100 :作者 :2007/01/28(日) 13:07:50.34 ID:4kZj/Pv50
( ;^ω^)「………」
内藤は緊張していた。
今まで経験したことのない、威圧感のせいで。
( ;^ω^)「……レベルが……違いすぎるお」
目前に広がる、別世界。
歓声と怒号が飛び交い、紙吹雪が舞って花火が上がる。

100ccカップ。
それは、レースという名の祭典。そして、祭典という名のレース。



マリオカートのキャラが( ^ω^)のようです

――100cc編・開幕――


101 :作者 :2007/01/28(日) 13:08:17.51 ID:4kZj/Pv50
(ジ○○)「さぁ今年もやってまいりました、100ccランク。その栄光を掴むのは果たして誰か!」
飛来したジュゲムが実況を始めている。
50ccではかなりの存在感があった彼も、この会場ではあまり目立たない。
(ジ○○)「まずは選手紹介といきましょう!」
続ける。
(ジ○○)「栄冠をかけて勝負するのは、先だって行われた50ccランクからの挑戦者1名を加えたこの6名です!」


102 :作者 :2007/01/28(日) 13:08:49.10 ID:4kZj/Pv50
100ccランク・第1コース

コース名・ピーチキャッスル
コース難易度・☆☆☆

出場者一覧

・( ^ω^) 内藤ホライゾン
スピード・☆☆☆
テクニック・☆☆
アイテム運・☆☆☆

・(´<_` ) 弟者
スピード・☆☆☆☆
テクニック・☆☆☆☆
アイテム運・☆☆

・(=゚ω゚)ノ ぃょぅ
スピード・☆☆☆☆☆
テクニック・☆☆
アイテム運・☆☆☆

・(  ゚д゚  ) コッチ・ミルナ 
スピード・☆☆
テクニック・☆☆☆☆
アイテム運・☆☆☆


103 :作者 :2007/01/28(日) 13:09:12.96 ID:4kZj/Pv50
・/ ,' 3 荒巻スカルチノフ 
スピード・☆☆☆
テクニック・☆☆☆
アイテム運・☆☆☆☆

・(*゚∀゚) つー
スピード・☆☆☆☆☆
テクニック・☆☆☆
アイテム運・☆☆☆


104 :作者 :2007/01/28(日) 13:09:32.84 ID:4kZj/Pv50
(ジ○○)「うぅむ、やはり内藤選手、50ccランクからの初参戦であるだけに若干厳しそうです!」
(;'A`)「厳しいってレベルじゃねーぞ……」
観客席から内藤の様子を見守るドクオは、思わず呟いた。
昨日内藤から連絡があり、100ccに出られるようになったと聞いたから急いで駆けつけたのだ。
だがこの差では……正直言って無謀とも感じてしまう。
ξ;゚听)ξ「ちょっと、大丈夫なの?」
ドクオの横にいるのは、この白熱したレース場にはあまり相応しくないきしゃな体をした少女。
内藤がかつて告白した相手、ツンだった。
彼女はドクオに内藤がプロのレーサーと戦りあうと聞いて、半信半疑ながら来たのだった。
(;'A`)「やべぇな。……まぁ、内藤もわかった上で参加してるだろうから……きっと何か策があるに違いないぜ。多分」
ξ;゚听)ξ「………」

105 :作者 :2007/01/28(日) 13:09:52.47 ID:4kZj/Pv50
( ^ω^)「………」
そんなドクオ達の心配も知らず、内藤は比較的落ち着いていた。
もし自分がこの100ccに太刀打ちできない程度の腕しかないとすれば、あの男が自分を100ccに出場させるわけがない。
そう考えていたからだ。
それに、ドクオだって以前言っていた。


