- 5 :愛のVIP戦士:2007/02/03(土) 09:56:13.73 ID:bHb6XIBp0
- 100ccランク・第3コース
コース名・キノピオハイウェイ
コース難易度・☆☆☆☆
出場者一覧
・( ^ω^) 内藤ホライゾン
スピード・☆☆☆
テクニック・☆☆
アイテム運・☆☆☆
・(´<_` ) 弟者
スピード・☆☆☆☆
テクニック・☆☆☆☆
アイテム運・☆☆
・(=゚ω゚)ノ ぃょぅ
スピード・☆☆☆☆☆
テクニック・☆☆
アイテム運・☆☆☆
・( ゚д゚ ) コッチ・ミルナ
スピード・☆☆
テクニック・☆☆☆☆
アイテム運・☆☆☆
- 6 :愛のVIP戦士:2007/02/03(土) 09:56:30.36 ID:bHb6XIBp0
- ・/ ,' 3 荒巻スカルチノフ
スピード・☆☆☆
テクニック・☆☆☆
アイテム運・☆☆☆☆
・(*゚∀゚) つー
スピード・☆☆☆☆☆
テクニック・☆☆☆
アイテム運・☆☆☆
- 7 :愛のVIP戦士:2007/02/03(土) 09:56:42.71 ID:bHb6XIBp0
- ――貴方はいつも前を行く。
――私が半歩進めば貴方も半歩進み、永久に追いつくことはできない。
――私はそんな貴方が鬱陶しい。
――思えば、私のことを話す人々はいつも貴方のことを口にしていた。
――私は、それがたまらなく嫌だった。
――だから、私は決めた。
――何としてでも貴方に追いつき、私は……
――私は、私だけの、貴方と関係の無い道を行く。
- 8 :愛のVIP戦士:2007/02/03(土) 09:56:55.65 ID:bHb6XIBp0
-
薄暗い部屋の中、窓からの月明かりが僅かながら闇を退けている。
音は何もしない。いや、正確に言えば風の音が少ししているが。
とにかく、そんな寂しすぎる所で、“彼女”はふと目を覚ました。
从 ゚∀从「夢か……」
嫌な夢だ、とポツリと呟く。
そして壁の掛け時計に目をやり、
自分が起きようとしていた時間より大分早く起きてしまったことに気づいた。
从 ゚∀从「……起きるか」
眠くないからではない。むしろ眠気はまだあった。
しかしそれでも彼女は起きようとした。
もう、あの夢を見たくなかったから。
- 10 :愛のVIP戦士:2007/02/03(土) 09:57:46.80 ID:bHb6XIBp0
- ( ;^ω^)「うはwwwテラコワスwwww」
100cc第3コース、キノピオハイウェイ。
普通の高速道路をそのままコースとしている、手抜きながらもとてつもなく危険なコースだ。
(*゚∀゚)「さっさと行かないと、弟者に追いつけないよー」
必死で背後より迫り来る車を避けている内藤。
その横でつーが横につけて並んで走っている。
しかし前回とは違い、お互いの間にピリピリとした空気は無い。
むしろ、和やかなものさえ漂っているように感じた。
( ;^ω^)「と言われても……ぶつからないように走るので精一杯だお」
一歩間違えれば病院送り。
車を避けること以外に神経を使うのは危険だった。
ましてトップの弟者に追いつこうなど、よほど慣れている者じゃないと無理だろう。
- 11 :愛のVIP戦士:2007/02/03(土) 09:58:03.43 ID:bHb6XIBp0
- (*゚∀゚)「言っとくけど、協力しようって言ったのはアンタだからねー」
一瞬、つーの目が鋭くなる。
それに少したじろぎつつも、内藤はわかってる、と答えた。
(*゚∀゚)「そ。それなら、いいけど」
と言いつつ、急に現れた大型トラックを横に滑ってかわす。
目的である弟者は、今だ影すら見えなかった……。
- 12 :愛のVIP戦士:2007/02/03(土) 09:58:26.80 ID:bHb6XIBp0
- 何故、前回あれほど争っていた2人が協力関係にあるか。
それは2人が、ある約束をしていたからに他ならない。
その約束とは。
話はレース開始前まで遡る。
( ;´ω`)「今度は高速道路かお……。いい加減にしてくれお」
次のコースを聞いて、がっくりと項垂れていた内藤。
そんな彼に、彼女は話しかけてきた。
(*゚∀゚)「あんた、結構やるんだねー」
(*^ω^)「お? まぁそれほどでもないお」
(*゚∀゚)「調子に乗んなボケナス」
( ;^ω^)「………。で、何のようだお」
別に、と彼女はそっけなく返す。
しかしその時ふと、気になることを言った。
- 13 :愛のVIP戦士:2007/02/03(土) 09:58:45.29 ID:bHb6XIBp0
- (*゚∀゚)「初出場の癖に100cc元チャンピオンと戦りあうんだもんなぁ。凄いよ、まったく」
( ^ω^)「お?」
初代チャンピオンと、戦りあう?
