内藤エスカルゴ - 現行作品一覧 - (゚、゚トソントソンは猫達と戯れるようです - 第一話
1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/07(金) 00:26:03.01 ID:aYuLXTs30
                            .












   どこかでりん、と音がした。








                            .

2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/07(金) 00:28:32.57 ID:aYuLXTs30
目を覚ますと、一面の緑。
ぽかぽかと暖かな日の光を浴びながら、
私は芝生の上に横たわっていた。


(゚、゚;トソン「え?何ここ?」


ここがいったいどこなのか。
なんで私がここにいるのか。

何もかも、全くわからない。

ふと、左手首に痛みを感じた。
怪我はないようだが、いつも付けている腕時計もない。


(゚、゚トソン「……さて、どうしたものかしらね」


ここでぼうっとしてても誰も助けには来ないんだ。
もっとも、あちこち彷徨ったところで
誰か助けてくれる人がいるのかはわからないけど。

でも、動き出さないことには始まらない。

どこへ行けばいいのかなんてわからないけど
とにかく、歩き出してみよう。

そう決めて、顔を上げたそのとき――

3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/07(金) 00:31:54.03 ID:aYuLXTs30
「……っぱり……し……」


風が、かすかな声を運んできた。
そちらを向くと、うっそうとした森が見えた。


(゚、゚トソン「……え?」

「……ちゃ……おい……」


なんて言ってるのか、よく聞き取れないけれど
きっと誰かの話し声だ。

とりあえず、声がした方に向かってみよう。


私は立ち上がり、森の中に足を踏み入れた。

5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/07(金) 00:33:36.93 ID:aYuLXTs30
森の中は、昼間とは思えないほど薄暗かった。
そのせいもあってか、私は何度か転びそうになった。
まあ転びそうになったのは、もう一つ理由がある。


(゚、゚;トソン「……もう、何でこんな格好でこんなところに」


タイトスカートとパンプスで森を歩くなんて素人もいいところ。
まったく、私は何を考えてたんだろう……


(゚、゚トソン「違う、逆よ」


どうしてこんなところにいるのか覚えていないけれど、たぶん逆。

森に入るのにこんな格好をして来たんじゃなくって、
そもそもこんなところにいるのが予定外なんだ。

まさか、誘拐?


(゚、゚トソン「……そんな訳ないわよね」


営利目的なら、あんな風に放置されてるわけはない。
何かの口封じなら、とっくに殺されてるはず。

もう一つの可能性といえば……

9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/07(金) 00:35:33.35 ID:aYuLXTs30
ちょっと嫌な予感がした。

私はあわてて自分の体を眺め、ぽんぽんと体中を叩いて
衣服の乱れをチェックした。

(゚、゚トソン「……よし、大丈夫」

助かった。
嫌な予感は外れたみたい。

芝生の上に寝転がってたせいか、背中に少々葉っぱがついてたけど
服を脱がされたり着せられたりした感じはしなかった。

どうやら体目当ての拉致(性的な意味で)ってこともなさそう。

それはもちろんいい事なんだけど……
結局、どうしてこんな所にいるのか理由はわからないまま。


(゚、゚;トソン「うーん……」

「……りお……いお」

(゚、゚トソン「!!」


また、さっきの声だ。

とりあえず初心に帰ろう。
私は声を頼りに、薄暗い森の中を進んでいった。

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/07(金) 00:37:17.19 ID:aYuLXTs30
進んでいった先に、妙に明るい広場があった。

私がその明るい場所に足を踏み入れ、上を見上げると
何故かそこだけ、ぽっかりと空いていた。

それはまるで森の中を一部分だけ切り取って
さっき私が寝ていた芝生を持ってきたかのよう。


(゚、゚トソン「……あれ?」


森の中に不自然に存在する芝生の先に、
丸太を組んで作られた小屋があった。

近づいてみると、さっきの声がする。


「お茶はやっぱりおいしいお。何杯飲んでも飽きないお」

(゚、゚トソン「!!」


ここだ。
ここに誰か住んでるんだ。
私はノックもそこそこに、小屋のドアを開けた。


(゚、゚トソン「すみません、お邪魔します」

14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/07(金) 00:39:15.88 ID:aYuLXTs30











      ∧_∧   _______
     ( ^ω^)  . |\        \
     (つ旦と)  |\\        \
     と_)_)  .  \| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ |
        .. .      |_| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄.|_|





18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/07(金) 00:41:13.23 ID:aYuLXTs30
(゚、゚;トソン「……え?え?え?」


