◆jVEgVW6U6s <><>2009/02/25(水) 22:59:17.71 ID:gSvVpcZR0<>
  〜>>1の座を賭け、2人の戦いがはじまった!〜

                r,''ヘ_  
              _,,,,_⊂-くノ`ヽ,
          _  〆_゙'ir''⌒"  )
         ξ⊂!  っ》`   く ∠___
         .''\ノ''''‐`` i、 ,ノ  │,-ヽ7=、、 ,,rー'"`-、
           \_゙l、,,,_,/i゙、 ,ノ 〈 ゛  `ヌ⌒ )/=i、 l
                 `゙゙'''"`'ミ--/-,_  ´ /"  `''
                        \ .,,、`lニン-゛
                      \__ノ

      ___
    _ ┐  /      ( ^ω^)は街で狩りをするようです 第18話 投下します         
    / 'rlご ┥ .,,,、    まとめはコチラ! 内藤エスカルゴさん
    |  |゙ `jエ |〈゙',)   http://www.geocities.jp/local_boon/boon/Hunt/top.html
    ゙l,,,i´ /,/,ノ"r
   ,r_,ノ''こ!、,,┴.
   |  ‘''く′ ,/ │
  .r'ヘ,、  `'イ゙>'"
  .厂|,`'-,,  .|'ヽ、


( ^ω^)「これはもう終わってるだろ」 <>( ^ω^)は街で狩りをするようです
◆jVEgVW6U6s <><>2009/02/25(水) 23:01:00.36 ID:gSvVpcZR0<> 登場人物一覧

――― チーム・ディレイク ―――

( ^ω^)B00N-D1:通称ブーン、本名不明。年齢20歳。戦闘員。
      セカンドに対する強い免疫を持つ強化人間「システム・ディレイク」。
      人類が発見されたボストンに到着し、現地の人々と接触する。
      アニーからセカンド狩りを頼まれ、スネークと共に地下倉庫へ向った。

ξ゚听)ξツン・ディレイク:年齢19歳。チームリーダー。
       ブーンを強化人間に改造した弱冠19歳の天才科学少女。
       過去セカンドに襲われ両腕を失い、義手を着用。貧乳。嫌煙家。
      父親サイボーグ技術の権威であるフィレンクト・ディレイクを父に持つ。

('A`)ドクオ・アーランドソン:年齢21歳。武器開発担当。
   豊富なアイディアで強力な武器や乗り物を開発し、ブーンの戦闘をサポートする。
   ツンをからかうお調子者の変態。空気を読まない。
   ショボン、阿部と共に、「クー・ルーレイロ」なる人物とクローンシステムの真相を暴こうと企む。 <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/02/25(水) 23:02:50.61 ID:gSvVpcZR0<> ――― ボストンの人々 ―――

( ´_ゝ`)アニー・サスガ:26歳。サイボーグ技師。
      セカンドウィルス拡大に備え、ハーバード大学の地下研究区域を改造。
      ボストンにウィルスが蔓延して以来、5年の時を地下で過ごす。
      セカンド化した弟「オットー」に対し、“System-Hollow”と抗体で治療を試みている。

(*゚ー゚)シーケルト・ゴソウ:26歳。サイボーグ技師。通称しぃ。
    学生時代、生物工学においてサイボーグ技術を学んだ美しき秀才。
    地下生活前から同期のアニーとは恋人の関係にあるが、
    オットー、ギコらを含めた複雑な四角関係の中心人物であった。

(,,゚Д゚)ギコ・アモット:26歳。戦闘用サイボーグ。
    元シーケルトの恋人であるが、現在はサイバーウェアによって心を失った戦闘用サイボーグ。
    サイバーウェア“System-Hollow”を搭載し、感情に囚われない合理的戦闘を可能にするが、
    いずれ自立的な行動を取れなくなるという弊害があるのでは、というスネークの推測もある。

( ><)ビロード・ハリス:9歳。
     アニー達と地下研究区域で生活してきた孤児。
     過去、セカンド蠢くボストンにて、スネークによって助けられる。
     ブーンとは異なる強力な免疫細胞を持っており、免疫はウィルス感染予防などに役立たれている。

ソリッド・スネーク:本名、年齢共に不明。通称スネーク。戦闘用サイボーグ。
          元傭兵という事以外に不明な男。
          唯一の喫煙者である彼は煙たがられ、追いやられている。
          現在、ブーンと共にセカンド討伐に向かう。 <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/02/25(水) 23:05:12.35 ID:gSvVpcZR0<>
第18話「鉄殻の千足」


地下研究区画にやって来たブーン達には、「目的」が2つある。
まず言うまでも無く、地下研究区画に蔓延る悪しきセカンドどもを駆逐する事である。
これに付随する形で、アニーは「食料等の資材を確保したい」という願いを依頼に込めており、
この「物資確保」がブーンの第2の目的となっているのだ。

セカンドを掃討することで、後者も達成することが可能となるのだが――


( ^ω^)「オッサン、アニーの言ってたコンテナって……あれかお?」

ブーンが尋ねながら指差したのは、巨大コンテナ。
コンテナと呼ぶには少し大きすぎるのではないだろうか、とブーンは思う。
倉庫の中に倉庫がある、分かりやすく表現するなら、それが相応しいだろう。

スネーク「そうだ……しかしあれは……?」

コンテナには、そう小さくはない歪な丸穴が無数に開けられている。
アニーが作戦会議時に提示した重厚なコンテナの姿は、もはや見る影も無い。
「ケリ」の一つでも入れてしまえば音を立てて崩れそうな、そんな脆さをも感じさせる風貌だ。
このような外見であっては、物資など安心して詰め込めそうにないと、ブーンは思う。 <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/02/25(水) 23:07:35.99 ID:gSvVpcZR0<>
『――若いの、音を立てるなよ』

ブーンは、何処からともなく流れた声に驚き、両肩を跳ね上げた。
不意にブーンの頭の中に流れたのは、スネークの声だった。

スネーク『何を驚く? 無声通信できるだろう?』

(#^ω^)(急にテレパシーすんなおヒゲオヤジ!)


急に頭の中で喋りかけられたブーンは、スネークをキッと睨み付けた。
スネークは驚かすつもりが無かったのだが、ブーンは腹を立てるのだった。
そんなブーンに構いもせず、声を出さずにスネークはいつもの調子で続ける。

スネーク『どうやら奴等、最悪な事にコンテナに棲みついちまったらしい。
      暗視からサーモグラフィに切り替えて、見てみろ』

( ^ω^)『集音と熱源検知の機能で既に確認してるお……こりゃ酷いお』

別に目視する必要は無いが、スネークの言われた通りに、ブーンは視界モードを切り替えた。
デジタリーな緑色に覆われた世界に、警告を促す効果を持つ色――真っ赤な色が点々と打たれている。
そう、セカンドの熱量反応だ。

( ^ω^)(ぬう、物凄い数だお……)

穴から覗けるコンテナ内部のずっと奥、そこで小さな「点」が蠢いている。
小さいが、しかし文字通り無数。
左目が見える範囲で自動カウントしてくれているが、
数が3桁を突破したところでブーンはうんざりし、カウントを中断させた。 <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/02/25(水) 23:09:45.42 ID:gSvVpcZR0<> 2人は、周りに点在する他のコンテナに注目する。
巣と化していないで欲しいと願いつつ視線を向けるが、案の定、
どのコンテナにも奴等の出入り口が形成されているのである。

( ^ω^)『既にコンテナは奴等の巣……食料は奴等の餌だお』

穴から覗けるのはセカンドだけではなく、
食料などの物資を収納していると思われる、数多くの合金製ボックスも確認できる。
しかしながら、どのボックスも食い破られた形跡があり、
まともな形を保っている物は一つとて無いようである。

スネーク『奴等、かなり数を増しているようだ。
      コンテナ1つにつき、数百匹のムカデが詰まっていると考えると、ゾッとするな』

スネークの言うとおりだと、ブーンは思う。
奴等“ムカデ”の規格は大きくは無いが、昆虫と言うには少しばかり大きい。
どの程度の速さなのか、硬さなのか、獰猛さなのか――、
直接対峙しない限り情報は得られないが、少なくとも物量だけは圧倒的である。

数百、いや、全コンテナが巣となっているのならば、位は千に届くであろう敵の総数。
大規模な軍勢に対し、狩人はたったの、2人。

( ^ω^)『でも、やるお! オッサン!』

しかしブーンは、力強いメッセージをスネークに送信した。
ブーンのコンピュータにも脳にも、「撤退」のアイディアは浮かび上がらない。
あるのは「殲滅」の二文字のみ。 <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/02/25(水) 23:12:38.20 ID:gSvVpcZR0<>
( ^ω^)(不利な戦いになるお……でもセカンドを野放しにできないお!)