まさか、その元チャンピオンっていうのは――
( ^ω^)「つー、のことなのかお?」
(*゚∀゚)「え? そうだけどー?」
- 14 :愛のVIP戦士:2007/02/03(土) 09:59:04.92 ID:bHb6XIBp0
- やはり。
この女が元チャンピオンだったとは。
そんな奴と自分は互角に戦ったのか。
内藤は、素直に喜ぶ気持ちと、自分の底力に恐怖する気持ちとが混ざり合い複雑な心境になった。
( ^ω^)「でも元ってことは今と違うのかお?」
ふいに、つーの表情が曇る。
あまり思い出したくない過去を思い出したかのように。
(*゚∀゚)「……まぁね。あいつが、来るまでは――」
あいつ? そう尋ねる内藤に対し、つーは顎である方向を指し示した。
そこにいるのは他でもない、現在トップのあの男。
( ^ω^)「弟者……さんかお」
- 15 :愛のVIP戦士:2007/02/03(土) 09:59:22.23 ID:bHb6XIBp0
- (*゚∀゚)「そうだよ。――あの化け物め」
苦々しそうに吐き捨てるつー。
一体、何が化け物なのだろうか。
内藤の疑問に気づいたのか、つーは続けて教えてくれた。
(*゚∀゚)「あいつはさ、特技を持ってるのさ」
( ^ω^)「特技?」
そ、とつーは応じ、続ける。
- 16 :愛のVIP戦士:2007/02/03(土) 09:59:45.98 ID:bHb6XIBp0
- (*゚∀゚)「簡単に言うと、あいつの放った“全て”の阻害系アイテムは、相手に“確実に”命中するってことだよ」
( ;^ω^)「か、確実に……かお」
どんなプロでも、時には外すことはある。
それを、確実に当ててくるとは。
確かに恐ろしい。実質、阻害系アイテムが全部赤甲羅になったようなものだ。
( ^ω^)「でも、そんなこと可能なのかお?」
内藤の口から飛び出したのは当然の疑問。
(*゚∀゚)「普通なら無理さ。でも、あいつは何故かできる」
( ^ω^)「え……。ということは」
何か、秘密があるということか。
静かにつーが頷く。
- 17 :愛のVIP戦士:2007/02/03(土) 10:00:01.98 ID:bHb6XIBp0
- ( ^ω^)「でもそう思うなら、何でなにもしないんだお?」
(*゚∀゚)「できたらとっくにやってるよー。……でもどうやって証拠を掴むのさ」
( ;^ω^)「あ」
それもそうだ。
レース中はそれどころではないだろうし、
休憩中に調べようとしても弟者が黙ってはいまい。
それに無理矢理調べようとしたり証拠も無いのに訴えたりしたら、こっちが失格になりかねなかった。
(*゚∀゚)「わかった? だから無理なの。……正直悔しいけど、ね」
微かにつーが唇を噛んだ様に見えた。
しかし、本当に弟者が何かイカサマをしてるとしたら、このまま放っておくわけにもいかない。
何とかできないものだろうか。
- 18 :愛のVIP戦士:2007/02/03(土) 10:00:21.54 ID:bHb6XIBp0
- 突然、内藤が思いついたように叫ぶ。
( ^ω^)「そうだお! 1人じゃ無理でも協力すれば何とかできるんじゃないかお?」
続ける。
( ^ω^)「休憩中じゃ目立つから、レース中に」
(;*゚∀゚)「……は?」
何を言ってるのかこの男。
そりゃ協力すれば1人でやるよりは幾分かマシかもしれない。
しかしレース中はそれどころではない、とコイツはさっき気づいたのではなかったのか。
(*゚∀゚)「あんた……レースやってるときにそんなことやってられると思うのー?」
( ^ω^)「勿論厳しいことはわかってるお! でもやんなきゃずっとこのままだお!」
(*゚∀゚)「――!」
- 19 :愛のVIP戦士:2007/02/03(土) 10:00:42.00 ID:bHb6XIBp0
- 一瞬、つーが動揺した。
やらなければ、このまま。確かに彼の言うとおりだ。
ここで動かなければ、自分は恐らくいつまでも弟者には勝てないだろう。
そして、いつまでも悔しい思いをし続けることになるだろう。
しかし、だからといってレースに勝利することを放棄し、この男と協力するのか?
