第二章・臨界突入!!立ち込める暗雲、少々の晴れ間 〜その3、魔帝降臨〜
1 名前: ◆FnO7DEzKDs :2009/04/02(木) 21:14:35.36 ID:/LDKZdXH0

      ,.=-''' ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄` -、
    /               \
   ./                 .\
   {                   }
   .|   / ̄""''-=,,,,_,,,,,,==-'''"\  |
   .l,  .(  ,. - ' .、     ,. - ,  .} |  FOXがくれた何度目かの「規制」
   l   > ,=ニ\ ゛ | ''゛_,=ヘ、 r' {_    それは紛れもなく規制で、私は4歳でした。
  /~''i //_\_..`7| l、{''″/__`>ヽ |r`i
  l .{`|./ ヽ二・ニゝチ、 ! .ゝrニ・二r  } ! i l  その鬱憤は甘くてクリーミーで、
  { {(l {      ノ | | ヽ   ::  }| ソ/   こんな素晴らしい規制をもらえる私は、
  ヽヽ|.{    /  | |  \    i.|//     きっとクソ作者なのだと感じました。
   \|.i   /  ,,.. | l._,, . \  i !/
    乂i  /    - (__,)-゛   ' {丿     今では私の規制も解除。
    .l .!、.      ,. !.,  .,   / |        投下後に貰うのはもちろん規制。  
    人 \   .!''''" ̄~ ̄`''!  / 人 
   ./ | .\ ,\  '-"" ゛-'  / / | .ヽ
  ノ  .{  \ .ヽ,.,   .:   ,イ /  }  ヽ    なぜなら、やはり私はクソ作者だからです
-'″  l    `' 、`.───″    .}    ヽ





4 名前: ◆FnO7DEzKDs :2009/04/02(木) 21:16:17.63 ID:/LDKZdXH0
〜前回までのあらすじ〜

( ゚д゚ ) 俺はバイト仲間5人と海へ行くことにした
     しかし、海岸は物凄い人で、とても遊ぶことが出来ない。
     俺達は目的をドライブに半ば無理やり変更し海辺の道路をひたすら走っていた。

     すると友人のIが

(//‰ ゚)「あれ?この辺り人全然いないよ」
     と言う。
     見てみると確かにこの辺りだけ人がポカンとおらず、5人で遊ぶなら丁度いい広さがある。
     浜に降り、ビーチバレーをしたり砂のお城を作ったりと楽しい時間を過ごした。

     するとIが

(//‰ ゚)「私元水泳部なんだー。あのブイまで泳ぎきったらかき氷おごってね!」
     と言い出した。

     俺が返事をするより早く海に飛び込むI、なるほど水泳部だけあってか綺麗な泳ぎでブイまでたどり着くI。
     沖で大きく手を振るI、俺達も浅瀬から手を降って返すが、どうも様子がおかしい。


5 名前: ◆FnO7DEzKDs :2009/04/02(木) 21:17:22.88 ID:/LDKZdXH0
 
(;゚∋゚)「あれ!?溺れてるんじゃない!?」
     誰かが叫んだ、確かに今にも沈みそうだ!俺達は急いで救助に向かった。
     しかし、水泳部のIと違い泳ぎの遅い俺達は中々たどり着くことが出来ず、代わりにIは今にも沈みそうに・・・

( ゚д゚ )「おかしい・・・」
     そう思った俺は水中に潜った、するとそこにはIの身体にしがみ付き、引き込もうとする黒い影が無数に蠢いていた!!

     このままじゃ俺達も、そう思った瞬間、大波の向こうから一人のサーファーが!!
     人気AAでレギュラー常連のブーンさんだった!

     ブーンさんは板を華麗に操りIを抱き上げるとそのまま波に乗って陸地へ

(# ゚ω゚)「破ぁ!!」
     振り返らずにブーンさんが叫んだ、するとブーンさんの板が起こした無数の泡がボコボコと集まり浮き輪状に、
     俺達もそれにつかまって陸までたどり着くことが出来た。


7 名前: ◆FnO7DEzKDs :2009/04/02(木) 21:18:31.42 ID:/LDKZdXH0
 
(;゚д゚ )「ありがとうございますブーンさん、でも何でここへ?」
     そう聞いた俺にブーンさんは

( ^ω^)「なぁに、この辺りは毎年水難事故が起こってるっていわく付きの海岸でな、こんな事もあろうかとな・・・」
      そういいながらIの胸に手をあて呪文を唱えるブーンさん、するとIの口から汚れた水が吐き出されIは意識を取り戻した。

( ^ω^)「きっと死者が死者を呼ぶ潮の流れなんだろうぜ、ここは・・・」
      海岸線を見つめて呟くブーンさん。
      顔を赤くしながら


(//‰//)「あ、あんたなんかに助けてもらうくらいなら死ねばよかったわ!」
     と大げさに言い放つIを見て


レギュラーはスゴイ、俺はまたもやそう思った。


9 名前: ◆FnO7DEzKDs :2009/04/02(木) 21:19:11.98 ID:/LDKZdXH0
 

このブーン系小説は

原作『孔雀王』

内藤エスカルゴ様
http://www.geocities.jp/local_boon/

の提供で




以下、正義の如く何事もなかったかのように開始します

11 名前: ◆FnO7DEzKDs :2009/04/02(木) 21:20:27.35 ID:/LDKZdXH0
本当のあらすじ




ブーンとショボンが喧嘩して仲直りしたら爆発した





13 名前: ◆FnO7DEzKDs :2009/04/02(木) 21:21:22.66 ID:/LDKZdXH0
 
硝煙の中、彼らは現れた……









             ( ^ω^)ブーンは退魔師稼業のようです━╋RETURNS━━

        ――――第二章・臨界突入!!立ち込める暗雲、少々の晴れ間――――



                     〜その3、魔帝降臨〜





14 名前: ◆FnO7DEzKDs :2009/04/02(木) 21:22:58.88 ID:/LDKZdXH0
 
これから日常に帰る。
いつも通りに客の来ないバーボンハウスで昼は時間を潰し、夜は退魔業。
問題は全て取り払われ、退屈で刺激的で、それでいて過ごしやすい日常へ帰ると思っていた。

(´・ω・`)「!!」

(;'A`)「何だ!?」

爆発。
むせ返るような火薬の臭い。
直撃を受けた者はある者は四肢が飛散し、ある者は腹部に大穴を空けそこから流れる血の海に倒れ込んだ。

爪;'ー`)「爆発!? まさか!?」
∧_∧
(#゚;;-゚)「鼻が曲がる!!
     火薬に混じるこの臭いはっ!!」

フォックスを始め、荒巻や裏高野の者達は火薬を使う敵に心当たりがあった。
この二十年の間、たった一人で過去最も多く裏高野の退魔師を殺した男。
そして猫又でぃの鼻に火薬の臭いを縫うように届いたのは、でぃが最も憎む男の臭い。


15 名前: ◆FnO7DEzKDs :2009/04/02(木) 21:24:00.92 ID:/LDKZdXH0
 

『───そのままお待ちください。退魔師の面々よ───』


近くから遠くから、上から下から、外からとも内側からとも聞こえるな影のような声。
全身を締め付けられるような不快感と惧れ、
だがそれに矛盾するようにいつまでも聞いていたいと思うような声。

全員がその声の主を探し、狂ったように辺りを見回す者すらいる。
そして誰かが「あっ!!」と飲む込むような小さな声と共に上の方を指差した。

岩の壁が突き出たような足場に立つ二つの人影。
その内の一人、微動だにせずじっとこちらを突き抜けそうなほどに見つめている者を見て五輪坊が口々に叫ぶ。


「ファントム──!!」 「囁く者──!!」 「不死者──!!」 「フィクサー──!!」

「悪魔の塵──!!」 「闇の使者──!!」 「影の潜伏者──!!」


全てがその者の呼称。
そして誰かが、最も定着した彼の名を畏怖と共に叫んだ。


           「 怪 人━━!!」


( <●><●>)「……ごきげんよう、か弱き人間達よ 」


16 名前: ◆FnO7DEzKDs :2009/04/02(木) 21:25:26.67 ID:/LDKZdXH0
 
ξ;゚听)ξ「アイツは……あの夜渡辺さんを連れて行った……!!」

ツンの脳裏に苦い記憶がフラッシュバックする。
多くの友人が死に、その内の一人が闇へと堕ちた思い出したくもない夜。

達成したと思った瞬間にそれを否定した者。
恐怖のあまり身が竦み、何もすることが出来なかった夜。


──アイツはあの夜も笑っていた。

──今と同じ様に。

──馬鹿にするように。


人の何もかもを否定し、呆然とする様を見てさも可笑しそうに笑う。
力のある者が力の無いものを踏み潰して悦に浸る。


19 名前: ◆FnO7DEzKDs :2009/04/02(木) 21:27:27.01 ID:/LDKZdXH0
 
爪;'ー`)「あれは……月下の怪人!! パンゲアのワカッテマス!!
      あの者が現れるとは一体……!?」

フォックスは見た事は無かったが一目で現れたのがワカッテマスだと確信した。
人類の前に幾度となく現れ、為政者を操り世を混乱に陥れたという恐ろしいほどに魅力ある声。
ただそれだけで周囲に撒き散らす闇を彷彿とさせる負の気配。

──そして何より奈落の底のような暗い目。

( <●><●>)「そういう貴方は裏高野ナンバー2のフォックス。 
        お初にお目にかかります。そして……」

首から上をズルリと動かし視線を移す。
そして口の両端を厭らしいほどにゆっくりと伸ばした。

( <●><●>)「お久しぶりですね、裏高野座主、荒巻スカルチノフ大阿闍梨。
         私の記憶の最後の貴方は、血と涙と懺悔と憤怒に暮れていましたが……。ククク…… 」
 
/ ,' 3 「………」

荒巻の目は鋭い。
普段の好好爺の様相からは想像もつかない恐ろしげな表情をしている。


21 名前: ◆FnO7DEzKDs :2009/04/02(木) 21:30:39.31 ID:/LDKZdXH0
 _、_ 
( ,_ノ` )「ふっ、この国最強の裏高野・五輪坊がこの程度か荒巻?」

爪;'ー`)「渋沢……」

もう一人の影が口を開いた。
喪服の様な黒いスーツを来た見た目は中年の男。
渋沢が現れた時に、それを確認した裏高野の者達は小さくその唯一の名を囁き合った。

渋沢……。
たった二十年の間に、数百年の歴史上最も多く裏高野の退魔師を殺した男。

/ ,' 3 「……パンゲアの大幹部が2人も揃って何のつもりだい……?
    戦争でもおっ始めようってハラかい?」
 _、_ 
( ,_ノ` )「お望みとあらば今すぐ貴様らを殲滅してやっても構わんがね 」

渋沢は肩に担いだ巨大な棍棒の様なものを揺らした。
大人ほどのサイズがあり、くすんだ光沢から金属製である事が分かる。
重量ではクーが使役するダンピール、ノーマンの巨剣とそう変わらないだろう。


23 名前: ◆FnO7DEzKDs :2009/04/02(木) 21:32:21.97 ID:/LDKZdXH0
 
( <●><●>)「ふふふふwww。
        今日は御挨拶ですよ。
        ……多少趣向を凝らしたね 」

ワカッテマスは言いながら右手の手首を二度、三度と回転させた。
それに呼応するように空中に丸い影の様な物が浮き上がる。
ワカッテマスが手首を回す度に闇は濃く大きくなり……

(《・>ω<・》)「GUoooooooooooooooHHHHHHhhhhhhh!!」

巨大な腕が飛び出し地面ごとまたもや五輪坊の数名を抉り千切った。
  _
( ゚∀゚)「巨人!?」

腕の後で闇のゲートをこじ開け出てきたのは全身が醜い灰褐色をした小山の様な大男だった。
両手両足には船でも繋ぎ止めそうな大きさの鎖をぶら下げた枷を付けている。
汚い襤褸を腰に巻き、だらしなく涎が絶えず流れ出ている大口の上には情けないほど小さな濁った眼が二つあった。

(; ^ω^)「百夜鬼並みのサイズだお!!」

( <●><●>)「『ネフィリム』
        永遠に天地を貪り尽くす巨人。
        ヤハウェ・エロヒムの大洪水……おっと、『ノアの箱舟』と言ったほうが親切かもしれませんね。
        その時に死に絶えたとされていましたが、一匹だけ地の底に隠れていました 」


24 名前: ◆FnO7DEzKDs :2009/04/02(木) 21:33:41.23 ID:/LDKZdXH0
 
ワカッテマスが甲斐甲斐しく説明している間にも巨人は暴れに暴れまくる。
だがそこは流石に日本最強の退魔組織、裏高野の五輪坊。
即座に付かず離れずの陣形を取り発勁などの遠距離攻撃を雨霰に加えていた。