ブーンが懸念するのは、『セントラル』からの救助は未定であり、
それに決して期待できるものではないという事である。

救助に伴う戦闘員や兵器の減少というリスクに対し、議会長は慎重……臆病とも、言えるだろう。
『セントラル』の保安が脅かされるのならば、荒巻は容赦なくボストンを見捨てる。
それは、アルドボール打上げ作戦時において、ブーン自身が身をもって感じた荒巻の性質である。

( ^ω^)(そうなるのだったら……)

ならば、自分やジョルジュらを救った時のように、チーム・ディレイクが動けばよい。
チーム・アルドリッチも、不仲を解消した今なら協力してくれるだろう。

それまで自分のすべきことは、セカンドの掃討と、住民の保護。
ツンの指示にもあったように、今は大学の安全確保に努めるのみ。


誰一人とて死なせないのが、ブーンが自ら背負った使命なのである。


スネーク『強気だな。何か良い作戦でもあるのか?』

ブーンのギラギラした目を見て、スネークはブーンが強気であると感じた。
使命感から感情を高ぶらせているブーンに対し、スネークは至って冷静である。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/25(水) 23:13:52.42 ID:iiUvdgucO<> 支援 <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/02/25(水) 23:15:30.60 ID:gSvVpcZR0<> 使命感に思考を掻き立てられていたブーンだが、
肝心の具体的な攻撃方法などは、全く考えていなかった。
冷静なスネークに習い、煙草を咥え、一時気持ちを落ち着かせようとした。

( ^ω^)『オッサン達が保有している物資は、全く余裕が無いのかお?』

火をつけ、吸煙と排煙を数度繰り返したところで、ブーンは尋ねた。

スネーク『普通に生活して3週間、節制して1ヶ月半といったところか。それがどうした?』

( ^ω^)『物資が全て奴等に喰われたとは限らないけど、恐らく残っていても汚染されてるお。
       それに、あまりにも敵の数が多すぎるお……ここはコンテナごと奴等を攻撃してしまうお。
       あんな中に入って攻撃するなんて、無謀にも程があるお』

スネークはバイクに備え付けている灰皿に煙草を押し付けると、
よく手入れされた顎の髭を擦りながら、スネークはブーンに返した。

スネーク『……確かにな。
      若いの、『セントラル』は救出作戦は検討しているんだろうな?』

( ^ω^)『何が何でも皆を『セントラル』に連れて行くお。保証するお』

スネーク『なんだそりゃ? まるで答えになっていないじゃないか。
      それにお前がどう保証するのかも分からん……まぁ、いいだろう。
      少なくとも、俺はお前を信用している』

作戦の了承を伝えた後、スネークはバイクのハンドル部に付いているパネルにタッチする。
風の抜けるような静かな音を伴い、バイクの後部ボディが縦に開かれた。
スネークは開かれたバイクの中に手を入れ、黒光りする巨大な銃を引き出し、ブーンに見せてやった。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/25(水) 23:16:45.66 ID:6c7wT1oyO<> 待ってました! <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/25(水) 23:17:01.24 ID:1mZIXkJIO<> 支援 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/25(水) 23:18:36.93 ID:6c7wT1oyO<> 支援 <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/02/25(水) 23:18:42.57 ID:gSvVpcZR0<>
( ^ω^)『おお、ずいぶんゴツい銃だお』

銃というより、砲と呼ぶべき大きさである。
トリガーを持つスネークの腕を覆うような形状から、「巨大な盾」を連想させる武器である。
大口径の2連式の銃口、サイトやスコープの変わりにあるのはタッチパネルとスクリーン。
とても指一本では引けそうにも無い大きなトリガーの付近には、色形様々なスイッチが埋め込まれている。

銃身の末端には、バイクから弾薬を補給するための細く柔軟なベルトコンベアが無数に伸びており、
それぞれ極小の弾丸から拳大の弾丸、砲弾のように大きな物まで乗せられている。

スネーク『今はフルオート式のグレネードランチャーだが、
      マシンガンからスナイパーライフルまで姿を変えられる万能兵器だ。
      通常弾から麻酔弾、アシッド弾などをバイクから補給し、それらをコレ一つで使い分けられる』


スネーク『そして、コンテナ一つ吹き飛ばすくらいの威力は十分にあるッ――!』


スネークはニヤリと笑ってそう言うと、銃口を正面のコンテナに向けた。
トリガーにかかった4本の指が、僅かに動いている。

( ^ω^)「おま――――」

ブーンが口を開いたと同時、スネークはトリガーを握り込むようにして引いた。
ブーンの肉声は、グレネードの連射に伴った何発もの重い響きと、
それらがコンテナを焼き尽くす轟音によって掻き消された。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/25(水) 23:20:57.15 ID:hvflDg95O<> 寝る時に来やがる……!作者頑張れ
まとめで読ませてもらうぜ <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/02/25(水) 23:21:01.68 ID:gSvVpcZR0<> 見る見るうちに、コンテナが燃える。そして、溶けてゆく。
外壁や支柱が崩れ始め、巨大なコンテナはメキメキと悲鳴を上げながら潰れた。
元々穴だらけにされてしまい脆くなっているのだ、倒壊も早い。

そして崩れたコンテナから、何かが這い出て来た。
ブーンは、さっとBluemachingunを取り出して構えた。

( ^ω^)(アレが“ムカデ”……!)


――文字通り「蟲」が湧いたのだ。

その無数の足をゆっくりと動かし、コンテナから離れてゆく。
そして大半は、我が家を燃やされた事よりも、目前に見える“餌”に関心を持つのだった。
餌であるブーンとスネークに気づくや否や、多量の“ムカデ”どもが素早く地を這い始めた。

“ムカデ”は、あの昆虫のムカデがそのまま大きくなったような外見をしている。
頭部は深紅、胴体はワインレッド、間接はピンク、そしてムカデ特有の足は黄色と派手な色を持っているが、
それは恐らく何かしら警戒を発する為の色なのであろうと、ブーンは判断する。


《キィ――きキイき―――ギ――ッ》

金属同士をこすり合わせたような甲高いノイズが、空間を包む。
ブーンは左目でムカデを捉え、心拍数や血圧を測定する。
ブーンの視界に映るモニターの数値は、セカンドが酷い興奮状態にある事を指し示している。 <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/02/25(水) 23:23:35.99 ID:gSvVpcZR0<> やはりそれは、ストレスによるものではない事を提示している。
食欲を満たそうとする時の、セカンド独特のパターンだ。

(#^ω^)「やっぱり思った通りだお! 全然効いてないじゃないかお!!
       コンテナぶっ飛ばせてもセカンドぶっ飛ばせなきゃ意味無いお!」

ブーンは無声通信を切り、肉声で悪態を吐いた。
スネークは、誤魔化すように頭を掻いた。

スネーク「ふむ……しかしな、あれでも効いているらしい。
      ギコのデータによれば、本来ならば動きはもっと早い」

(;^ω^)「つってもコイツら!」

既に“ムカデ”どもは、ブーン達の目前に迫っているのだ。
本来の動きではないとはいえ、その歩行速度は脅威である。

弾丸の如く直進する“ムカデ”の大群。
騒ぎを聞きつけた“ムカデ”がコンテナから這い出、
徐々に徐々に、倉庫の地面はワインレッドで埋め尽くされてゆく。

スネーク「チッ、やるぞ! 若いの!」

スネークの攻撃を合図に、戦闘は始まった。
2人は倉庫出入り口を背に、猛スピードで迫る“ムカデ”どもを迎撃する―――― <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/25(水) 23:25:54.72 ID:dPn4qfVEO<> キテタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!

