第12話
- 3 : 名人(東京都):2007/03/21(水) 00:02:36.18 ID:A7BS6UP00
- そして遂に時間が来た。
昼の間は地に光を注ぎ続けていた太陽が、名残惜しそうに一筋の光を残して沈んでいったのだ。
それはつまり夜の訪れを表す。
空には陽の象徴であった太陽の代わりに、陰の象徴でもある月が浮かんでいる。
その月に流れてきた雲が傘を掛けた。
( ^ω^)「やっと仕事の時間が終わったお。ちなみに実はこの文は作者がネタにつまって第7話の文をインスパイアした物なんだお。だから使い回しの中古品なんだお」
Σ(;^ω^)「ってなんで説明口調で僕は独り言呟いてるんだお! キメェwwwww」
仕事終わりに自由を取り戻した口で言葉を発しているブーン。
何やら考え込んだようだが、ただでさえ展開の遅い作品なので彼の心の葛藤は割愛させてもらう。
- 4 : 名人(東京都):2007/03/21(水) 00:02:59.19 ID:A7BS6UP00
- (;^ω^)「そういやそんなこと気にしている暇なんかないお」
セーブによって記録されたデータを読み返したブーン。
どうやら仕事開始直後にギコに言われた言葉を思い出したらしい。
( ^ω^)「それでは言われた通りに早速バーボンハウスに向かいますかお」
独り言が癖なのであろうか。
再度1人で呟いた後、彼は脇目もふらずにバーボンハウスへと向かった。
- 5 : 名人(東京都):2007/03/21(水) 00:03:27.59 ID:A7BS6UP00
- ( ^ω^)ノ「おいすー」
バーボンハウスに到着し扉を開く。
客足が少なくなってきたのか、店の中には店主と魔王の2人しかいなかった。
これはなかなか不可思議な組み合わせだなぁ等と思いつつ、村人は店の中へとその身を運ぶ。
(´・ω・`)「やぁ、ようこそ、『バーボンハウス』へ」
マスターがいつも通りのセリフを投げ掛けて客人を迎え入れる。
その客人はギコが座っている席を視認して、隣の席へと向かった。
- 6 : 名人(東京都):2007/03/21(水) 00:03:51.26 ID:A7BS6UP00
- (,,゚Д゚)「遅かったな。待ちくたびれたぞ」
隣にブーンが座って少ししてからギコは口を開いた。
( ^ω^)「悪かったお。でも人が働いている間ずっとバーに入り浸ってるなんてダメ人間よろしくな行為だお」
自然にブーンの口から出てきた言葉。
それは悪意の込められた物ではなく、純粋に思ったことを言っただけであった。
だが、魔王にはそんなこと通用しない。
(#,, Д )「お前の為に情報集めてやってたっていうのに……」
(#,,゚Д゚)「なんだその言いぐさはゴルァ!!」
見事に激怒。
- 7 : 名人(東京都):2007/03/21(水) 00:04:23.75 ID:A7BS6UP00
- (#,,゚Д゚)「ぶち殺すぞ!」
(;^ω^)「サーセンwwwwwww」
(#,,゚Д゚)「うるせぇ!」
(;^ω^)「今までの流れが通用しねぇお」
本日2度目のマジ切れを迎えたギコ。
その怒りの前では冗談もその意味をなさなかった。
(#,,゚Д゚)「くらえ!」
そして昼にマスターに向かって放った魔法をもう一度ブーンへと放つ魔王。
光の塊がブーンへと迫っていく。
- 9 : 名人(東京都):2007/03/21(水) 00:04:59.52 ID:A7BS6UP00
- 三○ (^ω^;)おっおっお
三○ \(^ω^)/オワタ
三○)゚ω゚)ぬみゃあっ!!
