◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 19:24:38.52 ID:ZMBqlcC90<>     ___
    /    \         ノ⌒`ヾ?  
  /ノし   u;  \    ;γ⌒´    \
  | ⌒        )   // ""´ ⌒`\. ); やっやめろ・・・
  |   、       ); .. i;/   \ 鳩 /  ;i ); い、いいのか?
  |  ^       |   ;i  (・ )` ´(・ ) ;.i/;  投下するぞ・・・
  |          |   l;    (__人_) u |;   そんな事したら投下するぞ。
  |  ;j        | / :\-^^n`ー'  /、゚,
  \       /  ! 、 / ̄~ノ∠__/ i;
  /      ⌒ヽ  ヽ二)  /(⌒    ノ;
 /       r、 \  /  ./   ̄ ̄ ̄/;
<>( ^ω^)ブーンは退魔師稼業のようです━╋RETURNS━━ 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 19:25:16.02 ID:EOAUO7qP0<> やっちまえー <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 19:25:33.81 ID:ZMBqlcC90<> スレ頭連載

('A`)ドっクンの
     飛び出せ('∀`)どっぴゅん
                  大作戦(゚A゚)


('A`)
背景───内藤様、ショボン様、お変わりありませんでしょうか?
私は今、中国でお二方の力になり得るべく、日々鍛錬に励んでおります。

/ ,' 3 「良し。じゃ次は10分息を吐き続けろぃwww」

(;'A`)「本当に意味あるんだろうな、それ!?」

無理を言って着いて来て下さった荒巻様には、大変良くしていただいております。

/ ,' 3 「え?だって吸血鬼やゾンビにはにはコレが一番なんだろぃ?www」

(#゚A゚)「殺す!!」
<>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 19:26:39.69 ID:ZMBqlcC90<> そうそう。
こちらで新しい先生に付いて頂いた事を、ご報告いたします。

| `゚ -゚| 「初めましてドクオさん。
     私は黄家仙道総帥、黄海峰と申します 」

黄先生のご年齢は、荒巻様と同じくらいでしょうか。
身長も高く、背筋もしっかりと伸び、物腰も柔らかい黄先生は、まさに紳士を絵に描いたような御人です。
因みに”黄家仙道”とは、中国最大の呪術集団との事。
黄先生と荒巻様は、実力伯仲の良きライバルだったそうです。

| `゚ -゚| 「お話は伺っていますよ、ドクオさん。
     強大な敵を打ち倒すために修業をしたいと 」

('A`)「あぁ!!オレはもっと強くなりてぇ!!
    ブーンよりも!!ショボンよりもだ!!
    どんなにドギツイ修行でも構わねぇ!! 
    オレはそれを超えて見せるぜ!!」

/ ,' 3 「こういうヤツだwww。頼めるかぃ?www」

| `゚ -゚| 「フフッ、勿論ですよ 」 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 19:27:20.75 ID:8JoPJVNHO<> 全力で支援するけど良いよね?答えは聞いてない! <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 19:27:51.72 ID:ZMBqlcC90<> 黄先生の御指導は大変素晴らしく……、

| `゚ -゚| 「では手始めに、空腹をこじらせた中国妖怪を100匹程用意しました 」

(;'A`)「ひゃく……?」

……先生に着いて行けば私も強くなれるかもしれません。

/ ,' 3 「『うしおととら』って読んだ?
    中国妖怪ってのはよぅ、日本のより遥かにでかくて凶暴だからwww」

| `゚ -゚| 「途中で敗れたりしますと、食されますのでお気を付けて 」

(;'A`)「ちょ!!ふざけろテメぇら!!」


  ─── GYAAAAAAASSSSSS!!───


それではまた手紙書きます。


……生きてたら……
<> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 19:28:49.92 ID:tKcveLGb0<> 支援 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 19:28:54.12 ID:xHZfst6M0<> オーウオヒサシブリデース <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 19:29:11.62 ID:ZMBqlcC90<>
DANGER■□■CAUTION■□■WARNING■□■DANGER■□■CAUTION■□■WARNING■□■


( ^ω^)ブーンは退魔師稼業のようです━╋RETURNS━━

第三章には

     『吐き気をもよおすほどのジョジョネタ』
    
     『クサレ脳味噌かと疑う程の著しい歴史歪曲』

     『だがそれも良くない花の慶次ネタ』←new !!

……が含まれている危険があります。

もし何かを感じたら窓を開けて充分に換気した後、安静にする事を固くお願いします。
作者と君との約束だ。


DANGER■□■CAUTION■□■WARNING■□■DANGER■□■CAUTION■□■WARNING■□■
<> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 19:29:46.64 ID:WGyJgY/6O<> しえ <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 19:30:09.19 ID:8JoPJVNHO<> し <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 19:30:43.72 ID:EOAUO7qP0<> え <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 19:31:05.56 ID:ZMBqlcC90<> この章の登場人物

( ´_ゝ`):アニジャ・アラーキー・バレンタイン
      ルーマニアから家出してきた吸血鬼兄弟(兄)
      父親のダチで怪しいイタリア野郎、
      マルコ・ポーロのホラ話を信じて日本まで来たペド野郎。
      座右の銘は『ここ、座っても良いですか?』

(´<_` ):オトジャ・ヒロヒコ・バレンタイン
      ルーマニアから家出してきた吸血鬼兄弟(弟)
      表向きはアニジャに仕方なく着いて来たように語っているが、
      本当はハハジャから逃げたかっただけのチキン野郎。      
      座右の銘は『子作りしない?』

∫λリ゚ -゚ノノ:五代目・葛葉ライドウ
        吸血鬼兄弟が日本で最初に知り合ったデビルサマナー。
        兄弟を見るや否や、有無を言わさずコレクションに加えようとしたサイコ野郎。
        座右の名は『いいから!!怖くないから、とりあえずここに入って!!』
((
ミ ´_ゝ`):織田信長
      妖怪達の手から世を取り戻し、乱世を平和に導こうとする戦国の覇王。
      アニジャにそっくり。
      座右の銘は『これから本能寺でオールしねぇ?』

l从・∀・ノ!リ人:お市の方
         餓鬼に食われそうになっていた所を、間一髪アニジャに助けられたラッキーガール。
         この後、信長とアニジャ達を引き合わせる事になった。
         アニジャが大好き。趣味は剣玉。
         座右の銘は『いくら払ってくれるの?』 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 19:32:33.47 ID:8JoPJVNHO<> 支援 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 19:32:33.90 ID:u6st0DCC0<> ばか! 待ったよっ!
寂しかったんだからね!

支援 <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 19:33:10.51 ID:ZMBqlcC90<> ((
ミ ФωФ):徳川家康。
      タヌキ

((
ミ ^Д^):明智光秀
      ハゲ鼠


それから朝倉義景と浅井長政とその他もろもろ
<>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 19:33:51.92 ID:ZMBqlcC90<>  

このブーン系小説は

原作『孔雀王』

内藤エスカルゴ様
http://www.geocities.jp/local_boon/

の提供で




以下、何事もなかったかのように開始します


<>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 19:34:37.02 ID:ZMBqlcC90<> ( ^ω^)「………え〜と 」

ブーンは何を言うべきか逡巡するも、答えはとうとう出なかった。
あの女にはだらしのないアニジャと、一人の女性の恋物語。
結ばれなかった二人の悲恋は、アニジャという人物像を逆転させた。

ノパ听)「何だか、アニジャをちょっと見直しちゃったぞぉぉぉぉっ!!
     頭の軽〜い、ただのナンパ野郎じゃないんだな!! 」

(´<_` )「私も当時は、兄者が市さんを連れて駆け落ちするかと思っていたよ。
      正直な所はね。だがアレはそうはしなかった。
      高潔な男だと理解してもらえただろうか?」
   
皆、一様に顔を見合わせる。
ここでアニジャに対する暴言が飛び出さないのは、
詰まる所、それぞれがアニジャに対する印象を改めたという事になる。
<>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 19:36:08.83 ID:ZMBqlcC90<> (; ^ω^)「それが本当だとしたら、あの変態の正体はナイスガイだと認めざるを…… 」
 
ξ゚听)ξ「良いじゃない。
      普段は馬鹿みたいにしてても、本質は違う……。
      何だかちょっとカッコいいかも 」

(; ^ω^)「ツン!?」

火が点いたように敏感に反応するブーン。
まさか、ツンの気持ちが揺らいで……。
ブーンは気が気ではない。

因みに、今のブーンとツンの関係はブーンの単なる片思い。
ブーンは勝手に焦っているが、筋違いだと気付いていない。

( ´_ゝ`)「分かるよツンちゃん……」

ξ;゚听)ξ「わ!!」

(; ^ω^)「また出た!!」

すると煙のようにまたアニジャが現れ、ツンの手を再び取った。
妙にギラついた目が、先程オトジャの話にあったアニジャ像に不信感を抱かせる。
<> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 19:36:22.27 ID:tKcveLGb0<> 支援 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 19:36:59.61 ID:8JoPJVNHO<> 支援だ <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 19:37:18.09 ID:ZMBqlcC90<> (* ´_ゝ`)「人の出会いとは『重力』であり、出会うべくして出会うものなのだッ!!
      そして君は、アニジャの全てを体験してこの世界に到達した!!
      さぁ、ツンちゃん!! このアニジャの唇に熱い─── 」

宇宙も一巡しそうな謎のセリフを吐き、口を尖らせるアニジャ。
直ぐ側にいたブーンも、もう間に合わないと諦めかけた時……。
  
(´・ω・`)「『原稿は遂行する』『先生にも仕事をさせる』
      「両方」やらなくっちゃあならないってのが、「アシスタント」の辛いところだな。 
      覚悟はいいか?オレは出来てる 」

そこに居たのは鬼───の様な殺気を纏ったショボンだ。
いつからそこに居たのか。
ショボンもまた、影の様に突然現れた。

むんずとアニジャの首をアームロックし……、

(; ´_ゝ`)「ちょ!!SYOVO!!
      ちょっと待って!!もう少しでツンちゃんを落とせ……!!
      あ〜れ〜……」

何も言わずに再び作業部屋へと消えて行った。
その様子は、これから屠殺場へ連行される食肉用の牛のようだった。 <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 19:38:45.96 ID:ZMBqlcC90<> ( ^ω^)「オトジャさん……。
      やっぱりさっきの話、嘘ですお?」

ξ゚听)ξ「……前言撤回するわ 」

夢から覚めたような、サッパリした表情をしている二人とヒート。
そう言えば、さっきからビールをかっ喰らっていた占い師ハインは……

从 ゚∀从 Zzzzzz……

酔い潰れて、目を開けたまま寝ていた。

(´<_` )「ハッハッハ。
      何度も言うが、『事の真贋を判断するのは君達』だよ 」

ノハ*゚听)「私は信じるぞぉぉぉ!!
      オトジャさんは嘘なんか吐かない!!
      だがアニジャ、あいつはダメだぁぁぁ!!」

ξ゚听)ξ「ちょっと待てよ。
      それって結局、オトジャさんの言う事
      信じてないってことにならないかしら?

ノハ;゚听)「ぬぅぅぅぅ!! 頭が爆発しそーだ!!」
<> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 19:38:53.37 ID:i+JclyH3O<> ktkr支援 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 19:39:08.20 ID:M0qmXLGt0<> きたー!
支援 <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 19:40:34.45 ID:ZMBqlcC90<> 頭を抱えるヒートに、オトジャの爽やかな笑い声が被さる。
釣られてブーンとツンも吹き出し、バーボンハウスは明るい陽気に包まれた。

だがその時、けたたましい破壊音と共に窓ガラスが砕ける。
同時に弾丸かと錯覚するほどの超スピードで、転がり込む小さな黒い影。
影は四肢で床を力強く踏み締め、全身の毛をいっぱいに逆立てて吠えた。
∧_∧
(*゚;;-゚)「図々しい魔物め!!
    ここが猫又でぃ様の寝蔵と知っての狼藉か!?」

割れていないガラスは、音を出して激しく震える。
磨いて並べてあったグラスは、いくつかにヒビが入った。
千年を生きる猫又でぃ───。
ショボンが前の飼い主モナーから、莫大な遺産と共に譲り受けた強力な大妖怪だ。

ξ゚听)ξ「あ、でぃさんおかえりー 」
∧_∧
(*゚;;-゚)「おお、ツン!! 無事じゃったか!?
     しかし何じゃ、この恐ろしい魔物の気配は!? それも2つ!!」

目を見開き、牙を剥き出し、2本の尻尾を膨らませて周囲を見回すでぃ。
一方ブーンは、割れたガラスを掃除するために塵取りを取りに行った。
<> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 19:40:57.27 ID:i+JclyH3O<> 支援 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 19:41:31.81 ID:8JoPJVNHO<> 支援! <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 19:41:31.82 ID:ZMBqlcC90<> 警戒しまくっているでぃに、オトジャは紳士的に話しかける。

(´<_` )「おや、貴方はもしかして猫又のでぃさんかな?
      話には聞いているよ。何でも千年もの───」
∧_∧
(*゚;;-゚)「貴様か!? そっ首叩き落してくれるわっ!!」

だが、でぃにしてみれば強力な魔が、不敵に笑いながら寄って来ただけ。
標的を定めると、即座に臨戦態勢に入った。

(´<_` )「自己紹介は後にした方が良さそうだ。
      ところで貴方には特別なお土産がありましてね。
      私共の屋敷に生えている、マタタビの葉を使った物で……」

オトジャが何処からか乾燥させた茶葉を取り出す。
それを一束でぃの鼻先で振ると……。

・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・
<> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 19:42:26.96 ID:tKcveLGb0<> 支援 <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 19:42:58.39 ID:ZMBqlcC90<> ∧_∧
(*゚;;-゚)「にゃはははは〜www
     そうかそうか!! じゃったらゆっくりしていくが良いにゃwww
     小僧!! 茶菓子くらい早く持って来いにゃ!!」

( ^ω^)「もう酔っ払ってるお……」

でぃはオトジャが慣れた手つきで、優雅に淹れたマタタビティーを舐めた瞬間こうなった。
さっきまで喉笛を食い千切ろうとしていたことなど、とっくの昔に忘れている。
一方ブーンは、塵取りに入ったガラスを、燃えないゴミに分別した。

(´<_` )「さて、君達 」

ブーンが奥からクッキーの入った缶を持ってきた所で、オトジャが皆に語りかけた。

(´<_` )「アニジャと市さんの物語はもう少し続くんだが、続きを聞きたいかい?」

一同顔を見合わせる。
だがこれは一応の動作で、答えは1つに決まっていた。
オトジャの問いかけだが、その返答は声に出さずとも顔に出ていたらしい。

(´<_` )「ふふっ。良い顔だ 」

オトジャは満足げに笑った。
<>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 19:44:28.68 ID:ZMBqlcC90<> (´<_` )「兄者はあの時、本当の吸血鬼になった───」




          ( ^ω^)ブーンは退魔師稼業のようです━╋RETURNS━━

             ――――第三章・或る兄弟の東方見聞録――――


           〜その3、金ヶ崎撤退戦、そして吸血鬼は単身死地へ〜




<> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 19:44:46.41 ID:QEwRrH2CO<> しんじられない程おそいんですどwwww
え?なに?
ん?なんか文句有んの?wwww <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 19:45:17.64 ID:8JoPJVNHO<> 支援 <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 19:45:44.61 ID:ZMBqlcC90<>   ▽  ▲  ▽  ▲  ▽  ▲  ▽  ▲  ▽  ▲  ▽  ▲  ▽  ▲  ▽  ▲

l从   ノ!リ人「うぇぇぇー!! 痛い!! 痛いのじゃー!!」

少女が地面にぺったりと座り込み、大きな声で鳴いていた。
転んだのだろう。
上等な着物は泥で汚れ、肘の擦り傷から少しだけ血が滲んでいた。

(    )「おい!! 大丈夫か!?
      ちょっと見せてみろ 」

慌てて背の高い青年が駆け付ける。
肘の怪我は軽傷で一安心。
だが、少女は中々泣き止んでくれない。

(    )「よ〜し、痛くなくなるようにおまじないをしてやろう 」

青年は指を少しだけ噛み切ると、そこから滲む血を少女の傷口に塗った。

l从   ノ!リ人「あれ?痛くないのじゃ 」

少女の肘から痛みが嘘のように消えた。
青年の指には、今付けたばかりの傷はもうない。
彼は優しく笑った。

(    )「なっ?もう大丈夫だろ?」

  ▽  ▲  ▽  ▲  ▽  ▲  ▽  ▲  ▽  ▲  ▽  ▲  ▽  ▲  ▽  ▲ <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 19:46:54.26 ID:ZMBqlcC90<>   ▽  ▲  ▽  ▲  ▽  ▲  ▽  ▲  ▽  ▲  ▽  ▲  ▽  ▲  ▽  ▲
 
織田信長は次々と各地の妖怪大名を倒し、着々と人の世を取り戻していった。
その裏に、アニジャ、オトジャ、クーの3人の活躍があったのは言うまでもない。


しかしそこは戦国の世。
信長が妖怪大名を打ち滅ぼしていく様は、多くの物の目には良くは映らない。
魔が世に蔓延っているなどとは、夢にも思わない彼らにとって、
信長の快進撃は、天下統一の野望成就の為と見えるのだ。



その為、新進気鋭の芽を摘まんと、戦国の牙が信長を狙う。


だが、旧知の友、
((
ミ ФωФ)──松平元康、改め徳川家康

東海一の弓取りと称される戦上手。
そして、恐るべき才覚で短期間で中心武将に成り上がった、
((
ミ ^Д^)──明智光秀

彼らの活躍により、人との戦も制す。


かくして、織田信長は名実共に、人からも、そして魔からも恐れられる存在になりつつあった。
<>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 19:47:40.59 ID:ZMBqlcC90<> 妹者───お市の方が浅井長政に嫁いで3年。


((
ミ ´_ゝ`)「あ〜あ〜、気が進まねぇなぁ……。
      ったく、こっちは化け物共の相手で忙しいってのによ!!
      朝倉め、何だって喧嘩売ってくんだよ!?」

───1570年。

敵対する朝倉義景を討伐すべく、信長は動いた。
織田信長・徳川家康の連合軍、3万の兵。
さらに信長に呼応し、各地から集まった者達を加えると、総勢10万の大軍勢。
そしてこの軍団は、朝倉の山城である金ヶ崎城から嫌味なほど見やすい平野に陣取った。
((
ミ ФωФ)「殿……。大義を為すためには兵力は必須。
        指を咥えて黙っておれば、戦国の龍共に掠め取られますぞ!!」
((
ミ ´_ゝ`)「ち……。これも戦国の常か……」

数の利で圧倒的に有利。
戦としては喜ばしい限りだが、信長はこれを素直に良しとしない。
堂々と戦って死ぬのなら良し。
だが、一方的な虐殺となると後味が悪い。
<>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 19:48:31.60 ID:ZMBqlcC90<> ((
ミ ФωФ)「まずはこの家康、先陣を切り露を払って参りましょうぞ!!」

信長は魔と闘う事に重きを置き過ぎている。
確かにそれを為す事が出来るのは信長の力だろう。
信長自身、魔を滅ぼす事こそ我が使命だと思っている。

しかし、その信長の首が欲しい人間は戦国の世に五万といるのだ。
信長が人を討つ事を嫌っても、相手はそうはいかない。
そして、そういった人間の相手をする事こそ、人間たる家康の仕事なのだ。
((
ミ ´_ゝ`)「む〜ん……。まぁ良いだろう。
      念の為だ。サルを連れて行け 」
((
ミ ФωФ)「サル殿を?それは心強うございまするが……。
        さすれば殿の身辺は?」

家康は意表を突かれた形となった。
サル……即ち木下秀吉ことアニジャが、出陣するのは相手が魔である時のみ。
人との戦である以上、アニジャが出る必要は無いはず。
そして万が一、魔の特攻が信長を狙った時の為を考慮すると、アニジャを側に置かないのは得策ではない。 <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 19:49:33.33 ID:ZMBqlcC90<> ((
ミ ^Д^)「心配には及びません、家康殿 」

現れたのはどこか達観した余裕を見せる武士。
その余裕は、自身の類稀なる戦の才能が生み出している。
((
ミ ФωФ)「明智……光秀殿か……」
((
ミ ^Д^)「殿はこの光秀が命に代えましても……」

家康が名を呼ぶと、光秀の目が冷たく光った。
敵を目の前にし、出陣を目前にした武士としては、この落ち着きようは見事とも言える。
((
ミ ФωФ)「………」

しかし家康は何かうすら寒い物を感じた。
これはこの時初めて抱いた思いではない。
家康は正直な所、この明智光秀という男が好きではなかった。

信長は違うのだろうか───?
<> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 19:50:02.26 ID:NAtXv3pu0<> きたあああああああああああああああ <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 19:50:52.21 ID:8JoPJVNHO<> 支援するよ! <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 19:50:52.11 ID:YUMR6J4U0<> 支援 <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 19:50:53.52 ID:ZMBqlcC90<> そうは思っても既に信長の命は下っている。
家康は自分の思い過ごしである事を期待し、信長に一礼した。
((
ミ ФωФ)「では殿 」
((
ミ ´_ゝ`)「おう。頼むぜ 」
((
ミ ФωФ)。o ○(……ん?)