( <●><●>)「そうそう。
         引き篭もっている所を無理やり引っ張り出してきましたので…… 」

巨人は狂ったように叫びながら発勁の雨の痛みに顔を歪める。
五輪坊は優勢。
しかし……

(《・>ω<・》)「BUoooooooooooooooAAAAAAhhhhhhh!!」

( <●><●>)「ご覧の通り、少々気が立っておりますwww」

小さな攻撃に怒りに狂い、突然一切合財を無視して五輪坊の一角に突っ込んだ。
巨人の足の裏には潰れた肉と骨、そしてそれに混ざるように真っ赤な血。
ワカッテマスは楽しそうにこの乱戦を眺めていた。

更に恐怖を掻き立てるのはネフィリムが足の裏にこびり付いた退魔師達の残骸を……

「くっ、食っている!!」

地面ごと掬い上げ口に運ぶ。
ぺちゃぺちゃと不快な音を立てながら泥の混じった死体を啜る様はとても知能があるようには思えない。


26 名前: ◆FnO7DEzKDs :2009/04/02(木) 21:34:55.45 ID:/LDKZdXH0
 
「おい、法力を練り込め!!」

「一斉射撃構えろ!!」

五輪坊達は一生懸命に食事を取るネフィリムを囲み力を高めた。
小さな攻撃は鈍すぎて効果が無い、それどころか相手を激昂させるだけだと悟ったのだ。
高まる緊張感。

ξ゚听)ξ「こんなの許せない……。
      人間を一体何だと思ってるの……?」

死体を食い散らかす巨人。
必死に食らいつく五輪坊。
それを見て声を上げて嘲笑う怪人。

馬鹿にされているようにしか見えない。
ツンは体の中が熱くなっていくのを感じていた。
己の内の阿修羅も怒りに燃えている。


28 名前: ◆FnO7DEzKDs :2009/04/02(木) 21:36:26.39 ID:/LDKZdXH0
 
ξ#゚听)ξ「!!」

ただ駆け出した。
何処に向かえばいいのか、巨人に攻撃するのかワカッテマスに攻撃するのか……
そんなことすら定めずに走りださずにはいられなかった。

そのとき力強く暖かい手がツンの肩を掴み動きを止められる。

(´・ω・`)「おい、オレ達も手を貸すぞ 」

振り向くとショボンが強い視線でツンを見て、
  _
( ゚∀゚)「デカイの一発、ぶち込んじゃうぞ♪」

オカマがボキボキと派手な音を立てて両手を鳴らし、
∧_∧
(#゚;;-゚)「ワシはあの男に行くぞ!!」

でぃはワカッテマスの出現でツン以上に激怒していた。

……心強い。
怒りで一杯だったツンの心に暖かい物が流れ込んでくる。
意思を共有することがこれ程に嬉しいのだという事が更に心を奮い立たせた。


30 名前: ◆FnO7DEzKDs :2009/04/02(木) 21:37:55.66 ID:/LDKZdXH0
 
(# ^ω^)「クソッ!!
       僕の目の前でこれ以上殺させてたまるかおっ!!
       でもあの化け物……」

ブーンはネフィリムを見て考えた。
頭の中にあったのはモララーとの戦いだった。
結局は倒せなかった鬼の王モララー。

('A`)「どうしたブーン?
    まさか知り合いか?
    もしかして昔隣に住んでたとかしちゃってたりして 」

ドクオの面白くもないジョークを軽く聞き流し、思った事を素直に言った。

( ^ω^)「全然怖くねぇお。
      コレ……、ひょっとしてイけんじゃね?」

百夜鬼に覚醒したモララーはブーンとジョルジュ二人の攻撃をウンザリするほど意に介さず、
恐るべき力で二人を追い詰めるばかり。
機転を利かせて封印したが、まともに戦っていれば最後には殺されていただろう。

そのモララーと目の前の巨人を比較して出た結論。


あまりにも取るに足らない。



31 名前: ◆FnO7DEzKDs :2009/04/02(木) 21:39:31.20 ID:/LDKZdXH0
 
そして師匠によって再三攻撃を禁じられ続けていたこの少年は不快を隠す事すらせずに言った。

(#=゚ω゚)ノ「お師匠様!!
      まさかこの期に及んで使うななんて言うんじゃないでしょうね!?」

仲間達が善戦しているが確実に命を散らしている。
それを行う憎らしい巨人をまずぶち殺し、ついでに高みの見物を決め込んでいる二人もぶち殺す。
少年退魔師の脳裏には繰り返しそのヴィジョンが浮かんでは消える。

爪'ー`)「全くこの子は……」

自らの弟子の頭の中は手に取るように分かった。
これが無ければいつでも自由にさせてやるのだが、とフォックスは思う。
だが今はこのような暴力が何よりも役立つ時だと判断する。

爪'ー`)「……ふふっ。いいでしょう。
     名刀もたまには使わねば切れ味が落ちるというもの。
     ぃょぅ おやりなさい 」

( =゚ω゚)ノ「へっ!!やっとお許しが出たかょぅ。
      おいテメェら…… 」

('A`)「何だよ?」

( =゚ω゚)ノ「邪魔だょぅ。
      その不細工な面とサヨナラしたくなけりゃとっとと下がると良いょぅ 」


33 名前: ◆FnO7DEzKDs :2009/04/02(木) 21:40:52.93 ID:/LDKZdXH0
 
( =゚ω゚)ノ「見せてやる……最強の法力を!!」

それは奇跡だった。
さほど大きくはないぃょぅの二つの掌が合わさり、口の中で何らかの呪文を念じる。
合わせた両手の内側からそれを無理やり押し広げるように放たれた光は、まさに天上を狩る太陽に光だった。

(;'A`)「うぉ、眩し!!」
∧_∧
(#゚;;-゚)「むぅ……。
     先刻は邪魔が入ったがよく見るとこの光は…… 」

眩い光が一筋、二筋と漏れ出でる。
凝視する事が難しくなりドクオは思わず目を閉じる。
同時に猫又でぃは瞳孔を針のように尖らせ、その光の正体を察した。

爪'ー`)「ふふふ。
     ぃょぅの守護神は密教の最高神、あらゆる神々の頂点に君臨する『大日如来』。
     あの子は神に選ばれた者 」

フォックスの笑み。
それは獲物を確実に捉える事が可能と判断した肉食獣が牙を剥くのによく似ていた。


36 名前: ◆FnO7DEzKDs :2009/04/02(木) 21:42:44.42 ID:/LDKZdXH0
 
(# =゚ω゚)ノ「破ぁぁー─────っ!!」

気合一閃。

ぃょぅの手元に蓄えられていた法力の光は弧を描くようにネフィリムの元へと放たれる。
まともに知能のある者なら迷わず退避しただろう。
だがネフィリムはその光に興味を持ってしまった。

手を伸ばしてしまった……

(《・>ω<・》)「GUuuuuuuYaaaaaaaaaaaaaaa────!!!!」

ネフィリムの右手の指先が光に翳された瞬間、光は凶暴なまでに爆発的に拡散し腕全体を包む。
あまりの眩しさに何が起こっているのか判別が難しい。
しかし聞こえているのは耳を劈く巨人の悲鳴。

身を捩り苦しみ、もがき、泣き叫ぶ。
そして眩む目にもネフィリムの体に異変が起こっている事が次第に見えてきた。


最初に光に触れた右腕が……、既に無い。



40 名前: ◆FnO7DEzKDs :2009/04/02(木) 21:44:43.41 ID:/LDKZdXH0
 
巨人の恐るべき悲鳴がとっぷりと途切れる。
未だに輝く光は、うつ伏せに倒れた巨人の上半身を完全に包んでいた。
光が覆う範囲は明らかに巨人の元々の体積より狭いが、光から巨人の体の一部がはみ出ることはない。

光に食われている。
それが最も的確な表現だった。
今、痙攣しながら脈打つ巨人の両足も直にそうなる。

川 ゚ -゚)「ただのクソ餓鬼ではなかったのか 」

光を避けるように手を顔の前に翳すが、オレンジに染まった目の奥が痛む。
ネフィリムはもう立ち上がることはないだろう。

爪'ー`)「単純な発勁ですらあの威力。
     太陽神たる大日如来の御加護の賜物ですね。
     彼もまた、ホライゾンさんやショボンさんと同じく…… 」

( ^ω^)「ぃょぅ……昔よりずっと強くなってるお 」

( =゚ω゚)ノ「ハッ!!
      クソの役にも立たないデカブツが!!
      永遠に穴倉で震えてるべきだったよぅ!!」

ざわざわと少しずつ聞こえるのは巨人を屠ったぃょぅへの賛辞。
この程度自分にとっては赤子の手を捻るが如く容易いことだと鼻を鳴らす少年退魔師。
誰もが次に続くフォックスの言葉を否定する事はなかった。

爪'ー`)「天才なのです 」


42 名前: ◆FnO7DEzKDs :2009/04/02(木) 21:46:42.58 ID:/LDKZdXH0
 
( <●><●>)「………」
_、_ 
( ,_ノ` )「………」

ワカッテマスと渋沢はこの事態に何も言わなかった。
それを見てぃょぅは確信する。
こいつらは自分が見せた法力に恐れをなして絶句しているのだと。

( =゚ω゚)ノ「何とか言ってみろよパンゲアッ!!
       次はお前らだょぅ!!」

ぃょぅが指差した先で怪人は沈黙する。
やはりビビっている。
ぃょぅが気を良くしていたその時──

( <●><●>)「……素晴らしい 」

怪人の真っ黒な瞳の下に大きな割れ目が入る。
口が耳まで裂けているように錯覚するほど不気味に、邪悪に、妖艶に笑った。

(;=゚ω゚)ノ「なんだコイツ……」

ワカッテマスのたった一言。
たったそれだけで立場が逆転した。
ぃょぅはこれまで見た事のない、どの魔とも違う異質な魔にうすら寒いものを感じ取った。


44 名前: ◆FnO7DEzKDs :2009/04/02(木) 21:48:21.05 ID:/LDKZdXH0
 
( <●><●>)「素晴らしい力をお持ちのようだ。
         どうです? 我らの元へ参りなさい。
         愚かなる人間に力の制裁を下すのはこの上なく愉快ですよ?」

(;=゚ω゚)ノ「コイツ……!!」

自分が連れてきたネフィリム──仲間である事に間違いはないだろう。
それを消滅させた自分を嬉しそうに仲間に引き込もうとする。
ぃょぅが恐ろしいと感じたのは、そうすることがまるで何事をも凌駕する絶対的正義であるかのような錯覚を受けた事だった。

/ ,' 3 「それがパンゲアだ。
    どうだぃ? 一つ勉強になったろう?」

ぃょぅはこの荒巻の言葉で我に返った。
そして自分がどういう状況だったか考えた。
答えはすぐに出る。簡単だ。

ぃょぅはワカッテマスの誘惑に負けそうになっていたのだ。

/ ,' 3 「で、月下の怪人よ……。
    あんな雑魚を一匹寄越してオレらがどうにかなるとでも思っていたのかぃ?」

荒巻はぃょぅの肩を大きな手で包み、ゆっくりと自分の後ろへ下げた。
その双眸の奥に乾いた光を湛えながら。


47 名前: ◆FnO7DEzKDs :2009/04/02(木) 21:50:27.27 ID:/LDKZdXH0
 
( <●><●>)「とんでもありません。
         叩き起した所までは良かったのですがあの通り品が無くてね。
         ゴミを掃除して下さって助かりました 」

ワカッテマスは大げさに腕をひらひらと躍らせながら仰々しく腰を折った。
顔も下げたが表情は見なくても分かる。
人間を馬鹿にするように笑っているのだろう。

/ ,' 3 「そうかぃ……。
    じゃ、そっちの気は済んだな。
    こっからはオレが気を晴らさせてもらうぜぃ……!!」

最早聞く耳持たず。
ワカッテマスの口から出る言葉はその悉くが人の心には毒。
これ以上一言たりとも喋らせる気はない。

荒巻が印を組む。
そこを中心に凄まじい電撃が地を巡り紫電が燃え上がる。
まだ放ってはいない。

発動していないにも拘らず溢れる電撃は空を弾き、地に落ちては穴を穿つ。
これが世界最強の退魔師。
荒巻スカルチノフの千の法力の一つ、帝釈天・雷帝杵。


49 名前: ◆FnO7DEzKDs :2009/04/02(木) 21:51:28.36 ID:/LDKZdXH0
 
( <●><●>)「ふふふ……恐ろしいお方だ……。
         裏高野史上最強の退魔師・荒巻スカルチノフ。
         果たしてその法力で幾億の魔を滅ぼしたか……」

荒巻の雷の法力は最早荒れ狂う龍が身をうねる様に縦横無尽にのた打ち回っていた。
しかしまだ真言を唱えてはいない。
印を結ぶだけでこの事態。
他の退魔師のそれを遥かに凌駕する圧倒的力。


……だが。
恐るべき力の紫電に顔を照らされながらも、目の前で雷が唸りを上げようともワカッテマスの嘲笑は揺るがない。
まるで気にならないとばかりに喉の奥から乾いた笑みを絞り出した。

( <●><●>)「では本題に入りましょう。
         あのお方がお見えになります。     
         あなたにとって懐かしく、恨めしい。
         それでいて恋人にそうするように胸を焦がし、一方思うだけで怒りに狂いそうになるお方がね 」

ワカッテマスが片手を上げ手を開くと、頭上に再び闇が現れる。
それを見て五輪坊達はざわめいた。
先程はそこから巨人が出た。


今度は一体何が──?



