( ><)わかんないんですが謎を解きながら旅をするようです
- 1 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/02(金) 22:15:30.35 ID:+ljZgzzb0
- 昨日投下した第一話から貼り直します
- 2 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/02(金) 22:15:46.90 ID:vZdNcX8x0
- 。oO ( ) >>1
(´-ω-`) スピー ノ( * )ヽ
(∩ ∩) ノωヽ
( )
Σ(´・ω-`) ハッ!! ブリブリ ノ( * )ヽ
(∩ ∩) ●彡ノωヽ
ドドドドド
ヘ(`・ω・)ノ
≡ ( ┐ノ
:。; / ●
自由には責任が伴う 自由だけ振り回す社会はダメ
(`・ω・´) ということで、この糞スレ終了
(ノ●\)
- 3 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/02(金) 22:16:29.50 ID:+ljZgzzb0
- 第一話『ぽっぽ村』
大陸の南端に位置する小さな集落・ぽっぽ村。
ここでは他の町のように活発な経済活動が行われる事もなく、田舎ののんびりした景色を楽しみに観光客がやってきて賑わう事もなかった。
ただ今日も穏やかな空気が漂っているだけであった。
少しずつ弱くなっていく日ざしが青い空を照らしているこの日に、ある一人の人物が自分の畑で育った農作物の収穫をしていた。
( ><)「今年もみかんが一杯採れたんです!」
わかんないんですは木からもぎ取ったみかんを次々と籠に入れていった。
みかんの木にはまだ熟していない青い実もいくつかなっているものの、緑色の葉の中には美味しそうなオレンジ色が見え隠れしていた。
わかんないんですは実がぶら下がっている枝を、高枝切りバサミでひとつひとつ丁寧に切り取っていった。
( ><)「ふう、これで全部なんです」
わかんないんですはたくさんのみかんが入った籠を倉庫へと運んだ。その中には本日収穫したばかりのみかんが山の様に詰まれていた。
運んできた実をその山の中に加えると、その場に座り込みタオルで汗を拭いて一休みをした。
( ><)「あっ! 忘れていたんです!」
わかんないんですは大切な事を思い出し、急いで空の籠を背負ってハサミを持ち、急いでみかん畑に戻って行った。
そして畑の一番東の端にある、他の木とは少し距離を置いて植えられている木へと向かったのであった。
( ><)「この木を忘れちゃいけないんです!」
その木になっている熟れた実を全て収穫すると、それを倉庫には持って行かずに自宅へと運んだ。
それから実についている枝を取り、皮を洗い、綺麗な布で丁寧に包んだ。
そして取れたてのそれと共に家を出ると、真っ直ぐに親友の家へと向かったのである。
- 4 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/02(金) 22:17:07.09 ID:+ljZgzzb0
- それはまだ、わかんないんですが親友と出会ったばかりの頃の事であった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
( ><)『ちんぽっぽちゃんは本当にみかんが好きなんですね』
(*‘ω‘*)『ちんぽっぽ』
( ><)『じゃあこれからは、毎年この木になったみかんを全部ちんぽっぽちゃんにあげるんです!』
(*‘ω‘*)『ちんぽっぽー!!』
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
わかんないんですはこの年もその約束を守り、約束の木から収穫したみかんをちんぽっぽの家へ届けに行ったのである。
( ><)「ちんぽっぽちゃん、みかん持ってきたんです!」
わかんないんですはそう叫びながらちんぽっぽ家の玄関を叩いた。
その次の瞬間、扉の内側からドドドドという激しい足音が響いてこちらに迫ってきた。
(*‘ω‘*)「ちんぽっぽおおおおおー!」
(;><)「キャーなんです!」
嬉しさの余りちんぽっぽが勢いよく扉を開いた為、わかんないんですは開いた扉にぶつかって
どかぼいんっ!
と吹き飛ばされてしまったのであった。
- 5 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/02(金) 22:17:39.81 ID:+ljZgzzb0
- (*‘ω‘*)「ごめぽっぽ……」
( ><)「大丈夫なんです……あいたたた」
わかんないんですは頭にこぶを作りながらも、みかんをちんぽっぽの部屋へと運んできた。
テーブルの上で包みを広げるとその中からはたくさんの実が姿を現した。
それを見たちんぽっぽはいても立ってもいられなくなって部屋中を飛び回り始めた。
(*‘ω‘*)「ちんぽっぽ! ちんぽっぽ! ちんぽっぽ!」
ボインボインと言う軽快な音を立てて跳びつつもみかんを片っ端から口に含んでいった。
((( *)‘ω‘(* )))「ばくぼいんっ!」
( ><)「とっても速いんです! というか皮を剥いて下さいなんです!」
見る見る内にみかんが消えていくその様子はまるで素晴らしい手品を見ているかのようであった。
そしてみかんの山が小さくなってくるにつれて下の方に積まれていたみかんが次々と顔を出してくるようになった。
その時ふと、わかんないんですはその中に不思議なものを見つけたのだった。
( ><)「あれ……このみかんだけ皮がちょっと赤いんです」
わかんないんですは問題のみかんを手にとり、じっと観察してみた。
他のみかんと比べると若干皮が赤みががっており、不思議な色をしていた。
(;><)「なんでこんな風になっているのかわかんないんです」
- 6 名前: ◆NAGATO/lYY :2007/03/02(金) 22:18:01.92 ID:V6M+MXzz0
- よぅ、ちんぽっぽ…
∧_∧ ∧_∧
( ・∀・) ∧ ∧ ちんぽっぽ? (´∀` ) プッ、びびんなよ
( ) (*‘ω‘;*) ( )
| | |. ( ) | | |
(__)_) v v (_(__)
おらあああ!! ちっと遊ぶだけだからよお!!!
ちんぽっ…! ∧_∧
―=≡三 ∧_∧ \从从/// (´∀` ) 三≡=―
―=≡三と( ・∀・)つ''"´" ⌒_ノ;*;''"´"''::;:,( つ 三≡=―
―=≡三 ヽ  ̄ ̄⌒)>“ω(;;;((⌒ ̄ ̄ ̄_ ) 三≡=―
―=≡三 / / ̄ ̄´""'''¨ (;;#':*,')´''::;;;;::'''"´ ̄ヽ \ 三≡=―
―=≡三 \__); /// v v \\\ (__) 三≡=―
- 7 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/02(金) 22:18:22.99 ID:+ljZgzzb0
- その次の瞬間、ちんぽっぽは目にも止まらぬ速さでわかんないんですに接近してきた。
そして本能のままに素早く赤いみかんにかぶりついたのであった。
((( *)‘ω‘(* )))「がぶぼいんっ!」
(;><)「キャーー! なんですーーー!」
その時勢い余ってちんぽっぽはわかんないんですの手も一緒に噛んでしまった。
わかんないんですは素早く手を引っ込めたものの、そこにはしっかりと歯型が残っていた。
(;><)「うわわわわ! 痛いんです!」
わかんないんですは手を抑えて痛みを堪えた。そしてすぐにちんぽっぽの家を出ると、飛ぶように自分の家へと帰った。
手にしっかりと包帯を巻いて治療をしたものの、まだじんじんと痛みが残っていた。
(# ><)「ちんぽっぽちゃんも酷いんです、明日になったら怒ってやるんです!」
その晩わかんないんですはベッドの中で、ちんぽっぽにどう言って叱ってやろうかと考えながら眠りに付いたのであった。
- 8 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/02(金) 22:18:52.16 ID:+ljZgzzb0
- 翌朝、わかんないんですは起きてすぐ身支度を整えると、真っ先にちんぽっぽの家へと向かった。
(# ><)「ちんぽっぽちゃん! お話があるんです! 出てきて下さいなんです!」
わかんないんですは怒鳴りながら玄関の扉を叩いていた。しかしちんぽっぽが扉を開けて出てくる様子は一向に見られなかった。
(# ><)「来ないんだったらこっちから行ってやるんです!」
わかんないんですは勝手に扉を開けて家の中へと入った。そして家中を歩き回ってちんぽっぽを探し始めた。
(# ><)「噛まれた時とっても痛かったんです! もう怒ったんです!」
しかしいくらわかんないんですが大声をあげようと、ちんぽっぽがそれに対して返事をする事は無かった。
そしていくら探してもちんぽっぽの姿は見当たらなかった。
やがて怒りよりも不安の方が大きくなっていき、わかんないんですの声はだんだんと小さくなっていった。
( ><)「何処に……何処にいるんですか? わかんないんですから教えてくださいなんです」
家の中をあちこち見て回った後、最後にまだ見ていなかった寝室へとやって来た。
そしてそうっとその部屋のドアを開けて中を覗き込んだ。
- 9 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/02(金) 22:19:19.09 ID:+ljZgzzb0
- 部屋の隅には一台のベッドが置かれていた。その上にかけてある布団はこんもりと膨らんでいた。
( ><)「ちんぽっぽちゃん、寝てるんですか?」
わかんないんですは足音を立てないようにそろそろと寝室に入った。
ベッドが近付くにつれてその上で眠っているちんぽっぽの寝顔が良く見えるようになってきた。
(*−ω−*)「………」
( ><)「ちんぽっぽちゃん、起きてくださいなんです」
わかんないんですは布団をぺしぺしと叩いたり、耳元で起きてくださいと囁いたりして、何とかちんぽっぽの目を覚まさせようとした。
しかしいくら刺激を与えても、ちんぽっぽがそれに対する反応を見せる事は無かった。
( ><)「寝坊しちゃ駄目なんです」
わかんないんですは直接顔を叩けば目を覚ますだろうと思い、ちんぽっぽの顔を軽く叩いた。
そしてその時、ちんぽっぽの体が異様に熱くなっている事に気が付いた。
(;><)「あ、熱いんです! 大変なんです!」
これはただ事ではないと察したわかんないんですは、すぐに外へ飛び出した。
(;><)「ちんぽっぽちゃん待っててください! 今お医者さんを呼んでくるんです!」
- 10 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/02(金) 22:19:39.76 ID:+ljZgzzb0
- わかんないんですは病院へ向かって走っていた。その途中で、一つの影がさっと現れてその行く手遮った。
( <●><●>)「わかんないんですさん、おはようございます」
(;><)「わかってますちゃん、どいて下さいなんです!」
わかんないんですはわかってますを避けてそのまま駆け出そうとした。
しかしわかってますはその大きな体でわかんないんですを抑えて動かないようにしてしまった。
(;><)「止めて下さい! 急いでるんです!」
( <●><●>)「落ち着いて私の話を聞いてくれませんか? ちんぽっぽちゃんが病気になってしまったという事はわかってます」
(;><)「わかってるんだったら早くどいて下さいなんです!」
( <●><●>)「医者なら先程私が呼んでおきました。だから落ち着いてください」
(;><)「……えっ? そうなんですか?」
わかんないんですはそれを聞いて安心し、走り出そうとするのを止めてぴたっと動きを止めた。
( <●><●>)「わかんないんですさんに大事なお話があります。最後までしっかり聞いてくださいね」
( ><)「わかんな……わかったんです!」
二人はその場に座り込んで話を始めた。
( <●><●>)「ちんぽっぽちゃんは『みかん熱』と言う病気にかかっています」
- 11 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/02(金) 22:19:47.16 ID:25DF/NiW0
- 復活ktkr!
- 12 名前:うんこ ◆8CxA9xwU4w :2007/03/02(金) 22:20:42.25 ID:ev42ziVM0
- ちんぽぽ( *)‘ω‘(* )
- 13 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/02(金) 22:22:13.89 ID:+ljZgzzb0
- ( ><)「みかん熱って何なんですか? わかんないんです」
( <●><●>)「文字通りみかんが原因でおこる病気です。みかんが育つ過程でみかんの中に体に悪い毒が作られてしまう事があります。
それを食べてしまうと毒が体中に回って、とても高い熱を出してしまうのです」
( ><)「みかんの……毒?」
その話を聞いてわかんないんですは昨日の事を思い出した。
たくさんのみかんの中に一つだけ赤いみかんがあった事を、そしてそれをちんぽっぽが食べてしまった事をはっきりと覚えていた。
( ><)「赤いみかんなんです! あれが毒のみかんだったんです!」
( <●><●>)「毒が発生したみかんは皮の色が変わってしまうという事もわかっています。おそらくそれで間違いないでしょう」
(;><)「……」
( <●><●>)「さて、みかん熱はとても厄介な病気で、なかなか治らないのです。その上放っておけば命にも関わります」
それを聞いた途端、わかんないんですの目からぽろぽろと大粒の涙がこぼれ始めた。
そして途切れ途切れに小さな声が口の端から漏れ出していた。
( ><)「……僕の所為なんです、僕のみかんの所為なんです………僕の所為でちんぽっぽちゃんが………」
( <●><●>)「泣き止んでください、わかんないですさん」
( ><)「ちんぽっぽちゃんが……死んじゃ………」
わかってますはぽんとわかってますの肩を叩いた。
( <●><●>)「大丈夫です。ちんぽっぽちゃんを助ける方法ならわかっています」
- 14 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/02(金) 22:23:52.88 ID:RMG8CRCQ0
- AA板でやれ
- 15 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/02(金) 22:24:40.94 ID:+ljZgzzb0
- ( ><)「ほ……本当なんですか!?」
( <●><●>)「勿論ですとも。これでも予言士の端くれ、えきびょう・だいこうずい・おおじしん・てんちほうかい、どんな事でもわかってます」
(;><)「……よくわかんないんですけど、今言ったのは色んな意味で物凄く危ないような気がするんです」
わかってますは村一番の物知りであり、更に未来を見通す力があるとも言われている。
何でもかんでもわかってますと言うが、一体どうやってそれを知りえているのかは謎に包まれている。
( <●><●>)「ちんぽっぽちゃんを助ける為には『世界樹の実』が必要です」
( ><)「世界樹って、よく絵本に出てくる世界樹の事なんですか?」
わかんないんですは幼い頃に絵本の中で世界樹と言う言葉を聞いた事があった。
本の中ではそれは世界のどこかに生えている大きな木の事であり、この世の全ての命を支える力の源であると説明されていた。
絵本の主人公である王子様は、死にそうになっているお姫様を助ける為に旅をして、見事に世界樹になる実を手に入れたのであった。
( ><)「でもあれは御伽噺なんです」
( <●><●>)「御伽ではありません、世界樹はこの世に存在しています」
(;><)「ほ、本当なんですか!?」
( <●><●>)「ええ」
(;><)「本当に本当なんですか!?」
( <●><●>)「このままでは切りが無いという事はわかってます」
驚いているわかんないんですを落ち着かせてから、わかってますは話を再開した。
- 16 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/02(金) 22:27:16.84 ID:+ljZgzzb0
- ( <●><●>)「毒によってちんぽっぽちゃんの命はどんどん削られています。
そのため命の源である世界樹の実を食べさせて回復させなければなりません」
今正に昔読んだ絵本とそっくりな出来事が起ころうとしていた。しかし全てが絵本と同じと言う訳ではなかった。
( ><)「でも、誰がそれを取りに行けばいいのかわかんないんです」
絵本にはお姫様を助けに行く勇敢な王子様がいたが、今ここにその役をする事が出来る者がいるとは思えなかったのである。
( <●><●>)「それが誰なのかはわかってます」
( ><)「え? 誰なんですか?」
m9( <●><●> )
( ><)「え、だから誰なんで……」
わかんないんですは最初は鈍くてなかなか気が付く事が出来なかった。
しかし数秒後にはわかってますが指を向けている人物が誰なのかを理解する事が出来た。
(;><)「……もしかして……僕なんですか?」
( <●><●>)「私の予言によって、あなたがちんぽっぽちゃんを助けるのにもっとも相応しい人物であるという事がわかりました。
私はそれを伝えにきたのです」
(;><)「え……えええええええええええっ!?」
わかんないんですの顔はたちまちに噴出してきた汗によって光を反射し、てかてかと輝き始めていた。
- 17 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/02(金) 22:29:37.32 ID:+ljZgzzb0
- (;><)「何で僕なんですか? わかんないんです!」
( <●><●>)「私には勿論その理由がわかっていますが、敢えて教えない事にします」
(;><)「わかってますちゃんの意地悪なんです!」
わかんないんですはパニックに陥っていた。
絵本の中の王子様は旅の途中で大きな鷹に襲われたり、大蛇に巻き疲れて絞め殺されそうになったりしていた。
それから狼に食べられそうになったりしていた事も思い出した。
自分がそんな危険な旅に出る事になってしまったのかと思うと、全身ががくがくと震えだして止まらないのであった。
( <●><●>)「と言う訳です、世界樹へと旅をしていはいだけませんか?」
(((;><))「嫌なんです! 嫌なんです!」
( <●><●>)「……どうしてもと言うのであれば、私が行く事にしますが」
(((;><))「怖いんです! 怖いんです! 行きたくなんかないんで………」
そこまで言葉を発した時、わかんないんですの脳裏にある映像がよぎった。それはちんぽっぽと遊んだ時の思い出であった。
- 18 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/02(金) 22:30:13.21 ID:yaTnfJAf0
- 支援支援
- 19 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/02(金) 22:31:58.12 ID:+ljZgzzb0
- (*‘ω‘*)『ちんぽっぽ!』
( ><)『ちんぽっぽちゃん、待ってくださいなんです』
(*‘ω‘*)『ちんぽっぽー♪』
(;><)『キャッ! 転んじゃったなんです!』
(;><)『えーんえーん、痛いんです』
(*‘ω‘*)っ『………』
( ><)『……手を貸してくれるんですか?』
(*‘ω‘*)『ちんぽっぽ』
あの日ちんぽっぽは怪我をした自分を背負って家まで運んでくれた。
それだけではなく、一緒にみかんを食べながらお月見をしたり、誕生日をお祝いしたり、遠くに出かけた事もあった。
ちんぽっぽのエキサイト振りに振り回されて大変な目に遭う事もしばしばであったが、一緒に過ごす時間はとてもとても楽しかった。
- 20 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/02(金) 22:34:13.88 ID:+ljZgzzb0
- ( ><)「……行くんです」
( <●><●>)「……おや?」
( ><)「ちんぽっぽちゃんが病気になったのは僕の所為なんです。だから僕が行かなきゃいけないんです」
ちんぽっぽがあのまま目を覚まさなくなってしまったら、もう一緒に楽しい思いをする事が出来なくなってしまう。
わかんないんですにとって、それは鷹に襲われる事よりも何よりも嫌な事であった。
( ><)「ちんぽっぽちゃんは僕の大切な友達なんです! 僕が絶対に助けるんです!」
わかんないんですはわかってますに背を向けると、一目散に自宅へ向かって駆け出した。
( <●><●>)「あなたがそう言ってくれると言う事はわかっていましたよ」
そしてわかってますもゆっくりとわかんないんですの後を追っていったのであった。
- 21 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/02(金) 22:36:47.73 ID:+ljZgzzb0
- 家に帰ったわかんないんですは、早速旅に出る為の準備を始めた。
( ><)「えーっと、歯ブラシと、枕と、帽子と時計と……」
気が付けばリュックの中には湯飲みや洗濯バサミや砂時計など、長旅では邪魔になりそうな日用品で溢れ返っていた。
(;><)「……あんまり旅行した事無いから何を持っていけば良いのかわかんないんです」
( <●><●>)「持ち物の事で困っているという事はわかってます」
(;><)「わかってますちゃん! いつの間に家に入ったんですか!?」
( <●><●>)「カギを使わないでドアを開ける方法もわかってます」
それからわかんないんですは、わかってますの助言を受けながら荷物を整えていった。
( <●><●>)「水はとても重いので一度にたくさん運ぼうとせず、必要な分だけにしてください」
( ><)「わかんな……わかったんです」
( <●><●>)「北の方へ行くと夜はとても冷えるので、野宿の際には毛布を忘れないようにしてください」
( ><)「わかんな……わかったんです」
( <●><●>)「余程深い森や山に入らない限り猛獣が出て来る事はないので、武器は必要ありません」
( ><)「でも絵本だと怖い動物が一杯出てくるんです」
( <●><●>)「あれはお話を盛り上げる為のものです、安心して下さい」
- 22 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/02(金) 22:39:21.12 ID:+ljZgzzb0
- ( ><)「わかんな……わかったんです」
わかんないんですの要領の悪さの所為でなかなかはかどらなかったものの、二人は一通りの荷物をまとめ終える事が出来た。
そしてわかんないんですはリュックと寝袋を背負い、玄関のドアを開けて外へと一歩を踏み出した。
( ><)「わかってますちゃん、ちんぽっぽちゃん、行ってくるんです!」
その決意を胸に抱き、住み慣れた村を後にしたのであった………
(;><)「……どっちに行けば良いのかわかんないんです」
わかんないんですは村の入り口で立ち尽くしていた。
- 23 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/02(金) 22:41:47.86 ID:+ljZgzzb0
- ( <●><●>)「こうなる勿論事はわかっていました」
(;><)「だったら先に教えてくださいなんです。世界樹って何処にあるんですか? わかんないんです」
( <●><●>)「……恥ずかしながら、それは私にもわからないのです」
(;><)「ええーっ……」
しかしわかってますは動揺するわかんないんですを尻目に落ち着いた様子で、真っ直ぐ北を指してこう言った。
( <●><●>)「ここから北に行くと『スナオの町』と言う大きな町があります。そこならばたくさんの情報を得る事が出来る筈です。
そこで世界樹について調べると宜しいでしょう」
( ><)「わかんな……わかったんです!」
( <●><●>)「それと、これを持っていってください」
わかんないんですはわかってますが手渡したものを受け取った。
( ><)「……? これは何に使うんですか? わかんないんです」
それは小さな鍵であった。どうやらとても古いもののようで、元は銀色と思しきメッキが白くくすんでいた。
それを手にとると、鍵に触れている部分がじんわりと温かくなってくるような感覚が伝わってきた。
( <●><●>)「これはわが一族の家宝です。
何かわからない事があった時にこの鍵を使うと、その問題を解く為のヒント……つまり『鍵』を教えてくれるのです」
( ><)「本当ですか! とっても凄いんです!」
( <●><●>)「あなたの事ですから、これから先色々な問題に直面する事になるのはわかってます。そんな時にこれを役立てて下さい」
- 24 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/02(金) 22:44:24.39 ID:+ljZgzzb0
- ( ><)「わかんな……わかったんです!」
わかんないんですは再び前を向き、いよいよ村から外に向かって一歩踏みだそうとした。
しかし踏み出そうとした瞬間、わかってますはわかんないんですのリュックを掴んで足止めをしてきたのである。
( <●><●>)「おっと、その前にもう一つ言いたい事があります」
(;><)「まだあるんですか?」
( <●><●>)「その鍵はとても便利なものです。しかし安易に使うような事はしないでいただきたいのです」
( ><)「え? どうしてですか? わかんないんです」
( <●><●>)「鍵の力を使えば確かにどんな事でもすぐにわかります。しかし鍵に頼ってばかりではいけません」
( ><)「……はいなんです」
( <●><●>)「余りに鍵に頼りすぎていると、鍵もヒントを教えてくれなくなってしまいます。
わからない事があったらまず自分で出来る限り考えたり調べたりするようにして下さい」
( ><)「わかんな……わかったんです」
( <●><●>)「どうしてもわからない時にだけ、鍵の力を使ってください。わかりましたか?」
( ><)「わかんな……わかったんです!!」
- 25 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/02(金) 22:47:04.25 ID:0CdyCVrL0
- しえんtk
- 26 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/02(金) 22:47:56.38 ID:T0yoluuuO
- wktk
- 27 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/02(金) 22:47:58.23 ID:+ljZgzzb0
- 今度こそわかんないんですは胸を張って前を向き、そして一歩踏み出して村を出ていった。
( ><)「行ってくるんです!」
( <●><●>)「行ってらっしゃい。無事を祈っています」
わかってますはわかんないんですの姿が見えなくなるまで、ずっとその場に立って見送っていた。
そしてわかんないんですの背中が完全に見えなくなった頃に、わかってますはポツリと呟いた。
( <●><●>)「……本当は世界樹が何処にあるのかという事も全部わかっています。
しかしそれを教えない事がわかんないんですさんにとって良い結果をもたらすという事もわかってます。どうか許してください」
わかってますはわかんないんですが向かった方向を向き、両手を合わせて深く頭を下げた。
全てをわかってしまっているからこそ、自ら行う事の出来ない行動があると言う事を、わかってますは良くわかっていた。
だがこの時ばかりこそ、それを辛いと思った事は無かった。
( <●><●>)「それでもあなたならきっと……」
- 28 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/02(金) 22:49:41.73 ID:0CdyCVrL0
- どうでもいいけど謎解き要素入れるとネタ切れが大変だよ(´・ω・`)ダイジョブカナ
- 29 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/02(金) 22:50:49.60 ID:G7OwmCb50
- そんな心配はネタが切れた時にすればいい
よね?