その時、家康は信長の目の中に何かを見た。
それは一瞬で消えてしまったが、家康にとってはそれで十分。
幼少の頃からの付き合いなのだ。

家康は信長の真意を悟り、安心してアニジャを連れていけると思った。
((
ミ ^Д^)「………」

……信長は、この男に敢えて隙を見せ探っているのだ。

 △  ▼  △  ▼  △  ▼  △  ▼  △  ▼  △  ▼  △  ▼  △  ▼
> <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 19:54:03.93 ID:ZMBqlcC90<>  △  ▼  △  ▼  △  ▼  △  ▼  △  ▼  △  ▼  △  ▼  △  ▼

─── 先陣徳川家康は要害の地である手筒山を落とす。
激戦となったこの戦いは、双方数千人の死者を出したという。
そして───
((
ミ ´_ゝ`)「第一陣及び第二陣、くさび型陣形!!
      第三陣から五陣、敵さんに矢の雨をお見舞いしてやれ!!
      騎馬隊前へ!!第一陣、第二陣の道を槍でこじ開けろ!!」

信長の号令と共に凄まじい声が上がる。

───雄叫びである。

手筒山から金ヶ崎城へと陣を引いた朝倉軍は、これを見て戦慄する。
信長の兵は妖怪をも相手にする豪傑ばかり。
誰も彼もが戦場で咲かす死に花を望み、死すべき戦場に高揚していた。
<> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 19:54:28.41 ID:tKcveLGb0<> 支援 <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 19:54:59.35 ID:ZMBqlcC90<> ((
ミ ´_ゝ`)「おっと、その前に───」

黒い筒状の物を持った兵が涌き出て来る。
これこそ信長が戦国の世の先頭を行く所以となる物。
((
ミ ´_ゝ`)「鉄砲隊弾込めぃ!!」

織田軍鉄砲隊。
新しい物好きの信長が、南蛮渡来の強力な武器を使わぬはずがない。
((
ミ ´_ゝ`)「全軍目指すは、朝倉義景の首ただ一つ……」

この時、信長の軍勢は10万。
この10万が、信長のその言葉を聞くために一斉に沈黙する。
まさに地獄の静寂と言って良い。

───そして……
((
ミ# ´_ゝ`)「金ヶ崎城を落とせぇぇぇぇぇぇぇー──!!」

まずは激しい銃声が何百と木霊する。
その直後に来るのは、10万の兵が上げる雄叫びとその足音。
10万の刀、槍、弓矢、馬、鉄砲、そして豪傑達。
静寂から喧騒へ。

───しかし地獄に変わりはない。

 △  ▼  △  ▼  △  ▼  △  ▼  △  ▼  △  ▼  △  ▼  △  ▼ <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 19:56:03.48 ID:ZMBqlcC90<>  △  ▼  △  ▼  △  ▼  △  ▼  △  ▼  △  ▼  △  ▼  △  ▼
((
ミ ´_ゝ`)「……妙だな。
      籠城は分からんでもねぇが、それにしても捻りが無過ぎる。
      戦に勝つのはまぁ良いが、これじゃ嬲り殺しだ。
      後味悪ぃぜ…… 」

信長の猛進の前に、立ちはだかる者は死あるのみ。
そんな事は子供でも分かる道理だ。
数の上で話にならない戦力差。

しかし朝倉軍は次から次へと兵を送り出してきた。
作戦などまるでない。
ただ、兵を無駄に殺させるためだけの様な、半ば自棄とも言える戦法に見えた。

朝倉の兵は、殆んどが泣きべそをかいていた。
間違いなく死ぬという事を分かっていたのだろう。
彼らは元々は農民などであり、真の戦人ではないことは容易に想像できた。
((
ミ ´_ゝ`)「暗くなってきたか。
      おい、引き上げだ。
      明日再び攻撃を仕掛けるぜ 」

信長は、苦虫を噛み潰したように表情を歪める。
戦は大勝利なれど、心は晴れなかった。

 △  ▼  △  ▼  △  ▼  △  ▼  △  ▼  △  ▼  △  ▼  △  ▼ <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 19:57:10.61 ID:ZMBqlcC90<>    △  ▼  △  ▼  △  ▼  △  ▼  △  ▼  △  ▼  △  ▼  △  ▼

( ´_ゝ`)「今回の相手は人間か〜。オレらの出番はないな、弟者 」

(´<_` )「そう言うな、兄者。
      騒ぎを聞きつけた魔共が、戦場に飛び込んで行かないとも限らないからな 」

∫λリ゚ -゚ノノ「神聖な戦場を汚させてはならんでゴザルよ 」

本日の勝利に大騒ぎの兵達。
彼らから少し離れた所で、この3人は微塵も油断を見せずに遠くを見通していた。
兵達の喜ばしい勝利に、水を差す輩を警戒しているからだ。
((
ミ ФωФ)「申し訳ござらん、お三方 」

そこに、さも申し訳な下げな顔をした家康が現れた。
手には大きな酒瓶を抱えている。

( ´_ゝ`)「おう、MOTOYA── じゃなかった。YEAHSだっけ?」
((
ミ; ФωФ)「『いぇぁす』……?」
<>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 19:58:08.92 ID:ZMBqlcC90<> 3人と家康はその場に腰を下ろし、杯を傾けた。

(´<_` )「気にする事は無い、家康。
      私達も別に退屈しているわけではないからね 」
((
ミ ФωФ)「うむ。人との戦は拙者らに任せ、そなた等は御ゆるりとお寛ぎ下され 」

自分はほとんど酒には手を付けず、ひたすら酌に回る家康。
アニジャ達3人の仕事は、妖怪変化との類と闘う事。
家康は、アニジャ達に無駄に時間を過ごさせている事を申し訳なく思っていた。

( ´_ゝ`)「しっかし連戦連勝だな。
      お前ってさ、実は結構凄ぇ奴なの?」

∫λリ゚ -゚ノノ「家康殿は戦上手で通ってゴザル 」
((
ミ ФωФ)「なに、それほどの事ではござらんよ。
       兵法の基本に従っておるだけの事 」

こう言う類の言葉にはまるで乗ってこない。
いつも充分過ぎる程謙遜してやり過ごすのだ。
根が真面目なのだろうが、少々固物過ぎる所が玉に傷だ。 <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 19:58:56.07 ID:ZMBqlcC90<> ( ´_ゝ`)「まぁ、この陣の中まで攻めて来られるような事があったらよ、
      お前連れて逃げてやるよwww」

と、冗談を飛ばしでもしたら……
((
ミ ФωФ)「サル殿……。
       それは御断り申す 」

このように突然重苦しい雰囲気に豹変し……
((
ミ# ФωФ)「部下達を残して拙者だけ命を拾うなど言語同断!!
        そうなれば自ら腹かっ捌いて───!!」

(; ´_ゝ`)「分かった分かった!!悪かったよ!!」

青筋を立てながらがなり立てる。
アニジャは軽はずみで言っただけなのに、いつも火消しに躍起にならなければならなかった。
家康に冗談は大抵の場合通用しない。
((
ミ ФωФ)「そうならぬよう、全霊を以って事に当たり申す 」

───尤も、それがこの男の良い所ではあるが。

 △  ▼  △  ▼  △  ▼  △  ▼  △  ▼  △  ▼  △  ▼  △  ▼ <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 20:00:02.13 ID:8JoPJVNHO<> 支 <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 20:00:18.08 ID:ZMBqlcC90<>    △  ▼  △  ▼  △  ▼  △  ▼  △  ▼  △  ▼  △  ▼  △  ▼

数刻後───。

 「よぅ、お主!!」

 「あぁ、お主か 」

今夜の見回り当番の2人が、一息ついて談笑を始めた。
饒舌で笑ったような顔の兵と、寡黙で朴訥とした兵だ。

 「いやぁ、朝倉の兵は歯応えが無いのぅ!!」

 「お蔭で今夜は体力が有り余っておるのぅ。
  あの様子では、夜襲する気力もあるまいよ 」

この2人、昼間は後続の部隊に配属されていた。
信長軍の先方隊が大抵の敵兵を片付けてしまっていたので、仕事はほとんどなかったのだ。
<>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 20:01:41.16 ID:ZMBqlcC90<>  「今夜の身回りは楽でゴザルのぅ!!」

饒舌な兵の言い分、これは全くその通りだった。
夜襲に備えて警戒は怠らないが、金ヶ崎城に全くそのような動きは見えない。
明日の朝一番に降伏でもしてくるのではないか、と多くの者が口々に言い合っていた。

 「此度の戦は命を落とすことはなさそうじゃ。
 実は拙者、帰ったら祝言でな……」

 「真か!? めでたいのぅ!!」

寡黙な兵は息を吐くように言った。
饒舌な兵は、即これに乗る。
殺伐とした戦場では、何かと酒を飲む理由が欲しいのだ。

 「ふむ。相手は拙者の幼馴染でな。長い間待たせてしまった……。
 風が出てきたのぅ 」

やんややんやと騒ぐ饒舌な兵を見て、寡黙な兵はゆるりと話題を反らす。
内向的な彼は、あまりにも素直に喜ぶ相手を見て若干照れた。
<> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 20:02:33.60 ID:8JoPJVNHO<> それ死亡フラグ! <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 20:02:35.43 ID:ZMBqlcC90<> どうやら本当に風が出てきたようだ。
木々の合間を縫って、笛を吹いたような甲高い音が響き始める。



── ふふふふふ……



 「何やら不気味な風じゃ……
  人が笑うておる様に聞こえる……」

饒舌な男は、ぶるっと身を震わせると両手を擦り合わせた。
言われてみると、本当に風の音に混じって何かが聞こえる様だ。
寡黙な男も不気味に感じ、陣中に戻る事を提案しようとした。

 「っ!?お主、その顔どうした!?」

寡黙な男は、滅多に張らない声を張り上げざるを得なかった。
饒舌な男の顔に違和感を感じたからだ。
重大な違和感をだ。
<>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 20:03:33.05 ID:ZMBqlcC90<>  「拙者の顔? そう言えば鼻が寒……」

饒舌な男もようやく違和感に気付いた。
そして恐る恐る、それを感じる所に手を遣る。
鼻があるはずの場所を触った時、手にはぬるっとした感触があり……

 「鼻!? 鼻が無い!!
  鼻が無い鼻が無い鼻が無い鼻が無い!!
  オレの鼻オレの鼻オレの鼻オレのオレのオレのオレオレオレー──コォ゛、コオ゛……コッ……」

自身の一部を欠損した事を悟った時、饒舌な男は錯乱する。
喚き回っているその瞬間毎に、また新たな何処かを次々に失っていく。
手首、足、耳、腕、もう一方の耳……。

鋭利な刃物で次々と刻まれていくように、血を噴き出す。
最後に、喉元がパックリと真一文字に開くと、やはり噴水のように血を撒き、彼は遂に絶命した。
<>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 20:04:15.86 ID:ZMBqlcC90<>
── クククククク……


今度は先程よりハッキリと聞こえた。
間違いなく何者かが嘲り笑っている。

 「拙者は……」

寡黙な男は織田信長の兵だ。
もう既に、自分の身に降りかかった不幸の正体に気付いていた。
即ち、魔の襲来だった。

 「拙者は祝言を……」

風が強くなる。
気流の流れは渦を巻き、旋風となって周囲のあらゆる物を切り裂いた。


── アハハハハハハ!!

最早、嘲笑は風の音を上回る。
次々と体の部位を切り取られていく寡黙な男は、愛する女にもう会えない事を悟った。

 「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁー───っ!!」

 △  ▼  △  ▼  △  ▼  △  ▼  △  ▼  △  ▼  △  ▼  △  ▼ <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 20:05:44.29 ID:ZMBqlcC90<>  △  ▼  △  ▼  △  ▼  △  ▼  △  ▼  △  ▼  △  ▼  △  ▼

織田信長の陣中───。

 「殿!!近江の浅井長政様より、贈り物が届いております!!」
 
もう夜中を回ろうかという刻。
信長の妹───お市が嫁いだ浅井長政から、という兵糧が届いた。
これは信長にとって有難い事だった。

兵糧が足りなかったというわけではない。
問題は浅井と朝倉が主従関係であったことだ。
妹を嫁に出し関係を繕おうとしたが、背後を突かれる恐れは充分にあった。

だが、わざわざ兵糧を届けるなどする所を見るに、その心配は限りなく低い。
((
ミ ´_ゝ`)「おぅ、ありがとさん。これは……ほぅ、小豆か!!
      しかしこの袋……何で上下を結んで……」

信長は届いた物を丹念に見て回った。
その中で、妙な袋を見つけた。
それが何か気になる。
<>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 20:06:25.79 ID:ZMBqlcC90<>  「そちらの小豆は、お市様からとの事。
  聞きますと、1つ1つお市様の手で紐を結ばれたとか 」
((
ミ ´_ゝ`)「……市が?」

単に戦場にある兄への心遣いとも言える。
だが、最早妹は他国の側室。
果たして、自ら率先して同盟国に送る兵糧に手を加えるだろうか?

信長はもう一度、自分の手にある小豆の袋を見た。
袋は何故か筒状になっており、両方の口を縛らねば袋として用を為さない。
なぜこのような面倒な物を……。

しかし突然、信長の頭に雷鳴のように何かが閃いた。
((
ミ; ´_ゝ`)「上下の口を挟むように……。まさか!?」

次の瞬間、信長は全軍に命ずる。

───直ちに退却と。

 △  ▼  △  ▼  △  ▼  △  ▼  △  ▼  △  ▼  △  ▼  △  ▼ <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<>sage<>2009/11/29(日) 20:07:13.05 ID:FT/D/a120<> 支援 <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 20:07:17.30 ID:ZMBqlcC90<>  △  ▼  △  ▼  △  ▼  △  ▼  △  ▼  △  ▼  △  ▼  △  ▼

(# ´_ゝ`)「ったく!!ホントーにっ!!暇だな!!」

(´<_` )「私達が暇なのは、人にとっては良い事なんだがね 」

一方その頃───。
吸血鬼兄弟は、気ままに夜の散歩を堪能していた。
家康の陣から少し離れ、周囲には虫や梟の鳴き声だけが聞こえる。

( ´_ゝ`)「良い夜なのにねぇ……。
      この国のミディアン(夜属)は、一体何やってんだよ 」

(´<_` )「確かに良い夜だ。
      静かで本当に良い夜だ。
      こういう夜は心が落ち着く。
      私達が吸血鬼であるが故の本能だろうね 」

ふと空を見上げると、今夜は満月だ。
強い銀色の光が周囲に降り注ぎ、夜だというのに随分と明るい。
尤も、吸血鬼である2人なら、新月の暗闇でも関係ない。
<>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 20:07:58.84 ID:ZMBqlcC90<> ( ´_ゝ`)「まぁな〜……。
      さてと、弟者。夜の帳にふらふらと外に出てきただけだったんだがな。
      なんか、出てきて良かった感が無ぇ?」

オトジャの言う、吸血鬼の本能という所に同意の意志表示を見せるアニジャ。
そして足を止めた。
目を少し細め、半分閉じた瞼の下から鋭い視線を前方へ向けた。

(´<_` )「ふぅ……。静かで素敵な夜だったんだが……」

( ´_ゝ`)「……血の臭いがするぜ……」

2人は拳を軽く握る。
足を前後に肩幅に広げ、若干重心を落とした。
素手で戦う2人の、戦闘スタイルに入ったと言って良い。


── ふふふふふ……


風が空を切る音に嘲笑が混じる。
何かが近くに居る。
<>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 20:08:44.86 ID:ZMBqlcC90<>

── ねぇ、アレ秀吉だよ?



── ふふふふふ、アレがそうか……



風が強くなる───。
草が大きくうねり、風圧に負け千切れ飛んで行く。
しかし、良く見るとそれは千切れているのではなく、切り飛ばされているのだ。

( ´_ゝ`)「どうやら、暇だと思ってたのは気のせいだったみたいだな 」

(´<_` )「……3匹か 」

相手は未だに姿を見せないが、感じる気配は3つ。
その気配は、恐るべき速さで兄弟を中心に旋回している。
どうやら、スピードにはかなりの自信があるらしい。
<> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 20:10:16.37 ID:8JoPJVNHO<> 支援 <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 20:10:20.04 ID:ZMBqlcC90<>

── 切り刻もうか?



── 切り刻もうよ?



── 切り刻もう!!



ご丁寧な事に、わざわざ3つの気配が1度ずつ声を出した。
3体1組の妖怪の類。
敵が兄弟を中心に旋回する円はどんどん狭まり、
遂にその先頭の1匹がアニジャの喉元を切り裂こうとしたその瞬間───

(# ´_ゝ`)「オラァッ!!」

爪;゚A゚)「ぐがっ!!」

(´<_` )「あと2匹だ 」
<>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 20:11:43.97 ID:ZMBqlcC90<> アニジャが真下に叩き下ろした拳は、何者かをモロに捉えた。
同時に敵の姿が露わになる。
両手首から先が、湾曲した刃物の形をしていた。


── 弟!?


── 我らの動きについて来ただと!?