支援 <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/02/25(水) 23:26:26.81 ID:gSvVpcZR0<> ※


(,,゚Д゚)(始まったか)

雷鳴と大地震が起こったかのような、轟音と震動。
それらが、静寂した倉庫外で待機するギコに、戦闘の始まりを告げるのだった。

合わせるようにして、ギコの携帯端末が慌しく鳴った。
戦闘が始まった事に気づいたのはギコだけではなかった。

『ギコ、ここまで物凄い震動が伝わってきたんだが、大丈夫か?』

ギコは、「応答」のパネルにタッチし、ホログラムモニターを展開させる。
宙に投影されたホログラムモニターに、アニーの顔が映っている。

(,,゚Д゚)「ああ。今のところ倉庫外には何ら被害は無い。
     中はどうなっているのか分からないが」

ギコは、ホログラム内のアニーに向って、淡々と告げた。

『そうか。ブーンは相当ハデにやってるらしいなぁ』

いつもの気楽な調子で、アニーが言った。 <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/02/25(水) 23:28:31.08 ID:gSvVpcZR0<>
(,,゚Д゚)「それにスネークもな」

『何!? スネークも行ったのか!?』

(,,゚Д゚)「ああ」

『作戦会議の時、姿がないと思ったら……やはり……』


短い沈黙の後、まあいい、とアニーは一言置き、

『これだけ激しい戦闘をやらかしているって事は、セカンドが成長若しくは増殖しているんだろうか?
 食料や物資が食い潰されたり汚染されていれば、かなり深刻な問題になってしまう……。
 クローンで培養しようにも、その為の物資が無ければ……』

(,,゚Д゚)「『セントラル』が救助に来るんだろう?」

『ああ、らしいが……しかし……』


(,,゚Д゚)「そうか、お前の実験か」

『そうだ……『セントラル』があいつを受け入れてくれるかどうか……。
 実験内容の誤魔化し方はいくらでも思いつくんだがな。
 問題は受け入れてくれるかどうか、だ……』 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/25(水) 23:28:46.16 ID:DL+8SJdtO<> ずっと待ってたんだからね!! <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/25(水) 23:29:57.35 ID:6c7wT1oyO<> 昆虫シリーズ、ムカデか…… <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/02/25(水) 23:31:38.12 ID:gSvVpcZR0<> ※


スネーク「ッ!」

スネークの腕を包むランチャーから、いくつもの砲弾が飛び出す。
セカンドの硬い体表に直撃するや否や、爆発と共に夥しい量の酸が辺りに飛び散った。

《キイイイイイギイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ》

セカンドが叫喚する。
今度は興奮から来る叫びではない、痛みを訴える絶叫だ。
しかし絶叫は、次第に声量を落としてゆき、最後はかすれ、消える。

強力な酸によって硬い甲殻を溶かされ、そして剥き出しの肉に酸が降りかかる。
徐々に肉体は液状化し、やがてセカンドはただの生臭い血溜りとなるのだ。

血溜りの上を、次のセカンドが走る。
すると血溜りに含まれる酸に足を焼かれ、“ムカデ”は血溜りの中で悶え苦しむ。
悶えている内に新たな酸を浴び、血溜りの血量を増加させる。
どろどろの血と肉の溜りから、咽るような悪臭が立ち上り続けた。

スネーク「くっ……数が多すぎる!」

それでも、“ムカデ”は怯まない。
何しろ、圧倒的な数である。
仲間ムカデを盾にするように、あるいは踏み台にして躍進し続ける者も多数いる。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/25(水) 23:33:47.83 ID:6c7wT1oyO<> 支援 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/25(水) 23:34:16.47 ID:fQsZxqHOO<> テラ久しぶり支援 <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/02/25(水) 23:36:27.41 ID:gSvVpcZR0<> 更に、倉庫内で検知されるセカンドの反応は益々増加していく一方である。
この倉庫に棲息する“ムカデ”ども全てが、2人のいる場に集結せんとしているような、
そんな反応をスネークのレーダー機能は捉えていた。
左の視界に浮かび上がる、グリーンカラーのレーダー。
倉庫を見下ろすように作成されたマップの上に、赤い塊が蠢き、沸き、広がる。

スネーク「若いの! キリがない! 空中に一度退避するぞ!」

(;^ω^)「無理だお! そんな隙もくれないおコイツら!」

スネーク「しかし、どうにか退避するべきだ! 喰い殺されるぞ!」

スネークは砲撃を続けながら、バイクを走らせようとした。
アクセルを捻り、分厚いエンジン音が爆発音と叫喚の中に入り混じる。

しかし、

スネーク「何故走らん!?」

タイヤが動かない。
タッチパネルを操作し、状態を確認するが、内部的に不具合は生じていない。
現に先ほどまで何事も無く動いていたのだ。


スネーク「これは……!?」

スネークは一瞬、タイヤに目をやった。
タイヤは、「泥色の何か」に覆われていたのであった。 <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/02/25(水) 23:38:26.81 ID:gSvVpcZR0<> ※ 時間は前後し、戦闘開始直後――


( ^ω^)(ムカデのセカンド……。
      そのままムカデが巨大になった感じだけど……)

ブーンは銃撃を継続しつつ、“ムカデ”をスキャンしていた。
“ムカデ”の身体構造や特徴をより詳しく知る為である。

頭部の2対の触角と、口器。
頭部一つに2つ開いている口器には、それぞれ長い牙が4本ずつ伸びている他、口内に突起を持っている。
この突起の内部は、粘性が見受けられる液体で満たされていた。

(;^ω^)(あれは!)

ブーンは「ある物」を“ムカデ”の体内に発見し、身震いする。
それは、“毒腺”である。

頭部に続く体節は顎肢となっており、この中に“毒腺”を持っているのは、
このセカンドのみならず、ムカデ特有の構造なのである。

ムカデは獲物に咬み付き、そして毒を用いて敵を捕食する肉食性の昆虫であるが、
人間がムカデの咬害によって死亡した例は無い。
しかし、セカンドウィルスによって組み替えられた毒ゆえに、解毒は不可能であろう。

ギコがこの毒について教えなかったのは、実は毒について誤った認識をしている為であった。
「ボストン」は有毒セカンドとの戦闘が経験無い。
つまりギコは、粘液で捉えられ、物量で迫られる事の方が重要だと判断したのだ。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/25(水) 23:39:44.60 ID:6c7wT1oyO<> スネーク! <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/02/25(水) 23:42:09.85 ID:gSvVpcZR0<>
( ^ω^)「はっ――!?」


敵の分析をしている真っ只中、コンテナを覆い包む炎から、
「泥色の何か」が多量に射出されたのだ。

広範囲で、断続的に、そして高速で飛来する泥色のそれは、“ムカデ”の粘液である。
ギコによれば「3メートル範囲に及ぶ」という粘液攻撃だが、実際の射程距離はそれよりも遥かに長い。
恐らく敵セカンドは成長してしまったのだろうと、ブーンは判断する。

ブーンは咄嗟に、粘液を撃った。
ブルーエネルギーを受けた粘液は、瞬時に蒸発して跡形も無くなった。
しかし、一つ消したところで新たな粘液が発射されてしまう。

( ^ω^)「捕まってたまるかお!」

BlueMachingunを持った右手に、力を込め、縦横無尽に腕を振った。
しかし我武者羅に銃を振り回しているのではない。
ブーンは、ウォーターガンのような攻撃を左目で追い、その一本一本に対し銃口を向けてゆく。
ブルーエネルギーの弾丸はどんぴしゃりで粘液に直撃し、次々に蒸発させてゆく。 <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/02/25(水) 23:45:33.69 ID:gSvVpcZR0<>
だが、“ムカデ”どもの粘液攻撃は激化してゆくばかり。

泥色の粘液と、蒼色の弾丸が飛び交う。
しかし、圧倒的に泥色が量を勝っている。
敵の攻撃は倍、倍、更に倍と、止まる事を知らないのだ。

(;゚ω゚)「うおっ!? これはヤバいおっ!!」

ブーンは煙草を吐き捨て、咄嗟に左腿のホルダーからBlueMachingunを取り出す。
蒼く煌く弾丸の量は2倍となり、弾幕という壁を成した。

それでも、かろうじて粘液攻撃を防げている、といったところだ。
いや、まるで弾数は足りていない。

粘液の迎撃に集中されてしまう為、肝心の“ムカデ”への攻撃が疎かになってしまうのだ。
スネークのアシッド弾は効果的な攻撃ではあるが、何しろ敵の数が多すぎる。
“ムカデ”は秒刻みで勢力を増大させ、物量で2人を追い詰めんとする。

