◆jVEgVW6U6s <><>2009/07/02(木) 20:59:11.99 ID:wJvA0zaR0<> ________
\ /川‖‖| ‖| /
  \        /
  │个 个 ヘ |  アアアアッー!! アアアアアアアッー!!
  │┌−   )/  ガイルの超必殺技出ちゃうううううううう!!!
   ヽヽ 丿//

    , '´  ̄ ̄ ` 、
    i r-ー-┬-‐、i
     | |,,_   _,{|
    N| "゚'` {"゚`lリ おいおい、3ヶ月ぶりだってのに、まだまだ出るんだな。
     ト.i   ,__''_  !  試合が始まったかのようなクロスファイアブリッツしてるぜ・・・。
   /i/ l\ ー .イ|、


::(ヽ゚ω゚)::「いやあああああああ!!!
       なんで僕のブーン系スタジオがハッテン場になってんだおおおおお!」



ガラッ! その時、何者かが収録スタジオに入ってきた!!


::(ヽ゚ω゚)::「おお……も、もしや救世主なのですかお……!?」 <>( ^ω^)は街で狩りをするようです 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<>sage<>2009/07/02(木) 20:59:46.61 ID:KnYxM1HC0<> 支援ダァー <> 2ヶ月ぶりだった
◆jVEgVW6U6s <><>2009/07/02(木) 21:00:35.38 ID:wJvA0zaR0<>
(´・ω・`)「んーん。ショボンだよー」

::(ヽ゚ω゚)::「チェンジ」

(´・ω・`)「収録に来たと思ったら、いやはやこれは……じゅるりっ」


━━内藤エスカルゴ http://www.geocities.jp/local_boon/━━━━━━━━━━━━━━
            (~)
  キッ!     γ´⌒`ヽ ガチホモしかいない予感!
_____∧,、 {i:i:i:i:i:i:i:i:}_________
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`'` ( ´・ω・) ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

━━━━━━━━━━━━━━━( ^ω^)は街で狩りをするようです 22話━━━━━

    , '´  ̄ ̄ ` 、
    i r-ー-┬-‐、i
     | |,,_   _,{|               (~)
    N| "゚'` {"゚`lリ 3P?          γ´⌒`ヽ
     ト.i   ,__''_  !             {i:i:i:i:i:i:i:i:}
   /i/ l\ ー .イ|、         3Pで(・ω・` )


::(ヽ゚ω゚)::「いやああああああああああ」 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<>sage<>2009/07/02(木) 21:01:45.34 ID:PypN9nOFO<> 街狩りもきた!これで勝つる!!しえんぬ <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/07/02(木) 21:02:14.85 ID:wJvA0zaR0<> 登場人物一覧

――― チーム・ディレイク ―――

( ^ω^)B00N-D1:通称ブーン。本名ホライゾン・ナイトウ。年齢20歳。戦闘員。
      セカンドに対する強い免疫を持つサイボーグ「システム・ディレイク」。
      自分が人殺しだと信じ込み、ボストンの記録を見られないよう皆を拒絶する。
      しかし、ツンにシステムを強制終了させられ、記録を見られてしまった。

ξ゚听)ξツン・ディレイク:年齢19歳。チームリーダー。
       ブーンを改造した弱冠19歳の天才科学少女。
       過去セカンドに襲われ両腕を失い、義手を着用。貧乳。嫌煙家。
      傷ついたブーンの修理をする一方、ギコ・アモットの進化形態を目の当たりにし、
      5年という月日で重ね上げてきたセカンドウィルスの認識を崩される。

('A`)ドクオ・アーランドソン:年齢21歳。武器開発担当。
   豊富なアイディアで強力な武器や乗り物を開発し、ブーンの戦闘をサポートする。
   ツンをからかうお調子者の変態。空気を読まない。
   ショボン、阿部と共に、「クー・ルーレイロ」なる人物とクローンシステムの真相を暴こうと企む。 <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/07/02(木) 21:04:05.08 ID:wJvA0zaR0<> ――― チーム・アルドリッチ ―――

从 ゚∀从ハインリッヒ・アルドリッチ:年齢23歳。チームリーダー。
     対セカンド人型戦闘兵器「バトルスーツ」の理論提唱者であり、開発者である。
     資源と資金不足の為、現在はバトルスーツの作製を中断。
     ギコを殺害するのを躊躇っていたブーンに憤りを感じながらも、
     自分達が何の為にセカンドと戦うべきなのか、ブーンと共に確認すべきだと考える。

( ゚∀゚)ジョルジュ・ジグラード:年齢35歳。戦闘員パイロット。
    深紅の機体を操るバトルスーツ部隊隊長だが、セカンドウィルスに感染してしまった。
    ツン達が開発したスーツ「IRON MAIDEN」と抗体により、セカンド化を抑える。
    しかし状態は芳しくなく、人でいられるのもそう長くないと悟っている。


ガイル:年齢33歳。戦闘員パイロット。
     バトルスーツ部隊副隊長としてジョルジュをサポート。
     ボストンから脱出したブーンとビロードを救出し、『セントラル』まで連れて帰った。 <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/07/02(木) 21:06:01.74 ID:wJvA0zaR0<> ――― その他 ―――

( ><)ビロード・ハリス:年齢9歳。
     ウィルス騒動の孤児。セカンドに対する強力な免疫を持っている。
     ボストンで起こった騒動での唯一の生き残り。
     現在、『セントラル』内の病院にて治療を受ける。

/ ,' 3荒巻・スカルチノフ:年齢63歳。セントラル議会・議会長。
   現議会長、元アメリカ空軍大佐。
   任務と「セントラル」の為には非情になる男。

( ・∀・)モララー・スタンレー:年齢30歳。セントラル議会・議会長補佐
    バイオテクノロジーの権威「ラウンジ社」の元社員で、優れた科学者。
    自身の研究成果である「Hollow Soldier」を従える。

(  〓 )Hollow Soldier(虚ろな兵士):年齢不明
     モララーにより生み出された超人。
     クローンテクノロジーにより量産され、部隊として編成された。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/07/02(木) 21:06:34.15 ID:gA1XmD1aO<> wktk
今日は良き日 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<>sage<>2009/07/02(木) 21:07:08.01 ID:KnYxM1HC0<> 支援しえん <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/07/02(木) 21:08:18.72 ID:wJvA0zaR0<> 第22話「Return of......」

ブーンの記録閲覧から一夜明けて。

『セントラル』中の時計が「7」に針を向けると、第3から第5階層――
つまり人々が生活もしくは働く場の天井に、朝日にも似た光がゆっくりと広がった。
層内を隈なく照らすそれは、人の作った偽物の太陽である。

地上とは完全に遮断された地下世界において、
一日の終始を告げるのは時計と、時間ごとに切り替わる照明の2つのみ。
厳密には文字通り朝も夜も無い『セントラル』は、人工的に時間と自然を作り出す他無いのである。

……目覚まし時計が奏でる金属音で目覚め、部屋のカーテンを開ける。
入り込んでくるは人工の陽光。
人口である事を脳が理解している為に、体が活性するには物足さを感じてしまう。

ただの照明であり、地下世界における朝と夜を区切る。
それが、『セントラル』の疑似陽光の役割だ。


ξ゚听)ξ「ああ……もう朝かぁ……」

気だるい声を出すツン。

疑似陽光がラボに差し込むと同時、ラボ内の幾つかの照明が自動消灯する。
陽光は、ガラス張りの一部の壁を通ってツンの体を照らすが、
ツンには少しの爽快感を感じる事は無い。
階層の天井に青空が広がっていれば、幾らか朝日であると錯覚できそうなものだが。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/07/02(木) 21:09:46.09 ID:iu3NwgDPO<> 豊作ってレベルじゃねーぞ支援 <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/07/02(木) 21:11:32.39 ID:wJvA0zaR0<> そう思うツンは、手元のタッチパネルを2度叩いた。

すると、それまで真っ黒だったメインモニターに、淡い青色が広がった。
遥か上の地上の、とある木陰から撮影されている、外界の空である。

ξ゚听)ξ「今日も良い天気ね……」

ツンは朝方、こうしてメインモニターに外界を映す事を習慣としている。
カメラを通して映し出される外の光景だけは、自然が作った物。
故に、自分が“地球で生きている”という実感を、強烈に味わえるらしい。

('A`)「ういーす」

ξ゚听)ξ「あら、もやしッ子。おはよー」

('A`)「もやしッ子ですと? ココア買って来たのに、あげんのやめよーかな」

ξ*゚听)ξ「ココア! 気が利くじゃないのよドックゥーン!」

6時間ほど前に、仮眠をとりに帰っていたドクオが戻った。
油っこい髪の毛が、相変わらずシャワーを浴びていない事を代弁している。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/07/02(木) 21:14:36.27 ID:V9yz/6Ct0<> しえーん!
今日は良い日だ <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/07/02(木) 21:14:44.18 ID:WrZVCldj0<> 支援 <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/07/02(木) 21:15:02.48 ID:wJvA0zaR0<>

('A`)「いやーしかし……『外』で暮らせるようになるのかねぇ」

メインモニターに広がる青空を眺め、ドクオが呟いた。
自然が作り出す陽光を思慕するのは、『セントラル』で生きる多くの者の気持ちである。


ξ゚听)ξ「議会が今の暮らしを良くする事に注力している限り、進展は望ましいわね」

一気に飲み干したココア缶をゴミ箱に投げて、ツンが言った。
ココアで精気を補給したかのようで、会話する声がどこか楽しげである。

('A`)「ブーンがいくら頑張ってセカンドを掃討しても、周りが乗り気じゃねーんならなぁ」

ξ゚听)ξ「奴等をいくら狩っても難しいわよ。
       『セントラル』をそっくりそのまま外に移動でもしないと、人間は生きられないでしょうね」

('A`)「そっくりそのまま? 夢みたいな話だなぁ」

ξ゚听)ξ「バカ、例えよ例え。ニューヨークの状況は良いから、
       やりようによっては住めない事も無いって言ってるの」

('A`)「言わんでもわかっとるわい」 <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/07/02(木) 21:17:57.16 ID:wJvA0zaR0<>
ξ゚听)ξ「ま、議題に上がったとしても、そんな話は一瞬で淘汰されるでしょうけど」

今度は否定的なツン。
ドクオは一瞬口を閉じ、彼女の発言の意図を探ると、


('A`)「荒巻スカルチノフ議会長か」

眉をひそめ、低い声でそう述べた。

ツンは「そうそう」と肯定してくれた後、ドクオが荒巻について続ける。


('A`)「彼の指導のおかげで『セントラル』はここまで成長したって評価されてるけど、
    彼の支持率は少しずつ下がり始めてるんだよな」

ξ゚听)ξ「へ? そーなの?」


('A`)「そうだよ。昔は娯楽施設の建設が望まれたが、今市民が望むのは『外』なんだ。
    保守的とも言える今の議会のやり方に不安を抱く人は、そう少なくない」

ξ゚听)ξ「へえええ。じゃあ、次期の議会長候補で有力な人とかいるの?」 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<>sage<>2009/07/02(木) 21:18:12.37 ID:KnYxM1HC0<> 支援します <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/07/02(木) 21:18:32.22 ID:ds6PRkHmO<> 支援 <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/07/02(木) 21:20:33.66 ID:wJvA0zaR0<>
('A`)「次期って言っても向こう3年先の話だけどな。でもそうだな……有力そうなのは、
    人類保護委員会のモナー、都市開発のデミタス。
    そして最有力候補が、議会長補佐のモララー・スタンレーだ」

ξ゚听)ξ「モララー・スタンレーが?」


('A`)「ああ……奴の掲げる政策方針は市民と同調するものがあってな。
    聞けば、他の議会員と衝突する場面も多いらしい。
    それにあの人柄だ……市民の人気は高い」

ξ゚听)ξ「へえ! 市民の味方って訳ね。ちょっと見直したわ。
       人柄についてはテレビ番組でしか知る機会は無かったけど」

ξ゚听)ξ「にしてもアンタ詳しいわね? 政治とか興味あったっけ?」

('A`)「……あのなぁ、『セントラル』は俺達の住む街だぜ?
    どんな奴等が、どう統治してるのかくらい、興味持っとけよ」

ゴン、と鈍い音が鳴った後、これまた痛烈な罵声がドクオに浴びせられる。

ξ#゚听)ξ「どうせアタシはメカヲタクよ! 悪かったわね!
       ブーンの修理再開するわよ!!」


(#)A`)(メカヲタクなんて一言も言ってないのに! ひどい! でも可愛いから許しちゃう!)

