91 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/21(日) 10:40:27.89 ID:Ki30QSHu0
第四話

ジリリリリリリリリリリ!!!

( ^ω^)「うーん・・うるせーお。後五分・・」

一度覚めかけた目をもう一度閉じて眠りの世界に入ろうとする。

ξ゚听)ξ 「ブーン!おきなさい!今日試合っていってたじゃないの!!」

( ^ω^)「試合・・試合ってなんだお、食えるのかお・・」

ξ゚听)ξ 「なに寝ぼけてんのよ!今日はハンド部の新人戦だっていってたじゃない!!」

ブーンは一瞬考える。そしてすぐに飛び起きた。

92 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/21(日) 10:41:02.67 ID:Ki30QSHu0
(;^ω^)「ああああああ!そうだったお!なんでもっと早く起こしてくれなかったお!!」

ξ゚听)ξ 「だってさすがに試合なら自分で起きてくると思ったわよ!でもなかなか起きてないから・・」

(#^ω^)「さっさとおこしてお!!ああああ!今日は自分の中学だからいいものの・・!!」

集合時間までは後三十分しかない。急いで準備にとりかかるブーン。

ξ゚听)ξ 「全く・・急いでるとはいえ、乱暴な口調で参っちゃうわよ」

('、`*川「仕方ないじゃない?そういう時期なんだから・・」

ξ゚听)ξ 「でもぉ・・親にあんな口の聞き方じゃダメだと思うのぉ・・」


94 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/21(日) 10:46:19.25 ID:Ki30QSHu0
('、`*川「ツン?ツンも私にあんな口の聞き方をしてたのを覚えてる?」

ξ゚听)ξ 「・・・・・・・・」

ξ゚听)ξ 「そういえば・・あるわね」

('、`*川「だから、気にしなくていいじゃない?あなたの場合、少しずつよくなったじゃない」

('、`*川「あなたの子だからきっと同じようになるわ、心配しないで」

ξ゚听)ξ 「・・・・うん、母さん」

ξ゚听)ξ(また母さんに上手く丸めこまれちゃったな)

ξ゚听)ξ(でも・・母さんがいなかったら私、ちゃんとここまでブーンを育てられたかな)

95 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/21(日) 10:47:04.81 ID:Ki30QSHu0
ツンは思わず昔を振り返ってしまう。忙しい毎日でブーンに構ってやれない日々。
そんな毎日を自分の代わりに埋めてくれた母。

ξ゚听)ξ 「おかあさん・・ありがとう」

小声でそう呟いた。

('、`*川「なにー?なんかいったー?」

ξ///)ξ 「いやっ!何にもいってないよ!なんにもいってないからね!」

('、`*川「ニヤニヤ」

その姿をペニサスはニヤニヤしながら見つめていた。

97 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/21(日) 10:48:35.68 ID:Ki30QSHu0
('、`*川(何歳になってもあの子は私の子ね・・可愛いわw)

そう思いながらツンのことを見ていたペニサスだった。
そこに、騒がしく階段を降りてくる音と共に、ブーンがドアを開けた。

( ^ω^)「おはようだお!バーちゃん!!」

('、`*川「おはよう、ブーンちゃん」

ξ゚听)ξ 「ほらっ!朝ご飯出来てるから早く食べなさい!!」

( ^ω^)「いただきますお!!」

ブーンが凄い勢いで朝ご飯をおなかの中に入れていく。


98 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/21(日) 10:50:35.66 ID:Ki30QSHu0
( ^ω^)「やっぱカーチャンとバーちゃんの料理はうめーお!!」

ξ///)ξ 「ほ、誉めても何にもないんだからね!?」

('、`*川「ニヤニヤ」

他人から見たら一瞬おかしな集団とも取られるこの三人。

ξ゚听)ξ 「さあ、お弁当作り終わったし、私たちも食べましょう?母さん」

('、`*川「ええ、そうしましょうか」

二人も食卓へと並び、朝ご飯を一緒に食べた。ふとペニサスが気が付いた。

('、`*川「あれ・・ツン、ドクオさんは起こさなくていいの?」

99 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/21(日) 10:51:58.71 ID:Ki30QSHu0
ξ゚听)ξ 「ああ、ドクオなら今日は多分起こしても起きないわ。徹夜続きだったみたいだから・・」

