第3話

117 : ◆qvQN8eIyTE :2007/02/28(水) 22:55:51.23 ID:FxYBFtF30
( ^ω^)「ここは VIPの村ですお」

ただ淡々と、ただ機械的に彼は仕事を続けている。
昨日のことは忘れることにした。
友達のことは忘れたくなかった。
しかし、ブーン(作者も)の好きなブーン小説に「依存はただの停滞」という言葉がある。
それに同感したブ−ン(作者も)はその言葉通りに生きようと決意したのだ。

119 : ◆qvQN8eIyTE :2007/02/28(水) 22:56:24.09 ID:FxYBFtF30
( ^ω^)(ジョン、マイケル、田中、今までありがとうだお)

(*^ω^)(そしてポール、トム、吉田、これからヨロシクだお)

ブーンは昨日、バーボンハウスを出た後その足で古くからの友人の→('A`)村人Bの家へ向かった。
そして村人Bが寝てるのを確認すると有って無いようなドアをくぐり、彼の家の壺と樽とタンスを勝手に持ち出したのだ。
結果、今のブーンにはまた友達がいる。
そう!友情は永久に不滅なのさ!

120 : ◆qvQN8eIyTE :2007/02/28(水) 22:56:51.74 ID:FxYBFtF30

昨夜の自分の完璧犯罪を思い出し、ブーンはただニヤけていた。
もちろん彼に良心がないわけではない。
でもぶっちゃけ村人Bからなら勝手に持って行っても良い気がしたのだ。
テンションも上がり気味にブーンは業務を続行する。

( ^ω^)「ここは VIPの村ですお」

すると、彼の近くにごく最近見た顔が迫っていた。

121 : ◆qvQN8eIyTE :2007/02/28(水) 22:57:25.77 ID:FxYBFtF30
('A`)「武器や防具は 装備しないと 意味がないよ」
(;'A`)(お前、俺んちの家具知らねぇか?)

( ^ω^)「ここは VIPの村ですお」
(;^ω^)(僕が知るわけないお。バーローwwww)

('A`)「武器や防具は 装備しないと 意味がないよ」
(;'A`)(でも昨日の夜お前っぽい声が聞こえた気がするんだけど……)

( ^ω^)「ここは VIPの村ですお」
(;^ω^)(ペロッ……これは青酸カリ!)

('A`)「武器や防具は 装備しないと 意味がないよ」
(;'A`)(こっちの世界に戻ってこいよ!)

( ^ω^)「ここは VIPの村ですお」
(;^ω^)(僕が知るわけないお。バーローwwww)


('A`)「武器や防具は 装備しないと 意味がないよ」
(;'A`)(無限ループって怖いよな)

123 : ◆qvQN8eIyTE :2007/02/28(水) 22:58:35.39 ID:FxYBFtF30
端から見れば半端無くワケのわからない会話だったろう。
村人が向き合って同じ言葉を言い合っているのだ。
しかし彼らはしっかりと意思疎通できている。
幼い頃から共に過ごしてきたために産まれた一種のテレパシーのようなものか。

( ^ω^)「ここは VIPの村ですお」
(;^ω^)(それよりもさっさと元の職場に戻るお!)

('A`)「武器や防具は 装備しないと 意味がないよ」
(;'A`)(いや、だって俺の家具……)

( ^ω^)「ここは VIPの村ですお」
(;^ω^)(しつこいってレベルじゃねーお!)

('A`)「武器や防具は 装備しないと 意味がないよ」
(;'A`)(わかったよ……)


124 : ◆qvQN8eIyTE :2007/02/28(水) 22:59:23.78 ID:FxYBFtF30
渋々納得した彼が引き上げていく。
もちろん設定で決められているような妙にランダムで、それでいて規律的な進み方で。
そして完全にブーンの視界から彼が消えた時、思わず彼は安堵の溜息を漏らした。

(;^ω^)(危うく僕の友達が奪われるとこだったお)

