1 :愛のVIP戦士:2007/02/04(日) 21:14:26.44 ID:I9MYfbak0
第一話

季節は夏。暑い日ざしが町に降り注ぐ。
沢山のサラリーマンや学生達が通学を急ぐ中、その中に一人、変わった男がいる。

(;^ω^)「急ぐお!遅刻しちゃうんだお!!」

語尾に「お」とつけるこの男、見た目から今働き盛りな年齢と取れる。
ピチッとしたスーツを身につけるその姿はいかにもサラリーマンらしく見えた。

(;^ω^)「今日は大事な会議があるんだお!!遅刻したら減給になるお!!」

男は自分の会社のドアを思い切り叩いて、急いで階段を駆け上る。


3 :愛のVIP戦士:2007/02/04(日) 21:15:57.26 ID:I9MYfbak0
(;^ω^)「すいませんお!今、出勤しましたお!」

( ・∀・)「内藤君、遅いよ〜まぁ、ギリギリセーフにしといてあげるから早く仕事についてね」

(;^ω^)「いつもいつもお世話になりますお」

( ・∀・)「構わないよ。君はしっかり仕事をこなしてくれてるからね。今日の会議、頑張ってくれ」

( ^ω^)「把握ですお!部長!!」

内藤と呼ばれるその男は、自分のデスクに座り、今日の準備を始める。

4 :愛のVIP戦士:2007/02/04(日) 21:16:41.55 ID:I9MYfbak0
(*゚∀゚) 「おはようございます!課長!」

( ^ω^)「おっおっ、つー君、おはようだお」

明るく快活そうな女性が内藤に挨拶をする。彼はどうやら課長のようだ。

(*゚∀゚) 「今日は大事な会議の日ですよ〜?頑張ってくださいね?」

( ^ω^)「わかってるお。まかせてくれお!」

(*゚∀゚) 「うふふっ、さすが課長ですねw」

( ^ω^)「おっおっ!」

つーは少し話してから、自分のデスクへ戻っていった。彼女はどうやらブーンに尊敬の念を抱いているらしい。


6 :愛のVIP戦士:2007/02/04(日) 21:17:36.68 ID:I9MYfbak0
( ^ω^)「相変わらずつー君は元気でいい後輩だお。さて・・準備をすすめるお」

今日のプレゼンのために準備した物を整理する内藤。

( ^ω^)「今日もいつもの通り、頑張るお!」

( ^ω^)「まだ失敗はないお!」

そう、ブーンは今出世街道まっしぐらな三十五歳、課長である。
だが仕事が忙しいせいもあってなのか、家族にはあまり接していなかった。

7 :愛のVIP戦士:2007/02/04(日) 21:18:41.69 ID:I9MYfbak0
( ^ω^)「さて・・そろそろ行くかお」

プレゼンが開始される。ブーンはいつものように達者なしゃべり方でドンドンプレゼンを遂行させていく。

( ・∀・)「さすがはブーン君だな」

部長もその様子に満足気だ。

( ^ω^)「・・という訳ですお。ヨロシクお願いしますお」

プレゼンを見事完遂し、安堵の表情を見せる内藤。

( ・∀・)「やっぱり内藤君に任せて正解だったよ。君は優秀な部下だな。昇進も近いよ」

( ^ω^)「ありがとうございますお!また何かあったら言ってくださいお!」

8 :愛のVIP戦士:2007/02/04(日) 21:19:48.12 ID:I9MYfbak0
( ・∀・)「ふふっ、頼りにしてるよ」

そう言ってモララーは自分のデスクへ戻っていく。
後は変わったことは何も無く、いつも通り仕事をこなしていくブーン。

(*゚∀゚) 「課長・・ちょっと質問が・・」

( ^ω^)「おっ?なんだお?」

(*゚∀゚) 「ちょっとここを見て欲しいんですが・・」

( ^ω^)「おっ・・これはこうするんだお」

(*゚∀゚) 「なるほどおっ!ありがとうございます」

( ^ω^)「また何かあったらいうんだお?」

内藤は部下の面倒見も良かった。社内の評判はかなり高い方だ。

9 :愛のVIP戦士:2007/02/04(日) 21:21:03.03 ID:I9MYfbak0
( ^ω^)(フヒヒww出世街道まっしぐらなんだおwww)