52 名前: ◆FnO7DEzKDs :2009/04/02(木) 21:53:31.31 ID:/LDKZdXH0
 
/ ,' 3 「この……波動はっ!?」

その正体にいち早く気づいたのは荒巻だった。
当然だ。
荒巻は知っている。

姿も声も。

/ ,' 3 「フォックス!! 若いモンを下がらせろ!!」

爪;'ー`)「今すぐに!!
      あなた達!! 早く逃げるのです!!」

老練の退魔師の経験が部下達を下げる事を迷わせなかった。
フォックスはその姿を知らない。
だが何が起こるのか想像は付いた。

ワカッテマスの闇の内から感じる波動。
それを前にすれば死が訪れる。
逃れられない絶対的な死。


事実、前回『 彼 女 』を見た者は荒巻以外全員死んでいるのだ──



55 名前: ◆FnO7DEzKDs :2009/04/02(木) 21:55:23.49 ID:/LDKZdXH0
 
しかし若い退魔師達は逆にいきり立つ。
相手の力が分からない無能では決してない。

「なんの!! 我らとて最強裏高野の五輪坊!!
 仲間が数名殺されて怯む等あり得ませぬ!! 」

「我ら尚も意気軒昴!! ご命令をフォックス様!! 荒巻様!!」

/#,' 3 「バカ野郎!! コイツはそんなモンじゃねぇ!!
     逃げろッ!! 逃げろォォォォ!!」

相手が強大だからこそ打ち取ろうと血気にはやるのだ。
荒巻の忠告は届かない。

(;'A`)「で……でぃさん!!」
∧_∧
(#゚;;-゚)「心せよドクオっ!! 来るぞ!! 恐ろしい何かが!!」

ドクオが裏高野の若退魔師のようにならなかったのは単にこの猫によるところが大きい。
今までこの猫又は、どの魔との戦いにおいても相手を舐め切ってそれでも葬って来た。
そのでぃが二本の尾を目一杯膨らませ、緊張と警戒に入っている。


59 名前: ◆FnO7DEzKDs :2009/04/02(木) 21:58:22.25 ID:/LDKZdXH0
 
「「「「破ァァァァァー────!!!!」」」」

四方八方から一点へ。
何かの気配を滲み出す両手に抱える程の闇へ向かって放たれる発勁の弾幕。
流星雨のように輝くそれを見て──

( <●><●>)「……美しい 」

──怪人は笑った。

「っ!?馬鹿な!!」

「何が起こって……」

突然発勁の光が掻き消えた。
百に近い破魔の光が。
そして代わりに現れた者は……

川; ゚ -゚)「何だアレは……? 悪魔の翼の様な……」

空中に浮かぶ固く閉じられた黒い翼。
黒いシルクのように美しい光沢を持つ羽が滑らかに並んでいるのが遠目にも分かる。
それに全ての法力が防がれたのだ。

(´・ω・`)「閉じているという事は中身があるってことだ。
      おい……油断するなよ 」
  _
( ゚∀゚)「良い羽根ね。毟って帰りたいわwww」


61 名前: ◆FnO7DEzKDs :2009/04/02(木) 22:00:37.63 ID:/LDKZdXH0
 
──漆黒の翼が開く。
同時に大量の羽根が舞い上がり雪のように降り注いだ。
音もなく舞い散る黒く輝く羽根の美しさは神秘的かつ荘厳だった。

その時──

「ぎぃぃぃゃぁぁっぁぁあっぁぁァァァァァアアアッ!!」

「ひぃぃぃぃぃふひゃ!!ひゃぁぁひゃひゃひゃぁぁ!!」

突如として上がる悲鳴。
かと思えば他方では狂人が発したかの様な馬鹿笑い。
美しく降り積もる黒い羽根の雪の中で、突然狂気が花開いた。

羽根と共に降ったのは奈落の底より深い悲哀であり、
煉獄の業火の如き怨嗟の念であり、太古より伝わる妄執だった。

/#,' 3「始まりやがった!!
    チクショウ、そいつらを抑えつけろ!!
    殺し合いを始めるぞ!!」

爪;'ー`)「風天神!!」

一部の強力な退魔師を除いた多数は、瞬く間に正気を失い敵味方の区別すらつかなくなる。

荒巻が檄を飛ばすと、フォックスが直ちに風の法力を発動した。
空気が騒ぎ気流の流れが烈風となる。
烈風はなお不気味に降りしきる黒い羽根を吹き飛ばし、同時に狂った五輪坊を風圧で押さえつけた。


62 名前: ◆FnO7DEzKDs :2009/04/02(木) 22:02:27.76 ID:/LDKZdXH0
 
── ≪アモンの選定に耐えたか。ほぅ……思いの外多いな ≫ ──

女の声だった。

頭上から聞こえたその声は、涼しく澄んでいて優美であり優雅であった。
不思議な響きのあるその声は、本当に耳から聞こえているのか疑わしくさえあった。
その声を正気の元で聞いたのは──

(; ^ω^) ( ´・ω・) (;'A`)
            ∧_∧   _
ξ;゚听)ξ 川 ゚ -゚) (#゚;;-゚) ( ゚∀゚)

/#,' 3 爪;'ー`) (;=゚ω゚)ノ

──この場にたった十人。

( <●><●>) 「………」
 _、_ 
( ,_ノ` )「………」

パンゲアの二人が片膝を突き頭を垂れる。
その中心。
視界を遮り続けてきた忌まわしい数の黒羽根が納まりようやく徐々に姿を現わにしていく。


64 名前: ◆FnO7DEzKDs :2009/04/02(木) 22:04:16.38 ID:/LDKZdXH0
 
存在し続けてきた凶悪な気配。
それが遂に目の前に現れた。
若いぃょぅなどは吐き気を催し、ドクオは気を失いそうだった。

('、`川 ≪……フッ ≫

──しかし美しかった。

吐き気や恐れや恐怖に満たされる脳内に染み込むような美しさ。

純白で肌が透けるほど薄手の羽衣のみを纏い、腰には黄金のベルトが輝く。
着ている物と大差ない雪のように白い肌。
両手両足首にはベルトと同じ黄金のリング。

軽く波打つプラチナブロンドの髪は額を一周する細い紐の様な黄金のヘアーバンドで抑えられている。
その下にはエメラルドの輝きを彷彿とさせる濃いグリーンの瞳が二つ。

その女が持つ全ての色は明るい光を放ち、曙が海を染めるように周囲を照らす。
突如現れたのは、この世において至高の装飾品だった。

だが──


65 名前: ◆FnO7DEzKDs :2009/04/02(木) 22:05:43.18 ID:/LDKZdXH0
 
(; ゚ω゚)「くっ!! おぉぉぉっ!!」

ブーンが突然吠えた。
そうしなければならなかった。

姿──、声──、芳香──、雰囲気──

五感の全てが美しいと認めていた。
事実、その女はそこだけ優れた画家が描いた絵画から抜き出てきたように美しかった。
神聖とすら思える様相だった。

しかし感覚器の全てが屈しても第六感が否定する。

ブーンが叫ばなかったらショボンが声を出していただろう。
ショボンも黙っていればでぃかクーが叫んでいただろう。

そうしなければ心が屈してしまう。
美しいだけならばそれも良いだろう。
だが、脳が認識する美しさを心の底が必死に否定しようとしている。


本能に近い物で感じ取っている。


この女は途方もない災厄───。



67 名前: ◆FnO7DEzKDs :2009/04/02(木) 22:07:06.78 ID:/LDKZdXH0

/ ,' 3 「………」

老退魔師が一歩滲み出る。
この一歩を見るまで、その場の全員が自分が動くことができるという事実を忘れていた。
そして怒りを押し殺した声で荒巻が呟く。

/ ,' 3 「『魔帝ペニサス』……」
 
ただ一言、魔帝と。
その声は小さく震えていたが恐れのためではない。
その体は強張っていたが断じて恐れのためではない。

ただただ怒り。
無理やりに抑えつけた烈火の如き怒りが言葉を発した唇を震わせたのだ。

('、`川 ≪老いたな荒巻よ……。いや、昔の名で呼んでやろうか?
      若く、強く、美しかった昔のお前。
      そうだろう? 裏高野史上最強の退魔師…… ≫

荒巻の激情の理由を百も承知だとばかりに魔帝はニヤリと笑った。
それは今までの美麗さが露に消えるほどの邪悪さを持った嘲笑だった。


69 名前: ◆FnO7DEzKDs :2009/04/02(木) 22:09:21.42 ID:/LDKZdXH0
 
そして魔帝は万来の侮蔑と共に荒巻のかつての名を呼んだ。


('、`川 ≪ 『 孔 雀 』 ≫









その言葉で荒巻の怒りが凍てついた。
だが目に宿る光は激しく燃え上がる。

/ ,' 3 「………」

爪;'ー`)「荒巻さん……」

荒巻は何も言わない。
だが口の中から『ギリギリ……』という恐ろしい音が、続いて唇の間を潜って鮮血が流れた。


魔帝ペニサスは確かに荒巻をこう呼んだ。

裏高野史上最強の退魔師 『 孔 雀 』 と。



71 名前: ◆FnO7DEzKDs :2009/04/02(木) 22:11:53.22 ID:/LDKZdXH0
 
(; ^ω^)「くじゃ……。お師匠様が……」

(;=゚ω゚)ノ「嘘だょぅ……。荒巻様があの名高い…」

ブーンとぃょぅ、裏高野の者は誰もがその名を知っている。
孔雀明王を守護神とし、あらゆる法力を自在に使いこなし千億の魔を滅した空前の大退魔師。
ブーン達にとっては夢物語に語られる英雄譚の主人公であり、神話の登場人物だった。

(;´・ω・) 「あのジジイが孔雀だと……!?」
∧_∧  
(#゚;;-゚) 「クッ……!! 名を変えてまだ生きておったとは!!」

裏高野だけではない。
退魔業に身を置く人間は誰でも一度ならず二度三度と耳にする名だった。
妖魔にとっては孔雀の顔を見ることは即ち死を意味する。

ξ;゚听)ξ「孔雀……。っ!! 孔雀!!」

ツンは荒巻を初めて見た時から感じていた郷愁が一気に心の内で爆発するのを感じた。
それは『孔雀』という名を聞いた瞬間だった。
一瞬何もかもが霧が晴れたように繋がった気がした。

だがそれはほんの一瞬の事で、瞬く間に再び霧の中へと消えていく。
だが、自分には荒巻と何らかの繋がりがある。
それを認識するには十分だった。


73 名前: ◆FnO7DEzKDs :2009/04/02(木) 22:14:18.03 ID:/LDKZdXH0
 
/ ,' 3 「その名はとっくに捨てちまったよ……。
    お前さんは相変わらず綺麗だなぁ 魔帝よ……。
    悪魔どもはもう復活したのかぃ 」

荒巻は怒りを何とか抑え込もうと唸る。
怒りなどの強い感情に身を任せ、殺したいという欲に囚われてしまえばたちどころに滅ぼされるだろう。

魔帝が姿を現したという事は『かの者』の復活も意味しているのだから。
多くの伝承、宗教で姿を変えて存在する存在。
キリスト教では七つの大罪『強欲』を司る最強の魔神が。

('、`川 ≪貴様の『孔雀王』はまだのようだな。
      小癪にも転生を図ろうとしているようだが?≫

輝くグリーンの瞳を動かす。
まるで緑の光が尾を引いているようだった。
その視線の先には……

('、`川 ≪……お前が内藤ホライゾンか……≫

(; ^ω^)「な……何だお!? だったら何だってんだお!?」

負け犬のように叫ぶ。
そのような必要は一切無いにも関わらずブーンが声を張り上げたのは、
魔帝の瞳に見つめられているだけで何かが溶けて流れ出して行きそうだったからだ。

体の芯に詰まっている、鉄よりも硬い大切な何かが。


74 名前: ◆FnO7DEzKDs :2009/04/02(木) 22:15:29.14 ID:/LDKZdXH0
 
('、`川 ≪ククッ!! クハハハハハハッ!!≫

突然に、魔帝が堰を切ったように笑い出した。
ブーンが己の内で心を必死に奮い立たせていることなど完全に無視して。
その意味は痛いほどに分かる。

(# ^ω^)「何だお、この奇麗な姉ちゃん!!
       顔は良いのにイカれてんのかお!?」

我ながら良くやったとブーンは思った。
いつも通りに悪態を吐いてやった。
だがそれはあまりにも情けない小さな抵抗だった。

笑い出したときと同じように突然、今度は魔帝の笑みが水を打ったように消えた。
同時に瞳の緑が氷のように冷たく輝く。

('、`川 ≪殻も破れぬ雛鳥めが。
      これがそうなのか ワカッテマス?≫

( <●><●>)「そのようで 」

何事かを傍らのワカッテマスに訪ねて再びブーンに向き直る。
その表情は子供が蟻の手足を引き千切って興味を失ってしまったそれに酷似していた。

('、`川 ≪くだらん……≫


75 名前: ◆FnO7DEzKDs :2009/04/02(木) 22:16:56.74 ID:/LDKZdXH0
 
(; ゚ω゚)「な──、く……だ……」

天才退魔師、内藤ホライゾン。
今まで滅ぼした魔は数知れず。
敵も味方も区別なく彼を評価するとしたらこうだろう──


──強い!!


