- 52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/26(日) 20:40:18.36 ID:rPZLXrRO0
-
第10話
- 53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/26(日) 20:41:26.80 ID:rPZLXrRO0
-
・・・
・・・・
前が、よく見えないお・・・
どうなってるお?
体も、まともに動かせない。
手が縛られているらしい。
それにあちこち痛くて、
体が重い・・・
何かが、乱暴に顔に触れる。
あ・・・眼隠しがとれた。
目の前にはニヤニヤ笑う、3人の男たち。
なんだ・・・?ブーンが狙われた?
- 55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/26(日) 20:42:56.84 ID:rPZLXrRO0
-
「おお、起きたかよ」
「お前もついてねえなあ? あのツンのお友達とはよ?」
「もしかして、恋人?」
「ばーか。こんな貧相な奴が、あんなお嬢様の彼氏なわけねえだろ」
「違いねえ」
「こんな奴で、来るのか? 本当に」
「さあ? 来なけりゃ、適当に処理して、他の奴に当たればいいだろ・・・」
「次は、女の子にしようぜ? 男じゃ何もできなくてつまらん」
「それが出来りゃ、最初っからそうしてるっつーの
他はガードが堅いからこいつにしたんだろうが」
「うーん・・・」
- 56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/26(日) 20:45:16.33 ID:rPZLXrRO0
-
・・・何の会話だお
ぼんやり考えていたら、男たちがブーンの方を向いた。
「おい、今、あのお嬢様。ツンの奴を呼び出している」
「な・・・何でだお?」
「俺たちゃ、あの女に恨みがあるのよ」
「俺はあの女の所為で野球部を退部させられた」
「俺は・・・あの女に手紙送られたせいで退学」
「俺も似たようなもん。ってことで、復讐しようと集まったわけ。
わかる?」
「・・・」
- 59 名前:>>58はミス><:2009/07/26(日) 20:49:32.89 ID:rPZLXrRO0
-
「な・・・」
「あ?」
「なんでブーンが・・・?」
「おめえ、あの女の関係者みたいじゃねえか」
「手始めに、一番狙いやすそうだったお前を狙ったわけ」
「・・・んで、拉致ってブーンを無事に帰してほしくば
一人で来いってかお?」
「・・・そうだよ。運悪かったなw」
「ブーンで、ツンさんが来ると思ってるのかお?」」
「・・・」
「いいんだよ、お前で来なくても」
- 62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/26(日) 20:52:00.70 ID:rPZLXrRO0
-
「? ・・・どういうことだお」
「お前をツンが助けに来なかったら、お前の体の一部分をツンに送る」
「・・・」
「そして、次のツンの関係者を狙ってやるさ。
お前で、おれたちが本気だってことが証明できるだろ?」
「・・・ブーンを・・・殺す気かお?」
「俺ら、未成年だからな・・・それもいいかもな」
「確かに・・・なんかムカつくしな。こいつ」
「まあ、まてよ。殺すにしても、
その前にこいつの体の何か送ってから反応みようぜ?」
「・・・なんだ? 髪か?」
「バーカ。髪なんて送っても、大して脅しになんねえよ」
「爪剥がしておくろうぜ? 写真つけて」
「いいな・・・それw」
- 63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/26(日) 20:53:25.73 ID:rPZLXrRO0
-
・・・
なんだ。この狂人ども・・・頭悪すぎる・・・
3人が3人とも、嬉しそうなような、怖がっているような
妙な表情でブーンを見ている。
ブーンはこの非現実的な現実を前に
頭はついていっても心がついていかず
ただ、3人の姿を見ているのでした。
ブーンは爪を剥がされ
その後、ころ・・・される?
一人が、ブーンの手を押さえつけた。
一人が、どっかからペンチの様な物を持ってくる。
一人が、デジタルカメラを探してきた。
- 65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/26(日) 20:56:32.74 ID:rPZLXrRO0
-
・・・お?
まじ?
ちょ・・・ちょっと・・・
ま
「まちなさいよ・・・」
- 66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/26(日) 20:58:44.44 ID:rPZLXrRO0
-
3人の動きと、ブーンの頭の動きが止まる。
3人は三日月形に口をひん曲げて、
待望の元加害者を迎え入れたお。
な、なんで、来たんだお・・・?