ついさっきまで敵だった、この男と。
(*゚∀゚)「………」
つーは悩んだ。
どうする、勝利を放棄して協力し、希望を創るか。
それとも協力しないで、希望の無い勝利を望むか。
選ぶことのできる道は、2つに1つ。
- 20 :愛のVIP戦士:2007/02/03(土) 10:00:56.72 ID:bHb6XIBp0
- (*゚∀゚)「――っ」
( ^ω^)「お?」
つーは暫く考え込んでいたが、やがて口を開いた。
(*゚∀゚)「仕方ないね。今回に限り協力してやるよー」
(*゚∀゚)「べ、別にあんたのためn(ry」
( ^ω^)「キャラ変更乙」
希望を創る。
それが、つーの選んだ道だった。
- 21 :愛のVIP戦士:2007/02/03(土) 10:01:22.12 ID:bHb6XIBp0
- そんなわけで協力して弟者の秘密を探ることにした2人。
しかし探るどころか弟者に近づくことすらできない。
コースはあと1周半。時間が無い。
( ;^ω^)「どうするお! 時間が無いお!」
(*゚∀゚)「――ちっ」
ぐん、とつーのカートが前に出る。
そしておもむろに内藤目がけ何かを投げてきた。
- 22 :愛のVIP戦士:2007/02/03(土) 10:01:42.51 ID:bHb6XIBp0
- ( ;^ω^)「おっおっお!?」
それは――無線機だった。
随分小型で、機能を減らした携帯電話と言ってもいいくらいだ。
(*゚∀゚)「もう時間が無い、先に行くよ! 何か掴んだらそれで連絡するからー!」
そういい終えるかいい終えないかの内に、つーは高速道路の闇へと溶け込んでしまった。
何というスピード。
( ;^ω^)「連絡するって……もらったところで何をすればいいんだお」
しかし、その問いに答えられるものは誰もいない。
- 23 :愛のVIP戦士:2007/02/03(土) 10:02:14.36 ID:bHb6XIBp0
- (*゚∀゚)「っ!」
左右に蛇行運転をしつつ、驚異的なスピードで追い上げを見せるつー。
流石は元チャンピオンのことだけはある。
(*゚∀゚)「あはははは! 邪魔だよ邪魔だよー!」
さっきまで比較的落ち着いた口調だったのが、すっかり元に戻っている。
と、その刹那、横につけてくる影があった。
( ゚д゚ )「……随分と遅いな。元チャンピオンとあろう者が」
(*゚∀゚)「! ミルナ……」
- 24 :愛のVIP戦士:2007/02/03(土) 10:03:42.37 ID:bHb6XIBp0
- ( ゚д゚ )「……随分と遅いな。元チャンピオンとあろう者が」
(*゚∀゚)「! ミルナ……」
数秒間だけ、重い空気が両者の間に流れる。
何か、因縁めいたものも感ぜられる。
だが、それを振り払うかのようにつーが口を開いた。
(*゚∀゚)「……ふん、今は、あんたなんかに構ってる暇じゃないんだよねっ!」
一端ミルナとの距離を大きく開き、そして助走をつけて体当たり。
しかしミルナは怯まない。
( ゚д゚ )「愚かな……。私のしつこさはお前もよく知っている筈だ」
続ける。
( ゚д゚ )「それとも……私を撒く自信があるとでも?」
- 25 :愛のVIP戦士:2007/02/03(土) 10:04:11.88 ID:bHb6XIBp0
- ミルナはスピードではつーに遥かに及ばない。
しかし、それでも彼女との差はゼロに等しかった。
(*゚∀゚)「無いよ」
( ゚д゚ )「何? どういう……」
(*゚∀゚)「今あんたと戦りあう気はないってこと!」
つーはまるでミルナの存在を無視するかの如く先へと進む。
( ゚д゚ )「貴様……何を考えている?」
別にー、とつーは彼の言葉を意に介さない。
今はとにかく、弟者に追いつくことが最優先だから。
- 26 :愛のVIP戦士:2007/02/03(土) 10:04:38.31 ID:bHb6XIBp0
- そのままミルナとの小競り合いを度々起こしつつも、つーは弟者の姿を発見する。
(*゚∀゚)「みっけ!」
取っておいた赤甲羅を放つ。
