内藤エスカルゴ - 現行作品一覧 - ( ^ω^)は街で狩りをするようです - 第2話「ライバル」

第2話「ライバル」

3 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/02/16(土) 21:18:06.59 ID:Um5zfaeK0
第2話「ライバル」


2058年も終わりが近づいてきた。
現代ではのんびりと年末を過ごすのが普通だが、「セントラル」に居住してからそういった習慣が減ってしまった。
季節などお構い無しにせっせと働く人々で「セントラル」は活気に溢れている。

第3階層では地球に蔓延る凶悪なウィルス「セカンド」を撃退する為に、
今日も研究に励む者達が必死にモニターやパネルを叩いていた。

対セカンド兵器開発部「チーム・ディレイク」のリーダーであるツンは、先のブーンの戦闘記録を巻き返し見ていた。
モニター一面に血液と臓物が広がる血生臭いこのフィルムは、普通の人間では見るに耐えない代物であるが、
まだ19歳の少女であるにも拘らず、ツンは目を逸らずに冷静に映像を分析していた。

彼女は戦闘を見て思った事をパネルに叩き込み、モニターに複雑な数式やデータの羅列を表示させていた。
パネルを操作する彼女の両腕は服や「皮膚」で覆われて一見普通の腕に見えるが、機械で出来た義腕なのである。

ξ゚听)ξ「この『蜘蛛』の糸を避けられたはギリギリってとこね。
      運動プログラムの一部と足回りを大幅に変えるわよ」

('A`)「ふむ」

彼女のモニターを後ろから眺めて相槌を打っているのは、同チームのサブリーダーであるドクオだ。
主にツンのサポートをしているが、彼が熱心に打ち込んでいるのはブーンの武器開発だ。
アイディアと発想に富んだ男で、彼の開発する武器はどれも強力で使い勝手が良い物が多いと、ブーンは言っている。

5 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/02/16(土) 21:23:01.38 ID:Um5zfaeK0
('A`)「セカンドも手強いのが増えて来たみたいだしな。
    この『蜘蛛』より遥かに強いのが存在するに違いないんだぜ?」

ツンは高速で叩いていたパネルの手を休めて、テーブルに置いてあるカップを取る。
ココアの甘ったるい香りは消える事は無いが、湯気はすっかりと消えていた。
カップの半分程残っているココアを一気に飲み干し、テーブルに叩きつけるようにカップを置いた。

ξ゚听)ξ「ぬるいけどうめぇwwwwwwwwwwwwwww
      ……そうね。それに次のミッションはかなり危険なミッションになるに違いないわ。
      少しでもブーンが強くなればミッションの成功率も上がるはず…」

鼻で深く息を吐き出し、ドクオはボリボリと頭を掻いた。
長く伸びた油っこい髪が何とも痒そうだが、本人は気にしていない様子だ。

('A`)「“地球観測用小型人口衛星の打ち上げ”ねぇ。
    確かに、ソイツが打ち上げれば世界中のセカンドの分布が一気に分かる」
   
('A`)「それにしてもよ、そのミッションにウチを選ぶなんて分かってるじゃねーか」

ξ゚听)ξ「議会はブーンの力が必要、って分かってるのよ」

7 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/02/16(土) 21:29:30.74 ID:Um5zfaeK0
('A`)「他チームとの協同任務、って事だけどな。
    しかしまぁ、よりによって“チーム・アルドリッチ”とだもんなー」

ξ#゚听)ξ「そうなのよ! あームカついてきたわ! 腹が立ってきたわ!」

ツンはわなわなと拳を握って震えた。
眉間にシワを寄せて歯を食いしばるツンの顔は、ドクオに日本の伝奇の鬼を想起させた。
そしてドクオは、ツンをからかうチャンスだと思い、彼女のライバルの名を故意に言ったのだった。

('A`)「対セカンド兵器バトルスーツ開発チームが何でまた衛星なんぞ作ったのかね。
    あそこの女リーダー、何て言ったっけ? 確かハインリッヒだったか」


 爆熱ゴッドフィンガー! ξ#゚听)三○)A`) 避けられなんだあああああ


ξ#゚听)ξ「あの女と協同なんて、アタシ絶対に無理!」

ドクオを掌で吹き飛ばしたが、それでもまだイラつきが治まらないツンは自分のデスクを叩きながら叫んだ。
ツンのボコボコのデスクにまた新しい凹みが一つ増えた。

(#)A`)「お、俺もお前と協同するの無理……もはや再起不能…ぐふっ」

ξ゚听)ξ「し、しんだ」

10 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/02/16(土) 21:35:05.36 ID:Um5zfaeK0


「セントラル」を構成する5つの階層の内、第5階層は市民の住居区だ。
システム・ディレイクという強化人間、B00N-D1―通称ブーンもここで衣食住を行っている。

市民の部屋に特別な差は無く、ブーンやツンの部屋も他の市民と同様の広さだ。
経済こそ成り立っているが、「セントラル」では基本的に格差の無い社会が形成されているのだ。
ただし、第4階層や第3階層に個人の店や研究室を持つには、最低限の資金やそれに変わる研究成果が必要なのである。