一人の男が、ブーンの首筋にナイフを突きつける。
あとの二人は、ゆっくりツンに近寄った。
- 68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/26(日) 21:01:05.91 ID:rPZLXrRO0
-
「なんだ、ツン。まさか一人で助けに来たのか?」
「・・・それが、あんた等の望みでしょ?」
「この男が、そんな大事な奴だったとはな・・・」
「一人で来て、どんな目に合わされるか。想像してみなかったのか?」
「・・・何する気よ?」
「そうだな・・・」
「まず、レイプする」
「動画にとって、ネットに流そうぜ? 金とれるぞ・・・」
「いや・・・親のとこに送って、口止め料を要求した方がよっぽどいい」
「ついでに、この女、奴隷にしようぜ?」
「学校中に、お前のレイプ動画流されたくなけりゃ・・・てか?w」
「いいなぁ・・・」
- 69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/26(日) 21:02:10.26 ID:rPZLXrRO0
-
ツンさんの顔が、明らかに青ざめる。
当たり前だお。
こんな事言われて、動じない女がいるわけがない。
・・・でも正直。
ツンさんの凶暴性は、この男たちを上回る。
戦えば3人相手に、まず勝つだろうお。
それだけ、この女は喧嘩が強かった。
なら・・・
た、闘ってくれお。
まさか、ブーンの為に・・・
- 71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/26(日) 21:04:50.75 ID:rPZLXrRO0
-
「やれば、いいじゃない」
「・・・あ?」
「その代り、その男に手はださないで」
「・・・」
「そいつ・・・関係ないわ」
「・・・何でお前が命令するんだよ。殺すぞ?」
「・・・」
「・・・」
「・・・お願いします」
「・・・」
- 72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/26(日) 21:06:30.80 ID:rPZLXrRO0
-
男たちは顔を見合わせた。
あのツンさんが、素直に自分たちの言うことを言い
「お願いします」と言った。
これは・・・信じられることではないお。
なにより、ブーンも・・・信じられない。
- 74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/26(日) 21:10:10.46 ID:rPZLXrRO0
-
「・・・ブーン」
「お・・・?」
「・・・」
「・・・」
「私、変わったのかな・・・」
「・・・え?」
「でも、やってきたことは変えられないんだね」
「・・・」
「・・・」
「ツンさん・・・!?」
「・・・私は、あんたのお姉さんみたいにはなれないらしい。
ごめん。巻き込んで」
- 75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/26(日) 21:11:40.83 ID:rPZLXrRO0
-
悔しそうな顔で、諦めている顔のツンさん・・・
うっすら、涙が浮かんでたお。
・・・その顔に訳の分からない衝動が、
ブーンの中に浮かび上がってくる。
逆に男たちは別の衝動に駆りたてられ、
抵抗しないツンさんを乱暴に床に押し倒した。
一人がツンさんの上着に手をかけ
一人がツンさんのスカートをはぎ取る。
男たちは、ゲラゲラわらってる。
なんだ・・これ。なんだ・・・・これ
ツンさんは諦めた顔のまま、
ブーンに聞こえるか聞こえないか位の声で呟いた。
- 78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/26(日) 21:12:58.24 ID:rPZLXrRO0
-
「・・・お願い・・・見ないでよ」
「・・・」
「・・・ブーン・・・」
「・・・」
「・・・」
「つ・・・」
「・・・あんた、嫌いじゃなかったよ」
「え・・・」
「ばいばい。・・・クーによろしくね」
- 80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/26(日) 21:14:39.76 ID:rPZLXrRO0
-
2人の男たちが自分のズボンを下げ、
ツンさんを思うがままに喰らい尽くそうとしている。
ツンさんは、自分に見るなといったくせに
ブーンをじっと見てきてた。
そして・・・
一回うなずくと、目を閉じた。
- 81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/26(日) 21:16:02.03 ID:rPZLXrRO0
-
・・・
「・・・ぅ」
「・・・ぃやだ・・・ いやだ・・・っ・・・・」
ぐちゃ
「へ・・・?」
- 84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/26(日) 21:19:19.21 ID:rPZLXrRO0
-
・・・
ブーンをナイフで脅していた男は、
完全にツンさんに気を取られていた。
首筋からナイフの切っ先は離れ、
ブーンの右頬のあたりでフルフル震えている。
こいつのナイフ・・・
今なら無力化できるかもしれないお。
でも、どうやって? 手を縛られ、満身創痍のブーンが・・・
・・口か。口なら、使える・・・
そう思うと、他に何も考えられなかった。
思いっきり、自分の頬をナイフへとぶつける。
ブーンの右頬をナイフが突き破る。
そして、
口の中に現れたナイフの刃に思いっきり噛みついた。
- 87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/26(日) 21:20:54.71 ID:rPZLXrRO0
-
「え・・お前、何やってんの・・・?」
思考停止状態で、ブーンの後ろの男が離れていく。
ツンさんを襲おうとしていた二人組の男も
今はこっちを見て停止した。
ブーンは立ち上がると、
口にナイフを咥えたまま
ツンさんに近寄る。
ツンさんに跨っていた二人の男はツンさんから離れて立ち上がり、
こっちを見て固まっている。
ツンさんはと言えば、
目と瞑り、歯を食いしばっているような様子だったけどお。
事態が変わったことに気がついたのか
目を開き、つづけて目を丸くした。
- 90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/26(日) 21:22:42.91 ID:rPZLXrRO0
-