風の中から聞こえる声から、焦りが滲み出る。
同時に怒りだ。
そして不意に風が止むと……、

爪#゚ー゚)「秀吉が人ではないという噂……」

爪#゚∀゚)「どうやら本当だったらしいわ 」

二人の男女が現れる。
アニジャが殴り倒した最初の一人と同じく、ボサボサの髪にくたびれた着物。
そして両手の代わりには曲刀─── ギラリと光る鎌が生えていた。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 20:12:54.50 ID:tKcveLGb0<> しえn <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 20:13:15.12 ID:ZMBqlcC90<> (´<_` )「面白い手をしているな。
      使い道は絞られていそうだが……」

これはオトジャの最大限の皮肉だ。
このどう見ても、生き物を切り刻む為に生えた腕を持つ妖怪。
こういう輩を、オトジャは心から憎む。

爪;゚A゚)「兄貴!! 姉貴!!
     なんかヤベぇ……。なんか───ごぶぁっ!! 」

そういえば最初にぶちのめしたコイツが居た。
アニジャの足元で腹を押さえ、顔をこれ以上ない程に歪める。
地面をのた打ち回りながら、どす黒い血を口から吐き出した。

( ´_ゝ`)「そりゃね、あんだけの速さで動きまわってたんだ。
      物にぶつかったら痛ぇに決まってるだろ。
      頭悪いんじゃねぇの、コイツ 」

(´<_` )「ぶつかるとは思っていなかったのではないか?」

確認するまでもなく邪悪な存在に、兄弟は一切の容赦も同情もない。
冷たい視線と言葉を投げつけるのみだ。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 20:14:33.56 ID:R70b4bJ4O<> き…来よったーーーーーーーーーーーッ!
お母さん!大麻はんが来よったでぇーーーーッ! <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 20:14:48.24 ID:ZMBqlcC90<> 爪;゚A゚)「痛い!! 体の芯が……焼ける!!
     兄貴、助けてくれよ!!
     姉貴、もう駄目だ、死んじまう!!」

爪#゚ー゚)「弟!!」

魔物とは言え、そこに兄弟愛は存在するらしい。
兄と思しき男が駆け寄ろうとする。
しかしアニジャの睨みで次の1歩を踏み出せない。

爪;゚A゚)「あぁ!! もう駄目だ!!
     腹が掻き混ぜられてる!!
     怖いよ!! 死ぬのは怖いよ!! 兄貴!! 姉貴!!
     兄貴姉貴……怖いよ怖いよ怖……」

それが断末魔だった。
弟の体は文字通り掻き消える。
生き物が土に還るように、風に還ったように見えた。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 20:15:16.79 ID:i+JclyH3O<> 支援支援 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 20:15:17.66 ID:tKcveLGb0<> しえ <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 20:16:16.64 ID:ZMBqlcC90<> 爪#゚∀゚)「キサマ……覚えたぞ!!
      木下藤吉郎秀吉!!
      お前は私達が殺す!! 必ず殺す!!」

女の方は両手の鎌を振り回しながら叫んだ。
目は怒りに濁り、憤怒のあまり食いしばった歯茎からは血が漏れる。

( ´_ゝ`)「兄弟の魔か……。
       オレ達もそうなだけに、心が痛まないと言えば嘘になるけどな 」

言葉とは裏腹に、相手の激怒はどこ吹く風という様子を見せるのはアニジャだ。
その真意をオトジャが代弁する。

(´<_` )「その手の刃物は、一体どれだけの人間の血を吸った?
      一体どれだけの人間に、そういう思いをさせてきた?
      もうこの国は魔の思い通りにはならない。
      大人しく引けば良し。そうしないならば…… 」

これが吸血鬼兄弟の答え。
人に不幸を与え続けてきた身で、いざ自分達にそれが降りかかって来た時には怒り狂うなど片腹痛い。
必要とあらば、残りの2人も同じ目に合わせると言っているのだ。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 20:16:52.27 ID:i+JclyH3O<> 支援 <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 20:18:05.66 ID:ZMBqlcC90<> 爪#゚∀゚)「兄!! 今の私達の鎌ではこの2人を刻めない!!」

吸血鬼の恐るべき威圧に動けずにいる。
文字通り動けないのだ。
魔と言えど、余りの実力差に本能的に戦いを避けていた。

爪#゚ー゚)「分かっている……。一度引いて鎌を磨くぞ妹!!
     そろそろ義景の殿の動く頃合だ!!」

爪#゚∀゚)「弟の敵……。必ずお前の首を貰うわ!!」

そう言うと兄と妹は消えた。
同時につむじ風が強く吹き抜けて行く。
風に関わる魔である事は、ここまでのやり取りで大方想像が付いたが……

( ´_ゝ`)「ち……。あの様子じゃ、もう1回来そうだな 」

(´<_` )「気になる事を言ったな。『義景が動く』……と。
      まずは家康に報告だ。その後クーを連れて、信長の元へ急ごう!!」

 △  ▼  △  ▼  △  ▼  △  ▼  △  ▼  △  ▼  △  ▼  △  ▼ <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 20:19:45.51 ID:ZMBqlcC90<>  △  ▼  △  ▼  △  ▼  △  ▼  △  ▼  △  ▼  △  ▼  △  ▼
((
ミ# ´_ゝ`)「落ち着け手前ぇら!!
      まずは陣形を整えろ!! じゃねぇと全員死んじまうぞ!!」

信長は馬上から叫ぶ。
周囲は蜂の巣を突いたように騒然としていた。
夜襲だ。

しかし襲ってきた相手は───
((
ミ# ´_ゝ`)「コイツらは昼間ぶち殺した朝倉の兵どもか!?
      まさかこの為にオレ達に殺させたってのか!?
      こんな化け物にするために、兵共をわざと殺させたってのかよ!?」

辺りに濃密に充満するのは、むせ返るような血の臭い。
これは傷付き、倒れていった兵達が発する物だけでは無かった。
敵は初めからこの臭いを纏ってやって来たのだ。

敵は刀を持っていた。
敵は槍を持っていた。
敵は甲冑を着込んでいた。

── だが敵は、無数の矢を体に突き刺していた。
── だが敵は、深く激しい刀傷を負っていた。
── だが敵は、腸を引き摺り、頭蓋が砕けていた。
<> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 20:20:23.04 ID:Zo1BQwZX0<> 支援 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 20:20:57.60 ID:QKlX/uTA0<> 支援! <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 20:21:12.36 ID:ZMBqlcC90<> 死者の軍団が信長の陣を襲う。
死者の軍団が血に濡れた刃を振るう。
死者の軍団が生者を探し死を与える。
((
ミ# ´_ゝ`)「馬鹿め!!
      こんなの、ただ見た目が怖ぇだけだ!!」

押し寄せる死者の軍団。
彼らに明確な意志は無く、虚ろな目で獲物を探す。

だがここにあるのは単なる人間の兵ではなかった。
ここにあるのは織田信長の兵なのだ。
例え魔と相対する装備など無くとも、そもそも並の胆力では無い。
((
ミ# ´_ゝ`)「1匹につき2人で当たれ!!
      刀は使うな!!槍で殺るんだ!!
      やたらと近づくんじゃねぇ!!」

信長の兵は早くも平静を取り戻していた。
冷静に1匹1匹、哀れな生ける屍に槍を突き立てる。
<> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 20:22:31.67 ID:8JoPJVNHO<> 支 <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 20:22:37.21 ID:ZMBqlcC90<> 突然の魔の襲来。
不意を突かれ、パニックに陥った者も確かに居た。
だが、直ぐに気を取り直し、今出来るベストを以って敵に相対する事が出来る。

何故なら彼らの後ろには、戦国の覇王・織田信長が居る。
信長自身が命の危機に晒されても、敢然と魔に立ち向かうのだ。
彼らにとって何よりも発奮する要素だった。

 「伝令伝令!!朝倉義景殿出陣!!」
((
ミ# ´_ゝ`)「そりゃそうだろうよ!!
      言うなりゃ、夜襲が成功したんだ。オレでも全軍出すぜ。
      だがな、こちとらとっくの昔に逃げる準備はできてるんだよ!!」

この死者による夜襲で壊滅的な打撃を受けなかった理由。
襲われる前に、陣を畳む支度を整えていたのだ。
退却の為には、当然追手との闘いを想定ししている。

相手が追手から、襲撃者に変わったに過ぎない。
<> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 20:23:22.64 ID:tKcveLGb0<> 支援 <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 20:24:11.60 ID:ZMBqlcC90<>  「伝令伝令!!朝倉義景殿……!!
  朝倉義景殿─── 人 に 非 ず !!」

続け様に入ってくる伝令は、重大な事態を報告する。
だが信長は、伝令の言葉に一切動揺を見せず、小さく頷いて正面を見据えた。
((
ミ ´_ゝ`)「分かってんだよ、んな事ぁ!!
      よくも今の今まで隠し続けてきたもんだぜ!!
      ぶちのめしてやりたい所だが、今回は妖怪と闘う装備は無ぇ!!」

魔との戦いに置いて、最も重要なセオリーは万全を以って不意を突く事。
身体的に圧倒的な不利を被っている人間には、こうでなければ太刀打ちできない。
従って、不意を突かれたこの状況では取るべきは1つ。
((
ミ ´_ゝ`)「さぁ、逃げるぞお前ら!!」

完全に態勢を立て直した。
次に取るべき行動は、この場の全員が把握している。
その行動に出ようとした瞬間───

───夜空が巨大な炎に焦がされた。
<> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 20:25:41.94 ID:ZMBqlcC90<> 暗闇の中、炎の明るさは誰の目をも引き付けた。
全員が見る。
全員が夜に浮かぶ炎の輪を見た。

 ';:;,., `リ' ,.,;:;;'i  「ふっふっほっほ……。
ミ〈( o)>ii〈( o)>ミ 信長め、愚か者め、人間め!!
i;:;:,.,(.,(_).,).,;:;i   深々と入り込んで来おったわ!!
         我ら妖魔の口の中に、素知らぬ顔で入り込んで来おったわ!!」

雷のような声が周囲一帯に響いた。
巨大な生首が、やはり巨大な火の玉を幾つも周りに浮かべ、中空に浮かんでいた。
火の玉は顔の周りを忙しなく旋回し、車輪の様相を醸し出す。
((
ミ ´_ゝ`)「朝倉……。火の化け物か!?」

──輪入道。
見た者の魂を抜くとも言われる炎の車輪。

天空から見下ろす化け物の顔。
おぞましい姿になってはいるが、信長はその顔に見覚えがあった。

朝倉義景──、忌々しい化け物だ。
<> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 20:28:21.06 ID:ZMBqlcC90<>  「伝令伝令!!申し上げます!!
  近江の浅井長政殿、蜂起なさいました!!」

三度伝令が駆け付ける。
妖怪の往来する戦場で、指揮系統の乱れは一切ない。
これが魔と闘う軍団の姿だ。
((
ミ ´_ゝ`)「挟み撃ちってわけか……。
      だがこれに関しては想定内だ。
      市の忠告のお蔭でよ 」

だが信長にとっては何ら驚く事ではない。
妹が袋の両端を結んで、『挟み撃ち』だと教えてくれたのだ。
彼女の身を案じるが、とにかく今は自分達だ。
((
ミ ´_ゝ`)「おい、お前ら!!」

信長は上空の朝倉義景から完全に背中を向けた。

 ';:;,., `リ' ,.,;:;;'i 
ミ〈( o)>ii〈( o)>ミ 「ぬぅ? 」
i;::,.,(.,(_).,).,;:;i  

輪入道は、信長がいきり立って攻撃を仕掛けて来ると思っていた。
だからこそ姿を見せ挑発したのだ。
予想外の行動に、輪入道は困惑する。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 20:29:35.01 ID:ZMBqlcC90<> 輪入道の戸惑いが手に取るように分かる。
妖怪とは、その力のあまり単純な物の考え方をする。
要するに、頭が悪いのだ。

それが分かるからこそ、信長は憎たらしく笑った。
((    
ミ ´_ゝ`)「ケツ捲って逃げろ!!
      命を無駄に散らすんじゃねぇぞ!!」

 ';:;,., `リ' ,.,;:;;'i 
ミ〈( o)>ii〈( o)>ミ 「え!?ちょっと!!君たち君たち!!」
 i;::,.,(.,(_).,).,;:;i  

妖怪の親玉が目の前に居る。
だが、しかしそれがどうした。
信長は既に相手になどしていないのだ。

それは勿論今だけだ。
後日、丁寧に準備を整えてから入念に滅ぼす。
<> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 20:30:15.94 ID:tKcveLGb0<> 支援 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 20:30:53.74 ID:i+JclyH3O<> 支援 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 20:31:02.82 ID:ZMBqlcC90<> 信長軍は総勢10万。
信長の陣に居るのは数千という所だ。
それでも、彼ら全員を無事に逃がすのは少々骨が折れる。

さらに、敵のリビングデッドは再び集結しつつあった。
昼の戦で殺した数だけ居るのだ。
恐怖の欠片も抱かない死兵は、数が揃えば脅威となる。
((    
ミ; ´_ゝ`)「あぁ、ウゼェ!!
      うじゃうじゃと湧いてきやがって!!」

絡み付く落ち武者の群れで思うように進めない。
こちらが身動きが出来なくとも、相手には関係ない。

 「あ!!あぁぁぁぁぁぁっっ!!」 

刀で、槍で、生者の肉をこじ開け、歯で生者の肉に食らいつく。
次第に、信長の兵が削り取られていく。
更に恐ろしい事に……

 「………」

たった今殺された兵はむくりと起き上がり、他の生者を求めて殺戮を開始した。
死が死を呼ぶ。
死の連鎖は、百戦錬磨の兵に鈍い恐怖を抱かせる。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 20:31:39.67 ID:i+JclyH3O<> 支援支援 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<>sage<>2009/11/29(日) 20:31:42.92 ID:PmCT8wjm0<> 来たのか
支援 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 20:32:15.25 ID:ZMBqlcC90<> こちらの数が減った分、相手の数が増える。
その法則に誰もが気付き始めた時、兵達の間に恐慌が始まる。
さらに上空に鎮座する炎の妖怪が、焦りを加速させた。

その時───

死兵の軍団の一角で、十数匹が突然上空に吹き飛ばされる。
何か、強大な力に無造作に跳ね飛ばされたように見えた。
───何かがそこに居る。

その何かは、もの凄い勢いで信長に一直線に向かって来た。
姿は見えなくてもそれは理解出来た。
それが通った場所に居たリビングデッドは、須らく派手に吹っ飛ばされているからだ。


そして、遂にその暴力の主が信長の眼前に現れる。


( ´_ゝ`)「よぉ、NOV。随分困ってんな 」

<> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 20:33:46.44 ID:ZMBqlcC90<> 信長達が妖怪と闘うには、卑怯とも言える手を打たねばならない。
それでようやく互角。
いや、それでも互角とは言えないかもしれない。

だが唯一、真っ向勝負にて魔と相対可能な者がいる。
即ち、織田信長が有する最高戦力。

アニジャ・アラーキー・バレンタイン。
信長が授けた和名は、木下藤吉郎秀吉───。
そしてその弟と、魔を使い魔を滅ぼす悪魔召喚師らが率いる軍団。
((
ミ ´_ゝ`)「サルか。 オレは逃げるぜ?」

ここにきて信長の眉間の険が消えた。
たった今この瞬間、自身の生存率が格段に跳ね上がったからだ。

( ´_ゝ`)「あぁ、逃げろ。
      一目散に逃げろ 」

この男になら、何もかも全てを任せられる。
気兼ねせず、そして追手の脅威に晒されることなく大っぴらに逃走できる。 <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 20:35:32.60 ID:ZMBqlcC90<> ((
ミ ´_ゝ`)「殿(しんがり)はお前に任せる。
      頼むぜ 」

( ´_ゝ`)「へぃへぃ。メンドクセー仕事ばっかり押しつけやがってよ 」

アニジャは、自身が言う通り面倒だとは思っていなかった。
自分が踏みとどまる事で、大勢の安全性が高まる。
その事実に少なからず高揚していた。
((
ミ ´_ゝ`)「尾張で会おう、サル!!」

信長は短く言うと、もう後ろを見ることはない。。
他の兵も一目散に信長に続いた。
後に残るのはアニジャ、オトジャ、クー。
そしてアニジャが任せられた退魔兵だ。

( ´_ゝ`)「……ったく。いい加減、その呼び方を止めろよ 」

だが嫌な気はしない。
信長が言う”サル”という言葉には、いつも優しげな感情が込められていた。
<> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 20:36:40.97 ID:8JoPJVNHO<> 燃えてくる展開に支援だ! <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 20:36:50.08 ID:i+JclyH3O<> 支援 <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 20:37:11.95 ID:ZMBqlcC90<> ( ´_ゝ`)「さて、ちょいと暴れて来ようかね 」

信長達が十分に離れたのを確認して、アニジャはスイッチを切り替えた。
アニジャの視界には、死者の兵と勇敢に戦う自分の部下達が映っている。
頼りがいのある子分達だ。

(´<_` )「信長を逃がしてやらんとな。
      どれほど時間を稼いでやれば良いだろうか……」

乱戦の中、アニジャが近付くなりオトジャは言った。
そう言う間にも、オトジャの蹴りが3体の死兵を横薙ぎに払った。
その結果、生ける屍は上半身と下半身を分断される。

( ´_ゝ`)「は?何言ってんの、オトジャ?」

答えるアニジャの腕は、敵を口から後頭部へと貫いていた。
いや、急に噛み付こうとしてきたので……。
そして続く言葉はこうだ。

( ´_ゝ`)「全部ぶっ倒してやりゃ良いんだよwww」
<> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 20:38:32.82 ID:tKcveLGb0<> 支援 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<>sage<>2009/11/29(日) 20:39:31.94 ID:FT/D/a120<> よろしい、ならば支援だ <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 20:40:07.12 ID:QKlX/uTA0<> 流石だな、兄者
支援 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 20:41:24.26 ID:VgiQuKPsO<> 今日はエスカルスペシャルなのか?
支援 <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 20:43:31.49 ID:C3ZhsPm60<> アニジャの数勘定を全く考えない発言に、オトジャは一時手を止めた。
と言っても、手に届く範囲の敵は既に片付けた。
10m程先の敵の元へ行くか、敵がこちらに来るかの間の小休止だ。

(´<_` )「ふむ……。効率的ではないが効果的だな 」

かなりの時間はかかるだろうが、ここの魔を倒し尽くせば信長の安全が高まる。
ふと遠くを見てみると、クーが既にそのつもりで大暴れしていた。
太刀を両手に1本ずつ持って戦う様は、鬼神の様な残虐性と同時に美しさを兼ね備えている。

( ´_ゝ`)「さて、朝倉義景はどいつだ?」

もう雑魚の相手は飽きてしまったと言わんばかり。
たった今、全部ぶち殺すと言ったばかりなのに。
おそらく、オトジャやクーに任せる気なのだろう。

(´<_` )「それは人外の者を探せばだな……」

( ´_ゝ`)「……いっぱい居るよ?」

(´<_` )「……そうだね 」

( ´_ゝ`)「お?アレじゃね?
      ほら、空の 」

(´<_` )「あぁ!! アレか!!
      だが少し高いな……」
<> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 20:43:48.66 ID:8JoPJVNHO<> サルだと

俺の支援はクライマックスだぜ! <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 20:43:51.28 ID:u6st0DCC0<> さる支援 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 20:44:27.39 ID:i+JclyH3O<> 支援支援 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 20:45:04.98 ID:8JoPJVNHO<> 支援あるのみ <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 20:45:48.86 ID:C3ZhsPm60<> 左手を腰に当て、右手を額に当てて透かすように見る吸血鬼兄弟。
なるほど。
確かに”多少”は歯応えのありそうな妖怪が、宙に浮いて炎を燃やしている。

( ´_ゝ`)「ん〜……。アレどうしよっかねぇ…… 」

(´<_` )「弱ったな……」

どうやらお手上げのようだ。
相手も空に浮いている限り、こちらに攻撃は届かないらしい。
その内降りて来るだろう。

∫λリ゚ー゚ノノ「……ははは 」

一方こちらは、デビルサマナー五代目・葛葉ライドウ。
文字通り乱戦のド真ん中で二刀流を振るうクーは、込み上げて来る喜びを抑える事が出来ずに……

∫λリ゚ー゚ノノ「わぁーっはっはっはっはっは!!」

とうとう声を上げて笑い出した。

右手の刀を下から上に振り上げ、目前の敵を股から肩へ逆袈裟に切り裂く。
流れるように左手の刀が同じ軌道を切り抜け、敵は3枚に下ろされた。
2本の刀が頭上に来た時、クーは体を反転させ同時に両の刀をX字に切り下ろす。
そこに居たリビングデッドは、振り上げた槍ごとなますに刻まれた。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 20:46:12.13 ID:8JoPJVNHO<> 千の投下には万の支援。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 20:47:08.49 ID:R70b4bJ4O<> ふ…フオオオオオオオオ黄さんキターーーーーーーーーーーーッ!