確かに声がしたはずなのに、誰もいない。
その代わりに、人間サイズの猫のぬいぐるみが
テーブルの脇に飾ってあった。


(゚、゚トソン「あれ?お留守?でも声がしたわよね……」


確かに声がしたのに、おかしい。


(゚、゚トソン「……」


それより……

だめ。
さすがに限界。
もう我慢できない。


20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/07(金) 00:43:33.99 ID:aYuLXTs30
(゚、゚*トソン「かわいぃぃぃぃぃ」


ぬこ大好き。

見も知らぬ人様のものなのに、
ついついそのぬいぐるみをぎゅーっと抱きしめてしまった。

そういうの似合わない、ってよく言われるんだけど
やっぱり猫が好き。


(゚、゚*トソン「うわぁ、もふもふしてる〜」


もふもふとした毛並みが生暖かい。

え……
生暖かい?
何でだろう?

ぬいぐるみを抱きながらそんな事を考えていたとき、
またどこからか声がした。


「ちょwwwwwwやめてくださいおwwwwww」

23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/07(金) 00:45:14.28 ID:aYuLXTs30
(゚、゚;トソン「え?」


びっくりして、ついついぬいぐるみを抱く腕に力が入ってしまった。


「……いくらなんでもセクハラですお」

(゚、゚;トソン「え?何?どちらにいらっしゃるんです?」

「どちらも何もwwwww目の前ですおwwww」

(゚、゚;トソン「目の前って……」

( ;^ω^)「お姉さんがさっきからぎゅーっとしてるじゃないですかお」

(゚、゚;トソン「え?え?えええええええええええええ?」

( *^ω^)「お姉さんの胸が当たって気持ちい……
      いや、そーいうのは良くないですお」

(゚、゚;トソン「ぬいぐるみが……しゃべってる……」

( ;^ω^)「だからぬいぐるみじゃなくって生きてますお」

(゚、゚;トソン「なんで、なんで生きてるのおおおおおお」

( ;^ω^)「……そう言われましても」


25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/07(金) 00:47:24.61 ID:aYuLXTs30
猫のぬいぐるみが……生きてる……

何これ?どういうこと?


( ^ω^)「しっかし人間の方なんて久しぶりに見ましたお」

(゚、゚;トソン「え゙」

( ^ω^)「ここに住んでるのは僕みたいに、二本足の猫ばっかりですお」

(゚、゚;トソン「人間……一人もいないの?」

( ^ω^)「…right。その通り。よく気付いたね」

(゚、゚;トソン「ええええええええええええええええ」


何よそれ……
知らない間に知らない世界に来ちゃうなんて……


(;、;トソン「そんな厨ニ病展開いやあああああああああ」

( ;^ω^)「……ちょっとまずい発言ですお」

(;、;トソン「いや厨ニ病な『お話』はね、あれはあれでいいの。
      でも自分がこんな目に遇うのは嫌あああああああ」

( ;^ω^)「……きっと当事者はみんなそう思ってますお」

27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/07(金) 00:49:41.27 ID:aYuLXTs30
【次回予告】

(゚、゚トソン「さーて、次回の『(゚、゚トソントソンが異世界で(ry』は!?」

( ;^ω^)「……タイトルが微妙に違う気がしますお」

ミ*゚∀゚彡キョウノゲストハ フーデス!

(゚、゚;トソン「あんた誰よ」

ミ*;∀;彡オネェヒャン ヒドーイ!!

( ;^ω^)「だからお前誰だお」

ミ*;∀;彡バカバカ!オジヒャン キライ!!

( ;ω;)「……おじさんって言われたお」

(゚、゚トソン「猫ちゃんっておっさんなの?」

( ;^ω^)「猫ちゃんって……僕にもちゃんと名前はありますお」

(゚、゚トソン「……名前は?」

(ヽ´ω`)「名前……ですかお……」

(゚、゚;トソン「何?どうしちゃったの?」


次回『猫の名前は』お楽しみに!!

29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/07(金) 00:50:58.86 ID:aYuLXTs30
――ふと、口からため息がもれた。


(゚、゚トソン「……なーんて馬鹿なことやってる場合じゃないわね」

( ^ω^)「……そのわりにはノリノリでしたお」

(゚、゚トソン「そう?」

( ;^ω^)「自覚ないんですかお?」

(゚、゚トソン「ないわよ。それより、さっきの子は誰?」

( ;^ω^)「知りませんお。あんな子見たことないですお」

(゚、゚;トソン「そ、そうなんだ」

( ;^ω^)「ま、まあそういうこともありますお」


……そういうことがある所なんだ、ここは。
それは用心しなきゃ。

そう言ったところで用心のしようもない、か。


気になったことはもう一つ。

33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/07(金) 00:52:14.43 ID:aYuLXTs30
(゚、゚トソン「そういえば、さっきいきなり落ち込んだじゃない?
     あれは何だったの?」