状況は悪くなる一方。
ブーンが打開策を思案している最中、不意にスネークが叫んだ。

スネーク「若いの! キリがない! 空中に一度退避するぞ!」

(;^ω^)「無理だお! そんな隙もくれないおコイツら!」

スネーク「しかし、どうにか退避するべきだ! 喰い殺されるぞ!」 <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/02/25(水) 23:48:30.13 ID:gSvVpcZR0<> スネークは砲撃を続けながら、バイクを走らせようとした。
アクセルを捻り、分厚いエンジン音が爆発音と叫喚の中に入り混じる。

しかし、


スネーク「何故走らん!?」

バイクは、既に粘液に捕らえられてしまっていた。
“ムカデ”の粘液が、偶然スネークのバイクのタイヤに直撃したのだ。
低知能の“ムカデ”が狙ってやった芸当ではない。

数打てば当る、という事であろうか。
ブーンやスネークの迎撃が外れた粘液は、決して少なくない。


(;^ω^)「オッサン!?」

スネークの異変に、ブーンも気づいた。

ブーンは銃撃を続けながらバイクの遠隔操作を行い、
BLACK DOGを空中走行モードに切り替える。 <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/02/25(水) 23:51:21.96 ID:gSvVpcZR0<> 遠隔操作により、BLACK DOGは倉庫の奥へと飛ばされていった。
動く物全てが餌に見えているのか、大勢の“ムカデ”はBLACK DOGの方へ首を向けている。
中には、BLACK DOGを追う者まで。

( ^ω^)(よし! やっぱこいつら、頭悪いお!)

BLACK DOGは倉庫内をぐるりと飛んで周り、ブーンのいる位置に戻った。
生まれた敵の隙を突き、空中待機するバイクに飛び移る。

( ^ω^)「オッサン! バイク捨ててコッチに飛び移れお!」

スネークは、空中にいるブーンに向ってコクリと頷いて見せた。


スネーク(せめて武器だけでも……!)

トリガー付近に埋め込まれたタッチパネルを操作し、
スネークは砲とバイクを繋いでいる数本の給弾ベルトを外した。

もはや走行不能となったバイクから、ブーンに向って飛んだ。
だが“ムカデ”どもは簡単に獲物を逃がそうとはせず、空へ逃れるスネークを粘液で狙い撃ちし始める。
スネークは砲を火炎放射に切り替え、自分の体の前に火の盾を形成し、粘液を防ごうとするも――、


――にちゃ、とも、何とも言えない感触が、スネークを恐怖させた。
右足が、“ムカデ”の泥色の粘液に捕まってしまったのだ。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/25(水) 23:53:29.97 ID:6c7wT1oyO<> 支援 <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/02/25(水) 23:54:03.40 ID:gSvVpcZR0<> 粘液は、スネークの足と“ムカデ”の口を繋いでいる。
獲物の足を捕らえた“ムカデ”は、持ち上げた頭を思い切り振り下げ、獲物を地に落とそうとした。

スネーク「うおおおおッ!?」

空中で身動きの取れないスネークは、その引力に抗う術も無く、地に落下してしまった。
血溜りに落下し、黒いスーツが酸に焼かれ、煙を上げる。
まるで目印のように上がる煙――その目印を目指し、“ムカデ”全軍がスネークに押し寄せる。

這う、赤黒い蟲どもが這う。
だだっ広い倉庫の地面は、赤黒い巨大“ムカデ”が敷き詰めている。
まるで赤い地面が波打っているような、そんな光景である。

スネーク「まずい!」

酸のお陰で、足を巻きついてしまった粘液の粘性は、いくらか緩和されている。
地面にべたりとくっ付いてしまった足を、スネークは力尽くで引き剥がそうとしたが、
“ムカデ”は獲物を逃がそうとはせず、更なる粘液を吐き出して獲物を拘束せんとする。

スネーク「ぬう……ッ!」

全身に隈なく粘液が降りかかる。
もはや身動きは取れず、スネークはもがく事も許されない。

獲物の無様な様子に、“ムカデ”が歓喜して鳴き喚いている。
いや、正確にはセカンドウィルスが、なのだろう。
ウィルスの性質が、人間の血肉を渇望させるのだ。
――「喰え、喰うのだ我が主よ。力を、知恵を付けろ」と。

何体もの“ムカデ”がスネークに群がり、牙を立てる―――― <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/25(水) 23:55:17.59 ID:4BwpGBQVO<> 久しぶりだな支援 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/25(水) 23:56:42.96 ID:6c7wT1oyO<> スネークおわた <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/25(水) 23:57:05.21 ID:FhpDpAnHO<> 久しぶり支援支援 <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/02/25(水) 23:57:28.76 ID:gSvVpcZR0<>

『 オッサン!』


突然、ブーンの声がスネークの頭の中に鳴り響いた。
その直後、膨大な量の蒼い光が倉庫内を、いや、血のように濃い“ムカデ”の赤を包み込み、
遅れて巨大な爆発音が轟く。

ワンテンポ間を空け2発目、そして遅れて3発、4発目と、
フラッシュと爆発音がしばらく続いた。
その熱量に、空間が波打つように揺らぐ。

スネーク「これは……?」

気づけば、粉塵が辺りを舞っていた。
そしてスネークの機械仕掛けの耳に聞こえるのは、
弱弱しい“ムカデ”の金きり声だけであった。

全身に絡んでいた粘液も、その粘性をいくらか失っている。
スネークは力尽くで地面から体を引き剥がした。

スネーク「くそったれ、ムカデどもめ」

立ち上がろうとしたが、上手く体が動かない。
粘性は弱まっているとはいえ、まだ体中が粘液だらけなのである。

スネークは上半身だけ起こし、そして砲を構えた。
密閉された倉庫内に、粉塵の逃げ場は無い。
晴れる事の無い視界の中、スネークは機械の目で敵の様子を窺った。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/25(水) 23:57:33.43 ID:UM/MBSprO<> しえん <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/25(水) 23:59:07.57 ID:6c7wT1oyO<> 支援支援 <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/02/25(水) 23:59:28.97 ID:gSvVpcZR0<> 倉庫には、溶解した“ムカデ”の血肉で出来た海が広がっていた。
その海の上で、まだ血肉を沸騰させ悶えている“ムカデ”の姿が多くある。

やはり咽びかえる程に血腥いが、しかしクリーンな血肉の海である。
スネークのサーモグラフィには、殆どセカンドの熱量は感知されていない。

( ^ω^)「間一髪だったお、オッサン!」

BLACK DOGが、スネークの近くに降りる。

スネーク「何をやったんだ、若いの」

ブーンは、スネークに右腕を見せた。
手首は折れており、腕の中から無骨な黒い発射口が伸びている状態だ。

( ^ω^)「グレネードを撃ったんだお。発射するまで遅いんだお、これ。
      だから、ムカデがオッサンに気を取られてる隙に撃たせてもらったんだお」

ブーンは“グレネード”を計4発、上空から撃ち込んだのである。
結果、倉庫全体にブルーエネルギーは行き届き、多くの“ムカデ”を焼き尽くしたのだ。

「それにしても、帰ったらドクオに文句言わないと!」と、ブーンは地を蹴った。


スネーク「……何にせよ、助かった。お礼に煙草をやろう」

( ^ω^)「何がお礼だお。人から貰った煙草返すだけじゃねーかお髭!」 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/26(木) 00:00:23.92 ID:mus6JYKd0<>
〜昼休み〜

さっきはひどい目にあいましたが、ようやく本当に昼食タイムです。
先ほども述べたように、あたいはこの時間だけ、飢えた狂犬となってるんで、
あたいの食べる様を先輩方、どうか熱血と情熱でもって、気合入れてご鑑賞ください


ξ゚听)ξ ヒート、一緒に食べよう

ノパ听) マジあたい、飢えた狂犬になってるんで、そこんとこ重々に気を付けてご相伴ください

ξ゚听)ξ はいはい <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/26(木) 00:01:17.28 ID:AvNEA5k8O<> 誤爆すんなwwwwww <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/02/26(木) 00:01:41.29 ID:ShNZGMgd0<>
スネーク「フン……さて若いの、あとは残党狩りだな」