- 30 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/02(金) 22:50:53.80 ID:+ljZgzzb0
- 一方、わかんないんですは真っ直ぐに道を進み、スナオの町に向かっていた。
平坦な草原をただ歩いて行くだけであったので、道に迷ったり凶暴な動物に襲われたりする事は無かった。
その代り同じ様な景色ばかりがずっと続いていて、思わず「無限ループって怖くね?」と言う気分になってしまいそうであった。
(;><)「歩きっ放しは疲れるんです……」
やがて空が夕日に染まって色付き始めた頃の事であった。前方に小さな立て札がたっているのを見つけたのだった。
( ><)「なんて書いてあるんでしょう」
↑
←left center right→
( ><)「左・真ん中・右?」
改めて前方を見てみれば、その先の道は立て札に書かれている通りに三方に分かれていた。
(;><)「……町に行くにはどっちに行けば良いのかわかんないんです」
- 31 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/02(金) 22:53:44.46 ID:0CdyCVrL0
- さる回避
- 32 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/02(金) 22:54:26.38 ID:+ljZgzzb0
- わかんないんですは立て札をもっと良く見てみる事にした。矢印が書いてあるその下には、このように書かれていた。
『スナオの町へ行くには、7 15 19 20 18 1 9 7 8 20』
(;><)「な、何で途中から数字なんですか? わかんないんです!」
この謎の言葉はわかんないんですを大いに悩ませた。どう読めば良いのか全く見当をつける事も出来なかった。
また空もだんだんと暗くなり始めており、風も少しずつ冷たくなっていた。
(;><)「いきなり野宿は嫌なんです、早く町に行きたいんです」
その時、わかってますから渡された鍵の事を思い出した。
( ><)「そうなんです、この鍵を使えば……」
わかんないんですはわかってますの鍵を荷物の中から取り出そうとした。
しかし実際に鍵を手に取った瞬間に、わかってますが言っていた大切な事を思い出した。
( ><)「……すぐ鍵に頼っちゃ駄目だったんです」
そしてまたすぐに鍵を仕舞った。
( ><)「とっても難しいんです、でも頑張って考えてみるんです!」
わかんないんですは立て札の前に座り込み、じっと謎の言葉について考え始めたのであった……
第一話 終
- 33 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/02(金) 22:55:20.54 ID:+ljZgzzb0
- 一旦休憩します
10分くらいしたら再開します
- 34 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/02(金) 22:57:40.87 ID:0CdyCVrL0
- おつー、マイペースよ!
- 35 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/02(金) 23:05:10.56 ID:lx2lk4mZ0
- さっぱりわかんないんです(><)
- 36 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/02(金) 23:06:17.02 ID:+ljZgzzb0
- ( <●><●>) これより第二話を投下したいと思います
(U )つ とその前に、前回の謎の答えについて解説を致しましょう
u u 皆さんはとっくにお分かりでしょうが、まあ一応と言う訳で……
『スナオの町へ行くには、7 15 19 20 18 1 9 7 8 20』
( <●><●>)
これが前回の問題です 肝心の町へ行く道を示した部分が数字になっています
このままでは勿論読む事が出来ません 何か読めるように別の言葉に置き換えなければなりません
と言っても一体何に置き換えればいいのでしょうか
ポイントは同じくこの立て札に書かれている
↑
←left center right→
と言う表示です
- 37 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/02(金) 23:06:41.81 ID:0CdyCVrL0
- !わかったけど書いたらただの厨なので書きません><
本当はわかんないなんていえないんです( ><)
- 38 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/02(金) 23:08:35.96 ID:+ljZgzzb0
- ( <●><●>)
方向がすべて英語で書かれています
これは先程の数字を「英語へ変換する」と言う事を示しているのです
「7 15 19 20 18 1 9 7 8 20」
この数字をABC……と数えた時に対応するアルファベットに置き換えると
「g o s t r a i g h t」
更に適切な個所で区切ると
「Go straight」
( <●><●>)
ゴー ストレート…「真っ直ぐに進め」
つまれスナオの町に行く為の道は「真ん中の道」と言う事になります
そう言えばかの有名なホラー小説「らせん」にもこれと似たような暗号が登場していましたね
あれは0=A 1=B ……と言う置き換えになっていました
もしかしたらそれと同じ方法で置き換えてしまった人、いるんじゃないでしょうか?
それでは、本編へどうぞ
- 39 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/02(金) 23:10:57.06 ID:+ljZgzzb0
- 第二話『スナオの町/謎掛け編』
( ><)「昨日は大変だったんです……」
わかんないんですは宿のベッドで目を覚ました。
あの立て札の謎を自力で解けたのは良かったものの、答えを見つけるまでに時間がかかってしまった。
解決した時にはすっかり日が暮れてしまっていたのであった。
その後夜道をひた走ってこの町に入り、この宿に駆け込んで泊めてくださいと願い倒し、何とか一泊する事が出来たのであった。
( ><)「今日からは頑張るんです。世界樹について調べてくるんです」
わかんないんですは早速町へ出て、世界樹について調べ始めたのであった。
( ><)「すいません、世界樹の事何か知っていませんか?」
わかんないんですは町の人々にそう尋ねて回った。しかし期待している通りの答えは返ってはこなかった。
「え? あの絵本に出て来る奴だろ?」
「ああ、俺もあの話好きだったな」
「ねえ君、それは作り話なんだよ?」
(;><)「……みんな世界樹が本当にあるんだって事知らないんです」
- 40 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/02(金) 23:12:01.15 ID:O501x2lA0
- wktk
- 41 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/02(金) 23:13:17.47 ID:+ljZgzzb0
- 次にわかんないんですは本屋に行って世界樹について書かれている本を読んでみる事にした。
しかし店にあるのは世界樹を題材とした絵本や童話ばかりであり、学術的に研究・検証をした書物は見る事が出来なかった。
( ><)「……これも駄目なんです」
何一つ有力な情報を得る事が出来ず、わかんないんですははあと溜息を付いた。
やはり世界者は架空の存在で、実在なんかしていないんじゃないかという疑問も湧きあがってきた。
しかしわかってますの知識や予言の正確さ、そしてその真面目な性格をわかんないんですはよく知っていた。
それらを考えると、わかってますが嘘をついているようには到底思えないのであった。
( ^Д^)「お客さーん。いつまで立ち読みしてんすかー」
わかんないんですは本を読むのに夢中になっていて、近くに店員が来ていたのにも気が付かず、突然声をかけられて吃驚してしまった。
(;><)「あわわ、ごめんなさいなんです」
( ^Д^)「あんたさっきから世界樹の本ばっか見てるみたいだけど、絵本とか好きなんか?」
( ><)「違うんです、世界樹が何処にあるかを調べているんです」
( ^Д^)「ハァ?」
( ><)「僕は世界樹の実が欲しいんです」
( ^Д^)「ハァ? 何? あんた世界樹が本当にあるとでも思ってんの?」
m9(^Д^)「プギャー!!」
店員はわかんないんですを指差すと、奇怪な笑い声を上げ始めた。
- 42 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/02(金) 23:15:42.26 ID:+ljZgzzb0
- m9(^Д^)「池沼かお前はwwwwプギャー!!」
(;><)「止めて下さいなんです。あとちしょうって何なのかわかんないんです」
m9(^Д^)「現実とフィクションの区別くらいつけろやwwwプギャー!」
(;><)「うるさいなんです!世界樹はあるんです! 予言士の友達が言ってたんです!」
m9(^Д^)「予言士てwwwテラ胡散クサスwwwプギャー!」
わかんないんですは怒りをぐっと堪え、店員からの冷笑に耐え続けていた。
今すぐにでも店員に体当たりをしたい衝動に駆られたが、人に迷惑をかけてはいけないと、じっと堪えていた。
m9(^Д^)「お前見てたらあのじーさん思い出しちまったwwwプギャー!」
(;><)「だからうるさいなんで……」
その時わかんないんですは店員の発した人物を指す言葉が妙に気になり、こちらから問い直してみる事にした。
- 43 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/02(金) 23:16:22.92 ID:yaTnfJAf0
- wktk
- 44 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/02(金) 23:18:04.32 ID:+ljZgzzb0
- ( ><)「すいませんなんです、『あのじーさん』って何なんですか? わかんないんです」
( ^Д^)「ああwwwお前と同じ様なじーさんがこの町にもいんだよwww」
( ><)「えっ!?」
( ^Д^)「若い頃に世界樹の実を取ってきたとか言っててよwww全くふざけた奴だったぜ」
それはこの町に来て初めて掴んだ有力情報であった。
( ><)「そのお爺さんがどこにいるか教えてくださいなんです!」
( ^Д^)「この裏の果物屋の角を曲がった白い屋根の家だよwww池沼同士仲良くやってこいwwwプギャー!」
(;><)「だからちしょうって何なのかわかんないんです!」
非礼極まりない店員への怒りを抱えつつ、わかんないんですは本屋を後にした。
そして店員に教えられた通りに本屋の裏に回り、果物屋を探した。
その角を曲がった先に、とてもおしゃれな感じの白い屋根の家を見つけたのだった。
( ><)「あの家に間違いなさそうなんです」
- 45 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/02(金) 23:20:37.36 ID:+ljZgzzb0
- わかんないんですは早速その家へと接近した。
すると玄関の前を箒で掃除をしている一人の女性の姿が見えてきた。
女性の長い髪は美しく揺れ、口を真一文字に結んで黙々と仕事をしていた。
川 ゚ -゚)「……ん?」
わかんないんですがそろそろと近寄ると、女性もそれに気が付いたらしく、こちらを顔を向けた。
( ><)「あのう、すいませんなんです」
川 ゚ -゚)「何か用か? 新聞の勧誘ならお断りだ」
( ><)「この家に世界樹の実を取ってきたおじいさんがいるって聞いたんです。良かったらその人に会わせてくれないですか?」
女性は箒を動かす手を止めてしばらくの間押し黙り、何か考え事をしているように様子を見せた。
それから玄関のドアを開けてわかんないんですにこう呼びかけた。
川 ゚ -゚)「立ち話もなんだ、とりあえず家に上がってくれ」
( ><)「失礼しますなんです」
わかんないんですは女性の後に続いて、白い屋根の家に上がった。
- 46 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/02(金) 23:23:03.45 ID:+ljZgzzb0
- 家の中も外観と同じく、とてもおしゃれな雰囲気が漂っていた。
ぽっぽ村では見た事の無いとても高そうな家具がいたる所に並び、綺麗な絵画や彫刻も飾られている。
わかんないんですが勧められた椅子に腰掛けると、女性が綺麗なデザインのティーカップへ紅茶を注いでくれた。
(;><)「お、お金持ちなんですね……」
川 ゚ -゚)「そんなに緊張する事はない、くつろいでくれ」
(;><)「は、はいなんです」
女性はわかんないんですの向かい側に腰掛け、自分のカップにも紅茶を注いだ。
川 ゚ -゚)「改めて挨拶をしよう。私の名前はクーと言う。君の名前は?」
( ><)「わかんないんです」
川 ゚ -゚)「……自分の名前がわからない? まさか記憶をなくしているのか?」
(;><)「違うんです、わかんないんですって言う名前なんです」
川 ゚ -゚)「非常に紛らわしいな……まあ、宜しくな。わかんないんです」
( ><)「クーさんもよろしくなんです」
クーは紅茶を軽く一口すすると、こう尋ねて来た。
- 47 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/02(金) 23:25:25.07 ID:+ljZgzzb0
- 川 ゚ -゚)「君は世界樹の実を手に入れた者と会いたいと言っていたな。その理由を教えてはもらえないか?」
( ><)「僕は世界樹の実が欲しいんです。だからその人に会って色々話を聞きたいんです」
川 ゚ -゚)「成る程……しかし残念ながら、私は君の頼みを聞く事は出来ないのだ」
(;><)「えっ……何でなんですか?」
川 ゚ -゚)「世界樹の実を手に入れた者……それは私の祖父なのだが、祖父は5年前に他界しているのだ」
(;><)「そんなあ……」
あの本屋の店員はそんな事は一言も言ってはいなかった。
その上「仲良くやってこい」と、まるでその人物が生きているかのように発言もしていた。
店員は本当にクーの祖父の死を知らなかったのか、或いはわかんないんですをからかう為にわざとそう言ったのか、それはわからなかった。
どちらにせよ折角掴んだ情報が結局は役に立たないものになってしまったのである。
川 ゚ -゚)「そういう事だ、君はもうここに用はないだろう。しかし久々の客人だからな、もてなしは最後までさせて貰うよ」
わかんないんですはしばらくの間うなだれたまま、じっと下を向いていた。
クーが出してくれた紅茶にもお菓子にも手をつけようとしなかった。
( ><)「折角見つけたのに……」
川 ゚ -゚)「どうした? 顔を上げないか」
( ><)「あの……クーさん……」
川 ゚ -゚)「何だ?」
- 48 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/02(金) 23:27:54.39 ID:+ljZgzzb0
- わかんないんですが再び頭をあげた時、そこには泣き顔ではなく真剣な表情があった。
( ><)「クーさんはおじいさんから何か話を聞いていないんですか? クーさんがおじいさんについて知っている事を教えて欲しいんです!」
川 ゚ -゚)「そう言われても……」
( ><)「どんな事でもいいんです! 世界樹の事なら、どんな事でも知りたいんです!」
わかんないんですはじっとクーの顔を見つめた。それには何か鬼気迫るものすら感じられた。
しかしクーは何にも興味を示していないかのようなその冷たい表情を一切崩す事無く、いたって平静であった。
そしてクーはふうと深い溜息を付いた。
川 ゚ -゚)「永遠の命とはそんなに魅力的なものなのか」
( ><)「え? 何の事なんですか? わかんないんです」
川 ゚ -゚)「……そうだな、そこまで言うのであれば、祖父に関する話をひとつしてやってもいい」
( ><)「本当なんですか! ありがとうございますなんです!」
するとクーは椅子から立ち上がり、更にわかんないんですの座っている椅子へ近寄って立ち上がるようにと言うジェスチャーをした。
川 ゚ -゚)「見せたいものがあるんだ、私に着いてきてくれ」
( ><)「え、でもお話はどうするんですか?」
川 ゚ -゚)「それは歩きながら話そう。とにかく来てくれ」
- 49 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/02(金) 23:30:30.64 ID:+ljZgzzb0
- わかんないんですは戸惑いながらも、言われた通りにクーへの後に着いていった。
クーは応接室を出ると廊下をひたすら歩いて家の奥へ奥へと歩いて行った。
そして廊下の突き当たりにある小さな下り階段を降りていった。
( ><)「なんか不気味なんです……」
川 ゚ -゚)「大丈夫だ、何もでたりしない」
階段を下りるにつれて一階からの光は届きにくくなり、だんだんと辺りは薄暗くなって行った。
(;><)「暗いんです、怖いんです!」
川 ゚ -゚)「この程度で騒ぐな」
(;><)「怖いんですううううう!」
騒ぎ出すわかんないんですを特に気にかける事も無く、クーは黙って降りていった。
わかんないんですは滑り落ちないように、震えた足をゆっくり踏み出しながらそろそろとクーの後を着いていった。
やがて階段を下りきると二人は少し広い所に出た。
クーが壁にかけてあるランプを点けると、ぼんやりとした灯りに照らされて目の前の壁がその姿を現した。
(;><)「こ、怖いんです!」
川 ゚ -゚)「もう灯りは点いているだろう…」
- 50 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/02(金) 23:31:35.49 ID:0CdyCVrL0
- さる
- 51 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/02(金) 23:32:59.71 ID:+ljZgzzb0
- 石の壁の真ん中には、金属で出来た小さな扉がはめ込まれていた。
扉の表面には何か文字が刻まれており、その下には数字の書かれたダイヤルが付けられていた。
( ><)「これは金庫なんですか?」
川 ゚ -゚)「そうだ、ここには祖父の残したとても大切なものが入っている」
( ><)「大切なものって何なんですか?」
川 ゚ -゚)「祖父は世界樹を探して旅をする間、各地で見聞して知った事を既存の地図に書き込んでいたらしいのだ。
そしてその地図には世界樹がどこにあるのかも書かれているらしい」
( ><)「じゃあそれがあれば世界樹まですぐに行けるって事なんですか!?」
川 ゚ -゚)「まあそうだな。そしてそれはこの金庫に仕舞われているのだ」
( ><)「本当なんですか! 早速開けてくださいなんです!」
それを聞いたわかんないんですの顔はぱっと明るくなり、ぴょんと跳ねて金庫に近寄った。
その時に、離れて見た時には判らなかった表面に刻まれた文字を読む事が出来るようになった。
わかんないんですは顔を上げて、その文字を読んでみる事にした。
『ののあたほたれき』
┌←←←←←←←←←┐
└ あ→い→う→え→お ┘
(;><)「ののあた? あいうえお? わかんないんです!」
- 52 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/02(金) 23:33:18.40 ID:G7OwmCb50
- ビビリすぎwww
- 53 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/02(金) 23:33:57.70 ID:AZr3u0kh0
- 意外と面白かったけど、なんか読み難いのが難点
- 54 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/02(金) 23:35:22.58 ID:+ljZgzzb0
- 意味不明な文字列を目の当たりにして混乱しているわかんないんですに、クーが後ろから話し掛けてきた。
川 ゚ -゚)「その金庫を開けるためにはダイヤルを回して正しい数字にあわせなければならないのだが、その数字がわからないのだ」
(;><)「ええっ? それじゃ開けられないんです!」
川 ゚ -゚)「そして金庫に刻まれているその言葉が正しい数字を示しているのだが……その暗号を解けた者は誰一人としていない」
(;><)「そ、そんなに難しいんですか?」
川 ゚ -゚)「君がその暗号を解き、金庫を開ける事が出来たのなら地図を渡してもいい」
(;><)「えええええ!?」
わかんないんですは金庫の前に立ち尽くした。
世界樹への近道が目の前にあると言うのに、それが訳の訳らない暗号に阻まれ、手を伸ばす事も出来ないのである。
(;><)「考えるんです! 考えるんです!」
わかんないんですは頭をフル回転させて必死に考え始めた。
しかしあの立て札の時のようには行かず、考えれど考えれど額から汗がにじみ出て来るばかりで、答えか出てはこなかった。
(;><)「うわあん、駄目なんです、わかんないんです!」
わかんないんですはその場にあお向けになってばったりと倒れこんでしまった。
それを心配したのか、クーが屈んでわかんないんですの顔を覗き込んできた。
川 ゚ -゚)「無理する事は無いぞ。わからないなら諦めればいいだけの話なのだからな」
( ><)「………」
