( ^ω^)は街で狩りをするようです
- 1 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/07/20(日) 14:18:27.61 ID:aYFp660U0
- お久しぶりです。
まず、前回から3ヶ月ぶりの投下となってしまった事をお詫び申し上げます。
待っていてくれた方々には、本当に申し訳ないと思っています。
け、決して逃亡してたわけじゃないんだからね
とにかく執筆を再開致しましたので、改めてよろしくお願いします。
それでは第9話です。
まとめはこちら
http://www.geocities.jp/local_boon/boon/Hunt/top.html
- 2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/20(日) 14:18:44.68 ID:U+ykSSx90
- きたあああああああああああああああああああ
- 3 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/07/20(日) 14:20:02.17 ID:aYFp660U0
- 登場人物一覧
――― チーム・ディレイク ―――
( ^ω^)B00N-D1:通称ブーン、本名不明。年齢20歳。戦闘員。
セカンドに対する強い免疫を持つ強化人間「システム・ディレイク」。
クォッチとの戦いで右腕を失う他、身体機能を低下させる。
現在、ガイルと共にジョルジュの元へ向かう。
ξ゚听)ξツン・ディレイク:年齢19歳。チームリーダー。
ブーンを強化人間に改造した弱冠19歳の天才科学者少女。
貧乳。嫌煙家。
モララーの「白い兵隊」と共に自らブーン達の回収へ向かうことに。
('A`)ドクオ・アーランドソン:年齢21歳。武器開発担当。
豊富なアイディアで強力な武器や乗り物を開発し、ブーンの戦闘をサポートする。
ツンをからかうお調子者の変態。空気を読まない。
ツンと共にブーン達の回収へ向かう。
- 4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/20(日) 14:21:47.51 ID:k1Hy8DnnO
- うおおおおおおおお
待ってたぞおおおおおお
- 5 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/07/20(日) 14:21:56.47 ID:aYFp660U0
- ――― チーム・アルドリッチ ―――
从 ゚∀从ハインリッヒ・アルドリッチ:年齢23歳。チームリーダー。
対セカンド人型戦闘兵器「バトルスーツ」の理論提唱者であり、開発者である。
ツンと並ぶ天才科学者なのだが、プライドの高い両者は犬猿のライバル。
衛星「アルドボール」で、ブーンとガイルをナビゲートする。
( ゚∀゚)ジョルジュ・ジグラード:年齢35歳。戦闘員パイロット。
深紅のバトルスーツを操るバトルスーツ部隊隊長。
ブーン、ガイルと共に「セントラル」への帰還を目指すが、
途中セカンドに襲われ、セカンドウィルスに感染する。
ガイル:年齢33歳。戦闘員パイロット。
バトルスーツ部隊副隊長としてジョルジュをサポート。
クォッチとの戦闘により、機体を失う。
ブーンと共に行動中。
- 6 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/07/20(日) 14:23:24.09 ID:aYFp660U0
- ――― その他 ―――
/ ,' 3荒巻・スカルチノフ:年齢63歳。セントラル議会・議会長。
現議会長、元アメリカ空軍大佐。
任務と「セントラル」の為には非情になる男。
( ・∀・)モララー・スタンレー:年齢30歳。セントラル議会・議会長補佐
バイオテクノロジーの権威「ラウンジ社」の元社員で、優れた科学者。
自身の研究成果であるという「白い女兵隊」を従える。
( 〓 )白い女兵隊:白で統一したスーツに身を包んだ、モララーが有する謎の戦闘部隊。
顔はマスクで隠されており、年齢なども一切不明。
体型から、女である事だけ唯一分かる。
- 7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/20(日) 14:24:43.43 ID:k1Hy8DnnO
- 支援
- 8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/20(日) 14:25:58.36 ID:k1Hy8DnnO
- 支援
- 9 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/07/20(日) 14:26:14.82 ID:aYFp660U0
-
第9話「Hollow Soldier」
(;^ω^)「ジョルジュ隊長が…セカンドに咬まれた!?」
ガイル「な、なんだって……!?」
今現在、ジョルジュの元へ向かっているブーンとガイルは、
通信でハインリッヒが述べた事に、耳を疑わざるを得なかった。
セカンド観測用衛星「アルドボール」が作戦本部に送る映像の一つに、
ジョルジュ・ジグラードがセカンドウィルスに感染した瞬間を捉えた物があったのだ。
(;^ω^)「それで、ジョルジュ隊長は?」
敵地にいるにも関わらず、ブーンは声を大にしてハインリッヒに問う。
『傷は差ほど深くないみたいだが……。
今、ダストボックスに身を隠している』
弱弱しく、涙ながらにハインリッヒが告げた。
例えようの無い絶望感を感じさせるその声は、先の「クォッチ」の時と同様の物だ。
- 10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/20(日) 14:27:28.27 ID:k1Hy8DnnO
- 支援
- 11 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/07/20(日) 14:28:33.93 ID:aYFp660U0
-
(;^ω^)「ハインリッヒさん、諦めないでくだ――」
从#゚∀从『諦めるなだと!? バカ言え、B00N-D1!
一度ウィルスに感染すればセカンドと化すのは、
お前も十分知ってる事だろう!」
(;^ω^)「それは……」
声を荒げたハインリッヒの激しい呼吸音が、通信される。
ブーンは彼女に対して何と言えばいいのか分からず、うろたえた。
( ^ω^)「…………」
やがてブーンは、心の底からふつふつと湧き上がる罪悪感に支配され始めた。
セカンドであったとはいえ、ブーンはハインリッヒの兄を殺したのだ。
どんなに心を鬼にしようとも、「天国へ送る」つもりであっても、
誰かの肉親を殺すというのは、ブーンにとっても身が捩れるような思いなのである。
――僕は、自分ややツン、ドクオの両親を撃てるのだろうか?
そう簡単に引き金を引けるはずがない。
状況が状況なだけに動転していたが、
改めてブーンは、自分の所業に気づくのだった。
- 12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/20(日) 14:29:40.90 ID:k1Hy8DnnO
- そこでワクチンですね
- 13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/20(日) 14:29:53.14 ID:rR4ikSrL0
- スレタイみて我が目を疑ったぜw
これ大好きだから再開嬉しい
- 14 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/07/20(日) 14:31:47.88 ID:aYFp660U0
-
『アルドリッチ。落ち着きなさい。
まだジョルジュ隊長は間に合うかもしれないわ』
(;^ω^)「お、ツン」
ブーンを深く暗い思考から呼び覚ましたのは、ツンからの通信だった。
ツンは、ブーンやハインリッヒとは対照的に、あくまで毅然とした調子で話し始める。
ξ゚听)ξ『感染して間も無いのなら、セカンド化を防げるかもしれないわ』
从;゚∀从『う、嘘だろ?』
ξ゚听)ξ『本当よ。出来る限り早く“抗体”を注入すれば…可能性はある…』
从;゚∀从『抗体……本当にそんな物が?』
とても信じられないのか、ハインリッヒが聞き返す。
一度ウィルスに感染した生物が、セカンド化を免れたという前例は無いのだから、
疑うのも致し方ない事である。
- 15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/20(日) 14:33:11.82 ID:k1Hy8DnnO
- 支援!
俺も大好きなんだ
- 16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/20(日) 14:33:33.37 ID:m8sghECO0
- 支援
- 17 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/07/20(日) 14:33:51.68 ID:aYFp660U0
-
(;^ω^)「すぐに注射できる物を、僕が携帯していますお」
ブーンが煙草を入れてあるのと同じバックパックから、それを取り出した。
BlueBulletGunなどの兵器と同じ蒼色が輝くそれは、
針が無い円筒状の小さな注射器であった。
ξ゚听)ξ『厳密に言うと、ウチの兵器エネルギーでも使ってるブーンの免疫細胞の複製なのよ。
ただし、人体実験はおろか、動物実験もしてないけどね』
「へ?」と、ハインリッヒが間抜けた声を出したが、
気にせずツンは続けた。
ξ゚听)ξ『いくらブーンが外を調査しても、実験可能なサンプルが見つからないのよ…。
だから、これは本当に可能性の話なのよ。アルドリッチ。
抗体を注入した後の反応は、正確には分かっていないわ』
(;^ω^)「もしかしたら、ウィルスが死滅する時に激痛を伴ったり」
ツンが、ブーンの後に物々しく続ける。
ξ;゚听)ξ『……あるいは、死ぬかも』
- 18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/20(日) 14:36:04.49 ID:k1Hy8DnnO
- 支援
- 19 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/07/20(日) 14:36:48.90 ID:aYFp660U0
- ハインリッヒは、沈黙した。
目はどこを見ているのか分からず、薄く口を開けた虚ろな表情を浮かべている。
恐らく、頭が真っ白になっているのだろう。
そんな彼女の様子を見かね、ツンが説明を補って取り繕う。
ξ;゚听)ξ「で、でも、理論上はセカンド化を防げるはずなの!」
从#゚∀从「り、理論上って……理論なんかどうでもいいんだよ!
データが無いのに可能性だなんて、笑わせるな!」
沈黙を続けていたハインリッヒが、喉が切れんばかりの大声を出した。
ハインリッヒは、チーム・ディレイク陣営の方へと足早に歩き、
ツンの目の前まで行くと、彼女の胸倉を掴んだ。
从#゚∀从「机上の空論って言うんだよ、そういうのは!」
ξ;゚听)ξ「アタシ達科学者にとって…いや、人間にとって大切なのは、未知の可能性に賭ける事だわ!
アタシ達が今も生きていられるのは、色んな可能性に向かって努力して来たからじゃないの!
アンタが今までやって来た研究だって、そうなんじゃないのかしら!?」
ツンは怯まず、胸倉を掴まれたままハインリッヒの問いに即答した。
ツンの迫力に圧倒され、ハインリッヒが胸倉を掴んでいる手の力を緩める。
从;゚∀从「他に…手段は……」
ξ;゚听)ξ「残念だけど、無いわね」
- 20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/20(日) 14:38:18.27 ID:rR4ikSrL0
- 支援
- 21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/20(日) 14:38:26.24 ID:YYep/DYr0
- (´゚ω゚`)
- 22 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/07/20(日) 14:39:03.46 ID:aYFp660U0
-
( ^ω^)「ハインリッヒさん。
ガイルさんが、言いたい事があるらしいお」
不意にブーンが、彼女達の白熱した言い合いに割り込んで通信する。
从;゚∀从『ガイルが…?』
( ^ω^)「代わりに、僕が話しますお」
ガイル「ハインリッヒ博士よ…こりゃ、隊長の言ってた事なんだけどよ、
――“勝利の可能性を見出せたなら、
それを命を捨てる覚悟ででやるべき”――…なんだよな」
ブーンは、ガイルの言葉をそのままハインリッヒに伝えていった。
2人は走りながら喋っているので、ガイルは一度呼吸を整えてから再び話を続けた。
ガイル「隊長は、可能性があると知ったら絶対に諦めたりしないはずさ。
だからハインリッヒ博士。最初から絶望しないでくれ。
俺は、その可能性ってヤツに賭けてみたいと思ってる……」
ガイル「言いたい事は、それだけだ。
ありがとう、ブーン」
ガイルは、マスクの中で息を弾ませ、汗だくになっている。
鍛え上げられた軍人でも、重い装備を身につけて長時間走るのは辛いのだろう。
- 23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/20(日) 14:40:20.07 ID:k1Hy8DnnO
- しえんしえん
- 24 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/07/20(日) 14:41:44.76 ID:aYFp660U0
-
ξ゚听)ξ「アルドリッチ、ガイルさんの言う通りだと思うわ。
最後まで諦めないで……希望は決して捨ててはならないわ」
从 ゚∀从「……くそ……」
从#゚∀从「……ああああああああアタシらしくもねえ!!!