  ___ <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/07/02(木) 21:22:52.87 ID:wJvA0zaR0<> ※

 (  ω゚)


ブーンの修理は夜通しでツンが行っていたが、進みは悪い。
いや、順調に進んではいるのだが、サイボーグに詳しく無い者から見た場合、
「本当に修理してるの?」と疑問してしまうくらい、ブーンの体はまだ痛々しく見えるはずだ。

というのも全て、単純に損傷が多いからである。
痛んで使い物にならなくなった臓器を、ストックしていたスペアと交換する手術があったり。
強化皮膚とプレートは新たな物に張りなおさなければならないし、
人口骨格も一部入れ替えなければならないのだ。
また、失った右目はスペアが無いので、新たな“パーツ”として右目を作る他無い。

しかし、パーツ開発は後回し。
今はブーンを動かす事だけを考え、サイバネティクス(人口の神経系統)の修繕に務めている。
複雑かつ繊細なサイバネティクスを構築するには、膨大な時間と手間を要するのだ。

ξ;゚听)ξ「ふう……ようやく左腕の装着が完了!
       ブーンを初めて改造した頃を思い出すわね!」

ツンは、タッチパネルから手を離し、白衣の袖で額を拭う。
大学の電脳工学の演習において、最優秀の成果を上げた天才少女であっても、
決して馴れた作業であるとは言えないのだ。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/07/02(木) 21:25:05.92 ID:V9yz/6Ct0<> 紫煙 <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/07/02(木) 21:25:10.39 ID:wJvA0zaR0<>
(;'A`)「まだまだ修繕箇所は残ってるよ……お前が一夜漬けで作業したってのに。
     想像以上に大変な作業量だなぁ」

ξ゚听)ξ「……良い様にやられちゃったからね。仕方ないわ」


ぷしゅん、というドアのスライド音が2人の背後で鳴る。
部屋に入ってきたのは、ハインリッヒだ。

从 ゚∀从「おはよう。調子はどうだ?」

ξ゚听)ξ「ハイン……おはよう。
       まぁ、順調よ。明後日にはブーンを起動できそうだわ」


「そうか。よかった」とハインは言い、

从;゚∀从「なぁ、ジョルジュから何か来てないか?
      昨日から何度もメール送ったんだけど、何も返ってこなくって」


彼女らしかぬ、不安げな顔を作る。
尤も、最近ディレイクチームに見せる彼女の表情は、
以前によく見られた、プライドが張り付いたような物ばかりではなくなった。 <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/07/02(木) 21:28:09.49 ID:wJvA0zaR0<>
ξ゚听)ξ「いえ……そう。家にはいるのよね?」

从;゚∀从「ガイルが言うには、そうらしいんだけど」

ξ゚听)ξ「はぁ……心配ね」


3人が口を閉じ、場に、昨日と同質の空気が流れた。

――と、それを断ち切るかのような快音。
ツンの腕に巻かれた携帯端末がメロディを奏でたのである。
突然鳴ったものだから、3人とも肩を跳ね上がらせて驚いた。

ツンは驚かせた送り主を罵りまくり、
乱雑な操作でメールボックスを空中に投影すると、

ξ゚听)ξ「ジョルジュさんからだ!」

送り主は、まさに話題に上がっていたその人、ジョルジュであった。
ハインリッヒとドクオが目を丸くして、頭を突っ込んで空中のモニターを覗き込む。
同時に勢いよく覗き込もうとしたものだから、2人の頭が痛々しい打撃音を散らした。

从;゚∀从「ほ、本当だ! でも何でアタシじゃなくてツンちゃんにぃ?」

ぶつけた箇所を擦りながら、ハインリッヒが疑問する。
一方のドクオは平然としており、何故か勝ち誇った表情を作っていた。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/07/02(木) 21:28:12.37 ID:oHUfiThMO<> 支援す <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/07/02(木) 21:29:35.93 ID:WrZVCldj0<> 支援 <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/07/02(木) 21:31:49.01 ID:wJvA0zaR0<>
ξ゚听)ξ「確かに変ねぇ。
       悩み事ならハインかガイルさんに届くはずでしょうに」

妙に思いながらもツンはメールを開こうとするが、その前に、

ξ;゚听)ξ「ちょっとアンタ達……離れなさいよ。
       アタシにメールが来たのも何か理由があるんでしょうから」

从;゚∀从「あっ、そっか」('A`;)

空中のモニターを2人の見えない位置まで手で引っ張った。


ハインとドクオは、メールを読むツンの横顔を伺い、内容を想像する。
それが喜ばしい内容なのか、そうではないのか……、
固唾を呑んで、ツンの様子だけを静かに眺めている。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<>sage<>2009/07/02(木) 21:32:15.60 ID:KnYxM1HC0<> 支援だよっと <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<>sage<>2009/07/02(木) 21:33:10.80 ID:yoxOt4sMO<> 支援 <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/07/02(木) 21:33:42.18 ID:wJvA0zaR0<> 読み終えたツンが携帯端末のキーをプッシュすると、
空に投影されたホログラムのモニターが姿を消した。

ハインリッヒがイの一番に尋ねようとするが、


ξ゚听)ξ「ちょっとジョルジュさんの所に行ってくる。
       ハイン、代わりにブーンの修理頼んだわ」

ツンはそう言い残し、急ぎ足で部屋を出て行った。
有無を言わせずの調子だった。


从 ゚∀从「……良い知らせじゃないみたいだな」

('A`)「アイツは嘘と隠し事が苦手なタイプだから困る」


  ___ <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/07/02(木) 21:36:06.79 ID:wJvA0zaR0<> ※

メールの内容は、こうだった。

“俺の部屋まで、フェイスカバーの代わりを持って来てくれ。
 それと、お前だけに話しておきたい事が、幾つかある”


ξ;゚听)ξ「はぁ、はぁ、」

ジョルジュの部屋の前に辿り着く頃には、息を弾ませていた。
その手には、IRON MAIDENを調整する為の工具一式と、
IRON MAIDENの“新品のフェイスカバー”を詰めたボックスが握られている。


――何故、ジョルジュは新品のフェイスカバーなんて物を用意させたのか。

頑丈なフェイスカバーをぶつけて破損させる事など、不可能だ。
設計者兼開発者であるツンは、自分の体のように知り尽くしている。

扉の向こう側にいるジョルジュの身に何が起こったのだろう?
アタシにだけ話しておきたい事って、何だろう?

彼女には想像する事も叶わないので、ツンは少しばかり不気味がった。
ドアをノックしようと掲げている手が一瞬止まるが、彼女は臆せずに戸を叩く。
とにかく、緊急を要する事だけは分かっている。 <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/07/02(木) 21:37:32.86 ID:wJvA0zaR0<>
ξ゚听)ξ「ツンです。開けてください」

直後、ドアが開き、黒い胸元がツンの目の前に現れる。
すぐにジョルジュは背を向け、

「入れ」

真っ暗な部屋の中に、自身の黒色を溶け込ませていった。
ツンは恐る恐る、ゆっくりと部屋に上がる。


ツンは廊下を通り、リビングに入る。

部屋は散乱しており、とても座れそうに無い。
唯一無事なのは、部屋の中心に置かれた脚の低いテーブルの周り。
ツンから見て対面で、ジョルジュは壁に背をもたれて座っていた。

ξ゚听)ξ「ジョルジュさん……?」

ジョルジュが俯いている為、ツンには彼の顔を窺えない。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/07/02(木) 21:37:37.51 ID:gA1XmD1aO<> 支援 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<>sage<>2009/07/02(木) 21:37:55.22 ID:KnYxM1HC0<> 支援させていただく <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/07/02(木) 21:38:05.82 ID:oHUfiThMO<> しえん <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<>sage<>2009/07/02(木) 21:38:10.11 ID:yoxOt4sMO<> グロか <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<>sage<>2009/07/02(木) 21:39:34.93 ID:Jg75TWN60<> 支援 <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/07/02(木) 21:40:12.98 ID:wJvA0zaR0<> ツンは膝を折って、ジョルジュの顔を覗き込もうとした。
すると、ツンの動きに気づいた所為か、ジョルジュが自分から顔を上げて見せる。

( ゚∀゚)「フェイスカバーを換えてくれ……これじゃ外に出れねえ」

ξ;゚听)ξ「ジョルジュさん……血を……」

ツンは思わず口を塞いでショックを表した。

フェイスカバーの、特に口元の辺りにこびり付いた汚れ。
やけに黒々としているものの、それが血液だと瞬時に理解した。
ツンはすぐにジョルジュの隣へ移動し、工具箱を開く。

( ゚∀゚)「昨晩、吐いちまってな……。
     あまり見せたくなかったんだが、こうしておくわけにもいかんし」

ツンは携帯端末を操作して、IRON MAIDENのロックを一部解除する。
空気が抜けるのと似た音を伴い、拘束衣の頭部が、側頭部の亀裂に沿ってゆっくりと開いた。

( ゚∀゚)「はあ……お前が免疫持ちで何よりだ……」

久方ぶりに顔を現したジョルジュは、解放感を覚えた。
細胞活性の所為ですっかり長くなった髪を掻き揚げ、満足そうに呼吸する。 <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/07/02(木) 21:42:23.55 ID:wJvA0zaR0<>
ξ;゚听)ξ「どうして血なんか……」

開かれた頭部の裏側と自身の携帯端末に、ラボから持ってきた数多のコードを繋げた。
次に、携帯端末にインストールしているIRON MAIDEN用のアプリケーションを起動。
それを操作して特殊合金製の接合部を解除し、血塗れのフェイスカバーを取り外した。

フェイスカバーを袋に密封し、工具箱に仕舞う。
そこまで見届けると、ジョルジュはツンの後頭部を持ち、

( ゚∀゚)「俺の顔をよく見ろ」

強引に自分の顔を見るように、ツンの頭を寄せた。


ξ;゚听)ξ「そ、その目……それに牙……」

昨日までの澄んだ青色の目ではなく、隅々まで赤く染まっていた。
それはまさしく、セカンドに多く見られる目……血に飢えた野獣の瞳だ。

そして、口から覗く2本の牙。
まるで伝奇で描かれるようなヴァンパイアである。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<>sage<>2009/07/02(木) 21:43:00.38 ID:yoxOt4sMO<>
  _  ∩
( ゚∀゚)彡 おっぱい!おっぱい!
 ⊂彡
<> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/07/02(木) 21:44:28.59 ID:V9yz/6Ct0<> とうとうセカンドになっちまったか…
支援 <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/07/02(木) 21:45:06.44 ID:wJvA0zaR0<> 数秒、面を合わした後、ツンを押える手が離される。
ツンは驚きの余り、しばし言葉を失った。