つまり、言うまでもなく「セントラル」には貨幣が存在する。
「セントラ」という電子マネーがそれに当たり、主に携帯端末で利用している。
別に金が無くても水や液体化食料は無料でもらえるのだが、より多くの「味」を楽しみたい市民は経済活動を行い、
給与や利益として「セントラ」を得て贅沢を味わうのだ。

( ^ω^)「ここのカレーくそうめえwwwwwww」

「嬉しい事言ってくれるじゃないの」

ブーンは戦闘することで多くのセントラを貰っているが、他にも趣味として本を書いて売っていた。
内容はセカンドとの闘争記録で、これが中々に売れているのだ。
実際に戦っている者が見て思った事を巧みな文章術で描写しており、子供から大人まで幅広い年代の人を熱中させる内容だ。

12 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/02/16(土) 21:41:19.06 ID:Um5zfaeK0
元々文章を書く事が好きなので、暇がある時は大抵本を書いて過ごしている。
液体化食料で手早く朝食を済まし、昼過ぎまで机に向き合って執筆する。
その後は第4階層のレストランで昼食を取り、ツンのラボに行って体の点検などをしてもらう。

一日の中でツンのラボにいる時間が最も長いが、点検などをしている時間が彼の睡眠時間になる事が多かった。
ラボの用事が終わった後はショボンの店で食事と酒を楽しみ、昼間にラボで寝れなかった日は朝までぐっすりと眠る。
これがブーンの一日だった。

( ^ω^)「くそみそカレー阿部wwwwww
       次もまた来るおwwwwwwwwwww」

「男は度胸! 色んなメニューを試してみるのさ。
 ちなみにカレーの作り方は秘密なんだぜ?」

今日は少し遅めの昼食だった。
昨日の晩に少し飲み過ぎたらしく、本を書く時間を削って寝てしまったのだ。
酒は強い方なのだが、ミッションが終わった後は疲れもあって二日酔いになる事が多い。
それもまた人間らしさで良しと、ブーンは思う。

14 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/02/16(土) 21:53:20.66 ID:Um5zfaeK0
( ^ω^)「(大体書き終えられて良かったお)」

酒を飲んで寝坊してしまったので、今日は昼食を取りながら本を執筆する事にした。
あまり日が経ってしまうと戦場で感じた事を忘れてしまうので、とにかく早めに文章に残しておきたかったのだ。
優れた記憶素子は映像をクッキリと記憶するが、自分の感情まで留めておくのは難しいからだ。

ブーンは「くそみそカレー阿部」の前でタバコを一服し、第3階層のツンのラボに行く為にエレベータへ向かった。
またミッションが近々あるという話だ。
今日の点検は長いかもしれないので、ブーンは少し早めにラボに行こうと思った。




各階層への行き来は中央にあるエレベータを使わなければならない。
どの階層もこの中央エレベータを軸に作られており、この軸から何本もの道路が真っ直ぐ伸びている。
道路に終わりは無く、シェルターの端に沿って一周するようになっているのだ。
このような構造をしている為、「セントラル」は広いのだ。

その為、無人タクシーのような乗り物があり、全市民がそれを利用してシェルター内を移動するのだ。
この乗り物を「アクセサー」といい、アクセスという言葉が元になっているらしい。
コンピュータで制御されている全自動の乗り物である為、子供と老人も簡単に利用する事が出来ている。

ただし、「セントラル」はどの階層も縦横無尽に入り組んだ複雑な構造のため、迷子になる人は結構多い。
人口100万人が生活する為には、そのような構造にするのは致し方ない事だった。

16 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/02/16(土) 21:56:44.58 ID:Um5zfaeK0
ブーンは近くのアクセサー乗り場から、アクセサーに乗って中央エレベータに向かった。
アクセサーは最大で二人乗りで、宙を低空に飛ぶ小型の乗り物だ。

( ^ω^)「おっおっ。混んでなくて良かったお」

これに乗ったまま中央エレベータで昇降して階層間を移動し、目的地に最も近いアクセサー乗り場まで運んでくれるのだ。
中央エレベータのゲート付近には多くのアクセサーが走っているが、
エレベータは高速で昇り降りしているので混雑する事は少なく、移動は快適そのものである。

ブーンがエレベータのゲートに入ると、機械音声で行き先を指定された。
目の前に出たモニターパネルをタッチすると一気に第3階層に向かって上昇する。
一つの階層を移動するのに要する時間は3分ほどだ。
高速で昇降するといっても、各階層間は結構な距離がある為移動に少し時間かかってしまうのだ。

しかし、アクセサーのモニターでニュース等を見れるので退屈を凌ぐ事は出来る。
もっとも、毎日同じようなニュースが流れる事の方が多いので、やはり暇を持て余す事の方が多いのだが。

( ^ω^)「――セントラル議会、チーム・アルドリッチの小型衛星打ち上げを決定。
       テストやシミュレーションを終え、明くる年の1日に打ち上げする事を決定した。
       既にバトルスーツ部隊で打ち上げ施設の換装をほぼ終えた、かお」