鬼の王、百夜鬼ですらブーンと心行くまで戦うことを望んだ。
内藤ホライゾンとは何者も無視することなどできない強力な力だった。


それを使用済みの使い捨てカイロでも見るかのような視線を一度だけ向け、
以降は言葉通りに皆目興味がないと言わんばかりの態度を見せられる。
己を蔑ろにされたのは、ブーンにとって初めての経験だった。


79 名前: ◆FnO7DEzKDs :2009/04/02(木) 22:18:56.10 ID:/LDKZdXH0
 
そして魔帝は新たな興味に目を向ける。
現時点でパンゲアにとって最も重要な二つのファクターの一つ。
炎の魔神を身に宿す少女……

('、`川 ≪アレが阿修羅か。
      確かに打ち震える炎の波動を感じる。
      貴様など簡単に焼き滅ぼされるだろう ≫

( <●><●>)「はい。
         私では手に負えないでしょう。
         ただ、彼女の阿修羅は完全には覚醒してはおらぬようです 」

ξ;゚听)ξ「う……」

やはり恐ろしい……。

ワカッテマスに見つめられると沸き上がるこの感情は何だろう。
心の中が真っ黒に塗り潰されていくようなこの感覚。

ツンはあの晩の事を思い出すと息が出来なくなる。
友人渡辺が学友の殆んどを生け贄にして、学校その物を地獄に叩き落としたあの晩だ。

その元凶ワカッテマス。

次に会ったら必ず一矢報いてやると心に誓い、先程も勇気を振り絞った。
だがこの目にじっと見つめられると竦み上がる思いだ。
この闇その物の様な双眸に……。


80 名前: ◆FnO7DEzKDs :2009/04/02(木) 22:22:06.91 ID:/LDKZdXH0
 
( <●><●>)「ご覧の通り脅え切っております。
         力の一部しか使えない今の彼女では、連れ帰っても何の役にも立ちませんかと 」

ツンが自分を恐れている事は百も承知。
いつもなら愉悦に歪んだ笑みを見せただろう。

だが今のワカッテマスは終始無表情に徹していた。
自らの主に対する忠誠心の表れか、あるいはそれさえも怪人の謀か。

/ ,' 3 「おい……」

グダグダと持論の展開ばかりを続ける魔の者に対し、
遂に痺れを切らしたのは現世において最強の男、裏高野座主、荒巻スカルチノフ。
元の名を裏高野退魔師──孔雀──

だがこの老人に対して魔帝は最早、一瞥すらくれようとしない。

( <●><●>)「荒巻。主はもう貴方に興味はございません。
        立場を弁えなさい 」

/#,' 3 「三下が口を挟むんじゃねぇ!!」

( <●><●>)「私達、パンゲアの今の関心はこの者達、阿修羅を従える『内藤退魔師事務所』の面々のみ。
        恨むのならば、老いたご自身になさい 」

荒巻の怒気は物の見事に受け流された。
仮に今、荒巻が怪人を滅したとしても蚊帳の外である現状に変化はないだろう。
重要なのは単に力の強弱ではないのだ。


81 名前: ◆FnO7DEzKDs :2009/04/02(木) 22:25:03.89 ID:/LDKZdXH0
 
( <●><●>)「そういうわけです。
         内藤ホライゾン、ショボン。そして阿修羅。
         そこで今日は心ばかりの土産を持参しました。
         因縁という名の土産をね 」

言葉の後、ゆっくりと吟味するように勿体ぶって退魔師達を見下ろす。
そしてやはりゆっくりと両腕を広げると、両の手首をゆっくりと旋回させた。

この動きは最早見飽きた。
再び怪人が何者かを召喚しようとしている。
そして現れるのは常に退魔師達にとって都合の悪い者。

今回は二つの闇の塊が現れる。
それらの黒が一定の濃さに達したその時──

( <●><●>)「そうら、出てきなさいお前達 」

ワカッテマスは徐に両腕を其々の奈落へと突っ込み、雑に引き抜いた。
その両手は二人の人間の首根っこを掴んでいた。
猫の仔にそうするように。


83 名前: ◆FnO7DEzKDs :2009/04/02(木) 22:28:41.02 ID:/LDKZdXH0
 
(`-ω-´)「…………」

怪人の右手に意識を失ったままぶら下がっていたのは髪や髭が汚らしく伸び、
元は高価だったであろうスーツの残骸をかろうじて引っかけた30程の男だった。
伸び放題の毛髪で殆んど隠れてしまっているその顔は、やつれていたがかつての偉丈夫の面影は失ってはいない。

それを見て冷静沈着な男が一瞬我を忘れた。
ずっと探し続けていた。
ドクオが転がり込んできた晩、そのドクオを託し行方不明になった実の兄が今目の前にいる。

(;´・ω・)「シャキン兄さ……」

(;'A`)「兄貴!!」

二人が声を発したのはほぼ同時だった。
ショボンは一度ドクオを見たが直ぐに視線をシャキンに戻す。

(;'A`)「何だって……? ショボン、アンタ兄貴の……」

対称的にドクオはショボンの横顔をずっと追っていた。
どうして今まで気付かなかったのだろう。

シャキンの雄々しい顔立ちとはおおよそ真逆のやる気の無い顔。
だが違いはほとんどそれだけだった。
それ以外はショボンとドクオが敬愛し兄と慕う男にそっくりではないか。


84 名前: ◆FnO7DEzKDs :2009/04/02(木) 22:31:02.55 ID:/LDKZdXH0
 
(;´・ω・)「く……やってくれる……」

ずっと探していた。
ショボンはしばしば、一人バーボンハウスを抜け出してはシャキンの足取りを追っていた。
モナー財団の資金も惜しげもなく使った。

それでも一切の手がかりさえ掴めなかった。

しかし遂に巡り合えた。


だがこの現状は一体どういうことだ──?

(`・ω・´)「…………」

ワカッテマスの片腕に掴み上げられたままシャキンはゆっくりと目を開く。
その瞳孔は暗闇に浮かびあがる『緋色』……人では無い色をしていた。


86 名前: ◆FnO7DEzKDs :2009/04/02(木) 22:32:58.89 ID:/LDKZdXH0
 
从'ー'从 「ふふふふぅwwwふふふふふふふふふふwwwwww」
 
怪人の左手には連れ去られたツンの級友、渡辺の姿があった。
こちらは正気では無い事を把握するに十分な不気味な笑みを湛えている。
それを証明するかのように拘束衣の様な物を着せられている。

ξ;゚听)ξ「そんな……渡辺さん!!」

从'∀'从「っ!!#$%&&☆!!●*@□♪▽!!」

ツンが叫ぶと渡辺は意思の無かった目をぐるりと回転させ、狂った視線を向ける。
その途端にだらしなく口を歪ませ意味を為さない金切り声を上げた。
歓喜しているように見えた。


88 名前: ◆FnO7DEzKDs :2009/04/02(木) 22:36:22.58 ID:/LDKZdXH0
 
( <●><●>)「この二人にはこちらで特殊な処置をさせていただきました。
        素晴らしい潜在能力をお持ちです。
        あなた達と関わりを持つ人間は一味も二味も違いますね 」

良い反応だ、そう言っている様な口調で、しかし表情は対して変えず言う。
更に畳みかけるように

( <●><●>)「あ、そうそう 」

怪人は躊躇なく言い放った。





    ── お二人とも既に人間とは言い難いモノになっておりますので ──







91 名前: ◆FnO7DEzKDs :2009/04/02(木) 22:39:12.30 ID:/LDKZdXH0
 
(#'A`)「兄貴!! 兄貴ー──!!」

弾けるように叫ぶ。
そうしなければならなかった。

ドクオは決して恵まれた環境では育ってこなかった。
物心ついた時から心は荒み、人殺しと薬物以外の悪事は大抵やったと言える。
ヤクザの世界にドクオが足を踏み入れたのは必然と言えた。

──弐経路要人会。

ドクオが足を踏み入れたそれは表の世界で大きな顔を出来る物では無い。
ドクオには当然それが分かっていたし、自分はそうやって腐った一生を送るものだと信じていた。
だがそこで生き方の価値観を真逆に変える一人の男と出会う。

ドクオは兄と慕った。
彼もまた、不器用ながら生き方を変えようと苦心するドクオを弟のように思うようになっていった。

腕っぷしも強かった。
どんなにヘビーな抗争でも、その後いつも何事もなかったかのようにタバコを吸う兄の姿。
何度もその煙草に火を点けるジッポライターをねだったが、いつも軽くあしらわれていた。

(`・ω・´)「………」

……今はどんなに呼んでも返事をくれることすらない。


94 名前: ◆FnO7DEzKDs :2009/04/02(木) 22:41:40.16 ID:/LDKZdXH0
 
( <●><●>)「おや、そういえば貴方もいましたね。
         何にせよ、お察しします 」

(#'A`)「テメェ!!」

間違いなく諸悪の根源──にも拘らず人事の様な言い方。
ドクオは折れた足の痛みも魔帝への畏怖も忘れワカッテマスへと怒りと殺気を向ける。

──それと同時に天地が逆転し、自分が組み伏されている事を認識する事になる。

(;´・ω・)「ドクオっ!!」 
  _
(;゚∀゚)「なっ!! 早っ!!」

反応すら出来なかった。
高台にいるワカッテマスからここまでの距離は20〜30mはある。
その距離を瞬きよりも速く詰めた。

ミ`・ω・´彡「………」

(;'A`)「兄貴……」

ドクオを抑えるシャキンの顔には髪や髭とは異なる濃く長い体毛が伸びていた。
ドクオを見る緋色の燐光を宿す双眸は、かつて弟と言って側に置いていた者への慈しみはない。


95 名前: ◆FnO7DEzKDs :2009/04/02(木) 22:43:13.43 ID:/LDKZdXH0
 
( <●><●>)「その者は殺してはなりませんよ。
        やるならあちらの雑兵共になさい 」

ミ`・ω・´彡「………」

無言のまま小さく頷くシャキン。
『やるならあちら』と言われた方に目を向けると、
魔帝の出現により戦力とならなくなった五輪坊達がガラス球のような虚ろな目をしていた。

(`・ω・´)「………」

(;'A`)「……?」

役立たずの五輪坊達を暫く眺めるとドクオを抑える力を緩めた。
気が付くと伸びた体毛は抜け落ちてしまっている。
シャキンはそのままワカッテマスの元へと引いて行った。

('、`川 ≪ワカッテマスよ。
      下らん細工も宿敵がこれでは浮かばれんな ≫

( <●><●>)「我が主。全くその通りです 」

(#'A`)「下らない細工だと……?」

ドクオはただシャキンの身に起こった事だけを考えていた。
シャキンは一体何になってしまったというのだ?


96 名前: ◆FnO7DEzKDs :2009/04/02(木) 22:45:31.62 ID:/LDKZdXH0
 
('、`川 ≪帰るぞ。
      雛鳥よ。精々囀り、我の機嫌を取るのだな ≫

ブーンをこれでもかという程に皮肉ると一方的に打ち切る。
だがそれで良いワケが無い。
ショボンにもドクオにもツンにもでぃにも荒巻スカルチノフにも、
このまま指を咥えて彼らが帰るのを黙って見ている道理はない。


でぃと荒巻には元々あったようだが、ショボンらにもたった今
──それは怪人・ワカッテマスが口にした事だが──
パンゲアに対する巨大な因縁が生まれた。


そして再三卑下され続けた内藤ホライゾンは、遂に怒りがビビる気持ちを凌駕した。


(# ^ω^)「あらあらあら?
      僕を舐めてるのかお?
      そういう態度を取った奴は例外なく僕にぶちのめされるのを知らないのかお? かおかお?」


100 名前: ◆FnO7DEzKDs :2009/04/02(木) 22:48:49.92 ID:/LDKZdXH0
 
口が動く。
滑らかに悪態を吐く事が出来る──いつも通りだ!
指が動く。
拳を強く握ると小気味良い音で骨が鳴る──いつも通りだ!!

ならば口に真言を。
ならば心に印を。
そして心に守護神を。

              インドラ  ヤ ソバカ
(# ^ω^)「雷帝杵!! 因陀羅 耶 莎訶!!」

今やあらゆる法力を使えるブーンが選択したのは帝釈天、雷帝の印。
何も知らずショボンに向けた時、想像以上の威力に仰天した。
だが相手を考えると今回は何も問題はない。

──黒焦げにしても何も問題はない!!