ξ; )ξ「はぁ、はぁ……」

ジョルジュを視界から外し、
激しく動悸する胸に手を当てて冷静を取り戻す事に努める。

ジョルジュが、静かに話しかけた。

( ゚∀゚)「……変化が出たのは今に始まった事じゃないだろ?
     抗体を打ってからも、俺の体は若干大きくなっていた。
     今に始まった事じゃない……ただ、顕著な変化が出てきてしまったんだ」

( ゚∀゚)「この際、変化よりも変異と言った方がいいか……。
     とにかくだ、ツン博士。目を隠せるようにして欲しい。これじゃあ外に出れん」

ξ;゚听)ξ「でも……どうして今になって……?」

恐れず、ツンはジョルジュの目を見ようとした。
しかしジョルジュはというと、背を壁に預け、赤い瞳を暗い天井に向けている。
思い耽っているのか知らないが、返ってツンには有難かった。

( ゚∀゚)「……どうやら今の抗体量じゃ、変異を遅らせる程度にしかならないようだ。
     かといって抗体量を増やせば、俺の体は耐え切れないだろう」

ξ;゚听)ξ「そんな事ありません! きっと量を調整すれば問題無いはずです!」

立ち上がり、否定するツン。
ジョルジュは、視界の傍らに現れたツンへ目を向けた。 <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/07/02(木) 21:48:23.43 ID:wJvA0zaR0<>
( ゚∀゚)「自分で分かるんだよ、何となく。
     このままだと俺はセカンド化する……時間はあんまり残ってねえ。
     いずれ、俺の肉体は人と懸け離れた物になっちまうだろう」

ξ;゚听)ξ「よ、弱気な事言わないでよ! 貴方らしくないわ!」

ジョルジュを励まそうとは、思っていない。
僅かな可能性がある限り諦めようとしない「不死身のジョルジュ」だからこそ、
ツンは今のジョルジュの態度に我慢できず、つい叱咤してしまった。

しかし、


(#゚∀゚)「黙れ……感染者の気持ちがお前に分かるのか?」

ξ;゚听)ξ「そ、それは……」

その言葉で、ツンは彼の胸中を一部垣間見る。
健常者と感染者との間に、確かに存在する深い溝――。
溝の向こう側にある感染者の心理、そして置かれた立場。

その領域を想像する事すら、彼女には許されないのかもしれない。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<>sage<>2009/07/02(木) 21:48:52.89 ID:KnYxM1HC0<> しいいいいいええん <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/07/02(木) 21:49:59.24 ID:wJvA0zaR0<>
ξ;凵G)ξ「ご、ごめんなさい……」

――そんな自分の愚かさに気づき、ツンは力無く膝を着いた。
2つの切れ目から、まるで涙は止まる事を知らないように、嗚咽と共に流れ続ける。


( ゚∀゚)「……怒鳴ってすまなかった」

ツンの姿を見て、ジョルジュもまた愚かであったと気づく。
他人に理解されないであろうとは、既に理解していたはずだった。


( ゚∀゚)「でもな、ツン博士。アンタのしてくれた事は無駄じゃない。
     お陰で俺は居住許可をもらう事まで出来たんだ」

ξ;凵G)ξ「え……!?」

( ゚∀゚)「しかし残念ながら、じきに不要になりそうだが……」


沈黙――。
お互い視線を逸らしたまま、長い間言葉を交わすことを止める。 <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/07/02(木) 21:51:54.32 ID:wJvA0zaR0<> やがて沈黙を破ったのは、ジョルジュだった。

( ゚∀゚)「……俺はな、まだ人間である事を諦めた訳じゃないさ」


ξ;゚听)ξ「まさか……ジョルジュさん……」

ツンは、ジョルジュの言葉の意図を瞬時に理解してしまった。
「人間である事を」「諦めた訳じゃない」。
まるで人間でありながら、人間でない存在を指しているかのような言い回し。

思い当たるのは、ブーンが持ち帰った「ギコ・アモットの記録」以外に無い。


( ゚∀゚)「セカンド化した後、どうするか考えている」

心臓がドクンと強く跳ねるのを、ツンは感じた。
ツンは、黙って続きを待つ。

( ゚∀゚)「もし、ギコ・アモットのように人間の心が残っているなら、俺は生きてみたい。
     いつの日か、お前等が治療方法を発見できる可能性だってあるんだ。
     何処か、人から離れた場所でひっそりと生きていく……」

( ゚∀゚)「“完全にセカンド化した”時は、殺してもらおうと思う」

ξ;゚听)ξ「……そんな……」

( ゚∀゚)「勝手なお願いだとは、自覚している。
     だが、セカンド化しても尚、理性を得られる可能性を知ってしまったんだ。
     俺は今、その事に期待している……賭けているんだ」 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/07/02(木) 21:53:03.52 ID:R6ujFNNxO<> このスレの下が
(^ω^;)←この顔むかつくからやめろ
でワロタ <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<>sage<>2009/07/02(木) 21:53:09.17 ID:yoxOt4sMO<> 支援 <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/07/02(木) 21:54:08.05 ID:wJvA0zaR0<>

ξ;゚听)ξ「人の強い意思……ね?」

ジョルジュの言う可能性とは、ギコの推測にある「人の強い意思」であろう。
ツンの問いに対してジョルジュは無言で肯定し、

( ゚∀゚)「……俺は生きていたい。人としてな。
     例え化物になろうが、心が人であるのなら」

ぼんやりと、言葉を虚空に浮かべた。


ξ;゚听)ξ「ジョルジュさん……」


( ゚∀゚)「この事は絶対に他言しないで欲しい。ハインにも黙っていてくれ。
     ブーンにだけ、俺から言っておく」

ξ゚听)ξ「ブーンにだけ?」


( ゚∀゚)「ああ。きっと、アイツの力になってやれるはずだ。
     ところで俺は最後まで記録を見てなかったな……想像は付くけどな」

 ___ <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<>sage<>2009/07/02(木) 21:55:17.61 ID:KnYxM1HC0<> 支援する象 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/07/02(木) 21:56:26.43 ID:RPpS+Z/qO<> しえ <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/07/02(木) 21:57:03.09 ID:wJvA0zaR0<> ※

時を同じくして、第4階層の中央部。

そこには、『セントラル』最大の総合病院として機能する医療施設がある。
病院は、院長の名を因んで“プギャーホスピタル”という看板を掲げ、
今日も相変わらず少ない患者の為に開院していた。

ボストン唯一の生き残りであるビロード・ハリスは、そこに収容されていた。


( ><)「そりゃ突っ込めぇえええ! 城門突破だぁー!!」

『セントラル』に運び込まれた時のような鬱陶しいカバーの中ではなく、
今はふかふかのベッドに寝転がるビロードは、相変わらずゲームで暇を潰していた。

(;><)「よっしゃー! アルファベットOに上がったんです!!
      しかも少将になったんですー!!」


「ビロード君、入るよ」

ランクアップに声を大にして喜んでいると、水を差すかのようなノック音が。
ビロードは気を落としながら一時中断させる。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<>sage<>2009/07/02(木) 21:59:04.45 ID:yoxOt4sMO<> シエスタ <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/07/02(木) 22:00:26.75 ID:wJvA0zaR0<>
( ^Д^)「おはよう。調子はどうだい?」

ビロードの否応無く入室したのは、院長のプギャー・ボン・ジョヴィであった。

白髪混じりのプギャーは高齢であるというのに、外見はそこらの青年よりもずっと逞しい。
その長身は中ほどで折れる事なく、まるで芯が通っているかのようにピンとしており、
そしてバスケットボールの現役選手を思わせる体付きなのである。

そんな外見のせいか、一見では少々高圧的なイメージを持たれるプギャー。
しかし実のところ、性格は温和そのもの。
そのまま柔らかな表情となって現れているかのようだと、患者や看護婦の間の評判も良い。


( ><)「すっかり良くなったんです! もう入院の必要は無いんです!」

ビロードは、プギャーに右肩をぐるりと回して見せた。


( ^Д^)「うんうん、分かってますよ。肩の傷はすっかり良くなった。
      私が手術をしたんだから、よーく分かってます」

( ^Д^)「でもね、一つやり忘れちゃった事があるんだ」

( ><)「ほえ?」 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<>sage<>2009/07/02(木) 22:03:05.52 ID:KnYxM1HC0<> しえn <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/07/02(木) 22:03:40.18 ID:wJvA0zaR0<>
( ^Д^)「君の血液検査をしなくてはならないんですよ」

(;><)「け、血液検査といいますと?」

表情を僅かに引き攣らせて、ビロードが尋ねる。


( ^Д^)「万が一の事もあるからねぇ……ウィルスが潜伏していないか検査するんです」


(;><)「いや、そうじゃなくて! 注射! 注射するんですか!?」


( ^Д^)「そうですよ? やり忘れた事ってのは、まさにソレ!」

(;><)「い、いやだあああああああああああああああああああ!!」

ベッドから降りたビロードは、部屋の片隅に逃げ込んだ。
幼き子供は衣服の中に腕を隠すと、丸まってしゃがみ込んでしまった。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/07/02(木) 22:05:03.05 ID:oHUfiThMO<> 支援 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/07/02(木) 22:05:38.51 ID:gA1XmD1aO<> 不穏 <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/07/02(木) 22:06:00.14 ID:wJvA0zaR0<>
(;^Д^)「こらこら……男の子でしょう?」

(;><)「怖いものは怖いんですー!!」


( ^Д^)「……そんな事してたら、いつまで経ってもブーンに会えませんよ?
      ブーンに会いたい、って言ってたでしょう?」

( ><)「……ブーンに……」

(;><)「んぐぐぐぅ…………」


(;><)「……わ、わかったんです!
      さあ! 早く注射するんですー!!」

袖に隠した腕を突き出すビロード。。

……ビロードは、勇気を出さなければ、と思ったのだ。
じゃないと、天国にいるスネークやしぃに笑われてしまいそうで――。
幼心に、そう思ったのだった。

それに。

( ><)(ブーン、ボロボロだったんです……心配なんです……)

 ___ <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/07/02(木) 22:07:29.19 ID:Bj0BA0J8O<> しえん <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<>sage<>2009/07/02(木) 22:08:28.06 ID:yoxOt4sMO<> 支援する <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/07/02(木) 22:08:49.37 ID:wJvA0zaR0<> ※


ξ゚听)ξ「ただい――」

从;゚∀从「ツン! あいつ、どうしてた!?」

ツンはラボに入るや否や、ハインリッヒに叫び声に似た声を浴びせられた。
腕を組んで佇んでいたハインは、ずっとツンの事を待っていたのだ。

('A`)「なんだか、居ても立ってもいられなかったよ」

ブーンの修理をしていたはずのドクオも、同様であった。


ξ゚听)ξ「え、っと」

ツンは一拍持たせ、彼との会話を反芻した。
開いた口を一度閉じ、一文字の両端をほんの少し釣り上げて見せ、

ξ゚ー゚)ξ「どうって事なかったわよ。いつも通りのジョルジュさんだった!
      さ! ブーンの修理をしなくっちゃね!」

彼に言われたとおり、彼女は嘘をつき、
呆気を取られた2人を後に、脚軽やかにラボの奥へと消えて行った。 <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/07/02(木) 22:10:33.37 ID:wJvA0zaR0<>
('A`)「ありゃ、嘘だな」