本日2度目の攻撃を迎えたブーン。
そのダメージの前ではオワタもその意味をなさなかった。
(#);^ω^)「ここで地の文の使い回しって手抜き過ぎだお」
こんな状況にもかかわらず的確な指摘をするブーンだが、あえてそこはスルーしようと思う。
(#);^ω^)「……」
- 10 : 名人(東京都):2007/03/21(水) 00:05:49.25 ID:A7BS6UP00
- 一方、再びブーンを攻撃してストレスを発散したギコは既に怒りを沈めていた。
(,,゚Д゚)「あ〜、スッキリした。これからは言葉に気をつけろよ」
(#)^ω^)「わかったお。それじゃあそろそろゲットした情報を教えてくれなんだお」
(´・ω・`)「聞くよりもロードした方が手軽に済んで良いんじゃないかな」
先程から2人のやり取りを黙って見守っていたショボンが口を開いた。
あまりにも出番が少ないことを気にして出しゃばったのであろうか。
だが、彼の発した言葉は的確な意見であった。
- 12 : 名人(東京都):2007/03/21(水) 00:06:34.16 ID:A7BS6UP00
- ( ^ω^)「そいつはナイス提案だお。じゃあチャッチャとロードしちゃうお」
(;^ω^)「って何で僕がロードできるようになったの知ってるんだお!?」
やはり頭が弱いのか、即座に不可解な点に気付けなかったようである。
その疑問を投げ掛けられるのを予期していたかのように、マスターは顔色1つ変えずにブーンを答えへと導く。
(´・ω・`)「それもロードすればわかるよ」
(;^ω^)「それもそうだお……」
- 13 : 名人(東京都):2007/03/21(水) 00:07:04.97 ID:A7BS6UP00
- ( ^ω^)「それじゃあ魔王さん、目を瞑ってくださいお」
(,,゚Д゚)「あぁ、わかった」
目を瞑り互いに向き合う2人。
(´・ω・`)「うほっ」
( -ω-)(,,-Д-)「黙れ(お)」
そんなくだらないやり取りを交わしている間にも2人の視界には段々と何かが見えてくる。
そしてハッキリと【NOW LOADING】の文字が浮かぶと同時にブーンの頭に様々な情報が流れ込んだ。
- 14 : 名人(東京都):2007/03/21(水) 00:07:44.49 ID:A7BS6UP00
- (;^ω^)「あんな適当なノリで僕の設定が変えられてたのかお。しかも昼の魔法もあんたらのせいかお」
(,,゚Д゚)「気にするな。ってか本当にロードできるようになったんだな」
ロードが終わり昼の出来事を把握したブーンが愚痴をこぼす。
その愚痴に対しギコは適当に受け流す事を決めたらしい。
正直今の今まで半信半疑だった『設定を変える』という事が、今目の前で現実の物となったことの方が興味を惹かれたようである。
(´・ω・`)「だから言ったじゃないか。僕が所有者なんだって」
(;^ω^)「所有者なのはわかるけど、ここまで世界の設定を変えちゃって良いのかお」
(´・ω・`)「だってその方が君らもターゲットが絞れて楽じゃないか。それに魔王の仕事も途中で入ることはなくなるしね」
- 15 : 名人(東京都):2007/03/21(水) 00:08:17.91 ID:A7BS6UP00
- ――それは前回の【魔王編】の最後の文に遡る。
(´・ω・`)『そうだ、ナイス提案があるんだけど……』
(,,゚Д゚)『ん? 』
(´・ω・`)『いっそのことモララー以外の勇者を全員村人とか店の店員とかに設定変えてみたらどうかな』
(;,,゚Д゚)『そんなことして良いのか?』
(´・ω・`)『だってその方が君達も色々と都合が良いでしょ』
(,,゚Д゚)『どういうことだ』
(´・ω・`)『勇者がいっぱいいたら君の仕事がいつ来るかわからないだろ。もしモララーと戦っている最中に仕事が来たら君は設定によって自由を失ってしまう。
そしたらブーンが1人で戦うことになってしまうじゃないか。村人の彼が戦うのはきついと思うよ』
(,,゚Д゚)『確かに一理あるな。じゃあそれで頼むわ』
- 16 : 名人(東京都):2007/03/21(水) 00:09:07.21 ID:A7BS6UP00
- そんなとんでもな会議が行われていたのだ。
無論今現在の勇者人口は全世界でオンリー1となっている。
昔ショボンがブーンに秩序がどうとか言っていたのが嘘のようなハチャメチャっぷりである。
(;^ω^)「そんなことしなくても僕の『能力の設定』変えて強くしてくれれば僕1人でもモララーと戦うことはできた気がするお」
