55 :愛のVIP戦士:2007/02/07(水) 02:22:54.04 ID:z8MDhwJsO
( ´_ゝ`)「おはようブーン。いつもはギリギリなのに今日は早いな」
( ^ω^)「おはいお。実は昨日からVIPに部屋を借りる事にしたんだお」
( ´_ゝ`)「ほう、何故?」
(;^ω^)「フリーの日は当たり前、依頼がある日でさえも帰還後に訓練が待ってるお。
帰る時間があればその分寝たいお。今日はたまたま早く起きちゃったけど、明日からはもうちょっと寝てられるお。
兄者はいつもこんなに早い時間に来てるのかお?」
( ´_ゝ`)「いや、俺もブーンと同じくたまたまだ。
しかしその発想はなかった。俺も部屋借りるか…」
( ^ω^)「頭を使わないとこの激務は耐えられないおw」
 
得意気に己のこめかみ辺りをつつくブーン。
そこに欠伸を噛み殺しながらツンがやってくる。彼女の朝は早く、帰りは遅いので普段ブーンたちが目にするツンはパイロットスーツを身に着けていた。
パイロットスーツのツンはしごきの鬼というイメージが定着しつつあったので、彼女のスーツ姿は非常に新鮮だ。


56 :愛のVIP戦士:2007/02/07(水) 02:23:33.91 ID:z8MDhwJsO
ξ*゚听)ξ「あら、随分早いわね。どういう風の吹き回しかしら?」
 
二人を発見すると驚きのあまり目を丸くする。
 
(*^ω^)「おはいお。今日のツンはなんだか綺麗だおwwwwww」
( ´_ゝ`)「うむ。まるで別人のようだ」
ξ////)ξ「あ、朝っぱらから何言ってるのよっ! 褒められたってうれしくないわよ!」
 
口ではそう言いながら満更でもなさそうなツン。それに気分を良くしたのか彼女は想定外の言葉を放った。
 
ξ゚ー゚)ξ「それにしてもアンタたち私より早く来るなんて気合い入ってるじゃない。
レイヴンはAC操縦技術はもちろん必要だけど第一に体力! 早朝の走り込みと行きましょうか!」
(;^ω^)「ちょwwwww部屋借りた意味ねぇwwwwwwww」
(;´_ゝ`)「俺は毎日帰宅するとしよう…」
 
やはり衣装を着ても鬼は鬼だった。

57 :愛のVIP戦士:2007/02/07(水) 02:24:43.12 ID:z8MDhwJsO
『今日はブレードの使い方を教えてあげる。アンタたちがブレードを使ってる所は見た事ないから、どれくらいの腕か見せてちょうだい。
とりあえず目標が間合いに入ったら斬りなさい。ただし正面からだと反撃される危険があるわ。出来るだけ背後か側面に回り込みなさい』
 
合図と同時にブーンドライブとブラクラはブースターを開く。共に接近しているので数秒で伸せば手の届きそうな距離まで近付いた。
言われた通り正面から斬りつけるような事はせず、お互い間合いに入るか入らないかの微妙な距離を保ちながら旋回する。
 
『実戦では撃ちながら隙を探すのよ。相手が動きを合わせてくるならフェイント入れたり攻め方を変えたりしなさい』
 
しばらくはツンを無視するように旋回していたが、ブラクラが先に動いた。
急ブレーキをかけ、均衡が崩れて寄ってくるブーンドライブに向けて前進する。元々一歩でも踏み出せば間合いに入れる距離だった事もあり、ブーンに機体の向きを変える時間はない。
まんまと側面を取られてしまったがブーンだったが、舌打ちと共に旋回を止めてフルアクセルでブースターを吹かす。
ブラクラの手からレーザーが放出され、一振りの剣と化す。それは交差する瞬間を見計らって一閃された。
咄嗟の機転で右肘を斬りつけられるだけの被害に止どめ、そのまま通過するブーンドライブ。
ブレードが通過した部分は少々融解して傷が付いた程度だったが、訓練用に出力を弱めていなければ斬り飛ばされていただろう。

58 :愛のVIP戦士:2007/02/07(水) 02:25:45.03 ID:z8MDhwJsO
『悪くないわよ兄者! それにブーンも!』
 
賛辞を送られた二人だったが、それに対する喜びの反応はなく、ただ沈黙するばかりだった。
 
『二人共どうしたの? 半人前なりに結構良い動きしてたじゃない。ま、ブーンはあそこで前進じゃなくて引いてたら無傷だったんだけど、少ない被害で済ました事は評価出来るわよ?』
(;^ω^)「いや…そうじゃなくて…。まさかあのタイミングで反応出来るとは思わなかったお…。なんて言うか、兄者がどう来るか予想出来たんだお」
『おお、ブーンもか? 俺も今のような動きが出来るとは…』
 