孔雀王も大麻もあとうしとらも大好きで大好きで仕方ない!
心霊オカルト妖怪変化大好き支援!! <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 20:47:14.62 ID:C3ZhsPm60<> デビルサマナーの戦いは、基本的に魔を相手にする事を前提とするもの。
彼らの攻撃はあまりに残酷、そして徹底的に敵を破壊する。
その剣技をまさに今、クーは生まれて初めて存分に振るっていた。

∫λリ゚ー゚ノノ「戦は良き物にゴザルなぁ!!
        実に良い!! 特に負け戦が良い!!」
 
クーは高揚していた。
敵の刃が肌を掠め、髪を切る。
目の前を死が掠め、間一髪の生を掴む。

人として多数の魔と対峙する現状。
如何に強者の集まりとはいえ、絶体絶命の状況だ。
だからこそ一瞬の生を喜ばしく感じ、同時に死すら愛おしく思えた。

∫λリ゚ー゚ノノ「目の前に死が迫っている!!
        だが、生を憎らしい程に感じる!!拙者は今こそ生きてゴザル!!」

両手の刀を、左右に横薙ぎに払う。
前後に真っ直ぐに付く。
2本同時に切り下ろす。

その動作の1つ1つで敵を破壊し、自らの生が一瞬伸びていく。
己の技で生を掴み取る無上の喜び。
クーはこの喜びを、共に闘う仲間達と共有する事を望んだ。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 20:48:23.62 ID:8JoPJVNHO<> 支援 <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 20:59:01.90 ID:C3ZhsPm60<> クーは最も敵が密集している場所に自ら飛び込む。
まさに死の槍に貫かれる所だった味方を、2本の刀が救った。
そして叫ぶ──。

∫λリ゚ー゚ノノ「お主ら、木下藤吉郎秀吉殿……、アニジャ殿の軍団!!
        ならば問う!! お主ら果たして何者か!?」

その間もクーは足を止める事は無い。
恐るべき速さで縦横無尽に戦場を駆け、嵐のように刀を振り回した。
敵は砕け散り、味方は生を伸ばす。
そして再び叫ぶ──。

∫λリ゚ー゚ノノ「お主らは魔を討ち滅ぼす最大戦力!!
        これ即ち、人においては最強の”戦人”!!
        これ即ち、日の本最強の”つはもの”でゴザル!!」

足を止める。
そして右手の刀を真っ直ぐに突き出し、敵の軍団を差した。

∫λリ゚ー゚ノノ「見よ!!
        目前に迫るは魔の軍団!!
        お主らは魔を討ち滅ぼす”つはもの”!!
        ならば、今こそが!! 今こそがその本懐の時!!」 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 21:22:44.10 ID:u1UYCYcH0<> 支援 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 21:24:49.53 ID:+x6ewUK1O<> 書き込みできる!?
支援だ!! <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 21:29:59.32 ID:zXh7nssp0<> 今や戦場はクーが支配していると言って良い。
あまりの強さ、残虐な中の華麗さ。
このクーが自分達の味方であるという事実。

人間の兵が魔兵との戦いの中でも、意気を保つのには充分過ぎる。

クーは左手の刀を地面に突き刺した。
そして空いた手で懐から取り出す銀の筒が2本。
クーが何事かを呟くと、銀筒の蓋が静かに開き、エメラルドグリーンが発光する。

筒からは、そのサイズからは想像もつかぬ大量の光が放出された。
小さな翡翠色の光の粒子が滔々と溢れる。
光は次第に、二つの形を形成し始めた。

 ';:;,., `リ' ,.,;:;;'i 「ぬぅぅぅぅぅ……!!あの者の周囲に存在する影!!
ミ〈( o)>ii〈( o)>ミ ただならぬ魔性を感じるわ!!
i;:;:,.,(.,(_).,).,;:;i  あれは何ぞ!? 誰か答えよ!!」

これを見た輪入道は、上空から無視できないものを感じていた。
多少は元気の良い者がいるようだが、結局は人と魔。
最終的には自軍の勝利を疑っていなかった。

∫λリ゚ -゚ノノ「ほぅ……。拙者の『コレ』らを、何かと申したか?」

隣で2つの光が形となりつつある中、クーは下から見上げて不敵に笑う。 <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 21:32:49.99 ID:zXh7nssp0<> ∫λリ゚ -゚ノノ「されば答えよう。この素晴らしき時に、舞を一挿し仕る……」

クーは地面に突き刺したままだった刀を、左手で引き抜いた。
再び二刀となったクーは、その両方を右肩に担ぐ。
そして拍子を踏み、戦場を舞台にクーは二刀の剣舞を舞う。

∫λリ ー ノノ「『この影と申すは……』」

その瞬間、クーは形となりつつあった光をその場に置いて神速の一歩を踏み出した!!

∫λリ ー ノノ「『贖(あが)い獄界逆貼付け!!』」

直進と共に体を左に回転させながら刀を振り抜く!!
3体の首が一瞬にして飛んだ。

∫λリ ー ノノ「『浮き世がくれの妖と!!』」

一気に膝を曲げると同時に高く飛翔!!
落下の勢いと共に振り下ろした刀は、甲冑諸共、死兵の体を叩き割った。

∫λリ ー ノノ「『鬼の号哭踏み散らす!!』」

着地したと思えば、稲妻のようにジグザグに走る!!
クーが通った後は、おぞましい刀傷を付けられた死兵共が戦闘不能に破壊されていた。

───物の見事な一騎駆けだった。 <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 21:35:13.38 ID:zXh7nssp0<> ∫λリ ー ノノ「『葛葉ライドウの……」

ここで再び足を止める。
途端に死兵が飛びかかって来た。
それぞれが生前手にしていた武器を振り上げ、クーを自分と同じにするために。

∫λリ゚ー゚ノノ「……魔にて候!!』」

この時、クーに襲いかかろうとしていた死兵が逆に襲われることとなる。

まずは白い槍。
そして鉄よりも鋭い爪。
槍は少なくとも10の頭蓋を同時に貫き、爪の一振りは周囲の者を一瞬でミンチに変えた。

||| ゚ -゚|| 「お怪我などはございませんか、ライドウ様?
      もう少し早くお呼びくだされば…… 」

槍の持ち主は白い鎧と、黒い長髪の騎士。
おもむろに振るった魔槍は、リーチ以上の遠方の敵をも貫く。
 ,/i/i、
ミ,,゚(叉)「愚かな、クー・フーリン!!
     この男は我ら同時にかかっても歯が立たぬのだぞ!!」

空気の全てがその獣の牙であり爪だった。
銀毛の獣・ケルベロスの間合いに、敵の魔が存在する事は許されない。 <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 21:37:31.01 ID:zXh7nssp0<>  ,/i/i、
ミ,,゚(叉)「ライドウは我らに”助け”を求めてなどいない!!
     我らに”楽しめ”ということだろう!!」

口から炎を漏らしながら、ケルベロスは大声を出した。
だがこれが普通の声のトーンだ。
地獄の番犬たるケルベロスが、この声で一括すれば誰も横を通ろうとは考えないだろう。

|||;゚ -゚|| 「口を慎め、ケルベロス……。
      マスターの言を代弁するなど、何と怖れ多くも傲慢な……」

色白のクー・フーリンの顔が更に蒼白になる。
ケルベロスのクーに対する不敬に、とんでもないことだと焦っているのだ。
このクー・フーリン。
恐ろしく強いが、真面目すぎる所が玉に傷だ。

∫λリ゚ -゚ノノ「ほらほらほらほら。
        お主らそこまでにするでゴザル。
        それにケルベロスの言う事は間違ってはおらんぞ 」
<>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 21:38:59.63 ID:zXh7nssp0<> 敵の大群をとりあえず完全に無視。
2体の仲魔を宥めすかして味方の方を向く。

彼らにしてみれば、突然光の中から白い騎士と銀の獣が現れたのだ。
味方の兵達は戦を忘れ、ぽかんと口を開けていた。

∫λリ゚ -゚ノノ「おいおい、お主ら。
        一体何をしておるのでゴザル……」

クーは未だに我を失っている味方を見る。
全員が自分に注目しているのを確認。
そしてニヤリと笑った。

∫λリ゚ー゚ノノ「一騎駆けは戦の花。
        この花、見事咲かせてやり申したぞ!!」

一瞬何を言っているのか分からなかった。
だが、その一瞬が過ぎればその意味が分かる。
<>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 21:40:31.48 ID:zXh7nssp0<> ∫λリ゚ー゚ノノ「さぁ、つはものども!!
        死して死に花咲かせるか、生きて栄誉を勝ち取るか……。
        道は2つに1つなれど……」

クーの目の力は、声の力は、表情の力は決して衰える事は無い───。
その力は、味方の兵達にも次第に届く───。

∫λリ゚ー゚ノノ「どちらも、まっこと華やかにゴザル!!」

戦場の男達は、一気に血を滾らせた。

───クーのその言葉と共に誰かが叫ぶ。
悲鳴ではない。
雄叫びだ。
<> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<>sage<>2009/11/29(日) 21:40:44.96 ID:OVq4PdRa0<> 支援 <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 21:41:56.87 ID:zXh7nssp0<> 雄叫びは次々と味方の内を連鎖し、同時にやり場のない意識の高揚があった。
心の内で鼓舞された士気は、外へと発散しなければならない。
───当然、目の前の敵の軍団に発散するのだ。

───雄叫びは止まない。
何もかもを打ち砕かんばかりに、全軍が1本の矛となって突撃する。

彼らの頭にあるのは2つ。
華やかに生きるか、華やかに死ぬか───。

∫λリ゚ー゚ノノ「わはははははっ!!
        戦は良い。実に良い!!」

クーは両手の刀を握り直し、2体の魔と共に疾走した。
<> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 21:42:51.21 ID:czKRitxZO<> し <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<>sage<>2009/11/29(日) 21:43:10.27 ID:OVq4PdRa0<> え <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 21:43:10.43 ID:zXh7nssp0<> 人の矛は魔の盾を深く突き刺し、更に深く突き進む。
魔軍は人の手によって分断されていく。
そして次々と殲滅されていくのだ。

これを見て、上空の朝倉義景こと輪入道は、人間の力を認めざるを得なかった。
圧倒的な力で蹂躙するのみとばかり思っていた。
最早、屈辱以外の何物でもない。

 ';:;,., `リ' ,.,;:;;'i  「むぅぅぅ……!!
ミ〈( o)>ii〈( o)>ミ  小賢しい人間共よ!!
 i;:,.,(.,(_).,).,;:;i   出でよ!! 『 餓 紗 髑 髏 』!!」

痺れを切らした輪入道は、遂に魔軍の深淵を呼び出す。

 「暗いな。月が隠れ──!?」

突き進む兵の1人が、空を見上げ声を詰まらせた。

 「な──、なんだありゃぁ!?」

誰も彼もが異変に気付く。
闇夜に聳え立つ巨大な何か──。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 21:45:03.40 ID:aGLnoIPz0<> しししししえええええええん!!!! <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 21:45:08.08 ID:czKRitxZO<> がしゃどくろだと…… <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 21:45:09.16 ID:zXh7nssp0<> ;;;;;;ii(()(()i
\>;;:::Y/ 「KOOOOOOooooooohhhHHHHHH………」
└LLL| 

骨だけの巨人が月を背後に、虚ろな目で戦場を見下ろしていた。

この巨大な骨の妖怪は餓紗髑髏という。
死者達の怨念が凝り固り生まれた呪われし者。
恨みそのものであるこの巨大な骸骨。
霧散させない限り死者達───、即ち朝倉の死兵が眠ることはない。

 ';:;,., `リ' ,.,;:;;'i 「死者の怨念を糧にする餓紗髑髏。
ミ〈( o)>ii〈( o)>ミ こやつがおる限り、討ち死にした兵共は皆我が軍団よ!!
 i;:,.,(.,(_).,).,;:;i  お主らは少々図に乗りすぎたのぅ!!」

;;;;;;ii(()(()i
\>;;:::Y/ 「KhhhHHHHHH………」
└LLL| 

餓紗髑髏が動き出す。
巨大な骨の手を地面に叩き付け、そこに居た者を握り潰し口に運ぶ。
眼球のない目には、敵も見方も関係ない。 <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 21:47:21.61 ID:zXh7nssp0<> そして餓紗髑髏に殺された者は、恨みを晴らせぬ死兵となるのだ。
この一連の作用を見て、ある吸血鬼が怒りを顕わにした。

(´<_` )「……気に入らないな 」

───表情にいつもの暖かさは皆無である。

( ´_ゝ`)「どうしたオトジャ?
      クーに良い所を持って行かれすぎて、影が薄くなったの焦ってんの?
      なぁ、影殿?www」

(´<_` )「…… 兄 者 」

シリアスな雰囲気には茶々を入れずにはおれないアニジャ。
オトジャの苛ついた声を聞き、触らぬ神に祟り無しと一目散に逃げた。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 21:48:11.35 ID:aGLnoIPz0<> 支援だぜ <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 21:50:50.65 ID:czKRitxZO<> し <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 21:51:10.81 ID:wd3oNkqb0<> 支援ッ! <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 21:52:23.28 ID:M0CznkIW0<> オトジャはゆっくりと、だが確実に恐ろしく強靭な足取りで骨の巨人の前へと進む。
下から見上げると、正に要塞と言っても過言ではない大きさ。
だが、オトジャは全く気後れすることはない。

;;;;;;ii(()(()i
\>;;:::Y/ 「GAGA……CHI…KAHhhhh……」
 └LLL| 

餓紗髑髏が、足元の小虫のような存在に気付いた。
生きている者は握り潰すだけ。
黒く空いた眼窩が見ているのはただそれだけだ。

(´<_` )「さて……ジパングの魔よ。
      西洋のヴァンパイアとはなんたるか……。
      私が少々指導しやろう 」

もし餓紗髑髏に物事を見据える目があったならば───。

───この小虫の恐ろしさに気付けただろう。
<>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 21:53:57.55 ID:M0CznkIW0<>  ';:;,., `リ' ,.,;:;;'i 
ミ〈( o)>ii〈( o)>ミ 「『 鎌 鼬 』!!」
 i;:,.,(.,(_).,).,;:;i

輪入道がその名を呼ぶと、周囲に強烈な旋風が舞い踊った。
風の通り道に居た者が次々と切り裂かれていく。
巨大な刃物で襲われたような酷い傷だった。

爪#゚∀゚)「秀吉ぃ……」

風と共に現れたのは、先程アニジャ達の前から退散した兄弟の魔の女。
その女は、会話の内容から察するに上から2番目のようだったが……。

( ´_ゝ`)「はぁ……。やっぱり来やがったか。
      おい。あと1人はどうした?」

女が弟と呼んでいた魔は、アニジャの一撃で死んだ。
だが他の2人には手を出さず逃がしてやったはず……。
アニジャはもう1人の不意打ちを警戒するが、周囲に気配は無い。
<> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 21:54:50.21 ID:aGLnoIPz0<> しえーん <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 21:55:52.84 ID:M0CznkIW0<> 爪#゚∀゚)「ひひゃ!!」

女は狂人の様に表情を歪めると、両手を突き出した。
手首から先は前に見た通り、鎌の形状をしているが……。

(; ´_ゝ`)「あれ?
      それってそんなにデカかったっけ?」

女の両手の鎌は、彼女の身の丈を超す大きさになっていた。
良く見ると刃から不揃いな大きさの刃が、幾重にも生えているような醜悪な形状に変化している。
もしこんな物で切られたら、傷口は複雑に刻まれ、肉は治癒する事無く腐り落ちるだけだろう。

爪#゚∀゚)「これは……この鎌は兄よ!!
      兄の血で鍛え直した私の鎌!!
      お前にかわせるものか!!」

この言葉のニュアンス。
アニジャはこの女が何をしてきたか、容易に悟る事が出来た。

( ´_ゝ`)「……お前、兄ちゃんを殺したのか?」 <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 21:57:20.92 ID:M0CznkIW0<> 魔物や神や聖闘士などの血で、武具を鍛える話は古来からある。
この女がしてきた事は正にそれだろう。
だが……。

爪#゚∀゚)「そうよ!! 鎌鼬の刃は鎌鼬の命!!
      私が兄の体を貫いた時、ちょっと驚いた顔してたけど……。
      兄の魂の宿った鎌で、お前を殺せるなら本も───」

(# ´_ゝ`)「黙れ!!」

新たに宿った力に酔いしれている鎌鼬を一括。
目には吸血鬼特有の、燐の様な光が宿っている。
怒りの炎が燃え盛っているように見えた。

(# ´_ゝ`)「それっぽっちの力を得るために兄弟を殺したのか!?
      兄弟だぞ!?
      これからも、この先もずっと一緒に居るはずの兄弟だろうが!?」

自身も兄弟であるからこそ怒る。
アニジャにとって弟を失う事は、半身を失う事と同然。
仮に何を得られるとしても、引き換えに差し出すなど言語道断。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 22:00:32.99 ID:czKRitxZO<> し <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 22:00:56.94 ID:M0CznkIW0<> 爪#゚∀゚)「五月蠅い!!五月蠅い五月蠅い五月蠅い五月蠅い!!
      お前のせいで弟が死んだ!!
      お前のせいで兄も死んだ!!
      ……うひゃひゃひゃひゃwwwだからお前も殺す!! ひゃひゃ!!」

鎌鼬は既に狂っていた。
狂気に染まらねば兄を殺せなかったのか。
それとも、殺した後で狂ったのか……。

( ´_ゝ`)「楽だねぇ。そうやって狂っちまえる奴は。
      言っとくけどな、平和に暮らしたかったんなら…… 」

どちらにしろ──

(# ´_ゝ`)「人間にちょっかい出してんじゃねぇよ!!」


──吸血鬼は許さない。

<> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 22:02:25.76 ID:aGLnoIPz0<> しえーん <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 22:02:46.38 ID:czKRitxZO<> 支援。 <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 22:02:54.31 ID:M0CznkIW0<>  ';:;,., `リ' ,.,;:;;'i  「餓紗髑髏と鎌鼬相手に1人ずつだと!?
ミ〈( o)>ii〈( o)>ミ  グゥワハハハハハ!!愚かな!!
i;:;:,.,(.,(_).,).,;:;i   どれ、余も人間共と戯れてやろう!!」

上空で威嚇の炎を燃やし続けていた輪入道が、遂に下降を始めた。
顔の周囲の炎の回転スピードが恐ろしく早まる。
遂に炎の車輪となった輪入道は、地表すれすれの高さを高速で飛びまわった。

 ';:;,., `リ' ,.,;:;;'i  
ミ〈( o)>ii〈( o)>ミ 「余こそは業火の入道なり!!
i;:;:,.,(.,(_).,).,;:;i   我が灼熱の轍で、焦炎地獄に沈めてくれよう!!」

輪入道の通った後は、正に焦土。
そこに残るのは焼け焦げ、炭化し、灰に変わった死体のみ。

雷鳴の様な笑い声を上げながら、輪入道の暴走は止まらない。

──その時、輪入道の道に何者かが飛び出し、
      2本の刀でその暴走を真っ向から止めた何者かが居た──
<>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 22:04:10.73 ID:M0CznkIW0<> ∫λリ゚ -゚ノノ「『輪入道』か……。コレは拙者向きの相手のようでゴザルな。
        ……おぅおぅ。天狗でもないのに鼻が伸びておるわ 」

二刀の剣士──。


──デビルサマナー・五代目葛葉ライドウ!!


