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- 5 名前: 予備校講師(長屋) :2007/04/23(月) 00:35:04.77 ID:C9zfA7f10
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川゚ -;゚)「私の負けだな……。
……約束通り、私が何をしたのか全て話すとしよう」
長い髪をはらりと掻き揚げたクーの姿には、全ての人を魅了するような不思議な美しさがあった。
ついさっきまではこの人をツンを殺したとは思えなかった。
でも今は、彼女がツンを殺してないと困るんだ。
ぼくが無実だと証明するためにも。
川゚ -;゚)「私が……幼い弟とあの家を出たのは14の時だった。
見ただろう……あの虐待跡を……。
私の地獄は、その家出が始まりだともいえたし、続きだったともいえるな」
(´・ω・`)「ククク……」
川゚ -;゚)「想像してみたまえ……14の少女が幼い弟と親なしでどうやって生きてゆくのかを。
生きるためなら何でもやった……年頃になると水商売も始めるようになった。
それでも、生きるには金が足りなかった。そんなときだよ……彼女の父親と会ったのは」
- 6 名前: 予備校講師(長屋) :2007/04/23(月) 00:35:57.21 ID:C9zfA7f10
- ( ^ω^)「……ツンの父親、かお?」
川゚ -;゚)「そう……、彼女の父親――津出警部は私の客として現れたんだ。
それから、私の罪は始まった……覚せい剤の横流しの仲介者としての、な」
( ^ω^)「……」
川゚ -;゚)「私は……津出警部から警察の押収物である覚せい剤を受け取り、それをラウンジ組に売り渡していた。
……だが、ある日私は津出警部にもう止めたいと言ったんだ…………それが、事件の切っ掛けだった。
―――そう、津出一家虐殺事件の真相は、全て私のせいなんだ」
川; -;)「全て――私の、せいだ」
どういうことだ!?
クーが殺したんじゃないのか!?
川; -;)「わ、私が……、やめたいなどと言わなければ、殺されることは無かったはずだ……。
君の彼女も……つ、津出さんも……私のせいだ……。
ぜ、全部……私が殺したも同然だ……」
殺したも、同然だって?
じゃあ、本当は誰が――誰がツンを殺したんだ!?
- 10 名前: 予備校講師(長屋) :2007/04/23(月) 00:40:01.39 ID:C9zfA7f10
- ( ^ω^)「……じ……じゃあ、だ、誰がツンを殺したんだお」
ぼくじゃない
絶対にぼくじゃないんだ
川 - )「私が――」
心臓が跳ね上がる。
川 - )「私が――もう既に殺した。ツンさんを殺した犯人は、既に全員、殺した」
( ^ω^)「こ、殺した……?」
(´・ω・`)「……復讐、か」
川 - )「ああ。……犯人はラウンジ組の連中さ。死ぬ直前で……自分たちがやったと白状したよ」
(´・ω・`)「……ククク」
ぼくの復讐は既にクーの手によって終わっていた。
死刑を言い渡されるずっと前に。
復讐――たぶんクーは、ツンの父親を愛していたのだろう。
ぼくがツンを愛していたのと同じように。
- 11 名前: 予備校講師(長屋) :2007/04/23(月) 00:43:27.75 ID:C9zfA7f10
- 音を立てて扉が開いた。クーを死刑台に送る死神の群れが、広間に入ってきた。
「空、貴様はこれから死刑台に送られる。
ドクオやジョルジュと同じ目に会いたくなければ、抵抗しないことだな」
川゚ -゚)「抵抗などする気はない」
「ふむ……本当だな? 少しでも不審な動きをしたら射殺するぞ」
川゚ -゚)「ああ」
クーはキリリとした声で答える。
銃を持った男達の前なのに怯むことなく、クーは胸を張って立っていた。
ああ、ぼくがこの美しい人を死に追いやったのか
ありもしない復讐に踊らされて
何もかも間違っていた
ぼくは、なんて馬鹿なことを
これからクーは死ぬんだ
――――今更後悔しても、遅過ぎる
- 13 名前: 予備校講師(長屋) :2007/04/23(月) 00:49:01.59 ID:C9zfA7f10
- ( ;ω;)「クー!! ごめんお……。僕のせいで、死刑に……」
川゚ -゚)「……おい……話していいか?」
「仕方ない……少しだけだ。勝手に動くなよ」
川゚ -゚)「……ブーン、気にするな。私は君に殺されても仕方の無い存在だ。
ツンさんが死に、君が死刑になったのは全て私に原因がある」
( ;ω;)「でも、でも!! クーは悪くないお!!」
川゚ -゚)「……いや、前に言っただろう? 私はただの血に汚れた殺人鬼だと。
死刑に相当する罪を犯した犯罪者だ」
( ;ω;)「死んだら、弟さんはどうするんだお!!」
川゚ -゚)「……弟はだいぶ前に死んでるよ。麻薬常習者によって刺されてね。
ブーン、今思うと私は、君と弟を重ね合わせていたのかもしれないな……」
川゚ ー゚)「――死ぬ前に君と会えて本当によかった、ありがとう」
「おい、そろそろ時間だ」
銃を持つ男が、クーを扉の向こう側へと連れてゆく。
扉が閉まって彼女の姿が見えなくなる直前、一瞬クーは振り返って僕を見た。
これから死刑されに行くとは思えないくらいの満面の笑みだった。
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