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
ブーンは、どんな表情をしていたんだろう。
ブーンが睨みつけながら男たちに近づくと、
その分だけ二人の男たちは後ろへと下がってくれる。
更に近づく。
さらに、後ろへと逃げる。
男たちの背中は、壁へと当たった。
- 91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/26(日) 21:23:43.31 ID:rPZLXrRO0
-
「な・・・なんだよ・・・なんだよ、お前」
「自分で、ほ、頬に刺しやがった」
「おかしいよ、お前・・・!」
逃げることが出来ないことに気がついた男たちは、
近場の椅子やバットをもって、
ブーンに威嚇してきた。
酷い奴らだお。手を縛られたブーンに対して・・・
・・・不思議と、全く怖くない。
負ける気がしない。
なぜか、相手がビビっていることがわかるからだお。
- 93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/26(日) 21:24:36.77 ID:rPZLXrRO0
-
「こ、この野郎っ!!!!」
一人の男が、椅子を振り上げて、
襲いかかってきた。
- 95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/26(日) 21:26:30.45 ID:rPZLXrRO0
-
はあ・・・
馬鹿だろうか、こいつ。
お決まりの言葉しか吐けないのか。
もっと、気の利く事を言えばいいのに。
ま、日本語というのは、
意外とこういう時に向く言葉が少ないのかもしれないお・・
そんなどうでもいい事を考えながら、
ブーンは椅子で殴られた。
いすで殴りつけた男は、ニヤッと笑うが
すぐに固まった。
ブーンは、倒れない
倒れてやらないお。
それどころか、ブーンは男へとまた一歩近づいてやった。
男は憐れみを覚えそうになりそうな表情をして、
何かを叫ぼうと大口をあけた。
- 97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/26(日) 21:27:16.93 ID:rPZLXrRO0
-
「お、おまえ! こ、こ、ころしてやるぁああああああああああああああっ!!!」
「それは、こっちのセリフ・・」
- 98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/26(日) 21:28:20.83 ID:rPZLXrRO0
-
狂ったようにブーンに叫びつけてきた男が
急にくるりと回った。
白目をむき、
床へと倒れ込む。
つづけて、もう一人。
今度は、顎が妙に高い位置に跳ね上がった。
喉が丸見えになったところへ
凶暴な打撃が襲う。
糸の切れた操り人形のように崩れ落ちる
とはよく言うけど
まさに、そんな感じ。
ツンさんの暴風のような攻撃性に飲み込まれ、
二人の男がブーンの目の前で静かになった。
- 100 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/26(日) 21:30:38.84 ID:rPZLXrRO0
-
「う、う・・・うわああああああああああああああああああああああ」
・・・もう一人の精神は、
もはや折れたらしいお。
ブーンをナイフで脅していた男だ。
もともと、脅し役をやらされるような男だ。
3人のなかでも、力の弱い男だったのだろう・・・
何もかも捨てて、逃げ出した。
・・・
そして、それを見届けて。
ブーンの体には力がなくなり、
視界がぼやけ、世界が閉じたお。
- 103 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/26(日) 21:32:21.44 ID:rPZLXrRO0
-
ξ゚−゚)ξ ・・・
川 ゚ -゚) ・・・
从'−'从 ・・・
(*゚−゚) ・・・
( ;^ω^) ?
- 105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/26(日) 21:33:38.94 ID:rPZLXrRO0
-
じっと見つめてくる・・・
4人の美少女。
それが、目を開いて初めて見たもの。
そして、その瞬間
一人の少女が涙を流し始めた。
他の3人はその姿をみて静かに立ち上がり、
ブーンたちがいる部屋から出て行った。
なんだ・・・この部屋
病院?
・・・病室みたいだけど・・・ひれー部屋・・・
- 107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/26(日) 21:35:00.28 ID:rPZLXrRO0
-
「ごめん・・・ごめん・・・」
「なんで、謝るんだお・・」
「頬っぺたの傷、絶対、跡残らないように、
治してもらうから。
最高のお医者さま・・・つれてくるから・・・」
「頬っぺたの傷・・・? いてっ・・・」
「触っちゃダメだよ。まだ、まともに処置してないんだから」
「・・・あ、そっか。思い出したお」
「・・・ごめん」
「だから、何で謝るんだお・・・?」
「・・・」
「・・・」
- 109 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/26(日) 21:36:29.93 ID:rPZLXrRO0
-
「・・・私が、巻き込んだから
こんな大きな、酷い傷・・・」
「あいつらに狙われた、身に覚えはあるわけだおね?」
「うん・・・ある。あります・・・」
「じゃ、今度からそんな事、止めるお・・・」
「・・・うん。もう、やらない」
「・・・じゃ、もういいからお。だから、泣くなお」
「ないてないもん・・・」
「・・・」
- 110 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/26(日) 21:37:32.34 ID:rPZLXrRO0
-
あの凶暴なツンさんの豹変に
ブーンは戸惑いを覚えましたお。
ツンさんは、ただずっと、
ブーンが寝ころんでいるベットの脇で泣いていました。
変なの・・・
自分の戸惑いの正体が
自分では分からず・・・
なんとなく、ブーンはツンさんの頭を撫でていました。
- 113 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/26(日) 21:39:51.43 ID:rPZLXrRO0
- 今日の投下は終わりです〜
支援ありがとうございました。
次は土曜あたり。
それまで、さようなら〜