103 名前: ◆FnO7DEzKDs :2009/04/02(木) 22:53:29.37 ID:3tE35EQZ0
 
/ ,' 3 「おい、手前ら!!
    ここで終わらせるぞ!!                   インドラ  ヤ ソバカ
    考えなく身を晒した馬鹿さ加減を思い知らせてやれ!!因陀羅 耶 莎訶!!」

荒巻も即座にこれに追従し、荒巻の檄に

爪'ー`)「ぃょぅ!! お使いなさい!!」

(=#゚ω゚)ノ「言われなくてもそうするよぅ!!」
  _   シンイ ジョガク   シンオン ジョカイ
( ゚∀゚)「神威 如嶽!! 神恩 如界!! 破ッ!!」

フォックスが、ぃょぅが、ジョルジュが呼応する。
退魔師達の遠距離砲の全てが魔帝に向けられた。
現時点、世界でも指折りの実力者が一斉に攻撃を加えたのだ。

放たれたのは雷と風と太陽の法力、そして巨大な超発勁。
並の魔では凌ぐことは不可能。
並どころか、あわよくば百夜鬼すらも倒せるかも知れない。


106 名前: ◆FnO7DEzKDs :2009/04/02(木) 22:57:10.55 ID:3tE35EQZ0
 
魔帝を……パンゲアを滅ぼした。
そう思ったのはブーンだけではなかった。
だが放った法力の群れよりも速く、数多くの何かが魔帝の眼前に跳び空中で凝集した。

(; ^ω^)「何じゃアリャ!?」

その何かは空中で巨大な球体となり、恐るべき法力の全てを受け止めた。
魔帝には爪の先程も届いてはいない。

ξ;゚听)ξ「ちょっと待って……」

ツンは攻撃を受け止めた球体の正体にいち早く気づいた。
その球体──もとい集合体は魔帝へと攻撃を届かせる事はなかったがそれ自身はやはりダメージを負っていた。
その一部が千切れ、ツンの足元に転がって来たのだ。

ξ#゚听)ξ「ちょっと待ってよ!!」

同じ言葉を、今度は激怒と共に叫んだ。
ツンの足元に転がって来た物。
それは人間の手首だった。
つまり……

(=#゚ω゚)ノ「死体を集めて盾にしやがった……」

ここまでに命を落とした、裏高野五輪坊達の死体だったのだ。


107 名前: ◆FnO7DEzKDs :2009/04/02(木) 22:59:40.20 ID:3tE35EQZ0

(’e’)「やれやれ……
    大事なサンプルが台無しだ 」

ねっとりとした不快感を掻き立てる声だった。

いつの間にかそこに居た小男。
煤けた白衣の様なコートを曲がった背中にだらしなく羽織り、黒い頭髪は油でべっとりと汚れている。
声だけでなく、姿形その全てに誰かが好意を持つ要素は皆無だった。

(’e’)「主よ。当然玉体に傷など……?」

('、`川 ≪無い≫

(’e’)「そうでなくては困る。
    貴女も私の貴重なサンプルなのだから。
    それにしても流石、退魔師の死体は法力に耐性があるらしい。
    早速持ち帰って検討を重ねる必要がある 」

そこで中空に浮かんでいた退魔師達の死体の集合体は崩れ、次々と地面に落ちて行った。
その様子に人間の尊厳といった物は一切無い。
ぐちゃぐちゃと不快な音を立てながら骨と肉と体液に変わって行く。


110 名前: ◆FnO7DEzKDs :2009/04/02(木) 23:01:21.68 ID:3tE35EQZ0
 
爪;'ー`)「あれはまさか……!!」

/ ,' 3 「錬金術師・セントジョーンズ……。
    まだ生きてやがったのか 」

二人の古株はその存在を知っていた。
若かりし荒巻……、いや孔雀とフォックスが高野聖として打ち滅ぼした数々の魔の内の一人だったからだ。

(´・ω・`)「セントジョーンズ……?
      まさか錬金王セントジョーンズか!?」

その名にはショボンも聞き覚えがあった。

中世ヨーロッパ。
卑金属を金に変え、不老不死の妙薬を生み出そうとした馬鹿げた学問が広まる。
当然そのような事が成功する道理が無い。
物質の原子を組み替え、より完全な存在に変えることなど人間のエゴでしかない。

……だが森羅万象の理を冒涜し、錬金術の奥義『賢者の石』練成に成功した知識の化け物が存在した。

爪;'ー`)「ええ……。
      ですがあの者は数十年前に我ら二人で滅ぼしたはず。
      そして彼が練成した賢者の石は……」

(’e’)「そうだ。
    あの石はどうした?
    アレは私の研究の集大成。返却を命令する 」


111 名前: ◆FnO7DEzKDs :2009/04/02(木) 23:04:22.46 ID:3tE35EQZ0
 
ねっとりと絡みつくようなセントジョーンズの視線と高慢な態度。

中世の錬金王……

数百年もの間生きているというのか?
賢者の石が生み出すという『生命のエリクシール』の力か?
しかし荒巻とフォックスがかつて倒した事実を越えて、どうやってこの場に立っているのか?

(  ゚_ゞ゚)「ふむ……
     退魔師の血は中々にエネルギーに満ちている。
     舌の上で蕩ける様に甘く、喉の中を真珠のように転がり流れる……。
     ……ここで吸い尽くすもまた巡り逢いか 」

(=;゚ω゚)ノ「っ!?」

次々と浮かぶ疑問の中、突如初めて聞く声がする。
一斉にそちらの方を振り向いた退魔師達は驚愕する。
一人の青白い顔をした男が、正気を失ったがまだ生きていた五輪坊の一人を片手で高々と持ち上げていたのだ。


113 名前: ◆FnO7DEzKDs :2009/04/02(木) 23:06:05.29 ID:3tE35EQZ0
 
爪;'ー`)「吸血鬼か!?」

そこにはあからさまに不自然で異様な光景が展開されていた。
青白い顔の男の持ち上げた手の指は、深々と五輪坊の喉元に突き刺さっている。
そしてそこから溢れ出て滴る血液を口元に寄せ、喉を鳴らして嗜んでいた。

 
その行為はフォックスの言う通り、明らかに吸血鬼だが……


(;'A`)「まさか……あれはアニジャ……?」

その顔には見覚えがある。
馬鹿なと思いながらも口に出さずにはいられない。
アレはどう見てもかつて共に闘い友となった吸血鬼兄弟……

( ´・ω・)「いや、違う!!
      あの二人があんな風に美味そうに血を吸う事などありえない!!」

即座に否定する。
どれだけ顔が似ていようと似ても似つかないある事で確信できた。

アニジャ・アラーキー・ヴァレンタイン。
オトジャ・ヒロヒコ・ヴァレンタイン。
あの二人はこれほどまでに邪悪な顔は断じてしない。


120 名前: ◆FnO7DEzKDs :2009/04/02(木) 23:11:08.71 ID:3tE35EQZ0
 
(’e’)「ほぅ、貴様も来ていたのか。
    なぁ、『ヴァンパイアマスター』よ 」

(  ゚_ゞ゚)「白々しいな。
      知っていたという顔をしているが?
     なぁ、『ネクロマンサー』よ 」

ヴァンパイアは依然として血飲しながら投げやりに受け答えた。
その言い方には侮蔑の様な物が伺える。
 
錬金王の名の通り、尊大な態度を取っていたセントジョーンズ。
彼はこの吸血鬼の態度と『ネクロマンサー』という言葉にあからさまに不快感を表す。

(#’e’)「敬意を表し『 錬 金 術 師 』と呼びたまえ。
     死操術など高尚なる錬金術においては最も下等な分野の一つに過ぎない。
     口が過ぎれば貴様も切り刻んでサンプル棚に並べるぞ……薄汚い化け物めが 」


122 名前: ◆FnO7DEzKDs :2009/04/02(木) 23:14:46.02 ID:3tE35EQZ0
 
その言葉の端々から怒りの様な物が伺える。
最早セントジョーンズの表情は敵に向けるそれと同じだった。
対照的に吸血鬼は、血を吸い尽くした死体を投げ捨てると恐ろしくエレガントな笑みを浮かべた。

                         フリークス                       
(  ゚_ゞ゚)「フリー──クス!! 今この私を化け物と呼んだのか?
     クククク……、では一つ質問をしよう。
     五百年も生きている人間は、果たしてまだ人間だと思うかね?
     なぁ、薄汚い化け物よ?」

(#’e’)「……警告はしたぞ。
     貴様の今夜の寝床は私の研究室のゴブリンの手首の隣だ。
     最も下劣なモノ達と同じ棚にラベルも貼らずに放り込んでやる。
     吸血鬼オサム・ヴラド・ツェペシュ!!
     この世で貴様の名が呼ばれるのはこれが最後だ!!」

(  ゚_ゞ゚)「ほぅ……。ではもう一つ質問をしよう。
     仮に今、ある化け物が全身の血液を失って死んだとしよう。
     主を失った化け物の研究室とやらは、果たして今夜、その化け物の物だと言えるのかね?」

独特な言い回しで切り返し、切り返し、切り落とす。
この二人……、同じパンゲアに属しながらとても味方同士とは思えない。
この場で殺し合いでも始めようかという殺気のぶつかり合いが展開されていた。


126 名前: ◆FnO7DEzKDs :2009/04/02(木) 23:18:23.45 ID:3tE35EQZ0
 
( <●><●>)「お楽しみの端を折るようですが……。
        主は『 帰 る 』と言っておられます 」

そこに怪人が割って入った。
一触即発の二人に比べ遥かに少ない言葉。
だが怪人の言葉にある無視できない怪しい魅力は、二人を強制的に縛る。

('、`川 ≪………≫

(  ゚_ゞ゚)「………」

見ればペニサスは卑しい者を見る様な顔で一瞬だけ見降ろし、ワカッテマスの闇のゲートへと姿を消す所だった。
吸血鬼は肩を竦め頭を振った。

(  ゚_ゞ゚)「……ふっ。
      お嬢さんにへそを曲げられては敵わない。
      私は先に失礼するよ 」

たった今まで舌戦から絶戦へ持ち込もうとしていたセントジョーンズを即座に意識の外に追い出す。
本人は恐らく、こうすれば最も相手の怒りを掻き立てる事を分かっている。
吸血鬼オサム・ヴラド・ツェペシュはセントジョーンズを一切気にすることなく魔帝に続き姿を消した。
セントジョーンズも苦虫を噛み潰したような顔をして後に続く。


128 名前: ◆FnO7DEzKDs :2009/04/02(木) 23:20:39.75 ID:3tE35EQZ0
 
退魔師の事などまるで蚊帳の外。
ここに居るのは間違いなく、この世で最強の面々に関わらずまるで意に介していない。

次々と現れ次々と去って行くパンゲアの強力な魔。
今は最初と同じ二人のみが残る。
ここでようやく、パンゲアから退魔師達へと言葉と意識が向けられた。

( <●><●>)「阿修羅。
        後日あなたをお迎えに上がります。
        その時まで御機嫌よう 」

ξ;゚听)ξ「ぅ……く……」

だがそれが意味する所は最早全ての用は済んだと言う事。
一矢も報いる事が出来ないまま、嘲笑うだけ嘲笑い恐怖のみを植え付け去って行こうとする。

だが怯えるツンの身を隠すように立つ姿が三つあった。

(# ^ω^)「何だとコラ……?」

(´・ω・`)「………」

(#'A`)「……出来るもんならやってみろよ 」

パンゲアはその力を見せつける事には成功しただろう。
だが恐怖を植え付けるという面では誤算があった。

……普段馬鹿にされる事に慣れていないこの三人は、今回のパンゲアの態度にブチギレ状態だったのだ。


131 名前: ◆FnO7DEzKDs :2009/04/02(木) 23:23:36.43 ID:3tE35EQZ0
 _、_ 
( ,_ノ` )「内藤ホライゾン。
     裏高野に関係するものは滅ぼす 」

(# ^ω^)「バーカ!! バー───カ!!
      僕とっくの昔に裏高野から逃げてんだお!!
      もう関係ねーお!!」

('A`)「今ちょっと情けないフレーズが混ざってたぞ、ブーン 」

喚き散らすブーンから渋沢は視線を移す。
 _、_ 
( ,_ノ` )「荒巻……」

/ ,' 3 「渋沢……」
 _、_ 
( ,_ノ` )「……」

言葉は少なくとも荒巻と渋沢の間には共通の認識があった。
荒巻は言われずとも渋沢の意図する事は承知していた。

( <●><●>)「……良ろしい 」

怪人が何事かを言ったが聞き取れなかった。
ワカッテマスと渋沢は闇に消えて行く。
後には退魔師達と多くの死体のみが残された。


134 名前: ◆FnO7DEzKDs :2009/04/02(木) 23:26:19.93 ID:3tE35EQZ0
 
(=;-ω-)ノ「……あんな奴らに……勝てるわけが……」

若き天才退魔師にとって初めての経験だったのは、想像を超えた魔との邂逅。
滲み出る強大な力、人が思いつく限りの悪を造作もなくやってのける邪悪さ。
それは魔と言うにもどこか異質であり、神と言ってしまうと諦めに似た説得力があった。