( ^ω^)「さっき?」

(゚、゚トソン「猫ちゃんの名前聞いたときよ」

(ヽ´ω`)「ああ……そのことですかお……」

(゚、゚;トソン「ちょ、ちょっと。嫌ならいいわよ?」

(ヽ´ω`)「……いや、大丈夫ですお」

(゚、゚;トソン「大丈夫な顔してないわよ」

(ヽ´ω`)「……いいんですお。名前、言いますお」

(゚、゚;トソン「無理しなくてもいいって」


……よっぽど嫌なんだ。
そんな変な名前なの?
それとも、何か思い出したくないことでも……


――思い出したくない、記憶――


また左の手首が痛んだ。

37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/07(金) 00:54:03.46 ID:aYuLXTs30
(ヽ´ω`)「……僕の名前は、本当は『ニコニコ君』って言うんですお」


……確かに変わった名前。
でも、そこまで嫌がることもないのでは?


あれ?


(゚、゚トソン「ねえ猫ちゃ……ごめん。ニコニコ君」

( ^ω^)「何ですかお?」

(゚、゚トソン「今言った『本当は』ってどういうこと?」

(ヽ´ω`)「……」


あ、まずいこと聞いちゃったのかな。


(ヽ´ω`)「それはですね――」


ばん、と乱暴にドアが開いた。

.∧w∧
( ,,゚Д゚)「ようブーン、遊びに来てやったぞフォルァ!」


39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/07(金) 00:56:29.02 ID:aYuLXTs30
また猫だ。
猫がとてとてと歩いて、この家に入ってきた。

.∧w∧
( ,,゚Д゚) 「お?お?おおおおお?」

( ^ω^)「どうしたんだお」
.∧w∧
( ,,゚Д゚)「どうしたもこうしたも、人間じゃねえか!」

(゚、゚トソン「……」


もしかして、この子達は人間が嫌いなのかな……

.∧w∧
( ,,゚Д゚)「どうしたってんだい姉ちゃん?
     ほーんと、人間なんて久しぶりに見るねぇ。
     生……いやいや。俺が昔飼われてたころ以来だな」


今入ってきた猫ちゃんは、嬉しそうに私の肩を叩いた。
よかった。とりあえず嫌われてはないみたい。

.∧w∧
( ,,゚Д゚)「おいおい元気だせよ、姉ちゃん。
     そうだ、あとで俺の家に来いよ。
     うんめえニラ茶飲ませてやっからよ」


40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/07(金) 00:58:37.14 ID:aYuLXTs30
( ^ω^)「ニラ茶猫、お前には一言言いたいことがあるお」
.∧w∧
( ,,゚Д゚)「なんだよ?」

( ^ω^)「至高のお茶は緑茶。これは譲れんお」
.∧w∧
(,,#゚Д゚)「あ゙ぁ?ニラ茶が究極に決まってんだろうがフォルァ!」

( ^ω^)「緑茶!」
.∧w∧
(,,#゚Д゚)「ニラ茶!」

( #^ω^)「緑茶!!」
.∧w∧
(,,#゚Д゚)「ニラ茶!!」

( #^ω^)「緑茶!!!」
.∧w∧
(,,#゚Д゚)「ニラ茶っつってんだろこの豚猫!!!」

(  ω )「今、何って言ったのかお?」
.∧w∧
(,,#゚Д゚)「ぶ・た・ね・こって言ったんだよ!
     耳まで悪いのかよ、このピザ!!」

(  ω )「……吐いた唾は飲まんとけお」



――漢たちの熱いバトルが、今始まろうとしていた。

41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/07(金) 01:00:35.91 ID:aYuLXTs30
……だからそんなこと言ってないで、止めないと。
聞きたいこともあるし。


(゚、゚;トソン「……あの〜」
.∧w∧
( ,,゚Д゚)「お、こいつぁすまねえ。姉ちゃんほっといて
     ブーンと揉めてる場合じゃねぇわな」

( #^ω^)「ニラ茶猫が黙って帰ればいいんだお」

(゚、゚トソン「うーん、確かにここでケンカされても困っちゃうんだけど、
     ちょっとさっきから気になることがあるのよ」
.∧w∧
( ,,゚Д゚)「おう、何でも聞いてくれやフォルァ!」