( ^ω^)「……と、行きたいところだけど」

2人は、煙草を咥え、火をつける。
煙を吸っては吐きを繰り返し、切れたニコチンを補給する。
ストレスは緩和されるが、緊張が途切れる事は無い。

何故なら、

(;^ω^)「もんの凄い熱量検知したお! 残党ってレベルじゃねーお!」

スネーク「やはりか……レーダーの故障ではなかったか……」


キュラキュラキュラキュラ――――

――倉庫最奥に位置する、最大のキャパシティを有するコンテナ。
そのコンテナの裏より、巨大なセカンドの熱量反応を、2人のレーダーは検知したのだ。

正体不明の大型セカンドは耳障りな音を立て、ゆっくりと現れた。
数珠のような体の部位が一つ外に出る度、体の裏側に隠していた足が伸びてゆく。
鉄のように硬い体や足が、金属製の壁と擦れ合い、キュラキュラという耳障りな音が倉庫内に隈なく響く。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/26(木) 00:02:47.66 ID:mus6JYKd0<>
すいません、誤爆しました。 <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/02/26(木) 00:06:52.94 ID:ShNZGMgd0<>
(;^ω^)「でけえお! どうやってコンテナん中入ってたんだお!?」

コンテナから尾が出、そのセカンドの全身が露になる。
眩いばかりの「銀色」が、壁を輝かせている。
余りにも巨大な為、コンテナから出た体を、倉庫の壁に這わせて出てきたのだ。

今しがた、数百ものセカンドと戦いを繰り広げた2人の屈強なサイボーグとて、
この大型セカンドには豆粒の如くちっぽけな存在に捉えられてしまうだろう。

スネーク「こいつがムカデどもの親か……?」

それ程に圧倒的な規格を持つセカンドは、やはり「ムカデ」の外形をしていた。
しかしながら、小さな種と異なるのは、やはり規格だけではない。

本来、歩行の為に存在する数多の足だが、上半身に生えたそれは剣のように鋭い。
黄金色に輝く「剣」は非常に長く、また細やかな髭を多く生やしており、
斬る、刺す、削るなど、様々な用途に使う事が出来ると考えられる。

顔面には、明らかに口と思われる器官が、左・中央・右と3つ備わっている。
どの口も、口内は細かい牙で埋め尽くされており、飲み込んだ者を瞬時にミンチにしてしまうだろう。

更に、小さな“ムカデ”と大きく異なるのが、毒腺の位置だ。
毒腺と思わしき器官は体外に位置している――ムカデには本来無いが、「目」にあたる部分、
そこの窪みから、先端に弁のある尖った赤黒い肉が左右に数多く伸びている。

器官を除く全てが金属的な銀と金で包まれた、“鉄殻のムカデ”は、
重たげに肥大した頭部を空に佇むブーン達の方へと近づけた。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/26(木) 00:08:14.44 ID:oixp9DoDO<> 支援 <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/02/26(木) 00:08:29.92 ID:ShNZGMgd0<>

《――!――――ッ!!――》


発したのは、言い表しようの無い叫喚。
ただひたすらに高く、大きい。常人ではとうに鼓膜を破壊されているであろう。
サイボーグである2人も、機械の耳に影響は無いとはいえ、
内臓を保護するプレートを突き抜けて伝わる音の振動に、顔を大きく歪ませた。

スネーク「クソッタレ! 馬鹿でかい声出しやがって!
      子をやられて怒ってるのか、こいつ?」

スネークは無理矢理体を地面から引き剥がし、
酸を含む血溜りの中を転がって粘性を除去する。
身動きが自由に取れる事を確認すると、すぐさま自分のバイクへ駆け寄った。

(;^ω^)「知らないお! でも凄い怒ってるっぽいお!」


《ギイイイキキイイイイ――――――――――――ッ》


顔面中央の大口を限界まで開け、ブーンに目掛けて頭を振るう。
不意の攻撃にブーンの心臓が飛び跳ねたが、咄嗟にバイクを捌き、
まさに間一髪のところで喰われるのを免れた。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/26(木) 00:09:29.15 ID:AvNEA5k8O<> やはり大型がいたか <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/26(木) 00:09:31.18 ID:A4IBB4ANO<> しえん <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/26(木) 00:11:07.01 ID:UScfNV1JO<> (´゚ω゚`)〈スネーク!奴を倒すんだ! <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/02/26(木) 00:11:49.08 ID:ShNZGMgd0<> ガションと、勢い良く口を閉じる音が連続する。
更に、セカンドは長い胴体を激しく振り回されており、ブーンの頭上を掠めている。
直撃してしまえば、間違いなく首は無くなるだろう。

(;^ω^)「あ、あぶねえお……早いおコイツ!」


スネークのエンジンが唸りを上げ、走り出した。
ブーンのグレネードにより、タイヤに絡んでいたセカンドの粘液は、殆ど蒸発したのである。

スネーク『若いの、2手に別れてコイツを攻撃するぞ。挟み撃ちだ』

スネークは兵器のタッチパネルを操作する。
バイクに内臓されてある弾薬庫から、一人でに給弾ベルトが伸び、そして兵器に接続する。
本来の姿に戻ったのを確認すると、まだ息の絶えない“ムカデ”目掛けてアシッド弾を発射した。
抗体で弱体化した“ムカデ”達は、断末魔を上げる間もなく蒸発してしまった。

(;^ω^)『オッサン、アンタは敵の後ろに回ってくれお!』

BLACK DOGが旋回、急上昇急降下を繰り返し、倉庫内を飛び回る。
時にはコンテナとコンテナが生む隙間――大型セカンドには狭い隙間――を走るが、
“鉄殻のムカデ”は自身の長い足を巧みに運び、難なく障害物を乗り越えてゆく。 <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/02/26(木) 00:13:44.86 ID:ShNZGMgd0<>
突然ブーンの機械の耳に、風を切る音が集音される。
瞬間、BLACK DOGは地に向って急降下した。

上空に目を向けると、そこにはクロスしたセカンドの足が。

(;^ω^)「か、間一髪……だったお……」

ブーンは、今頃になって心臓が跳ね上がるのを感じていた。
まるでハサミ、それも抜群に切れ味は良いはず。
判断が一瞬でも遅れていれば、首から上が無くなっていただろう。

ホルダーからBlueBulletGunを引き出し、構える。
完全に後ろ向きになってバイクに跨り、遠隔操作で操縦する。
上から降り注ぐ無数の足を一つ一つ避け、倉庫を走りぬく。

(;^ω^)「このやろっ! 喰らえお――ッ!」

銃口を、顔面は口内に狙いを定め、引き金を数度引いた。
弾丸は狙い通り口内に命中するが、“親ムカデ”は怯む素振りを見せない。
ブルーエネルギーが足りないのか分からないが、生半可な攻撃は通用しないようだ。

(;^ω^)(エネルギー量が足りないんなら!)

そう判断し、ブーンは、BlueBulletGunをやや乱暴にホルダーに突っ込んだ。
BLACK DOGのリアボディを開き、武器庫を一部展開させると、
球状のエネルギーカートリッジを2つ手に取る。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/26(木) 00:15:14.00 ID:AvNEA5k8O<> 支援 <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/02/26(木) 00:15:40.74 ID:ShNZGMgd0<> 強化皮膚が貼られていない無骨な右腕。
右腕の駆動系統がブーンの意志によって作動し、掌を開けた。
丁度、球状のカートリッジが入る穴が開かれ、ブーンはそこにカートリッジを落とし込む。

そして、掌を敵にかざした。

ガコン、という重い響きと共に手首が折れ、無骨なランチャーが現る。
モーター音の高鳴りと共に熱量が増大してゆき、
その2つが頂点に達した瞬間、発射口からカートリッジが撃ち出された。

(#^ω^)「――――死ねおッ!」

蒼色の軌跡が宙に描かれ、遅れて発射の際の爆音が轟いた。
耳鳴りに似た音が一瞬の間だけ倉庫に響いた後、蒼い爆炎が巻き起こった。

(;^ω^)「やったのかお……?」

煙と熱気が立ち込め、セカンドの熱量を測定するのを邪魔してしまっている。
その為、グレネードがウィルスを死滅させたのかどうか、まだ判断は出来ない。

だが、ある程度の情報収拾はサーモグラフィに頼らずとも可能だ。
ブーンはスキャン機能で煙を掻い潜り、敵の様子を察知しようとしたが、
それよりも早く不穏な気配を耳が感じ取り、それをブーンのコンピュータへと伝えた。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/26(木) 00:15:42.74 ID:VvdOI6NWO<> 寝れない 支援 <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/02/26(木) 00:18:18.32 ID:ShNZGMgd0<> ――キュラキュラキュラキュラ……