爪'ー`)「おや? 貴方がそんな弱気とは珍しいですね 」

(=;゚ω゚)ノ「だってよぅ、お師匠様……」

気を削がれたぃょぅに優しく声をかけるのは百戦錬磨の老退魔師だ。

フォックスは知っている。
パンゲアの者達は人間達に、そして世界に重く暗く立ち込める暗雲となるだろう。

爪'ー`)「ふふっ。
     ご覧なさい、ぃょぅ。
     彼らはそうは思っていないようですよ 」

フォックスは知っている。
暗闇の中に、たった今少々の光が射した事を。


138 名前: ◆FnO7DEzKDs :2009/04/02(木) 23:30:09.76 ID:3tE35EQZ0
 
(# `ω´)「ムカっときた!! ムカーッと来た!!
       散々人の事をベロッベロに舐めくさりやがって!!
       アイツらぜってー僕がぶっ潰すお!!」

確かに最初はブーンも怖かった。
繕いようなど無く、恥も外聞もなく一途にビビっていた。

だが今のブーンはどうだ。
もう倒す事しか考えていない。
ショボンもドクオもでぃもクーも、……ツンはまだ怯えが抜けてはいないが敵を見定め覚悟を決めた。

(´・ω・`)「おい、ジジィ。魔帝とは一体何者だ?
      アンタらには何らかの因縁があるようだがオレ達にもたった今それが生まれた。
      知ってることを喋ってもらおうか 」

/ ,' 3 「オイオイ。お前さんまでオレのことを年寄り扱いかい?」

あらゆる方向へ根を広げ、大抵の事は知っているショボン。
そのネットワークにも『魔帝』というキーワードは掛からなかった。
ならば知っている者に聞かなければならない。

/ ,' 3 「悪いがショボン、あの女が何なのかはオレにも分からねぇ……。
    遥か昔から人の世の闇に存在し続けてきた魔の集団。
    何千年もの間、影すら掴ませなかったパンゲアの主があの女だってこと以外はな 」

しかし唯一魔帝を知る荒巻から帰ってきた答えも確定的ではない。


141 名前: ◆FnO7DEzKDs :2009/04/02(木) 23:34:49.27 ID:3tE35EQZ0
 
(´・ω・`)「正体は文字通り闇の中か。
      面白い。オレが暴いてやろう。
      だが方向性は決めた方が良いか……」

敵意を向けるべきパンゲアの者達は去って行った。
それを誤魔化すような言い方。 
ショボンは荒巻に魔帝との戦いの全貌を促す。
    
/ ,' 3 「あの女……。
    妙〜な術を使いやがった。
    何かの名を呼ぶんだ。『ブエル』だとか『ボティス』だとか。
    その度に何つーか……質が変わるんだよ。魂のな 」

川 ゚ -゚)「『ブエル』に『ボティス』だと……?
     それにあの女は『アモン』の名も口にした。
     と、なると…… 」

/ ,' 3 「……心当たりがあるのかぃ?」

小さな妖精から強大なる魔神まで……。
デビルサマナーはその性質上あらゆる魔に精通している。
荒巻が口にしたいくつかのヒントを元にクーが何かを掴んだ。


146 名前: ◆FnO7DEzKDs :2009/04/02(木) 23:39:47.42 ID:3tE35EQZ0
 
川 ゚ -゚)「『ソロモン七十二柱の悪魔』 」

厳かに、そして慎重にそれを告げる。
だがクーには一つ気になる所があった。

川 ゚ -゚)「私の一族にもソロモンの悪魔を使役した者は大勢いた。
     だがあれはデビルサマナーとは到底思えない。
     あの女が見せたアモンの翼……。
     まるであの女の体の一部のようだった 」

魔そのものを呼び出し共に闘うデビルサマナーとは一線を画す。
それに荒巻が言っていた『魂の質が変わる』とは……?

/ ,' 3 「あの女は次々と何かの名を呼んでは手を変え品を変え攻撃してきた。
    終わりなんかねぇんじゃねぇかってくらいにな 」

荒巻は話ながら歩く。
その先にはツン。
ツンを見るとき、荒巻は決まって優しい顔をする。この時も。

/ ,' 3 「オレも他の奴らも善戦はしたが、一人、また一人とやられていき……。
    最後に残ったのはオレと『阿修羅』だけだった 」    

ξ;゚听)ξ「おじいちゃん阿修羅を知ってるの!?」


149 名前: ◆FnO7DEzKDs :2009/04/02(木) 23:42:06.81 ID:3tE35EQZ0
 
/ ,' 3 「そうだよ、嬢ちゃん。
    お前さんは初めてオレを見た時から何か感じなかったかぃ? 」

弾けるように反応したツンの恐怖に疲弊した心を包むように優しい顔をした。
そして悲しい顔をする。
荒巻はこれから阿修羅との別れについて話さなければならないからだ。

/ ,' 3 「そして遂に魔帝はあの名を呼びやがった。
    忌々しくて吐き気がすらぁな。
    ……『アモン』の名をな 」

今や誰もが荒巻の言葉に耳を傾け、呼吸する事さえ罪かと感じた。

/ ,' 3 「オレは何とかあいつのアモンをぶちのめしてやった。
    奴にとってもアモンが破れるとは誤算だったんだろう。
    血相変えて帰って行きやがった 」

悲しい顔の中に少しだけ誇らしげな表情が入り混じった。
しかしそれは無理やりねじ込んだ表情に過ぎない事は誰の目にも明らかだった。
そのため、逆に荒巻の悲哀を増大させる結果となる。

/ ,' 3 「だがあの様子を見るともう復活させちまったらしいやwww。
    色んなモンを代償にしちまったってのによ。
    昔の仲間も、オレの守護神だった孔雀明王も……、それに阿修羅もな 」


151 名前: ◆FnO7DEzKDs :2009/04/02(木) 23:43:43.49 ID:3tE35EQZ0
 
(; ^ω^)「お師匠様の守護神が……」 

(=;゚ω゚)ノ「……居ない?」

爪;'ー`)「荒巻さん……」

それは裏高野の退魔師にとって致命的と言って決して過言ではなかった。
真言、印、そして守護神。
密教の真髄はこの三つの合致が不可欠だからだ。

最強の退魔師が既に片翼をもがれているという事実。
退魔師達の心に重く圧し掛かる。

ξ--)ξ「阿修羅……やられちゃったのね……」

自分の中に居るという阿修羅。
これまでに何度も助けてもらった者が過去に殺された。
そんな話を聞いて心境が穏やかではいられるはずもない。

/ ,' 3 「おいおいおいおいwww おいおいおいwww」

ところが過去に最も辛い思いをした老人が、今最も明るい顔をした。


155 名前: ◆FnO7DEzKDs :2009/04/02(木) 23:45:36.36 ID:3tE35EQZ0
 
/ ,' 3 「オレはなぁ、法力が使えなくなったわけじゃねぇ。
    言っとくが弱くなったどころか多分昔より今の方が強ぇぜ?
    それにな、ホライゾン!!ぃょぅ!! 若いお前さん達もいる 」

( ^ω^)「お師匠様……」 

(= ゚ω゚)ノ「………」

荒巻はパンゲアの実力者達を見た後も決して悲観してはいない。
彼自身はこう思っている。
こちらの戦力は劣ってはいないと。

/ ,' 3 「それに嬢ちゃん。
    阿修羅は死んだがまた戻ってきた。
    パンゲアに力を狙われちゃいるが、だから逆に倒すチャンスも出来た 」

ξ゚听)ξ「おじいちゃん……」

ツンは荒巻が阿修羅と呼ぶ度に優しい顔をする事に気付いた。
この老人と阿修羅。
二人の間に特別な感情があっただろうという事は想像が付く。


156 名前: ◆FnO7DEzKDs :2009/04/02(木) 23:47:25.81 ID:3tE35EQZ0
  
/ ,' 3 「ショボン、ドクオ、クー、ジョルジュ、でぃ。
    お前さん達もこの歳まで生きてきたオレが見た中で十指に入る実力者だ。
    ビビるこたぁねぇ!! やってやろうぜぃ!!」

(´・ω・`)「当然だ 」

川 ゚ -゚)「私はショボンに付いて行くだけだ 」
∧_∧
(*゚;;-゚)「言われるまでもない。
    ワシはあの男を殺さねばならん……」
  _
( ゚∀゚)「あんな化け物とやらせようってんだから、当然お代は弾んでもらうわよwww」

それぞれにそれぞれの思いがある。
まずは情報をと早くもその方法を逡巡するショボン。
ショボンの腕に抜け目なく身を寄せるクー。
でぃは千年の恨みを晴らす気でいたし、オカマは頭の中で算盤を弾いた。

('A`)「オレは……」

そしてドクオはある考えに辿り着く。
彼は自分がこの中で最も『弱い』事を知っている。

……だが決して逃げ出す訳にはいかない事も知っている。


158 名前: ◆FnO7DEzKDs :2009/04/02(木) 23:49:16.98 ID:3tE35EQZ0
 
/ ,' 3 「パンゲアとの決着は近いうちに必ず来るだろう。
    それまでは準備しなきゃなるめぇよ。
    ……今は帰ってゆっくり休めよ、お前さん方 」


───月下の怪人 ワカッテマス

───宵闇の炎 渋沢

───中世の錬金王 セントジョーンズ

───始祖 オサム・ヴラド・ツェペシュ


そしてパンゲアの主、魔帝 ペニサス───。


魔帝が使う『アモン』とは、ソロモン七十二柱の悪魔、第七位の魔王。
しかし七位にして最も頑強な者。
アモン(AMON)とはデーモン(DEMON)の語源とする説もあり、
それによるとあらゆる悪魔はアモンただ一つを意味するとも言われる。

多くの神話、伝説、伝承にアモンであると思われる者は登場する。

古代エジプトに現れたアモンは、最高神アモン・ラーとして絶大な力を振るったという……。


160 名前: ◆FnO7DEzKDs :2009/04/02(木) 23:51:15.48 ID:3tE35EQZ0
 
(#'A`)「荒巻のじいさん!!」

不意に叫ぶドクオの目には一つの決意。
その決意を成就させてくれるのは一人しかいないと思った。
だからこそ荒巻の名を呼んだ。

/ ,' 3 「……何だい?」

探る様にドクオの顔を見る。
荒巻は思った。
あぁ、これは何か大切な事を決めた男の顔だと。

('A`)「ブーン、ショボン、お前らも聞いてくれ 」

( ^ω^)「何だお? 帰ってからじゃダメなの?
      僕もう疲れてんだけど 」

(´・ω・`)「……聞こうか 」

ドクオは言葉を出そうとしたが一度飲み込む。
一度は二度に、二度は三度に。
何回か同じ努力をした後、自らを奮い立たせるように拳を握った。

('A`)「オレは弱い。
    実感したんだ。お前らについて行けそうもない 」


162 名前: ◆FnO7DEzKDs :2009/04/02(木) 23:52:58.70 ID:3tE35EQZ0
 
(; ^ω^)「ドクッ!! 一体何を言うつもりなんだお!?」

ブーンが思ったのは考えたくもない事。
──即ちドクオの離脱。
焦るブーンだがドクオに動揺はない。

/ ,' 3 「んなこたぁねぇよ。
    魔帝の足切りにもお前さんは引っかからなかった。
    お前さんは強い 」

(#'A`)「ブーンやショボンに比べたら弱い!!」

荒巻の擁護を一気に否定した。
優しい言葉など要らないという揺るぎない信念だった。

/ ,' 3 「ほぅ……」

結果、荒巻はドクオを過小評価していた事を悟る。

ブーンやショボンほどではないにしても強い事は認めていた。
だがドクオの強さは戦闘能力だけではなかった。
自分の実力と立ち位置を受け入れる心の強さも兼ね備えていたのだ。


165 名前: ◆FnO7DEzKDs :2009/04/02(木) 23:54:11.35 ID:3tE35EQZ0

 
('A`)「荒巻のじいさん!!
    一生の頼みだ!!」

ドクオは両膝に手を突き、腰を畳み、深々と頭を下げた。

('A`)「オレを叩き直してくれ……下さい!!
    ……頼む……。オレはコイツらの足手まといにはなりたくねぇんだ……」

最後の呟きは誰にも聞こえなかった。
だがドクオの真の気持ちはこれだった。

(; ^ω^)「ちょっと待てお!!
      稽古だったら僕が出来るお!!」

(´・ω・`)「………」

ブーンにとっては不意打ちに違いない。
十分に心の準備をして話し始めたドクオとは違うのだ。

('A`)「ブーン!! ショボン!!
    いつかの借りを返すにはまだ全然足りねぇ!!
    だがこのままじゃいけねぇんだ!!
    頼む!! やらせてくれ!!」

いつか泣きながらバーボンハウスに飛び込んできたドクオ。
何も知らなかったドクオはいつの間にか退魔師となり、欠かせない戦力となった。
……そしてブーンにとって、ショボン以外では初めて親友と呼べる存在にもなった。


166 名前: ◆FnO7DEzKDs :2009/04/02(木) 23:55:30.61 ID:3tE35EQZ0
 
(´・ω・`)「……もう決めたんだな?」

('A`)「あぁ 」

(´・ω・`)「お前にいくら貸してるか分かってるんだろう?
      遅れれば法外な利子をふっかけるぞ。
      言っておくがモナー財団党首のオレには、法律なんか関係ない 」