- 55 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/02(金) 23:37:53.55 ID:+ljZgzzb0
- ここで諦めてしまうのはきっとたやすい事だったのであろう。
しかしわかんないんですは寝転がった状態から体を起こして、またすぐに立ち上がった。
( ><)「……今こそあれを使う時なんです」
そして後ろを向くと先程下りてきた階段を物凄い勢いで上り始めた。
( ><)「てえええええええい!」
川 ゚ -゚)「おい、何処へ……」
クーが呼び止める隙も無く、わかんないんですの足音はあっと言う間に小さくなっていった。
そしてまたすぐにドドドドと言う足音がこちらに向かって迫ってくるのが聞こえてきた。
( ><)「これを使えば……あっ!」
その次の瞬間、ドタンバタンと言う大きな音と共にわかんないんですが階段をゴロゴロと転がり落ちてきた。
転がった体は奥の壁にぶつかった所でその運動が一旦止まり、壁にはね返されてまた床に落ちたのであった。
( ><)「痛いんです……」
川 ゚ -゚)「……何をやっているんだ」
( ><)「すみませんなんです……」
わかんないんですはよろよろと立ち上がると、その手に握ったものを掲げた。
それは旅立つ時にわかってますから貰った小さな鍵であった。
- 56 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/02(金) 23:40:14.75 ID:+ljZgzzb0
- ( ><)「お願いなんです。この暗号を解くヒントを教えてくださいなんです!」
わかんないんですがそう言った次の瞬間、鍵がぼんやりと光り始めた。
( ><)「やったなんです!」
そして鍵の先端からすうっと光の線が現れ、それが壁へと伸びていった。光は壁の表面を走り、ある図形を描いていった。
そして図形が完成すると伸びていた光の線はぷつんと途切れた。
∧ ∧
(*‘ω‘ *) ちんぽっぽ
( )
v v
ぼいんっ ←
川
( ( ) )
( ><)「……へっ?」
壁に現れた光の図形を見て、わかんないんですは思わず間抜けな声を上げてしまった。
(;><)「ちんぽっぽちゃん? ちんぽっぽちゃんがヒントなんですか?」
ヒントを与えられるどころか、ますます混乱していくわかんないんですであった。
第二話 終
- 57 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/02(金) 23:40:17.06 ID:yaTnfJAf0
- 簡単じゃね?わからないけど。
- 58 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/02(金) 23:42:02.73 ID:BepAB/P30
- ちんぽっぽもっと出番増やしてお願い
- 59 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/02(金) 23:42:07.29 ID:4ta/L/1fO
- ヒントカワユスwwww
- 60 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/02(金) 23:43:17.92 ID:G7OwmCb50
- 答えが解ってもヒントがわかんねえwwww
- 61 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/02(金) 23:44:36.19 ID:+ljZgzzb0
- 本日の投下はここまでです
読んでくださった皆様、ありがとうございました
読み辛いと感じられた方には申し訳ありません
一応自分の環境で見た時には見やすいように改行を工夫したのですが、不十分だったようです
次回の投下は、明日の10時頃の予定であります
- 62 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/02(金) 23:44:40.96 ID:DV7zDa1t0
- >>60
あれ?俺書き込んだっけ
そう書き込もうとした瞬間にわかって消したはずなんだが
- 63 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/02(金) 23:46:41.20 ID:4ta/L/1fO
- 乙!
- 64 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/02(金) 23:47:29.21 ID:G7OwmCb50
- >>61
乙
明日もwktkしてるぜ
>>62
なんか俺も解った気がする
- 65 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/02(金) 23:47:54.90 ID:6llfAqPzO
- ヒントが解らねぇ……
- 66 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/02(金) 23:54:04.08 ID:+ljZgzzb0
- ( <●><●>)問題よりヒントの方が難しいと言う事態が発生するのはわかりませんでした
ヒントはたいしたものでは無いです、深く考えなくても大丈夫です
- 67 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/02(金) 23:58:56.07 ID:25DF/NiW0
- ヒントは分かるんだが答えがわからねぇ…
- 68 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/02(金) 23:59:33.89 ID:pKVZjNVEO
- 答えもヒントも解った
- 69 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/03(土) 00:04:17.88 ID:AOGGXHq50
- 圧縮恐るべし
- 70 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/03(土) 00:24:05.21 ID:mRikmK7F0
- 今、読み終わった
問題が簡単すぎる。難しくしてくれたほうが面白い
- 71 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/03(土) 00:29:27.83 ID:AaWq4rsvO
- まだ序盤だしいいじゃない
易しいんだけど、全体のふいんきが好きだ
小さい頃のゲームブックとか読んでる感覚
- 72 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/03(土) 00:46:42.76 ID:k2/VuKpz0
- ダイヤルが何桁か、数字は何が使われてるのか判らないのが残念
- 73 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/03(土) 01:15:46.95 ID:AaWq4rsvO
- ほ
- 74 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/03(土) 01:33:33.75 ID:AaWq4rsvO
- ほ…限界にござる
誰か良かったら保守頼む
- 75 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/03(土) 01:34:18.98 ID:ez9I0rH10
- >>74
ダメだ
- 76 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/03(土) 01:36:46.75 ID:AaWq4rsvO
- ちょwwwww
ごめんねカーチャンおねむなの、ごめんね
お願いしますノシ
- 77 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/03(土) 01:58:49.64 ID:uqpnIdBH0
- 捕手
- 78 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/03(土) 02:35:30.55 ID:ez9I0rH10
- ほ
- 79 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/03(土) 02:39:30.22 ID:e2hlbmExO
- わかんないんです萌え
- 80 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/03(土) 03:20:59.76 ID:KpHTXyIa0
- ほ
- 81 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/03(土) 05:05:06.99 ID:ez9I0rH10
- ま
- 82 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/03(土) 06:31:46.99 ID:hwxFxBxp0
- ほ
- 83 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/03(土) 06:38:46.95 ID:le5tABnF0
- ほ〜ら☆
えっちなものだよぉ〜
(携帯可)
http://www.2dimension.com/src/2d0249.htm
- 84 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/03(土) 09:15:37.83 ID:AaWq4rsvO
- ほ
- 85 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/03(土) 09:16:17.21 ID:hwxFxBxp0
- く
- 86 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/03(土) 09:39:12.01 ID:cgfYrhMRO
- ろ
- 87 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/03(土) 11:14:41.28 ID:AaWq4rsvO
- っ
- 88 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/03(土) 11:55:35.88 ID:pF+8Yyg6O
- て
- 89 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/03(土) 12:01:14.84 ID:2OYahN+S0
- 全然わからん…くそ
- 90 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/03(土) 12:57:31.99 ID:WXYG2tVS0
- 正直問題が簡単すぎるwwwwwwwwww
- 91 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/03(土) 13:59:20.89 ID:AaWq4rsvO
- ほ
- 92 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/03(土) 15:16:37.56 ID:AaWq4rsvO
- ほ
- 93 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/03(土) 16:48:24.54 ID:e2hlbmExO
- 保守
- 94 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/03(土) 17:32:56.46 ID:dJBQOIlDO
- おもしろいな
問題は易しめだけど、答えが複数出るようなものじゃないから安心して解ける
レイトンはちょっとこじつけに近い問題もあったからな……
- 95 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/03(土) 18:24:38.16 ID:AaWq4rsvO
- ほ
- 96 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/03(土) 19:00:01.69 ID:AaWq4rsvO
- ほ
- 97 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/03(土) 19:47:56.23 ID:hyfWG0iD0
- ほぁー
- 98 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/03(土) 19:59:46.83 ID:AaWq4rsvO
- ふぉ
- 99 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/03(土) 20:22:13.23 ID:dJBQOIlDO
- ☆
- 100 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/03(土) 20:44:59.31 ID:AaWq4rsvO
- ほ
- 101 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/03(土) 21:14:15.95 ID:l68iXRzc0
- wktkほしゅ
- 102 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/03(土) 21:53:09.02 ID:dJBQOIlDO
- 保守だッ!!
- 103 名前:1 :2007/03/03(土) 21:55:51.28 ID:AOGGXHq50
- 保守してくださった皆様、ありがとうございました
これより第三話を投下します
- 104 名前:1 :2007/03/03(土) 21:58:22.35 ID:AOGGXHq50
- 第三話『スナオの町/謎解き編』
長い長い思考の後、わかんないんですは震える手を金庫のダイヤルに向かって伸ばした。
( ><)「多分これであってると思うんです……」
ダイヤルを回すカチカチと言う音が薄暗い空間に響き渡った。
そしてそのカチカチと言う音に混じって、一際大きなカチリと言う音がダイヤルから聞こえてきた。
川 ゚ -゚)「今の音は……まさか」
わかんないんですがダイヤルを摘んだままそっと手を引くと、金庫の扉がゆっくりと開いたのであった。
( ><)「やったんです! 開いたんです!」
金庫の中には丸められた紙の筒が収められていた。わかんないんですはそうっと手を伸ばしてそれを手にとった。
( ><)「これで世界樹への道が開けたんです!」
地図を手に入れてはしゃぐわかんないんですとは対照的に、クーは落ち着いた様子でわかんないんですに話し掛けてきた。
川 ゚ -゚)「君、一体どうやって金庫をあける事が出来たんだ?」
( ><)「ダイヤルの数字を『7186』って順番に合わせたら開いたんです!」
川 ゚ -゚)「ではその数字はどうやって導き出す事が出来たんだ?」
( ><)「えっと、それはですね……」
わかんないんですは暗号解読の過程をクーに説明し始めた。
- 105 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/03(土) 21:58:34.80 ID:/T4GV691O
- >>103
氏ね
- 106 名前:1 :2007/03/03(土) 22:00:47.32 ID:AOGGXHq50
- ( <●><●>) ここで番組の途中ですが、前回の暗号の解説をしたいと思います
(U )つ と言っても既にも皆さんが解いてしまっているのですがね……
u u
『ののあたほたれき』
┌←←←←←←←←←┐
└ あ→い→う→え→お ┘
( <●><●>)これが前回の暗号
∧ ∧
(*‘ω‘ *) ちんぽっぽ
( )
v v
ぼいんっ ←
川
( ( ) )
( <●><●>)これがヒントでしたね
- 107 名前:1 :2007/03/03(土) 22:04:04.21 ID:AOGGXHq50
- ( <●><●>)
暗号の本文が『ののあたほたれき』の部分。それを解読する鍵が『あ→い→う→え→お ┘』の部分です
更にそれを判りやすくするヒントがちんぽっぽちゃんの絵です
(実際には逆になってしまった方もいたようですが)
さてこのちんぽっぽちゃんは一体何を示しているのでしょうか
先程のAAをご覧いただければ、「ぼいんっ」の部分に矢印で図示されているのがすぐに判ると思います
「ぼいんっ」……「ぼいん」……それは同じ音の言葉である「母音」を示しているのです
え? ばかにしているのかですって?
すいませんでした
- 108 名前:1 :2007/03/03(土) 22:07:33.74 ID:AOGGXHq50
- ┌←←←←←←←←←┐
└ あ→い→う→え→お ┘
( <●><●>)
さて次はこの部分です。「あ」から「い」、「い」から「う」と矢印が一巡りしていますね
これだけではいまいちわかりませんが、先程のヒント「母音」とあわせて考えてみましょう
……そう言えば五十音表では同じ母音の音は横に並んでいますよね?
上から「ア段」「イ段」……と呼ばれていますよね?
この図は即ち「ア段の音をイ段の音に」「イ段の音をウ段の音に」変換する事を表しているのです
『ののあたほたれき』
そして本文を上の図に従って段をずらして読んでみると……
『なないちはちろく』
( <●><●>)
なないちはちろく……つまり金庫を開ける為の数字は「7186」なのです
さてそろそろ読者の皆さんから石が飛んできそうなので、そろそろ本編へ…… ウボァー
- 109 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/03(土) 22:09:57.44 ID:NiCsS9iaO
- wktk
- 110 名前:1 :2007/03/03(土) 22:10:19.55 ID:AOGGXHq50
- ( ><)「……と、こうやって解く事が出来たんです!」
川 ゚ -゚)「成る程……しかし祖父の暗号を見事に解いてしまうとは……素晴らしい。大変な人物なのだな君は」
それを聞いた瞬間わかんないんですの頬はぽっと赤くなり、声が震えてまともな発音が出来なくなってしまった。
(* ><)「そっ、そそそそそんな事無いんです。たたたたまたまなんです。それににに、鍵のヒントがなかったら……」
川 ゚ -゚)「いや、例えあの不思議な鍵の力も素晴らしいものであったが、最終的に謎を解いたのは他でもない君自身だ」
(* ><)「て、照れるんです」
川 ゚ -゚)「照れるな照れるな。さあその地図は好きにするといい」
わかんないんですは震える手でその手に握った地図を握り締めた。
それは世界樹への旅の大きな一歩であり、自らの力によって手に入れた宝であった。
しかしわかんないんですは手の力を緩めると、それをクーの方に差し出したのであった。
川 ゚ -゚)「……何をしている?」
( ><)「やっぱりこれを持っていく事は出来ないんです」
川 ゚ -゚)「私が良いと言っているのだ、遠慮などはいらない。持っていけ」
しかしわかんないんですは更にクーに近寄って、クーが少し手を伸ばせば地図を受け取る事ができる位置に立った。
( ><)「これはクーさんのおじいさんの形見なんです。だからこの地図をこのまんま持っていくなんて出来ないんです。
ですから、これはクーさんにお返しするんです。後で写させて下さいなんです」
- 111 名前:1 :2007/03/03(土) 22:12:57.71 ID:AOGGXHq50
- クーは相変わらずの淡々とした口調でわかんないんですに質問した。
川 ゚ -゚)「そう言えば、君が何故世界樹の実を手に入れたがっているのかを聞いていなかったな。教えてくれないか?」
( ><)「僕の友達が僕の所為で病気になって、死にそうになってるんです。だから助けたいんです」
川 ゚ -゚)「そうだったのか……」
わかんないんですはその時、それまで張り詰めていた二人の間の空気が解けてやわらかくなったのを感じた。
川 ゚ -゚)「では色々と失礼をしたな……すまなかった」
クーは頭を下げてわかんないんですに謝った。しかし謝られた本人は何が何なのかさっぱりわかっていなかった。
( ><)「どうして謝ったりするんですか?わかんないんです」
川 ゚ -゚)「実は君が最初に世界樹の話を聞きたいと言った時から、ずっと君を誤解していたのだ」
( ><)「……?」
それからクーはここで話をするのもなんだからと、わかんないんですと一緒に応接室へ戻った。
椅子に腰掛けてゆっくりとしたところで、クーは改めて話をしてくれた。
- 112 名前:1 :2007/03/03(土) 22:16:30.55 ID:AOGGXHq50
- 川 ゚ -゚)「祖父が世界樹の実を取ってきたという話はこの辺りでは有名なのだが、そのために昔からこの家を訪れる者が後を絶たなかった。
話の真偽を確かめにやってくる者、冷やかしに来る者、世界樹の情報を知りたがる者……
そして世界樹の実を手に入れたいという者達が何人も何人もやって来ては、祖父から話を聞きたがったものだ。
彼らはみな一様に永遠の命を手に入れたがっていた」
( ><)「永遠の命? そんなものがあるんですか?」
川 ゚ -゚)「伝説によれば世界樹はこの世の全ての命を支える力の源であると言われているだろう?