ツンちゃんなんかに悟されるとはチクショー――ッ!!!」
从#゚∀从「ブーンとガイル!!
もっと全力で走りやがれ! ちんたら走ってんじゃねー!!」
ξ゚ー゚)ξ「その意気よアルドリッチ! ちょっとムカつくけど」
( ^ω^)「そうだ、ツン。ちょっと聞いてくれお」
唐突にブーンが切り出した。
「何よ」と、いつもの調子でぶっきら棒にツンが尋ねる。
(;^ω^)「回収ポイントを変えて欲しいんだお……。
今の状態で、ジョルジュ隊長を抱えながら空港まで行くのは、正直無理だお」
今の装備や身体能力、それと先ほどのセカンドとの戦闘結果を踏まえた、
ブーンの直感的な意見であった。
- 25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/20(日) 14:42:51.87 ID:k1Hy8DnnO
- ガイルwwwwそういえばこんなやついたなwwwwww
- 26 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/07/20(日) 14:44:43.45 ID:aYFp660U0
-
ξ゚听)ξ『そうね……。今のアンタ達の移動速度だと、
ジョルジュ隊長の所まで何分かかりそう?』
( ^ω^)「このまま何事も無ければ、15分と49秒で行けるお」
半自動的に制御されているブーンの情報システムが、
現在の状況をインプットしたシミュレート結果を瞬時に打ち出した。
ξ゚听)ξ『じゃあ、その場所にヘリから直接降下してアンタ達を回収するわ』
从 ゚∀从『しかし、何事も無く行けるとは思えないぜ?
アルドボールでセカンドの位置を把握できても、奴らの動きまで把握することは無理だからな。
多少の回り道や戦闘は避けられないかもしれない』
ξ--)ξ「確かにそうね……でも……」
ツンは目を瞑って眉間に指を当て、「集中して考える時のポーズ」を取った。
ものの2、3秒後に目を開け、自分のデスクに勢い良く走りこんで座ると、
空中に浮かぶパネルを高速で操作し始めた。
ξ゚听)ξ「ブーン、そのままジョルジュ隊長の所へ向かって! そこで回収するわ!
ドクオ! 回収ポイントを変更したわ! 位置はアンタの携帯端末に送った!
現在のヘリの整備状況、それからヘリのスペックと照らし合わせて、
何分で回収ポイントに到着するのか、今すぐ計算しろ!」
- 27 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/07/20(日) 14:46:37.35 ID:aYFp660U0
- ※
ドクオは、ヘリや装甲車などの乗り物の格納庫で、
モララーが有する「白い女兵隊」と共に、使用するヘリの整備を行っている最中だった。
('A`)『ヘリの整備が終わるまで、あと10分はかかるなぁ。
こっから回収ポイントまでは12分ありゃー着くぜ』
ドクオは、左腕に巻き付けてある腕時計に似た少し大きめの機械を弄り、
それから宙に投影されているモニター内のツンに向かって、計算結果を告げた。
この機械が『セントラル』の携帯端末だ。
ξ#゚听)ξ「5分で終わらせろ!」
モニターに映る、締りの無いドクオの顔に、ツンはイラつく。
近くにドクオが居れば殴っているのだが、その代わりにツンは
声にたっぷりとドスを効かせて喝を入れたつもりだ。
ツンがドクオへの指示を終えると、再び通信回線をブーンに繋いだ。
ξ゚听)ξ「ブーン。アタシ達は残り5分でヘリを出せるわ。
アンタ達がジョルジュ隊長と合流すると同時に、アンタ達を回収できるようにヘリで移動するわ!」
ブーン達3名を同時に回収するのは、理由があった。
ツン達回収チームが先にジョルジュを回収しても良いのだが、
ヘリコプターのプロペラ音などがセカンドを集めてしまう危険性がある。
そうなってしまえば、後で到着するブーンとガイルを回収するのが難しくなってしまうからだ。
つまり、ブーン達がジョルジュと合流するのと同じタイミングで
ツン達回収チームがポイントに到着するのが、最も安全な策であると、ツンは考えたのだ。
- 28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/20(日) 14:47:39.90 ID:k1Hy8DnnO
- 支援
- 29 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/07/20(日) 14:48:44.21 ID:aYFp660U0
-
('A`)「だ、そーだ。白い姉ちゃん達。
さっさと発進準備終わらせねーと、貧乳の化け物に怒られちまうぞー」
ドクオが積み込んだ装備の点検をしながら言う。
('A`)「アイツは巨乳の女の子が基本的に嫌いだからな。
アンタら、ねちねち五月蝿く言われるかもなぁ」
ドクオの声は、静寂の中に虚しく消えていった。
白い女兵士達は、みな返事をしようとはせず、ただ黙々と各々の作業を続けるだけであった。
作業を始めてからドクオはいくつか話題を振っているのだが、
一度も彼女達から返事が返って来ることは無かった。
ゴウンゴウンと、『セントラル』の機構が元気に動く音ばかりが、格納庫に響いているのであった。
('A`)「なぁ…アンタらは、モララーに作られた誰かのクローンなのか?」
もちろん、彼女達から返事は返ってこない。
思わずドクオは、「コイツらには喋る器官が無いんじゃないのか?」と、
人間的な構造から疑ってしまった。
- 30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/20(日) 14:49:28.12 ID:k1Hy8DnnO
- 支援
- 31 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/07/20(日) 14:50:42.23 ID:aYFp660U0
- しかし、口や目はおろか、髪の一筋すら見えない。
体のラインだけ見れば人間の女性に見えるが、本当はその白いスーツの中に、
人間とは異なる生物が入っているのではないだろうか。
( 〓 )「…………」
白い女兵士達は、ドクオの顔を見る素振りすら見せようともしていない。
言語器官だったり聴力などが無いのではなく、まるでドクオそのものに興味が無い様子だ。
まるで作業用の機械の如く、ヘリの点検に集中するのであった。
('A`)(そうだ! おっぱいを触ってみよう!
そうしたら無口なこの連中も……)
(*'A`)(ひゃあんっ! ら、らめえぇ……)
('A`)(とか言うんじゃねーのかなあああああああああああフヒヒヒヒヒッ!!)
ドクオが一人で盛り上がっていると、格納庫の出入り口のドアが開く音が聞こえてきた。
そのドア独特の、タイヤから空気が抜けるような音と共に登場したのは、
分厚いスーツに身を包んだツンであった。
('A`)「チッ」
ぶるああああああ!! ξ#゚听)三○)A`) ひゃああああああんっ!!
- 32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/20(日) 14:52:41.35 ID:k1Hy8DnnO
- ドクオが相変わらず変態でいい
- 33 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/07/20(日) 14:53:09.84 ID:aYFp660U0
-
(#)A`)「いきなり何て事をするんだ」
ξ゚听)ξ「・アタシに舌打ちしたでしょ?
・胸を見て貧相だと思ったんでしょ?
・頭を見て巻きぐそと思ったんでしょ?」
(#)A`)「舌打ちはともかく、他2つは被害妄想ってレベルじゃねーぞ!」
ξ゚听)ξ「で、ヘリの整備は終わったのかしら?」
('A`)「まぁ、あらかた終わったと思うが……。
おい! どうなんだよ姉ちゃん達! いい加減、何か言ってくれ!」
少し棘のある声色で、ドクオが言う。
あの温厚なドクオが珍しく苛立っている事に、ツンは少し驚いた。
( 〓 )「いつでも発進可能です。ディレイク博士」
('A`)「喋れるじゃねええええかあああああああああああああ!!!!
ってか俺は!? 俺は無視なの!? 完全に空気扱いされてるのおおおおおお!?」
うるせえええええええええ!!! ξ#゚听)三○)A`) だってさああああああああ!!!
- 34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/20(日) 14:55:38.49 ID:FJArTGrxO
- こんな時間に再開ktkr
- 35 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/07/20(日) 14:55:57.72 ID:aYFp660U0
-
('A`)「クラスの好きな女の子がさ、
俺とは喋ってくれないのにアイツとは喋るみたいな?
そんな歯がゆくて少しイライラしちゃう甘酸っぱい気持ち、分からない?」
ξ;゚听)ξ「ええい、訳の分からん事を!
いいかしら!? もう数分したら出発するわよ!
それまで各自装備の確認を怠らないこと!」
(;'A`)「も、もう出発の時間か……緊張してきたなぁ……」
それまで活き活きとしていたドクオだったが、急に意気を沈めるのだった。
ヘリで行くとはいえ行き先は「夜の街」なのだから、
誰だって怖気づくのは至極普通の事ではある。
ξ゚听)ξ「ほらドクオ、アンタもさっさと着替えて。
それから、これ。一応念の為に持って行くわよ」
ツンは手に持っていた頑丈そうな黒いケースを、ドクオに投げ渡した。
ドクオがそのケースを開けると、中には蒼色の小型の拳銃が2丁と、
その拳銃と同色の注射器が2本が収められていた。
('A`)「実戦経験なんてねーよ、俺……」
拳銃を手に取って、ドクオが呟く。
ξ゚听)ξ「銃なんか使わない事を祈りなさい」
- 36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/20(日) 14:57:46.70 ID:k1Hy8DnnO
- ドクオwwwww
- 37 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/07/20(日) 14:58:20.40 ID:aYFp660U0
-
『ツンちゃん! もう出発してもいいぜ!』
少し高い天井に付けられたスピーカーから、ハインリッヒの声が放送された。
元々中性的な声をスピーカーに通しているせいか、やたら男っぽくなっている。
ξ゚听)ξ「分かったわ! じゃあ、そっちの事は頼んだわよ!