(゚、゚トソン「あなたはニラ茶猫さん、って言うの?」
.∧w∧
( ,,゚Д゚)「おうよ」

(゚、゚トソン「で、君は……」


私は日本茶好きの方の猫ちゃんに顔を向けた。


(゚、゚トソン「たしか『ニコニコ君』よね?」

(ヽ´ω`)「……はい、本当は」

45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/07(金) 01:02:23.78 ID:aYuLXTs30
.∧w∧
( ,,゚Д゚)「往生際がわりいんだよ、ブーン」

(゚、゚トソン「?」

(ヽ´ω`)「本当は『ニコニコ君』って名前なんですお。
      でもこいつのせいで、みんな『ブーン』って呼ぶんですお」
.∧w∧
(,,#゚Д゚)「うるせえよ豚猫!お前はブーン。
     ブーンって言ったらブーン!!」

(゚、゚トソン「何で『ブーン』なの?」
.∧w∧
( ,,゚Д゚)「その話をすると長いんだけどいいか?」

(゚、゚トソン「だめ、3行で」
.∧w∧
(,,;゚Д゚)「だめって……姉ちゃんもきついな」

(゚、゚トソン「はい1行。残り2行ね」
.∧w∧
(,,;゚Д゚)「それはないぜセニョリータ」

(゚、゚;トソン「何よセニョリータって……
      まあ、それは冗談だから。
      3行で頼むわね」
.∧w∧
(,,;゚Д゚)「俺と女房の
     昔の飼い主に
     そっくり」

46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/07(金) 01:04:14.27 ID:aYuLXTs30
……はぁ?


(゚、゚;トソン「えーっと、その飼い主さんがブーンって名前だったの?」
.∧w∧
( ,,゚Д゚)「どうやら本名は『内藤なんちゃら』らしいだけどな。
     そいつの母親もブーンって呼んでたし
     俺達はブーン、って名前で覚えてる」

(゚、゚トソン「飼い主さん、ってことは人間もいるのよね?」
.∧w∧
(,,;゚Д゚)「……」

(゚、゚トソン「?」
.∧w∧
( ,,゚Д゚)「……ここには人間はいねえ。いや、あんたくれえか。
     飼われてたのは俺達がここに来る前の話だ」

(゚、゚トソン「そっか……」


ここを出ない限り人間とは会えない、ってことか。

.∧w∧
( ,,゚Д゚)「俺も女房も、もう飼い主とは会えねえんだ。
     だから俺達はここに来る前の名前を捨てた」


何か、複雑な事情があるのかな……

48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/07(金) 01:06:13.16 ID:aYuLXTs30
.∧w∧
( ,,゚Д゚)「昔の名前にこだわってるのはブーンだけなんだ」

(  ω )「……別にそんなんじゃないお」
.∧w∧
( ,,゚Д゚)「じゃあブーンでいいじゃねえか」

(ヽ´ω`)「昔のことにこだわってるわけじゃないんだお。
      でも『ブーン』はあんまりだお」
.∧w∧
( ,,゚Д゚)「じゃあ他にいい名前があるのかフォルア!」

(ヽ´ω`)「……ないお」

(゚、゚トソン「本当の名前にはこだわってないの?
     ただ『ブーン』って名前が嫌なだけ?」

(ヽ´ω`)「そうですお」
.∧w∧
(,,#゚Д゚)「いい名前じゃねえかブーンって」

(゚、゚トソン「何でそんなに嫌なの?」

( ;^ω^)「だってその名前の由来ってこんなんですお?」


そういうと彼は不意に立ち上がって、外に飛び出した。


( ^ω^)「よーく見ててくださいお」

53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/07(金) 01:09:42.61 ID:aYuLXTs30
(゚、゚*トソン「ちょwwwwww何それwwwwwwwwwwww」
.∧w∧
(,,*゚Д゚)「うはwwwwwwww久しぶりに見たwwwwwwww」


私たちが笑う姿を見て、ブーンは足を止めてこちらを見た。


( ;ω;)「だから、だから嫌だって言ってるんですお!!」

(゚、゚*トソン「ごめwwwwwwwwでもwwwwwwwwwww」
.∧w∧
(,,*゚Д゚)「別にいいじゃねえかよwwwwwwwwwwwwww
     つかお前はもっと走って痩せろwwwwwwwww」

( #^ω^)「大きなお世話だお」

(゚、゚トソン「別に痩せなくてもいいんじゃない?
     そのくらいがちょうど可愛いわよ」

( *^ω^)ニッコリ
.∧w∧
( ,,゚Д゚)「姉ちゃんがそーやって甘やかすから
     こいつがブクブク太るんだって」

(゚、゚;トソン「あたし今北ばっかりなんだけど」
.∧w∧
(,,;゚Д゚)「ですよねー」

55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/07(金) 01:11:10.53 ID:aYuLXTs30
( #^ω^)「僕はピザじゃないですお」