――それで諦めたら、お前はただの負け犬だ。


だから、諦めるわけにはいかない。たとえどんなことがあっても。


106 :愛のVIP戦士:2007/01/28(日) 13:10:13.50 ID:4kZj/Pv50
と、内藤が心でそう誓っているとき、弟者はそんな彼の方を見ていた。
(´<_` )「……油断はしないほうがいいな」
昨日の勝負では勝ちこそしたものの、僅差だった。
恐らくアイツには自分でもまだ気がついていない、凄まじい潜在能力が眠っているのだろう。
あの突然のミニターボがそれを物語っている。

ならば、それが引き出される前に勝負をつける。

そのためには油断せず、全力でかからなければならない。
弟者は自分を“アシスト”してくれる人物がいるであろう観客席を見て、そう決意した。
が、その“アシスト”するべき当本人はというと……。


107 :作者 :2007/01/28(日) 13:10:45.61 ID:4kZj/Pv50
(*´_ゝ`)「ソニンタソハァハァ」 

ハァハァしていた。
ひたすらとキーボードを打ち鳴らしレスをし、あちら系の画像があると思われるリンクをクリックしている。
その動作を何度か続けていたその男――兄者は、ふいにその動きを止めた。
( ´_ゝ`)「OK。ブラクラゲット」
( ´_ゝ`)「………」
しかしその独り言に答えてくれる人間は今ここにはいない。
( ´_ゝ`)「やはり、弟者がいないと調子が狂うな」
兄者は選手群の中から弟者を探す。
そして見つけると、そちらに向かって手を振った。

( ´_ゝ`)ノシ

(´<_` )「………」
激しく不安だ。弟者は思った。
でもまぁ、今までもそれで上手くやってきた。きっと、今回も。

108 :作者 :2007/01/28(日) 13:11:16.80 ID:4kZj/Pv50
(ジ○○)「さぁ、まもなく第1レースを開始致します。選手の皆様方はカートに――」
( ^ω^)「おっおっお」
選手が一斉にカートに乗り込む。
そして暫くした後、それに命が吹き込まれてゆっくりと息をしだす。

その一方で乗り手たちは思い思いの方法で精神を落ちつかせた。
まもなく始まる戦いに備えて。

カートがスタートラインに並ぶ。
それを見届けたジュゲムは、おなじみの釣竿を垂らした。

信号が、黄色に変わり、更に青に変わる。


いよいよスタートか。一気に緊張が高まる。
いくら楽観的とはいえ、緊張するときは緊張するのだ。

――落ち着け、落ち着くんだ内藤ホライゾン。

内藤は必死に自分を落ち着かせ、開始に備えた。

そして、スタートの合図が発せられた。


109 :作者 :2007/01/28(日) 13:12:07.03 ID:4kZj/Pv50
スタート早々、最初の驚きが内藤を襲った。
弟者、そしてコッチ・ミルナのカートが、スタートと同時に火を噴いたのだ。
まるでキノコを使ったときのように。
(ジ○○)「おーっと、弟者選手にミルナ選手。いきなりロケットスタートで他と差をつけたぞ!」
興奮したジュゲムが早口で伝えている。
ロケットスタート? 聞いたことないぞ、そんなこと。

だが何時までも驚いているわけにはいかない。
再び気合を引き締めて、内藤はレースに臨んだ。

轟、と音を立て風が内藤の顔に吹きかかる。
そして先程まで遠くにあった景色が一気に目の前にまで近づいてくる。
昨日のことを思い出せ。50ccのことは忘れろ。
迫り来るライバル達をかわしつつ、内藤はそんなことを考えていた。

110 :愛のVIP戦士:2007/01/28(日) 13:12:24.25 ID:4kZj/Pv50
すぐに最初のアイテムボックスが来た。
中身は、キノコだ。すぐに使うか? いや、もう少し待とう。
そこから少し走ると、隣に広がる湖へと突き出たカーブが見えてきた。
少しだけ回り道となる。普通ならば。
だがそのカーブ内にあるのは盛り上がった芝生だけ。壁はない。
ここでキノコを使うことにしよう。

