内藤エスカルゴ - 現行作品一覧 - ( ^ω^)は街で狩りをするようです - スレ23
( ^ω^)は街で狩りをするようです
1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 23:05:15.17 ID:E+fzfjZU0
代理でした

2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 23:06:26.08 ID:HvFpMZsJO
ひゃっほう!

3 名前: ◆jVEgVW6U6s :2009/08/01(土) 23:07:45.44 ID:1n4d5Mk30
>>1
どうもです!

25話できたてほやほやでござる
オマケは今回もなしでござる

まとめ 内藤エスカルゴさん
ttp://www.geocities.jp/local_boon/

4 名前: ◆jVEgVW6U6s :2009/08/01(土) 23:08:50.90 ID:1n4d5Mk30
第25話「アーマーシステム」


(//‰゚) 《会えて嬉しイぞ、ブーン!》

赤と青、2本のレーザーブレードによる鍔迫り合い。
交差する刃が僅かな電流を発し合う中、両者は鼻の先がつきそうな程に顔を寄せ。
一方は狂気とも歓喜とも取れる声で、一方は怒りに溢れた声で、あらん限りに叫び合った。

(#゚ω゚)「これ以上アンタの好きにはさせないお!!」

鍔迫り合いは一度弾けるが、矢継ぎ早に紫電一閃の斬撃が繰り出される。
光を振り撒いて描かれる刃の軌跡。
渾身の一撃が身体を裂く事は無く、交じる事も無く、ただ空を切った。

しかし、ギコに分がある。
完全手動でのバイク操作を強いられるブーンは
機動力が半減した状態であるが、ギコにはそんな煩わしさは無い。

10枚の翼を手足のように自在に動かして、空を闊歩できる。
しかも、その飛行能力は怪竜“でっていう”譲りの物。
一瞬でブーンの背後に回る事など、容易いのだ。

5 名前: ◆jVEgVW6U6s :2009/08/01(土) 23:10:51.33 ID:1n4d5Mk30
赤い刃が容赦なく首を狩りに行く。

ブーンは、辛うじてギコの移動を集音で追い、腕を背にまわす形で攻撃を受けた。
更に、そのままBLACK DOGを回転させ、
自身とバイクの出力の両方を合わせた反撃を繰る。

流石のギコも、右腕を跳ね上がらせた。

その間、180度翻ったブーンは、背後にいたギコを目視で捉え。
刃を突き出し、今度は滝登りのようにバイクを走らせた。

情報処理システムは、ギコの腹から脳天を貫く刃の軌道を提示する。
その軌道と一寸違わずに刃は走るが、やはり、そこにギコはいない。

(//‰゚) 《新シいバイクみタいだが、到底俺ニは追いツけナいよウだな」

気づけば、自分とは1メートルほどの距離が開けられている。
ギコの表情は危機感を微塵も感じさせない。

( ;゚ω゚)「――くッ!」

脳裏に、ボストンで完膚なきまでに叩きのめされた記憶がフィードバックする。
顔面を削られ、肺を破られ、腕を破壊された、あの圧倒的な破壊力に味合わされた恐怖が。

だが、臆する訳にはいかない。
出力が無意識に最大まで上昇してゆく。

6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 23:13:37.29 ID:/dIgcuyl0
支援

7 名前: ◆jVEgVW6U6s :2009/08/01(土) 23:13:38.63 ID:1n4d5Mk30
しかし、バイクのアクセルペダルを踏み込もうとした時、

(//‰゚) 《ブーン、スネークは!》

ギコに制された。
上がったブーンの足が、ぴたりと硬直する。

(//‰゚) 《ククク、よク聞け! 俺に喰わレたスネークは自爆ヲ試みた!
      ダが! 爆発ノ直前に俺ハ奴を吐き出し!》

ギコの、剥き出しになった口周りの筋肉が釣りあがる。
唇の無い口が半月を描き、牙をひん剥いた。

(//‰゚) 《俺ハ少々メカニックを損傷さセル程度に済ンだのサ!
      ハハハハハ! まさに犬死ダなァ!》

(#゚ω゚)「黙れ!!」

怒りに我を忘れ、飛び出した。だが、愚直なまでに直線的な動きだ。
ギコは翼を縦に振り、上空へ逃れて突撃を回避すると同時、
無防備な後頭部に向けて、ありったけの力で尾を奔らせた。

咄嗟に首を曲げ、直撃こそ免れたものの。
背に一撃を受けてしまい、ブーンは地上方向へ急速落下を始める。

8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 23:14:51.40 ID:fZ4p4km00
おそばせながら支援!!


9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 23:15:08.28 ID:BMAqp8JrO
支援

10 名前: ◆jVEgVW6U6s :2009/08/01(土) 23:15:39.45 ID:1n4d5Mk30
流転しながら落ちてゆくブーンとBLACK DOG。
ギコの攻撃は強烈極まりなかった。
まるで背に穴を開けられたような感覚を覚えたブーンは、その痛みで気を遠くしていた。

(;゚ω゚)「――――あッ!?」

地面すれすれに迫るとようやく我に返り、
咄嗟のアクセルワークとハンドル捌きで地面との衝突を未然に防いだ。

体勢を立て直し、すぐに上空のギコへ目を向ける。

――いない、何処だ!?


目と耳、情報処理システムをフル稼働させるが、気配を感知できない。
ならばせめてと思い、必死に首を動かしてギコの移動軌跡だけでも目視しようと試みるが――、

真横で、空気が切裂かれる音が流れる。


( ;゚ω゚)「ッ!」

BBBladeで受けこそしたが、しかし反射的な動作であり殆ど無防備の状態。
脳が下した出力がサイバネティクスに行き渡るよりも早く、
ギコの巨大な刃がブーンをなぎ払った。

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 23:16:50.24 ID:fZ4p4km00
しえんしえんしえんしえんしえんしえん

12 名前: ◆jVEgVW6U6s :2009/08/01(土) 23:18:34.75 ID:1n4d5Mk30

(; ω )「うあッ―――!!」

何とか受けたが、武器は弾き飛ばされ、首に衝撃が走る。
そしてブーンは、バイクごと後方へ吹っ飛ばされてしまった。

ハンドルを握る左手でのみバイクと繋がった状態で、数メートルは宙を飛んだだろうか。
さすがに、今度は派手に地を転がった。
乗り手を失ったBLACK DOGがアスファルトをスライドして、ブーンから離れてゆく。

赤い刃の切っ先は首筋を浅く通っただけで、ブーンを大事には至らせなかった。
綺麗に出来た溝から、行き場をなくしている少量の電気がばちばちと鳴っている。
ダメージとは程遠い損傷であるが、しかし。


(;゚ω゚)(ぼ、僕はギコさんに敵うのかお……!?)

受け太刀していなければ、確実に首を刎ねられていた。

これから、何度もあの強烈な一撃が襲い掛かってくる。
更に、その全てが自分の感知と同時に繰り出されるだろう。
果たして、受けきれるか、捌き切れるか……。
発汗腺が残っている僅かな箇所から、嫌な汗が滲み出る。

13 名前: ◆jVEgVW6U6s :2009/08/01(土) 23:20:27.55 ID:1n4d5Mk30
決定的な一撃には至らなかったが、ブーンに不安を植えつけるのには十分だった。
強張っていた顔や目はすっかり萎えてしまっている。
先ほどの、怒気に包まれた表情がまるで嘘のようである。

ブーンの顔を一瞥したギコが、鼻で笑った。

(//‰゚) 《今度コソ貴様を殺シてやる。
      ソして『セントラル』の人間を皆殺しにシ、復讐を完了サセてヤル》

唇の無い口から、邪悪に歪んだ電子的な声が発せられた。

ブーンは、恐怖と不安で萎縮しそうな身体を無理矢理動かし、
ホルダーからBBBladeを取り出した。
刃を放出し、剣先をギコに突きつけ、

(#゚ω゚)「アンタを止める!!」

あらん限りの声で叫び、己を奮い立たせた。

左手に剣を持ち直し、足を踏み鳴らして腰溜めに深く構えた。
金の髪と共に、黒いバンダナが風に揺れる。

14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 23:20:48.09 ID:lCsMZx+TO
支援ですわぃ

15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 23:22:53.66 ID:fZ4p4km00
しえんエネルギーら1!!!

とうっ!