ブーンの耳に入ったのは、硬い甲殻が何かと擦れ合う音だった。
直後、ブーンはBLACK DOGを急噴射させ、敵から離れようとしたが、
既に“親ムカデ”は足の一本をブーンに向けて振り下ろしていた。

(;゚ω゚)「おおおおおおおおおっ!?」

無意識に“Booster”プログラムを起動させ、敵の足を右腕のナックルで弾いた。
しかし、BLACK DOGの噴射力は、敵の攻撃にふんばれる程、優秀ではない。
直撃こそ免れたものの、BLACK DOGごとブーンは地面へ叩き落された。

身体へのダメージは無い。
だが、ブーンはBLACK DOGから降ろされてしまったのだ。
大型セカンドを目の前に、一時とはいえ移動手段を失うのは、危機的状況にあると言える。

(;^ω^)「BLACK DOG!」

慌ててBLACK DOGを呼び戻すブーン。
横倒れになっているBLACK DOGは、
ブースターの噴射角度を調節し、再び空中へと飛び上がったが、


《ギシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア》

BLACK DOGがブーンの元へ到達するよりも、
“親ムカデ”の足がブーンを滅多刺しにする方が早い――と、
ブーンのコンピュータが、そのように状況を提示するのだった。 <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/02/26(木) 00:20:46.96 ID:ShNZGMgd0<> ブーンに目掛けて、次々に鋭い切っ先が風を切って走る。
そのいくつかの軌道(“親ムカデ”の攻撃軌道)はブーンを逃がさんとするものだ。
まるで檻のように四方八方を足で塞ぎ、退路を断とうとしているのだ。

ブーンは、第1、第2……第6撃と、切っ先を横転して、また鋸をサイドステップして回避したが、
金属の地面に“親ムカデ”の鋸のような足が突き刺さり、次第に牢獄が形成されてゆく。
既にブーンとBLACK DOGを分断させるかのように、ブーンの背後には厚い壁が聳えている。
だが、檻を作るよりも、“親ムカデ”は先に獲物の息の根を止めんとする。
続く第7撃は更に素早く、鋭く繰り出された。


(;゚ω゚)「ぬうううッ!」

しかしブーンは決して怯もうとはせず、BBBladeを腰だめに構える。

“親ムカデ”の足が急迫、ブーンのBBBladeの攻撃射程範囲に入る。
ブーンは、渾身の力を刃に伝え、鋸状のムカデの足に目掛け、斜に振るう――。

――振るった瞬間、ブーンの視界は高速で真横に流れた。
地に足を着く感覚は消え、風圧とGが体中を振るわせる。
そして腹回りに、何かに掴まれる感覚がある。


「さすがに今のは無茶だ、若いの。冷静になれ」

虚空から、聞き覚えのある声が流れる。
すると、ステルスモードが徐々に解け、スネークと彼のバイクが現れた。

(;゚ω゚)「お、オッサン! 助かったお!」 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/26(木) 00:21:36.92 ID:AvNEA5k8O<> ムカデTUEEEEEEEEEEEE <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/02/26(木) 00:23:06.38 ID:ShNZGMgd0<> 倉庫の壁際を、2人を乗せたバイクが走る。
獲物を取り逃し、怒り狂った“親ムカデ”は壁に足を突き刺し、
壁を這ってバイクを追いかけ始める。

スネーク「見ろ」

スネークはバイクのハンドルを捌きながら、“親ムカデ”の顔面に、2発のアシッド弾を撃ち出した。

しかし顔面への直撃は避けられ、砲弾は背中の殻に直撃する。
多量の酸が直撃箇所を覆うが、“親ムカデ”の殻は煙を上げる事すら無い。
酸が飛び散り、また滴り落ちたところの地面は瞬間的に溶解しているが。

怒りを覚えたのか、“親ムカデ”は足を振り落とした。
スネークはバイクをスライドさせて攻撃を回避し、すぐさま足目掛けて砲弾を放つ。
足の先が壁に刺さっている為、砲弾は難なく命中したが、殻同様、損傷は無い。

(#^ω^)「おおおおおおおおッ!!」

矢継ぎ早に、ブーンが、刃が放出しているBBBladeを思い切りぶん投げた。
超高速で回転し、強い遠心力を得たBBBladeだったが、
やはり刃が“親ムカデ”の足を分断させる事はなく、バチンと大きな音を立てて弾かれた。

スネーク「あらゆる攻撃を試みたが、奴の外殻や足は頑丈すぎる。まるで歯が立たん」

(;^ω^)「グレネードも効かなかったお」

スネーク「有効なのは口内への攻撃か、もしくはより強力な攻撃か……」 <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/02/26(木) 00:26:49.94 ID:ShNZGMgd0<>
( ^ω^)「より強力な攻撃……」

――――それは、存在する。
Boosterを併用したBBBladeによる斬撃。
貫通性能の高さを誇るSniperによる銃撃。
そして、自分の体にまでダメージを及ばせる最強の砲撃、BlueLazerCannon。

いずれかを実行せねば、ここから生きて脱出することは不可能だろう。
その武器は、今や遠く離れてしまっているBLACK DOGの中にある。
とにかく、まずはBLACK DOGと合流する必要がある。


(;^ω^)「オッサン! しばらくコイツの注意を惹きつけてくれないかお!?」

そう言い残し、ブーンはバイクから飛び降りた。
まだ倒壊していないコンテナの上に着地したかと思えばすぐに駆け、
コンテナの上から飛び降り、そして地を全力で駆けてゆく。

スネーク『一体何をするつもりだ若いの!?』

(;^ω^)『コイツをぶっ倒す武器があるんだお!
      バイクと合流して、攻撃準備から攻撃するまでの時間、敵の注意を逸らしてくれお!』

スネーク『いいだろう、お前を信頼する! 任せておけ!」 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/26(木) 00:27:46.35 ID:VvdOI6NWO<> しえん <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/02/26(木) 00:29:34.73 ID:ShNZGMgd0<> 2人は再び、2手に別れる。
移動速度の遅いブーンの方へと“親ムカデ”は頭を向けたが、

スネーク「お前の相手は、この俺だ」

不意の砲撃を受け、強力な酸に毒腺を破壊されてしまう。
本来ならば難なく捌けた攻撃であるはずだが、
今のは完全に意識が他の獲物に移っている時に攻撃された。
“親ムカデ”とはいえ、防ぎようが無かったのだろう。
“親ムカデ”は初めて悶え苦しんでいる姿を見せた。

スネーク「なるほど。やはり甲殻以外は脆いらしいな」

更には、今の攻撃を受けた事により、弱点を露呈してしまったのだ。
“親ムカデ”は身体を捩り、足を振り、叫び、怒りと痛みを表現する。
触角で砲撃の元を辿り、怒りの矛先を向けるべく相手に向けた。

繰り広げられるは、壮絶なチェイス――――。
無数の長い足が忙しなく動き続け、全長200メートルは越すであろう巨体が、流れるように走る。
片や、中年のサイボーグはバイクに跨り、空中を高速で駆け抜ける。
時には背後を振り返り、追ってくる異形の化物に砲弾を浴びせる。

当たり所によれば確かなダメージとなる砲弾であるが、“親ムカデ”はそうはさせない。
口から粘液を吐き出し、砲弾こと獲物を獲ってしまおうと試みるのだ。

スネーク「くっ!」

間一髪、スネークは粘液を回避する。
しかし休む事無く、次の攻撃はやって来る。
粘液を回避した所を狙い打つように、黒色の何かが飛んできたのだ。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/26(木) 00:30:58.30 ID:AvNEA5k8O<> 支援 <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/02/26(木) 00:31:56.38 ID:ShNZGMgd0<> 敵の右目に当る部分より、何かが撃ち出されたのだ。
粘液は口から吐き出された物、しかしこれは異なる器官より発射された物。

――つまりは性質が異なる。
粘液では無いとしたら、あの液体は何なのだろうか?