何かあったらアタシの携帯端末に連絡して頂戴!」
顔を上げ、スピーカーに向かってツンが大声で言った。
『了解! 任せときな!』
('A`)「エレベータ、上げるぞー!」
いつの間にかスーツに身を纏ったドクオが、格納庫の隅に設置された制御盤を操作した。
すると、床が轟音と共に動き出し、天井に向かってせり上がり始めた。
回収部隊は、次々にヘリに乗り込んでいった。
ヘリの操縦席には、白い女兵士の1人が座った。
彼女の的確で素早い操作により、ヘリがいつでも飛べる状態まで起動する。
- 38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/20(日) 14:59:09.43 ID:rR4ikSrL0
- ドクオの扱いがwww
- 39 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/07/20(日) 15:00:02.03 ID:aYFp660U0
-
( 〓 )「我々は戦闘員ですので、どうぞお先にお乗りください」
ヘリの後方――搭乗口の横で、兵士の一人が案内する。
兵士達が銃を使って搭乗口から攻撃出来るようにする為の配慮であろう。
('A`)「………」
ツン、ドクオの順にヘリに乗り込み、他5名の兵士がヘリに入った。
パイロットを省く計7人が搭乗しているが、それでも座席にはまだ余裕がある。
このヘリは人命救助を目的とされた輸送用ヘリなのだ。
その為、機関銃などの兵器はあまり積載されておらず、戦闘には向いていない。
エレベータが上がるに連れ、天井が開いてゆく。
この天井は『セントラル』を5つの階層を隔てている、分厚い層の一部だ。
層を成しているプレートが1枚1枚ゆっくりと左右に開いてゆき、エレベータは上の階層へと昇ってゆく。
('A`)「なぁ、ツンよ」
ξ゚听)ξ「何よ?」
耳を近づけなければ聞こえないくらいの小声で、ドクオが話しかけた。
('A`)「あいつら…モララーの兵士達なんだが……連中の声、どっかで聞いた事ない?」
- 40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/20(日) 15:01:45.76 ID:m8sghECO0
- 支援
- 41 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/07/20(日) 15:02:10.93 ID:aYFp660U0
- 突然のドクオの質問に対し、ツンは腕を組んで少し考え込んだ。
何かを探すように目を忙しなく動かし、「うーん」と唸った。
ξ゚听)ξ「さあ……アタシは知らないわ。
心当たりがあるの?」
('A`)「いや、どっかで聞いた気がするだけなんだが……まあ、いいや」
ドクオも少し考え込む素振りを見せるが、結局何も思い浮かばなかった様子だ。
ξ゚听)ξ「それより、もう少しで外に出るわよ。
ヘリの中とはいえ、アンタはマスクを着けておくべきだわ。
免疫が殆ど無いんだからね……」
ツンは、ガスマスクのような物をドクオに手渡した。
黒色で無骨な外見が、如何にも頑丈なマスクであると思わせる。
ξ゚听)ξ「……ドクオ。今更だけど、アンタは別に来なくてもいいのよ?
アンタには免疫が無いわ。ましてや向う先は夜の街…危険なのよ?」
('A`)「バカヤロウ。そんな事、百も承知だ」
- 42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/20(日) 15:03:25.30 ID:k1Hy8DnnO
- wktk
- 43 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/07/20(日) 15:04:52.86 ID:aYFp660U0
-
ξ゚听)ξ「怖くないの?」
('A`)「お前だって怖いだろ……放っておけるか」
ξ゚听)ξ「……そう。感謝するわ」
('A`)「素直にありがとうって言えんのか。
厨2病みたいなセリフ吐きやがってからに!」
ξ#゚听)ξ「だ、誰が厨2病よ!! ぶん殴るわよ!?」
ξ;゚听)ξ(ふ、不覚にもドクオがカッコいいと思ってしまったわ……!)
※
('A`)「そろそろ、『セントラル』の外に出るな」
まだ光のある第1階層から地上に近づくに連れ、次第に作動する暗視機能が視界の色を淡い緑色へと変えてゆく。
一向を乗せたヘリは、『セントラル』の地上を覆う暗い森の中に出た。
森の中とはいっても、そこはヘリなどの発着点なので周囲に木々は無いが。
- 44 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/07/20(日) 15:07:09.25 ID:aYFp660U0
- 久方ぶりに地上に出た2人は、ヘリの窓から外の様子を伺った。
とはいっても、2人の目には木ばかりが映っており、特に目新しい物は無い。
しかし、冬の季節であるというのに未だ青々とした葉があるのは、少し奇妙な光景であった。
2000年代の前後より世界的に環境問題を懸念していたが、
科学の爆発的な発展を契機に、自然破壊はその歯止めを無くしたのだった。
このような背景があり、アメリカを始めとする多くの国の気候は乱れきってしまったのである。
もっとも、人間がいない今の地球において、暑さと寒さに困るのはセカンドという化け物であるが。
ξ゚听)ξ「さあ、行きましょう!」
( 〓 )「了解。離陸します」
パイロットを務める兵士が、機械のアナウンスの如く無機質に返す。
ヘリのプロペラ音が『セントラル』の森の静寂を掻き消す。
高速で回転するプロペラの風力により、周囲の木々の葉を悉く撒き散らし、
そして浮力を持ったヘリが、ゆっくりと『セントラル』上空へと飛び立った。
('A`)「こんなに暗いんだなぁ…外」
実際に見る夜の世界は、『セントラル』でカメラを使ってみる景色よりも
ずっと暗いように見える。
唯一の明かりである月も雲に隠され、眼下の街を一切明かりは無く、
いくら見渡しても暗闇が広がるばかりだ。
マスクを外してしまえば、どちらが上で下なのか分からなくなるかもしれない。
そんな想像に、ドクオは身震いした。
- 45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/20(日) 15:09:13.29 ID:k1Hy8DnnO
- 支援
- 46 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/07/20(日) 15:09:18.91 ID:aYFp660U0
- 上空から見るNYの街並みは、大昔の「それ」とは全く異なるものであった。
――忙しく行き交う人々の雑踏、自動車のクラクション、
街頭テレビから流れ出る音楽、パトカーのサイレン、24時間輝き続ける摩天楼。
NYの街を語るには外せない物の殆どが、今は存在しない。
アメリカ合衆国の象徴である「自由の女神」も首を失い、
背徳感極まる不気味な石像と化していた。
世界一と言わしめた大都市も、今では見る影も無い。
ξ゚听)ξ「ブーン、アタシ達は後10分程度で到着するわ!
そっちの状況は!?」
手の平ほどの大きさの携帯端末に向かって、ツンが話している。
彼女の携帯端末のスピーカーから、ブーンの声が返って来た。
『僕達も後10分くらいで到着できると思うお!
このまま何も無ければ、の話だけど』
ξ゚听)ξ「了解。気をつけて!」
『把握したお!』
- 47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/20(日) 15:10:07.83 ID:C0Ezqobg0
- 支援
- 48 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/07/20(日) 15:11:26.82 ID:aYFp660U0
- ※
気づけば、不自然な通りが続いていた。
アスファルトで出来た地面の至る所。それから、周辺の多くのビルの壁に、巨大な穴が開いている。
何か「型」でも使ったかのようで、殆どの穴が全て均一な大きさである。
穴だらけの街並み。これは異常だ。
ガイル「ぶ…ブーン…この穴は…?」
激しく呼吸しながら、ガイルが尋ねる。
違和感のある景色が発する、不穏な雰囲気を感じ取ったのだろう。
(;^ω^)「……この辺り、それから合流地点の辺りは、危険なのかもしれませんお」
ガイル「危険…と、言うと?」
ブーンは、ガイルにも状況が分かるように、左目から宙に映像を投影した。
青で点滅している箇所が、ジョルジュのいる合流地点。
その周囲の赤い点は、セカンドを表している。
(;^ω^)「合流地点の近辺から…結構な数のセカンドが
こっちの方に流れて来てるんですお」
- 49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/20(日) 15:13:05.56 ID:k1Hy8DnnO
- 支援
- 50 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/07/20(日) 15:14:11.07 ID:aYFp660U0
-
ガイル「こ、こんなに沢山のセカンドが……!?」
ブーンの言う通り、多数の赤い点がブーン達のいる方角に向かって来ているのが分かる。
それ以外にも、2人の周辺で多くのセカンドが動いている様子だ。
真っ赤な点で埋め尽くされんとするレーダーを見て、ガイルは戸惑った。
(;^ω^)「まぁ、これも不安なんですけど――」
ブーンの言葉を遮って通信が入った。
ハインリッヒからである。
从 ゚∀从『今、そっちに向かって来ているのは、ジョルジュが追っ払った連中だな。
閃光弾で何とかなるんじゃねーのかな?」
( ^ω^)「なるほど…そうですかお。
ガイルさん、このセカンドは閃光弾でどうにかなりそうですお」
ブーンは、宙の映像内で動く赤い点を指差す。
しかし、マスクの越しに見えるガイルの表情は、何故か暗い。
ガイル「閃光弾、あと一発しか残ってねえんだ」
項垂れてガイルが述べる。
それを聞いたブーンとハインリッヒの脳裏に、悪い予感が過ぎった。
- 51 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/07/20(日) 15:15:37.05 ID:aYFp660U0
- ――果たして、これだけの数のセカンドを相手に、
たった一発の閃光弾で凌ぎ切れるのだろうか?
ブーンが満足に戦えない今、頼りになるのはガイルの持つ閃光弾だけだ。
敵はジョルジュが追い払ったのとは別に、他にも大勢いるのだ。
危険は一回限りではない。絶え間無く奴らが襲ってくる状況にある。
それに加え、ブーンにはもう一つの不安があった。
――この辺りに、大型セカンドがいるのではないか、と。
从;゚∀从『どうする……あと数十秒で鉢合わせちまうぞ!?』
焦燥に駆られたハインリッヒが叫ぶ。
ブーンとガイルは一度走るのを止め、武器を構えた。
(;^ω^)「回収ポイントに行かないと! ここは、やるしかないお!」
左手に掴んでいるBlueBulletGunを振り、リロードする。
長いロングストリートの奥の方へ銃口を向け、敵の襲来に備えた。
ガイルも、いざという時でセカンドを追い払えるように、最後の閃光弾を右手に持った。
从;゚∀从『あ、いや、ちょ、ちょっと待ってくれ!
これは……辺りのセカンドが急に慌しくなってる…何かおかしいぞ!?』
- 52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/20(日) 15:17:20.81 ID:k1Hy8DnnO
- 支援
- 53 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/07/20(日) 15:17:28.91 ID:aYFp660U0
-
(;^ω^)「何だこれ…そこら中でセカンドが沸いて来てるお!?」
土石流の如く、大量のセカンドがブーン達の方へと流れ込もうとしている様子が、レーダーに表示されている。
何処に潜んでいたのか、合流地点の近辺からセカンドが溢れ出し、
ブーン達のいる方角に向かって進行しているようだ。
ガイル「う、わ、冗談だろ……!?」
遠くの暗がりから、予想通り大量のセカンドが一斉にやって来たのが見えた。
だが、それは当初の予想を遥かに上回る量となっていた。
数千はいると思われるセカンドが、雪崩のような質量と迫力で押し寄せてくる。
(;^ω^)「ががががガイルさん! 逃げるお!!」
ガイル「え、あ、ど、何処にいいい!?」
(;^ω^)「早く逃げるお!!」
ただ泣き叫ぶガイルの手を引き、ブーンは近くのビルの中へと入って行った。
ビルの何処かにセカンドが潜んでいるのは、自身のレーダーを見ても分かる。
危険な「巣」の中にいるのも落ち着けないが、
あのままストリートにいては無事に済まなかっただろう。
- 54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/20(日) 15:17:58.27 ID:C0Ezqobg0
- 支援
- 55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/20(日) 15:19:19.89 ID:638J5jdC0
- 支援
- 56 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/07/20(日) 15:19:22.06 ID:aYFp660U0
- ブーンはビル内部のセカンドにも留意し、すぐにビルを脱出できるよう、
エントランス近くにある管理室から外の様子を伺う事にした。
外からは見え難いが、内部のセカンドには発見されやすい場所だ。
外は、怒濤の勢いで流れて行くセカンド以外に、見える物は無い。
ビル内に逃げ込んでから数分経つが、一向にセカンドの流れが途切れる気配が無い。
あの獰猛な性質を持つセカンド達が、血相を変えて逃げ惑っているのだ。
ガイル「あ、あの量は何だってんだよ!?」
(;^ω^)「いや…多分ですけど…その…。
ってか、静かにしてくださいお、ガイルさん」
訳の分からぬ状況に、ガイルが取り乱している。
長年に渡って様々な街を調査していたブーンには、
ある程度の予想が付いている事なのだが、出来れば口にはしたくはなかったのだが、
从;゚∀从『ブーン! 近くに大型セカンドが現れやがった!!