16 名前: ◆jVEgVW6U6s :2009/08/01(土) 23:23:05.91 ID:1n4d5Mk30


(//‰゚) 《スネークのバンダナなんか巻イて、どウいうツもりダ?》


(#゚ω゚)「オッサンのように! 皆を守りたいんだ!!」

(//‰゚) 《どの口ガ言うッ!?》


アスファルトを蹴り上げ、ギコが駆ける。
一瞬にして目前に迫ったギコに目掛け、ブーンは限界の速度で刃を突き出すが、

(//‰゚) 《しぃヲ殺しタお前が言ウ台詞か? 死ね! 死ンデ贖え!!》

刃が貫いたのは網膜に残っていたギコの像であり、実体ではなかった。
ギコは刃をかわしつつ走り抜き、その去り際に左手首を斬って落とし、
ブーンの背後へ。そして右腕を振り上げ、

(//‰゚) 《死ネ……!》

冷酷にそう告げながら、赤色の太い刃を振り落とす。

17 名前: ◆jVEgVW6U6s :2009/08/01(土) 23:26:36.78 ID:1n4d5Mk30

( ;゚ω゚)「ッ――!!」

足音だけを頼りに、ギコの位置は特定していた。
左手首を斬られた瞬間、ブーンはグレネードのプログラムを起動し、
右腕の発射口をギコの足元付近に向けていた。

(;//‰゚) 《なッ!?》

刃の切っ先がブーンの頭を貫くよりも早く、グレネードは既に射出されており。
ギコの足元で、巨大な蒼い火柱を生み起こした。

(; ω )「ぐっ――!!」

ブーンも爆発を受け、吹き飛ばされる。
熱気が器官に侵入しないよう、口を硬く閉じる事に注力し、
その一方で、ギコに被ダメージがある事をひたすら祈った。
そしてバンダナだけは燃やしてなるものかと、懸命に腕で覆い隠した。

やがて爆風は静まり、風の中から投げ出されたブーンは地面を転がる
耐熱に優れた作り物の金髪であるが、すっかり焼け焦げ、
ブーンの身体を覆う戦闘用の黒いスーツも、大部分が燃えてしまったが、
バンダナは尾に若干の焼け焦げで済んでくれたので、ブーンは一先ずほっと胸を撫で下ろした。

( ;゚ω゚)(ギコさんは!?)

しかし、すぐに緊張感を高まらせ、右太腿のホルダーからBlueMachingunを引き抜く。
辺りに注意を張り巡らせて、その場を佇んだ。

18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 23:27:57.00 ID:MHxIY3dfP
支援

19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 23:28:50.56 ID:fZ4p4km00

支援支援支援支援支援支援支援

支援と言った時には既に支援していなければならねぇ・・・

20 名前: ◆jVEgVW6U6s :2009/08/01(土) 23:29:04.99 ID:1n4d5Mk30
不意に、右目に熱反応が生じた。
しかしセカンドの熱量反応のそれではなく、それよりも大規模な温度と量である。
前方、10時の方角――見えるのは、ビルが崩れて出来上がった、夥しいコンクリと鉄筋の山。

瓦礫の隙間から、赤い光が鳴動音と共に漏れ出す。

( ;゚ω゚)「まずい!」

咄嗟に、身を投げる勢いで横っ飛びすると。
刹那、自分が立っていた場所に、巨大な赤い塊が過ぎた。
着弾先のビルに整然な大穴が開けられている事から、
その殺傷力を想像するのは容易であった。

そうして、肉眼で得た情報は、すぐに情報処理システムが解析する。
判明された熱量、エネルギー装填から射出までの速度、弾速。
あらゆる観点から鑑みて下された情報は、

( ;゚ω゚)(間一髪……貰えば即死だったお……!)

ブーンを容易に滅する一撃だという事である。

ギコを埋める瓦礫が吹き上がる。
コンクリを宙に纏わせて、ギコが上空に躍り出た。

21 名前: ◆jVEgVW6U6s :2009/08/01(土) 23:31:34.36 ID:1n4d5Mk30

(//‰゚) 《コイツはボストンのとアる研究施設で拾っタ兵器だ!
      俺ハ自己改造したのさ! お前ヲ殺す為ニな!》

言い終えると、再び砲が鳴動を始め、全体から赤い光を薄らと纏った。

先ほどの攻撃で得た情報から、
鳴動から射出、着弾に至る仮想タイムをシミュレートさせる。

( ;゚ω゚)(来るお!)

2,1と頭の中で秒読みし、思い切り横っ飛び。
直後に炸裂音、膨大な砂煙の柱が上がる。
傍らに大穴が生じているのを横目に見て、ブーンはぞっとした。

耳に高鳴りが響く――休む暇なんて無い!
先ほどの回避時に、瞬間的に情報処理システムに構築させた回避プログラムに頼り、
射出タイミングをカウントさせる。

( ;゚ω゚)(避けろ――――ッ!)

網膜内でゼロを表示されたと同時、真横に駆け抜けた。
エネルギーの砲弾は掠りもせず、ブーンは安堵するが、

(//‰゚) 《そレで避ケたつもリか!?》

もう一発――否、もう2発と断続的に砲弾が射出される。

22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 23:33:08.87 ID:EHxlnT0C0
ガイル可愛いよガイル

支援


23 名前: ◆jVEgVW6U6s :2009/08/01(土) 23:33:33.43 ID:1n4d5Mk30

砲弾の飛来方向から、BLACK DOGとは真逆の方向に走り続けざるを得ない。
そうして砲弾に追い詰められてゆくブーンだが、
幸運にも超高層ビル同士が作る路地へ逃げ込む事が出来た。

今はギコの目を欺けるが、しかし路地を行った先には巨大な壁が聳え立っている。
これでは袋小路だ。

それにギコ自身もサイボーグ。
感知可能距離ならば、まず足音は聞き漏らさない。
大まかではあろうが、位置や距離関係を把握されてしまう。
目視不可能な位置からの遠距離攻撃であっても、ブーンを追い詰めるのは難しくはない。

(//‰゚) 《隠れテモ無駄ダ!》

ましてや憎き仇との戦闘中。
ギコの集中力は最高潮に達しており、情報処理システムが提示する
最適な射出方向と一寸違わずに、砲弾を撃ち出してゆく。

( ;゚ω゚)「うわああああああ!!」

砲弾がビルの壁面を突き破り、僅かな誤差範囲でブーンに襲い掛かる。
退路を断つような弾道だ。
これを避けるのは難しくないが、やはり行き止まりの方へと追い詰められてしまう。

24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 23:34:46.40 ID:fZ4p4km00


支援・・・?

ああ支援だ!

25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 23:35:08.55 ID:qmMR363f0
ブーンフルボッコwww

26 名前: ◆jVEgVW6U6s :2009/08/01(土) 23:35:21.10 ID:1n4d5Mk30
更に。
根元を攻撃されたビルが、徐々に崩れ始めている。
地面に対し垂直に聳えていたビルが、路地へと傾斜を帯び始めてきたのだ。

そして巨大な爆発音。
倒壊の拍車を掛けるように、ビルは攻撃を受けるにつれ、
随所で爆発を起こし始める。

オートメーションの爆発から生まれし黒炎が、コンクリの壁を貫く。
数箇所が爆発すれば、その被害は連鎖して上層へと昇って行き、
二次、三次の被害を発生させる。

たちまち、7百メートルあるであろうビルが全壊の一途を辿り始めた。
デスク、コンピュータ、ドアなどが、割れたガラスとコンクリと共にブーンへ降り掛かる。

( ;゚ω゚)(瓦礫に埋められれば足が止まる! 路地を脱出しないと!)

