( ^ω^)ブーンが世界を巡るようです
『IN ( ^ω^)は村人Aのようです』
- 218 : マジシャン(東京都):2007/03/27(火) 19:07:52.56 ID:DJkSbwk+0
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( ^ω^)ブーンが世界を巡るようです
【IN ( ^ω^)は村人Aのようです】
- 219 : マジシャン(東京都):2007/03/27(火) 19:08:26.50 ID:DJkSbwk+0
- 『平和』
この2文字をどれだけ望んでいる人がいるであろう。
戦争に苦しむ人々、暴力に怯えながら生きている人々。
そんな人達が望み続ける平和をそのまま表現したような村がある。
ここ、VIP村だ。
数年前に訪れた魔物達の襲撃以来、殆どこれと言った事件も無い。
村の周りは豊かな自然に囲まれていて常に癒しを与えてくれている。
まるで非の打ち所のない最高の村である。
……ただ、一点を除いての話だが。
昼の間だけだが、この村に住む人々は自分の自由を持っていないのだ。
彼らの昼の時間は『設定』によって縛られている。
ただひたすら仕事をこなしていないといけないのだ。
- 223 : マジシャン(東京都):2007/03/27(火) 19:09:05.36 ID:DJkSbwk+0
- そしてここにも自由を奪われている最中の村人がいた。
( ^ω^)「ここはVIPの 村ですお」
昼の間は村人Aとして村の案内を続けるブーンだ。
彼の案内の言葉は誰に届くこともないのだが。
( ´ω`)(暇だお〜)
ずっと見慣れた村の入り口付近を徘徊するだけの仕事だ。
その退屈は想像を絶する物であろう。
( ^ω^)「ここはVIPの 村ですお」
( ^ω^)(なんか面白いことないかお)
退屈凌ぎに周りを見渡してみる。
すると、視界の隅に見慣れない者が歩き回っている姿が映った。
( ^ω^)「ここはVIPの 村ですお」
( ^ω^)(お? 誰かいるお)
- 224 : マジシャン(東京都):2007/03/27(火) 19:09:30.51 ID:DJkSbwk+0
- 誰かがいるのはわかっているが、彼の足は昼の間は設定の物だ。
行きたい場所へ行くことも許されない。
仕方がないので彼は設定が自分を望む場所へと運んでくれるのを待っていた。
しばらくした後、上手い具合に足が動いてくれて先程から気になっていた者の元へと行くことができた。
無意味なのはわかっていても話しかけてみる。
( ^ω^)「ここはVIPの 村ですお」
( ^ω^)(新しくこの村に来た人ですかお?)
(主^ω^)「……」
話しかけられた相手は何やら口をパクパクしている。
まるで声の出し方がわからないかのように。
- 225 : マジシャン(東京都):2007/03/27(火) 19:10:00.67 ID:DJkSbwk+0
- そんな彼の仕草が気になったのか、ブーンはまだ話し掛け続ける。
( ^ω^)「ここはVIPの 村ですお」
( ^ω^)(どうしたのかお? 答えてくれないとわからないお)
しかし、ここで彼は重要なことに気付く。
( ^ω^)「ここはVIPの 村ですお」
(;^ω^)(そういや、この会話方法はドクオとしかできないんだったお)
今さらながらに気付いた彼は、とりあえず事の進展がおきるのを待ってみることにする。
何度も言うようだが、ブーンは昼の間は設定に縛られていて何もできない状態なのだから。
ただただボーッとしているブーンに、待ち望んでいた事の進展が訪れた。
- 227 : マジシャン(東京都):2007/03/27(火) 19:11:37.34 ID:DJkSbwk+0
- ('A`)「武器や防具は 装備しないと 意味がないよ」
('A`)(ブーン、こいつ誰だ?)