二人は単純に驚いているだけだった。訓練の成果が早くも現れているらしい。
 
『目が慣れてきたのね。本気でやれば結果は勝手についてくるものよ。これまでの訓練で操縦技術も上がったんじゃないかしら。
自分の成長が自分で分かる、これが特訓の醍醐味よねぇ…』
 
しみじみと語っていたツンだったが、すぐにいつもの調子に戻って激励する。
 
『二人の実力は大体把握したわ。さあ、次は私が相手よっ! 殺す気でかかってらっしゃい!』

60 :愛のVIP戦士:2007/02/07(水) 02:27:06.44 ID:z8MDhwJsO
日が傾き始め、夕闇の気配を感じる頃…
 
『ちょっとストップ。オペレーターからの通信だわ』
 
ツンデレビウムに襲いかかろうとしている二人を制止するツン。ツンデレビウムには無数の傷が残されていたが、後の二機は目に見えてボロボロだった。
傷が刻まれているのは装甲だけで内部は無傷ではあるが、見た目は痛々しい。
 
《訓練中失礼します。レイヴン、聞こえますか?》
 
ブーンにもオペレーターからの通信が入った。
 
《緊急の依頼です。ニューソクシティ南部と北部で正体不明機が暴れ回っています。レイヴンが鎮圧に向かったのですが通信が途絶えてしまいました。正体不明機の力は未知数で油断は出来ません。
しかし上位ランカーは出払っています。第二派のレイヴンたちが現場に向かいましたが彼らの実力では不安が残ります。今動けるのは貴方たちだけ──
新たな情報が入りました。
先ほど帰還したスナイパークールとカマキリオンが北部に向かったとの事です。
貴方はツンデレビウム、ブラクラと共に南部に向かって欲しいとの連絡を受けました。この依頼、受諾しますか?》
( ^ω^)「教官のツンに従うお」
《良い返事を期待しております》
 
ブーンは通信を切ってツンの言葉を待つ。兄者もブーンと同じ気持ちだろう。
ほどなくしてツンから通信が入った。

61 :愛のVIP戦士:2007/02/07(水) 02:27:49.47 ID:z8MDhwJsO
『話は聞いたわね? 敵は今までの相手とは違うわ。行ける?』
( ^ω^)「無問題だお」
『こちらも大丈夫だ』
『分かったわ。
オペレーター、依頼を受諾します。武装を実戦用に積み替えるから至急準備して。
ブーン、兄者。積み替えに30分くらいかかるから、その間にトイレに行っときなさい』( ^ω^)「おk」
『俺たちは子供か…』


62 :愛のVIP戦士:2007/02/07(水) 02:28:54.96 ID:z8MDhwJsO
『まもなく目標地点に到達。な…なんだ!? アァ─────!!!!』
 
AC三機を吊したヘリは突如飛来したミサイルの直撃を受けた。次いで連続で迫る光弾。その内の二発がヘリを襲った。
輸送ヘリの機動力では回避する暇もなく撃墜されてしまう。
 
(;^ω^)「な、何事だお!?」
『落ち着いて! 落ち着いてACを戦闘モードに切り換えて! 切り換えたらすぐに機体をハンガーから切り離すのよ!!』
 
一喝されたおかげで冷静を取り戻し、三機は無事に地表に降り立った。ヘリは墜落の衝撃で四散してしまった。操縦士の生存は絶望的だろう。
 
『操縦士は気の毒だけど事態は一刻を争うようね。行くわよ!』
 
黙礼する間もなくツンデレビウムは疾走し、二人はそれを追った。

64 :愛のVIP戦士:2007/02/07(水) 02:30:26.59 ID:z8MDhwJsO
『ウゥッ…ここまでかょぅ…』
『うわあああああああオワタ!』
《識別信号消滅、グリートキャット、ティウン=ティウンの撃破を確認。気をつけて下さい》
( ^ω^)「…遅かったかお」
『なんという光景だ…』
 
辺りに広がるのは建造物の残骸や死体だった。そしてその中に、徹底的に破壊されたMTとACと思われる物が転がっている。
ブーンたちのような若いレイヴンは、このような大規模に破壊された光景を見たのは初めての事だった。
 