从 ゚∀从「え?」

('A`)「付き合い長い俺にゃー分かる。なんか、あったんだよ。
    それにあの工具箱。何の為に持っていったのやら」

从;゚∀从「工具? だったらIRON MAIDENに関する事しか……」

('A`)「……だろうけど、ハイン。何も悟っていない振りをしようぜ。
    アイツが嘘ついて気丈に振舞ってるのは、何か理由があるんだろうよ」

从;゚∀从「で、でもよぉ……」


不安がるハインリッヒの肩に、ドクオがぽんと手を乗せる。

('A`)「ツンとジョルジュを信じようぜ。2人ともタフな奴だろ?」 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<>sage<>2009/07/02(木) 22:11:35.25 ID:yoxOt4sMO<> どっくんカッコいい <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/07/02(木) 22:12:47.67 ID:wJvA0zaR0<> ※


ξ゚听)ξ「左半身のサイバネティクス再構築……あら、
       けっこう進んでるじゃない。流石、ウチのスタッフだわ」

スタッフが書き留めておいたレポートとブーンの体。
それらに、交互に視線を配らせた後、ツンは充足した息を一つ吐きながら、デスクに着く。

いくつか横一直線に並べられたデスクの前はガラス張りで、
その向こう側に、ブーンの眠る手術台が見えている。

ξ゚听)ξ「アタシは顔面の修復に取り掛かろうかしら……。
       眼球の作製と視神経の修復……メインコンピュータにダメージが無いのが救いね」


 (  ω゚)


半壊した頭部は、残る皮膚からだらりと長髪が垂れ、
開いた虚ろな目は天井の光をじっと見ている。

これが英雄とまで謳われた『セントラル』随一の狩人の姿だとは、
ブーン著名の「セカンド闘争記」愛読者ならば想像だにしないだろう、と――。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/07/02(木) 22:14:01.56 ID:7amN/mWUO<> 追いついた
プギャーボンジョヴィ名前ふいたwwwww <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/07/02(木) 22:16:43.81 ID:wJvA0zaR0<>

ξ )ξ(……かわいそうに……)

ツンは、タッチパネルに両指を走らせる。
一刻も早く、ブーンを復活させなければならない。
それこそがチーム・ディレイクのリーダーである自分の使命であり、
我々全員と、そしてジョルジュの願いであろう事は、胸に刻み込んでいるつもりだ。

しかし、それとは別に、彼女は個人的な感情をずっと昔から抱いていた。


昨日の、ハインリッヒに冗談半分で言われたことを思い出す。


 从 ゚∀从「お前が死んでたら悲しんだ奴が沢山いるんだぞ、バカヤロウ。
       特にツンちゃんとかねー?」


ξ゚ー゚)ξ「……当たり前じゃないのよ!」


それは、恋心と呼ばれる、淡い々々感情である。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<>sage<>2009/07/02(木) 22:18:13.19 ID:yoxOt4sMO<> ツンちゃん可愛い <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<>sage<>2009/07/02(木) 22:18:36.79 ID:KnYxM1HC0<> ツン・・はぁ、はぁ <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/07/02(木) 22:18:56.78 ID:oHUfiThMO<> 支援だ <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/07/02(木) 22:18:59.50 ID:wJvA0zaR0<> ※


チーム・ディレイクのスタッフにとっては「いつの間に?」
という感覚で時間は過ぎ、1日という貴重な時間は経過した。

再び疑似陽光が層内の街並みを眩く照らし始めた、午前7時。
いくつかの照明が自動消灯し、機械仕掛けのカーテンが独りでに閉じると、
チーム・ディレイクのラボにも光が燦々と差し込んだ。

しかし、疲れ果てたツンは日に当てられても起きようとしない。
瞼の上を白い光が撫でているにも関わらず、ピクリとも動かないのだ。

ジリリリリ!!

ξ゚¬゚)ξ「はッ!」

デスクに突っ伏しているツンを起こしたのは、彼女の携帯端末。
ボリューム最大で奏でられる目覚まし時計の音色は不快そのもの。
金属的なだけで、とても聞いてやいられない音で、ツンは飛び起きた。 <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/07/02(木) 22:20:40.61 ID:wJvA0zaR0<>
ξ;゚听)ξ「うおお……あたしゃいつの間に寝てたんだ……。
       目覚まし掛けといて正解だったわー」

一度席を立って、伸びをしながら近くに設置してあるコーヒーメーカーに近寄った。
そういえばと、部屋中にコーヒーの苦味ある香りが充満している事に、ツンは気づいた。
「昨晩、飲んだっけ?」と記憶を漁るが、自分がコーヒーを飲むのは極稀で、
しかも決まって朝にしか飲まない習慣がある事を思い出す。

('A`)「ういーっす」

コーヒーをカップに注ごうとした時、部屋にドクオが入ってきた。
同時に、苦い香りがする部屋の中に、僅かながら甘ったるい香りが入り混じる。

('∀`)っ日「ほれ、飲むだろ?」

ξ゚听)ξ「あら……最近アンタ、気が利くじゃない?」

ツンは手に持ったコーヒービーカーを置き、ドクオからカップを受け取った。
赤みのある黒色の表面から白い湯気が立ち上っている。
大好きなココアの甘い香りを嗅ぐと、ツンは一気にカップを煽った。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/07/02(木) 22:22:15.78 ID:KnYxM1HC0<> しええん <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/07/02(木) 22:22:58.56 ID:wJvA0zaR0<>

ξ*゚听)ξ「かああああああっ! これよこれ! 脳にずんずん来るわ!
       やっぱ一日の始めも途中も終わりも全部コレに限るわね!!」


('A`)「ココア中毒め」

ξ゚听)ξ「アタシ、生まれ変わるとしたらカカオの栽培人になりたい」

(;'A`)「んなもん趣味で栽培すりゃよかろうに」

ξ゚听)ξ「あ、そっか。んー……まだ頭ぼーっとする。カカオが足りない」


('A`)「んで、修理はどう? 」

ガラス越しのブーンに一瞥し、ドクオは尋ねた。

ξ゚听)ξ「まだ起動出来る状態ではないわね。
       ってことで、もう一踏ん張りよろしくね!」 <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/07/02(木) 22:24:41.05 ID:wJvA0zaR0<>
('A`)「お前も無理すんなよ。ずっと寝てねーだろ?
    俺をはじめ、優秀なスタッフが揃ってるんだからよ!」

ξ゚听)ξ「そりゃ、アンタ達の事は信頼してるけど……」

ξ'∀`)ξ「……愛しいブーンはアタシの手で直したいのぉ! ってか?」


  どすこい喫茶! ξ´゚听)三○)A`) ジュテエエエエエエエエエエエエム!!


ξ#///)ξ「ぶ、ぶぶっブーンとは昔の馴染なだけ!
         あああアタシはシステム・ディレイクの開発者でもあるんだから
         一番ブーンに詳しいのはアタシなんだもん! それだけだもん!!」

(#)A`)「はい……はい……ツンデれ……おつ」

どもついた調子で大声を吐き散らし、ツンは荒々しくデスクに着いた。
ガラス越しのブーンに向き合うと、地に伏すドクオなんぞ一目もくれずに
一心不乱でタッチパネルを忙しく叩き始める。

そんなツンの背中を見て、ドクオもすぐに席に着いた。
コンピュータを起動し、ツンに負けじと指を動かしてゆく。

('A`)(ジョルジュの事もあんだ……あんま頑張りすぎんなよ、ツン) <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/07/02(木) 22:26:40.84 ID:wJvA0zaR0<>
ξ゚听)ξ「ああ、そういえば」

('A`)「んー?」

ξ゚听)ξ「今日、病院から連絡があってね、
       ビロード君、今日退院するそうよ!」

('A`)「へえ! そりゃ良かった!
    じゃあ退院記念にプレゼントしてやろうぜ」

ξ゚听)ξ「そうねぇ、何がいいかしら?」


('A`)「そうだな……ジュニアスクールの通学手続きをしてあげなよ」

ξ゚听)ξ「それは名案ね! きっと喜んでくれると思うわ!」

('A`)「ボストンじゃ同世代の子はいなかったんだろ?
    きっと寂しかっただろうな……昼頃に俺が迎えに行ってくるよ」

ξ゚听)ξ「うん。お願いね」


('A`)「あ、そういやよ」

ξ゚听)ξ「んー?」 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/07/02(木) 22:26:54.94 ID:7amN/mWUO<> 支援 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/07/02(木) 22:27:21.10 ID:oHUfiThMO<> 支援しえん <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/07/02(木) 22:27:33.14 ID:KnYxM1HC0<> 支援の時間だ <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<>sage<>2009/07/02(木) 22:27:46.40 ID:yoxOt4sMO<> 支援した <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/07/02(木) 22:28:57.05 ID:wJvA0zaR0<>
('A`)「誰がビロードの面倒見るの?」


ξ゚听)ξ「」


ξ;゚听)ξ「ぜ、全然考えてなかった……」

(;'A`)「おいおい……」


('A`)「で、俺ちょっと考えたんだけどさ、任されたとはいえブーンは忙しいだろ?
    いつミッションで外に行くか分からないんだし。
    だから俺かツンが面倒見てやればいいんじゃねーかなぁって」

ξ゚听)ξ「そうねぇ……じゃあアタシが面倒見ようかしら。
       アンタ、料理なんて出来ないでしょ?」

('A`)「馬鹿者。『セントラル』の男は“ゲロ”があれば生きていけるのだ!」

ξ゚听)ξ「そしてアンタみたいなもやしっ子が出来上がるのね……。
       んじゃ、アタシが面倒見るって事で決まりね。
       今日からアタシの家に住んでもらいましょう!」

('∀`)「……今日は家に帰れよ!」

ξ;゚听)ξ「分かってるわよぉ」 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<>sage<>2009/07/02(木) 22:29:50.62 ID:yoxOt4sMO<> ゲロwwwwww <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/07/02(木) 22:30:18.14 ID:wJvA0zaR0<> ※


チーム・アルドリッチのラボの出入り口自体は、
チーム・ディレイクと同じ第3階層5フロアに位置している。

しかし、両所を行き来するとなると、まず歩いては20分の時間を要する。
というのも、彼女のラボはサイズ的に大規模な開発がメインであり、
ラボそのものが他所と比べ特別な構造を持っているからなのだ。

その構造とは、2階層から成る巨大な施設。
第3階層を研究スペース、直下の第4階層を開発スペースと、それぞれ設けられている。

第4階層には開発途中のバトルスーツや武器が所狭しとあり、まるで展示館のようである。
実際に学校が見学に来ることもある程で、チーム・アルドリッチの高い人気の一因と言えよう。


ガイル「なぁ、博士」

从 ゚∀从「あーん?」

第3階層のメインルームにて。
モニター前に設営されているデスクに座るガイルが、隣席のハインリッヒに声を掛けた。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/07/02(木) 22:34:22.42 ID:KnYxM1HC0<> しいいいえええん <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/07/02(木) 22:34:27.63 ID:wJvA0zaR0<>
ガイル「今日はツン博士のラボに行かないのか?」

从 ゚∀从「ああ。さっきメール送っといた。
      っつーかまぁ、ブーンが目覚めるまでは別に行かんでもいいだろう。
      特に用はねえし……まぁ修理を手伝えるけどな」

手に抱えたモニターを眺めながら、ハインリッヒが返す。
モニターには、開発途中のバトルスーツが描かれている。
そのイメージ図の横には、「新型、バトルスーツTypeU」と題が打たれている。