その力を自らに取り込めば命を支える力を無限に手に入れる事が出来、不老不死になれると信じている者がいるのだ」
( ><)「確かに、そんなに凄いもの食べたらそうなりそうな気もするんです」
川 ゚ -゚)「実際に不死になった者がいるという話は聞かないし、真偽の程はわからないがな」
クーは更に話を続けた。
川 ゚ -゚)「祖父は話を聞かせてくれと言われる度にそれを断り、そして地図を保管している金庫へとその者達をつれて行った。
そして先にも話した通り、誰一人として暗号を解いた者はいなかった」
( ><)「本当にあれは難しかったんです、大変なんです」
川 ゚ -゚)「地図を手に入れる事が出来なかった者達は、揃って悪態をついたよ。
祖父をけちで意地の悪いジジイだと罵ったり、やっぱり世界樹なんて無いんだろうと投げ出したり……」
そこまで話したところで、突然クーはわかんないんですの顔をじっと見つめた。
川 ゚ -゚)「だが君は違った。決して諦めようとせず、階段から転げ落ちてまで解読を急こうとしていた」
(;><)「階段の事は忘れてくださいなんです! 恥ずかしいんです!」
- 113 名前:1 :2007/03/03(土) 22:19:53.50 ID:AOGGXHq50
- 川 ゚ -゚)「忘れられるものか……あれ程までに必死な者の姿を……初めて見たんだからな。
だから思ったのだ。こんな人間が自らの欲望の為に世界樹の実を手に入れたがっているなんて可笑しいと。
それで君に先の質問をしたのだ」
( ><)「……そういう事だったんですか」
その時、クーの目線がどこか遠くへと向けられた。それは何か懐かしい風景を見ているような眼差しであった。
川 ゚ -゚)「祖父が世界樹を探したのは、病気になった息子を助けるためだったそうだ。
そして息子は無事回復し、やがて知り合った女性と結婚して、私が生まれた。
祖父が父の命を救ってくれたからこそ、私の命がここにある」
クーが笑った。それまで冷たい表情をしていたクーがふっと微笑み、温かみのある顔になった。
川 ゚ ー゚)「祖父も君も自分の命のためではなく、大切な人の命のために世界樹を探そうとしている。
君にはその地図を持つ資格があると私は思う」
( ><)「ええ、そ、そんなあ……」
突然の優しい言葉にわかんないんですは戸惑い、再び顔を赤らめた。
(* ><)「そんな凄い事じゃないんです。友達が病気になったのは僕の所為なんです。だから僕が責任を持たなきゃいけないんです」
川 ゚ ー゚)「どんな理由であれ、君が友達を助けたいと思うその気持ちは本物だ。恥じる事など何も無い」
- 114 名前:1 :2007/03/03(土) 22:22:49.76 ID:AOGGXHq50
- わかんないんですは握っていた地図をそっと見た。
紙の端は日焼けして茶色くなっており、書き込んだ文字が写ったと思われるインクの染みや汚れがあちこちにあった。
クーの祖父が旅の末に完成させたその地図には、子を思う親の愛が込められていた。
素材はたった一枚の紙でしか無いのに、それは本来の重さよりもずっと重く手にのしかかってきた。
( ><)「やっぱり僕がこれを貰う事は出来ないです」
祖父から子へ、そして孫へと命を繋げた宝を、赤の他人である自分の物にしてはいけないと感じた。
( ><)「だから、この地図は旅が終わったらクーさんに返すんです」
川 ゚ -゚)「ああ、判った。君も必ず世界樹を見つけてくるんだぞ」
( ><)「はいなんです!」
二人はお互いに手を差し出しあい、しっかりと握手を交わした。
それからわかんないんですはクーに見送られて、スナオの町を出発した。そして早速クーから借りた地図を広げて見た。
( ><)「あったんです! 世界樹の場所が書いてあるんです!」
地図の上の端、遥か北の海上に本来は印刷されていない島が書き込まれ、その横に「世界樹」と記されていた。
( ><)「じゃあ次は……ここから北で一番近い……この村に行くんです!」
わかんないんですは北へ向かって歩き始めた。
第三話 終
- 115 名前:1 :2007/03/03(土) 22:25:39.47 ID:AOGGXHq50
- 少し休憩します 10分程したら第4話を投下します
- 116 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/03(土) 22:34:45.15 ID:l68iXRzc0
- おつー
- 117 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/03(土) 22:37:49.28 ID:NiCsS9iaO
- 乙
- 118 名前:1 :2007/03/03(土) 22:39:47.11 ID:AOGGXHq50
- 第四話『モテナイ村/謎掛け編』
スナオの町を出発してから五日が経った。わかんないんですの体力は限界に達しようとしていた。
(;><)「つ、疲れたんです……」
スナオの町を出てからと言うもの、わかんないんですは休む事無く北に向かって歩き続けていた。
道そのものはほっぽ村からスナオの町へ続く道と同じく、平坦で歩きやすい道ではあったが、何しろ距離が大きく違っていた。
辺りには建物も人影も無く、連日携帯食料での食事と野宿を強いられた。
三日目にたまたま通りかがった行商人に会わなければ、今頃路上の障害物になっていたかも知れなかった。
(;><)「地図で見ると近そうなのにとても遠いんです。このままのペースで進んでいたら間に合わないんです」
ふらふらとした足取りでのろのろと進んでいるうちに、遠くから建物の集まりや煙が見え始めた。
次の目的地である村のすぐ傍までやってきたのである。
しかし無情にな事に、わかんないんですの体力がそこまでもってくれなかったのだった。
(;><)「つ、着いたんで……す……」
わかんないんですはその場に倒れてしまった。うつ伏せになって大地に横たわると、背負ったリュックの重さがずしりと背中に伝わってきた。
(;><)「う……ちんぽっぽちゃん……ごめんなさいなんです……」
わかんないんですはそのまま目を閉じてしまった。
- 119 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/03(土) 22:48:41.54 ID:dJBQOIlDO
- 来てたか支援
- 120 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/03(土) 22:55:15.17 ID:dJBQOIlDO
- 支援
- 121 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/03(土) 22:56:16.93 ID:dJBQOIlDO
- さらに支援
- 122 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/03(土) 22:57:07.47 ID:Kbw+WOA5O
- さるさん?
- 123 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/03(土) 22:57:46.54 ID:2doG72SJ0
-
r-、
i" ̄`、
,:=┴ー-=i,,_
/ \
_,,,;-ー"-x, ,,,;=-+, ,/~ ̄`ヽ、
/ `i /" i / i''==ニ''ーx,,,_
___,i || '' i, `x, \
_,,,,x=''''"~ ̄ ̄~| ,,,,, ,,==、 i, \ \
/",,x-'" { / `i { i, i, ヽ
,i / `i |ィェァ ィェァノ i, | i,
| i, } `=='" - `ー" | | i, なんという・・カッコイイ スプキヨ・・・。
| i, ,.ベ廴_|:. `  ̄´ .: :.. ` ̄ ´ !;レ-―‐ 、 | |
| i, / / `ヽ、 / | | ヽ j{´ ̄ ̄ ヽ , | |
| i, / /'二二二二二二二二二二 ヽ '. , | |
.| ヽ , '/ /_______________{ '. | |
.| i, / ∧ ,イ { {トェェェェェイ} ,ノ,'! ヽ. ヽ| |. 支援
| ヽ ,r‐/ __,ノ`ー'´_|'. '.{ :l }/ j/| \__ | |
..| ヽ / / /:::! ヽ 、`ー一 ' / / .!、 \ | |
| | | | /:::::::::! ′ /:::::| \ `ー一'′/ ./:::ヽ.__ | , |
i _,/し'`-' | ,.イ |:::::::ヽ. \ _/ /:::::::::|::::`::ー----ハ } i |、,/ `、
/::::::::::::::::::ヘ./::::| _,. -一!::::::::::::\  ̄ /::::::::::::!:::::::::::::::::::::::::::ヘ `" '
- 124 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/03(土) 22:58:14.27 ID:dJBQOIlDO
- まだ支援
- 125 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/03(土) 22:58:47.81 ID:dJBQOIlDO
- 支援
- 126 名前:1 :2007/03/03(土) 23:03:13.31 ID:AOGGXHq50
- (*‘ω‘*)『ちんぽっぽ!』
( ><)『ちんぽっぽちゃん、僕もう疲れたんです。おうちに帰ろうなんです』
(*‘ω‘*)『ちんぽっぽ!!』
( ><)『まだ遊ぶんですか?もうくたくたなんです……』
(*‘ω‘*)『ちんぽっぽおおおお!!』
(;><)『キャーなんです!』
わかんないんですは夢を見ていた。ちんぽっぽと一緒に全身くたくたになって、動けなくなるまで遊び通した日の事を見ていた。
( ><)(あの日はとても疲れたんです……でもとても楽しかったんです)
( ><)「そうなんです! もう一度ちんぽっぽちゃんと遊ぶ為にも、こんな所で寝ていられないんです!」
わかんないんですは勢いをつけて起き上がった。
その時、目の前の景色が倒れる直前に見ていたものと違うものだという事に気が付いた。
村の傍まで来ていた筈なのに、建物がまったく見えなくなっていたのである。
( ><)「あれ?僕は村を見た筈なんです……」
- 127 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/03(土) 23:05:05.13 ID:dJBQOIlDO
- 支援
- 128 名前:1 :2007/03/03(土) 23:07:48.18 ID:AOGGXHq50
- ('A`)「よお、目が覚めたみたいだな」
( ><)「あれ?」
突如わかんないんですの後方から知らない男の声が聞こえてきた。
わかんないんですは辺りを見回し、それから声の主を確かめる為に後ろを向いてみた。
('A` ) (>< )
O┬O)□─| ̄ ̄ ̄|
◎┴し'-◎  ̄◎ ̄
('A`)「気分はどうだ?」
( ><)「あっ、はい大丈夫なんです」
('A`)「そっか。そりゃ良かった」
わかんないんですは男が運転する乗り物の後ろに繋がれた荷台に乗せられていた。そしてたくさんの建物が並ぶ道を進んでいた。
( ><)「ここって、もしかして村の中なんですか?」
('A`)「そうだ。ここが俺達もてない奴らの集まる所、モテナイ村だ」
男は乗り物を操作してすいすいと進み、やがてある一軒の建物の前で止まった。
- 129 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/03(土) 23:09:30.61 ID:NiCsS9iaO
- 支援
- 130 名前:1 :2007/03/03(土) 23:12:00.79 ID:AOGGXHq50
- ここ、モテナイ村は他の町からは離れた不便で半端な場所に位置していた。
と言うのもこの村はそもそも、大きな町にいる事が辛くなった者達が集まって出来た場所なのである。
その昔、異性にもてずに寂しくて惨めな思いをする者達が、孤独から逃れる為に町を飛び出して共同体を作ったとされている。
それが発展して現在のような村が創られたのだと言われている
噂によれば苦しかった気持ちも辛い思い出も、ここへ来ると全て開き直ってさっぱりした気分になる事が出来るらしい。
('A`)「まあそんな訳だよ。人生色々あるだろうけど、パーっと行こうぜパーっと」
( ><)「はあ……なんです」
男はわかんないんですをその建物の中に案内してくれた。そこには男が乗っていて乗り物と同じ物がずらりと並べられていた。
更に男はわかんないんですを建物の奥へつれて行き、居住空間と思しき部屋へと案内してくれた。
('A`)「なんか食いもん持ってくるから待ってろ」
( ><)「あの……座る所がないんです」
('A`)「そんなんその辺のものどかして適当にスペース空けろよ」
わかんないんですは戸惑っていた。
男が親切にしてくれるのは嬉しかったのだが、何せ案内された部屋は文字通り足の踏み場が無いほどに散らかていたのだ。
とりあえず男に言われた通り、床に散乱しているごみや本などをどかして空きスペースを作り、何とか座る事が出来た。
('A`)「ほら、これ喰えよ」
戻ってきた男はわかんないんですにおにぎりを差し出した。それは白い米ではなく、少し茶色い色が付いた米で握られていた。
- 131 名前:1 :2007/03/03(土) 23:16:02.22 ID:AOGGXHq50
- ( ><)「いただきますなんです」
('A`)「どーよ? うまいか?」
( ><)「ちょっと変わった味がするけど、とっても美味しいんです。これって何で味をつけているんですか?」
('A`)「いや、普通に塩だけだけど?」
( ><)「そんな筈無いんです。色も着いてるし、もしかして玄米とか使ってるんですか?」
('A`)「あー、そのおにぎり半月くらい前のなんだよな」
それからすぐわかんないんですは寝込んでしまった。その原因は説明するまでも無いだろう。
( ><)「ううっ……あんなもの食べさせるなんて酷いんです……」
('A`)「いやすまんすまん。俺の基準で考えちまった。普通なら駄目だよなやっぱ」
(;><)「あなたはあれを食べても大丈夫なんですか!?」
('A`)「でもまあ、ここで暮らしていくにはそのくらいの神経の太さは必要だぞ」
(;><)「はあ……」
('A`)「この村は物資が少ないから食料の買い溜めは基本だぞ。良く覚えとけ」
(;><)「覚えて置けといわれても……僕ここで暮らす訳じゃないんです……」
- 132 名前:1 :2007/03/03(土) 23:20:04.54 ID:AOGGXHq50
- その言葉を聞いた瞬間、男の表情が変わった。
('A`)「…そりゃどういうこった?」
( ><)「僕は旅をしているんです。だからここで少し休んだらまた出発するんです」
('A`)「なあーんだ、そうだったのかよ。俺はてっきりここに逃げてきた定住希望者だと思っちまったぜ」
男は大きな声を上げて笑った。わかんないんですはそれに対してどう反応していいか判らずに呆然としていた。
('A`)「名前まだ言ってなかったな。俺はドクオだ。お前は?」
( ><)「わかんないんです」
(;'A`)「自分の名前がわからないだって……苦労してるんだな……」
(;><)「違うんです、わかんないんですって言う名前なんです」
(;'A`)「ややこしいな」
- 133 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/03(土) 23:23:25.54 ID:NiCsS9iaO
- 名前の流れは定番だなw
- 134 名前:1 :2007/03/03(土) 23:23:27.84 ID:AOGGXHq50
- 自己紹介を終えたその瞬間の事であった。突然今までとは比べ物にならない程の腹痛がわかんないんですに襲い掛かったのである。
(;><)「あうっ……ぐっ……」
('A`)「おいどうした!?」
(;><)「お腹が物凄い……痛い……んです……うう」
(;'A`)「おい凄い汗かいてるぞ! 大丈夫か!」
(;><)「わかんな……うあああ……」
(;'A`)「大丈夫じゃねえーっ! 誰かー! 医者は何処だー!」
わかんないんですは腹を抑えてうずくまり、必死で痛みを堪えようとしていた。
しかし堪えようにもその激しい感覚を無視する事は出来ず、だんだんと頭がぼうっとする感覚も同時に襲ってくるようになった。
(;><)「あ……お花畑が見えるんです。川の向こうで誰かが手を振ってるんです……」
(;'A`)「そっち行っちゃらめぇぇぇぇぇぇ! もう誰でもいいからボスケテー!」
その時、どこからかコンコンと言う何かを叩く音が聞こえてきた。ドクオはそれを聞いてとっさに音のする方向を向いた。
( ^ω^)「おいすー」
白い肌ともっちりとした頬を持った男が窓からこちらを覗き込んでいた。謎の男はしきりに窓をコンコンと叩き続けていた。
('A`)「……誰だおめぇ」
( ^ω^)「ボスケテって言う声が聞こえたから、ボスケテあげるお」
- 135 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/03(土) 23:24:00.57 ID:9MCoDBxEO
- 支援
- 136 名前:1 :2007/03/03(土) 23:27:06.73 ID:AOGGXHq50
- 余りに都合のいい展開に驚きつつも、ドクオは窓を開けて男と向き合った。
('A`)「ほ、本当に助けてくれるのか?」
( ^ω^)「勿論だお。これを見てくれお」
男はドクオの目の前に手の平を差し出した。そこには薄くてひらひらした白い物体が載せられていた。
( ^ω^)「これは腹痛によく効く薬草の花びらだお。これを食べさせれば一発で元気になるお」
('A`)「よし! 今すぐそれをくれ!」
しかしドクオがその花びらを取ろうとした瞬間、男はさっと手を引っ込めてそれを遠ざけてしまった。
('A`)「ちょ、何すんだよ!」
( ^ω^)「ただであげる訳には行かないお。代金を払って欲しいお」
(#'A`)「んだとこらぁ! 足元見やがって! 卑怯だぞ!」
( ^ω^)「こっちも商売なんだお」
(;><)「く、苦しいんです……」
わかんないんですの顔はすっかり青ざめ、体はぷるぷると震えていた。
その様子を見たドクオは少し考えた後、財布を取り出して再び男の方を向いた。
('A`)「くそっ、放っておく訳にもいかねえ……いくらだ?」
( ^ω^)「3000ウーピールーピーだお」
- 137 名前:1 :2007/03/03(土) 23:31:05.72 ID:AOGGXHq50
- ドクオは黙って男の言う通りの金額を支払った。そして男から受け取った花びらを持ってわかんないんですの元へ戻った。
('A`)「さあ、これを食え!」
ドクオは半ば無理やりに花びらをわかんないんですの口に押し込んだ。そしてコップの水も口に流し込んで、何とか花びらを食べさせた。
もう一度床の上に横になったわかんないんですは、先程と比べて余り苦しがる様子を見せなかった。
( ><)「うう………あ、ちょっと楽になったんです」
わかんないんですはゆっくりと体を起こし、窓の外にいる男の方を向いてお辞儀をした。
( ><)「どうもありがとうなんです」
( ^ω^)「構わないお、お礼ならお金を払ってくれたこの人に言ってあげるといいお」
('A`)「ハァ……俺も何でほいほい払っちまったんだか」
( ^ω^)「人の命が助かるなら安いものだお」
(#'A`)「言ってる事は正しいがお前が言うんじゃねえ」
(;><)「と、とにかくドクオさんもありがとうなんです。お金は僕が払うんです」
('A`)「……あー、いいよ、別に」
( ><)「何でですか? 花びらを食べたのは僕なんです。だから僕が払うんです」
- 138 名前:1 :2007/03/03(土) 23:34:45.05 ID:AOGGXHq50
- ('A`)「お前旅をしてるんだろ? だったら金は大事に使えよ。それに元は俺が食わせたおにぎりの所為なんだし」
( ><)「でもそれじゃ申し訳ないんです」
('A`)b「俺が良いってんだから、気にするなよな、な!」
( ><)「ドクオさん……」
わかんないんですとドクオはお互いに見つめあった。そしてわかんないんですもドクオの真似をして親指をびしっと立てて見せた。
( 'A`)b d(>< )
( ^ω^)「うほっ」
- 139 名前:1 :2007/03/03(土) 23:37:58.43 ID:AOGGXHq50
- (#'A`)「てめぇそこで余計な事言うんじゃねえよボケ!」
( ^ω^)「ほんの冗談だお。とにかく良かったお。じゃあそろそろ僕は行くお」
(#'A`)「逃げんなボケ!」
白い肌の男は窓に背を向けて、そのままそこから立ち去ろうとした。しかしその寸前でわかんないんですは彼を呼び止めた。
( ><)「あの、待ってくださいなんです!」
( ^ω^)「ん? 何だお?」
( ><)「助けて貰ったお礼がしたいんです」
( ^ω^)「悪いけど僕は急いでいるから、そんな暇はないんだお」
( ><)「じゃあ、せめてお名前を教えてくださいなんです」
( ^ω^)「僕の名前は……………ブーンだお」
ブーンと名乗った男は、今度こそ背を向けてそこから立ち去って行った。
( ^ω^)「縁があったらまた会おうお! バイバイだお!」
(#'A`)「会いたくねえええーーー!!」
ブーンは両手を大きく広げて物凄い速さで走り去っていき、あっという間に見えなくなってしまった。
- 140 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/03(土) 23:38:47.37 ID:NiCsS9iaO
- 支援
- 141 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/03(土) 23:46:46.41 ID:cMB+kHdJO
- 支援
- 142 名前:1 :2007/03/04(日) 00:04:52.79 ID:hg4+37F+0
- ('A`)「……やっと行ったな」
( ><)「あの人はいったい何なんですか? わかんないんです」
('A`)「さあな、どうもここの住人じゃないらしいし、行商人かなんかだろうな。それにしても高いだろ3000は……」
( ><)「でもお陰で元気になったんです」
この時にはもうわかんないんですの腹痛は完全に治まっており、多少体力は削られたもののすっかり健康な状態に戻っていた。
それからわかんないんですは、今度こそちゃんとした食事をドクオに振舞って貰った。
と言ってもドクオの手作りではなく、惣菜やで買ってきたような出来合いのものであったが、それはとても美味しかった。
ここ数日携帯食料でしか栄養を摂取していなかったわかんないんですにとっては、久しぶりのご馳走であった。
( ><)「とっても美味しかったんです。有難う御座いますなんです」
('A`)「いやこちらこそ。てかこんなので喜ばれるってのもまた複雑なんだが」
ドクオはわかんないんですの使った皿とコップを片付けて一息つくと、こう切り出してきた。
('A`)「ところでお前、どうして旅をしているんだ?」
( ><)「世界樹を探しているのです」
('A`)「世界樹?それってあの、絵本に出て来るやつ?」