 ';:;,., `リ' ,.,;:;;'i  「ぬぅぅぅぅぅ!!余の進軍を止めるとは!!
ミ〈( o)>ii〈( o)>ミ  ほぅ……、そうか!!キサマ、人間ではあるまい!?
i;:;:,.,(.,(_).,).,;:;i   ならば余に仕え、人間共を滅ぼす事こそ道理!!」

回転する輪入道の炎の車輪。
これと受け止めるクーの刀とが、文字通り火花を飛ばす。
炎がクーを照らし、端正な顔は妖しいまでの色を含んでいた。

──が、表情から読みとるに、クーは完全に気分を害している。

∫λリ゚ -゚ノノ「……拙者は正真正銘人間にゴザル。
        何という不愉快か。
        速やかに消火してくれよう 」

言葉と同時に、均衡を保っていた刀を強引に振り下ろした。
その剣圧に押され、輪入道は初めて後退させられる。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 22:05:51.52 ID:wd3oNkqb0<> 支援だ! <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 22:05:52.74 ID:M0CznkIW0<>  ';:;,., `リ' ,.,;:;;'i  
ミ〈( o)>ii〈( o)>ミ 「馬鹿な!?
i;:;:,.,(.,(_).,).,;:;i   この余が退かされるだと!?」

輪入道の顔は動揺に歪んだ。

∫λリ゚ -゚ノノ「………」

一方クーは眉一つ動かさない。

そして輪入道は気付く。

|||#゚A゚|| 「こっこ、こ、この畜生めは、ライドウ様に暴言を……!!」
 ,/i/i、
ミ,,゚(叉)「GARUrururu……」

白き騎士と地獄の魔獣。
そしてクーを含めた強大な力が、その矛先を自分に向けているという事実。

── 輪入道はこの時、己の内に感じた事の無い感情が生まれたのに気付いた。
<> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 22:07:21.71 ID:czKRitxZO<> 支援支援 <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 22:07:37.04 ID:M0CznkIW0<> ;;;;;;ii(()(()i
\>;;:::Y/ 「GISHA……CHI…GIIIIhhhh……」
└LLL| 

(´<_` )「その巨大な頭蓋骨に、果たして脳は入っているのかな?」

オトジャは遥か上空から振り下ろされる一撃を跳躍して回避。
そして餓紗髑髏が地を抉っている腕に飛び乗った。

(´<_` )「自分で確かめようか 」

そのままオトジャは骨の腕を駆け上がる。
吸血鬼の脚力にかかれば、瞬く間に肩口まで登ることなど造作もない。
オトジャは肩から鎖骨に渡った。

(´<_` )「絶景だな 」

オトジャは眼下に広がる戦場を悠々と眺めた。
夜に最も目立つのは、やはり朝倉義景の炎の車輪か。
炎に照らされ、クーが真っ向から対峙しているのが見てとれる。

(´<_` )「……ふむ。皆勇敢だ。
      1人1人の力は、あの落ち武者の1体に大きく劣るというのに 」

だがオトジャは思う。
魔と勇敢に戦う人間達の、何と清々しい事かと。 <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 22:09:22.14 ID:M0CznkIW0<> (´<_` )「彼らに……、勇敢な人間達に加勢してやらねば。
      死兵達は恨みに縛られ、この世に留まっているのだったな。
      そしてこの骨の化け物こそが、彼らの恨みが具現化した姿。
      恨みが晴れれば、眠ることも叶うかもしれない……」

先程、わざわざ朝倉義景がぺらぺらと説明してくれたのだ。
オトジャの見立てでは、あの妖怪はどうも頭が悪いらしい。
己の力を過信しているせいだろうか。

(´<_` )「だがその前に……。やはり気になるな……」

オトジャは見上げる。
そこから上にあるのは、餓紗髑髏の巨大な頭蓋骨だけだ。
相当鈍いのか、未だにオトジャを地面の上に探している。

(´<_` )「……脳はあるのか否か!!」

オトジャは餓紗髑髏の鎖骨から真上に跳躍した。
顎から頬骨を飛び越し、まさに今、前の前は米神だ。

(´<_` #)「無駄ァッ!!」

オトジャは空中で、体幹の回転だけで体を強烈に旋回させる。
充分過ぎるほどスピードに乗ったオトジャの拳が、餓紗髑髏の米神をまともに捉えた。 <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 22:10:50.17 ID:M0CznkIW0<> (´<_` )「成程……」

分厚い餓紗髑髏の米神は、オトジャの拳により破砕。
同時に与えられた衝撃により大きく横に振られ……

;◆ii(()(()i
\>;;:::Y/ 「KASHA……SHASHASHASHAhhhh……!!」
└LLL| 

バランスを崩した餓紗髑髏は地響きと共に転倒した。
オトジャは空中から降下中に、この様子を見ながらこう言った。

(´<_` )「”その中”は空か 」

オトジャが倒した敵は、戦場のどこからも見える巨体だった。
さらにその質量が倒れた際には、多大な土埃と地鳴りを生じた。


───即ち、餓紗髑髏が倒された事実は、戦場の誰もが把握できた。

<>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 22:13:43.60 ID:M0CznkIW0<> (´<_` )「さぁ、勇敢なる友よ 」

ようやく地に降りて来たオトジャの視界は捉える。
オトジャの武功により、無双に士気が上がった男達の姿を。

小山のような妖怪───。
それも死を直に連想させる骸骨の姿をした者を、ド派手に倒したのだ。
嫌でも士気が上がるというものだろう。

(´<_` )「ハッハッハ!!
      全力で叩き潰そうじゃぁないか!!」

オトジャはこの時まだ気付いていなかった。
人々と共に、自分が存分に戦いに酔っている事を───。
<> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 22:13:52.55 ID:5HxzQrpWO<> 支援ー <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 22:14:23.36 ID:czKRitxZO<> 支援 <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 22:15:08.59 ID:M0CznkIW0<> 時間は少しだけ前後する。
オトジャが巨大妖怪・餓紗髑髏を殴り飛ばす数分前───。

戦場の他の場所では、2人の魔が高速で駆けていた。
異形と化した刃の集合体を振り回す鎌鼬。
こんなものを食らっては敵わんと、とりあえず逃げまくるアニジャ。

彼らが走り回る空間に人の兵は皆無。

恐るべき戦いに、人間達は自ら身を引いたのだ。
───そしてアニジャは、敢えて人の居ない場所を選択して逃げ回っていた。

爪#゚∀゚)「フヒャヒャヒャヒャ!!
      死ね死ね死ね死ねぇぇぇ!!」 」

( ´_ゝ`)「完全にイッちまってんなぁ。
      だが、周りが見えてないってのは、こっちにしてみりゃラッキーか 」

爪#゚∀゚)「アハハハハハ!!何がラッキーだってぇ!?」

(; ´_ゝ`)「んんぅ〜!? これは!?」

鎌鼬が禍々しい刃で空を切った。
───そしてアニジャは目を疑った。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 22:15:31.01 ID:+x6ewUK1O<> 支援じゃあああ!! <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 22:17:13.76 ID:M0CznkIW0<> アニジャの目に映ったのは、迫り来る空気の歪みの群れ。
それぞれの歪みは薄氷のように研ぎ澄まされ、ぞっとする何かを感じさせる。
それが、地を切り裂きながらアニジャに迫る!!

(; ´_ゝ`)「何か知らんが、これはヤバそうだ!!」

アニジャは咄嗟に、この空気の歪みに触れてはならぬと判断する。
だが、目前に高速で迫る歪みは、複雑に入り組み回避は困難。

(; ´_ゝ`)「チッ!! まずったぜ!!」

左右に逃げれば間に合わない。
上に跳べば、狙い撃ちに合うのは目に見えており論外。
穴を掘る時間もない。

(; ´_ゝ`)「クッソ!! ちょっと痛ぇの我慢すっか!!」

瞬間、アニジャは恐るべき行動に出る。
両手を前に思い切り突き出し、それに続いて、体ごと前方に飛び込んだのだ。
丁度、水泳の飛び込みの形だ。

アニジャは、歪みの隙間を一瞬見ていた。 <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 22:20:42.26 ID:zXh7nssp0<> 目に見えない刃が通り過ぎて行った。
地面が無残に深く切り刻まれている。
その上で何かがごろんと寝返りを打った。

(; ´_ゝ`)「痛ぇ!! マジで痛ぇ!!」

アニジャの掌は、無数の切り傷から流れた血に染まっていた。
大袈裟に痛がるアニジャだが、いずれも軽傷。
吸血鬼の治癒力で、傷口はみるみる塞がっていく。

爪#゚∀゚)「あれれ? あれれれれ?
      私の『カマイタチ』が殺し切れてない?
      おかしいな、おかしいな、おかしいおかしいおかしいおかおかおかおおか……」

( ´_ゝ`)「おかしいのはお前の頭だろうがjk 」

カマイタチ現象───。
真空の刃を故意に発生させ、相手を一方的に刻む。
妖怪鎌鼬の力の真髄と言って差し支えないだろう。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 22:22:02.37 ID:aGLnoIPz0<> 支援! <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 22:22:16.23 ID:zXh7nssp0<> ( ´_ゝ`)「『カマイタチ』ね……」

不可解な攻撃を繰り出した鎌鼬。
その相手に対して、アニジャは一切の迷いなくツカツカと一歩ずつ近付いて行く。
ゆっくり、だが確実にだ。

爪;゚∀゚)「な、何だお前!!何だお前ぇぇぇぇ!!
      何で死なないんだ!?
      兄を殺してまで手に入れた、この鎌のカマイタチで何で死なないんだ!?」

おぞましい姿に変化した、自身の鎌を振り上げ鎌鼬は叫ぶ。
自身は兄を殺して得た力で、魔を超越した力を手に入れたと信じて疑わなかった。
そしてその力を十分見せ付けた。

だが、この男は何でもないという顔で近付いて来る。
殺せぬどころか、警戒するにも値しないという面持ちだ。
鎌鼬は戦慄した。       <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 22:22:26.99 ID:kaxgS8ApO<> 支援!
なんか今日すごいww <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 22:23:18.34 ID:+x6ewUK1O<> 霧になるやつ使えばいいのに
兄者支援! <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 22:23:41.32 ID:zXh7nssp0<> ( ´_ゝ`)「おい……」

爪;゚∀゚)「ヒッ!!」

遂に目と鼻の先にまで近付いて来た所で、アニジャは足を止める。
ドスの効いた声に、鎌鼬は目に恐怖の色を浮かべた。

( ´_ゝ`)「さっきの、もう1回やってみろよ……」

爪#゚∀゚)「なっ……!!」

カマイタチを繰り出すまでもなく、鎌が届く距離でアニジャは言い放った。
余りにも舐め腐った態度。
鎌鼬は屈辱のあまり、恐怖を忘れる。

爪#゚ー゚)「舐めるなぁー───!!」

表情は怒りに引き攣り、目は未だに恐怖に淀んでいる。
だが、鎌鼬は再び必殺の空気の刃を繰り出さんと鎌を振り上げた。

今度は先程よりも更に大きな刃を───。
<> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 22:24:30.61 ID:czKRitxZO<> 支援しかない! <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 22:25:42.95 ID:zXh7nssp0<> ( ´_ゝ`)「やっぱお前、周り見えてねぇわ 」

爪;゚∀゚)「っ!?」

まさに鎌を振り下ろそうとした瞬間───。
真空の刃の群れが生まれる瞬間───。

鎌鼬の刃は、剛力に阻まれて止まった。

爪;゚∀゚)「お前……!!」

鎌鼬が自らの鎌を見る。
信じ難い事実がそこに展開されていた。

───アニジャが鎌鼬の刃を、両掌でガッチリと挟み取っていた。

( ´_ゝ`)「真剣白刃取り……ってヤツだっけ?
      こんなに近けりゃ掴めるよ 」

涼しい顔で言う。
だが、その両手に込められている力は万力よりも強い。
鎌鼬は鎌を引けない。
逃れる事が出来ない。 <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 22:26:48.25 ID:zXh7nssp0<> 爪;゚∀゚)「これは!? 離れない!!
     放せ!! 私の鎌から手を放せ!!」

( ´_ゝ`)「バカ丸出し。こんな危ねぇモン、誰が放すかよ 」

爪;゚∀゚)「ぐぅぅぅぅ!! 放せ放せ放せ放せぇ!!」

鎌鼬は相当に暴れるも、アニジャの剛力は緩む事を知らない。
汚い言葉でアニジャを罵るも、当のアニジャはどこ吹く風。

爪;゚∀゚)「うぁぁぁぁぁ!! 放せよ!!
      触るな!! 兄に触るなぁ!!放せ放せっ!!」

鎌を『兄』と呼ぶ鎌鼬。
自分が殺した兄だが、その力の宿る自分の鎌をそう呼ぶ。
そうする事で、かろうじて自我を保っていたのかもしれない。

( ´_ゝ`)「五月蠅ぇな……」

それを聞いたアニジャが両手に力を込め─── <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 22:27:05.01 ID:aGLnoIPz0<> 支援! <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 22:28:10.67 ID:zXh7nssp0<> 爪; ∀ )「グァッ──!! ア、ア、ア……」

───へし折った。

折れた箇所からは、血の様な赤黒い液体が吹き出す。
鎌鼬の鎌は、まさに力そのものであり、命そのもの。
そこかしこに流れている液体は、事実血なのかもしれない。

爪;゚∀゚)「あああ、あ……あ……。
      鎌が!! 私の鎌が!! 兄がぁぁぁぁ!!」

だが……。

( ´_ゝ`)「兄? 兄だと?」

アニジャは折り取った鎌の先をその辺に投げる。
空いた手で鎌鼬の髪を掴み、頭を引き上げ耳元に口を寄せた。
そして冷淡に、だがしっかりと言った。

( ´_ゝ`)「兄ちゃんは、お 前 が 殺したんだろうが 」

爪;゚∀゚)「嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁー───!!」

鎌鼬の自我は、完全に崩壊した───。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 22:28:57.11 ID:wd3oNkqb0<> 支援 <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 22:29:28.90 ID:zXh7nssp0<>  ';:;,., `リ' ,.,;:;;'i  「ぬぅぅ!!
ミ〈( o)>ii〈( o)>ミ  鎌鼬と餓紗髑髏が破れるだと!?
i;:;:,.,(.,(_).,).,;:;i   あ奴ら、一体何者!?」

吸血鬼兄弟の戦いは派手過ぎる。
その為、輪入道は否が応でも部下達の敗北を知った。
それは同時に───

∫λリ゚ -゚ノノ「先に確認でゴザル 」

クーが兄弟の勝利を知った事を意味する。

||| ゚ -゚|| 「私はライドウ様の仰せのままに 」

∫λリ゚ -゚ノノ「此度の戦は撤退戦でゴザル。
        生かさず殺さず、とにかく時間を稼げ。
        向こうは殺すつもりで来るでゴザろうが 」
 ,/i/i、
ミ,,゚(叉)「もし間違えて殺したらどうなる!?」

∫λリ゚ -゚ノノ「その時はその時。
        武士にもたまには二言があるのでゴザルよ 」
<> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 22:30:18.35 ID:+x6ewUK1O<> 支援! <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 22:30:56.96 ID:zXh7nssp0<> クーは刀を構えた。
大刀を片手で、しかも自在に2本を振るう。
人間の体には不釣り合いな膂力だ。
クー・フーリンも槍を構え、ケルベロスはいつでも飛び掛れるよう身を低くした。

 ';:;,., `リ' ,.,;:;;'i  「だが馬鹿共め!!
ミ〈( o)>ii〈( o)>ミ  我が首、取らねば貴様らに勝利は無い!!」
i;:;:,.,(.,(_).,).,;:;i  

周囲に火の玉を浮かべる生首が、炎を赤々と滾らせる。

∫λリ゚ -゚ノノ「別に勝つために戦っておるのではゴザらんよ。
        こっちとしては、信長殿が逃げ果せれば良いのでゴザルからな 」

||| ゚ -゚|| 「ライドウ様。ひょっと致しますと、あの者……。
     頭が悪いのではございませんか?」

輪入道は空中で大きく加速しながら狙いをクー達に定めた。
馬鹿にされていることなど露知らず。
だが高速回転する輪入道の迫力は、確かに他の魔とは一線を画す。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 22:32:18.36 ID:ezAd2QEtO<> 支援 <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 22:32:53.75 ID:zXh7nssp0<>  ';:;,., `リ' ,.,;:;;'i  
ミ〈( o)>ii〈( o)>ミ  「この場で火葬にしてくれるわ!!」
i;:;:,.,(.,(_).,).,;:;i  

炎の尾を引き、輪入道が迫り来たる。
狙いはクー。
他の者など一切気にする様子は無い。

クーは刀を並行に構えると、横薙ぎにフルスイング。
一直線に向かって来た、輪入道の炎の車輪とまともに衝突した。
刃と触れ合う車輪は、回転するためおぞましい火花が散る。

∫λリ゚ -゚ノノ「ぬぅ……!! ただのバカではゴザらんようだな!!」

 ';:;,., `リ' ,.,;:;;'i  「1度ならず2度までも、我が進軍を刀のみで止めるとは!!
ミ〈( o)>ii〈( o)>ミ  人間にしては見上げた者よ!!
i;:;:,.,(.,(_).,).,;:;i  だがいつまでそのやせ我慢が続くかな!?」

その間にも輪入道の炎は周囲に飛び火。
辺りは急に熱を帯び始めた。
如何に強者と言えクーは人。
クーは輪入道の脅威と同時に、身を焦がす炎にも気を配らねばならない。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 22:33:05.47 ID:czKRitxZO<> 俺のテンションはクライマックスだぜ!支援だ! <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 22:35:08.72 ID:4dkLvSko0<> 支援 <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 22:35:10.06 ID:zXh7nssp0<>  ';:;,., `リ' ,.,;:;;'i  「ホラホラホラホラホラァ!!
ミ〈( o)>ii〈( o)>ミ  もう後が無いぞ人間!!
i;:;:,.,(.,(_).,).,;:;i  炎が貴様に迫っておるぞ!!」

輪入道の車輪の回転がさらに早まった。
人間の御し得るスピードで回転する車輪を、刀2本で抑えているクーも大したもの。
だが回転スピードに比例して、周囲に撒かれる炎の数も増える。
炎がクーの身を焼かんと迫る。

∫λリ゚ -゚ノノ「伊達に魔を従えているというわけではゴザらんようだな!!
        この車輪に阻まれては攻撃も通らぬ!!
        無敵かもしれんでゴザル!!」

次第にクーの紺の陣羽織に炎が灯る。
背中の見事な鳳凰の刺繍は、その翼に本物の炎が宿り始めた。
それでもクーは、輪入道の正面から動こうとしない。

 ';:;,., `リ' ,.,;:;;'i  「フハハハハハ!!
ミ〈( o)>ii〈( o)>ミ  所詮これが人と魔の差よ!!
i;:;:,.,(.,(_).,).,;:;i   敗因は人に生まれた事と知れ!!」

瞬間、車輪の回転スピードが跳ね上がる。
もしクーが止めていなければ、一瞬で戦場を炎の轍が駆け巡るだろう。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 22:36:29.88 ID:Pg0j8cqmO<> 支援 <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 22:37:49.87 ID:k4SuGxd20<> ∫λリ゚ -゚ノノ「人と魔の差か。
        中々良い事を言うでゴザルが、まだ分からんぞ。
        人は鍛錬により強くなるのでゴザル 」

 ';:;,., `リ' ,.,;:;;'i  
ミ〈( o)>ii〈( o)>ミ 「鍛錬だと!?
i;:;:,.,(.,(_).,).,;:;i   10年20年30年程度の鍛錬で、この差が埋まるものか!?」

∫λリ゚ -゚ノノ「確かに、いくら修業を積んでも大抵の場合、人は魔に劣る。
        だから共に闘うのだ 」

 ';:;,., `リ' ,.,;:;;'i  「ブハハハハハ!!
ミ〈( o)>ii〈( o)>ミ  確かに貴様は強いが、他の人間がどうやってお前と共に闘うのだ!?
i;:;:,.,(.,(_).,).,;:;i   この戦場に、貴様の加勢をする余裕がある人間はいない!!」
 
高笑いの輪入道に焦りは無い。
クーの体力が尽きるのを、悠長に待てばいいのだ。
それよりも焼け死ぬ方が早いかもしれない。
       
∫λリ゚ -゚ノノ「……つまらんでゴザル。
        やはりお前様は 馬 鹿 のようだな 」

だがクーにも一切の焦りは見られず…… <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 22:39:51.55 ID:k4SuGxd20<>  ';:;,., `リ' ,.,;:;;'i  
ミ〈(●)>ii〈( o)>ミ 「ブハ……え?」
i;:;:,.,(.,(_).,).,;:;i 

||| ゚ -゚|| 「感謝致します、ライドウ様。
      この便器の縁からハミ出したビチグソ野郎を、串刺しにすることをお許し下さって 」

クー・フーリンの魔槍が、輪入道の右目を貫き後頭部へと貫通している。
車輪の炎が急速に萎んでいった。

∫λリ゚ -゚ノノ「誰が” 人 間 と 共 に 闘 う ”と言った?
        拙者は悪魔召喚師でゴザルぞ?」

 ';:;,., `リ' ,.,;:;;'i  
ミ〈(●)>ii〈( o)>ミ 「え……え、えぇぇぇー───!!!!」
i;:;:,.,(.,(_).,).,;:;i 

炎の消えた輪入道は、最早ただデカイだけの生首。
みすぼらしい姿で、みすぼらしい叫び声を上げた。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 22:40:02.69 ID:Pg0j8cqmO<> 支援支援 <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 22:41:40.54 ID:k4SuGxd20<> ∫λリ゚ -゚ノノ「確かにお主に、前後の攻撃は一切通じぬようでゴザルな。
        それ程の早さで回る炎の車輪など、拙者にもどうにもならぬ。
        だがな、横からの攻撃に無防備過ぎよう、この馬鹿者 」

クー・フーリンの槍は輪入道を横から貫いていたのだ。
クーが敢えて真っ向から打ち合ったのは、ここに理由がある。
そうする事で輪入道の動きを止めたのだ。

||| ゚ -゚|| 「ライドウ様。
     この娼婦の歯クソに住む細菌の排泄物が腐ったヘドロを
     7日7晩ぐつぐつ煮込んで生まれたスライムの食べカス野郎をどうしましょう?」

クー・フーリンが、串刺しにしたまま輪入道を高く掲げる。
情けない声を出して助けを請う輪入道。
その哀れな妖怪を、槍先から銀の影が猛烈な勢いで奪った。
 ,/i/i、
ミ,,゚(叉)「ライドウ!!
     この者、頭部を貫かれても死なぬぞ!!
     ならば、半分ほど食い千切ってやっても問題あるまい!?」

言うや否や、強靭な前足で輪入道を地面に押さえ付けるケルベロス。
早くも凶悪な牙が生え揃った大顎を開き、食う気満々。

 ';:;,., `リ' ,.,;:;;'i  
ミ〈(●)>ii〈( o)>ミ 「ひぃぃぃぃぃぃぃー───!!!!」
i;:;:,.,(.,(_).,).,;:;i 

この妖怪には、既に尊厳という物が消え失せてしまった。
ただただ、自身を圧倒的に超える力に恐怖するのみ。 <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 22:44:38.15 ID:k4SuGxd20<> (´<_` )「やったか、クー!?」

( ´_ゝ`)「コイツが朝倉義景の正体か……。
      顔デケぇwww」

∫λリ゚ -゚ノノ「あ〜、こらこらダメでゴザル。
        ケルベロス、”待て”!!
        ”良し”と言うまでダメだといつも言っておるでゴザろう?」

この3人の足元では、さっきまで偉そうにしていた妖怪が必死に命乞いをしているのだが……。
なんとも温度差の激しい事だ。
3人はもうほとんど敵の首領に興味は無い。

( ´_ゝ`)「うし。じゃ、子分共の加勢でもしてやっか 」

アニジャが肩をぐるぐる回しながら歩いて行く。
大きな妖怪を倒したとはいえ、人間の部下はまだ敵のリビングデッドと闘っている。
そして吸血鬼の聴覚は、その後ろに控える者達の息吹も捕らえていた。

( ´_ゝ`)「朝倉の本体がこっちに近付いてるな。
      こりゃ、さっさとアイツらも逃がしてやった方が良さそうだ 」

その場合、自分が殿(しんがり)となることは既に決めている。 <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 22:47:53.66 ID:k4SuGxd20<> (´<_` )「妙だな……」

オトジャは今見ている光景に違和感を感じる。
アニジャが預かる屈強な兵士が、動く死体と勇ましく戦っている光景だ。
……なぜまだ戦いが続いているのだ?