しかしながら、通りを進んだ先に出口は無い。
崩壊を免れている対面のビルには逃げ込む入り口が見当たらず、
灰色のコンクリが何処までも続いているだけ。

一瞬でも止まれば、直撃してしまう。
とはいえ、行き止まりまでの距離は、僅か数メートルしか残っておらず。

もはや袋のネズミであるが、まだ逃げ場は残されている。

27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 23:36:19.06 ID:5ohiC2ODO
街狩りきてたー

28 名前: ◆jVEgVW6U6s :2009/08/01(土) 23:36:27.50 ID:1n4d5Mk30

( ;゚ω゚)「行き止まりの壁の先はどうなってんだお!?」

从;゚∀从『スキャンしても不鮮明だ! 恐らく分厚い合成金属の塊!
      掘って進むなんて考えンなよ!!』

咄嗟に『セントラル』のハインリッヒに尋ねてみたが、
思惑を見透かされた上に否定されてしまった。

ならば次はと、ちらりと上を仰ぎ見る。
降り注ぐ瓦礫とガラスの雨の合い間から、青空が覗いているを確認し。

( ;゚ω゚)「ふっ!」

ブーンは行き止まりの壁に向って跳躍し、激突間際に前転。
壁に足を着き、そして上空方向へジャンプした。

BlueMachingunとBBBladeで、時には邪魔な瓦礫は破壊し。
次々に降り注ぐ瓦礫を踏み台にし、砲弾を回避しながら上を目指す。

BLACK DOGのある方へ逃げたいが、今は上に行くしか無いのだ。
連射された砲弾が下方向から迫っている為、
地面に向って降りようとすれば、砲弾に直撃する危険はぐっと高まるからだ。

一方のビルは、まだ倒壊まで余裕があるように見える。
一先ず、そちらの屋上に逃げて、体勢を立て直したい。

29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 23:37:49.30 ID:fZ4p4km00
いけえええええええええええええええええええええええええええええ

30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 23:40:30.47 ID:qmMR363f0
支援ぬ

31 名前: ◆jVEgVW6U6s :2009/08/01(土) 23:40:45.98 ID:1n4d5Mk30
コンクリの破片に乗り、上より落下して来るデスクを見据え。
足場にしたコンクリを思い切り踏みつけ、デスクへの跳躍を行う。

デスクに着地する間際、砲弾がビルを突き破って襲い掛かってくれば。
すぐさまデスクを斬り、着地点を向かいのビルは壁面に変更する。
ビルの壁面に着地するまでに使えそうな足場を探し、そして壁蹴り。
アミダを紡ぐように、崩壊するビルと、健在するビルの壁面を行き来する。

超高層ビルの中程を越えた時、崩れるビルから大規模な爆発が生じた。
崩壊の一途をますます辿らんビルの上半分が、対面のビルに凭れ掛かったのだが、
その際に発生した衝撃が、更なる破壊を齎してしまう。

両ビルの上層部はお互いを崩しあい、あろう事か……否、
必然的にブーンの方へと落下を始めたのだ。

( ;゚ω゚)(ドクオ! BLACK DOGを遠隔操作してくれお!)

(;'A`)『分かった! で、でも着けるところがねーよ!』

( ;゚ω゚)(崩れた場所から建物に入る! ビル反対側の断崖で待機させてくれお!)

そう指示したはいいが、長い。余りにも、“其処”までが長い。
モダニズム建築様式で構築されたビルは、いずれも巨大すぎるのだ。
かといって、ガラスを破って中に入るのも、逆に逃げ場を狭めてしまうはずだ。

しかしながら、今往くこのルートも一途の不安がある。
ギコに接近されるにつれ、危険度が増してゆくという、不安だ。

32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 23:42:07.90 ID:/dIgcuyl0
支援

33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 23:42:46.48 ID:qmMR363f0
支援、まる

34 名前: ◆jVEgVW6U6s :2009/08/01(土) 23:44:04.02 ID:1n4d5Mk30
いや、その不安は既に現実のものへ成り掛けている。
地上を走っていた時は“真横”から、宙を飛んでからは“上方向”へと
弾丸を撃ち込まれてきたが、その勾配が徐々に反転しつつある。

从;゚∀从『急げ! ギコが来るぞ!!』

上方向から、平行へ、真下へと、砲弾の軌道が変わっている。
つまり、上からブーンを撃ち落す形に変わりつつあるのだ。

( ;゚ω゚)「ダメだお! 速過ぎるお!!」

恐ろしい速度で勾配が更に急になる。
ダメだ、間に合わない――――


(//‰゚) 《この瓦礫ヲ! 貴様ノ墓石にすルノも悪くナさそうダ!》

崩れ往くビルの合い間から、僅かに見える。
太陽の光に反射する、ギコの鱗の青々しい光と、砲の赤い光が。
その発射口は、確実にこちらへ向けられていた。
今度は誤差を挟まない、完全なる軌道だ。

砲が鳴動を発し、空間を共振させる。

(;'A`)『ブーン! BLACK DOGを待機させた!』

( ;゚ω゚)(了解!!)

35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 23:46:05.83 ID:fZ4p4km00
うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお


36 名前: ◆jVEgVW6U6s :2009/08/01(土) 23:47:21.24 ID:1n4d5Mk30

(//‰゚) 《死ね! 死ね死ネ死ね! はははハハハはハ!!》

幾万のガラス、幾千のコンクリ、大規模な質量を持ったコンクリの壁。
ビルが爆発し巻き上げる赤と日光を浴びて、
煌びやかに光を反射するガラスが、まるで大粒の雨粒ようである。

固体の豪雨が一辺倒にブーンへと降り注ぐ中、
落雷の如き速度で、赤い閃光が幾数の軌跡を宙に描く。
赤い閃光はコンクリの巨大な壁を突き抜け、ブーンに襲い掛かる。

( ;゚ω゚)「ぐあっ!」

身体を仰け反り、捻り、皮一枚で回避するも、
胸を守るスーツと皮膚が削がれ、銀のプレートが露になってしまった。
一気に心拍数が上昇するのを感じたが、怯んでいる場合ではない。

ブーンは、傍らで浮遊していたコンクリの岩盤に登る。
ほぼ同時に、其処に砲弾が着弾したが、既にブーンの姿は無い。

( ;゚ω゚)「はぁ、はぁ、」

ガラスが漂う中を突っ切り、跳躍して足場から足場へと伝ってゆく。
今度は上にではなく、横へと、BLACK DOGが待機している方へと突き進む。

37 名前: ◆jVEgVW6U6s :2009/08/01(土) 23:49:15.41 ID:1n4d5Mk30
数メートルほどの長さを持つ壁の残骸を、目下に確認。
地面とほぼ平行の状態で落下する其れに飛び移り、最大限の速度で走った。
助走をつけて飛べば、向かいのビルに着地できると判断したのだ。

しかしギコが黙って見過ごすはずが無く。
ブーンのみならず、ブーンの進行方向を遮断するように砲弾を撃ち出した。
一瞬でも止まれば死に至らせる弾道……ギコはブーンの死を惜しもうとは全く思っていないようだ。

落下してゆく壁を舞台に、まるで舞うように立ち回って、攻撃を回避。
回避したはいいが、ビルに飛び移る前に、足場の壁が木っ端微塵となってしまった。
破壊された壁はブーンを中心に、八方へと離れてゆく。

一ッ飛びでビルに向うことは叶わなくなったが、しかし、まだ。

( ;゚ω゚)「おおおおおおおおおおおおおお!!」

木っ端微塵になった壁の一つ一つを猛スピードで飛び移り、
向かいのビルを、BLACK DOGを目指す。
落下してしまった分を取り戻す為に上へ上へと飛びつつ、そして前へ。
更に、ギコの攻撃を避ける事を最重要に考えながら、文字通り空を闊歩した。

矢継ぎ早に、網膜に広がる数字や画像が切り替わってゆく。
どの程度の力で踏み、どの足場に向えばいいのか、一秒に満たぬ速度で更新され続ける情報……。
処理は追いついているが、頭に重さを感じる。
BLACK DOGのシステムダウンロードを並行させている為か。

38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 23:52:12.40 ID:fZ4p4km00
支援だっ!

39 名前: ◆jVEgVW6U6s :2009/08/01(土) 23:52:31.25 ID:1n4d5Mk30
着地点に影も残さず、跳躍を行い続け。
ようやく、あと一つの跳躍でビルに到達する所まで来たのだが、

(;//‰゚) 《チィ……いい加減ニ落ちヤがれ!》

( ;゚ω゚)「くそっ!!」

遂に業を煮やしたギコが接近を始めてしまった。
“でっていう”を上回る速度で飛行しつつ、砲のチャージを並行させる。
途端に、網膜に映る「砲弾直撃の可能性」を表すパーセンテージの数値が激増。

「回避は不可能」。
網膜に予想結果が、脳裏に確信が同時に浮上すると同時、
ブーンはありったけの力で最後の跳躍を行った。

足場から離れた瞬間、赤い砲弾がブーンの左足に掠める。

( ;゚ω゚)「――ッ!!」

痛みは無いが、声に鳴らない叫びをあげた。

被弾したブーンの左足は小さな爆発を起こし、腿から消し飛んでしまった。
爆発でバランスを欠き、ブーンは前のめりになって炎上しているビル内部へ突っ込む。
燃え盛る床と激突する瞬間に、ブーンは右手で床を殴りつけた。

40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 23:52:36.67 ID:5ohiC2ODO
支援

41 名前:ミス ◆jVEgVW6U6s :2009/08/01(土) 23:53:39.21 ID:1n4d5Mk30
着地点に影も残さず、跳躍を行い続け。
ようやく、あと一つの跳躍でビルに到達する所まで来たのだが、