『ひどいわね…』
( ^ω^)「ツンも…こんなのは初めてかお…?」
『ええ…。これが、本当の戦場…』
『敵はビルを曲がった場所にいるぞ。数は一つだな。どうするのだ?』
『………出方を待ってる間に被害が拡大するかもしれない。こちらから打ってでましょう。
これから実戦を通して訓練よ。今回教える事は戦術とチームワーク。ただしいつもと違ってミスは許されない。いいわね?』
(;^ω^)「お、おk」
『失敗出来ないという事がここまでプレッシャーになるとは…』
『大丈夫。アンタたちならやれるわ。自分の力を信じて』
 
プレッシャーに押し潰されそうな二人をツンは勇気づけた。彼女にしても未知の敵と戦うのは初めての経験だが弱音を吐いてはいられない。
今の言葉は自分に向けての言葉でもあった。

65 :愛のVIP戦士:2007/02/07(水) 02:31:44.05 ID:z8MDhwJsO
『まずは相手の武装、機動力、精確に撃てる射程を知る必要があるわね。
今分かっているのはミサイルとエネルギー系の武器を持っている事。あと、単独でこれだけの部隊と戦ったとなると重装甲か超高機動型…』
『とにかく、見ないと分からないわ。私は裏から、二人は正面から攻めて。挟撃するわよ。私が合図したら動きなさい』
 
ツンの作戦開始、との声で彼女の機体はビルを回り始めた。ブーンたちも彼女の指示を待ち、そのまま最短距離で進む。
ビルを曲がり、待ち受けていた機体を目にした三人は言葉を失った。
 
『・…・……・・…・』
(;^ω^)「A…C…?」
 
機械的な音声を発するそれは、さしずめ重装型ACを一回り大きくしたといった所か。バズーカやグレネートより巨大な武器を両手で持ち、地面を震わせながらゆっくりと踏み歩く。

66 :愛のVIP戦士:2007/02/07(水) 02:33:06.02 ID:z8MDhwJsO
それはブーンドライブとブラクラを確認するや否や肩からデュアルミサイルを発射して滑るように接近してくる。ブースターは備えているらしい。
ツンデレビウムのライフルによる射撃音で、一瞬放心していた兄者とブーンは回避行動をとる。
ブラクラもミサイルを発射、ブーンドライブは散弾を撃ちながら突進した。後ろからも射撃は続いているが、敵は多少の攻撃では怯みもせずに突き進む。
レーザーブレードが放出された。
ブーンドライブもブレードを携えて肉薄する。
 
『ブーン! 突っ込みすぎよ! 引きなさいッ!!』
 
ツンの言葉は遅過ぎた。既に間合いに入ろうかとしているブーンは止まらない。
ブーンドライブは咄嗟に脇に逸れ、斜め側面からの斬撃が放たれた。ブレードはコア部分を斬り裂き、振り抜いた。
しかし浅い。
人が乗っているACならパイロットを殺害出来た深さだったが、敵は構わずに斬りつける。
 
(; ω )「うぉぉあ…!」
 
左腕はブレードごと斬り飛ばされて宙を舞う。
もし脇に逸れていなかったらコアごと両断されていたかもしれない。危機を感じたブーンは高速で後退した。
追撃が来るかと思いきや、唐突に敵は停止する。そして巨大な武器を両手で持つとブーンドライブに向けた。
連続で放たれる光弾。
左右に動いて必死にかわそうとしたのも束の間、一発の被弾を始めに残りも直撃してしまった。
沈黙するブーンドライブ。

67 :愛のVIP戦士:2007/02/07(水) 02:34:15.26 ID:z8MDhwJsO
(((;゚ω゚)))「ァゥァゥ………」
 
プラズマの影響なのか内部電源が落ち、ブーンは暗闇で目前に迫った死に打ち震えた。
…一分ほど経過しただろうか。
恐ろしさで堅く目を閉じていたブーンは、近くで断続的に聞こえる爆音が耳に入り目を開ける。
その頃にはシステムは復旧しており、電源も回復していた。だが駆動系に異常があるのか脚部を動かす事は不可能だった。
近くではツンデレビウムとブラクラが敵と交戦している。
目を離したのは一分ほどだというのに二機とも、特にブラクラは損傷が大きい。ブーンを助けようとして無理に突っ込んだのかもしれない。
再び敵の砲撃が始まった。
さっきのプラズマとは違う火球。どうやらあの武器は切り換えが可能らしい。
ツンデレビウムは機動力を活かして避けているが、いつ被弾してもおかしくはない。ブラクラも度重なる砲撃を受けたらしく機体からは火花が散っていた。
 