クソ! こんなの、全然作戦と違うじゃねーか!!』
衛星で状況を把握しているハインリッヒが、代弁してくれた。
\ガイル/「大型ァああああ―――――ッ!?」
「もうお手上げ」のポーズを取りながらガイルが叫んだ。
外の喧噪とは対照的に、不気味な静けさが漂うビルの中でガイルの声が響き渡る。
(;^ω^)「しー! ビル内のセカンドに気づかれるお!」
ガイルは、口の形だけで「OK」とブーンに言った。
- 57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/20(日) 15:21:27.77 ID:k1Hy8DnnO
- オワタのポーズwwwww
- 58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/20(日) 15:21:36.76 ID:fCTZ1tS40
- >>2-5
こういう書き込みみてるとほんと2chって便所の落書きだと思うわ
仮にも掲示板サイトでしょ?
普通は
「初めて書き込みさせてもらいます」
「よろしく」
とかあるじゃん?
なんだよ>>2-5これ
スレッドが立っていきなりこれかよ
一般人逃げるわこりゃ
- 59 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/07/20(日) 15:23:41.54 ID:aYFp660U0
-
(;^ω^)(やっぱり大型がいたかお!)
ブーンが予想した通りであった。
セカンドにおける「群れの中には必ずボス(強者)がいる」という説に科学的解明は無いのだが、
ブーンの長年の経験から、それなりに信頼性が高いと説だと言える。
シマウマなどの草食動物が、ライオンやチーターなどの強者から逃げるのを想像してもらいたい。
それと同じで、弱いセカンドが群れを成して逃げる場合は、
大型セカンドが近辺に現れる事が多いのである。
そのブーンの経験に加え、街の不自然な破壊状況が予想を裏付けていた。
十メートル程の巨大な大穴を開けられる存在は、この世で大型セカンドだけであるからだ。
ガイル「た、倒すのか? ブーン」
(;^ω^)「どうするかお……」
ブーンは下唇をぎりりと噛み締める。
普段のブーンならば大型セカンドの一匹くらい問題無く倒せるのだが、今は満身創痍で装備も不十分だ。
どんな性質を持つセカンドなのかは不明だが、ともかく撃破は難しいだろうとブーンは考える。
- 60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/20(日) 15:25:34.64 ID:GVpF6bPNO
- きやがったかああああああああああ
- 61 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/07/20(日) 15:25:55.66 ID:aYFp660U0
-
(;^ω^)「ちょうど回収地点の近くに敵がいるのが、厄介だお!」
機械仕掛けの左目の網膜内に映し出したモニターを見て、悪態をつく。
現れた大型セカンドは1体のみ。
しかし、熱反応で検知するレーダーの反応から見て、かなり巨大なセカンドである事が断定できる。
从;゚∀从『現れたのは、全長50メートル程のミミズみたいなセカンドだ。
とりあえず、こいつを“ニョロニョロちゃん”と名付けよう」
(;^ω^)「にょ…ろ…にょ…ろ…ちゃん…?」
从;゚∀从『突然地中から現れた“ニョロニョロちゃん”は、
小型セカンドを丸呑みにしながら回収ポイントの近くの通りを進行している』
(;^ω^)「ジョルジュ隊長は無事ですかお?」
从;゚∀从『ああ。ジョルジュは心配無いと思う。
どうする? このままだとお前らの側を通るぞ」
ガイル「や、やり過ごすしかねーだろ!
今の俺達じゃ、大型セカンド相手じゃとても勝ち目が無いだろう!?」
ガイルの言う通りであると、ブーンは心中で同意する。
立ち向かっても、セカンドの好きなように蹂躙されるのがオチだ。
だが、やり過ごそうにも、それが出来ない状況にある事を、ガイルはまだ理解していなかった。
- 62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/20(日) 15:26:29.84 ID:k1Hy8DnnO
- 支援
- 63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/20(日) 15:27:07.10 ID:C0Ezqobg0
- 支援
- 64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/20(日) 15:28:12.17 ID:k1Hy8DnnO
- ハインwwwネーミングひどすぎるwwwww
- 65 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/07/20(日) 15:28:29.12 ID:aYFp660U0
-
从;゚∀从『いや、そうじゃなくって、ガイル。
近くに“ニョロニョロちゃん”が通るって事は――」
突如ビル内に鳴り響いた獣の喚き声に、通信音声が掻き消された。
ガイル「せ、セカンド!?」
(;^ω^)「下に降りて来るのかお!?」
その叫び声の主は、ブーンが懸念していたセカンド達であった。
上階から聞こえる怯えた叫び声と共に無数の足音が、段々と近づいて来る。
从;゚∀从『外へ逃げろ!!』
ハインリッヒが叫ぶと同時に、階段や廊下から多量のセカンドの姿が見えた。
狭い通路内で揉みくちゃになりながら、エントランスへ向かって来ている。
ブーンとガイルは飛び出すようにしてビルの外へ逃れると、
2人はすぐにエントランスに向けて銃口を構えた。
しかしながら、外へ飛び出して来たセカンド達は、
一人としてブーン達には目もくれずに、何処かへ走り去ってしまった。
逃げ惑うセカンド達で喧騒していたストリートも、今ではブーンとガイルが突っ立っているだけだ。
- 66 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/07/20(日) 15:29:52.15 ID:aYFp660U0
-
ガイル「何だ…?てっきり襲われると思ったんだが…」
セカンドにとっては新鮮な肉だろうに、何故襲わなかったのだろう?
と、ガイルは首を傾げて銃口を下ろした
(;^ω^)「あいつら、僕達を喰ってる場合じゃなかったんだお。迂闊だったお…」
ボソリ、とブーンが呟く。
ガイル「ブーン、何を言って……?」
(;^ω^)σ「……ガイルさん……あっち見るお」
ガイルは、ブーンが銃口で示した方に、そっと顔を向けた。
その先には、自分達の数十倍以上ある巨大な何かが蠢いていたのだ。
漆黒の空に突き刺さる赤い柱のような、現実離れした何かが、目の前に存在している。
ガイルは、その柱を根元からゆっくりと見上げていった。
ガイル「―――――ッ」
ガイルは口をパクつかせて声にならない叫びを上げる。
恐怖で脳が麻痺し、目の前の状況を理解しようとしないのか、
ガイルはそんな感覚を感じていた。
- 67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/20(日) 15:30:39.07 ID:rR4ikSrL0
- 支援
- 68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/20(日) 15:31:00.24 ID:k1Hy8DnnO
- 支援
- 69 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/07/20(日) 15:32:14.46 ID:aYFp660U0
- それは、人間の物と似た形をした口を広げていた。
構造は人間と同じではあるが、やはり異形の物である
セカンドの黒い血が通った長い舌は赤く、舌から零れ落ちた唾液がアスファルトの地面を溶かしている。
唇の裏から覗かしている歯は先が鋭利であり、舌と同様の色がこびり付いている。
縦に皺の入った赤黒い肌には、ヌメヌメした黄色の液体が纏わり付いている。
垂れ落ちた液体が地面に煙を立たせている事から、唾液同様に強烈な酸か何かを思わせる。
ぼうっと吹いた風が、化け物の体から噴出している臭いをブーンの鼻先まで運ぶ。
下水道の汚水で作ったゆで卵を腐らせたような、そんな激臭にブーンは目を潤ませた。
顔面と思わしき箇所には、その醜悪な口の他に器官は見当たらない。
手足も無く、人間の口だけの顔面を持った「蚯蚓(ミミズ)の化け物」なんて、少なくとも
ブーンが今まで見てきたセカンドの中にも、ましてや悪夢の中にも、登場した事は無い。
それほど奇怪で、グロテスク極まりないセカンドであった。
/(^ω^)\「ニョロニョロちゃんってレベルじゃねーぞ!!」
/ガイル\「俺、この戦いが終わったら結婚したい気分だ」
从;゚∀从『早く逃げてえええええええええ!!!』
- 70 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/07/20(日) 15:34:35.57 ID:aYFp660U0
- ※
/;,' 3「化け物どもめ!」
「前作戦の総司令官」である荒巻・スカルチノフにとって、現在行われている救出作戦は
管轄外となっていたが、今まで静かに傍観を続けていた。
冷静沈着のはずの元空軍大佐、荒巻・スカルチノフも、
流石にこの光景には毒づき、拳を机に殴りつけた。
/;,' 3「モララー、君の研究…“Hollow Soldier(虚ろな兵士)"と言ったか…。
彼女達でアレを倒す事は可能なのだろうな?」
荒巻はモララー・スタンレーを鋭く睨み付けた。
しかしモララーは、元米軍大佐の荒巻に怯む様子は一切見せず、
いつも通りの紳士的な物腰でゆるりと返した。
( ・∀・)「議会長、ご心配無く」
/;,' 3「自信があるのか?」
( ・∀・)「セントラルの危機となるセカンドは、必ず始末しなければなりませんからな。
敵は未知数の怪物ではありますが、私もそれなりに強力な兵を
仕立てたつもりでございます」
- 71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/20(日) 15:34:49.69 ID:VsTSmlKZO
- 待ってた支援
- 72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/20(日) 15:35:52.02 ID:k1Hy8DnnO
- 早く逃げてえええ
- 73 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/07/20(日) 15:36:22.38 ID:aYFp660U0
-
( ・∀・)「無限に進化を続けるセカンドに対抗する為にはこちらも限り無く強くなる必要がございます。
人間を遥かに超えた筋力。そしてそれを操る強力な肉体、神経、頭脳の構築!
“超人を作る”というのは中々に苦労をしましたがね…しかし、その甲斐はありました」
呼吸する事すら忘れているのか、モララーは一気に話し続ける。
( ・∀・)「原型さえ構築出来れば後はクローンで簡単に量産出来るのですからな。
H-Soldierは私めがラウンジ時代より培ってきたクローン技術の集大成と言えるでしょう」
そこでモララーは深く溜息を付く。
( ・∀・)「しかし残念な事に、研究開発の過程で多少ながら尊い命が犠牲となりましたが……」
/ ,' 3「……全ては、『セントラル』を護る為だ」
モニターに目を向け直し、重々しく荒巻が言った。
しかしモララーは、荒巻の言う事がまるで当然と言わんばかりの顔を浮かべるのであった。
そして、声をすぼめて悲愴感を装い、あくまで犠牲となった者達を
哀れむ素振りを続けるのだった。
( ・∀・)「セントラル議会長である貴方にそう言って頂けるのなら、
きっと犠牲となった彼等も救われる事でしょう、議会長」
第9話「Hollow Soldier」終
- 74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/20(日) 15:38:22.20 ID:k1Hy8DnnO
- 乙ー
- 75 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/07/20(日) 15:38:58.90 ID:aYFp660U0
- 以上で第9話でした!