(//‰゚) 《チィ……いい加減に落ちやがれ!》

( ;゚ω゚)「くそっ!!」

業を煮やしたギコが接近を始めてしまった。
“でっていう”を上回る速度で飛行しつつ、砲のチャージを並行させる。
途端に、網膜に映る「砲弾直撃の可能性」を表すパーセンテージの数値が激増。

「回避は不可能」。
網膜に予想結果が、脳裏に確信が同時に浮上すると同時、
ブーンはありったけの力で最後の跳躍を行った。

足場から離れた瞬間、赤い砲弾がブーンの左足に掠める。

( ;゚ω゚)「――ッ!!」

痛みは無いが、声に鳴らない叫びをあげた。

被弾したブーンの左足は小さな爆発を起こし、腿から消し飛んでしまった。
爆発でバランスを欠き、ブーンは前のめりになって炎上しているビル内部へ突っ込む。
燃え盛る床と激突する瞬間に、ブーンは右手で床を殴りつけた。

速度を保ったまま、身体が宙に跳ね飛んだ。
再びブーンは空中を高速で往く。

42 名前: ◆jVEgVW6U6s :2009/08/01(土) 23:55:12.04 ID:1n4d5Mk30
だが、ギコは既に見下ろす形でブーンと並行して空を走っていた。

(//‰゚) 《一思いに首を刎ねてやる!》

レーザーブレードを展開させ、急降下して襲い掛かる。

ブーンは残った右足で燃え盛る地を蹴り、身を反転させてギコと対面する。
目の前までギコは迫っていた。


( ;゚ω゚)(Booster!)

BBBladeを握り締める右手が蒼く燃え上がる。
加速して繰り出した斬撃は、首に掛かりかけていたギコの刃を弾き飛ばした。
その衝撃で、ギコは硬直するばかりか、押し返されてしまった。
間隙を逃さず、ブーンはBoosterオン状態の腕を振るい、BBBladeを投げる。

頭を狙った投擲。
しかしBBBladeが頭蓋を貫く事は無く、ギコのドレッドヘアーを一部刈り取るに終わる。
だが、この程度の攻撃なら避けると踏んでいたブーンは、
左手に持っていたBlueMachingunのトリガーを投擲と同時に引き付けていた。

(;//‰゚) 《チィッ!!》

一瞬遅れ、蒼い弾丸がギコの胴体に着弾する。
数発、ギコの腹や胸を貫いたが、残りは全て回避されてしまった。

43 名前: ◆jVEgVW6U6s :2009/08/01(土) 23:57:37.92 ID:1n4d5Mk30
ギコは弾丸の軌道から逃れようと、こちらから離れてゆく。
それだけで上出来だとは思う。
だが、仕留めるつもりは無くとも、仕留めるに至らず、ブーンは悔しさで唇を強く噛んだ。

しかし、徐々に胸が安堵で満たされ始めた。
BLACK DOGのエンジン音とブースター音が近い。
もうすぐ壁面の断崖を越え、落下する自分をBLACK DOGが拾ってくれるだろう。

BLACK DOGに乗りさえすれば、一先ずギコから距離を取れるはずだ。
それに、足を一つ欠いた状態で先ほどのような近接格闘戦をこれ以上行いたくない。
ギコ相手では余りにも無謀すぎる。

ビルの断崖に近づくにつれ、燃え盛る炎も弱まってきた。
すると火の揺らぎの向こうに、大地が見え始めた。
断崖を越え、足の置き場など一切無い空に、ブーンは投げ出される。


―――それと同時。
上空から、大量の熱源反応を感知。

( ;゚ω゚)「こ、こいつらもいるんだったお……!」

お互いがお互いの姿を視認すると、奴等はブーンに襲い掛かった。
総勢300以上の“でっていう”の群れである。
まだ遠くにいるが、相手はあの怪竜。BLACK DOGを上回る飛行速度で降下を始めた。

44 名前: ◆jVEgVW6U6s :2009/08/01(土) 23:59:20.57 ID:1n4d5Mk30


( ;゚ω゚)「くっそ!」

『は、早く逃げろ!』
ドクオの叫び声に次ぎ、空中待機するBLACK DOGが走り始める。

BLACK DOGの操縦座席に落下して乗り込むが、
同時に“でっていう”が接近を開始した。
狡猾な“でっていう”は八方に展開しながら急降下する。

一群がBLACK DOGを追い越したかと思えば、
もう一群はBLACK DOGより高い位置に待機し。
“でっていう”の群れは、ブーンを中心に球体を描いたような包囲網を形成する。

《でっていうwwwwwwwwでっていうwwwwwwwwwwww》

狂喜を思わせる声を鳴らし、ブーンのもとへ殺到する。
いくら見渡そうが、逃げ道が無い。

( ;゚ω゚)「突破するお!」

逃げあぐねていては、あっという間に取り囲まれて、身体中を啄ばまれてしまう。
どうにかして包囲網に穴を開け、そこから脱出しなくてはならない。

武器庫から取り出したのは“Sniper”。
一瞬で組み立て、自分の頭部に搭載されたシステムとリンクさせ、攻撃準備を終えると。
グレネードを地上方向へ射出し、すぐに“Sniper”を構える。

45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 00:00:42.06 ID:yQBJG0MVO
待ってた支援

46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 00:01:21.79 ID:ThJl1eTR0
でっていうwwwwwでっていうwwwww

47 名前: ◆jVEgVW6U6s :2009/08/02(日) 00:01:27.15 ID:Zz9j53p30

案の定、グレネードに直撃する“でっていう”は一匹もいない。

《でっていうwwwwwwwwwwwwwwwwwww》

( ;゚ω゚)「うるせえお馬鹿トカゲ! そこ通せお!!」

グレネードが“でっていう”の密集地帯を通過する瞬間。
ブーンは、“Sniper”でグレネードを狙撃した。

甲高い爆発音以外、何物も聞こえなくなる。
蒼い炎の塊が“でっていう”を次々に飲み込み、包囲網に大穴を開けると、
すかさずブーンはBLACK DOGを大穴に向わせた。

だがしかし、穴はすぐに塞がってしまった。
獲物は是が非でも逃さんとする“でっていう”が、ブーンの行く手を再び阻んだのだ。
“Sniper”に残る2発の弾丸を撃ち込むが、2体撃破したところで突破は出来そうも無い。

( ;゚ω゚)「う、あ、あああああああああ!!」

ξ;゚听)ξ『ナイトウ!』

(;'A`)『ブーン!!』从;゚∀从

大口を開いて、“でっていう”が一気に襲い掛かった。
余りにも、数が多すぎる。

――ダメだ、喰い殺されてしまう。

48 名前: ◆jVEgVW6U6s :2009/08/02(日) 00:04:16.51 ID:Zz9j53p30
諦めかけた時だった。
空間が捩れるような獣の雄叫びと共に、2つの赤い塊が怪竜の群れを割ったのは。

ぴたりと、“でっていう”の群れは一斉に動きを止め、
声と砲弾の主の方へ、視線を集める。


(//‰゚) 《俺の獲物ダ! 手ヲ出スんじゃネエ!!》

ギコだ。
今度は人の言葉と共に、一発の砲弾を放った。
“でっていう”は怯えた声をあげて散開し、空域から遠ざかってゆく。

確実に仕留められるチャンスだったのに、どういうつもりだ。
それに、何故“でっていう”を操れるんだ。
理解に苦しむギコの行動のせいで、完全に集中が思考へ向いてしまったブーン。
BLACK DOGを1ミリも動かそうとせず、ギコの言葉を待った。

疑問が張り付かせたブーンの顔を、ズームして見たギコは、
にやりと得意気な表情を作り、

(//‰゚) 《フフ、力尽くで調教スりゃ言う事聞クもんさ。
      ひたすラ暴れ回ル馬鹿なセカンドもいるガな》

ギコは続ける。

(//‰゚) 《俺にモ意地やプライドがアる。あくマで俺ガ! 貴様ヲ殺す!》

49 名前: ◆jVEgVW6U6s :2009/08/02(日) 00:07:33.53 ID:Zz9j53p30
対し、ブーンはギコを睨みすえて言い返す。

( ゚ω゚)「復讐に拘るのは何故だお!?」

(//‰゚) 《知レた事! 貴様ハ俺ノ生きる希望ヲ奪っタからだ!》

空には、2人の叫び声が行き来する他に、何も無い。
BLACK DOGのエンジン音が邪魔せずに唸りをあげているくらいだ。


( ゚ω゚)「生きる希望だと!? アンタが殺した人の中には恋人や家族を持つ人が大勢いたんだお!
      アンタは彼等の生きる希望を奪ったんだお!!」

(//‰゚) 《ソうだ! オ前がシーケルトを奪ッタようニナ!》


( ゚ω゚)「違う! シーケルトさんは!!」


( ゚ω゚)「シーケルトさんはアニーを守る為に死んだんだろう!?
     だから僕は、僕もシーケルトさんのように!
     命を懸けて大切な人達を守るお! 絶対に守ってみせると誓ったお!!」