(´<_` ;)「彼らは骨の魔物が死ねば、恨みが晴れ天へと帰るはず。
      ……しまった!!まだ終わりでは───!!」

オトジャが先ほど倒した敵の方を向いた。
轟音───。
黒い砦が再び動き出す。

;◆ii(()(()i
\>;;:::Y/ 「KAKAKAKAKAKAKAKAKAKA!!!!!」
└LLL| 

上下の顎を激しく打ち鳴らしながら、餓紗髑髏が立ち上がった。
同時に無茶苦茶に巨大な腕を地面に叩き付けまくる。
見る見るうちに、周囲の地形が変わっていく。 <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 22:49:16.81 ID:k4SuGxd20<>  「オ……オオオオオ……オオオオ………」

叩き潰された死体は、おぞましい声を上げながら這い回る。
片方の足が千切れ飛んでも関係ない。
両腕がもがれても関係ない。
頭部が半分潰れていても関係ない。

眠る事を許されない死者達は歩く。
生きる者を自分の側へ引き込むためだけに。

(; ´_ゝ`)「あー、もう!!ウジ虫みたいに沸いてきやがって!!」

∫λリ゚ -゚ノノ「これはいかんな。
        ケルベロス!! そんな下郎は放って、兵達を救うのでゴザル!!」

アニジャとクーは、取り急ぎ乱戦へと身を投じた。
兎にも角にも、今は兵達の命を救う事が先決。
暴れる巨大妖怪よりも、同じ高さに居る敵を祓わねばならない。

 ';:;,., `リ' ,.,;:;;'i  
ミ〈(●)>ii〈( o)>ミ 「ぃ ぃ ぃ ……」
i;:;:,.,(.,(_).,).,;:;i 

ケルベロスがクー・フーリンと共に兵達の加勢に向かう。
その隙に輪入道は力なく空中を逃げて行った。
アニジャ達はこれを追う事すらしない。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 22:49:35.81 ID:4dkLvSko0<> 支援 <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 22:50:12.66 ID:k4SuGxd20<> (´<_` )「とにかくあの骨を何とかしないとどうしようもない。
      ……が、兵士達を守らねば!!」

オトジャは我が身が1つしかない事を憎々しく思う。
強力な力を備えている。
しかし兵を守る事と強力な敵を倒す事を両立するのは手に余る。

(´<_` #)「止めを刺し損なったのは大きなミスだ。
      私自身に腹が立つ……」

今、餓紗髑髏が暴れているのは正に自分の責任。
アニジャ達は即座に兵を救う事に決めたが、オトジャは腹を決めかねる。
餓紗髑髏を倒して失敗を取り戻したいのだ。

───しかし、傷を負った餓紗髑髏の狂撃は先程を遥かに上回る。
オトジャも含めた3人と魔2体で、兵の守護に当たらねば忽ち壊滅だ。


その時だ───。


『イヤァー────!!』


鋭い雄叫びを上げ、騎馬の一団が戦場に舞込んだのは……。
<>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 22:50:58.00 ID:k4SuGxd20<> (´<_` ;)「援軍か!?だが一体誰の軍が……!?」

信長は『殿(しんがり)は任せる』とアニジャだけに言った。
他の者が、この死地に残る事はあり得ない話だ。
だが、確かに織田軍の兵達が現れ、次々と死兵達を薙ぎ倒していく。

戸惑うオトジャに、一群の中から誰かが近付いて来た。
少々恰幅の良い体を揺らその男は……。

(; ФωФ)「影殿!! お主、無事でゴザルか!?」

信長と共に引いたはずの徳川家康───。
魔と対峙したためだろうか。
若干顔が青褪めている。

(´<_` ;)「バカな!?
      家康!?なぜ君がここに居るのだ!?
      魔と闘うのは我らの仕事!! 君はアレが怖くないのか!?」

オトジャは半ば怒ったように家康に声を上げた。
自分達、アニジャの軍は、魔と闘う為に編成された軍。
人との戦を担当する家康軍は、不慣れな相手に飛び込んで来たのだ。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 22:53:20.55 ID:4dkLvSko0<> 支援 <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 22:53:41.24 ID:k4SuGxd20<> だが、オトジャの言葉に家康は震えながらも笑った。

(; ФωФ)「怖くないのかでゴザルか……?
        ふふっ。いやぁ、怖いwww」

本当に怖い───、それを言葉から充分に感じる。
だが、家康の顔に張り付いている表情は、決して恐怖ではなかった。
何とも心地の良い笑みだ。

(; ФωФ)「怖いが、考える前に体が動いてしまい申したwww
        殿には後で叱られるだろうな……。
        ははは……。今頃になって震えが来たwww」

(´<_` )「君という男は……」

オトジャは言葉を失う。
弱い……、吸血鬼に比べると遥かに弱い人。
だが、オトジャよりも心に迷いは無い。

(´<_` )「何という男だ!!
      ははっ!!
      君という男は、本当に何という男だ!!」

オトジャは笑った。
心に秘めた迷いを、たった今振り切る事が出来たからだ。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 22:55:48.92 ID:aGLnoIPz0<> 支援だ、ああ、支援だよ!! <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 22:56:00.21 ID:Pg0j8cqmO<> 支援 <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 22:58:50.68 ID:2BSYcPYWO<> 作者です
エスカル様
>>186>>188で家康にちょんまげ付けるの忘れてしまいました
次に修正投下します <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 22:59:13.44 ID:k4SuGxd20<> (´<_` ;)「援軍か!?だが一体誰の軍が……!?」

信長は『殿(しんがり)は任せる』とアニジャだけに言った。
他の者が、この死地に残る事はあり得ない話だ。
だが、確かに織田軍の兵達が現れ、次々と死兵達を薙ぎ倒していく。

戸惑うオトジャに、一群の中から誰かが近付いて来た。
少々恰幅の良い体を揺らその男は……。
((
ミ; ФωФ)「影殿!! お主、無事でゴザルか!?」

信長と共に引いたはずの徳川家康───。
魔と対峙したためだろうか。
若干顔が青褪めている。

(´<_` ;)「バカな!?
      家康!?なぜ君がここに居るのだ!?
      魔と闘うのは我らの仕事!! 君はアレが怖くないのか!?」

オトジャは半ば怒ったように家康に声を上げた。
自分達、アニジャの軍は、魔と闘う為に編成された軍。
人との戦を担当する家康軍は、不慣れな相手に飛び込んで来たのだ。 <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 23:01:37.27 ID:k4SuGxd20<> だが、オトジャの言葉に家康は震えながらも笑った。
((
ミ; ФωФ)「怖くないのかでゴザルか……?
        ふふっ。いやぁ、怖いwww」

本当に怖い───、それを言葉から充分に感じる。
だが、家康の顔に張り付いている表情は、決して恐怖ではなかった。
何とも心地の良い笑みだ。
((
ミ; ФωФ)「怖いが、考える前に体が動いてしまい申したwww
        殿には後で叱られるだろうな……。
        ははは……。今頃になって震えが来たwww」

(´<_` )「君という男は……」

オトジャは言葉を失う。
弱い……、吸血鬼に比べると遥かに弱い人。
だが、オトジャよりも心に迷いは無い。

(´<_` )「何という男だ!!
      ははっ!!
      君という男は、本当に何という男だ!!」

オトジャは笑った。
心に秘めた迷いを、たった今振り切る事が出来たからだ。 <>
◆FnO7DEzKDs <>sage<>2009/11/29(日) 23:01:49.22 ID:2BSYcPYWO<>
修正終わり
読者さん達もお詫びします <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 23:02:33.97 ID:k4SuGxd20<> (´<_` )「家康。
      そうか……。分かったぞ。
      君の役割が、君がこの戦いの後、何を為さねばならないかはっきりと 」

同時にオトジャは気付く。
自分自身ががこの戦国の世で為すべき使命も。
((
ミ; ФωФ)「拙者には、後のことなど考えておる余裕などゴザらんよwww」

家康はこの死に瀕した状況で自分が笑っている事に気付いてなかった。
オトジャはこの胆力に惚れぼれする。
そして、自分の中に燃え始めた使命が、間違っていない事を確信した。
        
(´<_` )「このオトジャ・ヒロヒコ・バレンタイン。
      今から君の刀になろう。
      どうやら、それが私の役割のようだ 」
((
ミ; ФωФ)「影……いや、オトジャ殿……」

信長にはアニジャ。
家康には自分だ。
間違いない。
その為にオトジャは、兄と共に日本に来たのだ。 <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 23:04:02.57 ID:k4SuGxd20<> (´<_` )「まずは配下の兵達を頼む、家康!!
      私はあのデカイのに引導を叩きつけて来る!!」
((
ミ; ФωФ)「わ、分かり申した!!
        オトジャ殿、存分に!!」

家康はそう言うと、忽ちの内に自軍の兵を動かし始めた。
手足のように縦横無尽に軍を操る。
海道一の弓取り、徳川家康の戦上手は戦国の世に知れ渡っている。

(´<_` )「さて、骨の化け物!!
      今度こそこの私が、念入りに滅ぼしてやろう!! 
      二度と復活などさせない!!」

オトジャは全てを任せ、単身巨大な魔に向かって行った───。
<>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 23:06:00.75 ID:k4SuGxd20<> 家康に遅れる事数分───。
もう1つの軍団が傾れ込む。
((
ミ ^Д^)「あの英雄達を一兵たりとも死なせてはなりません!!
      そして、あの化け物共を一兵たりとも帰してはなりません!!」

明智光秀の軍だ。
聡明さで浪人から中核へと成り上がって来た光秀。
殿軍に援軍が必要となる事を見透かしていたのだろう。

家康と光秀の軍の登場。
数の上でも勿論そうだが、何よりも期待していなかった援軍の姿に、
アニジャ軍の兵達は奮い立った。
.∧(oノヘ
/(゚ー゚ { | 「はっはっはー!!
      うりゃうりゃうりゃー───!!」

そして目を引くのは光秀の軍に居る鎧兜の大男。
長く太い槍を小枝のように振り回し、次々と死兵の首を飛ばして行く。
その槍は、一振りで10近くの敵を粉砕した。

豪快に笑うその男の暴れっぷりは、まさに悪鬼のそれと言って過言ではない。
<>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 23:07:39.82 ID:k4SuGxd20<> (; ´_ゝ`)「おいおい……。光秀んとこに、凄いのが居るぞ?
      なんだアレは?本当に人間か?」

かなり余裕が出来たのか、アニジャはしばし手を休めた。
近くにはクーが居る。

∫λリ゚ -゚ノノ「ふむ……。
        アレは確か、光秀殿の甥、明智左馬介秀満(さまのすけひでみつ)殿でゴザル。
        異風の恰好を好み、異様な振る舞いで人を驚かせる傾奇者と聞いておるな 」

( ´_ゝ`)「異風の格好?
      じゃ、お前も傾奇者じゃん 」

∫λリ*゚ -゚ノノ「ぬははははwww。
         アニジャ殿もそうでゴザルwww」

(* ´_ゝ`)「あ、そう?
      やっぱり自分らしさっつーか? こだわりは持っていたいよねー 」

戦場に文字通り血の雨を降らす悪鬼に、アニジャ達は確かに救われた。
兵達も家康、光秀の軍と共に押しに押しまくっている。
士気も高い。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 23:07:46.56 ID:4dkLvSko0<> 支援 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 23:08:09.50 ID:qzBCUzjOO<> 支援 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 23:08:22.84 ID:aGLnoIPz0<> ま、前田慶次だァー――――!!! <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 23:09:12.03 ID:k4SuGxd20<> ( ´_ゝ`)「……しかしよー 」

アニジャは改めて大暴れの豪傑に目を遣った。
.∧(oノヘ
/(゚ー゚#{ | 「ぬぅぅぅぅりゃぁー───!!」

魔物相手に一歩も引けを取らない。
人間の範疇を越えた戦闘能力だ。
だがアニジャは、そう言う人間がもう1人すぐ側に居る事を心得ている。

( ´_ゝ`)「人間にもスゲェ奴が居るもんだ。
      ……お前もな、Qoo 」      

∫λリ゚ -゚ノノ「ふっふっふ。
        ここは素直にお褒めの言葉に感謝しておくでゴザルよ 」

血なまぐさい戦場に居ながら、2人は笑い合っていた。
と、ここでクーは”何やってんの?”という顔でアニジャを見る。

∫λリ゚ -゚ノノ「ところでアニジャ殿?
        お主、一体いつまでこんな所で油を売っているつもりでゴザルか?」 <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 23:11:29.91 ID:k4SuGxd20<> いや、そんなこと言われても信長を逃がしてやらなくちゃ……。
そう言う顔でクーを見るアニジャ。
それに対するクーの返答はこうだ。

∫λリ゚ -゚ノノ「もう十分に時間は稼いでゴザル。
        それに家康殿達のお蔭で、どうやらここは山は越えた。
        あの骨も、ホレ 」

餓紗髑髏の周囲を跳ね回るオトジャを確認する。
オトジャが餓紗髑髏の体の部位に飛び込む都度、そこから先が外れて行く。
オトジャは骨の関節を狙い、丁寧に解体しているのだ。

頸椎をだるま落としのように次々と叩き落として行くのが見える。
───そして巨大妖怪は、轟音と共に遂に地に伏した。
今度こそ、もう2度と立ち上がる事は無いだろう。

∫λリ゚ -゚ノノ「お〜お〜、オトジャ殿もやり申すなぁ〜 」

その瞬間、戦場を徘徊する死兵達が一気に崩れ落ちる。
恨みの元凶である餓紗髑髏は、オトジャの手によって死んだ。
彼らの怨念は晴らされ、死す事がようやく許されたのだ。 <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 23:12:52.72 ID:k4SuGxd20<> これを確認して、クーはアニジャの背中をドンと叩いた。

∫λリ゚ -゚ノノ「さっさとお市様を助けに行かんか 」

アニジャ自身も、戦闘中はずっとその事を考えていた。
朝倉義景が妖怪だった以上、深い関わりがある浅井長政もそうである事は火を見るより明らか。
そこに嫁いでしまった妹者は、果たして無事でいるだろうか……。

( ´_ゝ`)「クー……」

アニジャはすまなそうにクーを見る。
クーは笑って頷いた。

( ´_ゝ`)「弟者!!」

餓紗髑髏の死骸の傍で、その死を念入りに確認していたオトジャ。
アニジャの声に気付いた彼も、矢張り頷く。

アニジャはこれで、心置きなく行く事が出来る。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 23:13:05.01 ID:4dkLvSko0<> 支援 <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 23:14:24.32 ID:k4SuGxd20<> ( ´_ゝ`)「サンキュー、お前ら!!
      ちょっと後の処理、頼むわ!!」

拳を突き上げ、強く握って見せた。
固く絞った拳は、その信頼の固さを表したものだ。

(´<_` )「あぁ、行け、兄者!!
      魔物はもう粗方倒し尽くした!! 
      私は家康を逃がす!!」

オトジャも拳を握って返す。
彼は拳に、有言実行を誓った。

∫λリ゚ -゚ノノ「お主の兵は、この葛葉ライドウが承った!!
        無事に尾張まで退却する故、心のまま存分に行かれよ!! 」

クーは握った拳で、アニジャの胸を軽く突いた。
”任せろ”と言っているのだ。

これ以上の言葉は要らない。
オトジャとクーが、何も言わずに自分の仕事に向かった時、
アニジャもまた、既にそこには居なかった。

 △  ▼  △  ▼  △  ▼  △  ▼  △  ▼  △  ▼  △  ▼  △  ▼ <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 23:15:51.23 ID:czKRitxZO<> し <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 23:16:06.11 ID:k4SuGxd20<>  △  ▼  △  ▼  △  ▼  △  ▼  △  ▼  △  ▼  △  ▼  △  ▼

( ´_ゝ`)「妹者……無事でいてくれよ……」

アニジャは既に浅井家本拠、小谷城の敷地内に潜入していた。
幸い月は厚い雲に覆われている。
だが視界の悪さなど、魔に対しては問題にならない。

さらに───、

( ´_ゝ`)「……もう隠そうともしねぇのか。
      そこからもあそこからも、魔物の臭いが充満してやがる」

小谷城は魔の気配が充満する魔城と化していた。
アニジャの目の前を、異形の虫が横切る。
何処から妖魔の類が飛び出してくるか……。

( ´_ゝ`)「妹者は……天守か。 
      囚われの姫は塔の上ってワケね。
      なかなかロマンチックな化け物だぜ 」

強烈な魔の臭いの中、アニジャは懐かしい臭いをキャッチした。
行先は決定。
直ちに天守閣へと駆け寄る。

───が、2人の身回りがこちらに向かってくるのに気付き、暗がりに身を隠した。
<> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 23:17:27.16 ID:oidrxg80O<> 燃えてきたぁぁぁ支援支援! <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 23:19:08.28 ID:XmYTrsof0<> ( ´_ゝ`)「………」

アニジャは息を潜めて見回りをやり過ごす。
どうやら人の兵のようだ。
アニジャには気付く事は無いだろう。

兵が離れたのを確認し、アニジャは一気に天守閣まで距離を詰めた。
勿論中には入らない。
そのまま蜥蜴のように壁を這い上った。

( ´_ゝ`)「ここから入れそうだ。
      それにしてもこんなに魔の臭いが濃いとアレだな。
      奴ら、どこに居るのか全く分からん 」

窓の外側から入念に内部の気配をチェック。
どうやら内側に敵の気配はない。
アニジャは迅速に中へと侵入した。

(* ´_ゝ`)「良し。妹者は直ぐ上だな。
      つか、ここまで誰にも見つかってねぇwww。
      うはwww。やっぱりオレ持ってるなwww」

あと一息───。
あと一息で、妹者の顔を見られる───。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 23:19:18.75 ID:4dkLvSko0<> しえ <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 23:19:47.76 ID:aGLnoIPz0<> 支援! <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 23:20:17.95 ID:XmYTrsof0<> アニジャは天守閣、最上階への階段を登る。