《レイヴン! 無事ですか!?》
(;^ω^)「おわっ! びっくりしたお…」
《一瞬ですが機体反応が消滅したので撃破されたのかと思いました。無事で何よりです。機体ダメージは深刻ですが腕は動きますね。
ツンデレビウムが撃破された時は貴方の生存も難しいでしょう。援護して下さい》
( ^ω^)「了解だお!」

68 :愛のVIP戦士:2007/02/07(水) 02:36:56.29 ID:z8MDhwJsO
敵の装甲は厚いが、斬り裂いた部分にグレネードを撃ち込めばあるいは破壊出来るかもしれない。
グレネードを構え、ブーンは隙を探しながら思い返す。敵は砲撃を行う時は必ず停止していた。確実に命中させるにはそこを狙うしかない。
 
(;^ω^)(さっさと撃てお…!)
 
気持ちだけが焦り、手が震える。心臓は爆発しそうだ。
早く浅く呼吸しながらジッと待つブーン。
そして、その時は来た。
武器を両手で構えてツンデレビウムに向けて停止する。
 
(;^ω^)(当たってくれお…!)
 
発射されたグレネードは見事コアに命中、裂け目を中心に爆砕する。
炎に包まれた破片が降り注ぐ中、通信が入った。


69 :愛のVIP戦士:2007/02/07(水) 02:37:48.68 ID:z8MDhwJsO
『ブーン…生きてたのね。よかった…』
『勝った…んだな…?』
( ^ω^)「そんなにボロボロになったツン初めて見たお」
『アンタが後先考えずに突っ込んだからでしょ! 今日からいつもの倍はしごくからね』
(;^ω^)「ちょwwwwwマジ勘弁wwwwwwww」
( ^ω^)「オペレーター、故障したらしくて動けないお。回収してくれお」
《了解しました。ただちに回収班を向かわせ──!?》
( ^ω^)「どうしたお?」
《大変! 先ほど貴方たちが撃破したものと同反応の機体が新たに出現! そちらに接近しています!!》
(;゚ω゚)「じょ、冗談はやめてくれお!」
《冗談ではありません! 消耗した貴方たちでは勝ち目はありません! 早く逃げて!!》
(;゚ω゚)「に、逃げろって…動けないんだお!!」
《あぁぁ…そうでした…》
 
泣きそうな声でうろたえるオペレーターと焦燥に駆られるブーン。
ツンと兄者も、それぞれのオペレーターから同内容が伝えられているだろう。

70 :愛のVIP戦士:2007/02/07(水) 02:38:36.44 ID:z8MDhwJsO
(;゚ω゚)「ツン…聞いたかお…?」
『ええ…はっきり言ってかなりやばいわね…』
『ここまでか…』
(;゚ω゚)「さすがに、もう…」
『…ブーン。兄者。アンタたちと初めて戦った日に言ったはずよ。諦めるのは死んでからにしなさいって。諦めたら見える活路も見えなくなるわ。いいわね?』
(;゚ω゚)「………」
『………』
『いいわねッ!?』
(;^ω^)「ハイ…」
『うむ…』
 
力なく答える二人。
ツンも相当参っていたがここで腐っては確実に生きて帰れない。気力をふり絞って気丈であろうとしていた。
無駄なエネルギー消費を抑える為に誰も動こうとしない。沈黙と微かな風が場を支配する。
敵機接近を告げるレーダーが静けさを打ち破った。
 
『来たわね…。私が注意を引くから兄者とブーンは援護をお願い。行くわよッ!』
 
ツンデレビウムが走り出し兄者も後を追う。ブーンも全神経を集中して敵が射程に入るのを待つ。
やや間を置いて喧騒が戻った。響くのは弾の発射音と着弾の轟音と倒壊する建物の悲鳴。
 
『弾切れ…ッ! 兄者は!?』
『こっちももう僅かしかないぞ! 撃破するにはブレードかブーンのグレネードに頼るしかないな…!』
『ブーンを頼った方がリスクは少ないわね…。ブーンの射程距離までおびき寄せるわよ!』

71 :愛のVIP戦士:2007/02/07(水) 02:39:58.38 ID:z8MDhwJsO
弾の尽きたライフルをパージしながらツンは指示を出す。兄者は撃ちつつ後退を始めた。
ブーンも攻撃したい欲求を押さえながら、ただひたすらチャンスを待っている。
 