17 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/02/16(土) 22:00:34.44 ID:Um5zfaeK0
まだ自分の知らない情報がモニターに流れ、ブーンはそれを読み上げた。
こんなプロジェクトが進められていた事を思い出すが、自分はセカンドの調査で忙しかったので
このプロジェクトの進捗状況を知る機会が少なかったし、何よりツンがこの話題を避けていた事を覚えている。

衛星を映していたモニターが切り替わり、派手な金髪と豊満な乳を持った女性が壇上で発表の中継が出た。
確かハインリッヒ・アルドリッチという女性で、バトルスーツという対セカンド兵器理論の提唱者だ。


从 ゚∀从「この衛星で地球上のセカンド発見する事で、セントラルをより確実に守る事ができるでしょう。
     クイーンズ区に残っていた宇宙開発施設の名残を換装・補修して利用する予定ですが、その換装作業は
     ジョルジュ隊長率いるバトルスーツ部隊が順調に作業を進めてきました」


( ゚∀゚)「換装作業はほぼ完全に終え、現在は我が部隊が打ち上げの日まで施設の護衛を務めている。
     必ず衛星の打ち上げを成功させてみせよう」


ハインリッヒに変わって、長身の男がスピーチした。
銀髪の髪は短く小奇麗に纏っており、眉毛はヘの字に綺麗に整えられている。
端整な顔立ちだが、それに似合わない太い首を持っている。
一見してがっしりとした体付きであるので、スーツの下の体は隆々とした筋肉を詰めているのだろうとブーンは想像した。

19 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/02/16(土) 22:04:57.88 ID:Um5zfaeK0
ブーンはこの男と直接的な面識はあまり無かったが、頭のメモリーには彼のデータがしっかりと残っている。
バトルスーツ隊隊長、ジョルジュ・ジグラード。
元々、アメリカの陸軍中尉だったらしく、歳も35とまだ若い。

从 ゚∀从「……議会の決定により打ち上げは…あー、チーム・ディレイクとの協同作戦、となりました。
     打ち上げは1月1日、元旦です。
     この日がセントラルにとって新たな第一歩となるべく、誠心誠意努力致します」

ハインリッヒとジョルジュに共通しているのは表情だった。
プライドと自信が張り付いているような2人の表情は忘れがたく、何故か鮮明に覚えているのだ。
それに、このハインリッヒとツンは何か因縁の仲らしい。
互いに強いライバル意識を持っていて、いつの日だったか激しい口論をしていたのをブーンは思い出した。

( ^ω^)「凄まじく面倒な事になりそうだお………」

ツンの叫び喚く姿が、手に取るようにブーンには想像できた。
今頃ドクオはツンに愚痴られているか、あるいは殴られているだろうと、その光景を頭に描いた。

20 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/02/16(土) 22:08:42.45 ID:Um5zfaeK0


  シャイニングフィンガー! ξ#゚听)三○)A`) あばgyぎゅいあああ

ラボに入る否や漂ってきたのは、ココアの甘ったるい匂いと血の匂いだ。
こんなにラボが殺伐しているのも久しぶりで、やはりハインリッヒ絡みになるとツンの苛立ちは相当酷くなるようだ。

  来るのが遅おおおおい! ξ#゚听)三○)ω^) おぶうつhjkまds

確かに早めに来たはずなのだが、殴られてしまった。
ブーンの顔面は強固な金属製プレートが埋め込まれているし皮膚も頑丈な素材で出来ているのだが、
それと同じ素材で出来ているツンのパンチは流石に痛いと感じてしまう。
これも数少ない有機的感覚であるが、点検に来るや点検を行う人に殴られるというのは如何なものかとブーンは思う。

(#)ω^)「な、なにをするだお……」

(#)A`)「耐えろ。耐えて生きるんだ」

ξ#゚听)ξ「ブゥー―ンッ!! 任務が決まった事はもう知っているわね!?
      フルピッチでアンタの性能を向上させてやるわ! 覚悟しなさい!」

(#)ω^)「まずツンのパンチを効かなくして欲しいお」

   ダークネスフィンガー! ξ゚听)三○)ω^) ゆういおあbのうぇff

('A`)「なぁ、さっさと作業始めようぜ……」

22 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/02/16(土) 22:11:32.79 ID:Um5zfaeK0
ツンとドクオが居るラボとは強力なガラスで隔離された部屋の中で、ブーンは診察台の上で寝ていた。
ブーンの真上には幾つもの小型クレーンが着いており、それらの先端にはレーザーメスやドリルなどが装着されている。
診察台の近くには部品をストックしているスタンドが設置されていて、小型クレーンの幾つかがそれらを掴んで運んでいる。

ツンとドクオはガラス越しのブーンと自分達のモニターを交互に目を行き来させ、パネルを慎重に操作している。
ツンがパネルを叩くとクレーンが作動し、ブーンの体にメスを入れたり特殊なドライバーでプレートを開けたりした。
レーザーメスなので血が出る事も無いし、体に傷も残らずに手術を終える事が出来るのだ。