( ><)「そうなんです」
- 143 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/04(日) 00:06:11.81 ID:t2BBayUsO
- 支援
- 144 名前:1 :2007/03/04(日) 00:08:25.36 ID:hg4+37F+0
- それを聞くとドクオはぷっと軽く吹き出した。それを見たわかんないんですは不安に襲われた。
スナオの町の本屋の店員ように、また馬鹿にされるのではないかと思ってしまった。
( ><)「誰も信じてくれないですけど、世界樹は本当にあるんです!本当なんです!」
('∀`)「ははは……そっか……また凄いもの探してんだな」
( ><)「本当なんです!」
('∀`)「そう言われても、俺は本物を見た事ねえからわかんねーよ。まあ探せばあるかもな、ははは」
ドクオの笑い方はあの店員のそれとは違っていた。少なくとも相手を馬鹿のするような意地の悪さなどは微塵も感じられなかった。
('A`)「ところでお前、もしかしてここまでずっと徒歩で旅をしてたのか?」
( ><)「はい、そうなんです」
('A`)「そりゃ随分とチャレンジャー精神に溢れてるんだな」
( ><)「確かに、とっても疲れたんです。でもこのくらいで音を上げてちゃいけないんです」
- 145 名前:1 :2007/03/04(日) 00:12:16.03 ID:hg4+37F+0
- ('A`)「でもよ、流石にそれだと効率悪いだろ。
世界樹が何処にあるかは知らんが、大陸中を歩いていたらどんだけ時間かかると思ってるんだ?」
( ><)「わかんないんです」
('A`)「まあとにかく、ちんたら歩いてたらいつまで経っても辿り着けやしねえって事だよ」
( ><)「でも他に方法は無いんです」
('A`)「なら教えてやるよ、付いて来な」
わかんないんですはドクオに案内されて、建物の入り口近くの部屋へやってきた。
そこはここに着いた時に一番最初に見た、乗り物がたくさん並んでいる部屋であった。
('A`)「『自転車屋毒男』の品揃えは豊富だぜ?」
広いスペースにはたくさんの乗り物がきちんと整理されて並べられており、足の踏み場のない私室とは対照的であった。
壁には綺麗な模様の壁紙が貼られ、雲や花や星の模様があちこちにちりばめられていた。
床は掃除が行き届いているらしく、ぴかぴかと光って上に載るものの姿を映していた。
( ><)「さっきは素通りしちゃったけど、こうして見るととても綺麗で広いんです」
('A`)「そりゃ客を迎える所だしな、しっかり綺麗にしておかないとな」
(;><)「でも自分の部屋は掃除しないんですね……」
('A`)「ありゃ俺が暮らせればそれで良いんだよ」
- 146 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/04(日) 00:13:29.75 ID:t2BBayUsO
- 支援
- 147 名前:1 :2007/03/04(日) 00:16:01.57 ID:hg4+37F+0
- わかんないんですは一台の乗り物に近寄ってそれをよく見てみた。それがどういう仕組みになっているのかはさっぱり理解できなかった。
しかし先程自分を載せてすいすいと進んでいたのだから、とても大きな力が出せるものなのだろうという事はぼんやりとわかった。
( ><)「所で、これは一体何なんですか?」
('A`)「何って……どう見ても自転車だろ?」
( ><)「自転車って何なんですか? わかんないんです」
('A`)「……うそーん」
ドクオの呆れ顔は、元々の貧相な顔と相まってかなりの脱力感を放っていた。
(;><)「あの、僕なんか変な事言ったんですか?」
('A`)「あーその、自転車を知らないって言う奴初めて見たんでな……」
(;><)「ごめんなさいなんです。僕何にも知らないんです」
('A`)「お前どこの出身?」
(;><)「ぽっぽ村って言う、ここからずっと南に行ったところにある村なんです」
('A`)「ああ、そうなのか……」
わかんないんですの故郷ぽっぽ村はとても小さく、他の大きな町とも離れているため、周囲の変化から取り残されている場所であった。
しかしドクオはわかんないんですが気を悪くするといけないと思い、その事を口には出さない事にした。
- 148 名前:1 :2007/03/04(日) 00:20:13.36 ID:hg4+37F+0
- ('A`)「とにかく、この自転車に乗れば歩きよりもずっと早く、ずっと楽に移動する事が出来るんだ」
( ><)「これを僕にくれるんですか?」
('A`)「……すまねえが、さっきのとは違ってこれはただという訳にはいかねえよ。俺も商売だし、かなり値が張るものだからな」
( ><)「勿論なんです。それで、いくらなんですか?」
('A`)「今お前の傍にある奴で5万ウーピールーピーだな」
(;><)「……高いんです!」
もっと手頃なものはないかと思い、わかんないんですは店を歩き回ってそれぞれの自転車に掛けられた値札を片っ端から見て回った。
しかし見れば見るほど財布に大ダメージを与える数字が目に飛び込んでくるだけであった。
('A`)「長旅になるんだったら丈夫でいい作りの奴じゃないとな……それだと10万位になるかな……」
(;><)「そんなに払ったら当分はご飯が食べられないんです。お財布に優しいのが良いんです」
('A`)「しかし安いのを選んだら後悔する事になるぞ」
(;><)「うーん……困ったんです」
わかんないんですには北の果てまで歩き続ける体力はなく、旅を急がなければならない理由もあった。
確かに自転車を買えばこれから先の旅がぐんと楽になるのであろう。
しかしそこから出費によるダメージを差し引いてしまうとプラスマイナスゼロになって仕舞うのである。
頭を抱えて考えるわかんないんですを見て、ドクオが話し掛けてきた。
- 149 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/04(日) 00:22:31.33 ID:t2BBayUsO
- 支援
- 150 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/04(日) 00:23:35.21 ID:h/6vxvlq0
- http://www.orange-mushroom.com/qvga/
- 151 名前:1 :2007/03/04(日) 00:24:26.23 ID:hg4+37F+0
- ('A`)「一台だけ、だだで譲れるやつがあるぞ」
( ><)「え? 本当なんですか!?」
('A`)「ああ……ちょっと問題があるんだけどな」
( ><)「問題って何なんですか? まさか物凄いぼろぼろだったり、全然動かなかったりするんですか!?」
('A`)「いやそんな事はねーって……てかそうだったら譲れる訳がねーだろ。ま、とにかく来いや」
ドクオは手招きをしながら店の外へと出て行った。わかんないんですもそれに従って後を追いかけた。
案内された店の裏側には古びた小屋が建てられていた。
それは作りも粗末で壁にはうっすらと亀裂も入っており、建物の大きさと釣り合わぬやや大きい入り口があった。
ドクオはその入り口のカギを開けてわかんないんですを中へ招き入れた。
( ><)「ここは一体何なんですか?」
('A`)「物置だよ。っても置いてあるのはこれだけだけどな」
小屋の中が真っ暗だったため、わかんないんですは入った瞬間に思わず躓きそうになってしまった。
先に入ったドクオが窓を開けて明かりを入れると、太陽の光に照らされてあるものが目の前に浮かび上がってきた。
O┬O □─| ̄ ̄ ̄|
◎┴--◎  ̄◎ ̄
そこあったのは1台の紫色の自転車であった。
それは先程ドクオが自分を載せてくれたものと同じ様な形をしており、車輪の部分に鎖が巻かれて壁に繋がれていた。
- 152 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/04(日) 00:28:17.27 ID:dYdNzGHnO
- 謎wktk
- 153 名前:1 :2007/03/04(日) 00:28:40.07 ID:hg4+37F+0
- ('A`)「スピード・乗り心地・耐久性、どれを取っても抜群の一級品だ。これをやろう」
(;><)「そんなに良いもの本当にただで貰っちゃっても良いんですか?」
('A`)「本当にいいぜ。但し………」
ドクオは自転車に近付くと、巻かれている鎖を手にとってわかんないんですに見せてくれた。
('A`)「この鎖を外す事が出来たらな」
銀色に輝く鎖はとても太く重く、少し動かすたびにジャラッと言う高い音を立てた。
とてもじゃないがまともな方法では切断する事は出来そうになかった。
(;><)「そんなの僕には無理なんです。僕は力持ちじゃないんです」
('A`)「いや別に引き千切れって言ってる訳じゃねえんだが」
( ><)「じゃあどうやって外すんですか」
- 154 名前:1 :2007/03/04(日) 00:34:22.77 ID:hg4+37F+0
- 次にドクオは鎖を軽く引っ張り、ある一点をわかんないんですに見せてくれた。
その部分だけ銀色に挟まれて、金色の錠前が左右の鎖を繋いでいた。
錠前の方もとても太く大きく、これも簡単には壊せそうにはなかった。
('A`)「この錠を開ければ鎖は外れる」
( ><)「そうなんですか。じゃあ早速開けて下さいなんです」
('A`)「それが問題なんだよ。鍵が何処にあるかわかんないんだ」
(;><)「ええええ!?」
('A`)「その鍵を隠したのは俺の親父なんだけどよ、俺にはその場所教えてくれなかったんだよ」
(;><)「それじゃどうにもならないんです、無理なんです」
('A`)「……ただ、ひとつだけ手がかりがあるんだ」
ドクオは自転車の後ろに繋がれている荷台の中へ手を突っ込むと、そこから一枚の紙切れを取り出した。
('A`)「親父が言うには、盗まれないようにって鍵の場所をややこしい書き方でメモしたんだとよ」
わかんないんですはドクオから受け取ったメモの中身を見て見る事にした。
- 155 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/04(日) 00:35:22.31 ID:dYdNzGHnO
- nztk
- 156 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/04(日) 00:37:37.57 ID:dYdNzGHnO
- >>1連投規制引っ掛かってる?
- 157 名前:1 :2007/03/04(日) 00:38:58.82 ID:hg4+37F+0
- あ か い ゆ か
し お の べ る
も り の な い
と な り は こ
か れ ぬ は な
『読み方:カイ』
(;><)「赤い床? 塩のベル?……わかんないんです!」
突如として現れた謎の文字の羅列にわかんないんですは頭を抱え込んだ。
(;><)「読み方はカイって言うのも何なのか判りません……」
('A`)「ひねくれた親父ですまんな。まあ頑張ってくれや」
この謎はスナオの町のものとはまた違う厄介なものであった。
あれは並べられた文字そのものには意味がなく、それを正しい読み方に変えるというものであった。
しかしこのメモは普通に「赤い床」など、何の事はわからないが一応意味のある単語として読む事ができるのである。
そうした正しい読みの中に正解がある可能性もあり、余計に混乱してしまうのである。
(;><)「うーん……でもあのお店に赤い床なんてなかったんです……何なんでしょうか……わかんないんです」
- 158 名前:1 :2007/03/04(日) 00:43:01.95 ID:hg4+37F+0
- こうなれば最早とる手段は一つであった。
( ><)「こんな時こそあれを使うんです!」
次の瞬間わかんないんですは脱兎の如く小屋を飛び出して物凄い勢いで走り去っていってた。
('A`)「うおっ早し」
ドクオがそのスピードに呆然としていると、店の方からなにやらどんがらがしゃんという激しい物音が聞こえてきた。
それから間をおかずに、こちらに向かって高速で走ってくるわかんないんですの姿を目の当たりにした。
小さな鍵を握ったわかんないんですは小屋に飛び込むと、自転車の前で足を踏ん張ってブレーキをかけたのであった。
(;><)「こ、この鍵……ゼェゼェ……つか……ハァハァ……」
('A`)「……まずは深呼吸しろ。それから店の方で物凄い音を立てた理由を教えろ」
(;><)「は、はい。僕の鞄からこれを出す時に床に落ちていた枕に足を引っ掛けて転んでしまったんです。
そしたらその衝撃で積まれていたものが崩れちゃって…」
('A`)「後で片付けろよこのやろー」
(;><)「部屋に物を散らかしておく方がいけないんです!」
息を整えてから、わかんないんですは持ってきた鍵を掲げてこう叫んだ。
( ><)「お願いです、この暗号を解く鍵を教えてくださいなんです!」
するとスナオの町の時と同じ様に鍵がぼんやりと光り始めた。
鍵の先端から線状の細い光が放たれ、それが壁に何か文字を書き始めた。
- 159 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/04(日) 00:44:12.58 ID:9qAnzpNR0
- か
べ
の
な
か
- 160 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/04(日) 00:44:39.34 ID:t2BBayUsO
- 解けた
- 161 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/04(日) 00:47:40.35 ID:vkZDY5sbO
- 支援
- 162 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/04(日) 00:52:53.06 ID:wN2DXZkm0
- あ か
し べ る
も の い
と な こ
か な
- 163 名前:1 :2007/03/04(日) 00:55:38.91 ID:hg4+37F+0
- ('A`)「な、なんだよこれ……」
( ><)「わからない事があった時にヒントを教えてくれる鍵なんです」
やがて光の線はある文章を壁へ書き終えると、ぷつんと切れて鍵の中へ吸い込まれて行った。
『ブーンの口とツンの髪の毛ならば解く事ができる。ドクオの口とクーの髪の毛では解けない』
( ><)「……へっ?」
('A`)「ハァ?」
壁に現れた文を読んだ時、二人の口から同時に声が漏れた。
(;'A`)「俺の口? それがどうしたってんだ?」
(;><)「ええええ!? って言うかツンって誰なんですか?わかんないんです!」
父親の暗号以上にひねくれた鍵のヒントに、二人はただ壁の前で騒ぐしかなかった。
第四話 終
- 164 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/04(日) 00:57:42.17 ID:wN2DXZkm0
- 店の内装考えたの親父さんかwwwww
- 165 名前:1 :2007/03/04(日) 00:59:19.59 ID:hg4+37F+0
- ( <●><●>) この謎は皆さんに馴染みのあるものなので、簡単に解けるかもしれませ…解かれていますね
(U )つ しかし作中でツンを出す前にこのヒントを出さなければならないとは、不覚……
u u
途中さるさんに引っかかって投下が遅れ、申し訳ありませんでした
次回の投下は明日の10時頃の予定です
- 166 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/04(日) 01:02:51.50 ID:vkZDY5sbO
- わかんねええええ
ヒントみて余計にこんがらがったwwwwwww
- 167 名前:1 :2007/03/04(日) 01:16:38.68 ID:hg4+37F+0
- ( <●><●>)誤解の可能性があったので訂正しておきましょう
次回の投下は明日の22時頃の予定です
- 168 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/04(日) 01:37:46.21 ID:PajdbMq6O
- 乙〜続きwktk
- 169 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/04(日) 01:39:08.16 ID:t2BBayUsO
- 乙。
- 170 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/04(日) 02:12:23.02 ID:CCU7maiWO
- あ
- 171 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/04(日) 02:37:22.69 ID:PajdbMq6O
- べ
- 172 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/04(日) 03:25:01.28 ID:PajdbMq6O
- し
- 173 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/04(日) 05:14:08.14 ID:dpq2DQlv0
- っ
- 174 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/04(日) 07:30:12.08 ID:ILfBzEa7O
- き
- 175 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/04(日) 08:53:33.76 ID:PajdbMq6O
- ゃ
- 176 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/04(日) 10:45:29.88 ID:ILfBzEa7O
- く
- 177 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/04(日) 11:37:30.13 ID:PajdbMq6O
- そ
- 178 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/04(日) 12:37:54.02 ID:3oa8hp4NO
- wktk
- 179 名前:⊂二二二( ^ω^)二⊃ブーン :2007/03/04(日) 12:39:11.60 ID:4T6PapIo0
- _,l;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;l,,_
,.r'´,. -┐ ':..,゙ヽ
,r' ,::;:' ,ノ ヽ、 ゙:::.ヽ
,.' _.,:;:'___ _立_ ___;;ミ゙、  ̄ノ ̄| ̄
.l厄巳厄巳厄 i王i ,.巳厄巳厄巳l ,勹 .├‐''
l´ , "´  ̄ ̄ ̄ `'''′  ̄ ̄ ̄`.:`{ ´_フ ヽ、_,
| l ;;:.,. ::、. ... '゙|
,.-''、.,! ,.::' ヽ、:.゙、 ;;.:' '' ヽ | ,.、 __l__
./ 、/ `ヾー─tッ−ヽ'' kーtr─ツ'´〕. ヽ. |
/ {´i Y::::.. ` ̄ ̄´.: "i! ::. 、` ̄´ ゙:::.、} r、 l i,____
| ヾ_,,入;:::.. `'' " ´.::; .::i! ::.. ``` :. }ツl l
\ ノ ヾ ;:::. .:r'' :: ll! :ヽ;:..:. .: j,ノ ,! ┬‐┌,┴┐
ヽ',,;l ゙i ;::.. _ `ヽ、;;,,,,'.ィ'' _,, .::,;r'1,,,/ l__ ノl士
ッジ::::::| ゙ ,r'´:::;;;;;;;::> 弋´;;;;;::::ヽ'" |:::::゙'イィ ノ凵 l土
弍:::::::::::l /:::;r'´ ,,..-ー…ー-、 ヾ;:::'、 |:::::::::::ヒ
シ:::::::::::l i':::,! ´ __ ゙ l::::l:. |::::::::::ス __ヽ__‐┬┐
彡;:;:::::l l:::l ''''''''⇒;;;:, l:::l |::::;;ャ` ニ メ ,ノ
,r', 广'`ヽl:::l ::::. .:: ゙::. l::l ノ^i`、 l ̄l ハヽヽ
,イ(:::j i::;ヘ :;:. .:: l::l'" l:ヽヽ  ̄  ̄
|;:ヽヽ l::l ヽ ;:.... .. .. : /l::l ノ ,.イ
|;:;:;:;\\ l::l ', :;.:;::::::::::..::. / l::l,r'' /;:;:;|
- 180 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/04(日) 13:33:49.84 ID:PajdbMq6O
- ほ
- 181 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/04(日) 15:19:33.72 ID:cF+I/RHiO
- し
- 182 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/04(日) 15:59:10.27 ID:PajdbMq6O
- ゅ
- 183 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/04(日) 16:29:43.29 ID:PajdbMq6O
- ほ
- 184 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/04(日) 17:20:43.78 ID:PajdbMq6O
- る
- 185 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/04(日) 18:01:40.56 ID:1sWdL25cO
- ふぅ
- 186 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/04(日) 18:33:55.95 ID:T4xlpzrC0
- ほ
- 187 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/04(日) 19:11:47.84 ID:PajdbMq6O
- し
- 188 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/04(日) 19:52:42.72 ID:PajdbMq6O
- の
- 189 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/04(日) 20:52:48.96 ID:CCU7maiWO
- ハァハァ
- 190 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/04(日) 21:02:37.04 ID:3QGOs59K0
- ようやっとヒントが解った気がするんだぜ!!