支援ありがとうございました!
続いて10話も投下しちゃおうと思うのですが、少し休憩します。
16時半くらいに再開させてください。
- 76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/20(日) 15:39:38.41 ID:m8sghECO0
- おつかれ!
- 77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/20(日) 15:41:22.68 ID:k1Hy8DnnO
- おお、続きがあるんだ
とりあえず乙ー
- 78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/20(日) 15:58:22.52 ID:k1Hy8DnnO
- ほ
- 79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/20(日) 16:07:11.81 ID:k1Hy8DnnO
- ほしゅ
- 80 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/07/20(日) 16:15:48.00 ID:aYFp660U0
- ちょっと早くなりましたが再開します><
ってことで第10話投下します。
- 81 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/07/20(日) 16:17:11.42 ID:aYFp660U0
- 登場人物一覧
――― チーム・ディレイク ―――
( ^ω^)B00N-D1:通称ブーン、本名不明。年齢20歳。戦闘員。
セカンドに対する強い免疫を持つ強化人間「システム・ディレイク」。
クォッチとの戦いで右腕を失う他、身体機能を低下させる。
現在、「ニョロニョロちゃん」なる蚯蚓の大型セカンドと戦闘中。
ξ゚听)ξツン・ディレイク:年齢19歳。チームリーダー。
ブーンを強化人間に改造した弱冠19歳の天才科学者少女。
貧乳。嫌煙家。
モララーの「白い兵隊」と共に、自らブーン達の回収へ向かう。
('A`)ドクオ・アーランドソン:年齢21歳。武器開発担当。
豊富なアイディアで強力な武器や乗り物を開発し、ブーンの戦闘をサポートする。
ツンをからかうお調子者の変態。空気を読まない。
ツンと共にブーン達の回収へ向かう。
- 82 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/07/20(日) 16:18:32.38 ID:aYFp660U0
- ――― チーム・アルドリッチ ―――
从 ゚∀从ハインリッヒ・アルドリッチ:年齢23歳。チームリーダー。
対セカンド人型戦闘兵器「バトルスーツ」の理論提唱者であり、開発者である。
ツンと並ぶ天才科学者なのだが、プライドの高い両者は犬猿のライバル。
衛星「アルドボール」で、ブーンとガイルをナビゲートする。
( ゚∀゚)ジョルジュ・ジグラード:年齢35歳。戦闘員パイロット。
深紅のバトルスーツを操るバトルスーツ部隊隊長。
ブーン、ガイルと共に「セントラル」への帰還を目指すが、
途中セカンドに襲われ、セカンドウィルスに感染する。
ガイル:年齢33歳。戦闘員パイロット。
バトルスーツ部隊副隊長としてジョルジュをサポート。
クォッチとの戦闘により、機体を失う。
ブーンと共にセカンドと交戦中。
- 83 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/07/20(日) 16:20:13.85 ID:aYFp660U0
- ――― その他 ―――
/ ,' 3荒巻・スカルチノフ:年齢63歳。セントラル議会・議会長。
現議会長、元アメリカ空軍大佐。
任務と「セントラル」の為には非情になる男。
( ・∀・)モララー・スタンレー:年齢30歳。セントラル議会・議会長補佐
バイオテクノロジーの権威「ラウンジ社」の元社員で、優れた科学者。
自身の研究成果である「Hollow Soldier」を従える。
( 〓 )Hollow Soldier(虚ろな兵士):年齢不明
モララーにより生み出された超人。
クローンテクノロジーにより量産され、部隊として編成された。
ツン達の護衛として、ブーン達の回収へ向かう。
- 84 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/07/20(日) 16:22:23.40 ID:aYFp660U0
-
第10話「脱出 クイーンズ区」
“ニョロニョロちゃん”と名付けられた蚯蚓の怪物が、躍動した。
新鮮な血肉に飢えた蚯蚓は興奮しているのか、体を激しく左右させている。
そこは車道の多い道なのだが、蛇行しなければならない体の為に収まり切っておらず、
前進する度に通りの両側のコンクリのビルに衝突してしまっている。
見るからに厚く頑丈そうな皮膚で叩きつけられたビルは、音を立てて外壁を破壊されている。
太く長い胴体であるにも拘らず、動きが速い。
しかし、ブーンは避けきれない速度ではないと、情報処理システムの下した判断を認知する。
ただし、ガイルという人間の存在を除いての、話である。
(;^ω^)「ガイルさん!」
到底、人間には追いつく事の出来ない速度だ。
それに、ガイルは恐怖して足を動かそうとはしていなかった。
まるで地面に根を下ろしたかのように、その場に立ち竦んでいた。
蚯蚓が2人を喰らおうとした瞬間、ブーンは体当たりしてガイルを遠くに押し飛ばした。
ブーンの怪力で吹き飛ばされたガイルは、元居たビルの中へ吹っ飛ばされた。
ガイルを吹き飛ばしたブーン自身も、攻撃を回避しようと咄嗟に飛ぶ。
だが、一瞬であるが回避行動が遅れた為、敵の追撃を避ける余裕は無かった。
- 85 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/07/20(日) 16:25:01.83 ID:aYFp660U0
- 獲物を喰らい損ねた蚯蚓は連続的に動く。
口のある部分を頭部とするならば、蚯蚓は首に当る部分をくねらせ、
鋼鉄のようなその皮膚をブーンに叩き付けた。
攻撃をまともに受けてしまったブーンは、血を吐き散らしながらビルの壁へ激突した。
そのまま地面に仰向けに倒れ込み、びくびくと体を痙攣させている。
アスファルトの黒い地面が、ブーンの血液で赤く染まる。
从;゚∀从「ブーン!!」
アルドボールの中継を見ていたハインリッヒが叫んだ。
それと同時に、ブーンの左目を介して送信されたデータや映像を見ていたオペレータ達が、慌しく動き始める。
「こ、呼吸停止! 生命維持装置が作動!!
システム1番から5番までシャットダウン!」
「胸部プレートに大きな損傷あり! 出血が酷い……」
「博士! ツン博士!! 応答願いますか!?」
司令席の荒巻・スカルチノフも席を立ち、口元のマイクフォンに向けて大声を出す。
/;,' 3「ツン・ディレイク! まだ到着せんのか!?
B00N-D1は戦闘不能となった!」
- 86 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/07/20(日) 16:27:30.43 ID:aYFp660U0
- ※
ツンとドクオ、H-Soldierを乗せたヘリは、クイーンズ区上空へ近づいていた。
しかしながら、回収ポイントまではまだ数分かかる距離である。
だが、遠方の空からでも、暴れ狂う巨大なセカンドの姿は確認出来ていた。
ξ;゚听)ξ「状況は確認しています、荒巻司令官!
ヘリは残り5分程でジョルジュ隊長のいる地点へ到着できます!」
携帯端末に入信された情報に、ツンとドクオが驚愕していた。
オペレータ達は随時ブーンの情報を送っていたので、状況の深刻さも十分に把握しているのだ。
(;'A`)「システム復旧まで何秒かかる!?」
『残り70秒で回復します! しかし、身体機能に異常多数……。
戦闘は極めて困難かと……意識が戻るのかどうかも分かりません……』
(;'A`)「何てこった…クソッ!!」
ドクオは両手を思い切り壁に殴りつけ、悪態を付く。
( 〓 )「ご心配無く」
初めて、白い兵士が自分から話しかけた。
(;'A`)「アンタら! あいつを倒せる実力があるのか!?」
( 〓 )「はい。ですから、ツン・ディレイク博士。
まずは、このままジョルジュ・ジグラードの位置へ向かって頂きたい。
彼を救出した後、我々はそのまま敵の排除に向かいます」
- 87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/20(日) 16:28:21.43 ID:k1Hy8DnnO
- 再開ktkr
- 88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/20(日) 16:29:52.41 ID:uoChbGCaO
- ~~~~ー(・∀・)ー ブーン
これだからブィップはやめられねぇwwwプゲラw
夏休みさいこうw<(`⌒´)>エヘン
- 89 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/07/20(日) 16:30:30.44 ID:aYFp660U0
-
ξ;゚听)ξ「つまり、敵の位置までヘリで運ぶ必要が無い、って事かしら?」
( 〓 )「はい。ヘリよりも我々の足の方が速いかと」
自信、ではなく、確信を感じさせる口調だ。
――あの大型セカンドは倒せるのが当然である、と。
抑揚の無い無機質な喋り方が、ツンとドクオにそう感じさせた。
ξ;゚听)ξ「任せたわ。もう、あなた達以外に頼る人がいないのよ!」
ツンは、考えようともせず判断を下した。
ドクオもツンの判断に口を挟もうとはせず、じっと白い兵士達の顔を見ていた。
すると突然、ドクオはヘリの底へ膝を付き、彼女達に請うのだった。
('A`)「頼む! ブーン達を救ってくれ!」
( 〓 )「ご心配無く。それが我々に課された任務の一つであります」
白い女兵士達は、腰にぶら下げた銃をホルダーから外し、手に持った。
重量感のある黒色の銃が、ヘリ機内の電気に照らされて、鈍く光った。
- 90 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/07/20(日) 16:33:00.71 ID:aYFp660U0
- ※
ブーンが吹っ飛ばされる一部始終を見ていたガイルは、
暗いビルのエントランスの前で、全身を恐怖で震わせていた。
ガイルの存在に気づいたセカンドが、ゆっくりと頭をガイルへ近づけてゆく。
目の前に近づけば近づく程分かる、その圧倒的な大きさ。
巨大な口から吐き出された吐息の風圧で、ガイルは後に吹き飛ばされた。
ガイル(に、逃げろ……逃げろよ俺……何突っ立ってるんだよ……)
ガイルは逃げようとしないのではなく、逃げる事が出来なかったのである。
頭と首から下が完全に切り離されたような、そんな感覚に陥っていた。
必死に「足が動け」と念じようとも、全く言う事を聞いてくれないのだ。
逃げようともしない獲物を見たセカンドが、舌なめずりする。
長い舌から零れ落ちた大量の唾液が、ビルの前の地面をドロドロに溶かした。
ガイル(ぶ、ブーン、助けてくれ……)
ブーンが本来の状態であったら、このような事態にはならなかっただろう。
しかし、今の状態でガイルを抱えながら動けば、敵の速度に追い着かれてしまっていた。
ブーンは、先にガイルを助ける必要があったのだ。
- 91 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/07/20(日) 16:34:13.14 ID:aYFp660U0
-
从;゚∀从「ガイル! 逃げろ! 逃げろって!!」
聞こえるはずもないが、モニターの中のガイルに向かって懸命にハインリッヒが呼びかける。
だが、ハインリッヒの呼びかけも虚しく、ガイルは決して逃げようとしなかった。
ガイル「ぶ、ブーン……助けてくれよおおおおおおお!!!」
ガイルはマスクの中で、涙を流して叫んだ。
しかし、その悲痛な叫び声はブーンには届かなかった。
ブーンを活動させるシステムは回復しつつあり、残り十数秒でシステムは再起動する。
だが、システムが起動しても意識が回復する保証は無い。
ガイル「ブーン!! ブゥー――――――ン!!!」
ブーンに、ガイルの声が聞こえるはずが無かった。
蚯蚓の大きな頭がビルのエントランスに支え、ガイルを捕食する事が出来ない。
蚯蚓は、自身の持つ長い舌を伸ばし、その先端をガイルの右足に巻きつけようとした。
ガイル「うわああああああああああああああ!!」
無我夢中で、機関銃のトリガーを引いた。
断続的に発射された弾丸が、大きく開かれたセカンドの口内へ消えてゆく。
弾丸は口内の至る所を突き破り、体の内部へと突き刺さった。
ガイルを引っ張り出そうとしていた舌も銃撃を受け、その矛先を宙へと変えた。
- 92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/20(日) 16:34:50.26 ID:k1Hy8DnnO
- 支援
がんばれー
- 93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/20(日) 16:36:22.35 ID:hCnlSZxH0
- 支援支援
- 94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/20(日) 16:37:07.47 ID:hCnlSZxH0
- 猿食らったかな?