ξ゚听)ξ 「ごめんね、ブーン。お父さん空気読めなくて」

(;^ω^)「う、ううん、大丈夫だお。そんなに疲れてちゃ仕方ないんだお」

いつもと少し違う母の雰囲気に少し戸惑ってしまい、これしかいえなかったブーン。

ξ゚听)ξ (試合から帰ってきたら、フルボッコね・・折角ブーンが試合に出るってのに・・)

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・母から凄まじいオーラが発している。

('、`*川「ちょ、ツン、攻撃的なオーラを出すのはそこまでにしときなさい。ブーンちゃんが怯えてるわ」


100 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/21(日) 10:53:19.96 ID:Ki30QSHu0
ξ゚听)ξ 「あ、ああごめんねお母さん、ブーン」

(;^ω^)「い、いや、大丈夫だお。気にしないでお」

ブーンは今日ほど自分の母が恐ろしいと思ったことは無かった。だからその場はそういっとくことにした。

('、`*川「にしても・・ツンも随分凄くなったわね、全盛期の私ほどじゃないけどね」

(;^ω^)「え・・」

ブーンはひそかにその話を聞いて、ビクビクしていた。

(;^ω^)(ばあちゃんまで・・?この二人に逆らったら殺される気がするんだお)

101 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/21(日) 10:55:40.79 ID:Ki30QSHu0
('、`*川「さ、そんなことより・・ブーンちゃん、急がないと遅れちゃうわよ?」

(;^ω^)「そういえばそうだったお!弁当これかお!ありがとうだお!!」

そう言ってブーンは急いで玄関から出て、ダッシュで学校に向かっていった。

('、`*川「さて・・私たちも準備しようか。今日は暑いから、帽子とか必要だよね」

ξ゚听)ξ 「そうだね、しっかり熱中症対策しないとダメだね」

('、`*川「そういえば・・はんどぼーるってどういうスポーツなの?TVでもやらないし・・」

ξ゚听)ξ 「えっ!?うーん・・私も正直わからないんだよね。手でボールを投げるくらいしか知らないよ」

('、`*川「へぇ・・じゃあ楽しみだね。見るの・・」

103 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/21(日) 10:59:55.98 ID:Ki30QSHu0
二人はすぐに準備をすませ、ツンが自分の軽自動車のエンジンキーをとりにいった。その時ドクオは、

('A`)「・・・ヨッシー・・・・」

意味のわからない寝言を言いながらしっかり夢の中だった。これから恐ろしい運命が待ち受けてるとも知らずに。

(;^ω^)「ハァ・・ハァ・・遅れなくてよかったお」

ブーンは何とか時間には間に合ったようだ。だが暑いのですでに汗だくになっていた。

( ´∀`)「ほら、ブーン君、早く準備するモナー。時間無いモナよ?」

(;^ω^)「はぁはぁ・・わかってますお」

ブーンはすぐに着替え、みんなよりやや遅いアップに入った。

104 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/21(日) 11:01:46.76 ID:Ki30QSHu0
(´・ω・`)「ようやくきたかい。今日はどうしたのかと心配したよ」

(;^ω^)「ごめんお、ショボン。寝坊しちゃって焦ったお」

(´・ω・`)「はあ、なんだい?寝坊か。次から気をつけようね」

(;^ω^)「わかってるお。ごめんだお」

( ^ω^)「それより聞いてくれお。今日家族が試合見に来るらしいお。緊張が倍増しだお・・」

ブーンはニコニコしながらショボンに話す。あまり家族仲の良くないショボンはなんだかブーンが羨ましく見えた。

(´・ω・`)「そうなのかい。そしたら家族にいい所見せないとな。でも今日の相手はなかなか強豪らしいから気をつけたほうがいいよ」

( ^ω^)「ホントかお」

105 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/21(日) 11:04:59.14 ID:Ki30QSHu0
(´・ω・`)「うん。だからしっかりアップしないとね」

全く緊張するそぶりを見せないショボン。

( ^ω^)「ショボン・・なんでそんなに落ち着いてられるんだお?」

(´・ω・`)「え・・なんとなく」

(;^ω^)(こいつ・・出来る!!)