(;^ω^)「ハァハァ……思わずゾクゾクしちゃうお……ウッ!」

('A`)「きめえwwwwwww」

痛みは無いので麻酔要らずの手術なのだ。
ブーンは拘束されているので自分の体がどうなっているのか見れないが、
足元で動いているクレーンの音は聞こえてくるので少し寒気を感じていた。

ξ゚听)ξ「両脚部の切開完了。
       ドクオ、新しいプログラムのインストールを始めてて」

('A`)「ほいほい」

ξ゚听)ξ「演算では良い結果を出せたけど、どうなるのかしらね」

24 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/02/16(土) 22:16:17.27 ID:Um5zfaeK0
ドクオはパネルを高速で操作し、プログラムをモニターに出した。
念のためコンパイルさせて異常が無いか確認した後、エンターキーを押してブーンにインストールさせた。
インストール先はブーンの脳だ。
ブーンの右耳から後頭部に架けて着いているプレートには外部からの入力端子も備わっており、ここからプログラムをインストールさせる。、
ブーンの記憶素子から映像を見るのも、後頭部の端子から出力させているのだ。

(*^ω^)「アッー! 何かが頭に入ってくる……ら、らめぇっ!」

('A`)「プログラム、インストール完了だ。
    今んとこ正常に動いてるぜ。身体も異常無しだ」

ξ゚听)ξ「こっちも脚部のパーツ交換完了だわ。
       続いてテストに移るわ! ブーン、トレーニング室に入って!」

(;^ω^)「はぁはぁ。了解だお」

手術室からそのままトレーニング室へ続いているので、すぐにテストを行う事が出来るのだ。
気に入らなければ手術室に戻って再度手術、そしてテストの繰り返しだ。
システム・ディレイクを積んだばかりの頃は一つの部位に何週間も時間を費やした事があったが、
今は微調整が主になり、大体長くかかっても3日で全て終わる事が多くなった。

25 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/02/16(土) 22:20:25.36 ID:Um5zfaeK0
( ^ω^)「おお。足が軽いお」

手足と胴体を固定していた重い拘束具が外れ、ブーンは飛ぶように診察台を降りた。
手術箇所を見ても手術前と変わらない人工皮膚とプレートが張り付いているだけで、特に変わった様子は無い。
しかし、今まで以上に速く動き、そして高く飛べそうだとブーンは感じた。




トレーニング室は巨大なドーム状の構造で、一面が真っ白だ。
外部からの操作によって、様々な条件の環境を具現化させることが出来るシステムで、
この真っ白なドームが都市や山の一部を模範する訳だ。

ブーンがドームの中央まで歩くと、不意に真っ白な景色が変わり、見覚えのある街並みが広がった。
元々は立派だった劇場の残骸が立ち並ぶこの景色は、NYのブロードウェイだ。

今自分の立っている通りの数十メートル先には、昨日見た『蜘蛛』が待ち構えていた。
プログラムなのでツンやドクオの操作があるまでは微動だにせず立っているだけだ。
しかし、顔面を埋め尽くしている数多の瞳が自分を見ているようで、ブーンは改めておぞましく感じた。

('A`)「よし、じゃあ始めるぞ。
    『蜘蛛』は主に糸でお前を捕らえようとするから、それを避けて倒してくれ」

右耳にドクオの声が通信されてきた。
ツンとドクオはラボの巨大モニターからトレーニング室を見ており、そこからマイクで通信してくるのだ。

26 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/02/16(土) 22:22:22.93 ID:Um5zfaeK0
( ^ω^)「ドクオ、BlueBlazeBladeも寄こしてくれお」

('A`)「もう既に転送してあるよ。
    左足にホルダーを着けてみたんだが、どうだ?」

ブーンは左太ももに目をやると、小さなホルダーが着いている事に気づいた。
ホルダーには剣の柄が装着されており、柄はすぐに取り外し出来るように腰の辺りまで伸びている。
ホルダーは鞘のような形状では無く、ガチっとハメるタイプの物だ。
柄が邪魔にならないかどうか確かめようと腰を回したり体を捻ったりしてみたが、大丈夫なようだ。

( ^ω^)「別に邪魔じゃないお」

ブーンは柄をホルダーから取り外してみた。
柄は拳2つ程の長さで、それ程太くなく握りやすい。
エネルギーシリンダーの他に指に沿ってグリップが付いており、それを握り込むとエネルギーが刃となって出た。
少し揺らめいて見える刃は炎を思わせるが、いくら振ろうとも刀身は真っ直ぐに伸びたままのようだ。

( ^ω^)「これカッコいいおwwwwwwwww」

('A`)「ちなみに“受け”は出来ないから気をつけてくれ」

ξ゚听)ξ「準備はいいわね? テスト開始!」

28 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/02/16(土) 22:25:58.43 ID:Um5zfaeK0
ツンの声をきっかけに、『蜘蛛』がブーンに向かって走り出した。
ブーンは地面を蹴って劇場の壁に飛び、さらに壁を蹴って通りの両左右の劇場を高速で飛び交った。
ブーンが飛ぶたびに劇場の壁にヒビや穴が生じている。
『蜘蛛』はその長くて堅い足を劇場の壁に突き刺し、壁を登っている。
やがてブーンを上空で見下ろせるくらいの高さまで昇り、糸を吐いた。