- 95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/20(日) 16:38:13.01 ID:k1Hy8DnnO
- 支援
- 96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/20(日) 16:39:10.31 ID:k1Hy8DnnO
- 支援
- 97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/20(日) 16:41:38.49 ID:k1Hy8DnnO
- 猿だな
- 98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/20(日) 16:41:40.80 ID:hCnlSZxH0
- 支援
- 99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/20(日) 16:43:34.73 ID:fH9huIDrO
- 久々だな支援
- 100 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/20(日) 16:44:22.82 ID:hCnlSZxH0
- 100支援
- 101 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/07/20(日) 16:46:55.84 ID:aYFp660U0
- 小さいが、しかし、着実に増えてゆく口内の傷口から、多量の血液が吹き出て来た。
やがてセカンドは痛みを堪え切れずにエントランスを離れた。
千切れた舌が、地面へドサリと落ちた。
偶然、銃の乱射を根元から受けてしまった為、千切れてしまったようだ。
蚯蚓は赤い血をそこら中に吐いて、痛みに悶える。
苦痛を訴える叫び声は凄まじく、ガイルは体の芯からビリビリと震わされた。
しかし、ガイルは怯まなかった。
エントランスから出ずに、離れたセカンドを狙い撃ちにする。
ガイル「うわああああああああああああああああッ!!」
徹底的に頭部を狙って撃つが、頑丈な皮膚に弾丸は弾き返された。
どうやら、脆いのは体内に限るらしい。
ガイルは引き金を引きながら、照準をしっかり口内へ定める。
再び、無数の弾丸が口内へ突き刺さり、多量の血液を口内に溜めさせた。
《あああああアアアアアああアアアアアアアアアアアああアアあああア》
金切り声を上げた蚯蚓は、血を吐き散らしながら体を大きく仰け反らして弾丸を受け流す。
傷付いた頭部を上空へ持ち上げて、体勢を立て直した。
しかし、冷静さは微塵も感じさせない。
痛みで怒り狂っているのか、体を激しく動き回している。
辺りの高層ビルに体を打ちかまし、倒壊させる。
- 102 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/20(日) 16:47:56.84 ID:hCnlSZxH0
- 支援
- 103 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/07/20(日) 16:49:55.11 ID:aYFp660U0
- ガイルは、攻撃の手を一度休めた。
口内に命中しなければ、玉を無駄にするだけだからだ。
ガイル「ど、どうせ死ぬんなら、最後まで足掻いてやる!!
ブッ倒せたら御の字ってやつだ! きやがれ化け物!!」
ガイルは、ビルの奥へ身を隠した。
蚯蚓は、ガイルの挑発に呼応するかのように、弓なりに体を曲げた。
そして、投げ込むようにして頭部をエントランスに向かわせ、ガイルを喰らいにかかる。
ビルのエントランスが、蚯蚓の胴体に沿った丸い大きな穴と化した。
ビルに侵入した蚯蚓が、奥へ逃げ込んだガイルを追う。
ガイル「かかったな、ニョロニョロ野朗!」
ガイルは、口を開けて自分を飲み込もうと追うセカンドに向って、「黒い何か」を投げ込んだ。
蚯蚓の牙がガイルの頭に刺さろうとした瞬間、蚯蚓の口内で爆音と共に何かが爆ぜた。
ガイル「ざ、ざまあみろ! グレネードでも喰らってやがれ!」
口から炎が上がり、見る見る内に頭部が焼け爛れてゆく。
皮膚や肉が焼け、屋内は急速に煙が充満し始めた。
ガイルは、追い込まれたのではなく、呼び込んだのだ。
正確に口内を攻撃するには、左右上下に体を動かされぬよう、一直線に襲われる必要があった。
頭部からゆっくり焼けてゆく蚯蚓を横目に、ガイルは急いでビルを脱出した。
そして、持っていた最後のグレネードのピンを抜き、ビルの外から中へ投げ入れた。
投げてから4秒後にそれは爆発し、脆くなっていたビル一階の天井の大部分が、崩れ落ちる。
- 104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/20(日) 16:52:24.21 ID:hCnlSZxH0
- 支援
- 105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/20(日) 16:52:44.50 ID:hCnlSZxH0
- 支援
- 106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/20(日) 16:52:45.56 ID:k1Hy8DnnO
- ガイルつえええ
- 107 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/07/20(日) 16:52:58.18 ID:aYFp660U0
- ※
从;゚∀从「ガイル! 良かった!!」
無事ビルの中から生還したガイルの姿を見て、ハインリッヒは思わず拳を握り込んで叫んだ。
その場に居る多くの人間が割れんばかりの声を上げ、司令部は大歓声に包まれた。
「1番から3番のシステム再起動!
情報処理システム、神経系統の一部が回復しました!」
「心肺機能回復! なんとか正常値まで持っていけそうです!」
「あ! い、意識が戻りました!」
そんな中、ブーンの意識回復という朗報も行き交う。
チーム・ディレイクはもちろん、チーム・アルドリッチの面々も顔を緩ませている。
犬猿のライバルチームによる共同ミッションであったが、気がつけば互いを抱き合って
喜びを分かち合うようになっていた。
(;・∀・)「ただの人間が…あれを倒すとは…信じられんな……」
科学者、モララー・スタンレーが目を見開いていた。
セカンドの質量、速度、生体的特徴。
あらゆる要素から鑑みて、人間如きが敵う相手ではなかったはずだった。
/ ,' 3(よくやってくれた、ガイル!)
『セントラル』を統べる者として、そしてガイルと同じ元軍人として、
荒巻・スカルチノフはガイルを誇らしく思った。
- 108 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/20(日) 16:54:09.12 ID:k1Hy8DnnO
- しえん
- 109 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/20(日) 16:54:43.04 ID:hCnlSZxH0
- ワロタ
支援
- 110 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/07/20(日) 16:54:45.26 ID:aYFp660U0
-
ガイル「や……やったのか!?」
セカンドに喰われそうになった時、ガイルの脳裏に横切ったのは、
ジョルジュ・ジグラードの言葉だった。
「勝利の可能性を見出せたなら、それを命を捨てる覚悟ででやるべきだ」。
ガイルが、ハインリッヒを説得するのに使った言葉でもある。
気づけば機関銃のトリガーを無我夢中で引いていた。
半ば自暴自棄な攻撃であったが、それが思わぬ勝機を生み出したのだ。
蚯蚓のセカンドはしばらく胴や尾を痙攣させていたが、
やがて動かなくなったのをガイルは確認すると、近くで倒れているブーンの元へ急いで駆け寄った。
ガイル「ブーン! しっかりしろ! ブーン!!」
全身の殆どが機械である重たいブーンを抱きかかえ、何度も呼び掛ける。
ブーンの顔は血だらけだが、血筋から覗く肌は真っ青である。
( ゜ω゜)「うう……おーん…………」
目は開いているが焦点は合っていない。
意識が混濁しているのか、はっきりとした言葉を喋ろうとはしない。
- 111 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/07/20(日) 16:57:07.62 ID:aYFp660U0
- 口の周りやジャケットも血に塗れており、多量の吐血をしていた事が分かる。
自分と同じような内臓を持っているのかガイルは知らないが、内部も相当に
傷めているのは確かである。
よく見れば、腹部からも出血していた。
ガイルは、外傷の程度を確認するべきと思い、ブーンのシャツを捲った。
ガイル「う……ひでえ……」
腹部の皮膚が破られ、そこから見える血塗れの金属プレートや機械に大きな亀裂が走っており、
そこからは充血したピンク色の肉が覗いている。
ブーンの腹部に包帯を巻きながら、ガイルは思う。
――俺は、ブーンの事をスーパーマンか何かだと勘違いしていたのだと。
確かに彼は、機械仕掛けの強化人間だ。
しかし、中を見てみれば俺と同じ人間と差ほど変わらない。
自分のと同じ形と色をした内臓と血を持っている、人間の青年だ。
ガイル「すまなかった……ブーン」
セカンドに喰われそうになった時、ブーンに助けを求めてばかりいた事が情けない。
そんな俺の弱さが、ブーンを今の窮地に追い詰めてしまったのだろう。
いや、きっとそうだ。
思えば、クイーンズ区の街を歩き始めてからは、ずっとブーンに頼りっぱなしだった。
バトルスーツも無く、どうすればいいのか不安だった。
でも、ブーンと一緒なら、どうにか生きて戻る事が出来るんじゃないかって。
- 112 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/07/20(日) 16:58:43.69 ID:aYFp660U0
- 俺は間違っていた。
生き残るという事は、強者の後ろに隠れたり、戦闘機に乗る事ではないんだ。
どんな僅かな可能性であっても、死に物狂いでそれに向かう事なんだ。
ジョルジュ隊長の言っていた通り、きっと、そうだ―――。
ガイル「行くぞ、ブーン!」
ガイルは、一本だけ残っているブーンの左腕を自分の肩にまわして担いだ。
ただでさえ重たいスーツを着ているというのに、その上ブーンを担いでいるのだから、
ガイルにかかる負担は大きかった。
一歩、また一歩と、ガイルはゆっくり足を交互させる。
ブーンを担いで歩き始めてすぐに、ガイルの全身は拭うのも面倒になる量の汗に覆われた。
だが、ガイルは根を上げずに、まだ遠くの回収ポイントを目指した。
蚯蚓の突っ込んだビルの前を通り過ぎると、赤く太い胴体がダラリと横たわる大通りに入った。
絶命した今もなお、胴体から拭き出している酸がアスファルトをじっくり溶かしている。
ガイルは酸を踏んだり、また、酸が降りかからないように、なるべく道の端へ寄った。
蚯蚓の胴体が終わる辺りは、交差点になっている。
2人が目指す回収ポイントはその近辺であり、ジョルジュが身を隠している路地も、そこにある。
たかが50メートル程の距離が、今のガイルには気の遠くなるような長い道に思えた。
- 113 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/20(日) 16:59:47.20 ID:k1Hy8DnnO
- ガイルゥゥゥゥ
- 114 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/20(日) 17:01:04.16 ID:hCnlSZxH0
- ガwwwイwwwルwww
- 115 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/07/20(日) 17:01:54.04 ID:aYFp660U0
- 何事も無ければ10分程度で到着出来た距離。
ガイルの気力は満ちているとはいえ、疲弊し切った体で傷ついたブーンを担いで歩くとなると、
10分では到着する事は出来ない距離である。
その長い道程の少しを行った頃――時間にして5分程――ガイルの耳に、
ブーンのか細い声が入って来た。
(;^ω^)「が、ガイルさん……助かり…ましたお……」
ガイル「ブーン!? 意識が戻ったのか!」
ブーンの蒼白な顔には、いつものにこやかな笑顔が浮かんでいた。
誰の目にも、気を張って振舞っているのが明白であろう。
(;^ω^)「もう少しで…回収地点ですお……ツン達がもうすぐ来てくれますお……
だから、頑張りましょうお……」
ガイル「……ああ、頑張ろう、ブーン」
励ます立場が逆だろう、とガイルは心の中で呟いた。
『ナイトウ! 気がついたのね!?』
ブーンのヘッドフォンのような右耳に、ツンの緊迫した声が入る。
オペレータの誰かが、ブーンが喋れるまで回復した事をツンに伝えたのだろう。
- 116 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/07/20(日) 17:04:20.70 ID:aYFp660U0
-
(;^ω^)「ツン……もう…着てるのかお?」
ξ;゚听)ξ『もう着いたわ! ジョルジュ隊長は回収して、今抗体を打ち始めたわ!