村人B、ドクオだ。
最近までは彼の友達が無法なる勇者(現中ボス)に殺されてなかなかの鬱ぶりを発揮していたが、なんとか立ち直れたようである。
そんなドクオにブーンが現状説明――とはいえ何もわかっていないのだが――をしようとした瞬間。
(主^ω^)「恐ろしい魔物が 外にはいます 気をつけてくださいね」
喋った。
( ^ω^)「ここはVIPの 村ですお」
( ^ω^)(どうやら新しい村人のようだお)
('A`)「武器や防具は 装備しないと 意味がないよ」
('A`)(なら大して気にする必要もないか。夜にまた話し掛けてみようぜ)
早急に順応してしまう彼ら。
適当な性格がこれだけで伺えてしまう。
とはいえ今は何もできない身なのだから、夜を待つしかないようである。
- 228 : マジシャン(東京都):2007/03/27(火) 19:12:48.74 ID:DJkSbwk+0
- ( ^ω^)「ここはVIPの 村ですお」
('A`)「武器や防具は 装備しないと 意味がないよ」
(主^ω^)「恐ろしい魔物が 外にはいます 気をつけてくださいね」
('A`)「武器や防具は 装備しないと 意味がないよ」
(主^ω^)「恐ろしい魔物が 外にはいます 気をつけてくださいね」
( ^ω^)「ここはVIPの 村ですお」
( ^ω^)「ここはVIPの 村ですお」
('A`)「武器や防具は 装備しないと 意味がないよ」
(主^ω^)「恐ろしい魔物が 外にはいます 気をつけてくださいね」
同じ台詞が次々と彼らの口から生まれてくる。
しかし残念ながらその言葉に耳を傾ける者はいないのである。
- 229 : マジシャン(東京都):2007/03/27(火) 19:13:31.68 ID:DJkSbwk+0
- そして、夜。
日が落ちると同時に村人達は自由を取り戻せる。
もちろん、思った通りの言葉を口にすることができるのだ。
(主;^ω^)「一体ここはどんな世界なんだお。いきなり魔物がなんちゃらとかしか言えなくなるし……」
自由を取り戻した直後、見知らぬ村人が疑問の声を上げる。
そんな彼に話し掛ける2人の村人。
( ^ω^)「はじめまして。仕事お疲れ様だお」
('A`)「今日から初出勤か? これからよろしくな」
いきなりの挨拶に更に戸惑う新しい村人。
(主;^ω^)「なんか普通に対応されてるけど、僕はここの世界の住民じゃないんだお」
そしていきなりのカミングアウト。
(;^ω^)('A`)「……はい?」
もちろん脳が対応しきれない2人の村人。
- 231 : マジシャン(東京都):2007/03/27(火) 19:14:06.20 ID:DJkSbwk+0
- (主^ω^)「……というわけで、DATが色んな世界に散らばってるからそれを回収中なんだお」
今までの経緯を説明する。
しかし、村人達には理解できないようであった。
(;^ω^)「なんか難しくてよくわからないお」
(;'A`)「理解できる方が凄いわな」
(主;´ω`)「やっぱりわからないおね。今までの記憶を読み取ってくれるような能力者とかいたら楽なのにお……」
何故か狙ったのかのようにヒントを与える。
それを聞いたブーンは閃いた。
( ^ω^)「そうだ! ロードがあるお!」
何ともご都合主義な展開である。
- 232 : マジシャン(東京都):2007/03/27(火) 19:14:52.61 ID:DJkSbwk+0
- ( ^ω^)「とりあえず目を瞑ってくれお!」
(主-ω-)「お? ……わかったお」
突然の提案だが、それを素直に呑んでみる。
この世界のことはこの世界の住人の方が詳しいに決まっている。だから、従った方が良い。
そう判断した結果だった。
瞼を閉じることによってできあがる暗闇。
そこには今までに見たことのない事態が起きていた。
【NOW LOADING】
英語が書いているのである。
そして数分後、その英語は姿を変えた。
【データが保存されていません】
- 233 : マジシャン(東京都):2007/03/27(火) 19:15:55.54 ID:DJkSbwk+0
- (;^ω^)「お? ロードができないお」
目を開いたブーンが明らかに戸惑っている。
どうやら失敗したようである。
('A`)「そらセーブされてないからな」