ガイル「いや、そうじゃなくて。隊長の事だってあるだろう?
     IRON MAIDENはツン博士が管理しているんだし」

从 ゚∀从「そりゃそうだけど……でも、それだってツンの仕事なんだ。
      アタシにはアタシのやる事がある」

ガイル「そいつの開発か……いつから構想してた?」

从 ゚∀从「クイーンズ区でのミッションが終わってからだ」

ガイル「な!? し、信じられんが、さすがハイン博士だな」

壁に埋め込まれた幾つもの大型モニターの内一枚に、
ハインリッヒが持っているモニターと同じのイメージを映し出す。

从 ゚∀从「ガイル、こいつは従来のバトルスーツとは遥かに規格が違う。
      開発工程も数倍増えるだろうからな……とうにプロジェクトは動いてるぜ」 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<>sage<>2009/07/02(木) 22:35:09.08 ID:yoxOt4sMO<> 支援 <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/07/02(木) 22:35:58.94 ID:wJvA0zaR0<>
ガイル「なんと……ところでよぉ、量産はどうなんだ? これ」

从 ゚∀从「バカDJテーブル。今までの予算で考えてみろよ?
      念10機作るのが限界だったが、こいつの規格を考えれば
      コストはざっと3倍掛かる。今年は3機も作れれば十分だろうよ」

ガイル「ふー……そっか。バトルスーツ隊がでっかくなると期待したんだけどなぁ」

ガイルは背をもたれて仰け反り、不満そうに声を漏らした。


从 ゚∀从「ふん、そもそも量産なんて必要ねーんだよ。
      こいつが4機もありゃあ、地球征服だって可能だぜ!」


从 ゚∀从「……ガイル副隊長!!」

ガイル「は、ハッ!!」

突然、ハインリッヒは立ち上がり、凛とした声を張り上げる。
反射的につられて、ガイルは直立不動した。
軍人らしい、立ち振るいである。 <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/07/02(木) 22:37:51.07 ID:wJvA0zaR0<>
从 ゚∀从「たった今より、お前をバトルスーツ隊隊長に任命する!」

ガイル「……ハッ!!」


从 ゚∀从「頼んだぜ……ジョルジュはもう戦えねーんだ。
      お前がバトルスーツ隊を引っ張ってくんだ」

ガイル「ああ……任せてくれ、博士!」


ガイルは力強く返した。
ハインリッヒは満足そうな笑みを見せ、再びデスクワークに取り掛かる。
脇目も見ず、モニターとパネルに神経を尖らせている。


ふと、ガイルは正面の大型モニターに目をやった。
新型機のスケールを表すゲージ……それは、こう表していた――

ガイル(まるで、クォッチ級のセカンドと戦う事を想定してるかのような……)


――あまりにも巨大である、と。

 ___ <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<>sage<>2009/07/02(木) 22:38:08.37 ID:yoxOt4sMO<> DJテーブルw <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/07/02(木) 22:38:27.40 ID:KnYxM1HC0<> 支援支援 <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/07/02(木) 22:39:51.20 ID:wJvA0zaR0<> ※

昼下がり。

薬品の匂い漂う静かな廊下を、ドクオの踵が鳴らすこつこつという音のみが澄み渡る。
看護婦の喋り声も無ければ、手術室にベッドを引いていくような喧噪も無い。

それはというのも、入院する人間が殆どいないからである。
医療技術が進展した現在では入院の期間が非常に短い。
癌を相手に闘病生活を送る者など、数十年前に絶えているのだ。
無論、患者の減少に伴って医師と看護婦の数も少なった。

とはいえ病院という施設が無いというのも困るらしく。

今では病に倒れる者よりも、傷ついて運ばれる者が多いようだ。
例えを挙げるとすると、『セントラル』内での工事での怪我。
そういった予知できぬ緊急的な“事故”に備え、やはり病院と医師は必要とされているのだ。


ドクオは、「ビロード・ハリス」という表札を付けられたドアをノックする。
「はーい!」と元気な声が返ってくると、ドクオは安堵を覚えながら戸を開けた。

('A`)「元気そうだな。迎えに来たぜー。ってか俺のこと、覚えてるかい?」

( ><)「ドックン!」

ビロードは、ツンが病院に送っていたシャツとズボンに身を包んで、ベッドの端に座っていた。
愛称で呼ばれたドクオは、嬉しそうにニコりと返す。 <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/07/02(木) 22:41:33.12 ID:wJvA0zaR0<>
('∀`)「ビロードは俺の数少ない友達の一人になってくれそうだなぁ。
    もう手続きは済ませてあるから、行こうか」

(;><)「ちょっと待ってて欲しいんです!
       まだ準備が終わってないんです……」

('A`)「お昼に迎えに行くって、ツンが連絡したろー?」

(;><)「つ、ついゲームに夢中になっちゃったんですー」

ビロードは口を窄めて言った。
ドクオはビロードに少し呆れつつも「子供だから致し方ない」と許容する。

('A`)「しょーがねーなぁ。
    一階の受付で待ってるから。分かるだろ? 受付」

( ><)「わかってます!」


('A`)「んじゃ、うっかりゲームしないで来るんだぞ」


ドクオは意地悪そうに念を押して、病室を出た。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<>sage<>2009/07/02(木) 22:43:07.74 ID:yoxOt4sMO<> 支援 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/07/02(木) 22:43:49.47 ID:KnYxM1HC0<> しえんんえし
<> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/07/02(木) 22:44:03.69 ID:7amN/mWUO<> 新型バトルスーツだと……
ブーンたち強化フラグなのか…… <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/07/02(木) 22:45:10.38 ID:wJvA0zaR0<>

('A`)(あっ、くそ……全館禁煙だったか)

ドクオは隈なく目を配らせたが、喫煙を促す表示を見つける事はなかった。
病院の入り口に喫煙所があったのを行きがけの際に見覚えているが、
外で吸っている最中にビロードが来られるのは間が悪いと、ドクオは我慢に努める。

座り心地の良いソファから、遠目に見えるエレベータを眺めるドクオ。
エレベータの発光箇所に注目し、ビロードが降りてくるのを、ただじっと待っていた。

3基あるエレベータの内の一つが動き出した。
しかし、ビロードの病室とは異なるフロアから降りている。
そのままドクオはエレベータ乗り場の方を見つめ、ビロードを待つ。

('A`)「ふあ、ああ、あ゙あ゙ああああ」

眠たそうな欠伸。
不可抗力を思わせる力で口が上下に広がり、反して目は閉じてゆく。
降りた瞼は光という光を遮断する……それは無論、エレベータの発光もである。


たった今エレベータを降りてきた者が「彼」だとは、ドクオは想像だにしなかった。 <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/07/02(木) 22:46:55.69 ID:wJvA0zaR0<>

('A`)「ああっあ゙あ゙ああああ……ああーん……!?」


長い欠伸を終えて目を開くと。
自分の死角へと消え行く、長い白髪を一瞬見た。


(;'A`)「まさか……あの野郎、どうしてここに……?」


眠気を誘うソファを立ち、白髪を追う。
運動不足な足腰を動かして彼なりに懸命に走るが、

(;'A`)「い、いない……どこ行った……?」

長く続く廊下に、人の影は一つとて無かった。
確かに見た、足音も聞いたのだ。


間違いなく、モララー・スタンレーの後姿を見たのだ。


――立並ぶ一室一室に入って確かめても良かったが、しかし会ってどうする?
奴に直接、「クー・ルーレイロ並び研究員を“事故死”にしたのはお前か!?」と
でも問い質すというのか? 馬鹿げている。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/07/02(木) 22:48:17.06 ID:KnYxM1HC0<> しええんええし
<> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/07/02(木) 22:48:30.11 ID:7amN/mWUO<> なに……どういうことだ…… <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<>sage<>2009/07/02(木) 22:49:33.85 ID:yoxOt4sMO<> なんだと…? <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/07/02(木) 22:49:38.88 ID:wJvA0zaR0<>
('A`)(しかし、何故ここに?)

プギャー総合病院に来ていたのは、何故だ?

元はラウンジの技師である奴ならば、体の不良など“交換”で済ませられるだろう。
一瞬で姿を消せる……という事は有り得ないが、それでも足取りは軽いはずだ。
怪我をした訳でも無さそうだが――

「……クン!」

「ックン!」

(;'A`)「え、あっ、」

( ><)「ドックン! 何ぼーっとしてんですか!?」

ドクオは、いつの間にか背後に居たビロードに呼び覚まされる。


('A`)「あ、ああ……すまん。行こうか」

気のせい……だったのだろうか?
不可解に思いながらも、ドクオは病院を後にした。


 ___ <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/07/02(木) 22:51:33.77 ID:wJvA0zaR0<> ※


第4階層のアクセサー乗り場で乗車し、すぐにラボ前に到着。
広大な『セントラル』だが、アクセサーが渋滞していなければ
何処にだって20分以内で到着できるのだ。

('A`)「ビロード。万が一迷っても、アクセサー乗り場に行けば何とかなる!
    これが『セントラル』の歩き方だ。よーく覚えておけよ!
    俺でもたまーに迷ったりするくらいなんだからな!」

(*><)「はいなんですー」

そんな『セントラル』の構造の一端を、ドクオはビロードに捲くし立てる。
しかしビロードは、ドクオの話なんてまるで聞いていなかった。
浮遊感ある車から、縦横無尽に広がっている洗練された景観を眺めたのだ。
5年も薄暗い地下で暮らしていたビロードにとって、それは夢の中を往くような感覚なのである。


('∀`)「んで、ここが俺達のラボ。我が家だと思って寛いでくれ。
    煙草はツンが許さないんだけど……ま、お前にゃ関係ねーか」

ドクオは携帯端末をドアロックにかざし、認証させた。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<>sage<>2009/07/02(木) 22:52:29.12 ID:yoxOt4sMO<> シエスタ <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/07/02(木) 22:53:40.87 ID:7amN/mWUO<> 支援だ <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/07/02(木) 22:55:50.46 ID:wJvA0zaR0<> ※


第4階層のアクセサー乗り場で乗車し、すぐにラボ前に到着。
広大な『セントラル』だが、アクセサーが渋滞していなければ
何処にだって20分以内で到着できるのだ。

('A`)「ビロード。万が一迷っても、アクセサー乗り場に行けば何とかなる!
    これが『セントラル』の歩き方だ。よーく覚えておけよ!
    俺でもたまーに迷ったりするくらいなんだからな!」

(*><)「はいなんですー」

そんな『セントラル』の構造の一端を、ドクオはビロードに捲くし立てる。
しかしビロードは、ドクオの話なんてまるで聞いていなかった。
浮遊感ある車から、縦横無尽に広がっている洗練された景観を眺めたのだ。
5年も薄暗い地下で暮らしていたビロードにとって、それは夢の中を往くような感覚なのである。


('∀`)「んで、ここが俺達のラボ。我が家だと思って寛いでくれ。
    煙草はツンが許さないんだけど……ま、お前にゃ関係ねーか」

ドクオは携帯端末をドアロックにかざし、認証させた。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<>sage<>2009/07/02(木) 22:57:45.33 ID:yoxOt4sMO<> 支援 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/07/02(木) 22:58:12.41 ID:KnYxM1HC0<> まだまだ支援!!
<> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/07/02(木) 22:58:59.87 ID:KnYxM1HC0<> おらおらおら支援! <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/07/02(木) 23:00:02.68 ID:7amN/mWUO<> 支援 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/07/02(木) 23:00:39.84 ID:KnYxM1HC0<> ただ、圧倒的に・・・支援! <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<>sage<>2009/07/02(木) 23:00:53.07 ID:PypN9nOFO<> しえんじゃい <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/07/02(木) 23:01:24.26 ID:7amN/mWUO<> 猿かな、支援 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/07/02(木) 23:02:14.38 ID:KnYxM1HC0<> 猿なんて・・・俺がぶっ飛ばす! 支援 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/07/02(木) 23:03:23.04 ID:KnYxM1HC0<> 支援じゃい! <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/07/02(木) 23:03:45.68 ID:7amN/mWUO<> Sniperで援護する <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/07/02(木) 23:05:12.65 ID:KnYxM1HC0<>
猿なのか? しえええーーぬ <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/07/02(木) 23:06:34.05 ID:KnYxM1HC0<> 支援!!!
支援!!
支援! <>
◆jVEgVW6U6s <>猿撃破<>2009/07/02(木) 23:06:34.99 ID:wJvA0zaR0<>
('A`)「ただいまー。ビロード連れて来たぞー」