『・・…・……・…』
 
離れて行く標的にミサイルが放たれた。
当然この程度のミサイルをかわせないツンではない。だが、時に偶然とは残酷な結果をもたらす。ツンは偶然を呪う結果となった。
 
『ツン! 進路を変えろ!!』
『え…? キャアアアア』
 
目標を捕らえれなかったミサイルは半壊しているビルに着弾、そして崩壊する。
瓦礫がツンの機体に降り注いだ。敵方面を向きながら後退していたのでビルの崩壊に気付かなかったのだ。
鉄骨程度では大きな被害はないが、問題は巻き上げられた粉塵だ。
レーダーを見ると敵は止まっている。つまり、砲撃が来る事は確実。ツンは回避しようとアクセルを踏んだ。
しかし…
 
(;゚ω゚)「ツン!! 何やってるんだお!!」
『くっ…瓦礫が壁になって…!』
『避けろーーーーーーーー!!!!!』
 
粉塵を貫きながら火球が迫った。
 
『うぅ…アアァァァァーーーーー!!!!!』
(;゚ω゚)「ツンーーーーーーーーー!!!!!!」

77 :二回さる食らった さる氏ね( ^ω^):2007/02/07(水) 03:14:22.97 ID:z8MDhwJsO
──同時刻:ニューソクシティ上空
( ゚д゚)「どうした」
《先ほど撃破したアレが地上に出現して暴れています。場所は真下。どうします?》
( ゚д゚)「…侵入を許したのか。それとも…まあどちらでも構わん。何か分かるかもしれんな。操縦士、ハッチを開けろ」
『了解』
( ゚д゚)「旧世代の遺産か…」

80 :愛のVIP戦士:2007/02/07(水) 03:15:34.58 ID:z8MDhwJsO
(;゚ω゚)「ツン! 返事しておー!!」
『ザザー…大丈夫…よ…ピガガ…』
『生きていたか! 早く脱出を!!』
『分かっ…やば…オーバ…ヒーtザザザ…』
 
粉塵は爆風で吹き飛ばされたのか視界は良好だ。だが良い事はそれだけで危機に変わりはない。既に敵は前進しており、すぐにでも追撃されるだろう。
 
《レイヴン! 上空から何か来ます!!》
(;゚ω゚)「またかお…今度はなんだお!?」
《現在確認中………レイヴンです! ランカーAC、ガーゼフィクスを確認!》
『貴様らか…。この獲物はもらうぞ』
 
落下するガーゼフィクスはブースターを起動しないまま大型ロケットを連続で撃ち出す。ロック機能がないにも関わらずそれは吸い込まれるように命中した。敵は反動で地面に縫い付けられているのかその動きは鈍い。
地表まで残り30…20…10メートルの所で手にした武器、パイルバンカーを振りかぶりながらレーザーブレードを出現させた。そして急激にブースターを吹かす。
それでも速度は速く、巨石の如く降り立つ重装AC。落下を利用して敵の持つ巨大な武器を正面から腕ごと切断する様は獰猛な怪鳥を彷彿させる。
機体を襲った力がACの耐えられるギリギリの衝撃だった事は、降り立った時に地面が深く陥没し脚部が大きく軋んでいたのを見れば分かる。
その衝撃をものともせず、ガーゼフィクスは着地に合せて手にあるパイルバンカーから繰り出されると切っ先はコアを易々と貫通して背から先端が飛び出した。

82 :愛のVIP戦士:2007/02/07(水) 03:16:36.78 ID:z8MDhwJsO
『…・・……・……』
『やはり無人機…ぬぅ!!』
 
パイルバンカーを乱暴に引き抜いたガーゼフィクスは素早く後退する。支えを失った敵機は前倒しに倒れる。するとその肩が開き、都合12機に及ぶあの特功兵器が射出された。
それらは宿主に突撃して完全に破壊する。後に残るのは粉微塵になった鉄屑だけだった。
 
『コイツも自爆…。証拠は残さないつもりか。
まあいい。オペレーター、目標を達成した。回収を頼む』
『しかし無様な姿だな、ツンよ。雑魚共に構っているからそういう結果になる。いっそ貴様もそこの屑共と訓練したらどうだ?』
『…余計なお世話よ』
『フン、せいぜい拾った命を大切にする事だな』
 
ミルナは蔑むようにそれだけ言い残してさっさと着陸した輸送機に乗り込み、韋駄天の如く去っていった。


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