糸の範囲は非常に広く、ブロードウェイの多くの劇場を丸呑みしてしまうくらいだ。
ブーンは高速で移動して糸の射程外へ逃れたが、糸が飛ぶ速度も中々速いようだ。
『蜘蛛』は更に糸を吐いてブーンを追撃する。
糸は『蜘蛛』が死なない限り粘着力を失わないようなので、糸の上に着地してしまえば餌食と化してしまう。
ブロードウェイ全体が糸で覆われてしまう前に決着を着けなくてはならないようだ。

ξ゚听)ξ「ブーン、アンタの脚力と運動能力は格段に上がっているはずだわ。
       糸を突破して接近戦に持ち込んでみて!」

( ^ω^)「把握したお!」

更に上へと移動する『蜘蛛』を追い、ブーンも壁を蹴って昇っていく。
ドクオにはブーンが壁を歩いているように見えていたが、実際には壁と平行方向に跳躍を繰り返して壁を登っているのだ。
ブーンの移動スピードは『蜘蛛』を上回り、確実に距離を詰めていた。
僅か10メートルという至近距離で『蜘蛛』は広範囲の糸を吐き出し、ブーンを捕えようとした。

29 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/02/16(土) 22:30:16.53 ID:Um5zfaeK0
('A`)「ふひひ! 実は記録よりも20%増しで強いセカンドなのだ!」

ξ゚听)ξ「そうなの? でも20%増し程度じゃ相手にならないわよ」

ツンは鼻でフンッと笑った。

ブーンは両足で壁を蹴り壊し、中に逃れる。
そして『蜘蛛』の足が突き刺さっている壁を目掛けて跳躍した。
跳躍の途中でBlueBlazeBladeを左手に持ち変え、BBBladeで壁ごと『蜘蛛』の足をバラバラに切って外に出た。

(;'A`)「す、凄い機動力だな! 速くて目が追いつかなかったぜ!?」

ξ゚听)ξ「新しい回避運動プログラムがバッチリみたいだわ!
       やっぱりアタシは日々成長し続ける天才少女ね!!」

自信に満ちた笑みを浮かべながら、小さな胸を張ってツンは言う。
ブーンの性能は彼自身の経験と訓練に加え、メカニックやプログラマーによる調整によって性能が決まる。
天才的頭脳を持つツンあってこそのブーンなのだ。

('A`)「(暇がありゃずーっと研究してるもんな。
     ツンには敵わないぜ………だが――!)」

('A`)b「おっぱいも成長するといいな、ツン!」

ξ )ξ「」

30 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/02/16(土) 22:34:31.71 ID:Um5zfaeK0
数本の足と足場を失った『蜘蛛』は糸が敷かれていない地面に向かって落下を始めた。
ブーンは『蜘蛛』を追って壁を蹴った。
それに気づいた『蜘蛛』は反転し、自分の一直線上に沿って落下してくるブーンに向かって糸を吐き出そうとした。

しかし、既にブーンは『蜘蛛』の懐まで接近しており、糸を吐き出すと同時に蒼炎の刃を腹に突き刺した。
夥しい血液が自分を染めるのを無視し、突き刺した刃をそのまま縦横無尽に掻き回した。
ブルーエネルギーで出来た刃は非常に切れ味が良いらしく、セカンドの硬い骨や筋をバターのように切る事が出来た。

そのまま地面に叩きつけられた『蜘蛛』はより一層大きな叫び声を上げ、血を吹き上げた。
出血と外傷は酷いがまだ絶命する気配が無い。
その証拠に『蜘蛛』の糸はまだ枯れていないのだ。
前に戦った時は『蜘蛛』が死ぬと糸も朽ちていったのだ。

断末魔を上げながらも残った足で腹の上にいるブーンを八つ裂きにしようとしたが、無情にも足を切り飛ばされた。
そしてブーンは、腹を蹴って上空に飛んだ。

( ^ω^)「しぶとい奴だお!」

31 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/02/16(土) 22:37:55.55 ID:Um5zfaeK0
急速に上昇しながら頭部や胴体を狙って蒼い光弾を何発も放った。
気づけば光弾の着弾地点に『蜘蛛』の姿が消えており、代わりに血みどろのクレーターが出来ていた。
そのクレーターの中にブーンは着地しようとしたが、いつもの白いトレーニング室の風景に戻ってしまった為、
不意に現れた地面に着地する事になった。

( ^ω^)「急にプログラム消すなお」

大きな音を立てて着地したが、トレーニング室の地面は頑丈なのでヒビが入ったりする事は無い。
全てプログラムで出来た映像なので、今まで血まみれだったブーンの体も元通りになった。