ブーンの疑問点にドクオが即座に答える。
何とも的を得た答えである。
(;^ω^)「そう言えば忘れてたお。じゃあ君、セーブしてくれお」
急に話を向けられた『君』は先程から感じていた疑問を口にする。
(主^ω^)「セーブとかロードってどういう事なんだお? それにさっきの英語は……?」
('A`)「三行で言うと
『記録
読み取る
便利』
ってやつだな」
簡潔に説明を済ますドクオ。
(主;^ω^)「わかったようなわからないような……微妙だお」
当たり前である。
- 234 : マジシャン(東京都):2007/03/27(火) 19:16:46.74 ID:DJkSbwk+0
- そしてセーブ方法をドクオから受けて、実際にセーブを行った。
しかし、その内容は話が長くなってしまうのでカットさせてもらうことにする。
(主^ω^)「セーブ完了したお」
( ^ω^)「じゃあまた目を瞑ってくれお」
(主-ω-)「わかったお」
目を閉じることによって生まれる暗闇の世界。
その中に再び浮かび上がる【NOW LOADING】の文字。
今度はしっかりとブーンの中に情報が流れているようである。
(;-ω-)(こいつ掘られすぎだお……)
流れ続けていた情報が流れきり、英語が消えた頃にはブーンは彼と一定の距離を取るようになっていた。
(主;^ω^)「なんでちょっと離れてるんだお?」
(;^ω^)「気にするなお。アナルマン」
('A`)「お、ナイスネーミングセンス」
(主;^ω^)「!?」
- 236 : マジシャン(東京都):2007/03/27(火) 19:17:48.92 ID:DJkSbwk+0
- そしてDATについての説明をドクオに済まし、これからの目的を提示する。
( ^ω^)「とりあえずアナルマンの過去はわかったお。とにかくDATを探せば良いんだおね」
どうやら新しく来た村人の名前は「アナルマン」で確定したようである。
(主;^ω^)「名前は些か不満だけど、言ってることはその通りだお」
アナルマンは少し文句を言ったが、ブーンの言葉に賛同する。
すると、唐突にドクオが口を開いた。
('A`)「DATと設定ってなんか似てね?」
その一言にブーンは反応する。
( ^ω^)「ってことは……ショボンさんがDATを持ってるかもだお。バーボンハウスへ行ってみるお!」
行き先は決まったようである。が、
(主^ω^)「そのバーボンハウスってどこら辺にあるのかお?」
アナルマンが口を挟んだ。
('A`)「あぁ、あっちの方だな」
そう言ってドクオはバーボンハウスのあるであろう方角を指で指す。
- 237 : マジシャン(東京都):2007/03/27(火) 19:18:38.84 ID:DJkSbwk+0
- (主^ω^)「残念ながらそっちの方にはDATの共鳴反応が無いお。たぶんDATがあるのはあっち……」
いつの間に握っていたのであろうか。
アナルマンの右手にはDATと思わしき物体が握られており、それが微かに光っていた。
そして、彼とDATが示した方向は
(;^ω^)「向こうは僕の家しかないお」
ブーンの家であった。
('A`)「お前の家にDATっぽいのあったけか?」
(;^ω^)「ジョン、マイケル、田中の代わりに最近ジム、ケイン、佐藤を買ったばかりだお」
最近の報告を行うブーン。
その顔は何処か青ざめていた。
('A`)「たぶんそれのどれかだな。行くぞアナルマン」
(主^ω^)「今回はすぐ回収できそうで良かったお」
(;^ω^)「ちょっと待ってくれお! 僕の友達は誰にも渡さないお!」
そう言い残し、自分の友達を守る為に物凄いスピードで自分の家へと向かうブーン。
- 238 : マジシャン(東京都):2007/03/27(火) 19:19:45.92 ID:DJkSbwk+0
- ('A`)ノ□「あ……お久しぶりです。あの、色々とあって誰か1人派遣してもらえないっすかね?」
走っていくブーンの後ろ姿を見つつ、ドクオは誰かに電話をし始めていた。
(主^ω^)「なんであんなにあの人は焦ってたんだお?」
('A`)「気にすんな。さっさとDATを回収しに行くぞ」
会話を終えたドクオは目的地へ進むことを促す。
(主^ω^)「……わかったお」