只でさえ速かったスピードが、更に上がる。
勢いよく芝生に突っ込んだ内藤、そのまま速度を落とすことなく芝生を越えた。
少しの間だけ跳躍する。下には、道。
そして着地。すぐさまハンドルを右に切る。
何とか、上手く行ったようだ。

111 :作者 :2007/01/28(日) 13:13:06.42 ID:4kZj/Pv50
(;'A`)「す、すげぇ内藤、アイテムの使いどころまでちゃんと弁えてやがる!」
ξ;゚听)ξ「………」
思わず声を上げるドクオ。大して驚きで言葉も出ないツン。
あれが、今走っているあの男が、ついこの間までパッとしなかったあの内藤なのか。
ツンには、それが信じられなかった。


( ;^ω^)「上手く行ったお! 正直ガクブルもんだったお!」
あのままもしカーブが遅れていれば、間違いなく湖に突っ込んでいただろう。
内藤のテクニックは昨日よりも格段に上がっていた。


112 :作者 :2007/01/28(日) 13:13:34.02 ID:4kZj/Pv50
恐るべき成長速度。それには後方のレーサー達も目を見張った。
(*゚∀゚)「あはは、やるじゃん、アイツ」
可愛らしく、それでいてどこか不気味な笑みを浮かべているのはつー、という名の女性レーサー。
想像を絶するスピードでこの100ccを渡り歩いてきた猛者だ。
(=゚ω゚)ノ「凄ぃょぅ。でも負けなぃょぅ」
ぃょぅ、というこのレーサーは、名前どおり語尾に“ぃょぅ”、ないし“ょぅ”をつけて話す、一風変わった男だ。
だがその実力は本物。――まぁ、本物以外の人間がここにいるわけはないのだが。

そして別の意味で一番凄いのが、もう1人のレーサー、荒巻スカルチノフ。
/ ,' 3 「………」
何と、寝ながら運転している。しかもハンドルを掴んでいるのは足だ。
やる気があるのか無いのかわからない、謎に包まれた男だった。

113 :作者 :2007/01/28(日) 13:14:01.25 ID:4kZj/Pv50

暫く走ること十数秒、徐々に道のりが険しくなってきた。
カートで走っているとよくわからないのだが、実はこのコース、前半は坂になっているのだ。
その上カーブがかなり多い。ドリフトを扱えない内藤にとっては辛かった。

再度アイテムボックスを通過する。中身は赤甲羅。だがまだミルナも弟者も見えていない以上、迂闊に使うのは無駄というもの。
というわけで後方にぶら下げておくことにする。
が、刹那、鈍い音がして赤甲羅が消えた。
( ;^ω^)「お!?」
(*゚∀゚)「あはははは! おっしーい」
つーだ。カートの周りには……2つの紅い甲羅が!
まずい。
(*゚∀゚)「でももう終りだよっ!」
轟、再度赤甲羅が向かってくる。
当然避けられるはずがない。激突し、クラッシュする。
(*゚∀゚)「じゃあねー」
(=゚ω゚)ノ「ついでに抜かさせてもらうょぅ」
どさくさに紛れてぃょぅまでもが内藤を抜かしていく。
糞、やられた。起き上がってすぐに追う。
だがその時、背後に変な気配を感じた。

114 :作者 :2007/01/28(日) 13:14:42.57 ID:4kZj/Pv50
/ ,' 3 「………」

来た。
( ^ω^)「ちょwwwwテラスゴスwwwww」
その奇妙な姿勢に思わず感嘆する。
が、したところで相手は容赦してくれない。
さっ、と掲げてきたのは、スター。
( ^ω^)「……げ」
――轟音。


(メメ´ω`)「………」
悲しいかな、ビリになってしまった。
取り返せないほどの距離ではないが相手が相手だけにキツイ。
途中で取った連続で使えるキノコ――パワフルキノコの力で、何とか追い上げていく。