スネーク「チイッ!」

見当が付かなかったが、スネークは本能的に危険を察知し、バイクから飛び降りる。
瞬間、バイクは液体をもろに浴び、跡形も無く溶解してしまった。
どろどろに溶けたバイクは、敵の射出した未知の液体と同化し、スネークに向って降り注いだ。

スネークは地面に着地すると、すぐに地を蹴った。
一瞬遅れて液体が、スネークのいた地面に降り注ぎ、深い穴を開ける。
この時、液体が勢い良く降り注いだ為に、飛沫が八方に飛び散った。

その飛沫を避けようと、スネークは咄嗟にジャンプした。
だが、もはやスネークは追い詰められていたのだった。
移動手段を失った時点で、スネークは“親ムカデ”の接近を許してしまっていたのである。

即ち、“親ムカデ”はとうに射程内に入っていたのだ。
そう、獲物を串刺しにする為の射程に。
しかし“親ムカデ”はすぐに獲物を殺そうとはせず、
空中で身動きの取れないスネークに、粘液を吐き出し、捕らえたのであった。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/26(木) 00:33:33.29 ID:AvNEA5k8O<> スネークゥゥゥゥゥゥゥ <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/02/26(木) 00:33:51.59 ID:ShNZGMgd0<>
スネーク「ぐう……く……」

首の下から全てが粘液に覆われ、地面に張り付けられてしまった。
全身にいくら力を込めようともビクともしない。
やがてスネークの体に影がかかる。“親ムカデ”の巨体が作る影だ。

スネーク「クソッタレ! 動けん!」

“親ムカデ”は、身動きの取れない獲物を、じっと見下ろした。
そして、ゆっくり、ゆっくりと顔を近づけてゆく。

右手に持つ兵器のトリガーすら引けない。
全く身動きの取れない中、心臓だけが自由に動いているのを、スネークは感じていた。
あまりの恐ろしさに、まるで逃げ出そうかとするかのように心臓が動くのを。
思考を巡らせるが、脱出する術は思いつかない。


スネーク「ブゥ――――――――ンッ!!!!!」


従って、ただ仲間の名を叫ぶしかなかった。
いや、考え至って彼の名を叫んだのではない。
恐怖や焦燥が、彼を無意識の内にそうさせたのであった。

“親ムカデ”の口が開かれる――。
口内にビッシリと生やした牙を光らせ、スネークを粘液ごと喰らおうと。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/26(木) 00:35:27.64 ID:UVZLQuQ3O<> 支援 <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/02/26(木) 00:35:54.99 ID:ShNZGMgd0<> スネークの目の前で、闇が広がってゆく。
刻々と“親ムカデ”の口が近づき、喉奥に通ずる深い暗闇が見え始めたのだ。
そこから地鳴りのように低い轟々という響きが、スネークの恐怖を助長させる。


《ギィイイシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア》


だが突然、“親ムカデ”の頭が、擡げた。
まるで電流を流されたかのように、勢い良く。
しかも今日一番の叫喚を上げながらだ。

“親ムカデ”は悶えながらも、持ち上げた頭をぐるりと回し、触角を遠方に向ける。
が、触角の一本を根こそぎ何かに奪われてしまった。
1秒にも達しない僅かな間であったが、
蒼い軌道が“親ムカデ”の頭を掠めたのを、スネークの眼は見逃さなかった。

余りにも速く、鋭い攻撃だった為か、再び金切り声が上がるのは少し遅れてからだった。
プレートに守られた内臓まで伝わる叫び声が、倉庫に隈なく広がる。


……‥・ゥゥゥゥゥウウウウッ

それに負けじと、無機質なサウンドが徐々にボリュームを上げてゆく。

音の正体は、BLACK DOGというバイクが奏でる物である。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/26(木) 00:37:45.27 ID:AvNEA5k8O<> 熱くなってきたwww <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/02/26(木) 00:38:07.03 ID:ShNZGMgd0<>

( ゚ω゚)「スネ―――――――クッ!!」


黒塗りの尖ったバイクの上で、機械仕掛けの狩人はライフルを構えている。
そして、そのスコープ内で緑に輝くターゲットランプが赤になった時、
ブーンは躊躇無くSniperの引き金を引いた。

Sniperの3つ目の弾丸は、“親ムカデ”の頭をぶち抜いた。
大人の腕一本分の小さな弾丸であるが、敵の頑強極まる甲殻を突破し、
セカンドウィルスを死滅させる程の破壊力があるのだ。

針が刺さって出来たような傷口から、
微量の血液が流れ出た後、じゅくじゅくに溶けた肉がだらしなく垂れる。
だが、それも微量であり、身体的なダメージには程遠い。

しかしながら、敵の素早い動きは奪う事が出来たようだ。
相変わらず喉奥から喧しい声を響かせているが、そんな威勢とは対照的に動きは鈍重。
足一つ一つの動きを見ても、止まって見えるかのようだ。

スネーク『俺は無事だ! 奴の体温が低下している! やれ!』

( ゚ω゚)『オッサン! ああ、分かってるお!』

ブーンは、BLACK DOGの武器庫の中で、最も大きな「砲」に目をやる。
円筒状の白く長居砲の銃身には、“BLUE LAZER CANNON”と蒼い字で刻まれている。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/26(木) 00:39:01.38 ID:AvNEA5k8O<> 支援 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<>sage<>2009/02/26(木) 00:39:37.91 ID:sdh8XA5b0<> ブーンかっけえ <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<>sage<>2009/02/26(木) 00:40:10.80 ID:3+LH6sdiO<> 追い付いた
支援 <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/02/26(木) 00:40:59.20 ID:ShNZGMgd0<> 銃身を掴んで武器庫から取り出し、
手を包むように広がっているトリガー部に、ブーンは右手を突っ込んだ。
左手でトリガー部に埋め込まれたスイッチを押し込むと、
するとそこが裏返り、タッチパネルが展開する。

ブーンは忙しなく指を動かし、タッチパネルをタッチしてゆく。
敵が回復する恐れは十分にある、悠長に操作している場合ではないのだ。

操作に合わせ、Blue Lazer Cannonは本来の姿へと変貌してゆく。
トリガー部が更に開き、コードが現れる。
銃身の上部が開き、2つの極大銃身が左右に飛び出ると、
中心となっている銃身からエネルギーが放出され、それが左右の銃身を空中で繋ぎ止める。

トリガー部から伸びるコードを、ブーンは後頭部のサイバーウェアに接続した。
刹那、左目の視界にモニターが表示される。
内容は主に出力と、それによる身体へのダメージ率を提示したもの。

( ゚ω゚)(最大出力じゃ地下研究区画へのダメージも大きすぎる。
      ここを破壊せずに敵を倒すには――)

決定された出力は、本来の30%である。
ブーンのその意志はコードから砲へ伝わり、動力部が鳴動する。
3つの発射口から蒼い光が煌々と漏れ、次第に増大してゆく。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/26(木) 00:42:47.56 ID:AvNEA5k8O<> 久々のブルーレーザーキヤノンktkr <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/02/26(木) 00:43:50.39 ID:ShNZGMgd0<>
( ゚ω゚)「Booster!!」

更に右腕全体が、眩いばかりの光を帯び始めるのだった。
グレネードのエネルギーを利用した、右腕強化プログラムBoosterである。
身体へのダメージ率が変動してゆく。
ブーンの予想通り、Boosterの併用により幾らか身体へのダメージが緩和されるようだ。


砲撃の準備は整った。

射出コントロールはブーンの脳、つまりブーンの意志。
彼の意思によって引かれる引き金である。


( ゚ω゚)「死ッ――ねッ――――――!!」


コードより、BlueLazerCannonにブーンの意志が伝わる。

放たれた3つの巨大な蒼い帯が、“親ムカデ”の尾を貫いた。
金属製の地面ごと“親ムカデ”の頑丈な甲殻を溶解し、
内に詰まった血肉を一瞬にして蒸発させてゆく。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/26(木) 00:45:21.67 ID:WkSPTKvPO<> 支援 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/26(木) 00:45:38.95 ID:AvNEA5k8O<> 支援支援 <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/02/26(木) 00:47:45.95 ID:ShNZGMgd0<>
(;゚ω゚)「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」

更には、ブーンは蒼く輝く右腕を無理矢理に動かし、帯の軌道を修正してゆく。
光の帯は徐々に“親ムカデ”の体を蒸発させてゆき、
下半身に当る部分が無くなった時、それまで擡げていた上半身が地に落下した。