もう完全に村人Bの家具を自分の物にしている。
なんてやつだ、ブーン。

125 : ◆qvQN8eIyTE :2007/02/28(水) 23:00:00.45 ID:FxYBFtF30
そういえば紹介を忘れていた。
('A`)←こいつの名前はドクオ。
職業は村人Bの童貞である。
もともとはニートでgdgdな生活を送っていた。
だが、古くからの親友ブーンが村人Aに就任したのを聞いた彼はこのままではいけないと思い必死で勉強した。
そして案内役検定、ボタンの取扱方説明検定、セーブ方法説明検定など様々な試験を受けた。
元々頭は悪い方ではなかった彼が必死で勉強したのだ。
どんどんと資格を取っていき、遂に彼はエリート村人になっていた。

127 : ◆qvQN8eIyTE :2007/02/28(水) 23:00:28.89 ID:FxYBFtF30
( ^ω^)『ドクオ、村人就任おめでとうだお!』

('∀`)『ありがとう。お前を目標にしたから頑張れたんだよ』

( ^ω^)ノ○『これ、就任祝いのポール、トム、吉田だお』

(;'A`)『タンスは嬉しいけど壺と樽ってお前……しかも名前付きってお前……』

ドクオの心の中には家具の思い出と、それをくれた少々頭の弱い友達への感謝の気持ちがいつでも溢れている。
そんな最高の友達を疑ってしまった自分が憎い。
自己嫌悪の念が次から次へと止めどなくドクオを襲う。

128 : ◆qvQN8eIyTE :2007/02/28(水) 23:01:10.52 ID:FxYBFtF30
('A`)「武器や防具は 装備しないと 意味がないよ」
(;'A`)(ブーンを疑うなんて馬鹿だった。あいつが盗むわけがないじゃないか)

仕事の時間が終わったらあいつに謝ろう。
そうだ。何かお詫びの品を買ってあいつが帰ってくる前にブーンの家に隠しておくってのも良いかもな。
あいつは何が好きだったっけ?
ブーンの驚きつつも喜ぶ顔が早く見たいな。

('A`)「武器や防具は 装備しないと 意味がないよ」
('∀`)(フヒヒwwwwww)

ドクオの心の中でのキモい笑いはオーラとなり、彼の話を聞こうとした尋ね人はそのオーラに吐き気を覚えどこかへと消えていった。

129 : ◆qvQN8eIyTE :2007/02/28(水) 23:01:42.03 ID:FxYBFtF30
そして、夜。
彼はお詫びのつもりとして道具屋で買った筒状の物を右手にブーンの家へ歩いた。

('A`)「どこに隠しておいてやろうかな……やっぱりすぐ見つからないように壺の中とかかな。
    あいつ、壺にジョンなんて名前付けてたし適当にヒントあげれば気付くだろw」

('∀`)(しかしまさかジョンの中にオナホが隠れてるとは思わないだろうなwwww)

そう、彼がお詫びの品として選んだのは禁断の筒『オナホ』

【そこに選ばれし肉の鍵刺さりし時。汝、この世の摂理を知らされるであろう】

そんな言い伝えがあったような、無かったような。
実際にこのアイテムは物語と何ら関わらないと思われるので流しとく。

130 : ◆qvQN8eIyTE :2007/02/28(水) 23:02:12.79 ID:FxYBFtF30
( ´ω`)「あ〜……やっと仕事が終わったお〜……」

今日はなにやら奇怪な尋ね人が多かった。
例えば……

「ポケモンをレベル100にする裏技を教えろ!」

( ^ω^)「ここは VIPの村ですお」
(;^ω^)(それは道具の七番目を……って答えられるわけねぇお)

131 : ◆qvQN8eIyTE :2007/02/28(水) 23:02:42.60 ID:FxYBFtF30
「最初にヒトカゲを選んでしまってタケシに勝てないんだ!だから教えろ!」

( ^ω^)「ここは VIPの村ですお」
(;^ω^)(最初はゼニガメ選んだ方が楽だお)

「さっきから同じ事しか言わないとかナメてんのか!」

(;メ^ω^)「ここは VIPの村ですお」
(;メ^ω^)(殴るなバーローwwwってかあの人は村人Aに何を求めてたんだお・・・)


133 : ◆qvQN8eIyTE :2007/02/28(水) 23:03:12.02 ID:FxYBFtF30
他にも……

>>82「以前総合にこれのプロローグが投下されてた記憶が……」

( ^ω^)「ここは VIPの村ですお」
(;^ω^)(そんな記憶作者にはないお……まさかの丸被りかお!?)

