21

47 : 2ch中毒(長屋):2007/03/28(水) 15:54:38.24 ID:I7sQcZpn0
 21

異変はいつも突然起こるものだと思う。
今回そうだったように。

ドクオが発狂したのは、ターンが終わって暫くしてからのことだった。


( A )「…………俺は……俺はぁあああ!!!」

ドクオは、突然頭を掻き毟り、広間に響き渡るほどの声で叫び始めた。

('A゚)「………フヒ………フヒヒヒヒ……フヒヒヒヒヒ!」

(´・ω・`)「……狂ったか」

('A゚)「フヒヒ…………ヒヒ、俺は、生き残るぞォ! 俺は死なねェ!
    ラウンジ組の奴らに落とし前をつけるまではなぁ!」

川゚ -;;゚)「ラウンジ……」

('A゚)「フヒヒ……そうだクー……お前はラウンジ組のヤク売買に関わってたよなぁ……。
    ついでだ、テメェも一緒にあの世へ送ってやるぜェ!」

( ^ω^)「……」

('A゚)「奴らは俺を嵌めやがった。警察なんかと結びついて、俺を、出世街道だったこの俺をよォ!
    揉み消した筈のコロシを今頃持ち出してきやがって、逮捕そして死刑だと!? ふざけるなッ!
    嵌めやがってェ、殺してやる! ラウンジの奴ら全員、ブッ殺してやる!!」

49 : 2ch中毒(長屋):2007/03/28(水) 16:01:22.23 ID:I7sQcZpn0
(´・ω・`)「……どうぞご自由に。生き残れたら、の話だけどね……ククク……」

('A゚)「フヒヒヒヒ……勝ってやるぜ……。ここにいる全員を死刑台に送ってな!」

(´・ω・`)「ククク……じゃあ、次のターンを始めよう。狂ったゲームに早く蹴りをつけようじゃないか」

('A゚)「さっきから、そういってるじゃねぇか、俺はよォ!」

( ^ω^)「……じゃあ、早く始めるお」

川゚ -;;゚)「……」


復讐を成し遂げるため、次のターンは確実に勝つ必要があるんだ。
ぼくは、絶対に、勝ってやる。


黒か、白か。

勝てるのはどっちだ。

52 : 2ch中毒(長屋):2007/03/28(水) 16:14:14.94 ID:I7sQcZpn0
さっきは黒3白1で黒が優勢だった。

つまり、今度も勝つ可能性があるのは白だ。

……いや、まてよ。
白は黒に比べ、圧倒的に不利なはずだ。


ここは、よく考えるべきだ。


まずは、ショボンの気持ちに立って考えよう。

ショボンはおそらく点数の上で圧倒的に勝っている。
彼にとって、もっとも望ましい展開とは何だろうか。

それはおそらく、全滅策、だろう。

全滅は全員が2ポイントマイナス――――


ちょっと待て。


さっき白を押した人が黒を押していたら、僕は前のターンで既に負けていたということか……!?

56 : 2ch中毒(長屋):2007/03/28(水) 16:38:44.67 ID:I7sQcZpn0
そうか、そうだったのか。

さっきのドクオの豹変は、これで説明がつく。


ドクオは恐らく、最初のターンで勝ったから、今の今まで死ぬことはないと高を括っていたはずだ。
よほど運が悪くない限り、1ターン目以降、負けがかさむことはないだろうと。

しかし彼は、前のターンが始まるとき、僕と同じで2ポイントしかなかったんだろう。
つまり、ドクオは負け続けていたのだ。

そして、今回の結果。

ようやくドクオは、もう死の一歩手前まで来ていた、ということに気づいたんだ。
発狂した原因は、全滅によって死ぬ可能性があったこと、だろう。


ドクオは今、自分に死刑の可能性があったこと、に怯えている。
1ポイントになった今、単なる負けのマイナス1でも、全滅のマイナス2でも違いはないが、それでも恐怖心は拭い去ることはできない。

全滅の可能性があった黒のボタンは、ドクオにとって相当な恐怖に値する筈だ。

それなら次のドクオの押すボタンは十中八九、白、だ。
違いない。

59 : 2ch中毒(長屋):2007/03/28(水) 17:07:28.99 ID:I7sQcZpn0
次に、クーの押すボタンの推測をしてみよう。


もし次のターン全滅したら、僕とドクオの両方ともゲームオーバーだ。

すると、クーはショボンとの一騎打ちの形になってしまうわけか。

そうじゃなくて、全滅せずドクオだけが負けた場合―――


いや……待てよ。

もしかしたら…………やっぱ、そうだ!


一騎打ちになった時点での点差によっては、必勝法が存在しているじゃないか!


たとえば、このゲームの一騎打ちが始まった時点で、2ポイント差がついているとしよう。
すると、勝っている人間は黒を押し続けるだけで勝つことができてしまう。

相手が白を出してくれば勝てるし、黒を出してくればお互い2ポイントずつマイナス。
点差は開く一方で、2ポイントの差は埋まらない。

すなわち、二人になった時点で勝者が決定するんだ。

61 : 2ch中毒(長屋):2007/03/28(水) 17:20:05.84 ID:I7sQcZpn0
ここで今までの記憶を振り返る。
今までのゲームの結果を。

ショボンは1回だけワザと負けた。
残念ながら、他は推測できそうにない。
しかし、1回を除いて勝ち続けているとすると、2ポイントプラスの5ポイントだ。

クーはさっきのターンまでは4ポイントだったはず。
つまり、さっき負けてるとすれば、現在3ポイントのはずだ。

そう、2ポイント差の可能性は十分ある。
たとえ次負けたとしても、全滅だけは避けたいはずだ。
だから、彼女は白を選ぶ。

もし、前のターンに負けた人間がショボンだとしても同じことだ。
クーの代わりにショボンが全滅を避ける立場にある筈。

つまり、この時点で白が2人。


最善手は、黒、だ。

64 : 2ch中毒(長屋):2007/03/28(水) 17:33:08.41 ID:I7sQcZpn0
君の答えは果てしなく正解に近い――か。

なるほどな、ショボン。

ぼくが何も考えずに白を押したら、白3黒1かい。

全滅を恐れる人間が多ければ、白が多数になることもあり得るってわけか。


( ^ω^)「……僕は、このゲームに勝つつもりだお、ショボン」

(´・ω・`)「ククク……助言はもういらないって顔だな……」

('A゚)「何を言ってやがるッ! 俺が勝って―――」




ドクオ、もう何を言っても無駄だよ

君には悪いけど、死んでもらう

ぼくの 復讐 のために




ぼくは黒のボタンを押した。
そして、間もなくして、アナウンスがぼくの耳に入る。

66 : 2ch中毒(長屋):2007/03/28(水) 17:34:40.09 ID:I7sQcZpn0










『5ターン目終了だ。ドクオ、ゲームオーバー』













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