- 191 名前:1 :2007/03/04(日) 21:55:43.01 ID:hg4+37F+0
- 保守してくださった皆様、お待たせいたしました
これより第五話を投下します
- 192 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/04(日) 21:58:16.32 ID:KFKTfG7oO
- すっかり明日投下されると思ってたww
すまん
- 193 名前:1 :2007/03/04(日) 22:00:02.24 ID:hg4+37F+0
- 第五話『モテナイ村/謎解き編』
わかんないんですとドクオが騒ぎ始めてから1時間ほどが過ぎようとしていた。
その頃には最早騒ぐ気力もなくなり、二人揃って床に座り込んでただ黙り込むだけであった。
( ><)「全然わかんないんです……」
('A`)「もうだめぽ」
( ><)「そろそろお腹も空いてきたんです」
('A`)「ケーキあるけど良かったら食う?」
( ><)「えっ?良いんですか!?」
('A`)「去年のクリスマスの時の余りだけどな」
(;><)「……いらないんです。何でそんなものとって置いてるんですか」
('A`)「いやさ、一応ふいんき(何故か変換できなry)だけはと思って買ったんだけど、食いきれなくてよ」
そこまで話したところで、ドクオは力なく笑った。
('A`)「あっはは……第一モテナイ村でクリスマスなんて不毛なんだよな……
カードやプレゼントだって無駄だしなあ。でも他の町に行った時に『Marry X'mas』とか言う看板見るとなんかやりたくなってきて」
その時わかんないんですの中で、ある一つのアイディアが思い浮かんだ。
( ><)「クリスマス……クリスマス……もしかしたらこう言うことなのかも知れないんです」
- 194 名前:1 :2007/03/04(日) 22:01:27.63 ID:hg4+37F+0
- >>192
アッー 予告書き込んだとき日付変わってたの忘れてた
すいませんでしたっーーー
- 195 名前:1 :2007/03/04(日) 22:07:42.61 ID:hg4+37F+0
- その頃、自転車屋毒男から少し離れた狭い路地で、一人の男が水を飲んでいた。
( ^ω^)「ぐびくび……」
ブーンは水筒に入った水を勢いよく飲み干そうとしていたが、突然水筒を取り落としてしまった。
( ^ω^)「……やっぱり限界だったかお」
水筒を握っていた手の肌は白さを失い、茶色く変色していた。
そして紙を丸め潰したかのようにくしゃくしゃとしわが付き、あっという間に縮んでいった。
( ^ω^)「まあいいお」
その変化は手だけではなく、見る見る内にブーンの全身へと広がっていった。
やがてその体は変化した部分から少しずつ粉になって崩れていった。
( ^ω^:::..「君を待って……」
( ^ω::::::::......「い………」
( ^::::::::::::::............
:::::::::::::::::::::::................
- 196 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/04(日) 22:11:41.12 ID:dYdNzGHnO
- まさかブーンは………
- 197 名前:1 :2007/03/04(日) 22:12:04.73 ID:hg4+37F+0
- ブーンが塵となって風に混ざって消えた頃、わかんないんですの頭上には電球が光り輝いていた。
( ><)「わかったんです!」
(;'A`)「うおう!」
わかんないんですがメモを振り回しながらそう叫んだので、ドクオは驚いて思わず後ずさりしてしまった。
( ><)「鍵の場所が判ったんです!」
('A`)「ほ、本当か!?」
( ><)「すぐお店に戻るんです!」
わかんないんですは荷物を取りに戻った時と同じように、素早い動作で小屋から飛び出していった。
ドクオは呆気に取れながらも、後を追って小屋を出た。
('A`)「おいちょっと待て、本当に判ったのか!?」
( ><)「本当なんです! わかったんです!」
('A`)「あのメモには一体何て書いてあったんだよ?」
( ><)「それはですね……」
- 198 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/04(日) 22:15:40.93 ID:Rb1knnS/0
- さる支援
- 199 名前:1 :2007/03/04(日) 22:16:36.50 ID:hg4+37F+0
- ( <●><●>) 今回も私が謎解きをさせていただきます
(U )つ
u u
あ か い ゆ か
し お の べ る
も り の な い
と な り は こ
か れ ぬ は な
『読み方:カイ』
( <●><●>)これが前回出題された暗号本文とそのヒント
『ブーンの口とツンの髪の毛ならば解く事ができる。ドクオの口とクーの髪の毛では解けない』
これが私の鍵が出したヒントですね
- 200 名前:1 :2007/03/04(日) 22:21:14.63 ID:hg4+37F+0
- ( <●><●>)
さてブーンの口とツンの髪の毛・ドクオの口とクーの髪の毛
一方で謎が解け一方では解けない……その違いは何処にあるのでしょうか
( ^ω^) ξ゚听)ξ ('A`) 川 ゚ -゚)
これがヒントに登場する4人のAAです それぞれから指定されている部分を抜き出してみましょう
ω ξ A 川
ドクオの口はアルファベットの「A」 クーの髪の毛は漢字の「川」です
しかしブーンの口とツンの髪の毛は普段は余り目にしない文字から作られています これはいったい何なのでしょうか
ω ξ
( <●><●>)
この二つの文字はギリシャ文字です それぞれ「オメガ」「クシー(グザイ)」と読みます ちなみに小文字です
つまり私の鍵は「ヒントはギリシャ文字である」と伝えたかったようです
素直にそう言えば良いのに、全くテレ屋さんなんだか…… ウボァー
- 201 名前:1 :2007/03/04(日) 22:25:46.26 ID:hg4+37F+0
- ( <●><●>)
さて暗号には『読み方:カイ』と言うヒントが添えられていました
カイと言ってもその音から変換される文字・思い浮かべる事象は様々でしょう 回 階 会 貝…
しかしここで『ギリシャ文字』と言うヒントが示されています
ちょっとここで「かい」と入力して変換してみてください
「Χ」
このような記号が候補に上がると思われます アルファベットの「X」エックスと似ていますが違う文字です
これはギリシャ文字で、アルファベットのXの元となった文字「カイ」なのです
( <●><●>)
ちなみによく「クリスマス」が「X'mas」と表記されていますが、この最初の文字はエックスではなくカイと表記するのが正しいのです
ってこれはトリビアの泉で放送済みでしたね
- 202 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/04(日) 22:29:34.02 ID:t2BBayUsO
- 支援
- 203 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/04(日) 22:30:00.68 ID:AaPZQghX0
- 猿?
- 204 名前:1 :2007/03/04(日) 22:30:25.76 ID:hg4+37F+0
- ( <●><●>)さていよいよ暗号の本文を見てみる事にしましょう
あ か い ゆ か
し お の べ る
も り の な い
と な り は こ
か れ ぬ は な
この文章を指定された通りに読んで見ましょう 『読み方:カイ』でしたね
カイ……つまり「Χ」 つまりこれを文字と同じ様に斜めに読めばいいのです するとこうなります
あ か
お べ
の
な は
か な
( <●><●>)あおのはな かべのなか……「青の花 壁の中」 さてそれはあの店の何処を指し示しているのでしょうか
それでは続きをどうぞ
- 205 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/04(日) 22:37:43.74 ID:dYdNzGHnO
- 支援支援
- 206 名前:1 :2007/03/04(日) 22:37:58.60 ID:hg4+37F+0
- ( ><)「……と、こう言う訳で、暗号が解けたんです」
('A`)「成程な。しかし『青の花・壁の中』って一体何処の事なんだ?」
二人は店へと戻っってきた。店に入るなりわかんないんですは辺りをきょろきょろを見回し始めた。
('A`)「おい、何探して……」
( ><)「あった! ここなんです!」
わかんないんですは部屋の隅を指した。その指の真っ直ぐ先には青い花の模様があった。
('A`)「青の花ってのは壁紙の模様の事だったのか!」
( ><)「青い花の模様はこれしかないんです。この下に鍵がある筈なんです」
('A`)「よし、待ってろ!」
ドクオは工具を片手に壁に近寄ると、早速壁紙を剥がし始めた。
近くで見て判った事だが、どうやらこの青い花の模様は元々白い花が印刷されていた所に色を塗ったものだったらしい。
壁紙がはがれて剥き出しになったその場所には、小さな板が釘で打ちつけられていた。
その部分を軽く叩くとコンコン軽い音が響いた。
('A`)「この中は空洞みたいだな。よしっ!」
次にドクオは板と壁の間にL字型の工具を挟ませ、それを思い切り引っ張った。
('A`)「にゃんこらしょー!!」
ベリベリという音を立てて、板が壁から引き離された。そして板に隠されていた空洞とその中にある鍵を見つける事が出来たのである。
- 207 名前:1 :2007/03/04(日) 22:42:28.44 ID:hg4+37F+0
- ( ><)「……あったんです!」
わかんないんですはそっと手を伸ばし、鎖を外す鍵を握り締めた。
('A`)「まさかこんな所にあったとはな……流石に思い浮かばな……」
次の瞬間、わかんないんですは再び物凄い加速度で店を飛び出していった。おそらくは倉庫に戻って鎖を外しに行ったのであろう。
('A`)「……あいつさっきまで行き倒れてたんだよな?」
ドクオはのろのろと店を出て、倉庫へ向かって歩き始めた。
一方先に出ていたわかんないんですは倉庫に到着し、今正に鎖を外そうとしている所であった。
鍵を錠前に差し込んで回転させると、がちゃっと言う大きな音が聞こえた。
( ><)「やった! 開いたんです!」
わかんないんですは自転車の車輪に巻かれた鎖を持ち上げて丁寧に解いていった。
そして鎖を完全に外してからハンドルを握って軽く押してみたところ、非常にゆっくりではあるが自転車は前進したのであった。
( ><)「これで自転車が手に入ったんです!」
わかんないんですは諸手を上げて喜び、倉庫の中をぴょんぴょんと飛び回っていた。
その時、ふと自転車の荷台の中にある何かが目に止まった。
( ><)「……何なんですかこれ? わかんないんです」
わかんないんですはそれを手にとった。それは先程ドクオが取り出したのとは違う、もう一枚のメモであった。
折り畳まれていた紙を開くと、そこには長い文章が綴られていた。
- 208 名前:1 :2007/03/04(日) 22:46:47.13 ID:hg4+37F+0
- 『愛するドクオへ』
お前もついにこの村にきてしまったのだな。別にその事をどうこう言うつもりはない。お前の人生はお前が決める事だからな。
俺もその昔は世の厳しさに耐えられずにこの村へやってきた。
そして長い間ここに留まり、細々とこの自転車屋をやって過ごしてきた。
町にいた頃のように苦しむ事もなく、のんびりと穏やかに暮らす事が出来て、それはそれは幸せだった。
だがある日突然それに気が付いたのだ。
本当にこのままこの村で暮らし続けていいのかという事に、本当にこのままでいる事が幸せなのかという事に。
生まれてきたからには、生きているからこそ出来る全ての物事を試してみたいと思うようになったのだ。
そこで俺は世界一丈夫な自転車を、つまりお前の目の前にあるそれを作り上げた。
俺はそれに乗って村を飛び出し、あちこちを旅して回った。そして遠い町である女性と出会い、結婚し、そして可愛い息子が生まれたのだ。
- 209 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/04(日) 22:57:42.11 ID:10PJvV3m0
- ほぁー
- 210 名前:1 :2007/03/04(日) 23:03:13.35 ID:hg4+37F+0
- お前は本当によく俺に似ていた。
貧相で血色の悪い顔も、人付き合いが苦手なところも、一度何かに熱中するとなかなか止められない所も、本当にそっくりだった。
だから俺と同じ様に、お前が将来女の子にもてなくなってこの村に逃げてしまうだろうという事も、何となく予想が出来た。
だからこそこの自転車をお前の為にここに残しておいた。
時々俺が家を空けていたのは、実はこれを整備しに戻っていたんだ。
お前が俺に似ているのなら、そしてここへ来たのなら、いつかきっとお前も旅に出たいと思う筈だ。
今一人で暮らし始めたお前はとても安らいでいて、幸せを感じている事だろう。
だが幸せの形は一つではない。もう一つの幸せを手に入れた時お前はきっと、一人じゃないのも悪くないと思ってくれるだろう。
我が息子、ドクオに幸あれ。
『父より』
追伸 もう一枚のメモには鎖を外す鍵の場所が書いてある。解き方は教えた通り。
- 211 名前:1 :2007/03/04(日) 23:07:50.38 ID:hg4+37F+0
- ( ><)「これって……ドクオさんのお父さんの……」
('A`)「おいこら、何見てんだ」
(;><)「あっ! ごめんなさいなんです!」
気が付くとドクオがやって来ていて、わかんないですのすぐ後ろに立っていた。
( ><)「あの、ドクオさん……」
('A`)「ん?」
( ><)「この手紙の最後に『解き方は教えた通り』って書いてあるんです。もしかして最初から暗号の読み方が判っていたんですか?」
('A`)「いや、本当に知らなかったんだ」
そこで一息つけて、ドクオはふうーっと大きな溜息を付いた。
('A`)「話してくれる前に事故で逝っちまったからな…」
( ><)「えっ……」
('A`)「カーチャンも何も知らなかったみたいで、何も説明せずに親父から預かっていたここの鍵だけ俺にを渡してくれた。
自転車の事も親父の昔話もここへ入って初めて知ったんだ」
それからドクオは鎖から放たれた自転車に近寄って、そっとその車体を撫で始めた。
- 212 名前:1 :2007/03/04(日) 23:11:15.96 ID:hg4+37F+0
- ('A`)「初めてコイツと会った時は、そりゃぼろぼろでさ……
旅する気なんてさらさらなかったけど、親父の遺品だしと思って頑張って整備したっけ」
その姿を見たわかんないんですは、ドクオの背後にいる大きな影を見たような気がした。
( ><)「あの、本当に良いんですか?」
('A`)「あん?」
( ><)「この自転車はお父さんがドクオさんに残したものなんです。僕なんかが貰っていいものじゃないんです」
('A`)「いーよいーよ。どうせ旅に出る気なんかこれっぽっちもねえんだしよ」
( ><)「でも……」
('A`)「俺がずっと持っていて使わないでいるよりも、お前に乗って貰った方がそいつも嬉しいだろうよ」
わかんないんですはしばらくの間俯き、じっと考え込んだ。ドクオが許可していても、それをそのまま受け取る事が出来なかったのである。
それはクーから祖父の形見である地図を借りた時と同じ心境であった。
- 213 名前:1 :2007/03/04(日) 23:14:42.21 ID:hg4+37F+0
- ( ><)「やっぱり貰うなんて出来ないんです」
('A`)「……なんだよ、勿体ねえなあ。折角鍵を見つけたってのによ」
( ><)「だから、旅が終わったらこの自転車をドクオさんに返しに行くんです」
('A`)「いや別にそんな事しなくても」
( ><)「できるだけ急いで戻るんです。だからそれまで待っていてくださいなんです」
('A`)「人の話聞けって」
わかんないんですはしっかり顔を上げ、ドクオを目を合わせてこう言った。
( ><)「ドクオさんがなんと言っても、お父さんがドクオさんに残した気持ちが一杯詰まったこの自転車は、絶対に返しに行くんです」
わかんないんですは自転車のハンドルを掴み、ゆっくり押しながら歩き始めた。
( ><)「ありがとう御座いましたなんです」
わかんないんですは自転車と共に倉庫から出て行った。
('A`)「……良いって言ってんのによ」
- 214 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/04(日) 23:16:02.33 ID:t2BBayUsO
- 支援
- 215 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/04(日) 23:18:11.78 ID:/6FfdjJU0
- wktk
- 216 名前:1 :2007/03/04(日) 23:18:15.70 ID:hg4+37F+0
- ドクオはわかんないんですの後姿を見つめていた。
('A`)「あーあー、俺はどうすりゃ良いんだよ」
わかんないんですには自分は旅に出たいと思った事はなかったと説明した。
だが本当にただの一度でも、それを考えた事がなかったと言えばそれは嘘であった。
数えられる程度の出来事であるが、本当はあの自転車に乗って村を出てみたいと思った事があったのである。
だがその度にドクオは、自転車が動かせないからどっちにしろ無理だと言って、気の迷いだと言ってその事を忘れようとしていた。
('A`)「あいつが帰ってきちゃったらさあ……」
ドクオが旅に出たがらない本当の理由は、自転車などではなかった。
もしも結婚相手が見つからなかったら、その前に事故で死んでしまったら、ここに戻って来れなくなったら。
もしも町にいた時のように寂しい気持ちを味わってしまうとしたら……そんな不安がドクオの心に渦巻いていたからである。
だがきっと父も同じ様な想いを抱えていて、それでも父は旅に出たのだ。
そう考えると自分の小ささが身に染みて、惨めに感じてしまうのである。
('A`)「俺旅に出なくちゃならないじゃん」
ドクオは自分の情けなさを忘れる為に、旅に出ない理由を全て自転車のせいにした。
鎖で巻かれていて動かせないからと言う一つの、不可抗力的で解決不可能な原因に集約させたのであった。
だが裏を返せばそれは、鎖が外れたその時には旅に出ない理由がすべてなくなってしまうという事でもあった。
それさえ解決すれば旅に出られるようになるという事である。
('A`)「何で開けちまうんだよ畜生」
わかんないんですに鎖を外したら自転車をあげると言ったのは、旅に出る可能性を無くせるかも知れないと思ったからであった。
鎖を外せなかったならば今までと同じ、もし外して自転車を持っていったのならばこれで永久に旅に出なくても良くなる。
そんな考えがあったのである。
- 217 名前:1 :2007/03/04(日) 23:22:02.05 ID:hg4+37F+0
- しかしわかんないんですに自転車をあげようとしたのは、そんな気持ちだけではなかったのかも知れない。
わかんないんですにも言ったように、父が折角残してくれた自転車を無駄にしたくな無いと言う気持ち。
自分には出来ない事をしている者に託したいと言う純粋な理由もあったのかもしれない。
あったとしても本人はそれを認めようとはしないであろうが。
('A`)「……ま、頑張れよ」
だが仮にわかんないんですが自転車を本当に持って行ってしまったとしても、ドクオの気持ちが吹っ切れるという事はなかったであろう。
ドクオは自分で自転車を作る事もできるし、少々きついが徒歩での旅もやろうと思えば出来る。あの自転車がなくとも旅に出る事出来る。
どうやったっても結局はドクオ自身の情けなさを晒しだす事になっていた筈である。
そういう意味でも、わかんないんですが自転車を返すと約束したのは、とても良い事だったのであろう。
( ><)「あれ?」
その頃わかんないんですは村の入り口にいた。その時にふと脇に立っている看板の下に何かが置いてあるのを見つけたのである。
( ><)「何なんですかこれ?」
それは白い封筒であった。しかも表には「わかんないんですへ」と書かれていた。
わかんないんですは疑問に思いながらもそれを開いて中のものを確認してみた。
『少ないけど受け取ってくれ。君の旅路に幸あれ』
そう書かれた手紙と、3枚の紙幣が同封されていた。
(;><)「お、お金? 3000ウーピールーピーもあるんです」
最初はそれを本当に拾っていいのか迷った。
しかし自分宛てのプレゼントを無視するのも失礼だと思い、それを荷台に乗せてあるリュックの中にしまう事にした。
- 218 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/04(日) 23:25:03.51 ID:3QGOs59K0
- ブーンktkr
- 219 名前:1 :2007/03/04(日) 23:26:25.79 ID:hg4+37F+0
- ( ><)「さあ、出発なんです!」
わかんないんですは自転車にまたがり、前を向き、モテナイ村を出発した。
(>< )
O┬O )□─| ̄ ̄ ̄|
◎┴し'-◎  ̄◎ ̄
('A`)「んじゃそろそろ仕事に戻るかー……」
ドクオが伸びをして店に戻ろうとした時、遠くから声が聞こえてきた。
(#)><)「ドクオさ〜ん……」
('A`)「………あれ?」
それは顔を腫らしたわかんないんですであった。
('A`)「お前行ったんじゃなかったのか?」
(#)><)「自転車に乗ったら転んじゃったんです……」
('A`)「そう言えばお前自転車始めて見たくらいなんだし、乗り方がわかる訳なかったわな……」
それから数日間、わかんないんですはドクオの家に泊めて貰い、自転車の乗り方を教わったのであった。
第五話 終
- 220 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/04(日) 23:28:18.77 ID:t2BBayUsO
- 乙!
- 221 名前:1 :2007/03/04(日) 23:29:59.87 ID:hg4+37F+0
- ( <●><●>)すいません 最後に誤字がありました
「自転車始めて見たくらいなんだし」→「自転車初めて見たくらいなんだし」
本日の投下はここまでです
次回の投下は明日の10時頃の予定です
- 222 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/04(日) 23:31:16.78 ID:3QGOs59K0
- >>1乙
ドクオ父の手紙良かったわ〜
- 223 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/04(日) 23:31:27.02 ID:PajdbMq6O
- 乙!ブーン…
- 224 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/04(日) 23:33:31.12 ID:dYdNzGHnO
- 乙
- 225 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/04(日) 23:35:21.75 ID:WSoZb4XU0
- おつう
手紙良かったな
- 226 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/04(日) 23:39:38.54 ID:0RVzU5+ZO
- 童話みたいだな
ええ話や
- 227 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/04(日) 23:44:10.07 ID:KFKTfG7oO
- 乙
わかってます=>>1
- 228 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/05(月) 00:12:53.64 ID:zM70kwzLO
- 数日もドクオの家にいたら…
その間にちんぽっぽちゃん死んじゃうんじゃないの?