>>84「多分されてる。俺も見た記憶がある」

( ^ω^)「ここは VIPの村ですお」
(;^ω^)(作者はこれが初作品だからそれはきっと他の人のだお。こんなのと被らせてすいませんだお)


134 : ◆qvQN8eIyTE :2007/02/28(水) 23:03:43.23 ID:FxYBFtF30
とにかくブーンは疲れていたのだ。
早く家に帰って休みたい。早く新しい友達の元へ行きたい。
そんな思いは彼の疲労した身体を突き動かす原動力となる。
そして見えてきた我が家。

135 : ◆qvQN8eIyTE :2007/02/28(水) 23:04:10.90 ID:FxYBFtF30
(;^ω^)「誰か……いるお」

あんな事件があった次の日だ。
嫌な予感は彼の視覚から入り込み、瞬く間に脳へと到達する。

(;^ω^)「ポールとジョンと吉田がやばいお!」

136 : ◆qvQN8eIyTE :2007/02/28(水) 23:04:43.02 ID:FxYBFtF30
彼は走った。
己の帰る場所を守るために。

彼は走った。
己の新しい友達と築きあげる思い出の予定を崩さぬように。

彼は走った。
己の平穏な日々をまたしても崩さんとする未知なる者をはね除けるために。

137 : ◆qvQN8eIyTE :2007/02/28(水) 23:05:13.84 ID:FxYBFtF30
(♯^ω^)「お前は誰だお!人の家で勝手に何やってるんだお!」

その人影は突然の来訪者に驚き一瞬肩をビクつかせたが、すぐにその声の主に気付いた。

('A`)「ブーン、もう帰ってきたのか」

( ´ω`)「なんだ……ドクオかお。焦ったお」

('A`)「えらく慌てて一体どうしたんだ?」

( ^ω^)「実はかくかくじかじかで……」

('A`)「勇者が来てお前の家を荒らしたのか。でも良かったな」


138 : ◆qvQN8eIyTE :2007/02/28(水) 23:05:40.07 ID:FxYBFtF30
(♯^ω^)「何が良かったんだお!」

('A`)「お前の大事にしていた壺も樽もタンスも無事で」

( ´ω`)「実はもう……ジョンもマイケルも田中も死んだんだお」

('A`)「死んだ?じゃああの家具達は何だ?」

( ^ω^)「あれは新しい友達のポールとトムと吉田だお」

('A`)「それってもしかしてうちの……」

(;^ω^)「バーローwwwペロッ……これは青酸カリ!」

('A`)「もうはぐらかされるか馬鹿。お詫びの品も持ってきてやったけど家具共々に没収」

(;^ω^)「そんな……ちなみにお詫びの品って何だお?」

139 : ◆qvQN8eIyTE :2007/02/28(水) 23:06:39.29 ID:FxYBFtF30
('A`)ノ□「あー?もうお前には関係ないけどこれだよ」

(;^ω^)「それは伝説の……!」

('A`)「残念だったな。もうこれは俺の物に決定。それじゃあな」

( ;ω;)「ウウッ……ジョン、ポール、マイケル、トム、田中、吉田、そして伝説のオナホ……
       皆僕の元から去って行ってしまうお」

( ;ω;)「これが設定によって決められたことなら僕はその設定をぶち壊してやるお!」

142 : ◆qvQN8eIyTE :2007/02/28(水) 23:07:41.91 ID:FxYBFtF30
そして彼は決心した。
この世界の住民全てが抗うことを避けた『設定』に喧嘩を売ることを。
そしてその時点でまた彼の『設定』が狂い始めた。
彼の村人Aという比較的地味な設定から、その世界の中では唯一の秩序への対抗者となるべく設定に。


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