ξ゚听)ξ「上出来だと思うわ。ブーン、どうだったかしら?」

( ^ω^)「かなり使い勝手の良い足になってると思うお。
       ただ、速すぎて…自分が追いついてない感じがするお」

ξ゚听)ξ「うーん、視神経の調整が必要なのかも。
      とりあえず左目のプログラムを今の状態に合うように書き換えてみるわ。
      その後、再度テストを行うわよ!」

32 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/02/16(土) 22:40:09.51 ID:Um5zfaeK0
(#)∀`)「でも凄がったぜドゥーン! がなりのバワーアッブだ!
    おでのBBBladeはどうだっだ?」

膨れた頬を懸命に動かして喋るドクオの姿を見たブーンは、彼もまた戦っていたのだと瞬時に理解した。
いつもの事なので気に留めないが、ブーンは「よくやるおっおっ」と両者に少し哀れみを感じたのだった。

( ^ω^)「かなり良いお! 気に入ったお!
       相手の動きを止めるのに使えるし、一撃の破壊力もあると思うお」

ξ゚听)ξ「アンタ達、プログラム書き換えるのに時間かかるから煙草でも吸ってきなさいよ」

( ^ω^)「お言葉に甘えさせてさせてもらうお。
       戦闘後はやけに煙草が吸いたくなるんだおっおっ」

ブーンはトレーニング室を出てラボに戻ると、既に煙草を咥えて待っているドクオがいた。
「ちょっと待ってくれお」と椅子に掛けてある自分のコートから煙草とライターを取り出し、自分も煙草を咥えた。

35 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/02/16(土) 22:44:27.84 ID:Um5zfaeK0
( ^ω^)「アッ」('A`)

ラボを出ると、アクセサーに乗っている時に見た人物両者が通路に立っていた。
ブーンとドクオは思わず「あっ」と声を出して驚いてしまった。
金髪巨乳の科学者ハインリッヒ・アルドリッチと、筋肉隆々の巨躯を持つ戦闘員のジョルジュ・ジグラードだ。

( ゚∀゚)「よう、B00N-D1」

とても挨拶をするような顔ではなかった。
まるで目で殺すようにブーンを睨みつけているジョルジュから、ドクオは只ならぬ威圧感をビリビリと感じていた。
戦闘員同士ということで、ジョルジュはブーンをライバル視しているという話を思い出す。

('A`)「(またいつもの挑発ですかね)」

バトルスーツとは、簡単に言えば戦闘用ロボットのようなものだ。
それに専属のパイロットが乗り込んで操縦し、セカンドを殲滅するというのがハインリッヒの掲げている理論だ。

从 ゚∀从「B00N-D1、ツンちゃんいる?」

ハインリッヒ・アルドリッチも、同じ科学者であるツンに対して強いライバル意識を持っていた。
どちらも人々からは天才と名高い科学者であるが、成果としてはツンが高い結果を出している。
それが非常に気に喰わないらしく、稀にこのように突っ掛かって来る事があるのだ。

36 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/02/16(土) 22:47:31.10 ID:Um5zfaeK0
( ^ω^)「巻きぐそ垂れてますお」

('A`)「お前は最低な嘘を付く奴だなぁ」

从;゚∀从「……ちょっと通り掛ったもんだから挨拶でもしようかなってね。
      中に入らせてもらうわよ」

ハインリッヒはブーンの堅い胸をコンっと小突いてラボに入った。
ジョルジュは終始ブーンを睨みつけ、ドアでブーンとすれ違う時には故意に肩をぶつけたようだ。
世間には善人で通っている2人だが、実の所は性格が非常に悪いようである。

从 ゚∀从「あっれーツンちゃん!?
     B00N-D1にウンコしてるって聞いたけど、もう終わったのかしら?
     それともオシメでもしてるのかしらー?」


   ぶるああああああああ ξ#゚听)三○)ω^) 冗談ですおおおおお


憎きライバルの声を聞くや否やツンは椅子から立ち上がり、まずは自分に対し酷い冗談を言ったブーンを殴り飛ばした。
ブーンはラボの外へ吹っ飛ばされ、咥えていた煙草はグチャグチャに飛び散ってしまった。
パンチの痛みよりも「一本損した」方がショックなブーンは、力無く項垂れていた。

37 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/02/16(土) 22:50:25.13 ID:Um5zfaeK0
ξ゚听)ξ「おwwwばwwwwwさwwwwんwwwwwwwww
       何の用ッスかwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」

ブーンを殴り飛ばしたツンは、ラボの中央でハインリッヒと対峙し、彼女の挑発に答えた。
身長差があるのでハインリッヒは見下し、ツンが見上げるという形になっている。
それが気に喰わないツンは年齢の若さで対抗しているが、それは僅か3歳という微妙な差であった。

从#゚∀从「いや、そろそろツンちゃんもオッパイ大きくなったかなぁーって見に来たのよ」

ハインリッヒは白衣を崩して着こなして豊満な胸を強調している為、否応にも胸が目に入ってしまう。
しかし、ドクオとブーンは決してハインリッヒの見事な谷間を凝視しようとはせず、チラ見で我慢しているのはツンに殴られない為である。
それは他の研究員も同様の様子だった。