( ゚ω゚)「アンタは間違っているお! 今のアンタをしぃさんが見れば!
      しぃさんだってそう思うはずだお!」

(//‰ ) 《黙れ……黙れ!!》

刃を引き出し、ギコは疾駆する。

50 名前: ◆jVEgVW6U6s :2009/08/02(日) 00:09:45.92 ID:Zz9j53p30
“Sniper”を座席下に投げ込み、迎撃と操縦に全神経を傾けた。
右足でアクセルを蹴り、左手でハンドルを引きつけ、旋回させる。
僅かな助走を経て加速したBLACK DOGが、ギコに向かっていった。

激突し、刃が交じる。
ブーンはハンドルから手を放し、両手で柄を握って刃の進行を食い止めた。
圧倒的な力に押されまいと、奥歯を思い切り噛み締めて。

(//‰゚) 《しぃは俺の全てだったんだ!!》

( ;゚ω゚)「System-Hollowなんかに逃げたくせに!」

ギコがBBBladeを弾き、右腕を振りかぶる。
ブーンは咄嗟にギアを入れ替え、バック走行。
ギコの渾身の斬撃は空を切るに終わったが、ギコは逃すまいとブーンを追った。

赤い刃がブーンの頭を貫かんと走る。
ブーンは上体を思い切り捻り、そうして得た遠心力でギコの刃を弾いた。
返す刀でギコの胸に切りかかるが、ギコは体を仰け反って回避する。

仰け反った体を戻し、その反動を持って繰り出される突き。
首を捻っていなすが、頬骨を担うプレートと左耳を貫かれてしまった。
が、怯まずに剣を突き出し、ギコの鳩尾に剣先を埋め込んだ。

たまらず、ギコは体を撓ませるが、

51 名前: ◆jVEgVW6U6s :2009/08/02(日) 00:11:36.82 ID:Zz9j53p30

(//‰゚) 《俺はしぃを幸せにしたかったんだ!!
      俺に振り向かなくともいい! 彼女さえ幸せならそれで良かった!!」

すぐに顔を上げて、右腕の刃を横に薙いだ。

蒼い刀身がそれを受け止める。

(#゚ω゚)「あれが幸せだと!? 偽りの幸せだと分かっていただろう!?
      何故アンタはオットーと戦わなかったんだお!?
      本当の意味で彼女を幸せにしたいと思わなかったのかお!?」

鼓動は振り切れる程に速く、発せられた声が熱く喉を焼く。
全身を僅かに巡る血が全て沸騰してしまうくらい、激しい怒りに滾る。

(;//‰゚) 《お前に何が分かるというのだ!?」

( ;゚ω゚)「アンタは! 彼女の存在の大きさに気づいたのが遅かったんだ!
      僕はもう懲り懲りだお! 二度とオッサンのような人を出さないおッ!!」

ハンドル部中央のパネルを叩き、ギアをシフトアップ。
最大の出力でBLACK DOGのブースターが噴出し、拮抗を崩した。

ギコの右腕が、跳ね上がる。

(#゚ω゚)「おおおおおおおおおおおおおおお!!!」

間隙、そして再度とない勝機。
ギコの喉元を狙い、蒼き刃が空を斬る。

52 名前: ◆jVEgVW6U6s :2009/08/02(日) 00:13:43.47 ID:Zz9j53p30
肉を貫いた手ごたえがサイバネティクスに走る。
ギコの動脈を切断し、噴出する血液にブーンとBLACK DOGが染まった。
だが、切断したのは血管のみ。脊髄を切れていない。

「脊髄を切る、もしくは頭そのものを跳ねるには、更に剣を横薙ぎに振るわねば」。
コンピュータが出力し、体が動作を作ろうとしたと同時。
ギコはスウェーを行い、首を突き刺している剣先を体外へ抜き。

(;//‰ ) 《があああああああああああああああああ!!》

血と共に搾り出された声、そして繰り出されたカウンター攻撃。
赤い刃の切先が、音をも置き去りにしそうな速度で走る。

切先はBBBladeの柄ごと右手を砕き、ブーンの目と鼻の先まで迫ると。
ブーンは無意識に左手を動かし、フックの軌道で刃の放出部分に掌底を放つ。
刃に触れた指、掌が消し飛んだが、手首は着実に砲部分を捕え、矛先をずらした。

顔面を貫かれる事は免れ、右目の下に深い傷を負うだけで済んだものの。
しかしながら、凌げたのは其の瞬間だけ。
ギコの右腕に、ほんの僅かな力を加えただけなのである。

――返す刀は、胴体を切断せんと一文字を描きにかかった。
ブーンは、手首から先を欠いた両腕で受け止めるが、しかし刃は無情にも
腕を切断し、ブーンの左胸に突き刺さる。

だが、頑強なプレートは肺への侵入を許そうとせず、抵抗する。
苛立ったギコは強引に刃をねじ込み、切先を僅かに肺に刺す。
しかしその勢い余り、ブーンをBLACK DOGから突き落としてしまった。

53 名前: ◆jVEgVW6U6s :2009/08/02(日) 00:15:34.33 ID:Zz9j53p30

(;'A`)『ブーン!!』

( ;゚ω゚)「うが、あ、あああ…………」

体を錐揉みさせ、切創から血を空に撒き散らして地へ落ちてゆくブーン。
ドクオの悲痛な声が頭に響くが、応答する余裕は無い。

BLACK DOGが接近する。
どうやら、ドクオが遠隔操作してくれているようだ。

(;//‰ ) 《ウ、が、……》

ギコは喉を手で押さえて呻いていた。
手の隙間から、損傷した発声器官から迸る電流の青が漏れている。
耳が拾うギコの声は、以前にも増して機械的に色を変えていた。
まるで古びたラジオような不鮮明さを纏っている。

頭を垂れ、体を萎縮させている事から、
首のダメージ回復まで時間が掛かると判断する。

しかし、体勢を立て直そうにも、もはや両腕が無い。
バイク操作もままならない状態では、ギコと満足に戦う術など無いのだ。

――やはり、僕には、誰も守れないのだろうか?

絶望と共に、ブーンは地に叩きつけられる。
アスファルトに皹を入れる程の衝撃は、二、三とブーンをバウンドさせ、
そして損傷箇所からパーツを派手に散らした。

54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 00:17:59.51 ID:ThJl1eTR0
しいいいいいいいいええええええんんんn


55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 00:18:30.94 ID:DISbXE1P0
しえん

56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 00:19:53.53 ID:WMs7NtZEO
両腕はさすがにやばい

57 名前: ◆jVEgVW6U6s :2009/08/02(日) 00:20:24.52 ID:Zz9j53p30
押し潰されそうな青空が網膜に広がる。
その中心、予想以上の速さで回復を完了させたギコが中心に佇んでいる。

ゆっくりと、砲をこちらに向け。
ズームして見たギコの顔は、邪悪さを帯びた笑みを浮かべていた。
「死ね、死ね、死ね、消し飛べ、消し炭になれ、
 死んで償え、死んで償うがいい、シーケルトを返せ、シーケルトを返せ!」
微かに耳に入ってくるギコの声は、全ては自分を呪う言葉。

次いで、砲の鳴動音が入り混じる。
ギコの砲が赤い光を迸る。

高鳴る、高鳴る、死へと導く鳴動が高鳴る。


(; ω )「くそ……ちくしょう……」


(;'A`)『諦めるな、ブーン! まだ勝負は終わっていない!
     システムのインストールが間も無く完了する! それまで持ちこたえるんだ!』

( ;゚ω゚)(ド、クオ……!)

ξ;゚听)ξ『来るわ! 回避プログラムは作動してるわね!?
       肘を思い切り“突けば”数メートルはジャンプできるはずよ!!』

( ;゚ω゚)(ツン……!)

58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 00:23:13.91 ID:PXOHmM86O
来たかと思ったら25話だと……!?
24話みてくる

59 名前: ◆jVEgVW6U6s :2009/08/02(日) 00:23:20.90 ID:Zz9j53p30

从;∀从『頼む! 避けてくれ! お前が死んだら終わりなんだ!
      人類を救ってくれ!!』

( ;゚ω゚)(ハインさん……!!)