頭の中で考えている事は不純なようだ。さっさと仕事を済まし、家へ戻るブーン。

( ^ω^)「ただいまだお!」

いつものように元気良く帰りの挨拶をする内藤。だが今日はどこか様子が違った。

( ^ω^)「あれ・・ツンが出てこないお」

いつもはツンが走ってきておかえりと言ってくれるはずなのに、今日はそれが無い。


10 :愛のVIP戦士:2007/02/04(日) 21:22:13.42 ID:I9MYfbak0
( ^ω^)「・・?まぁいいお、とりあえず家の中に入るお」

違和感を感じつつ、家へ入る内藤。家の中の雰囲気までいつもと違うような気がしていた。
なんだか凍りついたような・・そんな感じの雰囲気を漂わせている。
リビングのソファーに、ツンは一人座って待っていた。

( ^ω^)「なんで今日はd

ξ゚听)ξ「いいから座りなさい」

有無を言わせぬツンの態度に押されてしぶしぶとソファーに座る内藤。

11 :愛のVIP戦士:2007/02/04(日) 21:23:43.98 ID:I9MYfbak0
ξ゚听)ξ「ねぇ、ブーン」

( ^ω^)「なんだお?」

ξ゚听)ξ「最近仕事が忙しいのは分かるけど・・家庭をないがしろにしすぎじゃないの?」

( ^ω^)「・・・・・」

ξ゚听)ξ「大変なのは分かる。でも土日まで仕事が入るときがあって最近は家族でお出かけすらできないじゃない」

ξ゚听)ξ「デレはまだ小学二年生なのよ。家族の愛が必要な時なのよ」

( ^ω^)「それは分かってるお・・」


13 :愛のVIP戦士:2007/02/04(日) 21:25:17.71 ID:I9MYfbak0
ξ゚听)ξ「ホントに分かってる?分かってないからそんなんじゃないの?」

( ^ω^)「・・・・・・・・」

沈黙するブーン。

ξ゚听)ξ「なんか変わったよね、ブーン」

( ^ω^)「お・・?」

ξ゚听)ξ「前は仕事よりもずっと家庭を優先してくれてたのに」

ξ゚听)ξ「今となっては仕事だから無理ばっかりで・・」

(#^ω^)「しかたないんだお!!」

ブーンが怒鳴り声をあげて立ち上がる。

15 :愛のVIP戦士:2007/02/04(日) 21:27:35.73 ID:I9MYfbak0
ξ゚听)ξ「怒鳴らないでよ!デレが寝てるんだから!!」

(#^ω^)「お・・・・・」

ξ゚听)ξ「その目・・何かいいたそうね。言ってみなさいよ」

(#^ω^)「誰の為に働いてると思ってるんだお?」

(#^ω^)「ツンとデレの為だお。それなのに・・」

ξ゚听)ξ「その言葉、本気で言ってるのね?」

(#^ω^)「当たり前だお!!」


17 :愛のVIP戦士:2007/02/04(日) 21:28:48.67 ID:I9MYfbak0
ξ゚听)ξ「嘘よ。今のあなたは、自分の出世の為にしか働いてないもの」

(#^ω^)「出世の何が悪いお?家族も楽出来るようになるし、自分の身分も上がる。悪い事ないお?」

ξ#゚听)ξ「あーもう我慢できないっ!やっぱり仕事の方が大事なんじゃないっ!!」

思い切り机を叩いてブーンに反論をかけるツン。

ξ#゚听)ξ「何が家族の為よ。聞いてて反吐が出るわ。私もう寝るから」

(#^ω^)「待てお!まだ終わってないお!!」

ξ#゚听)ξ「うるさい、偽善者」

19 :愛のVIP戦士:2007/02/04(日) 21:30:54.92 ID:I9MYfbak0
それだけ言い残して、デレの寝る寝室へと向かっていくツン。その姿を悔しそうに見つめるブーン。
相当イライラしていたのか、凄い勢いでソファーに座りこむブーン。

(#^ω^)「ちくしょう・・なんだお、あの言い分は。腹が立つお」

(#^ω^)「沢山働いて出世するのが何が悪いんだお。のちのち家族も楽できるんだお。ふざけやがるお・・」

ブーンは気が付いていない。本当は何が大事なのかを。
だが今のままでは分かるはずもないだろう。
あまりに胸糞の悪かったブーンはその日、自分の部屋から毛布を持ってきて、ソファーで眠った。
次の日・・