115 :作者 :2007/01/28(日) 13:15:16.79 ID:4kZj/Pv50

やがて、真直ぐな道に入った。
遠くの方に何か妙な物体が見える。
( ^ω^)「?」
凝視する。
見たところ、加速装置のような物だということがわかった。
でも何故あんなにでかいのが?
と、ここで先に荒巻がその加速装置に乗った、とほぼ同時に加速。
そして数秒後には天高く舞い上がっていた。
( ;゜ω゜)「ぶぉぉぉぉ!」
どうやら加速装置付きのジャンプ台だったらしい。
ということは、相当長い距離をジャンプすることになる。
正直言って、腰が引けた。

116 :作者 :2007/01/28(日) 13:15:47.81 ID:4kZj/Pv50
( ゜ω゜)「おぉぉぉぉぉぉ!」
しかし戻るわけにもいかないので、ヤケクソになって特攻する。
加速装置に触れた。一気に体にかかる重力が高まり、苦しいまでにシートに押し付けられる。
そして続いて襲う浮遊感。何度味わっても慣れそうもない。
更にその後すぐに、落下感までもが内藤を襲った。

下を見ないようにしながら、着地するのを待つ。
やがて物凄い衝撃と共にカートが2、3度跳ねた。どうやら成功したようだ。
( ´ω`)「し、死ぬかと思ったお……」
だがあとこれを2回やらなければならない。そう考えると目眩がした。
( ´ω`)「100ccは厳しいお……お?」

117 :作者 :2007/01/28(日) 13:16:34.47 ID:4kZj/Pv50
( ゜ω゜)「おぉぉぉぉぉぉぉおおっ!」
内藤は三度叫んだ。
何故ならば、彼の目の前に、巨大な城が建っていたのだから。
どこかで見たことのある城だ。一体何処でだろう?

あぁ、そうだ。思い出した。
50ccランクの表彰式の時だ。あの時、ここの城を使った。
暫くの間、思い出にひた……

( ゜ω゜)「ってなんかいられないお!」
すぐに今やってることを思い出し、荒巻を追い始めた。
絶対この城も罠だ。内藤は確信する。


118 :作者 :2007/01/28(日) 13:16:58.93 ID:4kZj/Pv50
そして誘惑の城を越すこと暫く、蛇のようなカーブを曲がった先。
ようやくアーチが見えてきた。
……と同時に、荒巻も発見。
蛇カーブの所で入手した3連赤甲羅を放つ時が来たようだ。
間髪いれず、放った。
クラッシュする荒巻。その間も決して縦にはならず、寝たままだった。
本当に別の意味で最強な奴である。

――抜かす。アーチはすぐ目の前だ。
しかしつーやぃょぅの姿は見えない。よほど先へ行ってしまったようだ。
( `ω´)「(この周で……抜かすお!)」
心にそう誓う。特につーにはさっきのお返しをしなくてはならないから。

大歓声が支配する中、内藤は100ccランク、初めてのアーチをくぐった。

119 :作者 :2007/01/28(日) 13:17:30.92 ID:4kZj/Pv50
一方、こちらは弟者。

(´<_` )「むぅ……中々に、手強い」
今彼の順位は2位。そして1位は目の前にいる。

(  ゚д゚  )
(´<_` )「しつこいようだがこっちみんな」


コッチ・ミルナ。
いつも誰かを見つめている、荒巻と並んで別の意味で怖いレーサー。
勿論腕前も確かで、実際100ccランクの中ではトップクラスの弟者とも互角に渡り合っている。

120 :作者 :2007/01/28(日) 13:18:02.58 ID:4kZj/Pv50
響き渡る甲高い音。
ミルナ今日何度目かの、ドリフトカーブだ。
弟者もそれに続く。
抜かしたり抜かされたり、先程から一進一退の攻防を繰り広げていた。

アイテムボックスを見つける。
ミルナ、そして弟者がそれを取る。弟者が取ったのは――緑甲羅。
残念ながら曲がりくねっている上、周りが湖で壁がないこのコースでそれを当てるのは厳しい。
普通ならジャンプ台辺りの真直ぐになった場所で使うものだ。