彼が動けない隙に、秘密を探るつもりだった。
(´<_` )「むっ……」
背後からの急襲。
弟者は相手を撒くためアイテムボックスへと急いだ。
(*゚∀゚)「来るかな……」
彼がイカサマをしている決定的瞬間を目撃するためには、彼がアイテムを使うところを見るしかない。
弟者の横へと急ぐ。
- 27 :愛のVIP戦士:2007/02/03(土) 10:04:52.98 ID:bHb6XIBp0
- (´<_` )「ふむ……素晴らしいな」
アイテムボックスを過ぎた弟者の手に握られていた物――それはバナナ。
(´<_` )「………」
しかし弟者はその先の行動を取ろうとはしなかった。
ここでは、後ろのつーやミルナに聴かれてしまう可能性がある。
自分達兄弟だけの、秘密の会話を。
- 28 :愛のVIP戦士:2007/02/03(土) 10:05:13.73 ID:bHb6XIBp0
- (*゚∀゚)(何故使わないんだ? せっかくお得意の阻害系アイテムがきたのに)
(*゚∀゚)(……どうやら、やっぱり黒のようだねー)
つーは確信した。
この男は、何か隠している、と。
ならばそれを暴く。
そして、今まで自分に味あわせてきてくれた屈辱感を、倍にして返してやる。
- 29 :愛のVIP戦士:2007/02/03(土) 10:05:39.61 ID:bHb6XIBp0
- が、その時。
背後に構えていたミルナが、その腕を大きく振りかぶり何かを投げてきた。
それは、鈍く光る黒い塊。
(;*゚∀゚)「――っ!?」
刹那、黒い塊は爆発を起こす。
ボム兵だ。
直撃こそしなかったものの、つーのカートは大きく横にずれた。
これ幸い、とばかりに離れていく弟者。
それをミルナが追う。
つーはその刹那、何かを投げたようだった。
しかしそれは小さすぎてよく見えない上、何の効果ももたらさなかった。
- 30 :愛のVIP戦士:2007/02/03(土) 10:06:00.14 ID:bHb6XIBp0
- (´<_` )「よし……この距離なら」
弟者がにやり、と笑みを浮かべる。
後ろ数メートルのところに、ミルナがいた。
遅いスピードをテクニックでカバーしつつ、弟者に迫る。
あと少しで追いつくだろう。
それなのに、弟者は笑っているのだ。
彼は心の中でミルナに謝罪する。
すまない。同情する。幾ら頑張っても勝てない、とはな。
決して心からの想いではない。ただの、遊びだ。
そして弟者は、無線機に手をかけた――
- 31 :愛のVIP戦士:2007/02/03(土) 10:06:20.30 ID:bHb6XIBp0
- ( ´_ゝ`)「む……来たな」
(´・ω・`)「やれやれ。未だにばれてないなんて悪運強いね」
( ´_ゝ`)「気づいてる奴はいるだろうさ。ただ、それをいちいち調べる程暇なのはいないというだけで」
そのまま少しだけ、弟者と言葉を交わす。
そしておもむろに、キーボードを打ち始めた。
( ´_ゝ`)「ふむ。いいか弟者。今から7秒後、少し速度を落とせ」
続ける。
( ´_ゝ`)「そして左右に蛇行運転をしながら、後ろの奴に寄れ。そしてすれ違ったら――」
- 32 :愛のVIP戦士:2007/02/03(土) 10:06:38.10 ID:bHb6XIBp0
-
放て。
兄者は決して表情を変えることなくそう言った。
その様子からはいつものとぼけた性格など微塵も伝わってこない。
そんな兄者の様子を見ながら、バーの男はポツリと独り言を呟いていた。
自分以外には聞こえないような、とても小さな声で。
(´・ω・`)「暇なのなら――いるみたいだね」
- 33 :愛のVIP戦士:2007/02/03(土) 10:07:00.05 ID:bHb6XIBp0
-
( ;゚д゚ )「ぐっ――!」
ミルナが激しくスリップする。
あと少しというところまで縮まっていた差は、瞬く間に広げられた。
(´<_` )(……よし。流石は兄者だな)
自分の兄の指示の的確さに、今更ながら弟者は舌を巻く。