ξ゚听)ξ「ご苦労様。ビロード君、元気?」

(;><)「…………」

ビロードはドクオの背後に隠れ、白衣の裾をぎゅっと握り締めている。
ツンを覗き見るビロードの表情は、どこか怯えているようだ。

('A`)「ああ、そういえばツンは自己紹介してないだろ?」

気づいたドクオがツンに促した。
同時にツンとドクオは、ビロードに人見知りの気がある事を知る。


ξ゚ー゚)ξ「ああ、そうだったわね! アタシはツン、ツン・ディレイク。
       このラボのリーダーで、ブーンの体を見る一番の責任者ってとこね」

怖がるビロードの為に、ツンが笑顔で接した。
少し、ビロードの表情が和らぐ。

('∀`)「俺はドクオ・アーランドソン。ドックンでいいぞ。
    ブーンの武器やバイクを開発してるのは俺。よろしくな!」

ドクオはビロードの頭をくしゃくしゃにしながら、言った。
すると、すっかりリラックスしたビロードは、満面の笑みで声を漏らした。

( ><)「ビロード・ハリスなんです! よろしくなんです!
      ガイルさんと金髪のお姉さんはいないんですか?」 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<>sage<>2009/07/02(木) 23:07:56.52 ID:yoxOt4sMO<> ビロードは金髪好きか <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/07/02(木) 23:08:14.06 ID:7amN/mWUO<> はぁ、はぁ…や、やったか……!? <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/07/02(木) 23:10:34.59 ID:wJvA0zaR0<>
('A`)「そういえば今日は来てないな」

ξ゚听)ξ「……忙しいんですって」

朝方に送られたハインリッヒからのメールで、ツンは何となく悟っていた。
ドクオとハインリッヒが、ジョルジュの異変に気づいていたのでは、と。


( ><)「ブーンは……何してるんですか?」

ガラス越しに見えるブーンに気づき、ビロードが尋ねた。
ツンがデスクに近づきながら、問いに答える。

ξ゚听)ξ「まだ修理中なの。明日には目覚めるから、安心して」

そう告げられたビロードは、人知れずに寂しげな顔をガラスに映した。


ξ゚听)ξ「ああ、そうだ。ビロード君、今日からアタシの家に泊りましょうね」

( ><)「えっ」

ビロードは目を丸くしてツンの方に振り向く。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/07/02(木) 23:13:46.15 ID:KnYxM1HC0<> 支援 <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/07/02(木) 23:14:02.47 ID:wJvA0zaR0<>
('A`)「でもツン。考えてみりゃ、お前だって忙しいじゃないか。
    やっぱり俺が預かった方がいいんじゃないか?」

ξ゚听)ξ「アンタじゃ心配よ。
       それに休みは取れるのよ。アタシが好きに働いてるだけだし」


( ><)「……嫌なんです!」


ξ;゚听)ξ「ほえ?」

('A`)「聞こえなかったのか? 貧乳は嫌なんですと」

ξ;///)ξ「ほ、ほんとにそうなの!? だったらハインの所に――」

(;><)「そ、そんなんじゃないんです!
      ブーンを見守りたいんです!」

ξ゚听)ξ「ビロード君……」

ビロードは再びガラスに鼻の先をくっつける。
機構が剥き出しの、グロテスクとも言えるブーンの容態から
目を逸らさない彼の姿は、ツンにとってこの上無く健気に見えた。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/07/02(木) 23:14:24.43 ID:oHUfiThMO<> 支援する <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/07/02(木) 23:14:42.03 ID:RY22uWHvO<> 久し振りに来てた支援 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/07/02(木) 23:17:03.09 ID:7amN/mWUO<> ドクオwwwww <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<>sage<>2009/07/02(木) 23:18:35.19 ID:yoxOt4sMO<> シエスタ <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/07/02(木) 23:18:53.49 ID:wJvA0zaR0<>
('A`)(なんか、安心したな)

ボソりと、ドクオがツンに耳打ちした。

ξ゚听)ξ(そうね……当事者の彼にああやって心配されてるんだもの。
       シーケルトさんを殺めてしまったのは偶然だって、この子も判ってるのね……)


('A`)「ところでツン。ビロードは今日、帰りたくないんだとよ」


ξ゚ー゚)ξ「あら、奇遇だわ。アタシもそう思ってたの!」


('∀`)「へへ……実は俺もなんだ。とっとと修理しちまおうぜ!」


 ___ <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/07/02(木) 23:21:33.23 ID:wJvA0zaR0<> ※


疑似陽光が層内の街並みを眩く照らし始めた、午前7時。
いくつかの照明が自動消灯し、機械仕掛けのカーテンが独りでに閉じると、
チーム・ディレイクのラボにも光が燦々と差し込んだ。

既視感のある風景。
しかし、繰り返しの日常はこのラボには、いや、『セントラル』には存在しない。
今日も新兵器や施設の開発に、どのチームも汗水垂らす事だろう。

チーム・ディレイクは、ブーンの修理を完了し、いよいよ起動段階に入った。
ツン達は甘ったるいココアの香りの中、一息ついていたところである。
ビロードはまだ疲れているのか、修理の間にデスクで眠ってしまった。

ξ゚听)ξ「少し、起こすのが怖いわ」

声を低く落とすツン。
ドクオが同意を示す溜息を吐き、続ける。

('A`)「そうだな……何て言うよ?
    無理矢理眠らせちまったんだろ……きっと怒ってるぜ?」 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<>sage<>2009/07/02(木) 23:22:19.83 ID:yoxOt4sMO<> ブーン… <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/07/02(木) 23:24:47.98 ID:wJvA0zaR0<>
ξ゚听)ξ「アンタの事を信じて、やった。そうとしか言えないわよ」

('A`)「そりゃ、な……まぁ何にせよアレは事故だったんだ。
    何もブーンが殺そうとして殺したんじゃない」


ξ゚听)ξ「誰に責任があるとか、そういう事じゃないわよ。
       ブーンが悩んでいるのは、きっと別の話」

('A`)「どういう事?」

首をかしげ、ドクオが尋ねた。
ツンは指先で眉間の皮膚をこねり、間を空ける。
「うーん」と低い唸りが彼女の喉奥から鳴った後、静かに続きを述べ始めた。


ξ゚听)ξ「いや……うまく言えないんだけど……。
       経緯はどうあれ、ブーンはシーケルトさんを殺してしまった。
       その事に、ブーンは悩んでるんじゃないかって」 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/07/02(木) 23:25:00.55 ID:7amN/mWUO<> 支援だぜ <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<>sage<>2009/07/02(木) 23:26:39.11 ID:yoxOt4sMO<> シエスタ <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/07/02(木) 23:26:38.63 ID:oHUfiThMO<> しえんです <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/07/02(木) 23:26:53.92 ID:wJvA0zaR0<>
ドクオは「ああ」と短い相槌を打って納得を示す。
2人の間に沈黙が流れようとした時、ドアが開いた。


从 ゚∀从「それにブーンはギコを殺そうとし……スネークという人を死なせてしまった」


ξ゚听)ξ「ハイン。ガイルさん」

ガイル「よう。目覚めるんだろ? 俺達も来たぜ。
     隊長はまだ部屋から出て来ないけどな……」

入ってきたのはチーム・アルドリッチのハインリッヒとガイル。
最近は2人の後に続いて入るジョルジュだが、やはり姿は無い。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/07/02(木) 23:29:56.31 ID:KnYxM1HC0<> 支援 <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/07/02(木) 23:30:15.16 ID:wJvA0zaR0<>
从 ゚∀从「こればっかりは、やっちまった、じゃ済まねーだろ?
       ブーンを裁いてくれる裁判も裁判官もいないんだ」

('A`)「その為にも、戦う理由を持って納得しなきゃいけねーって訳か……」

こくりと、ハインリッヒが頷く。


ξ゚听)ξ「何の為に戦うのか……目的を持たせれば、それがブーンの生きる理由になる。
       戦う理由こそが、ブーンが罪を償う唯一の方法となるのよ」

('A`)「生きる理由だなんて、少し大袈裟だな」

ドクオが小さく漏らす。
間を空けずに、ツンが口を尖らせた。

ξ゚听)ξ「ギコとの戦闘で、最後は死のうとしていたように見えたわ。
       あんな無茶苦茶な戦い方してるブーンを見たことある?」

(;'A`)「いや……確かに言う通りだ……」

油っこい頭をかきながら、ドクオは視線を落としてツンに返した。
今度こそ室内は静寂に包まれ、機器の作動音のみが静かに響き渡る。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/07/02(木) 23:33:29.30 ID:RY22uWHvO<> しえん <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<>sage<>2009/07/02(木) 23:33:54.02 ID:yoxOt4sMO<> 支援 <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/07/02(木) 23:34:12.10 ID:wJvA0zaR0<>

('A`)「なんだか……な」

ふと、ドクオは静寂の中にぽつりと言葉を投げる。
淡々と最終チェックの作業をしていたツンが目線だけドクオに向ける。

ξ゚听)ξ「無理矢理戦わせるように思うかしら?」

鋭くも、哀を放つ目つきを向けられ。
ツンも自分と同じように思っていると判り、ドクオは安堵するが、


('A`)「……でも、ブーンが戦わないとダメな気がするんだよ」

はっきりと、そう述べた。


ガイル「まぁ、アイツはすっかり『セントラル』のヒーローだもんな」

ガイルの言うとおり、伝説までもが市民の間に伝わる程、
今を生きる約100万人の人間達は、ブーンに絶大な信頼を寄せているのだ。

『セントラル』の英雄、ヒーロー、B00N-D1。
彼の活躍に感動し、公園でブーンのマネをする子供達の事を思うと、
ドクオはブーンに戦って欲しいという気持ちを禁じえなかった。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/07/02(木) 23:35:38.96 ID:DzdrgkUn0<> しえん <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<>sage<>2009/07/02(木) 23:36:59.21 ID:yoxOt4sMO<> 支援 <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/07/02(木) 23:38:06.36 ID:wJvA0zaR0<>
ξ;゚听)ξ「アタシ達は仇討ちを始めただけなのになぁ……」

('∀`)「それが今じゃヒーローだろ? 本なんか出すからだ。
    にしても、昔のアイツはビビりで銃を撃つのも一苦労だったってのに、不思議だよな」

从 ゚∀从「そうなの? 第一巻の緒戦はカッコよく描かれてたぜ?」

ガイル「となると、ありゃブーンの捏造だったのか!」

('A`)「ぷっ、実はその通りなんです」

ハインリッヒとガイルの言葉に、一斉に吹き出すツンら。


一頻り笑い声を上げた後、
ツンは釣り上がった口を戻し、落ち着いたトーンで皆に告げた。

ξ゚听)ξ「起動しましょう」

全員が緊張した面持ちで、頷いた。


ξ゚听)ξ「ドクオ、ビロード君を起こして。
       皆でブーンの復活を祝福したいわ……」

――ビロードこそが、ブーンが生きて戦おうとする理由になるだろう。
その事を、ツンは敢えて口には出さなかった。

 ___ <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/07/02(木) 23:38:11.49 ID:ds6PRkHmO<> 支援 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/07/02(木) 23:39:23.24 ID:oHUfiThMO<> しえん支援 <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/07/02(木) 23:40:11.96 ID:wJvA0zaR0<> ※