(´・ω・`)「・・どうしたの?」

(;^ω^)「いいいや、なんでもないお」

(´・ω・`)「・・・?ならいいけど」

106 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/21(日) 11:06:52.00 ID:Ki30QSHu0
そんな二人をよそにシュート練は続く。ブーンはサイド、ショボンは45なのでそれぞれの場所へ散っていった。
そしてブーンがシュートを打つ番になった。

(;^ω^)「い、いくお!!」

サイドラインギリギリを蹴って、高く飛び上がる。そしてゴール目掛けて一直線・・

キーパー「アッー!!!!」

(;^ω^)「ごめんなさい、ごめんなさいお!!」

キーパー「試合前に金的は勘弁して欲しいんだぜ?ホントに・・」

(;^ω^)「すすすすすいませんお、つい緊張しちゃって・・ホントにごめんなさいお」

107 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/21(日) 11:07:58.50 ID:Ki30QSHu0
キーパー「俺は大丈夫!金的には慣れてるから!」

(;^ω^)「ならよかったお・・ホントにすいませんでしたお」

ブーンはこのプレーのおかげなのか、緊張は少し解けたみたいで、いつも通りのプレーが出来る様になった。
そして、相手も到着し、試合が始まろうとしていたその頃・・

('、`*川「ふぅ、着いたね。ブーンちゃん、どこかな・・?」

ξ゚听)ξ 「うーん・・」

二人してブーンを探す。だがすぐに見つからなかった。

ξ゚听)ξ 「お母さん、とりあえず観客者用にイス用意されてるから、そっちにいきましょうよ」

('、`*川「そうね。ブーンちゃんはそれからでも見つけられるかな。今日はデジタルカメラの準備もしてきたし・・」


108 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/21(日) 11:08:20.56 ID:Ki30QSHu0
ξ゚ー゚)ξ 「しっかりとってね?お母さんw」

('ワ`*川「任しときなさいっ!しっかりブーンちゃんをカメラに写すわよ!」

こっちの二人は、初めてハンドボールを見る楽しみのせいかどこか楽しそうな様子を漂わせている。

(;^ω^)「おっ、試合が始まりそうだお。しかももうバーちゃんたちきてるお」

(´・ω・`)「え、どこどこ?」

中学生の親というのはまだまだ熱心なもので、保護者席はほとんど埋まっている。

(*^ω^)「ほらっ・・あの巻き髪の人が僕のお母さんだお。その隣のデジタルカメラを持ってるのがバーちゃんだお」

(´・ω・`)「へぇ・・二人とも綺麗だね」


109 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/21(日) 11:09:15.58 ID:Ki30QSHu0
ショボンは冗談抜きにそう思った。特におばあちゃんの方は年齢をなかなか感じさせない、

(*^ω^)「おっおっおっ、そうかお。嬉しいんだお」

ブーンが母親とおばあちゃんを紹介している丁度その時・・

ξ゚听)ξ 「あっ!ブーンがこっちに気が付いたんじゃない?」

('、`*川「あら、ホントね」

ξ゚听)ξ 「とりあえず見えるように二人でVサインでもしようか?」

('、`*川「そうだね、応援代わりに・・」

(*^ω^)「あれっ・・二人がこっち向いてピースしてるお!!おーい!!」

113 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/21(日) 11:12:10.48 ID:Ki30QSHu0
ブーンは思わず手を振ってしまう。嬉しかったのだろう。

(´・ω・`)「ふふっ・・羨ましいよ、ブーン」

ショボンは思わず微笑んでいた。そして不思議に思った。

(´・ω・`)(なんでこんなに家族の仲がいいんだろう。家なんて両親、全然話さないのに・・)

(´・ω・`)(最近は親が笑う所さえ見たことない・・)

( ^ω^)「ん?どうしたんだお?ショボン」

(´・ω・`)「い、いや、なんでもないよ」

(´・ω・`)(今日親に試合って言ったけど・・きてくれるのかな)