20 :愛のVIP戦士:2007/02/04(日) 21:32:49.72 ID:I9MYfbak0
( ^ω^)「・・・・・・お」

朝目が覚めると、置手紙がおいてあった。

「今日はデレと一緒に出かけてくるから」

あきらかに殴り書きだと言う事が分かる字に、ブーンは昨日のことを思い出して腹を立てた。

( ^ω^)「ホントにうぜーお・・」

( ^ω^)「久々の休みだってのに、気分わりーお」

この日は土曜日で仕事は無かった。だがブーンの頭の中には家族で出かけるという文字は無かった。


21 :愛のVIP戦士:2007/02/04(日) 21:36:31.72 ID:I9MYfbak0
( ^ω^)「よし、久々にあそこに行ってみようかお」

ブーンはある場所に足を向けることにした。
家からでて少しあるくとそのバーはあった。

( ^ω^)「よし、入るお」

カランカラン・・・

(´・ω・`)「すまないまだ開店は・・ってブーンじゃないか。久しぶり」

( ^ω^)「久しぶりだお、ショボン」


22 :愛のVIP戦士:2007/02/04(日) 21:38:14.07 ID:I9MYfbak0
この男はショボン。「バーボンハウス」の店長であると共に、ブーンの親友である。
高校卒業と同時にバーを始め、今ではかなり賑わう人気のバーへと、成長を遂げた。

(´・ω・`)「ほら、このジュースはサービスだ。今日はどうしたんだい。いつもなら家族全員で顔を見せてくれるはずだが・・」

( ^ω^)「そのことで相談があってやってきたんだお、ちょっと聞いてくれお」

(´・ω・`)「なんだい、話してごらんよ」

昨日までのいきさつを説明しだすブーン。

( ^ω^)「僕が頑張ってるのに、その結果家庭をないがしろにしてるって言われても困るんだお!!」

(´・ω・`)「・・そうかい」

(´・ω・`)「ブーン、はっきり言おう、君の言ってることは間違ってるよ」

(´・ω・`)「君はメリットにつけこんで自分のために仕事を頑張りたいだけじゃないのかい?」


23 :愛のVIP戦士:2007/02/04(日) 21:39:23.30 ID:I9MYfbak0
( ^ω^)「!!」

(´・ω・`)「それじゃあ家族をないがしろにしてるって言われても仕方ないよ」

( ^ω^)「う、うるさいお!!」

(´・ω・`)「少し考え直したらどうなんだい?ツンへの、デレちゃんへの対応を」

( ^ω^)「・・・・・・・・」

(´・ω・`)「仕事を頑張ることだけが、父親の仕事じゃないんだよ。わかってるかい?」

( ^ω^)「あーあ、わかったお、ショボンまでツンの味方なんだおね。わかったお、帰るお」

(´・ω・`)「そういうわけじゃない。話をちゃんと聞け」

( ^ω^)「はいはい、ジュースごちそうさまだお、帰るお」

(´・ω・`)「ちょっと待て!!」


24 :愛のVIP戦士:2007/02/04(日) 21:41:08.59 ID:I9MYfbak0
カランカラン・・
ブーンはショボンの静止を無視して、出て行った。

(´・ω・`)「・・・・・何だ、あいつは」

その夜、バーボンハウスでは・・

('A`)「やぁ、ショボン」

川 ゚ -゚)「いつも世話になる」

ショボンと同じく、ブーンの親友であるドクオ、そして妻のクーがバーボンハウスを訪れていた。

(´・ω・`)「今日ブーンが店に来てね」

('A`)「ホントか?」


25 :愛のVIP戦士:2007/02/04(日) 21:43:32.27 ID:I9MYfbak0
(´・ω・`)「うん、今日は珍しく一人で来てね・・どうやら家族関係が上手くいっていないみたいでね」

('A`)「あの二人が・・珍しいこともあるもんだな」

川 ゚ -゚)「倦怠期だな」

(´・ω・`)「・・凄く、嫌な予感がする」

('A`)「気のせいさ」

その日、ドクオ、クー夫婦は遅くまでショボンの店で酒を飲んでいた。
ショボンの嫌な予感が的中している事も知らずに

第一話 完



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