チーム・ディレイクのスタッフほぼ全員――ドクオを含めて20人いる――が、一堂に会す。
決して広くない部屋に息苦しさを感じつつも、全員が固唾を呑んで起動を見守ろうとしている。

ボストンでの出来事は、全員が見知っている。
だからこそ、ブーンの力になりたいと皆が集まった。
彼を人殺しと罵り軽蔑するような者は、一人とていない。

家族、友人、恋人を食われ絶望した者達は、出来ることならば
許すまじきセカンドウィルスを自ら狩りたいと思っているのだ。

抗体を持つ者、ホライゾン・ナイトウは皆のヒーローである。
唯一セカンド・ウィルスと対抗するブーンは、両親の仇討ちを理由にしながらも
セカンドと戦う事を買って出、この5年間をセカンド狩りで過ごしてきた。

抗体を持たぬ者の多くがサイボーグ化を望んだ。
しかし、サイボーグ化しようがウィルス感染する可能性は非常に高く、
ツンはそれを絶対に許そうとしなかった。

だから、ドクオを始めとする彼等はスタッフとして尽力し。
そして地上の街で戦うブーンに自己投影し、奮起していたのである。

アルドリッチのバトルスーツという手段もある。
だが彼等は戦い抜くブーンを見て、彼に託す事を決めたのだった。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/07/02(木) 23:40:25.35 ID:7amN/mWUO<> 支援 <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/07/02(木) 23:43:15.87 ID:wJvA0zaR0<>
('A`)(ブーン……お前には悪いと思っているよ。だけど、お前じゃないとダメなんだ)


――お前は、俺達のヒーローなんだ!!



ξ゚听)ξ「最終チェッククリア……システム起動!」

タッチパネルを叩く最後の1打は、力強く。
それまでブーンを抑え付けていた拘束具が外れ、身体の随所に繋がれていたコードが抜けてゆく。

ガシュンと大きな音を立てながら、後頭部を刺していた痛々しい針型の装置も抜け。
自由と意識を得たブーンは、ゆっくりと体を起こした。

( ^ω^)「…………」

深い眠りから目覚めたばかりで意識が混濁しているのか、
ブーンは口をだらしなく開け、虚ろに視線を落としていた。

ξ゚听)ξ『おはよう、ブーン』

ツンはマイクを使い、ガラスに隔たれたブーンに声を掛けた。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/07/02(木) 23:45:37.31 ID:oHUfiThMO<> どうなる…?

支援 <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/07/02(木) 23:47:19.89 ID:wJvA0zaR0<>
( ^ω^)「あ……ツン……皆……」

ブーンはガラスの向こうにずらりと立つチームの皆に気づくと、第一声をそのように発した。
何事も無く起動に成功した様子に、皆は嬉々とした声を漏らして喜ぶ。
するとブーンは困惑し、首と視線をきょろきょろと動かすばかりである。

「一体、何事なのだろう?」。
ブーンの頭には疑問ばかりが浮かんでゆく。

意識ははっきりしているものの、思考が定まらないブーン。
しかし、ある少年の声と顔に気づくと。

(*><)「ブーン! ブーン! 良かったんです!!」

( ^ω^)「ビロー……ド……?」

――そう。ボストンを共に脱出した少年、ビロードの存在に気づき。
次第に蘇る血生臭く悲しい記憶が、ブーンの意識を顕然へと導いた。

やがて、あるはずの無い右腕と右目に神経が通っている事を認知すると、
まるで恐ろしいものでも見ているかのように、ガラス越しの皆から遠ざかってゆく。

(;゚ω゚)「み、皆……まさか皆、僕の記録を見たのかお……!?
      何故……何故見たんだおツン……!!」

ブーンの声は、大きく震えている。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/07/02(木) 23:49:33.75 ID:7amN/mWUO<> どうなるんだ…!? <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/07/02(木) 23:49:45.44 ID:wJvA0zaR0<>
ξ゚听)ξ「ええ。ここにいる全員は勿論、
      ハインもガイルさんも、ジョルジュさんも見たわ」

(;゚ω゚)「そん、な……ふ、ふざけるなお……」

ξ゚听)ξ「アンタを信じていたから、見たのよ。
       アタシ達は仲間じゃない……何で、仲間に頼ってくれなかったの?」


(; ω )「人を殺したなんて言えるかお!!」

ブーンは、あらん限りの声で叫んだ。
悲痛な叫び声は皆の耳を突き、表情を暗くさせる。
唯一、毅然とした態度で対面するツンも辛い気持ちを禁じえなかったが、

ξ゚听)ξ「……でも、アンタはオットーの思惑から皆を救おうと引き金を引いた。
       その結果、あのような事になってしまったけれど、アンタのせいじゃないわ」

ブーンと向き合う事を止めなかった。
自分を擁護する優しい声に一瞬たじろぐが、ブーンもまた態度を変えなかった。

(;゚ω゚)「どうでもいい! 僕がシーケルトさんを殺したのは事実なんだお!」

ξ゚听)ξ「それは……」

いつもの温厚な笑顔を忘れたかのように、ブーンは激昂する。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/07/02(木) 23:52:18.19 ID:iu3NwgDPO<> 支援はやまない <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/07/02(木) 23:52:47.38 ID:KnYxM1HC0<> 支援 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/07/02(木) 23:53:25.71 ID:7amN/mWUO<> 支援 <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/07/02(木) 23:53:36.16 ID:wJvA0zaR0<>

(;゚ω゚)「それに僕は! 僕のせいでスネークを死なせてしまったお!
     僕がギコさんをセカンドとして殺せば、スネークは死ななかった!
     スネークを殺したのも僕だ!」

ξ;゚听)ξ「でもアンタは人殺しなんかじゃない!
       ギコさんを殺せなかった! ギコさんを殺す事を躊躇していたじゃない!」

( ゚ω゚)「だからオッサンを死なせてしまったんだお!
      ツン、皆……僕はもう、どうしたらいいのか分からない……それに、」


(  ω )「それに僕は、ハインさん、貴方のお兄さんもッ――!」

从 ゚∀从「あれはアタシの兄さんじゃない」

言い掛けたところにハインリッヒが割って入った。
思いも寄らぬ言葉に、ブーンがぴたりと口を止め、困惑する。
再びブーンは口を動かそうとしたが、先にハインリッヒが続けた。

从 ゚∀从「お前が寝ている間に、何とか割り切れたよ……。
      顔と声が兄さんであっても、あれは心を無くしたモンスター、セカンドさ」

「アタシの兄さんは優しい人間だった」。
俯いてそう述べるハインリッヒに、声を掛ける事が出来る者はいなかった。

顔を上げて、ハインリッヒは続ける。 <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/07/02(木) 23:54:54.41 ID:wJvA0zaR0<>
从#゚∀从「ブーン。迷ってなんかいられねーんだよ!
      『セントラル』を守るのはアタシ達とお前だ!
      二度と兄さんやギコのような人を出さない為には、戦うしかねえんだ!」

打って変わり、力強くブーンに言葉を叩きつけた。
スピーカーから発せられる彼女の声は、端々が軽く歪んでいる。
迷いの感じられない意思を表すかのような、力強い音声――。

彼女に圧倒されたブーンは、背を壁に預け、ずるずると座り込む。
長い髪で顔を覆い隠している彼が今、何を思うか?
付き合いの長いツンやドクオ、スタッフらでも、想像する事は叶わなかった。


(  ω )「何と、戦うんだお……」

長い沈黙を経て。
ブーンは震えた声で、一言そう漏らした。

ツンはハインリッヒに目配せし、答えを求める。
ハインリッヒが頷いて応え、デスクに設置されているマイクに口を近づけた。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/07/02(木) 23:56:31.61 ID:oHUfiThMO<> 支援だっ <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/07/02(木) 23:56:49.51 ID:wJvA0zaR0<>
从#゚∀从「“セカンド”だろ! セカンドと人間の区別くらい、付くだろう?
      ブーン、お前は人を殺そうと思って殺さなかった。
      セカンド化した兄さんとアニーには、引き金を引けただろう!?」

(  ω )「……何の為に戦うんだお……」


「誰かを守る為だろう?」


(  ω )「……ジョルジュ隊長」

前を見ずとも、誰しもが、その厳格な声の主を分かっていた。

前兆を伴わずに室内を響かせたのは、ジョルジュの声だった。
誰に言われるまでもなく、スタッフは道を開けて彼をブーンの前へと導く。

从 ∀从「ったく、何してたんだよ!」

ガイル「あんまり心配させんな、隊長」

(  ∀ )「悪かった」

顔を見せず、一言だけそう小さく告げたジョルジュは、誰の目にもぶっきら棒に見えただろう。
だが、彼はすっかり薄黒くなったフェイスカバーを、出来る限り見せたくなかったのだ。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/07/02(木) 23:57:33.85 ID:7amN/mWUO<> ハインに惚れた <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/07/02(木) 23:57:45.19 ID:KnYxM1HC0<> 支援 <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/07/02(木) 23:58:24.74 ID:wJvA0zaR0<>
( ゚∀゚)「シーケルトとスネークに、この子を託されたんだろう?」

(;><)「それ、宇宙服ですか?」

ブーンを諭すジョルジュの表情と声色は、厳しい。
だが、ブーンは依然として下げた顔を戻そうとはしない。

( ゚∀゚)「お前が人を殺せないんなら、それでいい。
     お前はお前にやれる事だけやりゃいいんだ……。
     犯したと思う罪は、そうやって贖っていくしかないと、俺は思う」



「――――嫌だお」


( ゚∀゚)「何だと……?」

髪で隠れた口から紡がれたのは、拒否の意思だった。
全員が、耳を疑った。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/07/03(金) 00:01:05.07 ID:qNACgLHIO<> 支援だ <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/07/03(金) 00:01:05.34 ID:uGcPPVlDO<> なん・・・だと・・・ <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/07/03(金) 00:01:38.05 ID:tCycgQSA0<>

(; ω )「……嫌なんだお! 僕はもう戦いたくなんかない!
      戦うのがたまらなく怖い……恐ろしいんだお!!」


髪を揺らし、自分に戦って欲しいという全員の嘆願を完全に拒否した。
紛れもない本音である事は、恐怖と怒りの2色を混じらせた声が示している。


ξ;゚听)ξ「ど、どうして……?」

しかし真意を探ろうとも理解できず。
全員に代わり、ツンがおそるおそるブーンに聞くと。

不意に、ブーンは立ち上がるのだった。
そして感情を爆発させたかのように、言葉をまくしたてる。

(; ω )「どうもこうもないお! 怖いんだお……!
      僕は『セントラル』の中から出ない……部屋から出ないお!
      僕は二度と戦わない! 僕の代わりに戦える奴なんて大勢いるだろう!?」

