182 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/26(金) 09:12:19.42 ID:MUF5nAAu0
第十六話

(;^ω^)「バーちゃん・・バーちゃん!!!」

ブーンは我を忘れるほど、必死に走っていた。ペニサスの元に向かう為に。

(;^ω^)「ハァ・・ハァ・・おっ!!」

激しく転んでしまう。

(;^ω^)「ちくしょう・・こんなとこでぐずぐずしてられないんだお!!」

もの凄い速さで立ち上がり、また走りだすブーン。
周りの人は一体何事なのかとブーンの姿を見つめていた。

183 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/26(金) 09:13:38.11 ID:MUF5nAAu0
(;^ω^)「バーちゃんが危ないのに・・こんなノンビリしていられないお!!」

さっきの電話は・・

( ^ω^)「もしもしーどうしたお?」

ξ;゚听)ξ「大変よ!!!」

(;^ω^)「えっ!?何があったんだお!!」

ξ;゚听)ξ「おばあちゃんが・・交通事故にあったみたいで。重体なの・・」

(;^ω^)「えっ・・・・」

(;^ω^)「・・・・・・・・・」

ξ;゚听)ξ「早くニー速病院にきてちょうだい!皆で応援すれば助かるかもしれない・・」

ツンもわずかな希望にすがりたかった。

184 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/26(金) 09:15:13.84 ID:MUF5nAAu0
(;^ω^)「わかったお!すぐにいくお!!」

そして走り去っていったわけだ。
残された3人は・・

(´・ω・`)「僕は今まであんなブーンの様子を見たことがなかった。あれは・・相当マズイ事があったね」

ζ(゚Δ゚*ζ「おばあちゃんが・・って言ってたね。ペニサスさんに何かあったのかな・・」

从'Δ'从「そうかもしれないね。しかもあの様子じゃ・・事故とかにあったのかも」

ζ(゚Δ゚*ζ「・・・・・」

デレは最近色々話しているだけに、それが本当ならかなりショックが大きい。

(´・ω・`)「もうブーンを追うことはできない。あの様子じゃ電話にも出ることはないだろう」

从'―'从「私たちは黙って見てるしかないんだね・・」

なんだか暗い雰囲気に包まれてしまった3人だった。


185 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/26(金) 09:16:29.99 ID:MUF5nAAu0
(;^ω^)「おおおお!!」

かなり疲れているはずなのに、さっきより走るペースが上がるブーン。それだけ必死だった。

(;^ω^)「ま、まだかお!!」

前方を見渡す。近くにニー速病院の文字が見える。

(;^ω^)「よし、早く行くお!!」

(;^ω^)「入るお!!」

中に入ると、看護婦達がせわしく動きまわっているのが見えた。ブーンは受付に・・

(;^ω^)「そんなとこ寄ってる暇ないんだお!!」

186 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/26(金) 09:17:00.76 ID:MUF5nAAu0
受付をスルーして、手術室の文字が見えるまでひたすら走る。

(*゚∀゚)「ちょ、あなた!!」

看護婦にぶつかりそうになったブーン。

(;^ω^)「ごめんなさいだお!今はそれどころじゃないんだお!」

(;^ω^)「ペニサスって人がどこで手術しているかわかりますかお!?」

(*゚∀゚)「・・ペニサスさんならこの先の手術室でまだ手術中よ」

何故か看護婦の表情は心なしか悲しく見えた。

(;^ω^)「ありがとうですお!!」

そのまままたダッシュして向かっていくブーン。

(*゚∀゚)「・・あの子には手術のことは詳しく言わない方がいいわね」

その美人の看護婦は何か意味ありげなことを言って、また先へと進んでいった。

187 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/26(金) 09:18:53.49 ID:MUF5nAAu0
(;^ω^)「ハァ・・ハァ・・カーチャン!!」

ξ;゚听)ξ「ブーン!!」

(;^ω^)「バーちゃん!!」

思わず手術室のドアを叩き、こう叫ぶ。

(;^ω^)「お願いだお!お願いだからバーちゃんを助けてお!!」

その悲痛な叫びは辺り一面に響き渡っていた。中の先生にまでも・・

/ ,' 3 「あの子と・・あの子の家族の為に全力を尽くすんだ!!」

ブーンの叫びはクルーの意識を更に高める。

(;^ω^)「おっおっおっ・・」

ξ;゚听)ξ「ブーン・・」

188 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/26(金) 09:20:34.90 ID:MUF5nAAu0
そっと後ろからブーンを抱きしめるツン。

(;^ω^)「!!!!」

ξ゚听)ξ「私たちは今、待つ事しか出来ないの・・」

(;^ω^)「・・・・」

ξ゚听)ξ「だから・・静かに待ちましょう?」

(;^ω^)「・・・・・」

( ;ω;)「おっ・・・・・」

緊張がほぐれ、今の現実を受け止めたのか、ブーンの瞳から涙がこぼれる。


189 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/26(金) 09:25:04.18 ID:MUF5nAAu0
ξ゚听)ξ「ほらほら、泣かないの。おばあちゃんは大丈夫だからね」

