18

12 :愛のVIP戦士:2007/03/07(水) 23:39:01.63 ID:ZtdgdFmJ0
 18

二度目の銃声は、高らかに鳴った。
ジョルジュを包囲していた男の1人が、彼のこめかみに当てていた銃を、放ったのだ。

「面倒なんでな、けが人を死刑台まで運ぶというのは。
 協議の結果ここで死んでもらうことにした。抵抗しなければまだしばらくは生きれたというのに」

淡々と男はしゃべる。
そしてショボンを睨む。

「クソッ、全てショボンお前のせいだ。お前にはペナルティを与えることになるかもしれんな」

(´・ω・`)「クックック……減点……かい?」

「さあな、あとで放送することになるだろうな」


( ^ω^)「おい! ……なぜ、殺した?」

ぼくは、男たちに向かって吼えた。

「……なぜって、今しがた言ったとおりだ。
 確かに、お前が無実を主張している話は我々の耳にも届いている。だが、真犯人探しは我々の問題ではない。
 ゲームが始まった以上、君たちには人権などないといったはずだろう?
 生きられる人間は、ゲームの勝者の数だけだ」

15 :愛のVIP戦士:2007/03/07(水) 23:46:50.96 ID:ZtdgdFmJ0
( ^ω^)「だからって……、お前らが――」

「……時間の無駄だ。そんなことに気を回している余裕があるのなら、ゲームの進行をもう少し早くすることだな。
 他に何か言うべきことは……ああ、そうだ、すっかり忘れていた。 そこの彼女はそのままではかわいそうだ。
 我々はルールさえ守っていただければ、そこまで無慈悲ではない……あとで、そこの女の新しい囚人服は届けさせよう。
 おい、遺体を運ぶぞ」

ぼくの主張は完全に無視される形になった。
男たちは、ジョルジュだったモノを持ち去り、血の跡だけが残った。


(´・ω・`)「これで……1人、ゲームオーバーになったわけだ……ククク……」

べっとりと床にこびりついた血が、ジョルジュの死を実感させる。

一度、死刑になった身とはいえ、殺されるのに慣れている人間などいるはずがない。
そう思っていたのだが、彼はぼくの想像の範囲を逸脱していた。

とにかく、ぼくはショボンに反発する気力がなかった。
明日は我が身なのだから。

('A`)「……あのよぉ、さっきの男が言ったように……、ゲームの進行を早くしないか?
    ターンごとに毎回毎回休憩入れてちゃ時間の潰すのに一苦労だ。
    誰かさんたちみたいに、時間を使うことを、俺はしないんでな」

誰かさんたち、が、ぼくとクーを指すのか、それともジョルジュとクーを指すのかはわからなかった。

ジョルジュとクーのことを指しているなら――ジョルジュは、もう、いない。

19 :愛のVIP戦士:2007/03/07(水) 23:52:58.66 ID:ZtdgdFmJ0
(´・ω・`)「……異論はないよ、君たちはどうだ」

ゲームの進行を早くする。
確かにあまり、深く考えられないという、デメリットはある。

だけど、ぼくはこんな非日常から、早く逃げ出したかった。
この罪人の地獄から。

死ぬのは嫌だけど早く終わらせたい、と、いう気持ちがぼくの心の大半を占めていたのだ。
だから、ぼくは反論するはずがなかった。

( ^ω^)「……ぼくも賛成だお」

('A`)「……そうか、あとは――」

川゚ -;;゚メ)「……私も賛成だ」

倒れていたクーがはっきりとした声で返答する。

ぼくは、クーに駆け寄った。

( ^ω^)「……クー……もう、大丈夫なのかお?」

川゚ -;;゚)「……ああ、私はまだ彼のように死体にはならないさ。
      しばらく休んでいて、意識がようやくはっきりとしてきた。あと――」

22 :愛のVIP戦士:2007/03/07(水) 23:57:53.47 ID:ZtdgdFmJ0
( ^ω^)「あと……何?」

川゚ -;;゚)「あと……ブーン…………私にあまり関わらないほうがいい」

クーからは今までに無かった拒絶の色が見えていた。
ジョルジュの死を間近で見たせいだろうか。
それとも――

しばらくして、扉がキィと音を立てて僅かに空き、中に何かが放り込まれた。

川゚ -;;゚)「……おや、囚人服が届いたようだ。
     悪いが私が着替えてから、ゲーム再開としていいか?」

('A`)「あんまり、長くならないでほしいが――」

川゚ -;;゚)「何、ここで着替えるからそんなに時間はかからないさ。
      悪さをしそうな、性犯罪者はもういないからな」

(´・ω・`)「……そうだな。そうしよう
       彼女が着替えたら、始めようか」


25 : ◆SZ8SwoBC0. :2007/03/08(木) 00:05:08.36 ID:9PGrJ6nQ0
 18番外

('A`)「……フヒヒ」

川゚ -;;゚)「……ドクオ、何か言ったか?」

('A`)「……いや別に」

(´・ω・`)「……そうだ。クー、ひとつ君は勘違いしていそうなことがある
       僕のイメージに関わることなんだけどさ」

川゚ -;;゚)「……なんだ?」

(´・ω・`)「僕はゲイだと思ってるみたいだけど、実は両刀使いなんだ
       だから、油断しきってると――」

川゚ -;;゚)「襲ったら殺す。ブーン、ドクオお前らもだ」

殺す、が冗談に聞こえなかった。
ぼくは何も言ってないのに。


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