(;゚ω゚)「スネークッ!!」

近くに居たスネークが心配だったが、


スネーク『心配無い!』

何事も無い様子である事を知り、攻撃最中であったがブーンは安堵する。
同時にBoosterプログラムが終了し、右腕から光が失われたが、

( ゚ω゚)「まだだッ!!」

2個目のカートリッジを燃料し、Boosterを継続する。
そしてブーンは、残った頭部を蒸発させようと、帯の軌道を修正する。
殻も足も肉も液状化し、液状化した瞬間には沸騰し、そして気体と化す。
弱体化が進み、もはや足を動かす事も金きり声を上げる事すら敵わない“親ムカデ”は、
徐々に全身を蒼い浄化の光に包まれ、ウィルス諸共この世から消え去るのだった。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/26(木) 00:49:16.90 ID:AvNEA5k8O<> ブーンかっけえ <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/02/26(木) 00:50:50.25 ID:ShNZGMgd0<> 動力部の唸りが消えると、蒼い光も一緒に消えた。
攻撃終了というブーンの意志が伝わり、後頭部に差し込まれていたコードが独りでに外れ、
左右に展開する2つの発射口も、元鞘を成す中央の発射口の中へ戻っていった。

レーダーに“親ムカデ”の熱量反応は見受けられない。
勝利を確信したブーンは、BLACK DOGの上で白き砲を真上へと掲げ、

(;^ω^)「か、勝った……勝ったお――――ッ!!」

――勝ち鬨をあげるのだった。
その勝ち鬨は誰に聞かせる訳でもない。
ただブーンは、自分達の勝利を表現せずにはいられなかったのだ。


スネーク「ハッ、大した奴だ」

下からブーンの様子を見ていたスネークが、笑いながら呟いた。
今一度、粘液からの脱出を試みようと腕を動かすと、バリバリと音がたった。
偶然的に拡散した抗体を浴びた粘液は、脆く固体化してしまった為、
薄っぺらい紙のようになってしまったのだ。

豪快に粘液を破り、立ち上がるスネーク。
何はともあれ一服と思い、胸のパックから煙草とジッポを取り出し、火をつける。
すると、立ち上る煙に釣られるように、ブーンがそこに降りて来た。

スネークは何も言わずに煙草を差し出し、火をつけてやった。

スネーク「さあ若いの、今度こそ残党狩りで仕舞いだ」 <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/02/26(木) 00:52:37.27 ID:ShNZGMgd0<> ※

スネーク「しかし大した兵器だ。あれだけの大型種を倒せるとは」

激しいエンジン音が木霊す。
2人はBLACKDOGに乗り、残りの小さな“ムカデ”を撃ちながら倉庫を走り回っている。
スネークは右手に砲を、左手に煙草を持ちながら。
ブーンもまた右手に銃を、左手にラッキーストライクを持って。

( ^ω^)「頼れる仲間がいるんだお。メカオタクの」

スネーク「……なるほど。さぞかし良いパートナーなんだろう」

何故か、その声にはどこか懐かしさがあるように、ブーンには感じられた。
恐らく、昨晩話してくれたNGO団体の仲間を懐かしんでいるのだろうと、ブーンは思う。

( ^ω^)「なあオッサン、一緒に『セントラル』に来てくれお。
       オッサンとなら、どんなセカンドでも倒せる気がするお」

煙草を吸い、一息ついてブーンは続ける。

( ^ω^)「今回もそうだお。どんなに強力な兵器があっても、一人じゃキツイお。
       信頼できるパートナーがいれば、僕は安心して戦えるお」

スネーク「……そっちに着いたら、今度こそ療養生活を送ろうと思ってたんだが」

間を置き、続けた。

スネーク「いいだろう。ビロードを守る為だ」 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/26(木) 00:54:07.46 ID:AvNEA5k8O<> 支援 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<>sage<>2009/02/26(木) 00:55:06.83 ID:sdh8XA5b0<> やばいやばい
死亡フラグな予感じゃないか <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/02/26(木) 00:55:34.35 ID:ShNZGMgd0<>
( ^ω^)「そうかお! それに『セントラル』に行けばビロードくらいの子も沢山いるお!
       こんな廃校じゃなくって、ちゃんとした学校もあるお! ビロード、きっと喜ぶお!」

明朗な調子でまくし立てるブーン。
ブーンの後ろに乗っているスネークは、ブーンに見えないように微笑する。
一拍2拍置き、スネークは話題を切り替えた。

スネーク「……しかし若いの、オットーはどうなる?」

口には出さなかったが、流石は冷静沈着なスネークだとブーンは思う。
間違いなく救助作戦の実行は、感染者オットーがネックとなっているからだ。

( ^ω^)「分からないお。でも、受け入れてくれる可能性は……」

スネーク「ふむ、まぁとにかく今は、
      生きてこの倉庫を出ることだけを考えるとしよう」

( ^ω^)「……だお!」

――BLACK DOGをより速く駆けさせる。
引き金を強く引き、残党を次々に撃ち殺してゆく。

その中でブーンは、不思議と自分を締め付ける使命感が軽くなるのを感じていた。
何故ならそれは、「誰かを守る」という共通の意志を持った者と、
共に戦っているから、なのかもしれない――――。


                           第18話「鉄殻の千足」終 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/26(木) 00:55:54.87 ID:VvdOI6NWO<> 支援 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<>sage<>2009/02/26(木) 00:57:31.48 ID:3+LH6sdiO<> 乙 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/26(木) 00:57:33.33 ID:AvNEA5k8O<> スネークから死臭がするぜ…… <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/02/26(木) 00:58:13.38 ID:ShNZGMgd0<> >>1の続き
                r,''ヘ_
              _,,,,_⊂-くノ`ヽ,
          _  〆_゙'ir''⌒"  )
         ξ⊂!  っ》`   く ∠___
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                 `゙゙'''"`'ミ--/-,_  ´ /"  `''
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             j`'ー一'゙L.._   └ 、__ノ                     ノ    ,ノ
           {        `'                        `'ー一 '´
             ',     l_     ヽ
             >、     !`7'´   /
            _/  ` _,ノ  !`丶/
          /´ Y ""´   .r'7 (´
         \f三ヽ    `丶(二コ

ガイル「あ、やべ、技バケた! ソニックブームじゃねえよ! サマソだよ!!」

( ^ω^)「あーあwwwwwww」

ザンギ「もらったああああ!!」 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/26(木) 00:58:42.23 ID:UVZLQuQ3O<> おつ <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/26(木) 00:59:31.24 ID:UScfNV1JO<> 乙!作者はMGSが好きなのか? <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/02/26(木) 01:02:06.88 ID:ShNZGMgd0<>            r,''ヘ_
         _,,,,_⊂-くノ`ヽ,
        〆_゙'ir''⌒"  )
    ξ⊂!  っ》`   く ∠___
    .''\ノ''''‐`` i、 ,ノ  │,-ヽ7=、、 ,,rー'"`-、
      \_゙l、,,,_,/i゙、 ,ノ 〈 ゛  `ヌ⌒ )/=i、 l
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                  \ .,,、`lニン-゛
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            /   ,.ィ'Tヽ.{_`|`ヾァ . |
              |  l ヽ ,ノ   `二´ リ
               |.   ` - _,>─‐r‐-- イ
             j`'ー一'゙L.._   └ 、__ノ
           {        `'
             ',     l_     ヽ
             >、     !`7'´   /
            _/  ` _,ノ  !`丶/
          /´ Y ""´   .r'7 (´
         \f三ヽ    `丶(二コ

ザンギ「あ、ちょ、乗っかった!」

ガイル「おい! どけよカス! 死ね!!」

ザンギ「うるせえカリフラワー黙れ死ね!!」

( ^ω^)「続くwwwwwwwwww」 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/26(木) 01:03:44.39 ID:AvNEA5k8O<> 熱くて良いバトルだった。乙!

そういえば何話で完結の予定? <>
◆jVEgVW6U6s <><>2009/02/26(木) 01:10:08.26 ID:ShNZGMgd0<> お久しぶりです。春から生活ガラリと変わるので、今ちょっと忙しくって(;^ω^)
夜遅いのにたくさんの支援、ありがとうございました!
3月中にもう1話くらい投下したい・・・・。

>>91
MGS好きなんですよ。特にスネークが好き過ぎてつい出してしまいました。

>>93
今のところ何話で完結っていう予定はないです
今やってるボストン編が残り3〜4話ほど、ドクオの話があって・・・
そうやって順調に全部書いていけば、40話以上になっちゃうかも。うわあ恐ろしい <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/26(木) 01:13:20.14 ID:AvNEA5k8O<> 結構長いなw
ペースアップに期待してるぜ <>