('A`)「何十年かかっても返すさ!!」

ショボンは笑った。
誰にでも分かる笑顔を見せたのは久し振りな気がした。

(´・ω・`)「行けよ。
      とことんやって気が済んだら帰ってくれば良い 」

(; ^ω^)「ショボン!!」

(´・ω・`)「聞き分けるんだ、ブーン。
      こんなクソ弱いヤツに最後まで付いて来られたら面倒だからな 」

('∀`)「ヘッ!! 言ってくれるぜ 」

ブーンは何か言いたげだったが、ドクオの思いを真正面から受けるとこれ以上は無駄だと悟った。
ドクオに居て欲しいというのも自分の我儘だと悟った。


169 名前: ◆FnO7DEzKDs :2009/04/02(木) 23:57:24.53 ID:3tE35EQZ0
 
/ ,' 3 「こらこらこら。
    オレに頼み込んどいてオレの事は無視かぃwww 」

その言葉でドクオはバツが悪そうに頭を書く。
荒巻に拒否されればこの話は全く進まないのだ。

/ ,' 3 「いいぜぃ。
    修行にゃ丁度良い所がある。
    ただな……」

荒巻は陽気に承諾する。

/ ,' 3 「アイツはくそ真面目だからなぁwww。
    融通も効かねぇし半端な修行にゃならねぇぜぃwww」

(;'A`)「お……おぅ。願ってもないぜ……」

何より恐ろしいのは、荒巻が悪戯小僧のように目を輝かせていることだ。
不穏な気配を感じつつ、ドクオは荒巻に連れられて行く。


次にこの全員がそろうのは最終決戦。

強い思いをそれぞれの胸に、
退魔師達は再び共に闘うことを約束し、それぞれの場所に帰って行った。

  △  ▼  △  ▼  △  ▼  △  ▼  △  ▼  △  ▼  △  ▼  △  ▼


171 名前: ◆FnO7DEzKDs :2009/04/02(木) 23:58:15.54 ID:3tE35EQZ0
 
  ▽  ▲  ▽  ▲  ▽  ▲  ▽  ▲  ▽  ▲  ▽  ▲  ▽  ▲  ▽  ▲

('A`)「で? 何処に連れってってくれるんだ?」

/ ,' 3 「ふっふっふwww……中国www 」




             ( ^ω^)ブーンは退魔師稼業のようです━╋RETURNS━━

        ――――第二章・臨界突入!!立ち込める暗雲、少々の晴れ間――――



                     〜その3、魔帝降臨〜終






173 名前: ◆FnO7DEzKDs :2009/04/02(木) 23:59:19.72 ID:3tE35EQZ0
長ぇぇぇぇぇぇぇぇ……


ここまで支援ありがとうございました。


だがまだだ……まだ終われんよ……


180 名前:おまけ ◆FnO7DEzKDs :2009/04/03(金) 00:01:38.73 ID:QtvglMnk0
 
(#゚ー゚)「あ〜あ〜あ〜。面白くねぇ 」

(; ゚∋゚)「う〜ん……。今日はまた一段と……」

(;゚д゚ )「うん……。機嫌悪いな……」

(; ゚∋゚)「原因は……言うまでもないか 」

(;゚д゚ )「……ペニサスだろうな 」

(#゚ー゚)「あ〜、ケツの穴から右腕突っ込んで奥歯ガタガタ言わせてやりてぇ……作者 」


182 名前:おまけ ◆FnO7DEzKDs :2009/04/03(金) 00:02:57.57 ID:QtvglMnk0


                       ヘ(*゚ -゚)ヘ おい!!
                         | ∧  
                      /  /
                (*゚ -゚)/ 今日という今日は
                /(  )    言わせてもらうぞ
      (゚- ゚*) 三  / / >
 \     (\\ 三
 (/-゚)  < \ 三 
 ( /
 / く  私 の 返 り 咲 き は ?
      


───→おまけのようです




185 名前:おまけ ◆FnO7DEzKDs :2009/04/03(金) 00:03:52.46 ID:QtvglMnk0
 
(#゚ー゚)「それにしてもそもそも何なのよ『ペニサス』って。
     危うくペニスじゃないのよ。
     女なのにペニスってなんなのよ。
     ふたなりか?ふたなりなのか?ペニス野郎なのか?」

(; ゚∋゚)「しぃさん!!
      女の子がちんこちんこ言っちゃいけませんって!!」

(#゚ー゚)「ちんことか言ってへんわ!! 
     ワシゃペニスとしか言ってへんわ!!」

(  ゚∋゚)「そうか。ペニスならセーフですよね 」

(#゚ー゚)「公共の掲示板でちんことか言うなこの雀野郎!!」

(; ゚∋゚)「え〜〜〜〜〜!!」

(;゚д゚ )。o ○(あぁ……!!
          しぃさんの小さくて薄いピンクの唇から卑猥な言葉が次々と……はぁはぁ……)


187 名前:おまけ ◆FnO7DEzKDs :2009/04/03(金) 00:05:06.94 ID:QtvglMnk0
 
(*゚ー゚)「ところでさ〜ぁ?
     ホントにペニサスってどんなキャラなのよ?」

(  ゚∋゚)「そういえばそうっすね。
      決まった型がないというか」

(*゚ー゚)「ミルナ!! リサー───ッチ!!」

(*゚д゚ )「え!? 今また卑猥な言葉を!?」

(*゚ -゚)「言ってねぇよ。ペニサスについて調べてこい 」

(*゚д゚ )「はっ、ハイ!!(またペニスって言った!! あぁん!!)」


・・・・・・

・・・・

・・・ 


190 名前:おまけ ◆FnO7DEzKDs :2009/04/03(金) 00:06:28.28 ID:QtvglMnk0
 
(*゚ー゚)「あ〜、肩凝ってんなぁ。
     クックル、揉んで 」

(  ゚∋゚)「え? あぁ、良いっすよ。
      ……おっと、しぃさん凝ってますねぇwww」
モミモミモミモミ
(*゚ー゚)「くぉぉぉぉ……そこそこそ……こ……。
     最近運動不足かしらね。水泳でもしようかしら 」
モミモミモミモミ
(  ゚∋゚)「泳ぐんだったらいいとこありますよ!!
      僕が行ってるジムにプールありますから 」     
モミモミモミモミ
(*゚ー゚)「……安い?」
モミモミモミモミ
(  ゚∋゚)「まぁ、そこそこっすかねぇwww」

( ゚д゚ )「ただい……」
モミモミモミモミ
(*゚ー゚)「………」
モミモミモミモミ
(  ゚∋゚)「………」
モミモミモミモミ
( ゚д゚ )「………」
モミモミモミモミ
(*゚ー゚)「………」
モミモミモミモミ
(  ゚∋゚)「………」


192 名前:おまけ ◆FnO7DEzKDs :2009/04/03(金) 00:08:11.91 ID:QtvglMnk0
 
( ;д; )「ぶるぁぁぁぁぁぁぁ!!」

(; ゚∋゚)「違うんだミルナ!! これは断じて!!」

( ;д; )「お前!!
      オレがしぃさんの言いつけを忠実に遂行してる間に!! 間に!!
      ……しぃさんをレイプするなんて!!」

(; ゚∋゚)「よく見ろミルナ!!
      オレはしぃさんの肩を揉んでるだけだろ!?な!?」

( ;д; )「節くれ立ったごつい指で、しぃさんの華奢で白い肩を嬲ってる!!」

(*゚ -゚)「黙れ。話が進まない 」

( ゚д゚ )「はい 」

・・・・・・

・・・・

・・・ 


195 名前:おまけ ◆FnO7DEzKDs :2009/04/03(金) 00:09:32.66 ID:QtvglMnk0
 
( ゚д゚ )「というわけで、ペニサス伊藤についてナギさんとこ行って調査してきました 」

  ('、`*川

  通称 : ペニサス
  これといって特徴がないのが特徴
  知的なお姉さんみたいなポジションだが、Mっ気があるとかいう噂もある

(  ゚∋゚)「う〜む。やはりこれといって掴み所は無い……あれ、しぃさん?」

(* - )「天然ボケのようで割と計算高かったり、小悪魔的な要素も
     ギコとのカップリングが王道らしい……」

(*゚д゚ )「しぃさん!! オレ、しぃさんのために頑張ったよ!!」

(* - )「大半の小説においてヒロインを務める
     普段はツンツンしてるがたまに見せるデレっぷりが可愛い 」

(* - )「準ヒロイン
     ツンデレとは対極な性格で、素直だが態度は至ってクール。
     まさにクールビューティー」

(*゚д゚ )「しぃさんしぃさんしぃさん!!」

(#゚ー゚)「うるせぇ。黙れ 」

( ゚д゚ )「はい 」


196 名前:おまけ ◆FnO7DEzKDs :2009/04/03(金) 00:10:43.17 ID:QtvglMnk0
 
(*゚ー゚)「はぁ〜。やっぱりツンとクーが強いのね……」

(  ゚∋゚)「しぃさん……。今日はいつになく弱気だな。
      おい、ミルナ。これはチャンスだぞ 」

( ゚д゚ )「あぁ。分かってる。分かってるぜクックル 」

(  ゚∋゚)「ここで男らしくしぃさんに優しく───」
( ゚д゚ )「普段強気なしぃさんが奇跡的に見せた弱さを激写して永久───」

(  ゚∋゚)「………」

( ゚д゚ )「………」

(  ゚∋゚)「……お前ダメだわ」

( ゚д゚ )「……うん。じゃないかと思ってた 」

(* ー )「……呪い殺すか?」

(  ゚∋゚)「ダメですしぃさん。そのポジションは貞子がガッチリキープしてます 」


198 名前:おまけ ◆FnO7DEzKDs :2009/04/03(金) 00:12:08.77 ID:QtvglMnk0
 
(//‰ ゚)「こんなとこで会うなんて偶然ですねー!!
      ホラ!!皆さんに紹介しますからどうぞ!!」

(::::::::川 「はぁ〜、けったいな顔した人に捕まってしまったべ……
      父ちゃんの言う通りだぁ。都会はまんずおっとろしいとこだべさぁ……」

(*゚ー゚)「あら、イボちゃん。
     遅かったわね。仕事?」

(//‰ ゚)「しぃさん!!
      いやぁ〜、実はそうなんですよ。
      何と海外ロケ貰っちゃいまして、さっきボストンから帰ってきた所です!!」

(* - )「ボス……トン……?」

(; ゚∋゚)「コラ、イボ太郎!! ちょっとは考えろ!!
      しぃさんその後、ニューヨークロケがあると思って自慢しまくってたのにリストラされたんだぞ!!

(;゚д゚ )「よし!! とりあえずその話は後でオレ達が聞くからなっ!!
      ところで今日は誰連れて来たんだ?」

(//‰ ゚)「そうでした!!
      そこでたまたま風呂敷担いだ彼女を見つけまして……」

('、`;川 「ひっ……」

(//‰ ゚)「魔帝です 」


200 名前:おまけ ◆FnO7DEzKDs :2009/04/03(金) 00:13:48.65 ID:QtvglMnk0
 
(#゚□゚)「このど素人がぁぁぁぁぁぁー───!!」

('、`;川 「ひぃぃっ!!」

(; ゚∋゚)「あぁー!! このイボ太郎!!
      お前は何でいつもいつも変なの見つけてくるんだよ!!」

(//‰ ゚)「センス……ですかね?www」

(;゚д゚ )「しぃさん!! しぃさん落ち着いて!!」

(#゚ー゚)「負けるもんか!!
     あとから出来たAA共なんかに負けるもんか!!」

・・・・・・

・・・・

・・・ 


205 名前:おまけ ◆FnO7DEzKDs :2009/04/03(金) 00:15:35.71 ID:QtvglMnk0
 
(; ゚∋゚)「で、ペニサスさん。
      今日はどうしたのかな? そこのイボ太郎に拉致されちゃったみたいだけど?」

('、`;川 「ぅぅ………」

(#゚ー゚)「もうさっさと返しちゃえば〜?
     何か様子もおかしいし〜?」

(;゚д゚ )「それが良いみたいですね。
      イボ太郎。ペニサスさんをお連れしなさい 」

(//‰ ゚)「皆さんがそう言うなら……。じゃ、行きましょうか?」

('、`;川 「ぅ……ぁの……」

(//‰ ゚)「どうしました?」

('、`;川 「こっここ……腰が抜けて、オラ立てねぇんだぁ〜 」

(; ゚∋゚)「っ!?」

(*゚ー゚)「……かっぺ?」

(;゚д゚ )「これは……意外なキャラで来たな……」


207 名前:おまけ ◆FnO7DEzKDs :2009/04/03(金) 00:17:32.87 ID:QtvglMnk0
 
('、`;川 「あ〜父ちゃん〜、オラが間違ってただぁ。
      こぉんなむさっ苦しい村なんかとっとと出て、都会さ行ってビッグんなる〜なんて大口叩いたけど……。
      もう得体の知れん人さ捕まっでどこぞに売り飛ばされるんだぁ!!」