コンピューターに関することなら、兄者の右に出るものはいまい。
そう改めて確信させられた。
(´<_` )「さてあと少しだな……。………ん?」
そこで初めて、彼はあることに気がついた。
――カートの後部についている、謎の物体に。
- 34 :愛のVIP戦士:2007/02/03(土) 10:07:39.44 ID:bHb6XIBp0
- (´<_` )「これは……」
何とか手を伸ばし、それを取り除く。
見てみるとそれは何かの装置のようだった。
更に観察すると、何かが記されているのに気がつく。
――“つーより(はぁと)”――
(´<_`; )「…………」
背筋が一気に凍る。
ま、まさかこれは……
(*゚∀゚)「さっきの会話、全部録音させてもらったよ(はぁと)」
(´<_`; )「しまったぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
絶叫する弟者の手から落ちたもの――
――それは紛れも無い、盗聴器だった。
- 65 :作者:2007/02/03(土) 10:17:18
- ※スレの続きから
( ^ω^)「やったお! 決定的証拠だお!」
つーから報告を受けた内藤は大喜び。
ハンドルから手を離してこけそうになる。
しかし、つーの表情はあまり浮かない。
(*゚∀゚)「それが、そういうわけにもいかないんだよねー……」
( ;^ω^)「え」
- 66 :作者:2007/02/03(土) 10:17:45
- つーが言うには、こういう事だった。
・今の音声だけでは、何とでも弁解可能のため決定的証拠にはならない。
・だがこれが本当ならば、観客席に協力者がいるということになる。
・そいつを捕まえて持ち物を調べれば、決定的な証拠品が出てくる筈。
- 67 :作者:2007/02/03(土) 10:18:58
- (*゚∀゚)「尤もその観客席を調べる暇が無いってのが難点なんだけどねー……」
( ;^ω^)「そ、そんな……」
レースが終ってから探しても、恐らくそのころには協力者は消えているだろう。
今すぐ探さないと、間に合わない。
しかしそれは普通ならば不可能だ。
そう、普通ならば――。
( ^ω^)「! 待つお! いい方法思いついたお!」
(*゚∀゚)「え?」
つーは露骨に驚いた声を出した。
それもそうだ。まさかこんな明るい声で言われるとは思ってもいなかったから。
- 68 :作者:2007/02/03(土) 10:19:41
- (*゚∀゚)「いい方法って、一体?」
( ^ω^)「観客席に今知り合いがいるんだお! そいつに頼めばいいお!」
(*゚∀゚)「mjdー!?」
でもここで更なる問題が出てくる。
一体、どうやってその“共犯者”を見つけ出すのか。
自分たちはその人物の顔すら知らないのだ。
( ;^ω^)「うぅ……それは気づかなかったお……」
(;*゚∀゚)「八方塞かー……」
- 69 :作者:2007/02/03(土) 10:20:39
- 「貸せ」
(;*゚∀゚)「え、ちょ、何アンタ!」
突如通信機の向こう側が騒がしく鳴り出した。
内藤には何が起きたのかさっぱりわからない。
( ;^ω^)「ちょ、どうしたんだお?」
( ゚д゚ )「いいか、今私の話を聞いてる奴よく聞け」
( ;^ω^)「ちょwwwwあんた誰wwwww」
- 70 :作者:2007/02/03(土) 10:22:28
- 聞いたことの無いような声の男からの通信。
しかしその真剣な様子に、内藤はその話に耳を傾けることにした。
( ゚д゚ )「いいか、1回しか言わんぞ」
一息ついて、少し大きめの声で続ける。
( ゚д゚ )「こういう時こそ発想を逆転して考えろ。つまり――」
――“共犯者”を探すのではなく、“共犯物”を探せ。
( ゚д゚ )「あのテープから、微かにキーボードを打つような音が聞こえた」
( ^ω^)「ということは――!」
- 71 :作者:2007/02/03(土) 10:22:46
- ――共犯者はパソコンを持っている、ということか!