豊満な乳が作り出す谷間を見ているツンが、こめかみ辺りをピクピクと痙攣させている。

ξ#゚听)ξ「悪いけどねぇ、アンタに付き合う程暇じゃないのよね。
       研究の邪魔だしアンタのキツイ香水がラボに染み付くから帰ってちょーだい」

从#゚∀从「もちろんそろそろ帰るわよー。
       こんな小便と乳臭いラボに居たら自分まで臭くなっちゃうもの!」

38 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/02/16(土) 22:52:25.01 ID:Um5zfaeK0
ξ#゚听)ξ「こンのクソババア……用がねーんなら来るなっつーの」

从#゚∀从「ババアじゃねえーよ、クソガキ。
       アタシはまだ23歳のお姉様だ!!」

それまで丁寧な口調だったハインリッヒも、その本性を現した。
男勝りの乱暴な喋り方はサドッ気たっぷりの威圧感を感じさせる。

ξ#゚听)ξ「アタシと3つしか離れてないじゃない!
       アンタもクソガキよクソガキ!! ざまあwwwwwwwwwwwwww

从#゚∀从「そう言うならオメーもクソババアじゃねえか!
       何がざまあだバーカ! 死ね! 氏ねじゃなくて死ね!!」

ξ#゚听)ξ「うるさいわねバカッ! カスッ! 牛ッ!
       大体そのヘアースタイルは何なの? 片目隠してカッコいいとでも思ってるのかしら?
       厨二病乙wwwwマジだせえwwwwwwうぇwwwwwwwww」

从#゚∀从「何だとこのジャリッ! ゴミッ! まな板!
       お前こそ巻きグソ垂らしてどういうつもりだぁ?
       頭にウンコ乗っけてやんのwwwwwwwきめえwwwwwwwwwwwwwwwww」

ξ# )ξ「うがああああああああああああああああああああ!!!」


('A`)「煙草吸いに行こうぜ」

( ^ω^)「頭が良いのに低脳だから困る」

40 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/02/16(土) 22:55:50.57 ID:Um5zfaeK0
天才科学者同士による口論と思えない酷い内容に、その場にいる全ての者が呆れ返ってしまった。
ラボの中央で唾を飛ばしながら激しく口論する2人を他所に、各々の作業へと戻っている。

ブーンとドクオは騒がしいラボを後にし、ラボの近くの喫煙所へ向かった。
そこには煙草を吸うジョルジュの姿があった。

( ^ω^)「あっ」

('A`)「ジョルジュ・ジグラード」

先ほどと同様に殺すような目で睨み付けたが、表情を和らげた。
少し笑っている表情が心外で、これには2人も戸惑いを隠せなかった。

( ゚∀゚)「そう構えるなって。座れよ。
     俺もお嬢ちゃん達に付き合ってられなくて出てきた口だ」

ジョルジュに促され、二人は対面するベンチに腰掛け、煙草に火をつけた。
煙草の白い煙の向こうには、得意気な表情で笑うジョルジュの顔が見える。

( ゚∀゚)「調子が良いようだな? B00N-D1」

当然、ハインリッヒのラボにもウチの活躍は聞こえているだろう。
ドクオはこのジョルジュの問い掛けはかなり挑発的に思えた。

( ^ω^)「はいですお。今度の協同任務も頑張らせて頂きますお」

ブーンの言葉を聞いたジョルジュは、和やかだった表情を少し曇らせた。
別に本人は皮肉を言ったつもりでは無いのだが、ジョルジュにとっては屈辱的な言葉であったのだ。

41 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/02/16(土) 23:02:45.28 ID:Um5zfaeK0
それは、互いの存在理由が「セカンドを倒す事」と、共通している事が原因にある。
本来、ジョルジュのバトルスーツ部隊も同様の理由で存在しているのだが、ここ数年は衛星打ち上げに専念してしまった為
セカンドを狩るという点に関しては主だった成果を出せずにいたからだ。
先ほどのブーンの言葉がジョルジュには「セカンドを倒す事は自分に任せろ」とでも聞こえてしまうのは、無理も無い事だ。

( ゚∀゚)「……あまり調子に乗るな、B00N-D1。
     今度のミッションで多くのセカンドを仕留め、我々が最も優れている事を証明してみせよう」

('A`)「………」

案の定、怒りを露にした表情と声のトーンで切り替えしてきた。
しかしブーンは、自分の思っている事を素直に口に出した。

( ^ω^)「僕はどちらが優秀でも構いませんお。
      大事なのは任務を完遂させる事ですお」

ブーンの言う通りだとドクオは思う。
任務はあくまで衛星打ち上げであって、セカンド掃討ではない。
妙な所で競い合うのは、チーム単独の任務だけで良いはずなのである。

42 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/02/16(土) 23:06:14.44 ID:Um5zfaeK0
だが、ジョルジュは思い掛けない言葉で挑発を続けてきたのだ。

( ゚∀゚)「フン。機械人間ってのは感情、いや、プライドが無いみたいだな」

('A`)「ッ!! てめえ! 言い過ぎだぞ!」

ドクオは思わず拳を握って立ち上がってしまった。
流石に、この酷すぎる暴言には耐えられなかったのだ。
ジョルジュは口の端を釣り上げ、「かかって来い」と言っているような挑発的な笑みを浮かべている。

