあの子」

( 'A`)「どうやらそうみたいです」

('、`*川「それはどうやって発見した知恵なのかしら?ww」

(;'A`)「とりあえずお母さんが考えているようなことでないことだけは証言しておきます」

('、`*川「・・・抱いていないのね」

(;'A`)「はい」

('、`*川「あの子にお守りを渡したのよ」

( 'A`)「お守り・・・ですか」

('、`*川「何のお守りかわかる?」

・・・旅立つ娘に対してだし・・・
これしかないよな・・・

239 :1 ◆fMqrvr1rTs :2007/02/16(金) 00:04:07.24 ID:IH8e6PPK0
( 'A`)「無病息災っすか?」

('、`*川「違うわよ。安産祈願」

( 'A`)「・・・」

('、`*川「・・・」

(;'A`)「えええええええええええええ」

俺はとことんこのお母さんが凄い人ということを実感した。
というか安産祈願ってアンタ・・・

('、`*川「ま、仲良くやりなさい」

(;'A`)「は、はあ・・・」

('、`*川「・・・うちの娘をよろしくね」

( 'A`)「・・・!・・・はい!」

そういうとお母さんは背を向けてどこかへ歩いていった。
・・・最後に見せたあの顔は真面目そのものだったな。
やっぱり娘を縁のない都会に行かすのは心苦しい上に心配なんだろうな・・・


それからしばらくしてクーが部屋から出てきた。
時刻は6時半。
まだ時間には余裕がある。

240 :1 ◆fMqrvr1rTs :2007/02/16(金) 00:04:54.29 ID:IH8e6PPK0
川 ゚ -゚)「お待たせ!」

(*'A`)「・・・」

川;゚ -゚)「何ジロジロ見てるんだ?」

(*'A`)「いや可愛いなと」

川*゚ -゚)「ありがとう」

('、`*川「はい!ラブラブなとこ悪いけど時間は待ってくれないからね!適当に朝飯作ったから食べて食べて!ほらドクオ君も!電車発車までにゆとりを持って駅で待たなきゃならないでしょ?」

( 'A`)「あ、すいません」

川 ゚ -゚)「ありがとう母さん」

('、`*川「お礼はいいから!早く食べた食べた!」

お母さんに促されるままに朝食を頂いた。
適当に作ったとは言っていたものの並んでいる物は全部光り輝いている気がする・・・
炊きたてで白い湯気状のものが出ているご飯にわかめやらが入っている味噌汁。
日本人ならではの魚。
・・・流石は主婦なだけある。見た目だけじゃなくて味も凄くよさそうだ。

( 'A`)川 ゚ -゚)「頂きます」

両手を合わすと同時に急いでご飯を食べる。
魚は既に塩で味付けされており、良い焼き具合になっていたので身も簡単に取れて醤油などいらなずに食べられた。
魚とをおかずにご飯を食べて味噌汁を飲んでを繰り返しているとすぐに食べ終えた。
俺が食べ終えるとほぼ同時にクーも食べ終える。

241 :1 ◆fMqrvr1rTs :2007/02/16(金) 00:05:21.37 ID:IH8e6PPK0

('、`*川「食べ終えたならクーちゃんは早く荷物を取ってくる!その間に車回しとくから!」

( 'A`)「あ、ありがとうございます!」

('、`*川「どういたまして!」

お母さんは親指をビシッと立てて玄関に走りそそくさと靴を履くと外へ出て行った。
そしてそれにつられるようにクーも自分の部屋へと急ぎ荷物を取ってきた。

川 ゚ -゚)「荷物とってきた!」

( 'A`)「それじゃクーのお母さんが待ってるから外に行こうか」

川 ゚ -゚)「ああ!」

靴を履いて外に出ると既にお母さんが車を路上に出していた。

('、`*川「はい乗った乗った!」

川 ゚ -゚)「うん!」

「お邪魔します」と言って車に乗る。
・・・嫌な臭いがプンプンするぜ!

('、`*川「飛ばすわよー!」

( 'A`)「え?・・アッー!」

どんだけ飛ばす気だよいわんばかりの速度で車は駅へと走っていった。

243 :1 ◆fMqrvr1rTs :2007/02/16(金) 00:24:29.27 ID:IH8e6PPK0
―――――――――――――――

('、`*川「はい到着っと♪」

川 ゚ -゚)「・・・大丈夫かドクオ」

( A)「ここは一体どこだ・・・」

川 ゚ -゚)「駅だ。私は誰だ?」

( A)「クー・・・」

川 ゚ -゚)「よし。それじゃ行くぞ」

('、`*川「気をつけていってくるのよ。連絡もちゃんと回すのよ?あと歯磨きはちゃんとしてそれで・・」

川 ゚ -゚)「分かってるから!wそれじゃ行って来るね!」

('、`*川「あ・・・行ってらっしゃい!」

川 ゚ -゚)「行ってきます!」

クーに右手を引っ張られながら改札口へと走り駅員さんに切符を提示する。


248 :1 ◆fMqrvr1rTs :2007/02/16(金) 01:01:13.91 ID:IH8e6PPK0
駅員「あと10分で来ますよ。ちなみに二番乗り場ですからお間違えないように!」

川 ゚ -゚)「はい!」

なんという・・・後10分だったのか。
これはお母さんに助けてもらったな。

( 'A`)「ギリギリだったな」

川 ゚ -゚)「荒馬のような運転だったが助かったな」

( 'A`)「軽く酔いそうだった」

川 ゚ -゚)「そんな表情をしていたな」

( 'A`)「しかしクーさんや」

川 ゚ -゚)「ん?」

( 'A`)「本当に・・・良かったのか?」

川 ゚ -゚)「・・・今更だぞ?」

( 'A`)「・・・東京で今までのような暮らしが出来るかどうかは分からない。でも・・・」

川 ゚ -゚)「でも・・・?」

( 'A`)「時間がある限り俺はずっとずっとクーと一緒にいる」

川 ゚ ー゚)「・・・充分だ」

249 :1 ◆fMqrvr1rTs :2007/02/16(金) 01:03:25.20 ID:IH8e6PPK0
駅員『間もなく2番線に東京行きのぞみが入ります。白線の内側までお下がりください。』

( 'A`)「・・・いよいよだ」

川 ゚ -゚)「・・・ああ」

それから少し時間が経ち、電車が目の前で止まる。
・・・さようならVIP市。

( 'A`)「さようなら・・・VIP市」

川 ゚ -゚)「違うぞドクオ」

( 'A`)「?」

川 ゚ ー゚)「行ってきます。だ」

( '∀`)「・・・そうだなw」

俺らは東京行きの電車に乗り込んだ。

これからどうなるかなんて分からない。
一体どんな日が待っているか。どんなことが待っているか。
全く予想のつかないことだらけで凄く楽しみだけど、その反面恐怖もある。
でも、クーとならやっていける気がするんだ。
・・・ずっと一緒にいよう。

東京行きの電車の扉が静かに閉じて動き始めた。二人の少年と少女を乗せて。

三話 終わり。


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