( ゚д゚ )「そのパソコンを調べれば何か証拠が出てくる筈だ。わかったわか、子猫ちゃん」
( ^ω^)「神乃木さん……」
(*゚∀゚)「ゲーム違ぇwwwwパクリ乙wwwww」
何はともあれ、道は確保した。
あとはそれを、どう渡りきるか、だ!
- 72 :作者:2007/02/03(土) 10:23:05
- ('A`)「内藤の奴……大丈夫だろうな」
はぁ、とため息を漏らすドクオ。
ξ゚听)ξ「大丈夫よ。あいつなら何とかするわよ」
('A`)「お前、珍しくアイツを信じてんじゃん。どうしたんだ?」
ξ///)ξ「べ、別にどうってことはないわよ!」
(;'A`)「はぁ」
何なんだ、と首をかしげる。
彼は女心に鈍感なのだった。
- 73 :作者:2007/02/03(土) 10:23:21
- と、その時急に無線機から声がした。
( ^ω^)「ドクオ! いるかお!」
(;'A`)「うぉぉう!?」
最近使ってなかったからすっかり存在を忘れていた。
何事だろうか、と耳を傾ける。
('A`)「どうした?」
( ^ω^)「それが、カクカクシカジカアナルクソミソチンポッポ――というわけだお」
('A`)「なんだってー!? と、とりあえず把握した!」
どう見ても手抜きです。本当にありがとうございました。
- 74 :作者:2007/02/03(土) 10:23:44
- 通信機を切るドクオ。そのいなや、駆け出した。
ξ;゚听)ξ「ちょ、どうしたのよ!」
('A`)「それが(ry)というわけだ! ツンも探してくれ!」
ξ;゚听)ξ「何ですって!? わ、わかったわ!」
2人は散開、周りの観客の目など気にもせず、“共犯物”を探しに走り出した。
- 75 :作者:2007/02/03(土) 10:24:27
-
('A`)「パソコンパソコン、っとぉ……」
周りを見るが、パソコンを持ってる人など誰もいない。
もしかしたら鞄の中に入っているのかもしれないが、そこまでは調べようが無かった。
(;'A`)「くそっ……マジぃな……」
( ´_ゝ`)「どうした」
急に話しかけられて、後ろを見る。
そこにいたのは若い男。
('A`)「あ、いや……。ちょっとパソコンを持ってる奴を探してるんです」
( ;´_ゝ`)「………。そ、そうか。まぁ、頑張れ」
一瞬男の額に汗が滲む。
話し終えるやいなや、男はそそくさとその場を離れようとした。
('A`)「? どうしたんだ………ん?」
- 76 :作者:2007/02/03(土) 10:24:46
- そこでドクオは初めて気がついた。
男が大事そうに抱えている物体に。
それは黒い布に包まれていて、中身まではわからない。
しかし大きさから言うと……丁度ノート“パソコン”くらいの大きさだ。
('A`)「……すいません、ちょっとその中身見させてもらえませんかね」
( ;´_ゝ`)「…………」
男はそれを無視し、行こうとした。
――こいつだ!
ドクオは確信する。
('A`)「ちょ、待てよ!」
男に飛び掛るドクオ。しかし、体格が違いすぎた。
- 77 :作者:2007/02/03(土) 10:25:00
- ( ;´_ゝ`)「うるさい!」
('A`(#)「ぐぁ!」
簡単に避けられ、返り討ちにあう。
吹っ飛ぶドクオ。
周りの観客が何事だ、と騒ぎ始めた。
ドクオが動けない隙に男は逃げようとする。
('A`メ)「ぐ……待て……」
しかし男は止まらない。
まずい、このままじゃぁ……
- 78 :作者:2007/02/03(土) 10:25:15
- ξ゚听)ξ「流星キィィィィィィック!」
(#)´_ゝ`)「あqwせdrftgyふじこlp」
突然の襲撃。
頬に手痛い一撃をもらった男は大きく吹き飛ぶ。
その際、彼に抱えられていた物が床に落ちた。
('A`メ)「ナイスだツン!」
急いで中を確認する。
これではずれだったらとんだ事になるが、さっきの男の慌てよう。はずれなわけが無い。
そして布の中から出てきたのは――ノートパソコン!