(#^ω^)「ドクオ、よせお」

('A`)「だ、だけどよ……」

(#^ω^)「ジョルジュ隊長、その挑戦受けますお。
       今度の協同任務で私と貴方の間に確かにある圧倒的差を思い知らせて差し上げますお」

ジョルジュは、その表情を徐々に変えていった。
釣り上がった口に、瞳は飛び出てしまうんじゃないかという程に大きく見開いている。
高揚した気分がそのまま表情に表れたかのようだ。

( ゚∀゚)「フ、フフフ……ッ! そうこなくてはな! B00N-D1!
     今度のミッション、楽しみにしているぞ!」

ジョルジュは興奮した表情でブーンを指差して声を大にして叫ぶと、
踵を返し、殺伐した喫煙所を去っていった。

43 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/02/16(土) 23:07:17.25 ID:Um5zfaeK0
シェルター内は暑くも寒くも無い適正な温度で保たれているが、この喫煙所だけは温度が高いようにドクオは感じる。
それは、ツンとハインリッヒの口論では感じられなかったライバル同士の熱気だ。
気分が興奮しているブーンは尚も息を荒げており、額にうっすらと汗を滲ませている。

(;'A`)「ブーン、気持ちは分かるが今度の任務は――

ドクオが話し切る前に、ブーンが割り込んだ。

(#^ω^)「分かってるおドクオ。
       あくまで任務は衛星の打ち上げだお。
       その上でセカンドをぶっ倒しまくってみせるお」

('A`)「分かってるんならいいが…」

―――嫌な予感が拭い捨てられなかった。
思えば、協同任務が決定された時のツンの苛立ちを見てから何か悪い予感が胸を渦巻いていた。
ブーンはこう言っているが、両チームが意地を張った事で衛星打ち上げが失敗になるかもしれない。

願わくば、作戦を行うクイーンズ区に手強いセカンドが現れなければ良いのだが―――。

46 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/02/16(土) 23:11:33.13 ID:Um5zfaeK0


从#゚∀从「あー―――クッソォオオオオッ!!!
      思い出しただけでもムカツク! あのまな板ウンコ娘め!!」

ハインリッヒは自身の所有するラボに戻り、壁を蹴りまくって気分を発散させていた。
ジョルジュは椅子で煙草を吸いながらハインリッヒの様子を冷静に見ていると、突然ハインリッヒは足を抱えて飛び回った。
当り所が悪かったのか、声を漏らさずに飛び跳ねている様は周りで見ている他者を痛々しい気分にさせた。

从;゚∀从「……くうう………で、でも、ハインちゃんは泣かないもん!
      ジョルジュ、今度の任務は絶対に負けねーぞ!」

( ゚∀゚)「ああ。バトルスーツ隊の意地とプライドにかけてな」

そう言ってジョルジュは、彼の手元に浮いてるモニターを手で押し流してハインリッヒに渡した。
そのモニターに映し出されているのは、バトルスーツだ。

胴体から四肢と頭部が伸びている様は人間と変わらないが、どの部位にも分厚いプレートが装着された形状は鋭利で頑丈そうだ。
顔面には目鼻も無いが、人間でいう額の部分が三角形状に尖がって延びている。
本来人間に口がある辺りには、透明感のある黄色い直線が頭を輪切りにするように両側面に延びていた。

47 名前: ◆jVEgVW6U6s :2008/02/16(土) 23:13:11.87 ID:Um5zfaeK0
機体の右手には、バトルスーツの全長程あろうと思われる巨大な兵器が握られている。
ハインリッヒはこの巨大兵器にタッチし、この兵器に関する映像を同モニターに開いた。

从 ゚∀从「おぉ? こいつは……ヘェー!」

それは兵器の設計図だった。
兵器に関する事が細かに書かれており、具体的な破壊力なども提示してある。
それを読み終えたハインリッヒは感嘆の声を漏らし、ジョルジュの方に顔を向けた。
すっかり機嫌は直ったらしく、元の得意気な顔に戻っている。

从*゚∀从「なーるーほーどー♪
     こりゃー、バトルスーツじゃねーと決して使えない代物だな!」

( ゚∀゚)「そうだ。確かに機動力じゃシステム・ディレイクに劣るかもしれない。
     ならば火力で圧倒的に勝れば良いのだ!」

从 ゚∀从「キャパは1発か……まさに切り札だな。気に入ったぜジョルジュ!
     チーム・アルドリッチの総力を上げて今すぐにでも作ってやる!」

切磋琢磨に互いを高め合う「セントラル」の研究風潮は、時として途方も無い物を生み出してきた。
天才ディレイク家に嫉妬した科学者ハインリッヒは、そのライバル心でバトルスーツという兵器を作り出した。
尚もディレイクと鬩ぎ合おうとするアルドリッチの面々が、より強力な破壊兵器を新たに誕生させようとしていた。


                                        第2話「ライバル」終


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