(;><)『頑張るんですブーン!!』

( ;゚ω゚)(ビロード……ああ! 僕はまだ頑張れる!!)


『絶対に生きて帰ってきやがれ、クソッタレヒーロー。説教が山積みだ!』

( ;゚ω゚)(はい! ジョルジュさん!!)


(;//‰゚) 《死ネ! ハハハハッ! 結局オ前ハ誰モ守レナインダヨ!!》

赤く色濃く染まったエネルギーの塊が、真上から落とされた。

ブーンは上体を起こし、両腕の二の腕を使って地面を力一杯突いた。
『セントラル』の皆の声に後押しされるかのように、素早く体が飛んでゆく――――。

60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 00:26:55.37 ID:Bsph1lftO
これは支援

61 名前: ◆jVEgVW6U6s :2009/08/02(日) 00:27:08.16 ID:Zz9j53p30
右足の膝のみ、砲弾の範囲を出られず、エネルギーの塊に喰われてしまったが、


( ;゚ω゚)「がはぁっ……!!」

ブーンは辛うじて生き残る事が出来た。
同時、右目の網膜内でカウントし続けていた「インストール完了時間」が10secondを切った。


(;//‰゚) 《貴様アアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!》

割れんばかりの声と共に、右腕の砲を掲げ、エネルギー装填を開始。
だが、鳴動音が鳴らない。赤き光を放たない。
ギコは確かめるように、コンピュータから何度も砲に指示を下すが、

(;//‰゚) 《オーバーヒートカ!? 俺トシタ事ガ……ダガ、モウ終ワリダ!!》

右目の網膜に映る「OverHeat」の文字に気づき。
両腕の爪を光らせ、急速降下を始めた。


( ;゚ω゚)(間に合うか!?)

「――全プログラム、インストール完了」

(;'A`)『ブーン! アーマーシステムを起動するんだ――――ッ!!』

62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 00:27:28.14 ID:DISbXE1P0
支援

63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 00:28:12.75 ID:ThJl1eTR0
支援!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 00:28:47.58 ID:WMs7NtZEO
熱いぜ

65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 00:28:58.15 ID:DISbXE1P0
支援

66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 00:29:31.71 ID:RGtOtY+O0
しえん

67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 00:29:50.26 ID:Bsph1lftO
支援ッ!!

68 名前: ◆jVEgVW6U6s :2009/08/02(日) 00:30:25.65 ID:Zz9j53p30
――近くに待機していたBLACK DOGが、変形を開始した。
その巨大なボディはエンジン部を中心に細かく四散し、空中で更に形を変えてゆく。

全てのパーツから青色のレーザーマーカーが発射され、
ブーンの体の各部位を照らしたのだ。
失った四肢にも、そこにあるもの仮定するかのようにマーキングしている。


(//‰゚) 《足掻クノハ止セ! サア死ネ! 死ヌガイイ!!》

「鎧」の形状を模ったパーツ各位が、ブーンの体を中心に集合する――――。



(;//‰゚) 《――――ナ、何処ニイッタ!?》

――確実に、爪がブーンの心臓を貫いたと思った。
だが、どうして俺の爪は地面を突き刺しているのだ!?


遅れて、高温を発する熱源を感知。
すぐ傍にいる――――巨大な、何かが!


(;//‰゚) 《何ダ……ソノ、姿ハ……!?》


震えた声、怯えた目。
それらに向けられたのは、ギコが知っているブーンではない。

69 名前: ◆jVEgVW6U6s :2009/08/02(日) 00:33:21.37 ID:Zz9j53p30
黒い鎧が、数メートル離れた地点から、こちらを見ている。

2メートルを大きく越えた、黒尽くめの長身。
その全身が漆黒の金属に固められ、
「元の姿形」をイメージさせる鋭利なフォルムを、頭部から爪先まで施されている。

頭部は「バイクのフロントボディ」を想起せざるを得ない、
犬科のような尖った口先を持っているように見え。
こめかみから後頭部に伸びた突起は、その耳のようである。

両肩に、巨大な砲門を搭載している。
背、腰の辺りから、長い柄のような物が4本伸びている――尾のように見える。

何故、立っている。
両足は破壊したはずだ、なのに何故その脚を地に下ろしているのだ!?

銀色の鋭き眼光と共に、動かないはずの左腕を動かし、


ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以 「アンタを、倒す!!」


俺に指を差し向け。
そして、僅かに開けられた口元から、紛れも無いブーンの声を漏らした。

70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 00:33:23.45 ID:Bsph1lftO
wktkがとまらんwww

71 名前: ◆jVEgVW6U6s :2009/08/02(日) 00:35:22.68 ID:Zz9j53p30

(;//‰゚) 《ヌ、クウ……!》

オーバーヒートが解消された直後、砲のエネルギーを装填を開始。
ものの数秒でチャージを完了する……その事はブーンもとうに理解しているのだが。
しかし、ブーンはその場から動こうとしない。

(;//‰゚) 《イイ気ニナルナ!!》

右目の網膜にデータが羅列的に走る。
僅か2メートルの間隔で発射される弾丸は、コンマ数秒の単位で着弾。
特殊合金性のボディの強度など、たかが知れている――一瞬で消し炭と化す。

念じる要領で、コンピュータを砲へ出力させる。
それこそ一瞬の時で指令は伝わり、出力したと同時に砲弾は射出された。

赤色に眩く光り輝く視界の中、
ギコはフィルターを切り替えて弾丸の通過を見届ける。

(;//‰゚) 《ナッ――馬鹿ナ!?》

モノクロの――光を表す白が大半を占める――世界で、一際大きな黒い影が動いたのを見た。
残像のような、捉えどころの無い影だったが、恐らくブーンだ。
回避されても、何ら不思議ではない。
肉体を限界まで酷使して繰り出した、あの爪の突きを回避したくらいだ。

しかし、信じたくはない。

72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 00:35:53.02 ID:RGtOtY+O0
アーマーはベルセルクの鎧みたいなのかな??

73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 00:36:41.71 ID:DISbXE1P0
ブーンwww

74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 00:37:46.99 ID:FXdTRWejO
なんてこったアーマーの描写かっこいいのにAAが残念だ!

75 名前: ◆jVEgVW6U6s :2009/08/02(日) 00:37:48.42 ID:Zz9j53p30

(;//‰゚) 《有リ得ン! ソンナ物ヲ認メテタマルカ!》

セカンドウィルスを取り込み、生物的に飛躍した我が肉体。
それを、上回る機動力を持つなどとは、それこそオーバーテクノロジーと言って過言ではない。
人知が到達出来る領域だとは、信じたくない。


(;//‰゚) 《ガ、ハア……ッ……!》

だが、胸に走る痛みが、まさに痛感させる。
これは現実であると。

ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以 「ありがとうドクオ……皆。皆の知恵があるから僕は生きている。
       僕は戦える! 皆を守れるんだ!!」

背後から、蒼く燃える右腕がギコの右胸を貫いていた。

全身の間接や僅かな隙間から蒼い光が噴出している。
ブーンの右腕に搭載されていたBoosterプログラムの酷似した、光の放ち方だ。

《グオオオオオオオオオオオオオッ》
怒りなのか、痛みなのか、或いはその両方を訴えているのか、
大気を振るわせる程の叫喚を発して、ギコは6本の尾を暴れさせる。

しかし、尾がブーンの身体を叩く事は無い。
腕を引き抜かれて、傷口から多量の血液を散布させる。

76 名前: ◆jVEgVW6U6s :2009/08/02(日) 00:40:02.21 ID:Zz9j53p30

(;//‰゚) 《オオオオオオオオオオオオッ》

胸を貫かれた痛みなど微々たるものだが、抗体が全身を駆け巡る感覚は別。
身体中の血液が沸騰し、筋肉や神経がバラバラに弾けてしまいそうな感覚に陥るのだ。
激痛……奥歯を潰すくらい噛み締めなければ、とても正気を保てない痛み。

だがしかし、そんな痛みに怯む訳にはいかない。
ギコは恋人を殺した仇への怒りを、よりどす黒く再燃させつつ、よりクレバーに。
回復を経る為に一度、空に飛び立った。

あらゆる音をも置き去りにする速度で飛翔。
瞬き一つの間で地から大きく離れる。

ギコを目で追うブーン。腰周りに装着された4本の「管」から蒼い光が放出される。
足の裏からも同様の光が噴出され、ギコを上回る速度でブーンを飛翔させる。
その間、血塗れの右腕を変形させ、腕の外側から長い刃を放出した。

追いつき、ギコの下半身に目掛け、斜に腕を振るった。
右足のふくろはぎから斬り込み、尾も3つ切断する。
新たな痛みに襲われたギコは、一瞬であるが飛行速度を遅らせてしまう。

隙。
追い抜き、ブーンはギコの羽を、刃で根元から剥ぎ取った。
そして背に強烈な蹴りを入れ、地に叩き落す。

77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 00:40:18.95 ID:Bsph1lftO
支援

78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 00:42:18.24 ID:DISbXE1P0
く、口調がかわってしもたあああああ

79 名前: ◆jVEgVW6U6s :2009/08/02(日) 00:42:28.70 ID:Zz9j53p30

(;//‰゚) 《―――――ッ!!》

「負けてなるものか、貴様だけは絶対に殺す!」
声にならない叫びをあげるギコ。
改めて奮起させた怒りが体内を蝕む抗体を薄くしてゆく。
そして余分に蓄積している養分を利用し、切断された足と翼を瞬時に作り上げた。

体に力が沸く。
落ち行く体を無理矢理に反転させてブーンを見据え、
同時に右腕の砲、発射口をブーンと結ぶ。

突如、鎧の随所から噴き出る蒼い炎が鎮火する。
ブーンの飛行速度が格段に低下したのが見て取れる――仕留める!
爆音を轟かせて撃ち出された砲弾、今のブーンの速度なら回避は不可能だ!