ドクオはツンに男を押さえておくようにと言い、急いで内藤に連絡した。
- 79 :作者:2007/02/03(土) 10:25:35
- ( ^ω^)「マジかお! 流石ドクオだお!」
レースが残り半周となったとき、ドクオからの連絡をもらった内藤。
手放しで思い切り喜んだ。
(*゚∀゚)「いたの? 共犯者――というか、共犯物」
( ^ω^)「あったお! 挙動不審な男が持ってたお!」
最早レーサーというより警察官の会話だ。
( ゚д゚ )「そうか。恐らく、弟者が伝えたのだろうな。逃げるようにと」
だから挙動不審だったのか。
焦るあまり、逆に怪しまれてしまったようだ。
( ゚д゚ )「では後はそのパソコンを調べるだけだ。確実に証拠が出てくるだろう」
( ^ω^)「把握した!」
- 80 :作者:2007/02/03(土) 10:26:02
- 残りの半周をフルスピードで走り出す3人。
途中、何度か背後から迫り来る車にぶつかりそうになるが、何とか乗り切る。
途中、つーはミルナに尋ねた。
(*゚∀゚)「ていうか何であんた、私達に協力したのー?」
ミルナは暫く答えなかった。
が、やがてふん、と鼻を鳴らしながらも、答えてくれた。
( ゚д゚ )「奴の行いが本当のことだとしたら、黙って見てるわけにもいくまい」
( ゚д゚ )「……ただ、それだけのことだ」
(*゚∀゚)「ふーん……」
アーチが見えてくる。
これで、弟者がどういう処分をくらうことになるのかはわからない。
でも、きっとその処分は、自分が味わった悔しさを、更に増大して弟者に味あわせてくれるだろう。
これで終る。ずっと続いていた、苦しみが。
つーはそんなことを思いながら、アーチをくぐった。
- 81 :作者:2007/02/03(土) 10:26:50
-
レースを終えた内藤達は、すぐさまドクオとツンが手に入れたパソコンを調べた。
そしてその内部より、イカサマに使ったと思われるソフトウェアを発見することに成功する。
そこには今まで男、兄者が弟者に指示していた内容がとても細かく、記録として残っていた。
勿論、録音されたテープと全く同じ内容のものも。
これを受け取ったジュゲムはすぐに事態の深刻さを理解、レースを一端中断することを決めた。
正直、内藤達もここまで大事になるとは予想していなかったので少し慌てたが、
今更文句を言うわけにもいかず、その判断に従うことにした。
- 82 :作者:2007/02/03(土) 10:27:07
- そして一番重要な、弟者、そして共犯者の兄者への処分はというと――
(´・ω・`)「で、無期限出場禁止になっちゃったわけだ」
(´<_` )「(´・ω・`)ショボーン」
かつてハインリッヒと男が話していたバーの中。
今度は弟者達の話を聞いていた男は、やれやれと頭を掻いた。
(´・ω・`)「まぁ、ばれちゃったものは仕方がないね」
男はいつものようにグラスを洗っていた。
蛇口から流れ出る水が、心地よい音をたてている。
店内には小音量で、ジャズか何かだろうか、音楽が流れていた。
- 83 :作者:2007/02/03(土) 10:27:27
-
ふいに、男が尋ねる。
(´・ω・`)「でさ、聞きたいんだけど」
( ´_ゝ`)「ん? 何だ」
すっかり落ち込んでいる弟者の代わりに、兄者が答えた。
彼はパソコンこそ没収されたものの、
集めてきた画像は全てメモリーに保存してあり無事だったため、さほど落ち込んではいない。
- 84 :作者:2007/02/03(土) 10:27:41
- (´・ω・`)「君達に入れ知恵をしたのが“僕”だって事、誰かに言った?」
( ´_ゝ`)「いや、言ってないが……それがどうした?」
そう、よかった、と男は答える。
そのまま黙って暫くグラスを洗っていたが、やがてその手を止めて懐を探り始めた。
( ´_ゝ`)「? 何を――」
兄者が不思議そうに男に声をかけた――
- 85 :作者:2007/02/03(土) 10:28:19
-
――刹那、男が信じられないような速さで何かをこちらに向けた。
それは、鈍く漆黒に光る、小型の拳銃。
その動きに全く反応できなかった2人は、一瞬何が起きてるのか理解できなかった。
目の前にいるこの男、何をする気だ?
ただただ、呆然と立ち尽くすのみ。
そんな2人を見ていた男は、表情一つ変えず、まるで独り言のように呟いた。
(´・ω・`)「君達、もう、用済みだよ」
――銃声。
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