(; ω )「バトルスーツがある! ウィルスがなんだお!?
      ビロードの細胞を使えば感染を予防できる!
      もう、僕じゃなくたっていいじゃないかお! 君達がデスクに向うのはもう終わりだお!」 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<>sage<>2009/07/03(金) 00:03:18.42 ID:GaXt40hoO<> (ノ∀`)ノ∀`)ノ∀`)ジェトストリームアチャー <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/07/03(金) 00:03:44.04 ID:qNACgLHIO<> なんだと……どうなるんだ……? <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/07/03(金) 00:03:48.02 ID:E2rWKs0iO<> ブーン…… <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/07/03(金) 00:05:38.20 ID:uGcPPVlDO<> あばばば <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<>sage<>2009/07/03(金) 00:06:04.47 ID:GaXt40hoO<>
  _  ∩
( ゚∀゚)彡 おっぱい!おっぱい!
 ⊂彡 <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/07/03(金) 00:06:16.00 ID:tCycgQSA0<> ブーンは落ち着きとは程遠い足取りでドアに近づき、合成金属製の板に拳を突き始めた。
アンロックされているドアを“開ける”には、破壊の他に術は無い。
数度のパンチでドアは半壊し、両手で強引に破って開く。

もはや怒りとも呼びがたい感情を発しながら暴れるブーン。
ドアを突破し、ブーンが金属とガラスによる隔離から解放された。

スタッフは怯え、彼から離れようと後ずさりする。
唯一無二の友であるドクオすら、だ。


(; ω )「どけお……!」

一喝し、出入り口のある部屋へと続く道を開く。
何と恐ろしい目をしているのだろうかと、皆が思う。
人間と同様の目を作ったというのに、まるで獰猛な怪物のもののようだ。

ブーンの身体能力は己が十分に理解している……皆、彼の言うとおりにする他無かった。

ξ;゚听)ξ「ナイトウ! 何処に行くのよ!?」

(; ω )「うるさいお!」 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/07/03(金) 00:06:24.98 ID:/8CR60bH0<> こだからヘタレ主人公は!
支援 <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/07/03(金) 00:07:55.21 ID:tCycgQSA0<>
(;'A`)「……ふ、ふざけんなよ! お前が戦わないでどーすんだよ!?
    お前は俺達の――」

(; ω )「僕はヒーローなんかじゃない!元々は、ただの個人的な仇討ちだったんだお!
      祭り上げるのは勝手だけど、辞めるのも僕の勝手じゃないかお!?」

(; ω )「それに! 『セントラル』があるじゃないかお!
      こうして地下で息を潜めていれば! 危険なんて無いじゃないかお!」


ξ;゚听)ξ「ビロード君を任されたんでしょう!?」


(;゚ω゚)「誰も救えなかった僕に誰かを守るなんて出来るかお!!」


ガイル「ブーン!」从;゚∀从

(; ω )「ハインさん……やっぱり僕はお兄さんを殺したんだお。
      気の済むまで恨んでください。罵ってください。
      なんなら、殺してくれても構わなっ」


金属がぶつかり合う音が鳴り散る。
ツンに、不意のところを思い切り殴られたブーンは、派手に倒れた。

ξ; )ξ「アンタなんか、もうどうだっていいわ……二度と顔を見せないで!」 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/07/03(金) 00:08:19.04 ID:NmVx/aspO<> ブーン… <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/07/03(金) 00:10:58.39 ID:qNACgLHIO<> >誰も救えなかった僕に誰かを守るなんて出来るかお!!

なるほど、納得した <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/07/03(金) 00:11:24.94 ID:tCycgQSA0<>
(; ω )「そう、させてもらうお」

(;><)「ブーン……」

(; ω )「…………」

ビロードに見向きもせず、ブーンは部屋を後にした。


ガイル「隊長、止めなくていいのかよ……?」

( ゚∀゚)「放っておけ……クソッタレめ……」

重く、息苦しい空気が皆の肩に圧し掛かる。
皆が魂を打ち抜かれたような表情を浮かべ、
ブーンの出て行ったドアを虚ろに見つめているのみである。

誰一人として言葉を発しようとはせず、時間だけが虚しく経過してゆこうとした時。


――ピリリリ、ピリリリ。
前触れ無く、似通った機械音が同時に鳴り響く。
ツンと、ハインリッヒの腕に巻きつけられている、携帯端末からだ。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/07/03(金) 00:12:54.64 ID:uGcPPVlDO<> 支援 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/07/03(金) 00:12:57.24 ID:E2rWKs0iO<> 支援支援 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/07/03(金) 00:13:42.57 ID:rv7+meRjO<> 支援 <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/07/03(金) 00:14:56.31 ID:tCycgQSA0<>
同時に、

「ツンさん! 議会より入電です! 繋ぎます」

部屋に飛び込んで来たスタッフの一人が口早に告げ、
手馴れた手つきながらも慌てた様子で、壁の大モニターを起動する。


「ツン君! おお、ハインリッヒ博士もそこにいたか!」

ξ゚听)ξ「モナーさん(委員長)?」从 ゚∀从

モニターに現れたのは、皆が一度は顔を見たことのある人物。
人類保護委員会の委員長、モナー・ヴァンヘイレン。
年老い白くなった髪を全て後ろに流し、髪のかかっていない顔に白い眉と髭をこさえている。

(;´Д`)「2人とも、いや! 全員聞いてくれたまえ!
      ここマンハッタンに向け、多量のセカンドが接近している映像をアルドボールが捉えた!
      30分後にはマンハッタン区内に到着するだろう! 戦闘員はすぐに出撃の準備を!」

ξ;゚听)ξ「何ですって!?」

(;'A`)「突然そんな、何処から来たんだよ!?」


(;´Д`)「……ボストンだ!」 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/07/03(金) 00:16:22.36 ID:qNACgLHIO<> なにいいいいボストンだとおおおおおおお <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/07/03(金) 00:17:00.07 ID:uGcPPVlDO<> まじか <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/07/03(金) 00:17:32.72 ID:E2rWKs0iO<> 熱くなってきやがった <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/07/03(金) 00:17:53.62 ID:tCycgQSA0<>
从;゚∀从「ボストンだってぇ!?」

ガイル「核とはいえ、あの程度の規模じゃ壊滅に至らなかったか……?
     いやしかし……奴等はあのセカンドだ……」

(;´Д`)「厳密に言えばマサチューセッツ中のセカンドが、だね。
      放射能を避け、南下して来たのかもしれん……それに、」

(;'A`)「それに……? 何だってんだよ……?」


(;´Д`)「今、映像を出す。見てくれたまえ……先頭を行く者だ」


モニター中央に一枚のウィンドウが展開し、映し出される。
流動的に進軍する異形に次ぐ異形……目では到底、数など追う事が不可能な大軍隊だ。
鮮烈な青空が奇怪な色で覆い、人の残した文化である大都市を破壊しながら這いずり、
映像で体感する速度よりもずっと早く、ニューヨークに向っている。


(;´Д`)「私もコイツに見覚えがある。つい先日、見たばかりだったからね。
      身が震えた……セカンドとは、こうも恐ろしいものなのか……」

徐々にカメラがクローズアップされ、圧倒的規模の大軍隊を先導する者がクリアになる。


ξ;゚听)ξ「嘘……でしょ……」

(;゚∀゚)「馬鹿な……死んだはずでは……」 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/07/03(金) 00:19:56.59 ID:NmVx/aspO<> こ ん な 時 に 限 っ て
<> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/07/03(金) 00:19:59.71 ID:qNACgLHIO<> どっちだ!? どっちが来るんだ!? <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/07/03(金) 00:20:13.84 ID:tCycgQSA0<> ※


マサチューセッツ中のセカンドが接近。
『セントラル』にとって未曾有の規模で迫る大軍を率い、街を往く者は――、


「ブーン……ブーン……!」


「ブーン!! 貴様ハ!! 貴様ダケハこの手で殺しテやル!!
 次こそは貴様ニ絶望を味あわせテやる……!」




(//‰゚) 「シィ……しぃ!
     待っていテ……俺もスグにそっチへ逝くから……!!
     殺す! 殺す! コロシテヤルぞ、ブーン!!」


――数日前、核の炎で焼かれたはずのセカンド、ギコ・アモットであった。


                                第22話「Return of......」終 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<>sage<>2009/07/03(金) 00:21:20.27 ID:q/5LvqSSO<> 良いところで...



乙 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/07/03(金) 00:21:23.85 ID:uGcPPVlDO<> なんという・・・
乙 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/07/03(金) 00:22:05.71 ID:Q6CknmxbO<> 乙ですた <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/07/03(金) 00:22:29.61 ID:qNACgLHIO<> ギコ……なんで生きてんだ……

続きが気になりすぎる展開だ。頑張ってくれ! <> おまけ
◆jVEgVW6U6s <><>2009/07/03(金) 00:23:12.34 ID:tCycgQSA0<>
(//‰ ゚)「リターンしたところで悪いんですけど、今すぐ日本に帰らせて頂きますね」

::(ヽ゚ω゚)::「帰らないで! 本物のサイボーグの君を呼び戻したのは
       街狩りの収録だけが目的じゃなくtt」

(;//‰ ゚)「帰ります! 帰らせてくださ〜い!!」

::(ヽ゚ω゚)::「話を聞いてくれお!! ギャラは2倍出すお!!
       だからこのガチホモ達をどうにかしてくれお! 頼むおイボ太郎! いや――」

::(ヽ゚ω゚)::「サイボーグ横堀!!」
            (~)
  キッ!     γ´⌒`ヽ 何を堀るんだって!?
_____∧,、 {i:i:i:i:i:i:i:i:}_________
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`'` ( ´・ω・) ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

::(ヽ゚ω゚)::「ひいいいいい!!」

(;//‰ ゚)「ひ、ひえ、こ、こっちに来ないでくださ〜い!!」

(´・ω・`)「レッツくそみそ」

(;//‰ ゚)「ひ、ひいいい、うわ、ブーンさん助けアッ――――!!」

::(゚ω゚)::「誰か助けておーん」

                          〜続く・・・?〜 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/07/03(金) 00:23:42.50 ID:NmVx/aspO<> どうなるのこれぇええぇ

乙です <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/07/03(金) 00:23:52.15 ID:E2rWKs0iO<> イボ……
乙っした <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/07/03(金) 00:24:24.73 ID:qNACgLHIO<> オマケがいっつも酷すぎるwwwwww

改めて乙でした <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/07/03(金) 00:28:43.96 ID:tCycgQSA0<> お久しぶりです。約2ヶ月ぶりとなってしまいました。
本当はもう少し早く投下できたんですけど、少しの間規制されてました。
規制の間に書き溜めも少々……なので次はそんなに遅くはならないと思います。

支援お疲れ様でした&ありがとうございました!

ということで、また次回。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/07/03(金) 00:28:58.92 ID:yVDAJw/I0<> 乙 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/07/03(金) 00:30:30.88 ID:nd/NtjuXO<> 乙ー <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/07/03(金) 00:31:39.10 ID:qJ3xw5EeO<> 乙。この主人公のヘタレ具合は現行でもトップクラスだぜ <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/07/03(金) 00:38:01.65 ID:tCycgQSA0<> すみません、修正です。

>>183 18行目
× 鮮烈な青空が奇怪な色で覆い、人の残した文化である大都市を破壊しながら這いずり
○ 鮮烈な青空は奇怪な色で塗り替えられ、人の残した文化である大都市を破壊しながら這いずり


お目汚しをば・・・では、おやすみなさい。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/07/03(金) 01:01:23.39 ID:OVySdqa/O<> 来てた!
よむほ <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/07/03(金) 01:23:31.84 ID:cu5tNl6YO<> ほ <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/07/03(金) 01:49:40.18 ID:kpnPlr63O<> 今一番好きな現行だ <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/07/03(金) 01:52:54.05 ID:cf5+b+kSO<> よむほ <>