今度こそ、ブーンが消し炭となるヴィジョンは現実となるだろう。
未来予想が齎したアドレナリンなどの脳内物質がギコの脳に
スローモーションの感覚を与え、網膜に映る全てをコマ送りさせる。

ゆっくりと、しかし着実にブーンの方へ近づく砲弾。
着弾までの想定時間がゼロに向けてカウントされてゆく。

2、1、

(//‰゚) (捉え――――)

砲弾が過ぎ行く軌道の傍らで、蒼い炎を纏った黒い人間が立っていた。
虚しく、砲弾が大気圏に飛んでゆく。
まるで、コマ送りされる世界の中、ブーンただ1人が高速で動いているようであった。

80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 00:42:44.56 ID:CdaLSIvc0
しえええええええええんんんんんん!!!!!!!!!!

81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 00:43:28.62 ID:ThJl1eTR0
うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお支援!

82 名前: ◆jVEgVW6U6s :2009/08/02(日) 00:44:12.94 ID:Zz9j53p30
ズームで、ブーンを拡大して見続けていた左目の中で。
ブーンは左腕を変化させる。
腕を包む「籠手」が四方に開き、中から機関が伸びて手を覆い包む。
左手の先に携えられたのは、黒光りする長細い銃口だ。

銃口が一瞬光り輝いたかと思えば、

(;//‰゚) 《――ウオッ!?》

目前に弾丸が迫った頃に、キュンという甲高い発射の音色を耳が拾う。
首をいなし、紙一重で弾丸を避ける。

(;//‰゚) 《チィッ! アノ、ライフルカ!》

立て続けにもう2発射出されるが、避けられない速度ではない。
大地を蹴り上げ、ライフルの軌道から逃れる。
――覚えているぞ。ライフルの弾数が3発だという事を。

翼を広げ、果敢に空のブーンを目指し飛び立とうとするが、

(;//‰゚) 《オオオオ――――ッ!?》

撃ち出されるはずの無い弾丸が、ギコを襲った。
新たに3発射出された弾丸はギコの腹、翼を的確に撃ち抜き、アスファルトに深々と突き刺さる。

83 名前: ◆jVEgVW6U6s :2009/08/02(日) 00:46:50.54 ID:Zz9j53p30
ギコは蹈鞴を踏んだ後、たまらず膝をつく。
体に火をつけられたような痛みと熱気に、身の震えが止まらない。

腕一つすっぽりと入りそうな、腹に開いた大きな穴から、
血液とは程遠い黒色の液体と、健康的な桃色を帯びた腸が流れ出る。
喉奥から血液が込み上げるのを耐え切れず、地面に吐き散らした。
みるみると足元に濃厚な黒色が溜まる。

しかし、怯んでいる暇は無い。
すぐに次の攻撃が来る――――顔を上げて身構えるが、

(;//‰゚) 《何ヲ、シテイル……?》

上空にいるブーンの様子がおかしい。
蹲るように巨躯を折り曲げて、身を僅かにも動かそうとしないではないか。
気配を窺っていると、今度は尖った口の合間から真っ赤な液体が漏れ出した。


(;//‰゚) 《ク、ククッ! ソウカ! 身体ガ追イツカナイノカ!!》

勝機。そう悟ると同時、傷口が色の悪い肉で埋まる。
「さあ、今度こそ消し炭に……いや、八つ裂きにしてやろう!」
翼を操る胸と、そして両足に力を込め、今度こそ地から飛び発つ。

84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 00:49:41.14 ID:DISbXE1P0
支援

85 名前: ◆jVEgVW6U6s :2009/08/02(日) 00:50:41.52 ID:Zz9j53p30
が、しかし。

(;//‰゚) 《――ガッハァ!?》

貯水タンクの栓が外れたかのように、腹の傷口から多量の血が吹き。
飲んだ覚えの無い多量の血が口から零れ。
再生した羽と脚が、ごぼごぼと沸騰して崩れ。
全身に穴が開き、そこから溶けた血肉が流れ。

劇薬をたらふく飲むと、このような痛覚に陥るのだろうか。
食道が、腹が、下っ腹が酷く痛む。
毒性の物質が頭蓋にまで上り、脳を満たさんとしているようだ。

(;//‰ ) 《ウア、オ、ア、アア…………》

目が見えない、真っ暗だ。
耳鳴りがうるさい、自分の声ですら聞こえが悪い。
重力に引っ張られて落ちてゆく感覚のみが、はっきりしている。


背から地面に叩き付けられると。
全身がバラバラになったのかと脳裏に走った。
しかし、手足の先まで広がるこの痛みが、そうでない事を告げている。

ジュニアハイスクールに通っていた頃、車に強くはね飛ばされたっけ。
今感じているこの痛み……あの時の強烈な痛覚と酷似している。

86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 00:50:43.10 ID:qsUVM33e0
しえんぬ

87 名前: ◆jVEgVW6U6s :2009/08/02(日) 00:52:11.05 ID:Zz9j53p30
まるでニンゲンの体に戻ったような――。
そんな心細さが、焼け付くような胸を満たしている。

ああ、体中が痛い、酷く痛む。
頭が割れそうだ……いや、割れているのか。

体中が寒い、震えが止まらない。


(;//‰ ) 《ア……ガ……ク、ソ……ッ》


滲む世界の中で、ゆっくりと黒い影がこちらに近づいてくる。
余りにも五月蝿い耳鳴りに混じって、ジェット機に似た音が聞こえる。

ジェット機に似た噴射音が次第にボリュームを落としてゆく。
俺の倒れている傍らに、それが降りた。


ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以 「……ギ、コさん」

息絶え絶えに、ブーンが暗い声を発した。

88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 00:52:26.17 ID:a/GJ1ro40
何か終わっちゃいそうな匂いがぷんぷんする
支援

89 名前: ◆jVEgVW6U6s :2009/08/02(日) 00:54:54.20 ID:Zz9j53p30


ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以 「遂に、抗体が、アンタの……許容量を、越えたんだお。
       このまま……アンタは激痛と共に……体を、溶かしてゆくお」

(;//‰ ) 《俺ハ、負ケナイ……死ナナイゾ……》

ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以 「ここには、取り込める有機物も、ウィルスも無いお……。
       だから、せめて、僕が楽にしてやるお」

静かに、左腕の銃口を突きつける。


(;//‰ ) 《ヤ、メロ……俺ハ、俺ハ……!》

ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以 「僕は、しぃさんを……殺した……だけど。
       アンタは、辛い現実から……目を背きたいが為に、System-Hollowに頼った。
       命がけで彼女を守り……幸せにしたいと思ったのなら、」

ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以 「きっと、オットーから……彼女を取り戻せた、はずだお。
       偽りの、幸せなんか、じゃない……2人で、幸せになれた、はずだお……。
       アンタと戦ったから、僕には……よくわかる、お……」

90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 00:56:37.26 ID:ThJl1eTR0
支援っだー

91 名前: ◆jVEgVW6U6s :2009/08/02(日) 00:57:03.92 ID:Zz9j53p30


(;//‰ ) 《俺ハ、》

(;//‰ ) 《俺ハ…………》



――心の奥底で気づいていた。
   こいつの言うように、俺は……。


ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以 「僕もアンタも、気づくのが遅すぎたお……。
       もっと我武者羅に、命懸けにならないと……
       この過酷な世界では……大切な人を、守れないんだお……」