アニジャは思った。

面倒だ。
一気に飛び越えてしまえ。
その通りにする。

(* ´_ゝ`)「いーもじゃっ♪」

〈#::゚Д゚〉「てぇー──っ!!」

アニジャは最上階に飛び込んだ瞬間全てを理解した。
部屋の中央で無事な姿を見せる妹者。
彼女には何人かの幼い子供達が、怯えた顔で必死にしがみ付いていた。

そしてその前方。
半円を描くように配置された20名程の鉄砲隊。
彼らに号令した男が浅井長政だろう。
想像通り、いけすかない顔だ。

そしてアニジャは、その恐るべき動体視力で捕らえた。
20の弾丸が、真っ直ぐに自分に向かって来たのを。
───1つ1つの弾が、次々と自分の体を貫いて行った事を。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 23:21:09.08 ID:aGLnoIPz0<> 支援!! <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 23:21:52.38 ID:XmYTrsof0<> l从;∀;ノ!リ人「兄者ー────!!」

───妹者……、泣いてるのか……?
アニジャの頭の中はその事で一杯だった。

〈#::゚−゚〉「ふっふっふっふっふっふ……。
      まさか!! 本当に来るとは!!
      何というバカ者だ、木下秀吉!!」

高笑いする浅井長政。
20人の鉄砲隊は、次の弾を込める準備を始めている。

(; ´_ゝ`)「ち……クショ……。マズッた……」

床に転がるアニジャは、身体を貫く激痛により何を撃ち込まれたか知った。
───銀の弾だ。
<>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 23:22:52.51 ID:XmYTrsof0<> 〈#::゚−゚〉「ほぅ、死なぬか。
      どこぞの妖怪じゃ、お主?
      我らとて、これ程の鉄砲玉喰らえば流石に死ぬぞ!?」

浅井長政は這いつくばり、血を流すアニジャを生ゴミにそうするように見ている。
良く見ると、長政の背後に獣の尾が覗いていた。
長い年月を経た獣の類が、人の姿に化けているらしい。

(; ´_ゝ`)「そりゃ……良い事を聞いたぜ……。
      帰ったら……NOVのヤツに教えてやろ……っと 」

〈#::゚−゚〉「 帰 れ ぬ よ !!
      お主はここで死ぬ!!
      そうだ……。首から上だけは帰してやろう!!」

長政は無抵抗のアニジャに安心して近付き、顔を踏み付けた。
アニジャが西洋から来た強力な魔である事は、日本の妖怪達には既に周知の事実。
そのアニジャを足蹴にする事で、長政は激しく昂揚した。

l从;∀;ノ!リ人「兄者!! 逃げて!!」

(; ´_ゝ`)「へ……へっへwww。
       待ってろ妹者……。一緒に……帰ろうな……」

───力が入らない。
銀の力は想像以上に効果的だったようだ。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 23:23:20.92 ID:oidrxg80O<> あばばばばばばば兄者ァァァァァァァ! <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 23:23:53.76 ID:4dkLvSko0<> 支援 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 23:23:56.69 ID:czKRitxZO<> やっちまえ兄者! <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 23:24:15.00 ID:XmYTrsof0<> 長政は鉄砲隊に構えを解かせる。
だがアニジャを殺すことには変わりない。
自身の大刀を抜き、大上段に構えるとアニジャの首に狙いを定め───。

〈#::゚−゚〉「ふっふっふっふwww。
      木下藤吉郎秀吉、討ち取ったり───」

まさに刀を振り下ろそうとしたその瞬間だった。
長政は恐ろしい力に殴り飛ばされた。
長政は、そしてアニジャは見る……。

l从;∀;ノ!リ人「止めなさい、下郎!!」

平手を振り下ろした妹者がそこに居た───。

〈;::゚−゚〉「ぐ!! な……!! なに!?」

(; ´_ゝ`)「妹者……お前……」

か弱い女の手では、魔を弾き飛ばすなど当然不可能。
しかし妹者は確かに人間の娘だ。
何が起こっているのか、理解出来る者は1人としていない。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 23:24:41.01 ID:yHGX9YBfO<> 支援 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 23:24:41.52 ID:+x6ewUK1O<> 兄者あああ!! <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 23:25:12.12 ID:aGLnoIPz0<> 支援だ <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 23:25:24.51 ID:XmYTrsof0<> l从・∀・ノ!リ人「兄者……。兄者は『吸血鬼』というのじゃな……。
        伴天連の書物を漁って、兄者の事、少しだけ分かったのじゃ 」

妹者は腰を下ろすと、自身の膝にアニジャの頭を乗せた。
彼女は泣きっ面をぐっと堪え、アニジャに儚い笑顔を見せる。

l从・∀・ノ!リ人「兄者、私は知っておるのじゃ。
        吸血鬼はこうやって……!!」

(; ´_ゝ`)「妹者!! 何を───!!」

この時、アニジャが目を見開いた理由は2つ。
1つは───、妹者が長政が落とした刀を拾い、刃を手首に突き立てた事。
もう1つは───、血が溢れるその傷口を、アニジャの口に押し当てた事だ。

l从・∀・ノ!リ人「人の血を吸えば、力を得られるのじゃ!!」

(; _ゝ )「うっ!! うぐっ!!」

妹者の血液が口の中に流れ込んでくる。
吐き出そうにも、妹者は手首でしっかりとアニジャの口を塞ぎ、それをさせない。
結果、血液は唯一の逃げ場───、喉の奥へと流れて行った。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 23:25:40.95 ID:j6g1dFskO<>
痛々しい書き込みキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!
http://pc11.2ch.net/test/read.cgi/net/1257432973/375

<>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 23:27:06.32 ID:XmYTrsof0<> l从・∀・ノ!リ人「吸血鬼が血を吸うという事……。
         吸血鬼に血を与えると言う事……。
         私の血は貴方の魂となり、力となって永遠に…… 」

壮絶な行動を取る妹者。
だがその表情はあくまで優しい。
長年思い続けてきた男と、たった今ようやく結ばれた。

l从・∀・ノ!リ人「どうせ魔と結ばれる運命ならば、私は貴方様と結ばれとうございました 」

〈#::゚−゚〉「退けぇ!!」

妹者の幸福は、激怒の長政によって断ち切られた。

〈#::゚−゚〉「何度も殺してやろうと思ったが、これ程お前を殺し尽くしたいのは初めてだ!!
      なんだ今の力は!? これまで近付けなかったのも関係しているのか!?」

倒れ込む妹者に、罵詈雑言を叩き込む。
妹者の目には、魔を寄せ付けぬ何か不思議な力があった。
その為、長政はこれまで妹者に手を出せなかったのだ。

戦国の覇王、織田信長の血族故か───。
その気高き迫力に、長政は魔の身にして怖れを抱いていた。
しかし今の剛力はなんだ? <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 23:27:21.27 ID:+x6ewUK1O<> いやああああああああぁぁぁ!!!! <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 23:28:40.75 ID:XmYTrsof0<> だが、怒りは怖れを打ち砕いた。
最早、妹者を殺す事は容易いと判断する。

〈#::゚−゚〉「フッ……。だが今は良い。
      この死にぞこないを殺してからお前も……」

長政は妹者からアニジャへと目を移した。
まずはこの死に損いの首を刎ねなければならないが……。

───アニジャはいない。

〈;::゚−゚〉「これは……霧?」

そして周囲の変化に気付いた。
室内にも拘らず、どういうわけか濃い霧が漂っている。
夢現の光景だ。

長政は1歩、また1歩と霧の中を慎重に歩く。
何が起こっているのか、全く想像が付かない。
天上の世界を思い浮かばせた。
その時───

 「「ぎゃぁぁぁぁー────!!」」


───夢幻を悲鳴が引き裂いた。

<> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 23:29:53.26 ID:+x6ewUK1O<> 全俺が泣いた <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 23:30:24.17 ID:oidrxg80O<> 壮大なロマンスだなあ… <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 23:30:33.58 ID:4dkLvSko0<> 支援 <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 23:31:04.53 ID:XmYTrsof0<> 〈;::゚−゚〉「兵達が!?一体何が起こっている!?
      どいつもこいつも妖魔の兵だぞ!?」

見ると霧が竜巻のように渦巻いている。
悲痛な声で叫び狂う鉄砲隊達が、見る見るうちに干からびていった。
同時に、白一色だった霧が赤く染まり始める……。

霧に……襲われている!?

20の兵が、全てカラカラに干からびて死んだ。
真っ赤に染まった霧の渦が止まり、その塊が空中にぽっかりと浮かぶ。
そこから、どす黒く粘度の高い液体が漏れ始めた。

〈;::゚−゚〉「あれは……兵共の血……!?」

長政がそれが何かを理解した時、霧は消え、代わりに人影が現れる。

(# ´_ゝ`)「理解した……。吸血鬼がなぜ人の血を吸うのか理解したぜ……」

アニジャ・アラーキー・バレンタイン───。
その表情は、やり場のない怒りに震えていた。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 23:32:01.34 ID:aGLnoIPz0<> SUGEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEE <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 23:32:44.68 ID:czKRitxZO<> やっちまえ!やっちまえぇええええ!! <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 23:33:01.78 ID:XmYTrsof0<> l从・∀・ノ!リ人「兄者……。初めて……、だったのじゃな……」

妹者は確信する。
人間と楽しそうに笑い合っていたアニジャには、吸血の経験などないはずだと。
自分が愛した吸血鬼が……。

そしてアニジャも確信した。
たった今の行為、吸血という行為が持つ意味を。
吸血鬼が、何故人の血を吸うのかという事を……。

(# ´_ゝ`)「チクショウ……、何て生き物なんだ……。
      オレ達は何て生き物なんだ!!
      オ レ 達 は 
           何 て 生 き 物 な ん だ !!」

血液とは魂の通貨。
意志の銀板。

アニジャは確信したのだ。
今、身の内の溢れん程の力が、何故生まれたのかという事を。

───自分達吸血鬼が、呪われた存在だという事を。

<>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 23:33:55.95 ID:XmYTrsof0<> 〈#::゚−゚〉「グウエッ!!」

呆けて突っ立っていた長政を蹴り飛ばし、アニジャは妹者の側へ。
肩を抱くようにしゃがみ込み、優しい声をかけた。

( ´_ゝ`)「妹者、無事か?」

l从・∀・ノ!リ人「大事ないのじゃ……」

その返答を聞いてアニジャの顔が綻んだ。
だが、直ぐに表情を硬くする。
そして低い声で言った。

( ´_ゝ`)「そうか……。
      ” 二 度 と す る な ”
      オレに血を飲ませるなんて事、何があろうが、もう二度とするんじゃねぇ 」

l从・∀・ノ!リ人「ゴメンナサイ……。でも──!!」

( ´_ゝ`)「良いんだ。アリガトな。
      お蔭で助かったよ 」

アニジャは言いかけた妹者の口に、人差し指をそっと当てた。
その顔はもう和らいでいる。
いつものアニジャに戻っていた。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 23:34:41.93 ID:+x6ewUK1O<> 兄者……! <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 23:34:49.63 ID:XmYTrsof0<> ( ´_ゝ`)「妹者、こんなとこはもうオサラバだ。
      兄ちゃんのとこに帰るぞ。な?」

アニジャは妹者の手を引く。
だが、思わぬ抵抗を受けた。
妹者が立ち上がろうとしないのだ。

l从・∀・ノ!リ人「私は……私は帰れません 」

( ´_ゝ`)「ん?」

顔は帰りたいと言っている。
だが妹者には、その気持ちを殺してでも残らねばならぬ理由があった。

l从・∀・ノ!リ人「兄者、この子達を見て 」

( ´_ゝ`)「………」

アニジャが最初に目にした、妹者にしがみ付いていた子供達だ。
来た時と同じように、再び妹者の着物を必死に掴んでいる。 <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 23:36:17.17 ID:XmYTrsof0<> l从・∀・ノ!リ人「長政の食料になる所だったのを私が匿ったのじゃ。
        近江の人々は魔を神か何かだと勘違いしてる。
        我が子を生贄にするのを、間違った事だと気付けないのじゃ 」

要するに、親の手によって供物として捧げられたのだ。
子供達にはもう行く場所は無い。
妹者以外には、この国に居場所は無いのだ。

( ´_ゝ`)「だったら……」

アニジャは良い事思いついたとばかりに、掌を逆の手の拳でポンと叩いた。
浅井長政の首根っこを掴み上げる。

( ´_ゝ`)「コイツを殺れば終わるじゃん?」

〈;::゚−゚〉「ヒィッ!!」

アニジャは手にちょいと力を込めれば、事は終わるだろう。
長政もそれには充分気付いている為、本気で悲鳴を上げた。

l从・∀・ノ!リ人「ダメなのじゃ、兄者 」

だが、妹者はゆっくりと首を振った。

l从・∀・ノ!リ人「さっきも言った通り、この男は近江では神のような存在なのじゃ。
        こんな人道に外れた妖怪でも、賊に侵入されて死んだとなればどうなのじゃ?
        民達の価値観は逆転するのじゃ 」 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 23:37:21.20 ID:aGLnoIPz0<> 支援・・・! <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 23:38:17.32 ID:XmYTrsof0<> l从・∀・ノ!リ人「この国は混乱の坩堝に叩き落とされる。
         周囲には戦国の猛者達が牙を研いでる。
         たちまち攻め込まれて、殺されるのじゃ 」

妹者は優しい。
盲目の民をも守ろうとしている。
だがアニジャは、何よりも妹者の身を案じる。

( ´_ゝ`)「え〜……。コイツぶっ殺して帰ろうぜ〜 」

〈;::゚−゚〉「お市の話を聞かんか、バカ者!!」

(# ´_ゝ`)「あ?」

〈;::゚−゚〉「スィマセン!! あ、ホラ!!
      お市さんがまだ話があるって言ってますよ!!」

今や、長政の命は妹者の言に握られていた。
妹者が今やれと言えば、吸血鬼はいとも簡単に殺すだろう。
そして、これが結論となるであろう言葉を、妹者が口に出した。

l从・∀・ノ!リ人「浅井長政は戦で殺さなければなりません。
        妖怪が人を支配していたなんて事実、後世に残したらダメなのじゃ。
        今じゃなくても、兄者と兄上なら出来るはずなのじゃ。
        だからそれまで、私はここに居て、この子達を守る 」 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 23:38:25.68 ID:+x6ewUK1O<> 妹者死んでなくてよかった……! <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 23:39:20.45 ID:XmYTrsof0<> ( ´_ゝ`)「んー……」

妹者の顔からは、痛いほど信念を感じられた。
ここまで言わせたのだ。

( ´_ゝ`)「……分かったよ、妹者。
      コイツは── 」

アニジャは強烈な視線を長政に向けた。
たったそれだけで心臓を握り潰してしましそうな眼力。
さらに地の底から響くような声が続く。

( ´_ゝ`)「後日、正式に討ち取る 」

〈;::゚Д゚〉「えぇぇぇ……」

長政は助かった事を悟った。
だが全く喜べない。
逃れられない死が、少し後回しになっただけだ。

( ´_ゝ`)「それで良いな、妹者?」

l从・∀・ノ!リ人「うん。信じてるのじゃ 」

全く良くない。
長政はそう思ったが、そんな事を言うと今すぐ殺られ兼ねないから止めた。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 23:41:10.86 ID:oidrxg80O<> 長政wwwww <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 23:41:32.34 ID:wd3oNkqb0<> 支援 <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 23:41:39.20 ID:J+ITriHs0<> ( ´_ゝ`)「でも大丈夫か? お前以外はみんなこいつの味方だぜ?」

l从・∀・ノ!リ人「大丈夫。さっき気付いたのじゃ 」

アニジャは後ろ髪引かれる思いで言う。
やはりアニジャとしては、何を置いても今すぐ妹者を連れて帰りたい。
妹者は、ふ、と笑うと、長政に近付き思いきり平手を打った。

〈;::゚−゚〉「ぶべらっ!!」

妹者の平手打ちは、長政を錐揉みに吹き飛ばした。
先程の謎の剛力だ。
妹者はアニジャの顔を見ると、少女のように笑った。

l从・∀・ノ!リ人「私、ちょっとだけ兄者と同じになってるみたいなのじゃ 」

(; ´_ゝ`)「そんな……嘘だろ?」

l从・∀・ノ!リ人「そんな顔しないで欲しいのじゃ。
        私は平気。ちょっと力が強くなっただけだもの 」

アニジャの顔は青褪める。
そして昔、自身の血で妹者の擦り傷を癒した事を思い出した。
血液を媒体として、吸血鬼の力が少しだけ妹者に移ったのだろうか。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<>sage<>2009/11/29(日) 23:42:43.35 ID:bnKMxHG60<> 支援するけど何か?何か? <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 23:42:44.64 ID:J+ITriHs0<> ( ´_ゝ`)「あの時か……。軽はずみな行動だった。
      おい、お前 」

〈;::゚−゚〉「は、はい!!」

自分という存在を、もっと深く知るべきだった。
アニジャは深く後悔するも、もう時は遅し。
唯一の救いは、妹者がそれで幸せそうにしている事。

( ´_ゝ`)「妹者に手ぇ出すな……。
      もしそんな事があれば、”コレ”よりもっと酷い目に遭う 」

〈;::゚−゚〉「え?これって?」

( ´_ゝ`)「”コレ”だよ 」

アニジャは長政の顔に指を立てる。
ぞぶり、とアニジャの指は皮膚に食い込み、それを力任せに剥ぎ取った。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 23:43:40.17 ID:czKRitxZO<> 支援 <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 23:43:59.19 ID:J+ITriHs0<> 〈;::゚冊`〉「いぃぃぃぃぃひゃぎゃぁぁぁー─────!!
      今日は殺らないって言ったよね!?
      言ったよね!! 言ったよねー──!?」

( ´_ゝ`)「 黙 れ 。 殺 す ぞ  」

〈#::゚冊`〉「んー!! んんんんんー!!」

黙ろうにも声を塞ぐ唇が無い。
長政は両手で必死に口を塞ぐ。
激痛の中、吐息すら漏らさないように。

( ´_ゝ`)「妹者。出来るだけ、ああいう子供たちを助けてやれ。な?
      オレ達は必ず近江を落とす。
      それまで待っててくれ 」

l从・∀・ノ!リ人「うん。信じてるのじゃ 」

2人の世界にはもう長政はいない。
いや、そもそも最初から、他の何者かが2人の間に介入することなど出来ないのだ。
アニジャと妹者には何よりも強い、文字通り血の繋がりが出来た。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 23:43:59.74 ID:4dkLvSko0<> 支援 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 23:44:12.57 ID:+x6ewUK1O<> 妹者流石だなwww <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 23:44:41.97 ID:J+ITriHs0<> アニジャは妹者に向け、人差し指と中指を揃えて空を切る。
必ず戻ると誓って。
妹者にもそれがしっかりと伝わった。

( ´_ゝ`)「ヴァンパイアマスターか……」

アニジャは妹者に背を向けると、窓枠に足をかけて外を見た。
外には静かで美しい夜が広がっている。
少々の逡巡を挟み、アニジャは空を飛んで帰ろうと決めた。

( ´_ゝ`)「へっ……。悪くはないな 」

アニジャの姿が掻き消える。
代わりに現れたのは大きな蝙蝠だ。

蝙蝠は宵闇に羽ばたく。
妹者の血によって真の吸血鬼となったアニジャ。
夜の王は、人生初の空を優雅に楽しんだ。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 23:45:37.14 ID:oidrxg80O<> なwがwまwさwwwwwww <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 23:45:56.22 ID:J+ITriHs0<>