自分も泣きそうになる辛さを押さえて、ツンはブーンに話しかけた。
それから二人は手術が終わるまで静かに待ち続けた。

ξ゚听)ξ「・・まだかしら。相当長引いてるわね。母さん・・」

(;^ω^)「・・・・・・」

その瞬間、手術中のランプが消えた。

/ ,' 3 「・・・」

ξ゚听)ξ「先生!!母さんの容態は?!」

ツンも相当必死な様子で先生に話し掛けた。

/ ,' 3 「手は尽くしましたが・・助かる可能性は30%くらいしか期待できないですね・・」

ξつ凵G)ξ「そ・・そんな」

ポロポロと涙をこぼしだすツン。ブーンはそんな母親の姿を見て、また泣き出してしまう。

190 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/26(金) 09:25:37.47 ID:MUF5nAAu0
/ ,' 3 「まだ可能性はあります。そんなに落胆しないでください」

ξつ凵G)ξ「クスン・・はい」

( ;ω;)「・・・・・・・・」

/ ,' 3 「後は病室で目を覚ますのを待つしかありません。病室にペニサスさんを移すのでそちらに・・」

ξつ凵G)ξ「・・はい」

ペニサスは近くの病棟へと移される。そのうち先生もいなくなり、ブーンとツンだけになった。

('、`*川「・・・・・・・・・」

まるで寝てるようにしか見えないペニサス。

ξ゚听)ξ「母さん・・よく手術頑張ったね」

そのペニサスにゆっくりと、はっきり大きな声で話し掛けるツン。

191 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/26(金) 09:27:06.79 ID:MUF5nAAu0
ξつ听)ξ「私、母さんが戻ってくるの、待ってるからね・・」

また涙目になってしまうツン。

( ;ω;)「・・・・・・・・・」

ブーンはその姿を泣きながら見つめる事しか出来なかった。

???「私はこれからドコにいくのかしら・・?」

気が付けば、意識のないはずのペニサスは、虚構の世界にいた。

('、`*川「これが、死・・なのかしらね」

進んでも進んでも何も無い世界。このまま進んでいけば、地獄にもたどりつきそうな世界。

('、`*川「まだ・・死にたくないわ。私は。ブーンちゃんのことやデレちゃんとの関係も・・」

('、`*川「見てないことが沢山ある。だから死ぬわけにはいかない・・」

でもその夢のようなこの場所から、いくら目覚めようとしてもだめだった。

193 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/26(金) 09:29:48.25 ID:MUF5nAAu0
('、`*川「私一人の力じゃどうにもならないかも・・」

そして一瞬目を閉じる。
もう一度目を開けてみると、今度は違う世界が広がっていた。

('、`*川「うふふ、可愛いわねぇ。やっと孫の顔が見れたわ」

ξ゚听)ξ「そうでしょそうでしょ!私に似て可愛い子が生まれたのよ〜」

('、`*川「・・・・私が、もう一人?」

この光景をよく見てみるペニサス。まだブーンが赤ちゃんだ。

('、`*川「いや、ここは私の記憶の中なのね」

そう、ペニサスは走馬灯のように出てくる自分の記憶の中にいるのだ。

ξ゚听)ξ「ほーんと、ドクオに似なくてよかったわ」

('A`) 「ヒドス」


194 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/26(金) 09:38:45.74 ID:MUF5nAAu0
('、`*川「名前はどうするの?」

('A`) 「ホライゾン・・ってのはどうだい?」

ξ゚听)ξ「えっ!?なによその名前ー!!」

(‐ω‐)「zzz・・・・・」

('、`*川「ふふっ・・小さい頃も可愛かったね、ブーンちゃん」

微笑みながら、目を閉じるペニサス。また世界は変わる。

( ;ω;)「うわぁーん!!!」

ξ゚听)ξ 「ま、待ちなさい!ブーン!!」

( ;ω;)「かぁちゃんなんて大嫌いだお!!」

ξ゚听)ξ 「・・・なんであの子はあんなにわがままで泣き虫なのかしらね」


195 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/26(金) 09:39:06.72 ID:MUF5nAAu0
('、`*川「これは・・いつの記憶かしらね?」

少し様子見をするペニサス。

( ;ω;)「おばあちゃん!!ウワ−ン!!!」

('、`*川「よしよし、どうしたの?」

( ;ω;)「またお母さんに怒られちゃったんだお・・・ヒック」

('、`*川「そうなのぉ・・なんで怒られちゃったの?ブーンちゃん」

( ;ω;)「・・実は」

ここまで見えたペニサスはようやくわかった。

('、`*川「あぁ・・ブーンちゃんがツンに怒られたときの記憶ね」

('、`*川「懐かしいわねぇ・・」

196 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/26(金) 09:40:20.39 ID:MUF5nAAu0
そしてペニサスはもう一つ、何か思い当たる。