(//‰゚) 《……彼女ニ、会エルカナ?》


ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以 「ええ、きっと…………」


発砲音が、静寂した街に木霊した。

92 名前: ◆jVEgVW6U6s :2009/08/02(日) 00:59:16.70 ID:Zz9j53p30
右の視界に広がるレーダーマップに、赤の点が現れる。
位置は上空、物凄い数が蠢いている。
マイク機能を伴わずとも聞こえる、奴等の声。

弱りきった獲物、動かなくなった死骸を喰らわんと、上空を旋回している奴等は。
主という枷を失い、本来持つ食欲と暴欲を発散させる為にやってきた、
ハイエナの如き怪竜の群れである。


キッと、銀に光る眼で見据え。
ブーンの両肩と、腰の両脇で、それぞれ鈍い輝きを放つ漆黒の砲とノズルが、
ガコンという重い響きを持って奴等に向けられる。

網膜に、英数字が羅列する。
視界に広々と陣取るターゲットで奴等の一角を捉えると、その兵器は低い唸りを発し始めた。

「SixBarrelBlueLazerCannon起動」という文字。
その傍らの、出力とエネルギー供給量を示すグラフが、最大まで達する。

ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以 「消えろ……さっさとボストンに帰れお……ッ!」

大地と大気を揺るがす巨大な鳴動が、その頂点に届き。
6つの砲から射出された6条の光が、天を貫く。
遅れ、雷鳴の如く爆音が空間を割った。

93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 00:59:45.47 ID:DISbXE1P0
ξ ゚听)ξ「ええ、きっと…………」

こっちだろwww



支援

94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 01:00:51.87 ID:j2si0Max0
支援

95 名前: ◆jVEgVW6U6s :2009/08/02(日) 01:01:19.84 ID:Zz9j53p30
全体で見れば、ほんの少数の“でっていう”を消滅させたに過ぎない。
しかし、同胞が焼死した光景を、眼に焼き付ける事も許されなかった他の竜は、
その音速で奔る蒼き光に恐れ戦き、ニューヨーク『セントラル』とは真逆の方向へ飛んでいった。

遠方からブーンとギコを狙っていた他のセカンドも同様に、
怯えきった叫び声をあげながら、街の奥へ奥へと消えていった。

ブーンの感知可能範囲から、熱源が消える。


ィ'ト―-イ、
以` 益 以「か、勝っ…………」

それと同時、眼から銀の光が消え。
黒尽くめのアーマーを着装したまま、ブーンは力無く地に倒れる。
最後に見たのは、パルスの微弱、出血甚大、臓器破裂といった、
生命維持装置に告げられた生命の危機であった。


黒いサイボーグはギコの傍らで眠った。
マスクの切れ目から、夥しい血を流して。


                           第25話「アーマーシステム」終

96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 01:01:20.77 ID:ThJl1eTR0
しえーぬ


97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 01:02:26.66 ID:RGtOtY+O0
乙!!


98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 01:02:45.71 ID:FXdTRWejO
「お前を、倒す」
http://imepita.jp/20090802/036600

99 名前: ◆jVEgVW6U6s :2009/08/02(日) 01:03:00.84 ID:Zz9j53p30
以上で第25話おわりです
支援ありがとうございました!&お疲れ様でした!

ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以 「馬鹿な! このAAめっちゃカッコいいじゃないか!!
       コ1時間かけて考えた傑作AAですぞ!!
       ベルセルクの鎧ね!うん、兜はあんな感じがしっくりくるかもね!!」

100 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 01:03:37.27 ID:ThJl1eTR0
wwwwwwwwwwwwwwwww


101 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 01:04:18.96 ID:j2si0Max0


102 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 01:04:58.48 ID:517jK5xlO


パラドックスといい街狩りといい最近熱いな

103 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 01:05:35.26 ID:FXdTRWejO
乙さま!

>>99
ええ、でもAAがなあ…

描くのが間に合わなくてやっつけ気味になってすまない

104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 01:06:38.95 ID:vuBhk41CO
おつん!

105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 01:07:29.01 ID:a70FsQ270
boonかっこよかった
でもAAがなぁ…

106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 01:08:52.36 ID:DISbXE1P0
乙!

でもAAが・・

自作はすげえww

107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 01:10:30.97 ID:Bsph1lftO


108 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 01:11:01.30 ID:ThJl1eTR0
AAカッコいいと思うのは俺だけ・・・?

109 名前: ◆jVEgVW6U6s :2009/08/02(日) 01:13:05.36 ID:Zz9j53p30
ィ'ト―-イ、
以`;益;以 「思いのほか不評で涙目です。
         >>98うおおおおおおカッコよすぎる!! 作者のイメージとしてはまさにコレ!」

ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「>>108私は気に入ってます。
       まぁとりあえず暫定ということでw」

110 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 01:13:07.45 ID:FXdTRWejO
川 ゚益゚) ←こんな感じでキレたキャラっぽいんだよなあ……

111 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 01:19:18.98 ID:WMs7NtZEO
俺も嫌いじゃない
が、描写とAAが結びつきにくいw

ギコの最後よかった


112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 01:34:04.05 ID:mf+M4DcJO
益がなんかしっくり来ないようなwwww嫌いじゃないけどwwwwww

熱かった! 乙!

113 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 01:40:26.47 ID:lAVd89GnO
アドレナリンドバドバwww乙www

114 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 01:47:20.39 ID:PRmyfTSDP
ィ'ト―-イ、
以`゚W゚以 <乙!



115 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 01:49:57.17 ID:FXdTRWejO
っ「お前を、倒す(完成品)」http://imepita.jp/20090802/065030

116 名前: ◆jVEgVW6U6s :2009/08/02(日) 01:51:16.01 ID:Zz9j53p30
ィ'ト―-イ、
以`゚W゚以 「>>114こっちのほうがいいかも。
       次回の登場で何かしら理由つけて差し替えます」

117 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 01:56:34.30 ID:FXdTRWejO
ブワァッ

「くらえーギコー」
http://imepita.jp/20090802/069060

118 名前: ◆jVEgVW6U6s :2009/08/02(日) 01:56:55.01 ID:Zz9j53p30
>>115
おおお・・・素晴らしい、かっこよすぎる・・・!!
2週に一度は投下できるように頑張りますぜ

119 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 01:57:32.58 ID:FXdTRWejO
乙でした。
また次回も遭遇できることを期待して。

120 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 01:57:38.00 ID:vuBhk41CO
>>117
イエーイ見てるー?

っていうセリフ言わせたくなった

121 名前: ◆jVEgVW6U6s :2009/08/02(日) 01:59:18.45 ID:Zz9j53p30
>>117
これはwwww
AAのイメージで描くとこんな感じになるんですかねw

122 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 02:03:05.53 ID:MNZBVGSeO
乙。


突っ込んで良いのか悪いのかわからんが、ギコが放つのは砲弾なのにチャージするの?
文字通り砲弾なら、リロードするって表現なんだろうし、ビーム的なのなら砲弾でなく光条ってのが個人的にしっくりくるんだが(´・ω・)


あとブーンのバイクはDN01で勝手に脳内再生してるのは俺だけで良いw

123 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 02:05:49.67 ID:wI5rTIIM0
おつww

124 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 02:08:23.99 ID:FXdTRWejO
とか言いながら最後っ屁

>>119(´・ω・`)こうですか?
http://imepita.jp/20090802/075080


びゅんびゅん!

「くそう! くらえぶーん! しーをかえせ!」
http://imepita.jp/20090802/075500

おやすみ

125 名前: ◆jVEgVW6U6s :2009/08/02(日) 02:09:56.92 ID:Zz9j53p30
>>122
言われてみれば・・・確かにそうですなぁ。

巨大なエネルギーの塊をイメージしてたので砲弾にしちゃいましたが、
確かにチャージするならビームや光条の方がしっくり来るかもしれませんね・・・。
こういう所も詰めるべきですね、次回から気をつけます。

126 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 02:13:01.58 ID:MNZBVGSeO
>>125

>>124の下の絵を見て、だいたいイメージ掴めたw
元気玉みたいなのを連射してたわけか。
スマン。俺の読解力が足りなかったみたいだ。。。

これからも頑張ってくだしあ

127 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 02:59:35.22 ID:2LeW0RCAO
…きてただと
よむほ

128 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 04:33:28.36 ID:lhhfGYYDO


129 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 05:00:22.65 ID:d0+jPVW0O
AA糞ワロタwwwwwwwwww乙乙

130 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/02(日) 06:14:17.77 ID:lhhfGYYDO
よむほ

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