          ( ^ω^)ブーンは退魔師稼業のようです━╋RETURNS━━

             ――――第三章・或る兄弟の東方見聞録――――


           〜その3、金ヶ崎撤退戦、そして吸血鬼は単身死地へ〜


                          終



<> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 23:46:52.34 ID:DlKQHlVP0<> もしかして弟者って…… <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 23:49:16.86 ID:J+ITriHs0<>
              .:::::::;'     ・・・・・・・・・                     ';:::::::.
             :::::::::i                                      l::::::::.
          ::::::::::!   五時間も投下したのに               i::::::::
            ::::::::::l           まだ続きがあるなんて        ';::::::::
  '  ― ―‐ --  」                                     L_:::::
                           ,,ノ´⌒`ヽ,,               ̄ ̄ ̄
            __,. -┐     ,,γ⌒´         ゝ,,
_ ,. -‐ '' ´   :::::::::',    /             )⌒ヽ      r::-  _
               :::::::::'、 /   γ""´´⌒⌒``゙゙゙゙゙ \  `)    /::::::::   ´` ' 
                :::::::: /   ノ             ヽ (   ,.:':::::::
                 :: (  彡                  i  )/:::::::
                 ) i     /\     /\   i (::'::::::::::
                (  !        ヽ   /      i  ):::::::::
                 r⌒    (○)ヽ    ( ○)   ⌒i:::::
               { (    ヽ,,__,,ノ ノ   ヽ.,,_,,ノ   .) }\     
              /   \_! \  /(   )\      !ノ`、  \
          /     , '  't    /   ^ i ^   ',   /   ヽ  \
       /     ,      ヽ     _, -‐‐-、._    /     ヽ  \
       /      , '      \_ヽ.  ヽ   ノ  _/           \
    /      , '         \.  `ニニU´  λ.         、   \
  ./       , '          _,,ノ| 、` ‐-‐-‐/ ./ \       `、    \
                _,,..r''''" ノ .|  \  /   /  / ̄`'''ー
<> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 23:49:43.20 ID:+x6ewUK1O<> 吸血童貞? <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 23:50:27.19 ID:aGLnoIPz0<> 支援! <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 23:50:30.01 ID:J+ITriHs0<> (*゚ー゚)「良い、あなた達?
     配置に着いたわね?」

( ゚∋゚)「え……あ、はい。
     しぃさんの言う通りにしてますけど 」

(#゚ー゚)「軽口を叩くんじゃねぇぇぇぇぇぇー───!!
     素人か貴様は!?」

(; ゚∋゚)「ゴメンナサイ……」

(*゚ー゚)「良い!? 
     今このタコ部屋は重大な危機に直面しているわ!!
     もう直ぐその扉を開けるヤツ、絶対に逃がしちゃだめよ!!」

( ゚д゚ )「はい!!しぃさん!!」

(//‰ ゚)「一体、誰が来るって言うんでしょう?」


───コンコン

───ギィィィィィィ……


(#゚ー゚)「来たー───!!殺せー───!!」

<> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 23:50:44.92 ID:wd3oNkqb0<> よくあることだ! 気にすんな! <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 23:50:46.29 ID:DlKQHlVP0<> やったー <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 23:51:22.57 ID:J+ITriHs0<>
      おまけのようです


                / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
         Σ(゚ー゚;)< お前は!?
          ./ つ つ \_____
         (_⌒ヽ 
          )ノ `J
 ィ'ト―-イ、
 以   以<………
  (    )
  u―u'

<> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 23:51:54.96 ID:wd3oNkqb0<> この後ろ姿はッ!! <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 23:52:03.78 ID:aGLnoIPz0<> 増井きたwwwwwwwwww <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 23:52:07.69 ID:czKRitxZO<> イトーイwww <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<>sage<>2009/11/29(日) 23:52:31.24 ID:bnKMxHG60<> ふふ^^ <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 23:52:59.15 ID:J+ITriHs0<> (*゚ー゚)「飛んで火に入る夏の虫とは、まさにこの事ね!!
     旬なネタは、新鮮な内に食っとくのよ!!」

(; ゚∋゚)「なんて恐ろしい顔だ……」

( ゚д゚ )「しぃさん!!コイツ、こんなもん持ってやがりましたぜ!!」

(*゚ー゚)「知ってるわ。回覧板でしょ?」

(;゚д゚ )「何故それを……」

(*゚ー゚)「お隣さんだもん 」

(;゚∋゚)「隣に人住んでたのか……」

(//‰ ゚)「あれ?この人もしかして……」
ィ'ト―-イ、
以;`゚益゚以「イトイトーイ!!」
<> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 23:53:06.23 ID:oidrxg80O<> うわああああああシルエットでまるわかりだァァァァァァァ <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 23:53:09.52 ID:DlKQHlVP0<> wwwwwwwwww <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<>sage<>2009/11/29(日) 23:54:44.33 ID:bnKMxHG60<> ここは安価だ! <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 23:54:50.29 ID:J+ITriHs0<> ィ'ト―-イ、
以;`゚益゚以「イトイト!!
       イトイトイイ、イトイイトイイトイトイイトイ!?」

(;゚∋゚)「何言ってんのかサッパリ分からねぇ……」

(*゚ー゚)「イボちゃん 」

(//‰ ゚)「あ、はい。
      ウィーン、ウィーン、トゥルルルルルルルル、ガチャ。
      この世のあらゆる言語に対応する万能翻訳機、準備完了です 」

(;゚д゚ )「イボ太郎……、だんだんドラえもんみたいになってきたな……」
ィ'ト―-イ、
以;`゚益゚以「イトイトイ、イトイトーイトトイト、イットトイイトトトイ!!
       イトイト、イトイイトッイトイトトイ!?」

(//‰ ゚)「『私はただ回覧板を持ってきただけですのに、どうしてこのような処遇を賜るのでございやしょう?
      今まで仲良くやってきたはずでございやぁせんか!?』」

(*゚ー゚)「ふんっ!!
     どの口がそんな事を言うのかしら!?
     それは今までの話よ!! 総合テンプレに入る前のね!! 」

ィ'ト―-イ、
以;`゚益゚以「イトイ……」

(//‰ ゚)「『そんな……』」

( ゚∋゚)「あ、それはなんとなく分かったわ 」 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 23:55:36.33 ID:wd3oNkqb0<> なんかイトーイかわいいなw <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 23:57:42.28 ID:J+ITriHs0<> (//‰ ゚)「まぁまぁ、しぃさん。
      そうは言ってもまだ総合テンプレその3ですよ?
      しぃさんみたいな大女優の地位を揺るがすほどには…… 」

(*゚ー゚)「イボちゃん。コイツ、サイボーグよ 」

(//‰ ゚)「今何て言いました?」
ィ'ト―-イ、
以;`゚益゚以「イ……イトイイ?」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……
(((((((((((((◎
(//‰ ゚)「背面ユニット展開。上部解放。
     砲台設置完了。システムオールグリーン。
     『波動砲』───。エネルギーチャージ開始します 」

(;゚д゚ )「なにー───!!」
(((((((((((((◎
(//‰ ゚)「BGMオン。 サラバ〜チキュウヨ〜 タビダ〜ツ フネハ〜 
      エネルギーチャージ30%。」  

(*゚ー゚)「何か言い残す事があったら聞いたげるわよ?」
ィ'ト―-イ、
以;`゚益゚以「イト!!イトーイイトイトーイ!!
       イトー──イトイイトイトイ!?」

(*゚ー゚)「何言ってんのかサッパリ分からねぇwww」 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 23:58:11.44 ID:aGLnoIPz0<> イボ太郎wwwwwwwwwwwwwwww <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 23:58:24.43 ID:+x6ewUK1O<> 鳴き声www
新種のポケモンかwwwwww <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/29(日) 23:59:24.73 ID:oidrxg80O<> なっ!?
いつの間にテンプレ入りなんて所行を…目覚ましい出世…! <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/29(日) 23:59:59.44 ID:J+ITriHs0<> (((((((((((((◎
(//‰ ゚)「エネルギーチャージ120%。  ギ〜ンガヲハナレ イ〜スカンダルヘ
    カウントダウン開始。
    波動砲発射───10秒前。9──、8── 」  

ィ'ト―-イ、
以` 益 以「イイイイイイ……」

(;゚д゚ )「ん?」

(;゚∋゚)「な、なんだこれは!?
      このオーラはまさか……マ神!?」

(;゚ー゚)「な、なんなの!?」
ィ'ト―-イ、
以#` 益 以「イー───トー────────イ!!!!!」

(;>ー<)「きゃぁぁぁぁぁ!!」
<> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/30(月) 00:01:16.23 ID:UIShB6f50<> ぶちぎれたかwwww <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/30(月) 00:01:50.72 ID:AACAB2190<>
            ィ'ト―-イ、             /\  /ヽ
             以`゚益゚以         ヽ、 lヽ'  ` ´   \/l
          ,ノ      ヽ、_,,,      ヽ `'          /
       /´`''" '"´``Y'""``'j   ヽ     |     _ノ ̄/   l
      { ,ノ' i| ,. ,、 ,,|,,. 、_/´ ,-,,.;;l     .l   / ̄  /   |
      '、 ヾ ,`''-‐‐'''" ̄_{ ,ノi,、;;;ノ      l   ̄/ /     |
       ヽ、,  ,.- ,.,'/`''`,,_ ,,/     ヽ.    /__/     .|
        `''ゞ-‐'" `'ヽ、,,、,、,,r'       |.            レ
          ,ノ  ヾ  ,, ''";l         |    / ̄/     l
         ./        ;ヽ       .|.   /  ゙ー-;   l
        .l   ヽ,,  ,/   ;;;l       |   /  /ー--'゙   |
        |    ,ヽ,, /    ;;;|      .|.  /_/       |
        |   ,' ;;;l l ;;'i,   ;|      |.     _      |
        li   /  / l `'ヽ, 、;|      /    /  /      l
       l jヾノ ,ノ  ヽ  l  ,i|     /    / /      ヽ
       l`'''" ヽ    `l: `''"`i     `l   / /      l
       .l ,. i,'  }     li '、 ;;' |       |   ̄       ヽ
        l ; j / _, -― ' ̄ ̄`ー‐-、_   |     ノ ̄/   /´
 , .--、,,__,,-' ̄;;"`´ ;; __  __, -―- 、;; ̄`l  / ̄  /   |
 ;;  ,__   ;;'    r ' ´;;; ヽ_ゝ_;;|    lヽ, / .  ̄/ /    |
;, Y´| l  __  /`'| |   |  l  l;|     l ヽ l .   /__/     /
  | |.;;l_,-'l | V | |.l .|   .|    l  i i   | ;lヽ|         l
 |.| ''.|/ l  |;;;| | | | ;|  |   | ;l l| i ;;;; l | l  !!  /ヽ │
;; i /   .il /| |.| |  |   i  |   | l i  '`i l /  ̄\/ ̄   ヽノ
<> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/30(月) 00:02:11.87 ID:pUGHjEy1O<> 怒ったwwwwww <>
◆1XVjJezZIo <><>2009/11/30(月) 00:02:23.27 ID:/b+Kvnho0<> BGMにヤマトwww <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/30(月) 00:03:06.71 ID:pUGHjEy1O<> ちょまwwwwwwwww <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/30(月) 00:03:52.21 ID:5RXdYwF4O<> 市松モード突入や! <> ◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/30(月) 00:04:07.74 ID:AACAB2190<> ィ'ト―-イ、
以#`゚益゚以「フゥッ!!フゥッ!!
       イトーイ!!」

(; ゚ー゚)「マジで怖ぇ!!」

(; ゚∋゚)「何というマッスル!?
      これは間違いなく、週に5回はジムに通っている!!」

(; ゚д゚ )「ヤバいのか!? オレ達もう駄目なのか!?」

(((((((((((((◎
(//‰ ゚)「2──、1──……    ウチューウセンカン ヤァー─マァー─トォー──
      波動砲…… 発 射 !!!! 」

(; ゚д゚ )「そう言えばコイツもいたー───!!」
ィ'ト―-イ、
以#`゚益゚以「イトォォォォォォォォォ!!」
<> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/30(月) 00:05:29.95 ID:UIShB6f50<> ィ'ト―-イ、
以#`゚益゚以「フゥッ!!フゥッ!!
       イトーイ!!」

クッソワロタwwwwwwwwwwwww <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<>sage<>2009/11/30(月) 00:05:37.24 ID:XUJi0hzN0<> カオスwwwwww <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/30(月) 00:05:41.29 ID:AACAB2190<>                            __,,:::========:::,,__
                        ...‐''゙ .  ` ´ ´、 ゝ   ''‐...
                      ..‐´      ゙          `‐..
                    /       イボーイ        \
        .................;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::´        (//‰^)         ヽ.:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.................
   .......;;;;;;;;;;゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙      .'           カッ!!            ヽ      ゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙;;;;;;;;;;......
  ;;;;;;゙゙゙゙゙            /                           ゙:               ゙゙゙゙゙;;;;;;
  ゙゙゙゙゙;;;;;;;;............        ;゙                             ゙;       .............;;;;;;;;゙゙゙゙゙
      ゙゙゙゙゙゙゙゙゙;;;;;;;;;;;;;;;;;.......;.............................              ................................;.......;;;;;;;;;;;;;;;;;゙゙゙゙゙゙゙゙゙
                ゙゙゙゙i;゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙;l゙゙゙゙゙
              ノi|lli; i . .;, 、    .,,            ` ; 、  .; ´ ;,il||iγ
                 /゙||lii|li||,;,.il|i;, ; . ., ,li   ' ;   .` .;    il,.;;.:||i .i| :;il|l||;(゙
                `;;i|l|li||lll|||il;i:ii,..,.i||l´i,,.;,.. .il `,  ,i|;.,l;;:`ii||iil||il||il||l||i|lii゙ゝ
                 ゙゙´`´゙-;il||||il|||li||i||iiii;ilii;lili;||i;;;,,|i;,:,i|liil||ill|||ilill|||ii||lli゙/`゙
                    ´゙`゙⌒ゞ;iill|||lli|llii:;゙i|||||l||ilil||i|llii;|;_゙ι´゚゙´

<> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/30(月) 00:06:11.93 ID:Mn3krm/4O<> ブチ切れた市松人形www <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/30(月) 00:07:14.05 ID:AACAB2190<>    / ,,-",-''i|   ̄|i''-、  ヾ   {
         ("  ./   i {;;;;;;;i|    .|i;;;;;;) ,ノ    ii
     ,,       (    l, `'-i|    |i;;-'     ,,-'"   _,,-"
     "'-,,     `-,,,,-'--''::: ̄:::::::''ニ;;-==,_____ '"  _,,--''"
         ̄"''-- _-'':::::" ̄::::::::::::::::;;;;----;;;;;;;;::::`::"''::---,,_  __,,-''"
        ._,,-'ニ-''ニ--''" ̄.i| ̄   |i-----,, ̄`"''-;;::''-`-,,
      ,,-''::::二-''"     .--i|     .|i          "- ;;:::`、
    ._,-"::::/    ̄"''---  i|     |i            ヽ::::i
    .(:::::{:(i(____         i|     .|i          _,,-':/:::}
     `''-,_ヽ:::::''- ,,__,,,, _______i|      .|i--__,,----..--'''":::::ノ,,-'
       "--;;;;;;;;;;;;;;;;;""''--;;i|      .|i二;;;;;::---;;;;;;;::--''"~
               ̄ ̄"..i|       .|i
                 .i|        |i
                 i|        |i
                 .i|  ィ'ト―-イ、 .|i
 イト━━━━━━━━━ i|  以`^益^以 .|i ━━━━━━━━━━イ!!!
                .i|           |i
               .i|      ,,-、 、  |i
               i|      ノ::::i:::トiヽ、_.|i
           _,,  i|/"ヽ/:iヽ!::::::::ノ:::::Λ::::ヽ|i__n、ト、
     ,,/^ヽ,-''":::i/::::::::/:::::|i/;;;;;;/::::;;;;ノ⌒ヽノ::::::::::::ヽ,_Λ
     ;;;;;;:::::;;;;;;;;;;:::::;;;;;;;;:::/;;;;;;:::::::::;;;;;;/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:::::::::::;;:;;;;:::ヽ <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/30(月) 00:07:15.15 ID:/b+Kvnho0<> うわああああぁぁぁwwwww <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/30(月) 00:07:59.10 ID:pUGHjEy1O<> イボーイwwwwwwwwwwww <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/30(月) 00:08:24.36 ID:UIShB6f50<> イトーイただのマッスルじゃないのかwwwww <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/30(月) 00:09:06.73 ID:AACAB2190<>            .o゜*。o
          /⌒ヽ*゜*
(((((((((((((◎/ヽ    )。*o ポン!!
(//‰ ゚)   ゛ ̄ ̄' ゜
ィ'ト―-イ、
以;`゚益゚以「イ……トトイ……?」

(;゚д゚ )「は……なたば……?」

 パチパチパチパチパチ
(*゚ー゚)「おめでトーイ!!」

(; ゚∋゚)「これは一体……」

(*゚ー゚)「いや、お隣のイトーイさんがメジャーデビューしたって言うからさ。
     ちょっとドッキリを兼ねてお祝いをね 」
ィ'ト―-イ、
以`;益;以「トトイ……」

('、`*川「しぃさぁ〜ん。
      色々買ってきましただよ〜 」

从*゚∀从「ビール山ほどあんぞ〜、ビールwww
      アヒャヒャヒャwww」

(,,゚Д゚)「あー、重かった 」 <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/30(月) 00:10:12.42 ID:AACAB2190<> (//‰ ゚)「私も波動砲頭に乗せるの大変なんですから 」

( ゚д゚ )「なんだ。本当は出ないのか 」

(//‰ ゚)「いや、出せますよ。波動砲 」

(; ゚∋゚)「あ、そう……」

(*゚ー゚)「それではイトーイ増井の門出を祝ってぇ……」






   ───タコ部屋の愉快な夜は更けて行く───






<> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/30(月) 00:10:15.58 ID:/b+Kvnho0<> ああ、そうだったのか……良かった。



良かったんだよな? <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/30(月) 00:11:14.13 ID:AACAB2190<>  






(//‰ ゚)「波動砲……出ますよ?」






       おまけのようです 終わり


<> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<>sage<>2009/11/30(月) 00:11:17.36 ID:XUJi0hzN0<> イイハナシダナー( ;∀;) <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/30(月) 00:11:29.73 ID:5RXdYwF4O<> イイハナシナノカナー? <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<>sage<>2009/11/30(月) 00:11:56.25 ID:n5z/vFW70<> 乙! <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/30(月) 00:12:31.81 ID:UIShB6f50<> 乙でしたー!
そういえば前回の肉は何だったんだろう・・・ <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/30(月) 00:13:13.31 ID:AACAB2190<> 長かった……あまりにも長過ぎた……


19時ちょい過ぎからの長丁場、付き合って下さり感謝です。
元ネタ解説と予告編、作るの忘れてたwww
後日、ブログの方にでも上げときますww

ありがとうございました!






ところで今、月曜日だぜ?
<> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<>sage<>2009/11/30(月) 00:14:16.64 ID:XUJi0hzN0<> 退魔が来てくれたおかげで今週最高のスタートダッシュが切れるぜ <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/30(月) 00:15:11.96 ID:4hBYML710<> otu <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/30(月) 00:15:22.15 ID:/b+Kvnho0<> 乙でした! <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/30(月) 00:15:35.46 ID:cPHbjUJh0<> 乙でしたー <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/30(月) 00:16:09.13 ID:7HOOuHtnO<> おっつ。

ゆっくり休んでください。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/30(月) 00:17:33.06 ID:pUGHjEy1O<> 長時間乙でした!
兄者大好きだあああ!かっこよかった!! <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/30(月) 00:25:35.32 ID:keBySP3QO<> 乙
禿鼠って秀吉じゃね?誰か既にツッコんでたらゴメンね <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/30(月) 00:36:02.39 ID:SeGLVsi0O<> おっつ! <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/30(月) 00:37:07.03 ID:hpdfy6EqO<> ( ^ω^)現れたお <>
◆FnO7DEzKDs <><>2009/11/30(月) 00:44:28.31 ID:AACAB2190<> >>309
おっと、光秀はキンカン頭でしたね
<> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/30(月) 01:07:51.97 ID:nwFB/fef0<> 来てたのか!
よむほ <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/30(月) 01:13:25.86 ID:eWQEOI/RO<> ほす <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/11/30(月) 01:29:57.82 ID:icqWQtntO<> 復活乙 <>