('、`*川「走馬灯・・死ぬ直前によく見るっていうわね」

('、`*川「私・・死ぬのかしら」

そう言って、もう一度目を閉じる。広がっている世界。そこは・・

('、`*川「お花畑・・」

そう、ペニサスの目の前に広がったのはお花畑だ。

('、`*川「私も・・ここで終わりなのかな・・」

('、`*川「とりあえず、ねっころがってみようかな」

ペニサスは、花畑に身を任せる。花のいい香りが広がる。

197 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/26(金) 09:40:37.99 ID:MUF5nAAu0
('、`*川「・・・・」

('、`*川「今まで色々あったわね・・」

('、`*川「それも今日で終わりかな・・ありがとうね、ブーンちゃん、ツン、ドクオさん・・」

('、`*川「デレちゃん、ショボン君、渡辺さん・・」

もう希望を捨て、あきらめかけていたペニサス。ふと、隣に誰かを感じる。

(``・ω・´)「久しぶりだね・・ペニサス」

('、`*川「・・・あなた!!」

隣にいたのは、死んだはずのシャキーンおじいさんだった。
二人は再会を喜び、互いにきつく抱き合った。

198 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/26(金) 09:40:55.12 ID:MUF5nAAu0
('、`*川「でも・・あなたと会えるってことは私も・・」

(``・ω・´)「残念だけど・・そういうことになる」

('、`*川「そう・・ならもうあきらめるしかないのね」

(``・ω・´)「そうでもないさ。ペニサス、君には聞こえるはずさ」

('、`*川「え?」

(``・ω・´)「君を呼ぶ声さ。君を必要としている、その声が・・」

('、`*川「・・・・・」

ペニサスが、耳を傾けようとしたそのとき、手が少しだけ暖かくなる感じがした。


199 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/26(金) 09:42:09.73 ID:MUF5nAAu0
('、`*川「このぬくもり・・二人の・・」

その頃、現実の世界ではもう夜の八時を回っていた。

( ;ω;)「ばーちゃん・・ばーちゃん、帰ってきてお。お願いだお」

ξつ听)ξ「そうだよ、まだ死ぬには早すぎるよ・・」

('A`) 「お義母さん・・」

ドクオも仕事からあがって、病室にやってきていた。

ブーンとツンは目の覚めないペニサスの手をしっかりと握る。

ξつ听)ξ「私・・信じてるから!!」

( ;ω;)「ばーちゃん!!!」

またブーンは悲痛な叫びを上げる。

200 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/26(金) 09:42:29.25 ID:MUF5nAAu0

('、`*川「・・あなた?聞こえたわ。ブーンちゃんとツン、そしてドクオさんの声」

(``・ω・´)「わかっただろう?まだ君は死んじゃいけないのさ」

(``・ω・´)「僕とはいつかまた、必ず会える」

(``・ω・´)「ペニサス、君は僕が出来なかったこと、君がまだ遣り残している事をするんだ」

('、`*川「・・・」

('、`*川「あなたと一緒にいれないのは・・悲しいけど」

('、`*川「わかったよ。私はまだ生きる」

(``・ω・´)「うん。それでこそ、僕の妻だよ。それじゃあ僕の手を握って、目を閉じるんだ」

('、`*川「・・・・・・・」

言われたとおりにしたペニサス。
目の前が明るくなった気がした・・

201 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/26(金) 09:42:57.33 ID:MUF5nAAu0
( ;ω;)ξつ听)ξ「!!」

ブーンとツンはペニサスの手が動いたのを感じる。

( ;ω;)「バーちゃん!」

思わず、手を強く握り、ペニサスの目を見る三人。

('、`*川「・・・・・・・」

('、`*川「・・・・・・ん、ここは・・?」

202 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/26(金) 09:43:21.45 ID:MUF5nAAu0
( ;ω;)「バーちゃん!!」

ξ;凵G)ξ「母さん!!」

(;A;) 「!!」

('、`*川「皆・・どうしたの?そんなにメソメソして・・」

( ;ω;)「バーちゃんの馬鹿!!」

そういいながら、ペニサスに抱きつくブーン。

('、`*川「ちょw苦しいじゃない」

ξ;凵G)ξ「よかったぁ・・ほんとによかったよぉ・・」

こうして、ペニサスはなんとか一命を取り留めたのだった。

第十六話 完 


221 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/26(金) 16:29:22.06 ID:eBeAtfEMO
そう、おじいちゃんはシャキンとそっくりで顔もにています。

実は遠い親戚です。
でもシャキンはショボンには話していません

これが俺の言い訳。もとい補足です。


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