しかし弟者はそれを見るやいなや、会心の笑みを浮かべた。

121 :作者 :2007/01/28(日) 13:18:29.50 ID:4kZj/Pv50
(´<_` )「よし。……兄者、いるか」

( ´_ゝ`)「む、何だ弟者」
弟者が握っているのは通信機。そしてその奥からする声は紛れもなく兄者。
(´<_` )「例の奴を頼む」
( ´_ゝ`)「うむ、任せておけ」
と、返事をした兄者はすぐさま手元のノートPCのキーボードを打ち始めた。

暫くその作業が続き、やがて兄者は答える。
( ´_ゝ`)「今から5秒後、右48度の位置に向かって撃て」
(´<_` )「把握した」
通信機を切る。
そして弟者はブツブツと時間を数え始めた。
(´<_` )「1……2……3……」

122 :作者 :2007/01/28(日) 13:18:57.61 ID:4kZj/Pv50
4、5。
丁度5秒経った。
その刹那、弟者は右48度の位置へ的確に緑甲羅を放つ。
(  ゚д゚  )「!」
ミルナ丁度カーブしかかっていたところだった。
その時弟者は死角となり見えない位置にいる。よって彼が何をしてもわからない状況。

そんな最中突然、目の前に緑甲羅が現れたのだ。
あるいは50ccカートなら甲羅が過ぎ去るのが先だったかもしれない。
が、この100ccではカートが甲羅の射線上に入るほうが先だった。

弟者の行いを見れなかったミルナには避ける暇もなく、クラッシュしてしまった。

(´<_` )「成功したぞ、兄者」
( ´_ゝ`)「うむ、それはよかった」
無線で再度、兄者に連絡を入れる弟者。作戦成功の報を入れているらしい。
お互いの顔は見えないものの、2人はまるで見えてるかのようにぴったりのタイミングで、全く同じことを言った。

( ´_ゝ`)(´<_` )「流石だよな、俺等」


130 :作者 :2007/01/28(日) 17:00:04.77 ID:4kZj/Pv50
( ´ω`)「う……しんどいお……」
2周目を半分ほど終えたところ――丁度もう少しでジャンプ台に入るという場所で、今日初めての弱音を内藤が吐いた。
順位は先程と変わってはいない。が、このコースのあまりの長さに体が参ってしまっていた。
( ´ω`)「このままじゃやっていけなお……お?」
視界の端に何かを捕らえたような気がして凝視する。
見間違いではなく、確かに何かがいる。

もう少し近づいてみる。
カートだ。乗っているのは――
( ^ω^)「ぃょぅだお!」
やっと4位を見つけられて元気をより戻す内藤。
だが相手はあと数メートルも走れば加速装置に乗るという状況だ。
速いところ足止めをしておかないと。

131 :作者 :2007/01/28(日) 17:01:37.14 ID:4kZj/Pv50

ふと、アイテムボックスがあることに気づいた。何とか赤甲羅でも出ないものか。
結果はトリプルキノコ。足止めは出来ないが、まぁいいだろう。

ぐん、と加速する。加速装置までに少しでも距離を縮めておかないと。
効果が切れた所で更にもう1回。ぃょぅは加速装置に入り、そしてジャンプし始めた。
そして最後の1回。最高速度のままカートは加速装置に入り、速度を落とさずジャンプした。

少し下のほうに、ぃょぅが見える。
( `ω´)「ぅぉぉぉぉぉおおおお!」
叫ぶ。
この行動に特に意味は無い。ただ、自分に気合を入れるためだけのものだ。
着地。カートが大きく跳ねる。
あの誘惑の城を前にコースは緩やかなカーブとなっている。
そこを越えればあの蛇カーブ、そしてアーチがあった。