(゚、゚トソン「うんうん、そのくらいでいいわよ。
     あんまり痩せるとかわいくないもの」

( *^ω^)「ですよねー」
.∧w∧
( ,,゚Д゚)「いや、どう見たってピザだろ……」

( ^ω^)「お?じゃあ、なんでお前の方が走るの遅いんだお?
      あー、短足だからか。こりゃ失礼したお」
.∧w∧
(,,#゚Д゚) 「んだと?ちょっと待てやファルァ!!
      じゃあ、うちまで競争するか?」

( ^ω^)「望むところだお」

(゚、゚;トソン「え?え?」


そういうと2匹の猫ちゃんたちは、この家を飛び出す。
私もあわててあとを追いかけた。

57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/07(金) 01:13:17.54 ID:aYuLXTs30
ブーンもニラ茶猫も、とても足が速かった。
タイトスカートとパンプスの私は
あっというまに彼らを見失った。

それでも一人であの家に戻る気にもなれず、
とぼとぼと歩いていた。


――また、おいてきぼり。


(゚、゚トソン「……」


……歩こう。
とりあえず歩こう。

歩き疲れて棒になった足で、
それでも私は歩き出した。

でも、こっちの方で本当にいいのかな?

自信がないまま、とぼとぼと歩いていたら
木の根っこに足を引っかけてしまった。



60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/07(金) 01:15:14.61 ID:aYuLXTs30
( 、 トソン「……」


あ。
だめだ。
泣きそう。

転んだ瞬間、いろいろな感情が一気に溢れてきた。

最後のプライドで涙をこらえた。
何とか泣かずにすんだけど、もう立つ気力がない。

暗い森の中でひとり、
膝をついて四つんばいになっていた。

まるで、私の方が猫になったみたい。


――いっそ猫になってしまった方が、幸せなのかも。


なぜかわからないけど、ふとそう思った。

そんなとき、誰かが私の肩を叩いた。

62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/07(金) 01:17:12.77 ID:aYuLXTs30
( ^ω^)ニッコリ

(゚、゚トソン「あ!」


猫ちゃん!!
あ、えーっと、ブーン。


( ;^ω^)「ついつい夢中になって走ってしまいましたお……
      申し訳ないことしましたお」

(゚、゚トソン「戻って……きてくれたの?」

( ^ω^)「当然ですお。あんな味おんち猫よりも
      お姉さんのほうが、どう考えても大切ですお」


ブーンはそういうと、私に手を差しのべてきた。
私がその手をつかむと――

65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/07(金) 01:19:36.42 ID:aYuLXTs30
(゚、゚トソン「!」

( ^ω^)「?」


……にくきぅ。
大きな猫ちゃんの、大きなにくきぅ。


(゚、゚*トソン「うわぁ〜」


えぃ。
えぃえぃ、えぃ。

私がブーンのにくきぅを嬉しそうに指でつついていると
ブーンは、いぶかしげに声をかけてきた。


( ;^ω^)「お姉さん、立たないんですかお?」

(゚、゚;トソン「あ、ごめんごめん」


改めて、差し出された手(前足?)を握って
私は立ち上がった。

70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/07(金) 01:21:22.24 ID:aYuLXTs30
( *^ω^)「お姉さん、軽いお!正直びっくりしましたお」

(゚、゚トソン「お世辞なんか言っても何も出ないわよ」

( ^ω^)「いやいやmjd」

(゚、゚*トソン「そう?じゃ、素直に喜んでおくわね」


そう言いながら、膝やおしりをぱんぱんと叩いて
葉っぱなんかのゴミを払っていると、
ブーンはもう一度手を差し出してきた。


(゚、゚トソン「?」

( ^ω^)「僕らと違ってお姉さんは夜目が効かないお。
      また転ぶといけないから、
      手をつないでいきましょうお」

(゚、゚*トソン「……ありがと」

( *^ω^)「……」


私は差し出された手をぎゅっと握り締めた。
ふさふさの、あったかい手。

そのまま手をつないで、二人で歩き始めた。


71 名前: ◆DrxFnqT9pw :2008/03/07(金) 01:23:06.45 ID:aYuLXTs30





          ∩∩
         | | | |
       ( ゚ω゚)< 第一話 ここまで
       。ノДヽ。
        bb




72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/07(金) 01:24:02.55 ID:gg45fn2+O
乙!和んだ

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