あまりの横暴さに他の解決策を提案してみるブーン。
しかし既に遅かった。
(´・ω・`)「だって勇者がワサワサ湧いてるのって、なんかウザいんだもの」
(,,゚Д゚)「案外勇者なんてない方が良い世界になるんじゃないか」
この2人には何の後悔もないようである。
(;^ω^)「魔王がそのセリフ言うのはどうかと思うお」
- 17 : 名人(東京都):2007/03/21(水) 00:09:35.83 ID:A7BS6UP00
- (,,゚Д゚)「とりあえずこれで後はお前の友達の仇を討てば万事解決だぞ」
(;^ω^)「何が万事解決なんだお。モララー以外の勇者の失業手当は付くのかお」
(´・ω・`)「モララーを倒した後に不本意ながら戻しておいてあげるよ」
(;^ω^)「ショボンさんって勇者嫌いなのかお? でもまぁ戻るなら良かったお」
(,,゚Д゚)「戻すのか…… チッ」
Σ(;^ω^)「!?」
- 19 : 名人(東京都):2007/03/21(水) 00:10:10.74 ID:A7BS6UP00
- (,,゚Д゚)「とりあえず勇者のことは置いといて、他にロードして気付いたことはなかったか?」
話題を別の事柄に変えるギコ。
彼にとって勇者云々等の話は本当にどうでも良いんだろう。
( ^ω^)「えっと、『相対の設定の狭間』ってのが気になったお。あれってどういう事なんだお?」
ギコの問いに対して、素直にロードして気になった言葉について聞くブーン。
その質問にショボンが反応を示した。
(´・ω・`)「良いとこに気付いたね。でもロードしたんなら意味もわかっているでしょ」
( ^ω^)「意味はわかってるお。『相対の設定』も完璧に二極化してるって訳じゃないんだおね。
プラスとマイナスの狭間は0、朝と夜の狭間は昼みたいな感じだお。
でもモララーを倒すのにそれを利用するって言うのがよくわからないんだお」
- 21 : 名人(東京都):2007/03/21(水) 00:11:05.79 ID:A7BS6UP00
- (´・ω・`)「それについてはロードしてもわからなかったのかな?」
(;^ω^)「なんだか釈然としてて把握できなかったんだお」
どうやらデータを読み取ることはできるようになっても、全てを把握するほどのスペックは彼の脳みそには無いようである。
そんな可哀想なブーンに助け船を出すギコ。
(,,゚Д゚)「今の設定では勇者が正義、俺が悪だ。じゃあお前はなんだ?」
( ^ω^)「……?」
(,,゚Д゚)「『相対の設定』を変えたら俺が正義、勇者が悪になる。じゃあお前はどうなる?」
- 22 : 名人(東京都):2007/03/21(水) 00:11:31.31 ID:A7BS6UP00
- ( ^ω^)「僕は……勇者側でも魔王側でもないただの村人だお。どっちに変わるかなんてわからないお」
(´・ω・`)「変わらないんだよ。村人こそが正義と悪の狭間の存在だからね」
遂に答えを出すショボン。
しかし解答を聞いてもブーンは未だによくわかっていないようである。
( ^ω^)「そうなのかお。でも、それがどう利用できるのかお?」
(,,゚Д゚)「じゃあ今から話してやる。お前が理解したらすぐにモララーへと行くぞ。村人の仕事が始まらないうちにな」
( ^ω^)「ちょwwwいきなり急展開だお」
(,,゚Д゚)「これ以上特にやっておくべき事なんてないからな」
- 23 : 名人(東京都):2007/03/21(水) 00:12:07.31 ID:A7BS6UP00
- そして作戦会議を開始する3人。
様々なことを話し合っている。
モララーの強さのこと。
ギコの強さのこと。
数子の強さのこと。
それぞれの強さを話し合い、それによって勝率を求めている。
案ずることはない。
相手はモララー1人、こっちは魔王と村人の2人なのだ。
勝てるかなぁという希望にも似た思いを持って、遂に勇者へと村人が最初で最後の戦いへと挑む。
友達との思い出をその胸に秘めて。
- 27 : 名人(東京都):2007/03/21(水) 00:16:56.35 ID:A7BS6UP00
- ちなみにドクオに宛てられた手紙の内容(物語には関係ありません)
「なんでオナホがタンスの中に大事にしまってあるんだよwwwww」
「とりあえず未使用っぽいんで貰っていくわ」
「あとお前の家臭い」
「魔王を倒すためのご協力感謝します。 勇者モララー」
('A`)「……」
前へ 次へ 目次