(*゚ー゚)「これはこれでまたメンドクサイわね。
     クックル、早く誤解を解いて帰らせなさい 」
      
(; ゚∋゚)「あ〜、ペニサスさん?」

('、`;川 「ひぃぃぃぃぃっ!!筋肉モリモリの鳥が喋ったぁ!!
      これは山の神様がお怒りだべ!!
      ナンマンダブナンマンダブ……どうか怒りを鎮めてくんろ……」

(; ゚∋゚)「しぃさん!! オレ警戒されまくってます!!」

(#゚ー゚)「ったく使えないわね……。
     ペニサス? 別に取って食ったりしないから安心して帰りなさい 」

('、`*川 「あんれ……良く見るとオメぇ様……」

(*゚ー゚)「ん? 私?」

('、`*川 「どひゃぁー!!
      オメぇ様、もしかしてしぃさんかぁ?」

(;゚ー゚)「え?そうだけど……」


212 名前:おまけ ◆FnO7DEzKDs :2009/04/03(金) 00:20:35.44 ID:QtvglMnk0
 
('、`*川 「やっぱり本物のしぃさんだべ〜!!
      あんの〜、いっつも応援してます〜。
      オラ、オメぇ様の大フアンなんだぁ〜!!
      オメぇ様主演の作品のパンフレットもこんなに沢山 」

(; ゚∋゚)「これは……」

(;゚д゚ )「確かにしぃさん全盛期のだけど……」

(//‰ ゚)「全部フラッシュですね。化石だなぁwww」

('、`*川 「オラの村は村に一台しかパソコンが無くてよォ。
      毎晩集まってはオメぇ様のフラッシュ見てたんだぁ。
      村の子供達はみぃんなオメぇ様に憧れてんだぁ 」

(* - )「ペニサス……」

(; ゚∋゚)「これはマズイ!!」

(;゚д゚ )「あぁ!! マズイぞ!!
      しぃさんは昔の事が話題に出ると歳がバレルから切れちまうんだぁっ!!」

(#゚□゚)「ペニサー───ス!!」

(; ゚∋゚)(;゚д゚ )「「危ないっ!!ペニサー───ス!!」」


215 名前:おまけ ◆FnO7DEzKDs :2009/04/03(金) 00:22:22.75 ID:QtvglMnk0
 
(*゚ー゚)「よくぞ……よくぞ私の前に現れましたね 」

(; ゚∋゚)(;゚д゚ )「「あれ?」」

(*゚ー゚)「辛い旅だったでしょう。
     さぁ、ゆっくりお休みなさい 」

('、`*川 「あぁ、しぃさんはめんこいべ〜。 
      観音様のようだべさ。ありがたやありがたや〜 」

( ゚∋゚)「さて、これはどういうことだろう?
      ミルナ、オレ達が知ってるしぃさんはどんなだった?」

(*゚д゚ )「クソ可愛い……」

( ゚∋゚)「コイツはダメか。
     イボ太郎、お前から見たしぃさんはどうだった?」

(//‰ ゚)「自称ブーン系最強ヒロインで、自分以外の女性AAは皆死ねばいいと思ってます 」

( ゚∋゚)「……これは確実に裏があるよな 」

(//‰ ゚)「ありますね 」

(*゚д゚ )「僕の気持ちには裏はありません……」


218 名前:おまけ ◆FnO7DEzKDs :2009/04/03(金) 00:24:13.44 ID:QtvglMnk0
 
(*゚ー゚)「ところでペニサスさん。ちょっといいかしら?」

('、`*川 「なんだべ?」

(*゚ー゚)「あなたどうやら本編でラスボスになっちゃってるみたいだけどどうやったの?」

('、`*川 「オラにも良くわがんねぇんだぁ。
      風呂敷担いで田舎から出てきたんだども、右も左もわがらんくて困ってたら声掛けられただ。
      恐る恐る付いてったらドーラン山ほど塗られて着替えさせられて……」

(*゚ー゚)「分かってるわ。残りはCGと声優さんね 」

('、`*川 「流石、一流の女優さんはわきまえてんだなぁ〜。
      オラ、初めての事でなんもわがらんでされるがままだったべ 」

( ゚∋゚)「どうやらペニサスのハートは……」

(//‰ ゚)「ガッチリ掴んだみたいですね 」

(*゚д゚ )「僕のハートもガッチリ掴まれっぱなしです……」


220 名前:おまけ ◆FnO7DEzKDs :2009/04/03(金) 00:26:00.04 ID:QtvglMnk0
 
(*゚ー゚)「で、ペニサスさん。
     田舎娘の貴方をいきなりラスボス抜擢だなんて、きっと作者は貴方を気に入ってるわ。
     だからこう言ってほしいのよ……」

('、`*川 「なんだべ?」

(*゚ー゚)「『真のラスボスってのが流行ってるみたいだべ』
     簡単でしょ?」

('、`*川 「そったらことで良いだか?
      お安い御用だべさぁ 」

(; ゚∋゚)「狙ってやがったぁー──!!」

(//‰ ゚)「どんな些細なチャンスも見逃さない。何が影響するか分からない。
      バタフライエフェクトですね。
      ちなみに作者は今、バタフライエフェクト見ながらの投下です 」

(*゚ー゚)「ふふふ……ではペニサスさん。
     ちょっとあっち行って話しましょうか……ふふふ 」

('、`*川 「はいは〜い 」 


222 名前:おまけ ◆FnO7DEzKDs :2009/04/03(金) 00:27:21.66 ID:QtvglMnk0
 
( ゚∋゚)「……行ってしまわれた……。
     果たしてしぃさんが本編に返り咲く事はあるのだろうか?
     前回ちらっと触れてたレギュラー返り咲きのAAとはしぃさんなのだろうか?」

(//‰ ゚)「違うんじゃないですか。だって……」
 
( ゚∋゚)「だって?」

(//‰ ゚)「ハインさんとギコさんが来てないじゃないですか。
      次の話の撮影してるんじゃないですかね?」

(; ゚∋゚)「え?……じゃ、しぃさんやっぱり駄目なの?」

(//‰ ゚)「ダメでしょう 」

(; ゚∋゚)「そうか……ダメか……」



223 名前:おまけ ◆FnO7DEzKDs :2009/04/03(金) 00:29:24.99 ID:QtvglMnk0





            続 く 
      









            続 く 
      






225 名前:おまけ ◆FnO7DEzKDs :2009/04/03(金) 00:30:59.51 ID:QtvglMnk0
 
(,,゚Д゚)「うぉ!!やべ、間に合わなかった!!」

从 ゚∀从「あちゃ〜www やっちまったなぁwww」

(,,゚Д゚)「まぁ、仕事はやっとこうぜ。
     今日は元ネタ解説が多いからな 」

从 ゚∀从「うぇ〜いwww」

(,,゚Д゚)「(《・>ω<・》)ネフィリム。
     旧約聖書の『創世記』や偽典『ヨベル書』などに登場する巨人。
     『( ゚W゚)ブーンは悪魔憑きとなったようです』より友情出演。
     ちなみにAAは『( ^ω^)ブーンが戦い、川 ゚ -゚)クーが護るようです』の
     最終決戦に出てくる生物の方を使わせていただきました 」

从 ゚∀从「『大日如来』
      若き退魔師ぃょぅの守護神。
      密教における最高神で大日如来を守護神とする者はあらゆる法力を使いこなせる 」

(,,゚Д゚)「『孔雀』
     原作『孔雀王』の主人公。
     ジジイにして勝手に魔帝に負けた事にするという原作レイプ。
     ごめんちゃい 」

从 ゚∀从「('、`川 『魔帝ペニサス』
      ラスボスは女キャラにしようと決めて幾星霜。
      満を持してようやく登場。
      彼女とソロモンの悪魔との関係はいかに!?」


227 名前:おまけ ◆FnO7DEzKDs :2009/04/03(金) 00:33:35.91 ID:QtvglMnk0
  
(,,゚Д゚)「(`・ω・´) シャキンと 从'ー'从 渡辺さん。
     第一部のフラグを遂に回収。
     シャキンについては第二話から。
     この二人を覚えてる貴方はディープ大麻厨 」

从 ゚∀从「(’e’) 中世の錬金王 セントジョーンズ。
      数えてみた結果、数人中ボスが必要だった事が判明。
      テコ入れで生まれた中ボス。
      ついでにあるアイテムに関係を持たせてみたのだが……
      >>112 おめでとう!! ディープ大麻厨の称号を手に入れたぞ!!」

(,,゚Д゚)「(  ゚_ゞ゚) 始祖 オサム・ヴラド・ツェペシュ。
     一方こっちは最初から出す予定だった中ボス。
     棺桶死オサムですが、便宜上棺桶から引っ張り出しましたwww。
     吸血鬼です。大麻の吸血鬼と言えばあの兄弟……」

从 ゚∀从「ドクオ中国へ。
      誰の所に行ったかは、原作読んだ事があれば分かるけど…… 」

(,,゚Д゚)「と、まぁこんなもんか。
     じゃハイン。予告いこうか 」

从 ゚∀从「おk www」


229 名前:予告 ◆FnO7DEzKDs :2009/04/03(金) 00:35:04.02 ID:QtvglMnk0
 
昔々、中国が元と呼ばれていた時代。

イタリア人の商人が王様にこう言いました。


マルコ・ポーロ「その国の宮殿では、屋根はすべて黄金でふかれており、その価格はとても評価できません。
         宮殿内の道路や部屋の床は、板石のように、4cmの厚さの純金の板をしきつめています。
         窓さえ黄金でできているのですから、この宮殿の豪華さは、まったく想像できません 」


王様はあっという間に食いつきました


フビライ「して、その国の名はなんと申すか!?」




───( ^ω^)ブーンは退魔師稼業のようです━╋RETURNS━━


    


        新 章 突 入 !!



233 名前:予告 ◆FnO7DEzKDs :2009/04/03(金) 00:37:35.04 ID:BBKZjS/S0
 
───主人公は……



(# ´_ゝ`)「マルコの野郎……
      何が黄金の国だよ……」

(´<_` )「父者の友人だぞ兄者?
      話半分でもお釣りがくる 」



───この二人!!




1542年。

ルーマニアから二人の吸血鬼が日本に上陸した───。


236 名前:予告 ◆FnO7DEzKDs :2009/04/03(金) 00:40:29.92 ID:BBKZjS/S0
 
時は戦国時代。

数々の猛者達が己が天下を築かんと強い輝きを放っていたその時代。
数多の英雄達が力を力でねじ伏せ合うその中に、闇は昏々と存在した。

                      フリークス
(´<_` )「彼らは人間じゃない!! 化け物だ!!」

応仁の乱以降、百年続いた戦国の闇は深く深く亀裂を覗かせていた。

しかし……

( ´_ゝ`)「フリークス?
      弟者、今コイツらをフリークスって言ったのか?」

この時代に彼らが来たのは……

( ´_ゝ`)「何だよ、そう言う事は早く言ってよ、弟者。
      この国じゃどうか知らんがな、吸血鬼ってのは……」



──フリークスの中でも極上の部類に入るのよ── 



……天啓かもしれない。


238 名前:予告 ◆FnO7DEzKDs :2009/04/03(金) 00:42:23.95 ID:BBKZjS/S0
((
目´_ゝ`)「この国はもう随分前からおかしくなっちまってる。
      今川だけじゃねぇ。
      他でもいつの間にか化け物の類が国を治めてんだ。
      笑えるだろ?」

兄弟に瓜二つの小大名。
その志は高く、人の手に人の世を取り戻さんが為に兵を上げる。 


∫λノ゚ -゚リ「”のすへらと”? もしやお主、伴天連の魔物か!?
       そうかそうか!! それは遠いところよくぞ参った!!」

兄弟が出会った美しき剣士。
悪魔召喚師、五代目・葛葉ライドウ!!



239 名前:予告 ◆FnO7DEzKDs :2009/04/03(金) 00:44:02.52 ID:BBKZjS/S0
 
( ´_ゝ`)「テメぇの敗因はたった一つ。
      たった一つのシンプルな答えだぜ……」

(´<_` )「貴様は私達を……」





          『 怒 ら せ た ・ ・ ・ 』





          ( ^ω^)ブーンは退魔師稼業のようです━╋RETURNS━━

             ――――第三章・或る兄弟の東方見聞録――――


                       〜その1、ジパング〜




241 名前:おまけ ◆FnO7DEzKDs :2009/04/03(金) 00:45:18.18 ID:BBKZjS/S0
 
(,,゚Д゚)「なお、第三章は
     『吐き気をもよおすほどのジョジョネタ』
     『クサレ脳味噌かと疑う程の著しい歴史歪曲』
     ……が含まれておりますのでご注意ください 」

从 ゚∀从「ビークールな www」


(,,゚Д゚)「それでは」

从 ゚∀从「みなさん 」


(,,゚Д゚)ノシ 从 ゚∀从ノシ「「またね〜 」」


       終わり


244 名前: ◆FnO7DEzKDs :2009/04/03(金) 00:47:58.46 ID:BBKZjS/S0
長い時間お疲れさまでした

沢山の支援、ありがとうございました

じゃ、寝よう。な?

inserted by FC2 system