第2話

41 : ◆qvQN8eIyTE :2007/02/28(水) 15:24:43.45 ID:FxYBFtF30
情報とは大切なものだ。
それを得るために多大な金銭が飛び交い、時には大きな損失を与えることがある。
何故そんなにしてまで情報が欲しいのか。
利益を得る。倒したい人がいる。
色々とあるだろうがつまりはこうである。

「人間は知的好奇心の塊」なのだ。

己の欲求を満たすために情報を集める。
実に簡単で本能的な答え。
本能的故に純粋で押さえつけられない強い好奇心。
そんな好奇心に突き動かされた者が訪れる場所。
「バーボンハウス」
そこへブーンは尋ねた。
友達の仇の情報を得るため。

43 : ◆qvQN8eIyTE :2007/02/28(水) 15:25:18.19 ID:FxYBFtF30
(´・ω・`)「やぁ、ようこそ、『バーボンハウス』へ」

( ^ω^)「ショボンさん、お久しぶりだお」

しょぼくれた顔をしているこのバーのマスター。
名をショボンといい、途切れなく来る尋ね人に酒を渡し、話を聞いてあげ、時には確かな情報をくれることで有名だった。
そんな彼の経営するバーは客足が途絶えることもなく、常に忙しそうに働いている。
こんな状況でどうやって情報を手にするのかは謎だが……
まぁそこは何か裏の事情ってやつがあるんだろう。
そこをわかっているのか尋ね人達は情報を聞くことはあるが、情報源を聞く者はいない。


44 : ◆qvQN8eIyTE :2007/02/28(水) 15:26:10.22 ID:FxYBFtF30
(´・ω・`)「とりあえずこのテキーr

( ^ω^)「そんなことより教えて欲しいことがあるんだお!」

(´・ω・`)「ぶち殺すぞ」

(;^ω^)「サーセンwwwwwww」

(´・ω・`)「まぁいいや。ところで何について聞きたいんだい?」

( ^ω^)「モララーって奴についてのことだお」

( ´・ω・`)「モララー?あいつがどうかしたのかい?」

怪訝な顔をするマスター。
やはり何か知っているのだろうか。

47 : ◆qvQN8eIyTE :2007/02/28(水) 15:27:27.46 ID:FxYBFtF30
(♯^ω^)「あいつに友達を殺されたんだお!ジョンとマイケルと田中が!」

(´・ω・`)「殺された?勇者は人を殺してはいけないはずなのに……」

( ^ω^)「ジョンは壺でマイケルは樽で田中がタンスだお」

(´・ω・`)「ぶち殺すぞ」

(;^ω^)「サーセンwwwwwww」


48 : ◆qvQN8eIyTE :2007/02/28(水) 15:27:55.15 ID:FxYBFtF30
(♯^ω^)「でも人じゃなくたってブーンとの思い出はたくさん詰まってるお!もう僕にとっては友達と同じなんだお!」

(´・ω・`)「それは気の毒に……でも設定では勇者が村人の家に入って物を破壊しても咎められることはないんだ。
      それに、モララーは設定上ちゃんとした勇者なんだよ」

(♯^ω^)「設定って一体なんなんだお!友達を殺されたのに仕返ししちゃいけないのかお!」

(´・ω・`)「設定っていうのはこの世界の言わば秩序なんだ。この設定がないとこの世界は纏まりを見せずに崩壊してしまうらしい。
      設定では会話を早くすることが出来るとか基本的なことから、それぞれの人生における目標のような大きなものまで決められているらしいよ」


49 : ◆qvQN8eIyTE :2007/02/28(水) 15:28:27.81 ID:FxYBFtF30
( ^ω^)「そんなものがこの世界にあったのかお……でも僕はモララーを許せないお!」

(´・ω・`)「実は設定については僕もよく知らなくてね。まだ調べ中なんだ。で、モララーのことだけど……」

( ^ω^)「あいつは一体どんな奴なんだお?」

(´・ω・`)「あいつのことについてもまだ良くわかっていない。ただ、あんまり良い噂は聞かないね」

( ^ω^)「勇者ってのは正義の味方じゃないのかお?」

(´・ω・`)「設定ではそうなっているね。つまり、あいつと相反する者は必然的に悪になるよ」

(;^ω^)「悪役になるのはちょっとパスだお……」

50 : ◆qvQN8eIyTE :2007/02/28(水) 15:30:01.09 ID:FxYBFtF30
ブーンは小さな頃からヒーローに憧れていた。
正しい力で悪をなぎ倒す正義の象徴。
今のブーンは村人Aをやっているが、小さい頃は密かに勇者に憧れていたりもした。
そんな自分が悪役になるのはいくら友達のためとはいえ、無理な問題であった。


52 : ◆qvQN8eIyTE :2007/02/28(水) 15:30:39.14 ID:FxYBFtF30
(´・ω・`)「それが妥当な判断だと思うよ。無理に荒波を立てることはない。
      君の人生は村人Aをやっていれば平穏に過ごせる設定なんだから」

( ^ω^)「色々とありがとうだお。それじゃ」

重い音を鳴らして木製のドアを開く。
空には億千の星達。
夜空を見上げながらブーンは大切なことを思い出した。


53 : ◆qvQN8eIyTE :2007/02/28(水) 15:31:15.68 ID:FxYBFtF30




(;^ω^)(結局モララーについてはよくわからないままだったお)





55 : ◆qvQN8eIyTE :2007/02/28(水) 15:31:38.32 ID:FxYBFtF30
しかし、もういい。
友達のことは悔しかったが、自分が悪側に行くのが許せない。
それに設定では村人Aを続けることが最良らしいし、仕事の時間になるとブーンは自由を奪われる。
そんな状態では正式な勇者に仇討ちできるわけないと計算したのだ。


56 : ◆qvQN8eIyTE :2007/02/28(水) 15:32:14.51 ID:FxYBFtF30
( ´ω`)(ジョン、マイケル、田中、ゴメンだお)

心の中で小さく謝罪して、彼はまた明日から平穏な村人ライフを送る設定だった。
ただ、彼の設定はどこかズレ始めてきてしまったのだ。


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