132 :作者 :2007/01/28(日) 17:02:22.25 ID:4kZj/Pv50
アイテムボックスを再度取る――パワフルキノコだ。
しめた。これで蛇カーブを作っているあの芝生を突っ切ることが出来る。
すなわちそれは、蛇カーブを無視して進めるということだ。
( `ω´)「おぉぉぉぉぉぉっ!」
再度気合を入れる。そしてパワフルキノコを使い始めた。

凄まじい加速力。そしてそれに伴い増える重力圧。
みるみるうちにぃょぅに近づいていく。そして、並んだ。
(;=゚ω゚)ノ「ちぃ、ショートカットかょぅ!」
追い抜く。と、同時に蛇カーブを抜けた。
湖に突っ込まないよう急いでハンドルを右に切る。――ギリギリだった。
残りのキノコを使ってアーチまでにぃょぅとの差を少しでも広げておく。
ぃょぅも負けじと緑甲羅を放つが、無駄だった。

133 :作者 :2007/01/28(日) 17:03:14.90 ID:4kZj/Pv50
そしてアーチをくぐる。残り1周。
( ^ω^)「あとはつー、コッチミルナ、そして弟者……かお」
いずれも強敵揃い。
しかも後ろからはぃょぅと荒巻が追いかけてきている。
上手く切り抜けられるだろうか。

――切り抜けられるかどうか? 否、切り抜けるのだ。何が何でも。

再度アイテムボックスを掴んだが、中身はバナナ。
とりあえずあの湖の方に盛り上がっているカーブ、その途中に置いた。
引っかかってくれるかどうかはわからないが、少しは役に立つだろう。

視界が開ける。
目の前に広がる、芝生。
つーの姿は見えない。一体、どこにいるのか?
とにかく追いかけなければ。もう時間がない。
襲い来る急カーブを越え、芝生に乗り込まないよう注意する。
あと700メートルも走ればジャンプ台だろうか。
しかしなおもつーはどこにも姿を見せない。

一体、どこに――

134 :作者 :2007/01/28(日) 17:04:11.46 ID:4kZj/Pv50
(*゚∀゚)「どこにいるの、って思ってるだろうね」

( ;゜ω゜)「!?」

馬鹿な、何故、後ろに?
まだ1回も彼女を抜かしてはいないはず。それが、何故。

(*゚∀゚)「テレサって、知ってる?」
テレサ? 何だろう。どこかで聞いたことのあるような。
(*゚∀゚)「アイテムだよ。アイテム。一定時間姿を消すことが出来るんだ」
( ;゜ω゜)「姿を……消す?」
(*゚∀゚)「そ。これでわかった? 私がアンタの後ろにいるわけが」

そういうことか。
テレサで姿を消しそのうちに後ろへと回った。
そういえば、前にもこんなことがあったような気がする。

あれ? でもその時は、姿を消す以外にもっと厄介な効果があったような……。

(*゚∀゚)「テレサの効果はね、もう1つあるんだよ」
つーはにんまりと笑顔を浮かべる。
とてつもなく不気味な笑顔だ。背筋がぞっとする。
何かを懐から出した。何だ? あれは――

(*゚∀゚)「他人のアイテムを奪う、ってのがね」

刹那、つーの体が虹色に光った。

135 :作者 :2007/01/28(日) 17:04:55.42 ID:4kZj/Pv50
視界が、回転している。
つーの体が光ったと思った瞬間、内藤は空高く吹っ飛ばされていた。

更に落下感が襲ってくる。
糞、やられた。まさか、あんなアイテムがあるとは。

衝撃。
意識が飛びそうになるが、何とか持ちこたえる。

よろめきながらもすぐに走り出す。
まだだ、まだ負けるわけにはいかない。
負け犬になるわけには、いかない!