- 229 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/05(月) 01:00:21.31 ID:KdaGdQBEO
- 乙
- 230 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/05(月) 01:33:08.30 ID:+zODLbhl0
- 乙ふぁー
- 231 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/05(月) 02:36:12.43 ID:zM70kwzLO
- か
- 232 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/05(月) 04:39:14.18 ID:cR986VLw0
- age
- 233 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/05(月) 05:53:21.47 ID:O+cyCb2t0
- ><
- 234 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/05(月) 07:50:42.62 ID:nb98Nx/s0
- ほ
- 235 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/05(月) 08:57:53.70 ID:pEhueIb+O
- ほし
- 236 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/05(月) 11:33:53.46 ID:GcX8a4c70
- ほす
- 237 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/05(月) 11:42:47.42 ID:36Fh5x9g0
- …でも22時投下だと投下直後か投下中に落ちるよね
- 238 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/05(月) 12:42:14.06 ID:M+QocUX0O
- ( ゚д゚ )…
- 239 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/05(月) 14:00:28.50 ID:+zODLbhl0
- ⊂二(^ω^ )二二二⊃
- 240 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/05(月) 15:14:52.14 ID:MZ5sekDmO
- ( ^ω^)
- 241 名前:1 :2007/03/05(月) 15:35:16.85 ID:WJ8Hz12G0
- ( <●><●>)3日ルールを忘れていたと言う事はわかってます
と言う訳で、予定を早めまして、今の内に第六話を投下させて頂きます
- 242 名前:1 :2007/03/05(月) 15:38:39.18 ID:WJ8Hz12G0
- 第六話『フーンの町/謎掛け編・上』
モテナイ村で自転車を手に入れた後の数日間、わかんないんですの旅は比較的順調に続いていた。
重いリュックは荷台に載せているので肩が非常に軽く、徒歩よりもはるかに早く平地をすいすいと進んで行く事が出来た。
(メ ><)「とっても速いんです!」
ドクオに自転車の乗り方を教わった際、慣れるまでに何度も転んだお陰で、わかんないんですの顔は傷だらけになっていた。
しかし何度転んでも諦めず、最終的には乗りこなせるようになったのである。
(メ ><)「これで世界樹まで急ぐんです!」
それからわかんないんですは地図を頼りに北へ北へと旅を続けていった。
大きな町に小さい村に、いろいろな所を訪ねては情報を集めていった。
そんなある日、ふらりと立ち寄ってある町の酒場で、わかんないんですはある一人の男と出会ったのだった。
- 243 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/05(月) 15:40:42.19 ID:M+QocUX0O
- このタイミングで来るとはわかりませんでした!><
wktkさる支援
- 244 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/05(月) 15:41:10.60 ID:UgZzAL9e0
- キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ !!!!!
- 245 名前:1 :2007/03/05(月) 15:42:39.14 ID:WJ8Hz12G0
- <丶`∀´>「おい親父、もっと酒をよこすニダ」
( ゚д゚)「お客さん、さっきからすげえ飲んでるけど、御代はあるんだろうね?」
<丶`∀´>「見ての通りウリは貧しい旅人ニダ。こんな哀れな者から金を取ろうだなんて酷い奴ニダ」
( ゚д゚)「金を払わなんなら酒を出す訳には行かないよ」
<# `∀´>「そうやって何度か弱いものを差別すれば気が済むニダ!!」
店主からは呆れによってそれ以上反論する気力が失われていた。その代わりに無言の視線で不快感を客に伝えた。
( ゚д゚ )「……」
<# `∀´>「こっちみるなニダ!」
( ><)「あの人とっても怖そうなんです……」
わかんないんですは少し離れた所でその様子を見ていた。あの客には関わらない方が良いと判断し、そっと酒場を出ようとしていた。
しかし出口をくぐろうとした瞬間に、後ろから思い切り肩を掴まれてしまったのであった。
<丶`∀´>「おいお前、ちょっと金貸してくれるニカ?」
(;><)「うわあああ! なんです!」
<丶`∀´>「本当にちょっとで良いニダ、でないとウリはあの親父に絞められてしまうニダ」
(;><)「えっ、でも僕もあんまりお金を持っていないんです」
<丶`∀´>「頼むニダ! 一生のお願いニダ!」
- 246 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/05(月) 15:45:27.86 ID:XFo/lOCE0
- || |
|| |
|| |_______________
|| ∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨
|| :∧ ∧: ち、ち…
( ><). || :(*‘ω‘;*): ちんぽっ…
( つと). || :( ):
し‐-J. || .v v ムズムズ…
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ここでちんぽっぽ
しちゃだめです!
|| |
|| | ◎ ティウンティウンティウン・・・・
|| |______◎_____◎______
|| ∨∨∨∨∨・;'◎;・;∨∨∨∨∨∨∨
|| ◎ ◎
(;><) || ◎ ◎ ◎
( つと). || 川
し‐-J. || ( ( ) )
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
アッー!
- 247 名前:1 :2007/03/05(月) 15:46:23.09 ID:WJ8Hz12G0
- もともと決断力が弱く、押されてしまいがちな性格のわかんないんですには、男の頼みをはっきりと断るだけの勇気が無かった。
その上男が余りにしつこく迫ってくるので、困り果てた挙句にわかんないんですは財布を出してしまったのであった。
( ><)「いくら必要なんですか?」
<丶`∀´>「3万ウーピールーピーニダ」
(;><)「高いんです、ちょっと無理なんです」
<丶`∀´>「良いからとっととよこせニダ!」
そう言うと男はわかんないんですの財布に手を伸ばし、その中から適当に紙幣を掴み取った。
そして素早くその店から飛び出していったのであった。
(;><)「……2万5千ウーピールーピーも借りていったんです」
( ゚д゚)「あーあー、お客さんまで……」
それを見ていた店主がわかんないんですに声をかけてきた。
( ><)「あの人が何処に行ったのかわかんないんです」
( ゚д゚)「どうせもうこの町にはいないだろうよ、ペッ」
( ><)「え? 僕にお金借りたまま行っちゃったんですか?」
( ゚д゚)「んなわけねーだろ。お前さん金を盗られたんだって」
(;><)「ええっ!?」
- 248 名前:1 :2007/03/05(月) 15:50:04.03 ID:WJ8Hz12G0
- ( ゚д゚)「あいつ最近この町に来た奴でね、素行は悪いし何かあるとすぐいちゃもんつけてくるしで困ってたんだよ。
結局ここの代金も踏み倒しやがったし」
(;><)「そんな汚い真似をする人がいるなんて……」
わかんないんですの発言を聴いた店主は、思わずその感情を無言の視線で表現してしまった。
( ゚д゚ )「……」
(;><)「こっち見ないで下さいなんです!」
( ゚д゚ )「お前、世の中舐めとんのか? あんなのよりもっと酷い奴だってゴロゴロいるんだよ」
( ><)「僕の村の人達はみんな優しい人ばかりなんです。あんな事する人なんていないんです」
( ゚д゚ )「いいねー、平和なとこにいたんだねー」
店主は顔の向きを戻し、ふうと溜息を付いた。
( ゚д゚)「ま、これから気をつけるんだな。もしまたあいつに会ったらぼこぼこにして川に流してやりな」
(;><)「そんな怖い事出来ないんです」
- 249 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/05(月) 15:51:31.47 ID:M+QocUX0O
- さる支援
- 250 名前:1 :2007/03/05(月) 15:53:27.40 ID:WJ8Hz12G0
- わかんないんですがその町を出たのはその日の夕方であった。
本当はもっと長く滞在する予定であったが、資金を盗まれてしまった為それはもうできなくなってしまったのである。
( ゚д゚)「え? 世界樹を探してるって?」
別れ際にわかんないんですに旅の理由を訪ねた店主は、その答えを聞いた驚きを無言の視線で表現した。
( ゚д゚ )「……」
(;><)「こっち見ないで下さいなんです!」
( ゚д゚ )「癖だから無理」
そして顔の向きを直してからこんな話を聞かせてくれた。
( ゚д゚)「そう言えば昔、世界樹の研究をしてるって奴がこの店に来た事があったなー」
( ><)「え? どんな人なんですか?」
( ゚д゚)「若い男だったよ、兄弟揃ってきていたな。フーンの町に住んでるって言ってたかな」
( ><)「わかんな……わかったんです。有難う御座いますなんです」
わかんないんですは地図でフーンの町の位置を確認し、自転車に乗って北を目指した。
( ><)「だんだん世界樹に近付いてきてるんです」
フーンの町はここから更に北へ進んだ地点、ボスケテ山のふもとに広がる大きな町であると地図に記されていた。
- 251 名前:1 :2007/03/05(月) 15:57:45.83 ID:WJ8Hz12G0
- わかんないんですがフーンの町に到着したのは、その二日後の事であった。
( ><)「…凄い所なんです」
そこは今まで立ち寄ったどの町よりも大きく、そして人で溢れ返る場所であった。
のんびりとしたぽっぽ村の雰囲気とはうって変わって、
あらゆるものの存在感がぐいぐいとこちらに向かって押し付けられてくるように感じられた。
建物と建物はかなり近接して建てられており、しかもたくさんの人が歩いているのでその僅かな隙間さえ埋め尽くされ、
全てがぎゅう詰めになっているように見えた。
( ><)「あっ、そうなんです。世界樹の研究をしている人を探すんです」
わかんないんですはその人ごみの中へ飛び込み、聞き込みを始めた。
最初は人の流れに押されてなかなか声をかけられずにいたが、それでも近くを通りかがった人の何人かに声をかける事が出来た。
そして世界樹の研究をしている兄弟の事を尋ねると、その答えはすぐに返ってきたのであった。
「それなら東の屋敷の流石兄弟の事だろ?」
誰もがその名前を口にし、そして「あれは変わりものだから関わらない方がいい」と告げるのであった。
( ><)「どうしても会いたいんです。お屋敷の場所を教えてくださいなんです」
そう尋ねると人々は一応場所を教えてはくれるものの、でも行かない方がいいよと念を押すのである。
(;><)「なんかちょっと不安になってきたんです…」
ともかくわかんないんですは教えて貰った通りに東へ向かい、兄弟が住んでいると言う屋敷を訪ねる事にした。
- 252 名前:1 :2007/03/05(月) 16:01:32.92 ID:WJ8Hz12G0
- 丁度その時、わかんないんですのお腹から胃の運動によって空気が動く音が聞こえてきた。
(;><)「……その前にお腹が空いてきたんです」
わかんないんですは近くの店で食事を取る事にした。
この町の物価は今まで立ち寄ったどの町よりも高く、先日金を盗まれた件もあって、一番安いスープしか注文する事が出来なかった。
( ><)「スープじゃ腹もちが悪いんです……またすぐお腹空いてしまうんです」
しかし運ばれた来たスープを一口すすった瞬間、わかんないですの不満は一気に吹き飛んだのであった。
( ><)「とっても美味しいんです!」
( ゚д゚)「お気に召されましたか」
料理を運んできた男が横から話し掛けてきた。
( ><)「(なんかこの人どこかで見たような気がするんです……)はいなんです!」
( ゚д゚)「そうで御座いましょう。ウプキボン川の中流から汲み上げられた水を使用しておりますから」
( ><)「うぷきぼ……なんなんですか? わかんないんです」
( ゚д゚)「おやご存じないとは。ウプキボン川はこの町に流れている世界的に有名な美しい河川で御座います
川の水は古来より飲用水として普段からこの町で利用されていますが、その質と味は最高のものです」
料理を食べ終えた後、わかんないんですを店を後にして再び屋敷探しを再開したのであった。
( ><)「あの人前に会った人と似ているけど……でも喋り方も違うし、こっち見なかったんです」
- 253 名前:1 :2007/03/05(月) 16:07:04.24 ID:WJ8Hz12G0
- 屋敷はそれはすぐに見つける事ができた。それは他の建物よりも少し離れた所に建てられていた。
わかんないんですはその玄関の前に立ち、そっと呼び鈴を鳴らした。
( ><)「突然すいませんなんです。お話がしたいんです」
すると扉の向こう側からなにやらどたどたという激しい足音が響いてきた。そして物凄い速さで扉が開いたのだった。
(´<_` #)「全くしつこいぞ! いい加減帰ってくれ!」
その瞬間わかんないんですは開いた扉にぶつかって跳ね飛ばされた。
(;><)「キャー! デジャヴなんですー!」
そのまま地面に叩きつけられ、わかんないんですの意識は少しずつこの世から遠ざかっていった。
(´<_` )「おや? 違う人?」
(#)><)「…………きゅー……」
(´<_`;)「おい、大丈夫か」
頬の痛みと、何やら騒いでいる家主の声はだんだん小さくなっていった。わかんないんですはそのまま気絶してしまった。
(´<_`;)「ううむ、仕方が無い。とにかく手当てをせねば」
- 254 名前:1 :2007/03/05(月) 16:10:40.34 ID:WJ8Hz12G0
- ( ><)『この木にいっぱい蜜柑がなっているんです』
(*‘ω‘*)『ちんぽっぽ♪』
( ><)『体当りしたらきっとたくさんの蜜柑が落ちてくるんです。ちんぽっぽちゃんやってみてくださいなんです』
ΣΣΣ====(((*‘ω‘*)『ちんぽっぽおおおお!!!』
(;><)『……え、違うんです、僕じゃなくてこっちの木に……』
どかぼいんっ
( ><)(そう言えば昔から良くちんぽっぽちゃんにどかぼいんされていたんです……)
(´<_` )「なかなか起きないな」
( ><)「う……ん」
(´<_` )「と言った矢先に目を覚ましたか」
わかんないんですが目を覚ますと、高い高い天井が視界に飛び込んできた。
頭の下には枕があり、暖かい布団もかけられており、どうやらベッドに寝かされているようであった。
- 255 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/05(月) 16:10:40.74 ID:M+QocUX0O
- わかんないんです可愛いよわかんないんです
- 256 名前:1 :2007/03/05(月) 16:14:29.36 ID:WJ8Hz12G0
- (´<_` )「君、気分はどうだ?」
そして呼びかけてくれた声に反応して顔を横に向けると、玄関の扉を開けた人の姿を見る事が出来た。
( ><)「ここは……何処ですか?」
(´<_` )「君がベルを鳴らした家の中だ。どうだ、立てるか?」
( ><)「あっ……はいなんです」
わかんないんですはゆっくりと上半身を起こした。体が揺れた襲撃で一瞬顔の側面に痛みが走ったが、大したものではなかった。
(´<_` )「そうか、良かった良かった」
( ><)「あのすいません、あなたが世界樹の研究をしている人なんですか?」
(´<_` )「如何にも、俺が世界樹の研究者・流石だ」
( ><)「良かったらお話を聞きたいんですけど、構わないですか?」
(´<_` )「ふむ……ではこっちにきてくれ」
わかんないんですは男に案内されて隣の部屋へと移動した。
その部屋のドアを開くと、等間隔に並べられて空間を埋め尽くしている高い本棚と、部屋の中央にポツリと置かれた机と、
その机に向かうもう一人の男の姿が見えた。
わかんないんですを案内した男は机に近寄ってもう一人の男の隣に並び、机を挟んで改めてわかんないんですと向かい合った。
- 257 名前:1 :2007/03/05(月) 16:18:17.54 ID:WJ8Hz12G0
- ∧_∧
∧_∧ (´<_` )
( ´_ゝ`) / ⌒i
/ \ | |
/ / ̄ ̄ ̄ ̄/ |
__(__ニつ/ / .| .|____
\/____/ (u ⊃
( ´_ゝ`)「ようこそ。俺がこの家の主であり世界樹の研究者、流石兄者」
(´<_` )「そして改めて、俺は弟者と言う。よろしくな」
( ´_ゝ`)「君の名前はなんと言うんだ?」
( ><)「わかんないんです」
( ´_ゝ`)「ほう、わかんないんです君か。よろしく」
(´<_` )「そんな名前の訳が無いだろ兄者。自分の名前が判らないとは、悪い事を訊いてしまったな」
(;><)「ごめんなさいなんです。わかんないんですって言う名前なんです」
(´<_`;)「……正直すまんかった」
既にお決まりとなっている自己紹介を終えた後、わかんないんですは勧められた椅子に座った。
兄者は机の上に置いてある折り曲げられた板のようなものを更に折り曲げて二つに畳んで、わかんないんですの顔を見た。
- 258 名前:1 :2007/03/05(月) 16:22:29.22 ID:WJ8Hz12G0
- ( ´_ゝ`)「さて、われわれの話を聞きたいそうだが、君も世界樹を探しているのか?」
( ><)「はいなんです」
( ´_ゝ`)「そうか……では具体的にどんな事が知りたいのだ?」
(;><)「えーっと……わかんないんです」
(´<_` )「それではこっちも教えようがないな」
(;><)「すいませんなんです。僕まだ世界樹の事よく知らないんです」
( ´_ゝ`)「君は世界樹についてどのくらいの事を知っているんだ?」
( ><)「えーと、物凄い力を持っているっていう事と、ここから離れた北の島にあるっていう事だけなんです」
その発言を聞いた時、兄弟は顔を見合わせて何かをひそひそ声で話し始めた。
そしてその話が終わったのか、弟者が再び顔をこちらへと向けて質問をしてきたのであった。
(´<_` )「君はどうも世界樹の位置を知っているらしいが、それはどうやって知ったのだ?」
( ><)「地図に書いてあったんです」
(´<_`;)「……そ、それはどんな地図だ? 何処で手に入れたんだ?」
( ><)「世界樹に行ったっていう人の孫が持っていたものなんです。良かったら見てくださいなんです」
わかんないんですは鞄からクーの地図を取り出して二人の前に差し出した。
- 259 名前:1 :2007/03/05(月) 16:26:25.08 ID:WJ8Hz12G0
- その地図を手にとるや否や、兄弟は真剣な表情でそれを見つめていた。そして何かを真剣に話し合い始めたのであった。
(´<_` )「見ろ兄者、かなり正確に描かれているぞ」
( ´_ゝ`)「この座標はハニャーン港の文献とも一致しているな。やはりあの地図が一番正しかったのだな」
(´<_` )「という事はあの記述も真である可能性が高くなったな」
(;><)「あのー……ちょっと良いですか?」
(´<_` )「あ、ああすまない。何だ?」
( ><)「それでその、世界樹の事に付いて教えて貰いたいんですけど……」
しかし二人はわかんないんですの質問にはすぐには答えず、再び顔を合わせて何かを相談し始めたのであった。
(´<_` )「どうする? あの子はかなり本気のようだぞ」
( ´_ゝ`)「ふむ、なかなか礼儀も正しいしな。この地図を持っている所を見るとただものではあるまい。俺は別に構わんぞ」
(´<_` )「それならこうするのは……」
(;><)「あのー……」
わかんないんですはだんだん寂しい気分になってきていた。それは二人組み作った際の余りになった人の気持ちそのものであった。
そしてようやく長い話を終えて、再びわかんないんですに話し掛けてきた。