すぐに応援がそっちに駆けつけると思う!』
(;^ω^)「だ……そうですおガイルさん。
僕達…助かるみたいですお……ジョルジュ隊長も…無事だそうですお…」
喋るのが少し辛かったブーンは、右耳に備えてある外部スピーカーから音声を流した。
ジョルジュが無事に助けられた事を知り、ガイルは安堵の溜息を付く。
从;゚∀从『ブーン、ガイル…お前らにジョルジュの救助を頼んで…その……』
申し訳なさそうに呟くハインリッヒの声が耳をくすぐる。
結果的にジョルジュは救助されたが、ブーンとガイルが絶体絶命の危機に立たされた事を、
ハインリッヒは後悔するのだった。
(;^ω^)「いえ…結局、アイツは倒さなくちゃ…ならなかったと思いますお…。
あんなの…予想不可能ですお…」
まだ口絶え絶えになりながら、ブーンがハインリッヒを励ます。
从;゚∀从『すまん…アルドボールの欠点は、地中にいるセカンドの索敵が出来ない事だったんだ。
この危機を招いたのはアタシのミスだ。もっと注意していれば……』
(;^ω^)「い、いいんですお…誰のせいでも無いですお……」
- 117 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/20(日) 17:05:48.04 ID:k1Hy8DnnO
- しえん
- 118 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/20(日) 17:06:10.87 ID:hCnlSZxH0
- 支援
- 119 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/07/20(日) 17:06:46.49 ID:aYFp660U0
-
ガイル「ブーン、あんまり喋るんじゃない…まだ随分辛そうじゃないか」
(;^ω^)「す、ごほっ…すみませんお……」
咳と出たのは少し黒味を帯びた血。
喋るなと言ったのに喋るブーンを、ガイルは「少し融通の利かない奴だ」と改めた。
ふと、ガイルが目を通りの奥へ向けると、
暗視の中、遠くの方で複数の白い何かが動いているのが見えた。
それも、かなりの速度で近づいてきている。
ガイル「クソッ! セカンドか!?」
ブーンをその場に降ろし、機関銃を構えるガイル。
トリガーに引っ掛けた指に力を入れようとした時、
ブーンのスピーカーからハインリッヒの声が喧しく流れた。
从;゚∀从『そいつらは味方だ! セカンドは後ろから来るぞ!』
ガイル「何!?」
ハインリッヒの声に促され、パッと後ろを振り返る。
その視線の先には、何もいない。
だがしかし、次第にざわめきのような物音が聞こえ始めてきた。
- 120 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/20(日) 17:08:26.70 ID:k1Hy8DnnO
- 支援
- 121 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/07/20(日) 17:08:36.09 ID:aYFp660U0
- ブーンの右耳には、はっきりとセカンド達の血肉に飢えた叫び声が聞こえていた。
今すぐにでも血を飲み、肉を喰らわなければ死んでしまいそうな、
そんな強烈な飢餓を感じさせる耳障りな声だ。
(;^ω^)「さっきの大型…を倒したから……」
从;゚∀从『大方、邪魔なライバルがおっ死んで自由に
狩りが出来るようになった、ってとこだろうな!』
ハインリッヒの推測は、ブーンの考えと概ね同じだった。
ここいらを縄張りにした厄介な猛獣がいなくなり、狙っていた獲物を
今度こそ捕えられると、奴らセカンドは考えたのだろう。
ξ;゚听)ξ『アタシ達も今すぐそっちに向かうわ!』
ツンの通信が切れると同時に、遠方からヘリのプロペラが空気を切っている音が、
深々と広がる闇の空で鳴り響く。
本当に近くにいる事が分かると、ブーンは少し力が沸いたような気がした。
ガイル「ほら、俺の肩に掴まれ! 走れるか!?」
(;^ω^)「は、はいです…お…」
ガイルの肩へダラリと腕を伸ばし、弱弱しくブーンが言った。
- 122 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/20(日) 17:08:41.68 ID:hCnlSZxH0
- 支援
- 123 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/20(日) 17:09:46.39 ID:hCnlSZxH0
- 支援
- 124 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/20(日) 17:10:02.20 ID:k1Hy8DnnO
- 支援
- 125 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/07/20(日) 17:11:57.20 ID:aYFp660U0
- ブーンも目覚め、2人が前進する速度は少しばかりだが速まった。
とはいえ、前方を除くあらゆる方向から押し寄せて来るセカンド達と比べれば、雲泥の差。
そう、セカンドが数を増しているのだ。
聞きつけたのはヘリの音なのか、はたまた他のセカンドの声を聞いてなのか。
それは定かではないが、ともかく、ブーン達を取り囲むようにして大勢が迫って来ている。
(;^ω^)(ダメだお! 追いつかれるお!)
遠くで聞こえていたざわめきも、既に荒ぶる波の音のように大きくなっている。
幾重にも重なり合うセカンドの叫喚は、このマンハッタンの広大なクイーンズ区を埋め尽くした。
急速的に異常さを増す街の様子に、ブーンとガイル、そしてアルドボールでクイーンズ区を
見ている者全員が、戦慄した。
まるで昔の――5年程前の街のようだと、刷り込まれた恐怖をぶり返す。
ガイル「ブーン! もう少しだ!」
セカンドは、もはや目と鼻の先にまで迫っていた。
あと数秒、という差で捕らわれてしまう距離である。
それと同じくらいの距離で、白い女兵士――Hollow Soldier――が、
ブーン達の前方で黒い巨大な銃を手に、待ち構えていた。
( 〓 )「私達の後ろへ飛べ。早く」
- 126 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/07/20(日) 17:13:57.49 ID:aYFp660U0
- 言われるがままに、ブーンとガイルは身を投げるような勢いで地を蹴る。
2人は彼女達の間を縫って飛んで行き、そして地面へ激突した。
( 〓 )「構えろ!」
6人の女兵士が、一斉に手に持った銃のトリガーを引く。
すると、元々大人の腕一本程はある銃が変形し、2、3倍程の大きさとなった。
変わったのは銃身と銃口で、まるで電波を受信するアンテナのような広い円を成している。
大掛かりな機構を持つ銃と思われるが、変形に要した時間はほんの僅か数秒だ。
( 〓 )「撃て!」
その声と共に、兵士達は再び一斉に銃のトリガーを引いた。
銃口からは、ブーンの操る兵器にそっくりの蒼い光が放たれた。
( ^ω^)(これは…ブルーエネルギーなのかお…?)