( `ω´)「ぉぉぉぉおおおおっ!」

叫ぶ。
いつかの時のように、ミニターボが発動することはなかった。

つーがこっちを向く。
何が起きた、とでも思ったのだろう。
後ろからぃょぅも追いかけてくる。
抜かされるわけにはいかない。

136 :作者 :2007/01/28(日) 17:05:59.97 ID:4kZj/Pv50
途中のアイテムボックスから赤甲羅を引っ張り出す。
間髪入れずに撃った。
(;*゚∀゚)「ぐっ!」
激突する刹那、つーは思った。
こいつ、何という運の持ち主なんだ。
このタイミングで上手い具合に赤甲羅を引き当てるなんて。

( `ω´)「うぉぉぉぉぉ!」
迫ってくる。糞、アタシだって、負けないよ!
つーのカートが加速した。
どうやら今まで最高速度を出していなかったらしい。

更にツーのカートから火が吹き出る。
キノコだ。それも3連発の。何時の間に拾ったのか。
途中の芝生を無視して一気に差を広げてきた。
そしてジャンプ台の道に入る。

137 :作者 :2007/01/28(日) 17:07:10.57 ID:4kZj/Pv50
内藤も遅れること数秒、ジャンプ台を正面に捉えた。
もうつーはジャンプしようとしている。

途中、緑の甲羅を入手した。
とりあえず後ろに放つ。
痛ぃょぅ! と誰かが叫んだようだが気にしている暇はない。
そして加速装置に踏み入れた。

最早恐怖を感じなくなった大ジャンプ。
着地後の衝撃に多少クラッ、となるがそれだけだ。

誘惑の城の前を通り過ぎる。
先の周ではパワフルキノコを手に入れたアイテムボックス。
だが残念ながら今回はキノコでも赤甲羅でもなく、ボム兵。
つーに当てようとしてもこの距離では無理な話だ。何とか、もう少し近づけないか。

138 :作者 :2007/01/28(日) 17:07:42.62 ID:4kZj/Pv50
蛇カーブを次々にクリアしていく。
最後のカーブを曲がった。あとはゴール地点までは緩やかなカーブがあるのみ。
未だつーとの距離は変わらない。
やけになって、ボム兵を投げた。当然当たらなかったが。
つーが最後のカーブを曲がりきった。一方内藤は今から曲がり始めるというところ。
最早アイテムボックスも何も無い。完全に、八方塞。


そして最後まで奇跡は起きることなく、つーはゴールした。



139 :作者 :2007/01/28(日) 17:08:38.92 ID:4kZj/Pv50

(´・ω・`)「やぁ」
( ´_ゝ`)「む、来ていたのか」
興奮冷め切らぬ観客席の中、兄者に近づいてきたのはあのバーの男だった。
(´・ω・`)「どうだい? 調子は」
相変わらず感情をこめることなく男は聞く。
その声は周りの歓声に掻き消され、注意して聞かないとよくわからなかった。
( ´_ゝ`)「素晴らしいくらいいいぞ。全く、堂々の1位だ」
男はそれを聞いて首をかしげる。そんな馬鹿な、といった感じだ。
やがてあっ、と手を叩く。
(´・ω・`)「いやさ、僕が聞いてるのは弟者のほうじゃなくて彼、内藤君のほうだよ」
む、そうかと兄者はあまり興味なさそうに呟く。
暫くキーボードをカタカタと打ち鳴らしていたが、やがて教えてくれた。
( ´_ゝ`)「4位だ。まぁ、初出場にしては上出来じゃないのか?」
それに、男が応えることはなかった。
ただ、広大なレース場を見て、1人呟くのみ。

(´・ω・`)「こっちだって店を閉めて来てるんだ。……さっさと、見せてくれないかなぁ。君の力を」
男の言葉は、内藤には勿論届かない。
兄者はしばらくそんな男の様子を見ていたが、やがて小さなため息をつくと画像収集に戻っていった。


140 :作者 :2007/01/28(日) 17:09:05.62 ID:4kZj/Pv50
100ccランク・第1コース結果

1位・弟者 10ポイント

2位・コッチ・ミルナ 7ポイント

3位・つー 4ポイント

4位・内藤ホライゾン 1ポイント

5位・荒巻 0ポイント

6位・ぃょぅ 0ポイント

残り4コース



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