( ´_ゝ`)「よし、君に世界樹についての情報を与えよう」
( ><)「本当なんですか!?」
- 260 名前:1 :2007/03/05(月) 16:30:23.69 ID:WJ8Hz12G0
- (´<_` )「但し一つ条件がある。この地図を我々に譲って欲しい」
( ><)「え……」
(´<_` )「これは研究に大いに役立つ貴重な資料だ。どうか譲ってはくれないか?」
わかんないんですはしばらくの間俯いて何かを考えていた。しかし顔をしっかりと上げて前を向くと、はっきりとこう言ったのだった。
( ><)「それは出来ないんです」
( ´_ゝ`)「む?」
( ><)「その地図は借りたものなんです。だからあなた達にあげる訳には行かないんです」
(´<_` )「それならこちらも情報を与える訳には行かないのだが」
( ><)「でも駄目なんです。それを必ず返すって約束したんです。それだけはあげられないんです」
わかんないんですは椅子から立ち上がると、深くお辞儀をした。
( ><)「どうもすみませんでした。お邪魔しましたなんです」
そしてそのまま二人に背を向けて扉の方へ向かって歩き始めた。
( ><)(結局何もわからなかったんです……でもクーさんとの約束は守らなきゃならいけないんです)
扉の取っ手に手をかけてそのまま部屋を出ようとした、その時であった。
- 261 名前:1 :2007/03/05(月) 16:34:04.94 ID:WJ8Hz12G0
- ( ´_ゝ`)「ちょっと待ちたまえ」
突然兄者が声をかけてきたのであった
( ><)「えっ?」
( ´_ゝ`)「君は約束を守る為に、自らの目的を断念するつもりなのか?」
( ><)「そうじゃないんです。僕は世界樹を絶対に見つけたいんです」
( ´_ゝ`)「では何故今の取引を断ったんだ?」
( ><)「お話は聞きたいんです。でもやっぱり約束は破っちゃいけないんです。だからお話は聞かないで世界樹まで行くんです」
( ´_ゝ`)b「……おk、その心意気受け取った。そこに座ってくれ」
(;><)「……ええっ?」
わかんないんですは唖然としながらも、取り敢えず兄者に言われた通りに椅子に座り直す事にした。
- 262 名前:1 :2007/03/05(月) 16:37:52.77 ID:WJ8Hz12G0
- しかし弟者は兄者の独断にうろたえているようであった。
(´<_`;)「お、おい兄者」
( ´_ゝ`)「どうした弟者よ」
(´<_`;)「本当に話すつもりなのか? それでは俺達の今までの方針が……」
( ´_ゝ`)「弟者よ、この子は今までの奴らとは違うぞ。先の質問の答えで俺は確信した」
(´<_`;)「しかし……」
( ´_ゝ`)「さっきの奴の事で機嫌が悪いのはわかる。しかしこの子は関係ないだろう」
(´<_` )「……それはそうだが」
( ´_ゝ`)「それにお前この子を気絶させてしまったのだから、その詫びもしなくてはならないではないか」
(´<_` )「……判った」
弟者も何とか納得したらしく、軽くうなずいていた。
- 263 名前:1 :2007/03/05(月) 17:01:25.47 ID:WJ8Hz12G0
- それから二人は揃ってわかんないんですの方に向き直った。
( ´_ゝ`)「さてわかんないんです君。君はこれからこの地図に書かれている世界樹の島まで行く訳だな?」
( ><)「はいなんです」
(´<_` )「ここから大陸の端までは陸路で行ける訳だが、その後この島までどうやって行くつもりだ?」
(;><)「えーっと……船に乗って行けば良いと思うんです」
(´<_` )「操縦の心得はあるのか?」
(;><)「ないんです」
( ´_ゝ`)「……それも大きな問題だが、もし君が船を操縦できたとしても島まで辿り着ける可能性は極めて低いのだ」
(;><)「ええっ!? どうしてなんですか?」
すると弟者が一旦机から離れて本棚の傍へ行き、ある一冊の書物を取り出した。
それを持って机へ戻ってくると、わかんないんですの前であるページを開いて見せた。
(´<_` )「これはハニャーン港で手に入れたものなのだが、これには世界樹についての様々な記述があるのだ」
わかんないんですもその本の中を覗いてみたが、今までに見た事の無い文字ばかりが並んでいて内容を理解する事が出来なかった。
(;><)「これ何語なんですか? わかんないんです」
(´<_` )「地方の古い言葉で記されているから判らないのも無理はないな……」
(;><)「だったら僕に見せる意味が無いんです」
- 264 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/05(月) 17:03:36.49 ID:zM70kwzLO
- wktk
- 265 名前:1 :2007/03/05(月) 17:05:17.30 ID:WJ8Hz12G0
- (´<_` )「文字ではなくこちらの挿絵を見てくれ」
わかんないんですは弟者が指した部分を見てみた。そこには港周辺の地図と思しき図が載せられていた。
(´<_` )「ここに書かれている島が世界樹の島だが、その周りを囲むように円が書かれているだろう?」
( ><)「はいなんです。これは何なんですか?」
(´<_` )「この書によればそれは『見えない壁』なのだそうだ」
( ><)「……壁?」
(´<_` )「船で島へ近付いて行くと、ここから先にはどうしても進めないと言う場所があるらしい。挿絵はその場所を図示しているのだ」
(;><)「えええっ? 本当にそんな場所があるんですか!?」
その話はにわかには信じがたいものであった。
そもそも架空のものとされていた世界樹が実在する事が既に信じがたい事であり、今更何が起こっても不思議ではないのかもしれない。
それでも超越的な事象と言うのはそう簡単には信じられないものなのであった。
( ´_ゝ`)「その図に書かれた島の位置は、多くの文献から推測される島の位置と一致している。
更にハニャーン港は島から最も近い位置にある港だ。信憑性は高い」
(´<_` )「おそらく世界樹の持つパワーにより、島の周辺に結界のようなものが形成されているのではないかと思われる」
(;><)「……よくわかんないんですけど、島にはいけないって事なんですか?」
それは絶望的な事実であった。今まで数々の苦難を乗り越えてきたわかんないんですとはいえ、人知を超えた力には勝てる筈も無かった。
( ><)「……ううっ……折角ここまで来たのに……」
- 266 名前:1 :2007/03/05(月) 17:08:57.90 ID:WJ8Hz12G0
- どれだけ地道な努力を重ねようとも、たった一つの絶対的な壁に阻まれれば全てが水の泡となると言うその理不尽さ。
わかんないんですは思わず涙を流しそうになった。
しかしその時、兄者がぽんと肩を叩いてくれたのであった。
( ´_ゝ`)「そんな顔をするな。落ち着け」
( ><)「だって……ぼく……ちんぽっぽちゃん……」
( ´_ゝ`)「この書には世界樹の島へ辿り着いた者がいると言う記録も残されている。
それに君は先程『世界樹に行った人の』孫から地図を貰ったと言っていたではないか」
( ><)「……あ」
スナオの町で出会ったクーは、祖父が息子の命を世界樹の実で救ったから自分が生まれたのだと話していた。
もし誰も世界樹の島へ行けなかったのだとたら、わかんないんですがクーと出会う事も無かった筈である。
( ><)「じゃあ、見えない壁を何とかできる方法があるって事なんですか?」
(´<_` )「ああ。書にはその方法も記されている」
( ><)「それはなんなんですか? 教えて下さいなんです」
(´<_` )「港のある地方では十年に一度、海の神に供え物をする儀式が行われるそうなのだ。
その際に十年寝かせた特別な酒を用意するのだそうだ」
( ´_ゝ`)「その酒には霊的なパワーが宿っていて、それを壁に向かってぶつけたら先に進めるようになったのだそうだ」
( ><)「じゃあ港でそのお酒を手に入れれば良いんですね!」
- 267 名前:1 :2007/03/05(月) 17:12:33.48 ID:WJ8Hz12G0
- しかし兄弟はその意見に対して揃って首を横に振ったのであった。
( ´_ゝ`)「残念ながら、現在ではこの儀式は行われていないのだ」
(´<_` )「同時にその酒の製法も失われてしまっている。
もし判ったとしても十年寝かせなければならないと言うのだから、とても間に合わないな」
(;><)「そんなあ……」
わかんないんですはがっくりと肩を落とした。
先程から希望が見えたり隠れたりの連続で頭が疲れきっており、そのまま床に倒れてしまいそうなほど体の力が抜けていた。
(;><)「結局島には行けないんですか……」
(´<_` )「文献に残された方法の中で、現在実行可能なものは存在していない」
( ´_ゝ`)「確実な方法は我々にも判っていないのだ」
( ><)「そんな……僕は……今まで何の為にがんばって……」
更にわかんないんですの首の力が抜けて俯いてしまった。
しかし絶望に打ちのめされかけているわかんないんですの耳に、兄者の声が聞こえてきた。
( ´_ゝ`)「……確実な方法は判らないが、可能性のある方法ならば判っているぞ」
( ><)「えっ!?」
わかんないんですが素早く顔を上げると同時に、弟者が説明をし始めた。
- 268 名前:1 :2007/03/05(月) 17:16:21.54 ID:WJ8Hz12G0
- (´<_` )「文献に残された見えない壁を突破法に共通しているは、何かしらの大きなパワーを持ったものを使用していると言う事だ。
つまりそう言ったものを手に入れれば、島へ行く事ができるかも知れない」
( ><)「凄いパワーのあるものを探せば良いんですね?」
( ´_ゝ`)「ああ。というか探すまでも無く、この近くにある」
( ><)「それは一体何なんですか!」
わかんないんですがそう尋ねると、弟者は机から離れて壁の方へと近寄った。
壁にかけられている大きなカーテンを開けると、大きな窓が姿を現した。
(´<_` )「フーンの町に流れるウプキボン川の水だ」
弟者によって開け放たれた窓の向こうには町の景色が広がっていた。そして町の中を悠々と流れている大きな川の姿を見る事が出来た。
( ><)「川の水……? そんなに凄い力があるんですか?」
(´<_` )「ああ、ウプキボン川の水質は非常に良好で美しい事から世界的に有名なのだが……知らなかったのか?」
(;><)「ごめんなさいなんです、知らなかったんです」
( ´_ゝ`)「まあ気にするな、世の中には30まで童貞でいると魔法使いになれるという事を知らない者もいるのだからな」
(´<_` #)「そんな事を信じるな!」
(;><)「どうていって何なんですか? わかんないんです」
(´<_` #)「君も訊くんじゃない!」
- 269 名前:1 :2007/03/05(月) 17:20:23.89 ID:WJ8Hz12G0
- 弟者が机に戻ってきたところで、改めて説明が始まった。
( ´_ゝ`)「遠くの方に山が見えるだろう? あれはボスケテ山といって、古来より不思議な現象が数多く発生する霊山として有名なのだ」
(´<_` )「あの山では多くの薬草が取れ、他の地には見られない生物が多数生息している。
おそらく山の発するパワーによって生物が特殊な進化を遂げたからだと考えられている」
( ´_ゝ`)「そしてボスケテ山を水源とするウプキボン川にもまた、大きなパワーが宿っているのだ」
( ><)「成る程なんです。そう言えば川の水で作ったって言うスープはとても美味しかったんです」
( ´_ゝ`)「おお君も飲んだのか。あの店は中流の水に拘っているからなあ、絶品だぞ」
( ><)「中流だと何か良い事があるんですか?」
( ´_ゝ`)「ああ、川の水は上流へ向かえば向かうほど水質も良くなり、味もより素晴らしいものになるのだ」
(´<_` )「それは即ち、より上流で取れる水ほどパワーが強いという事になる」
( ><)「じゃああの山の高い所へ登って、そこの水を汲めば良いんですね」
( ´_ゝ`)「ああ……」
わかんないんですは今の話で元気を取り戻していたが、しかし二人の表情は決して明るいものにはならなかった。
むしろやや暗くなっているようにも見えた。
- 270 名前:1 :2007/03/05(月) 17:25:12.44 ID:WJ8Hz12G0
- ( ><)「……どうかしたんですか?」
( ´_ゝ`)「実はな、我々の計算によると見えない壁を破るのに必要なパワーを持った水を採取するには
かなり高い所まで登らなければならないんだ」
( ><)「高いって……どのくらいなんですか?」
(´<_` )「最低でも水源の500メートル以内、大体8合目辺りだ」
(;><)「8合目? それってどのくらいなんですか?」
(´<_` )「ここから見て頂上に近いところの、ちょっとくぼんでいる辺りだな」
平坦な地で育ったわかんないんですは登山の道のりを示す「合」と言う単位を知らなかった。
だが弟者に示された場所の高さを見て、8合と言うのが大きな量であると知ったのであった。
(;><)「とっても高いんです!」
- 271 名前:1 :2007/03/05(月) 17:29:01.16 ID:WJ8Hz12G0
- それから三人は話し合い、明日の朝に三人揃って山へ向かい、川の水を汲みに行く事に決めた。
( ´_ゝ`)「おそらく8合目につくのは夕暮れになるだろう……明日に備えてしっかり眠るといい」
( ><)「はいなんです!」
わかんないんですは二人に空いている部屋に案内され、そこのベッドに入った。それを見た二人は部屋を出てそっとドアを閉めた。
(´<_` )「しかし兄者、本当に行くのか?」
( ´_ゝ`)「この子を一人だけで行かせる訳にも行かないだろう。俺達が案内をしなければならない」
(´<_`;)「しかし俺達はそこまで高い所へ行った事はないし、なによりずっと家に篭ってばかりの兄者の体力が持たないだろう」
( ´_ゝ`)「それは弟者も同じではないか」
(´<_` )「いや俺は頻繁に外出しているからな。この部屋と寝室の往復しかしていない兄者と違って」
(# ´_ゝ`)「……弟者よ、それは正確ではない。俺は風呂にも台所にも行くぞ」
(´<_` #)「どちらにしろこの家から出る事は滅多に無いだろう」
(# ´_ゝ`)「……それがどうかしたか? 家に篭る事は犯罪ではないぞ」
(´<_` #)「……自分は楽をして人に負担を押し付けると言う大罪だ」
部屋のすぐ外での二人の言い合いは、ベッドの中のわかんないんですに筒抜けであった。
(;><)(……明日は大丈夫なんでしょうか)
- 272 名前:1 :2007/03/05(月) 17:33:42.20 ID:WJ8Hz12G0
- そんな不安も生き物の基本的欲求である眠気に前には大した障害とはならず、その後すぐにわかんないんですは眠りに付いたのであった。
しかしその眠気さえも吹き飛ばすほどの大きな音が屋敷中に響き渡り、わかんないんですは深夜に目を覚ましてしまった。
(;><)(う、うるさいんです……)
どおんどおんと言う何かものを叩く音が響き、家具を揺らしていた。この状況の中でもう一度眠りにつくのは至難の技であった。
更に呼び鈴を鳴らす高い金属音がそれに混じるようになった。
音のする方向ともあわせて、何者かが玄関を叩いているのだと言う事が何となく予測できた。
(;><)「一体何なんですか?」
わかんないんですはベッドから起き上がり、部屋のドアを開けて廊下へ出て行った。すると丁度そこに兄者がいるのが見えた。
( ´_ゝ`)「わかんないんです君、君も起きてしまったのか」
(;><)「はいなんです。とてもうるさいんです」
( ´_ゝ`)「追い返してくるから少し待っていてくれ」
兄者は一人玄関へと向かい、玄関の鍵を開けた。開いた扉の向こうには、どこかで見た事のある人物が立っていた。
<丶`∀´>「ウリをここに泊めるニダ!」
それはフーンの町にくる前の町で出会った、酒場でわかんないんですの金を盗んで男であった。
- 273 名前:1 :2007/03/05(月) 17:37:25.35 ID:WJ8Hz12G0
- ( ´_ゝ`)「悪いがニダーさん、俺の家は宿屋ではない。泊まりたいなら他を当たってくれ」
<# `∀´>「どの宿もウリが金を持ってないからと泊めてくれなかったニダ!
さっきやっと泊めてくれる所を見つけのにまたすぐに追い出されたニダ!」
( ´_ゝ`)「それはあなたの態度が良くなかったからではないですかね」
<# `∀´>「態度が悪いのは向こうニダ! ベッドのシーツの端にしわが寄っていたり、窓が曇っていたりしたニダ!」
( ´_ゝ`)「……少しくらいしわが付いていても眠れるし、この寒い季節なら窓も曇って当然ですが」
<# `∀´>「宿の奴も同じ事言ったニダ! 謝罪と倍賞を要求しても責任をとってくれなかったニダ!」
( ´_ゝ`)「……まあとにかく、それで困って家へきたと?」
<丶`∀´>「頼むニダ、一生にお願いニダ」
( ´_ゝ`)「あなた昼に来た時も一生のお願いと言っていたでしょう。一度しかない一生に何回『一生のお願い』をするつもりですか」
<# `∀´>「へりくつを言うなニダ! お前もそうやってか弱いものを差別しているニカ!!」
- 274 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/05(月) 17:53:03.75 ID:zM70kwzLO
- さるかな?
- 275 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/05(月) 17:53:55.71 ID:MVaYKtYj0
- http://music8.2ch.net/test/read.cgi/compose/1172926950/l50
現役厨房の糞コテまことが暴走中!
至急応援求む
558 :まこと :2007/03/05(月) 17:24:09 ID:MTUMVJNg
みんな〜!!!!
ちゃんと消去依頼だしとけよ!!!!
マジこのスレで俺ちょうしこきすぎたわ。
消去〜消去〜消去消去消〜去〜このスレ消去〜♪♪
あとvipとかいう所の暇人達は全員氏ねよば〜か
自分で立てたすれなのにこんな事を言ってますが
彼はずっとこのスレを見ています
厨房なのですぐにアンチに反応するので、お楽しみください
最新発言→ドキモ糞豚(親ニ恵メグマレテナイ)ニートヲゼンインウチトッタリー!!!!\(^o^)/
ケッキョクサイゴハコノボクノカンゼンショウリー!!!!\(^o^)/
- 276 名前:1 :2007/03/05(月) 18:01:34.89 ID:WJ8Hz12G0
- 玄関先での口論はその後も延々と続き、最終的には男が疲れて去って行くとい言う形で終結した。
兄者は玄関に鍵をかけなおすと、腕を思いっきり上げて伸びをしながら戻ってきた。
( ´_ゝ`)「すっかり目が覚めてしまったな……早く寝なければ」
(;><)「あの人こんな所でも大騒ぎしているんですか……」
( ´_ゝ`)「ん? 君もニダーさんを知っているのか?」
( ><)「この町に来る前に会ったんです。その時はお金を盗られたんです」
( ´_ゝ`)「……それは災難だったな」
( ><)「兄者さんはあの人に何かされたんですか?」
( ´_ゝ`)「ああ、君が訪ねてくる少し前にニダーさんがやって来てな。俺達に世界樹についての情報を尋ねてきたのだ」
( ><)「あの人も世界樹を……?」
( ´_ゝ`)「ただ俺達は基本的に研究の内容を人には教えない主義でな。
その上あいつの態度が非常に悪く、無礼にも程があって……それで追い返したのだ」
( ><)「……追い出したくもなるんです」
- 277 名前:1 :2007/03/05(月) 18:05:40.87 ID:WJ8Hz12G0
- その時、わかんないんですは兄者の言葉に疑問を感じた。
( ><)「あれ? お二人は研究を人に教えない主義なのに、どうして僕には話してくれたんですか?」
( ´_ゝ`)「……悪いが、今はとても眠くて……話は明日しようではないか」
( ><)「あっ、はい……」
( ´_ゝ`)「お休み」
兄者はそう一言残すと、そのまま階段を上がって自分の寝室へと戻って行った。
( ><)「おやすみなさいなんです」
わかんないんですもまた、明日に備えて眠りに付いたのであった。
第六話 終
- 278 名前:1 :2007/03/05(月) 18:09:02.21 ID:WJ8Hz12G0
- 途中サルに引っかかって予想よりも遅れましたが、今回の投下はここで終了です
3日ルールの為、このスレはこのまま落としてください
22時頃に新たにスレを立てて第七話を投下します
- 279 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/05(月) 18:13:49.43 ID:ejWXGCm50
- >>278
おつ
- 280 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/05(月) 18:20:46.80 ID:+zODLbhl0
- 乙
- 281 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/05(月) 18:22:06.19 ID:h1D/cfOZO
- 乙 面白い話だ
- 282 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/05(月) 18:56:30.43 ID:M+QocUX0O
- 乙!
- 283 名前:愛のVIP戦士 :2007/03/05(月) 19:03:22.99 ID:0fKTJIcdO
- 乙
戻る