ブーンの親を見て、自分の親のことを思い始めるショボン。彼の親は試合を見に来てくれるのだろうか。

114 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/21(日) 11:14:06.96 ID:Ki30QSHu0
( ´∀`)「そろそろ試合始まるモナよー!!集まるモナ!!」

( ´∀`)「スタメン発表するモナ!!」

モナー先生が選抜メンバーを発表する。だが、やはり一年二人の名前はさすがに上がらなかった。

( ´∀`)「君たち二人は二年のスタミナ次第でどこで入るか決まるモナ!しっかりアップしとくモナ!!」

( ^ω^)(´・ω・`)「はいっ!(だお!)」

出番があると言われて張り切る二人。ついに試合が始まった。観客席では・・

('、`*川「あれっ・・ブーンちゃん、スタメンじゃないみたいだね」

ξ゚听)ξ 「そうみたいだね。一年生だから仕方ないよ」

少しがっかりしている二人だが、初めて見るハンドボールというスポーツに興味深々だった。

115 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/21(日) 11:17:15.97 ID:Ki30QSHu0
('、`*川「うわっ・・こんなに激しいスポーツなんだ」

オフェンスとディフェンスが組み合っている。必死にオフェンス陣のシュートを食い止めるために。

ξ;゚听)ξ 「凄いわね・・ブーン、怪我しなきゃいいけど・・」

その後、声も出さずにその様子を見ている二人だった。

そして前半もそろそろ終わろうとしている頃・・

サイド「うわっ!!」

ピーッ!

ファールの判定が出る。サイドはなかなか起き上がれない。

116 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/21(日) 11:17:32.62 ID:Ki30QSHu0
(;´∀`)「大丈夫モナ!?」

サイド「すいません・・すぐには立てないです」

(;´∀`)「仕方ない・・まだ早いかもしれないが。ブーン、行くモナよ!!」

( ^ω^)「あ、はいだお!!」

(´・ω・`)「先を越されちゃったね。緊張しなくていいんだよ?」

( ^ω^)「わかってるお!!」

その声は少し上擦っていた。

(´・ω・`)(やっぱり緊張しちゃってるな。でも僕に出来ることはもうない。ブーン自身が頑張るだけだよ)

ショボンはそれだけ思って、ブーンがグランドに出て行く姿を見つめていた。

117 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/21(日) 11:17:48.05 ID:Ki30QSHu0
ピーッ!!!試合が再開された。

('、`*川「あっ!ブーンちゃんが出てる!!」

ξ゚听)ξ 「えっ!?ホントに!!」

サイドの方を指差したペニサス。

ξ゚听)ξ 「ホントっ!そしたら早くデジタルカメラの準備しないと!!」

('、`*川「大丈夫!しっかり準備しといたよ!!」

なおも騒がしい観客席だった。

( ^ω^)「うぅ・・上手く動けないお」

初試合なので、最初は仕方ないかもしれないが、誰から見ても明らかにいつもの動きが出来ていないブーン。

119 : ◆gk43jgqTBM :2007/01/21(日) 11:18:06.13 ID:Ki30QSHu0
(;´∀`)「緊張しちゃダメモナー!!楽にいくモナ!!」

( ^ω^)「あっ!!」

キーパーがシュートを取った。それと同時に相手のゴールへとスタートを切る。

キーパー「ブーン!!!」

ロングパスが出される。ブーンは足が速かったので追いつく事は出来たが・・

(;^ω^)「あっ・・」

ボールを落としてしまった。そこを相手に狙われ、相手の二次速攻へとチェンジし、あっさりとゴールを決められてしまう。

ピッピッピッー!!そこで前半は終了する。ブーンは落ち込んだ様子でベンチへと戻っていった。

ξ゚听)ξ 「ブーンは一回の失敗を引きずる方だから・・心配ね」

('、`*川「ブーンちゃんならやってくれるはずだよ。私は信じてる」

観客席の二人も少し心配そうにブーンを見つめていた。
ブーンは後半、二人の望みにこたえることが出来るだろうか。

第四話 完


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