帯状に真っ直ぐ放出された蒼い光がセカンドを焼き尽くす。
光に当たったセカンドは、砂で建てた城を崩すかのように朽ち果ててゆく。
銃が放出したエネルギー量から、兵士達の身体能力は自分と比べても
かなり強靭なものであると、ブーンは察する。
強力な兵器ではあるが、放出する範囲はそれ程広くはない。
この場にいるセカンドを全て殺そうとすれば、逆にブーン達がやられてしまうだろう。
多勢に無勢だ。
( 〓 )「掴まれ」
だが、白い兵士達による攻撃により、セカンド達が怯んでいる。
その隙に彼女達はブーンとガイルを抱え、来た道を戻り始めた。
- 127 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/20(日) 17:14:46.56 ID:k1Hy8DnnO
- 書いてるなぁw
俺じゃ挫折するわ
- 128 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/07/20(日) 17:16:16.75 ID:aYFp660U0
- 重たいブーンを背負っているにも関わらず、その足はセカンドを凌駕している。
セカンド達と少しずつ距離を離しながら、「蚯蚓」の胴体の終わり目にある
交差点で待機しているツン達のヘリを目指した。
ガイル「見えた! ヘリだ!」
ガイルの目にもヘリを目視できる位置までやって来た。
スクランブルの交差点の中心に着陸しており、搭乗口を開けて待機している。
その両脇には、銃を構えた白い兵士が膝立ちで敵に備えていた。
ξ;゚听)ξ「ナイトウ!」
(;'A`)「ブーン!」
(;^ω^)「ツン! ドクオ!」
搭乗口から、ツンとドクオの姿が見えた。
2人も、威力は微々たる物だが抗体を撃つ事が出来る銃を構えている。
从;゚∀从『ツンちゃん! 後ろ後ろー!!』
ヘリを中心に中継しているアルドボールから送られた映像では、
四方八方からセカンドが「食料」を求め迫っていた。
ハインリッヒの通信を受け、ツンはヘリを護衛している兵士達に、
ヘリ後方のセカンドを攻撃するように檄を飛ばす。
指示を受けた兵士達は機械のごとく精密な動きで目標を捉え、撃つ。
しかし、セカンド達はもはや歯止めが効かない様子で、全く攻撃に怯む素振りを見せない。
ひたすら獰猛に、そして貪欲に、街に存在する人間達を喰らおうとする。
- 129 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/07/20(日) 17:17:56.18 ID:aYFp660U0
- それは、ブーン達を追うセカンドも同様であった。
セカンドがセカンドを押し合い、押し退け、我が我がと食料を追い求める。
立ち止まりさえすれば、たちまち貪欲な渦の中に淘汰されてしまうだろう。
「蚯蚓」の長い胴体が“終わり”、一向はヘリがある交差点に出た。
数秒の差でセカンドも交差点へ流れ込み始める。
(;'A`)「早く乗れ!!」
ブーン、ガイルを背負った兵士が、搭乗口からヘリに乗り込んだ。
そして彼等を護衛して来た兵士達もヘリに乗り、ヘリ両脇で攻撃していた
兵士達も攻撃を継続しながら中へと戻った。
同時に、プロペラが動き出す。
女兵士達はヘリの搭乗口や窓から、セカンドをヘリに近づけないように攻撃する。
セカンドの中にはヘリに向かって飛び込んで来る者もいるが、
女兵士の正確な攻撃によりあえなく撃墜されている。
ヘリが、地を発った。
それでも、セカンド達の多くが跳躍してヘリを追う。
(;'A`)「…や、やっぱ、こええ……」
元が同じ人間だとは到底思えないと、ドクオは恐怖した。
言語を持たないただの甲高い叫喚であるが、ドクオにはそれが、
「お前らの肉を喰わせろ。お前らの血を飲ませろ」と言っているように聞こえた。
- 130 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/20(日) 17:18:57.22 ID:k1Hy8DnnO
- 支援
- 131 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/20(日) 17:19:17.05 ID:hCnlSZxH0
- 支援
- 132 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/07/20(日) 17:20:33.32 ID:aYFp660U0
- ヘリは無事、クイーンズ上空へと出た。
その空の下、クイーンズの街では無数のセカンドが蠢いていた。
もはや手に届かない空にヘリがあろうとも、多くのセカンドが跳び、手を伸ばしている。
(;^ω^)(凄い量だお…前に調査しに来たよりも、ずっと多い気がするお…)
やがて、その「食料」が手に入らないと理解すると、泣き叫び始めた。
もう少しで手に入れられた食料を逃してしまったのが、悔しいのかもしれない。
腹が減り、喉が乾いているだけなのかもしれない。
新鮮で美味いらしい人間の血肉を逃したセカンド達は、蚯蚓を喰らい始めた。
無我夢中で肉に噛み付き、当面の飢えを満たそうとしている。
彼等は、食えれば何でもいいと考えている訳ではない。
我々人間と同じくして、美味い物を食いたいと思っているだけなのである。
人間の脳を喰らって知恵を身に着けようとするのは、目的としては第二に位置するだろう。
しかしながら、彼等の世界には既に人間はおろか、動植物も満足に存在していない。
もう、彼等にとって「食べる」という事は、単に生き延びる手段としてなりつつあった。
('A`)「ちくしょう」
ドクオは煙草の煙と共に言葉を吐き捨てた。
眼下のセカンドを見て、ドクオは同情めいた悲しい気分を感じるのだった。
セカンドも必死に生きようとしているのだな、と。
- 133 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/20(日) 17:22:54.82 ID:hCnlSZxH0
- 支援
- 134 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/07/20(日) 17:23:47.15 ID:aYFp660U0
- ※
ヘリ機内は、ジョルジュを乗せた診療台を中心に、
壁に沿ってベンチを設置した作りとなっている。
ブーンにガイル、ツンとドクオ、ジョルジュ、それから白い女兵士7人の
計12人で乗っていても、まだスペースが残っている大きなヘリだ。
ジョルジュは、背の低い診療台で仰向けになって寝ていた。
透明のカバーの中に入れられて隔離されており、誰の手にも触れないようにしてある。
言うまでも無く、ジョルジュが誰かに触るという危険も考慮しての、隔離だ。
(;^ω^)「じょ、ジョルジュ隊長は? ごほっごほっ!」
ベンチに寝そべったブーンは血反吐を吐きつつも、ジョルジュの容態をツンに尋ねた。
するとツンは、眉間に皺を寄せた複雑な表情を浮かべながら、ブーンのシャツを捲った。
ξ゚听)ξ「喋らないで。
アンタは自分の体を心配した方がいいわ」
ツンは傷口を見て、溜息を付く。
ξ゚听)ξ「内臓を保護しているプレートが割れちゃってるもの。
当り所が悪かったら、死んでたわよ?」
- 135 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/20(日) 17:25:03.95 ID:k1Hy8DnnO
- ジョルジュいるの忘れてたw
- 136 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/07/20(日) 17:25:37.02 ID:aYFp660U0
-
(;^ω^)「さ、サーセン……」
ξ#゚听)ξ「喋るな」
言う事を聞かないブーンにツンは少しイラっとした。
ガイル「それで…隊長はどうなった?」
ガイルは、ジョルジュを覆う透明のカバー
に手を当てて聞いた。
ツンは、ブーンの腹部を診ながらガイルの問いに答える。
ξ゚听)ξ「彼を発見した時、既に少し危険な状態に陥っていたわ。
その時、目は殆ど見えていなかったみたいだし、動悸が凄く激しかった。
何よりも、体温が上昇しつつあったの」
ガイル「それって……まさか……」
ガイルが視線と言葉を床に落とし、落胆する。
ξ;゚听)ξ「あ、いや、セカンド化してる訳じゃないわよ!
抗体を打ってからは、大分落ち着いてきてるし」
ガイル「そ、そうなのか……」
ガイルは、ほっと溜息を付いて安堵する。
- 137 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/07/20(日) 17:27:31.97 ID:aYFp660U0
-
('A`)「ただ、抗体が完全にセカンド化を防いだのかも、分からないんだ…」
ドクオが声を落として補足し、その場はしんと静まった。
一同は、静かに寝息を立てているジョルジュへと、視線を注ぐ。
蒼白な顔色で静かに寝ているジョルジュ。
普段の高慢で高飛車なヘつら笑いも無く、常にギラギラとした鋭い目も、今はその瞼を閉じていた。
肩の傷には包帯が何重にも巻かれているが、赤い色が滲んでいた。
从 ゚∀从『でも、コイツがセカンドになるなんて、アタシは思えないんだ』
ブーンの右耳から、ハインリッヒの声が漏れる。
ガイル「俺だってそう思う」
('A`)「俺もハインリッヒと同感だよ。
ジョルジュがセカンドウィルスに屈服するなんて、思えないぜ」
誰しもがそう思っていた。
あのジョルジュ・ジグラードがセカンドになるなんて、何の冗談だと。
いや、ただ単にそう信じたいだけなのかもしれない。
これ以上、人間があの恐ろしい化け物に変わるなんて、それよりも恐ろしい悪夢は無いのだから。
- 138 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/20(日) 17:28:28.55 ID:k1Hy8DnnO
- 支援
- 139 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/20(日) 17:31:14.02 ID:k1Hy8DnnO
- 支援
- 140 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/20(日) 17:35:15.22 ID:rR4ikSrL0
- 支援
- 141 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/07/20(日) 17:36:29.69 ID:aYFp660U0
-
( ^ω^)「きっと、ジョルジュ隊長は治せますお。ごほっ」
相変わらず血を吐きながらブーンが言う。
ξ゚听)ξ「喋るな」
( ^ω^)「サーセン」
ツンは硬質なその義手でブーンの頭をぶん殴り、システムを停止させた。
携帯端末にオペレータの喚き声が入信されているが、ツンはお構いなしという様子だ。
ξ゚听)ξ「まぁ…前向きに考えましょう?
治る可能性はあるんだから、きっと何とかなるはずよ!」
从 ゚∀从「違うわい! “何とかなる”んじゃなくって“何とかする”んだってば!
アタシ、今回はお前らに色々教わっちゃったよ……サンキューな!!」
('∀`)b「こちらこそだ!」
ξ゚听)b「授業料はココア1年分でいいわよ!
…と、言いたいところだけど、アンタ達のおかげでブーンが助かったわ。
サンキュー、“ハイン”! ココアはいいわ!!」
- 142 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/20(日) 17:39:23.22 ID:k1Hy8DnnO
- このツン&ハインが好きだ
- 143 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/07/20(日) 17:39:45.24 ID:aYFp660U0
- ※
一向を乗せたヘリが暗闇の空を駆けて行く。
やがて、光を失った超高層の摩天楼の姿が見え始めた。
ヘリはいくつもの高層ビルの間を通り、NYの地に根を張る広大な森を目指した。
('A`)「ブーン! 起きろ! 帰ってきたぜ!」
( ^ω^)「ぐああツン…もうやめておー…巻きぐそドリルは反則おー…」
何が巻きぐそドリルだ! 市ね!! ξ#゚听)三○)ω^) ぎゃあああああああああああああああ!!!
( ^ω^)「お、着いたのかお?」
ξ゚听)ξ「もう『セントラル』上空よ」
ツンは窓を開け、眼下に広がる森を指差す。
確かに『セントラル』の森である事を確認すると、ブーンは「帰ってきたんだ」と実感する。
上空からでも、その森の景観は何処か見慣れたものであるし、
夜であってもセカンドの呻き声一つ無いのは、NYの『セントラル』だけである。
- 144 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/20(日) 17:41:54.63 ID:k1Hy8DnnO
- 支援
- 145 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/20(日) 17:44:01.23 ID:k1Hy8DnnO
- 支援
- 146 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/07/20(日) 17:45:14.47 ID:aYFp660U0
-
('A`)「帰ったらやる事が沢山あるなぁ」
ドクオは背伸びをし、目を細めて遠くを眺めた。
( ^ω^)「ドクオ! ショボンの所に飲みに行くお!」
ξ゚听)ξ「ったく、傷を直してからにしてね」
ツンは、ブーンの腹部を見つめて溜息を付いた。
殆ど呆れながらも、ツンはブーンの楽しみを大事にしているつもりである。
酒、煙草、物書き。いずれもブーンの心を癒す物なのであれば、管理者として良しとする他無いのだから。
( ^ω^)「はいおはいお。ちゃちゃっと治してくれお」
ξ#゚听)ξ「何よそれ! 直してやんだから、もっと有り難くお願いしなさいよ!」
( ^ω^)「だって、僕を直すのがツンの仕事だおっおーん」
ジッポライターで煙草に火をつけながら、ブーンがあっけらかんに言った。
その紫煙の向こう側に見えるクイーンズ区を見て、ブーンは思う。
――余りにも長い一日だった。余りにも多くの事があった。
傷付き、泣き、失い、学んだ今日という日を、多くの者が戒めるだろう。
昨年の年末に、ハインリッヒはこう宣言していたのを思い出した。
「その日が、『セントラル』にとって新たな一歩となるように」、と――。
今日はまさしくその一歩を踏み出せた日だと、ツンやドクオ、そしてガイルを見て思うのだった。
第10話「脱出 クイーンズ区」終
- 147 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/07/20(日) 17:50:10.79 ID:aYFp660U0
- 以上が第10話でした。
支援ありがとうございました! お疲れ様でした!
思ったより覚えてくれてる人がいたのは嬉しかったです。
次回の目処はまだ立ってませんが、富樫ることは無いと思います。
ということで、また次回!
- 148 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/20(日) 17:51:42.97 ID:k1Hy8DnnO
- 乙!面白かったぜ!
wktkして待ってる
- 149 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/20(日) 17:55:16.41 ID:hCnlSZxH0
- 乙!wktkwktk
- 150 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/20(日) 18:17:46.31 ID:rR4ikSrL0
- 乙でした
ジョルジュの安否がずっと気になってたんだぜw
- 151 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/20(日) 18:29:53.40 ID:vGJZ9wjU0
- やっぱこれいいな
次はあまり待たせないでねw
乙でしたー
- 152 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/20(日) 18:36:32.61 ID:Yjq62uax0
- 乙、今回も面白かった
- 153 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/20(日) 19:04:49.43 ID:k1Hy8DnnO
- ジョルジュ結局どうなるんだろ
マイペースでいいから頑張って完走して欲しいな
- 154 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/20(日) 19:36:13.92 ID:OSc5PLCa0
- おおお