そしてブーンが走り去った道を数分遅れでドクオとアナルマンは歩いていった。
向かう先はもちろんブーンの家である。
しばらく歩いていくと、やっとブーンの家が見えてきた。
アナルマンの右手のDATはかなり強く反応しているようである。
(主^ω^)「やっぱりここにDATがあるお」
('A`)「よし、わかった」
再確認を済まして彼らはブーンの家の扉に手を掛ける。
- 239 : マジシャン(東京都):2007/03/27(火) 19:21:38.49 ID:DJkSbwk+0
- 扉が開く。家の中の様子が見える。家主の表情が見える。
その表情は
(#゚ω゚)「お前らなんかに友達を持って行かれてたまるかお!」
狂気であった。
右手には数子が握りしめられ、いつでも飛びかかれるよう臨戦態勢に入っている。
('A`)「やっぱりこうなってたか…… おい、アナルマン。DATはどこにある?」
(主^ω^)「えっと……たぶんあの壺がDATだお」
そう言ってアナルマンは壺を指さす。
(#゚ω゚)「お前らの狙いはジムかお! 絶対に渡すわけにはいかないんだお!」
絶えず激昂し続けるブーン。
今にも数子が飛んできそうな気迫である。
(主;^ω^)「あの人あんな事言ってるけどDAT回収できるのかお?」
('A`)「大丈夫だ。こうなることを予想しておいて魔王さんから戦闘要員を派遣してもらってる」
不安げなアナルマンの疑問に対し、何故かドクオは余裕を持って答える。
('A`)「そろそろ来る頃だな…… って言ったそばから来たか」
- 241 : マジシャン(東京都):2007/03/27(火) 19:22:48.47 ID:DJkSbwk+0
- ドクオが家までの道を振り返る。
そこにはついこないだまで敵対していた男の姿があった。
( ・∀・)「魔王さんからここに行けって命令されたんですけどどうかしました?」
元勇者、現中ボスのモララーである。
どうやら完璧にショボンに設定を変えられて従順な性格になっているようだ。
('A`)「ちょっとブーンをフルボッコしといてくれないか?」
(;・∀・)「え? 良いんですか?」
('A`)b「魔王にいびられているストレスでもあいつで発散しとけ」
( ・∀・)「別にいびられてなんか…… でもまぁやってきますね」
そう言ってブーンの家の中に入っていくモララー。
しばらくしないうちに聞こえてくる破壊音と悲鳴……
( ゚ω゚)『ギアス!』
(主;^ω^)「ちょ…… あの人何やってんだお」
('A`)「たぶん勇者だった頃の癖がまだ脱けてないんだろうな」
(主^ω^)「??」
- 242 : マジシャン(東京都):2007/03/27(火) 19:23:40.18 ID:DJkSbwk+0
- 数分後、そこには元気に壺や樽を破壊し続けるモララーの姿が。
( ・∀・)「もう調子に乗って変な手紙なんか残さないよ」
それにしてもこのモララー、ノリノリである。
そして床にはゴミクズのように転がっているブーンの姿が。
( ゚ω゚)「……」
やはり村人と元勇者では戦闘力の差は歴然としていたようである。
彼の唯一の武器、数子は吹き飛ばされている。
きっと丸腰のままボコボコにされたのだろう。
そんな哀れなブーンの横をすり抜けて部屋を詮索するアナルマン。
(主^ω^)「あった! DATだお!」
そして彼は床に粉砕されているジムの欠片を拾って叫んだ。
どうやらDATはジムの一部として組み込まれていたようである。
その隣ではモララーがタンス(佐藤)を開けて中身を漁っている。
( ・∀・)「なんかこういうの見ると調べたくなるんですよね〜」
- 243 : マジシャン(東京都):2007/03/27(火) 19:24:27.90 ID:DJkSbwk+0
- (主^ω^)ノシ「じゃあDATも見つかったし、ここに長居しても無意味だお。それじゃあノシ」
なんだか軽いノリで帰って行ってしまったアナルマン。
彼が消えていってしまった場所に向かってドクオが口を開く。
('A`)「お礼くらい言っておけよバカ。……頑張れよ」
ぼそりと呟く彼。
その後ろには哀れなブーンの姿が。
( ゚ω゚)「僕の……友達……」
〜fin〜
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